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美観地区で労働の汗を流そう タグ:【美観】  (馬車猪)

●白い壁の街
「もう始めている人がいるんだね」
 活動的な剣術小町スタイルの少女が、冬の風に揺れる柳並木に沿って歩いていた。
 柳並木の下では小等部の生徒から大学部の学生まで多彩な面々が清掃作業に従事している。それぞれ美形だったり精悍だったり存在感溢れる面々に、一般の観光客や商店の従業員から視線が向けられている。しかし最も視線を集めているのは彼等ではなく、剣客小町に駆け寄ってくる美形だった。
「先輩! お待たせしました!」
 軽く息を弾ませた美形が、少し上気してなんとも色っぽくなった顔を小町に向ける。
 すらりとした体を包むのは飾り気の少なく上品なつくりなセーラー服だ。何故か背中にはアニメっぽい忍者刀が装備されている。
「ええ。似合っているわよ」
 普段より気合いの入ったさんぽの姿に、橘和美(ja2868)肯定的な返事をする。
「よかった。先輩とこの街にあわせてみたんです!」
 美形は満面の笑顔を浮かべる。それを見た一般観光客が思わず微笑み、一部の男女はぽうっと見とれてしまっていた。
 犬乃さんぽ(ja1272)。美形で美人であるが歴とした男である。罪もない一般人の一部に特殊な性癖を植え付けながら、さんぽは和美と歩調をあわせて白い壁の街を歩いて行く。
「父様の国の神秘を直接体験できるなんて、すごく嬉しいです!」
 和美と一緒にいられるのも同じくらい嬉しいと態度で語っている。
「私もよ。こういうのを見ていると…」
 通り沿いの商家で陳列されている商品は現代のもの。しかし商家自体は江戸時代風の重厚な作りだ。
「商家で、この黄金色のお菓子を…みたいなやりとりあったのかしらっ! 本物のやりとり見てみたかったわ!」
 決めの場面では白馬に乗った将軍様が活躍しないとねと熱く語る和美は、熱心な時代劇ファンであった。
 そんな彼女と町並みを心ゆくまで楽しんでいたさんぽが、急に別人のように引き締まった表情を浮かべる。
「先輩!」
 白壁の途切れる場所に人工物でも動物でもないものを見つけた2人は、携帯電話を取り出し連絡を開始した。

●避難誘導
「近づかなければ危険はありません。決して走らず、注意を引かないよう距離をとっていってください」
 萬木直(ja3084)は一般観光客と商店従業員を避難させるながら、意識して穏やかな表情をつくっていた。
 突然のサーバント襲撃に恐慌状態に陥りかけていた人々は直の態度により冷静さを取り戻して通りから去っていく。
「実践的な避難誘導の経験を得られるとはな。被害も0にして完璧な結果を得るとしよう」
 周辺の避難を完了させた直は笑みを消して普段の生真面目な表情に戻す。そして、先程までの好青年然とした態度とは正反対の殺気をまき散らしながら、サーバントの目撃情報があった場所目がけて駆け出した。
「そちらに2体出たのだな。場所は…ええい、番地が分からないなら近くの観光施設を言え」
 凪澤小紅(ja0266)は清掃作業を中断したまま、サーバント迎撃に向かわずその場に留まっていた。
「…に連絡しろ。近くにいるはずだ」
 通話を切断するとすぐに次の通話がかかってくる。メールに至っては10秒に数通の頻度で着信している。事前に携帯電話による連絡網をつくった小紅は、自然と管制官兼総指揮官じみた役割を果たすことになってしまっていた。
「お前等はそのまま足止めしていろ。既に増援が向かっている」
 直接戦うこともできず割に合わないなと考えながら、小紅は沈着冷静に状況を動かしていくのだった。

●舞い落ちる柳の葉
 鋼の拳が連続して突き刺さり、よろけた所で背後から差し込まれた刃で首らしき場所に深い傷がつけられる。
 強弁すれば人型もいえないこともないサーバントは、痛みに体を震わせながらも無音のまま腕を大きく振るう。
「わっ」
 コミックに登場する忍者じみた動きで回避した三崎悠(ja1878)は、再度拳を打ち込む隙をうかがっている板垣・ナニガシ(ja0146)の横に移動し得物を構える。
「水路をうろつくサーバントって…あ、あんまり直接は殴りたくない系かも〜!」
 隙を一切見せずに軽口を叩くナニガシに、悠は不思議な安心感を得ていた。
「ここは足止めに徹しましょう。街中に逃げ込まれたら倒せても…」
 悠が真っ当な意見を言い終わる前に事態が急変する。
 道路から高速で飛び出てきた赤い影が、素晴らしく速度と体重が乗った拳をサーバントに打ち込んだのだ。
 その不意打ちに耐えきれず、人型もどきのそれは激しい水飛沫をあげて水路に突っ込んだ。
「図体のせいか鈍いな。っと、あんたらの獲物を奪っちまったか?」
 島津・陸刀(ja0031)が男臭い笑みを向けると、ナニガシは礼儀正しく、しかし目だけで礼をする。
「追いましょう」
「応!」
 流されていく敵を追う2人の後を、悠は追わなかった。別の場所でのサーバント目撃情報がメールで届けられたからだ。
「やれやれ。今日はもう観光できなかな」
 2人の背中に声をかけてから、悠は新たな敵へ向かっていった。

●華やかな戦い
 水路から放たれた斬撃が、柳の下で侵攻準備を整えつつあった小型サーバントを無造作に切り裂いた。
 慌てて後退していく生き残りを追うようにして、水路から長靴と作業着で身を固めた柾咲春歌(ja1679)が現れる。
「私、楽しみにしていたのですよ」
 実用一辺倒の装備に身を固めても華やかさを失わない彼女は、あくまで優雅に歩みを進める。
「皆と一緒に観光地を巡り、おしゃべりと楽しみ…。それなのにどうしてあなたたちが出てくるのかしら」
 笑みと激怒は両立する。
 そのことを理解したサーバントは、春歌が振り下ろした刃により真っ二つに両断されていた。
 この場に残るサーバントは3体。どれも既に倒されたものより強力な個体であり、このまま撃退士にいいようにされ続けるつもりは無かったようだ。
 春歌を囲むように展開して同時に襲いかかる。
 が、側面から放たれた猛烈な連撃によりタイミングをずらされ、春歌に抜け出されてしまう。
「器の聖堂の瓦礫処理に比べれば楽だけど、地形が面倒っ」
 盛大にぶっ放した氷月はくあ(ja0811)が、次の攻撃の準備をしながら可愛く口を尖らせていた。それを隙と見たのか、最も装甲が分厚く重そうなサーバントがはくあに向けて飛びかかる。
 が、足を撃ち抜かれバランスを崩し、うつぶせになった瞬間に後頭部を打ち砕かれる。
「春歌には悪いけど」
 少し幼さが残る美貌が妖しく微笑む。
「私は会えて嬉しいわよぉ!」
 もがきながら立ち上がろうとするサーバントを、黒百合(ja0422)は激情に駆られながらも素晴らしく効率よく解体していく。
「はくあさん、援護しま…あれっ?」
 残る2体のサーバントに対する盾になろうとした雪那(ja0291)が目を丸くする。
「逃げるのっ?」
 まるで恐れを抱いたかのように、サーバントが水路の中に飛び込んだのだ。咄嗟に攻撃を加えたものの有効打というには浅い。
 しかし敵が水面下に隠れるより早く、弾丸が冷たい空気を裂いて飛来しサーバントの背後から貫いていた。
「ありがとう!」
 雪那が礼を言いはくあが親指を立てると、後方から援護を行ったテイ(ja3138)は少し赤面して頭を掻くのだった。
 1体の処理を終えた黒百合が追撃に加わることで生き残りは完全に逃げ場を失い、水路の塵と化すのだった。

●ヒーローのお仕事
 水路を中心とした激しい攻防が各所で展開される中、淡々と仕事に励む一団がいた。
 コニー・アシュバートン(ja0710)は汚れるのを厭わずに小さなゴミを石垣から回収し、同じ部に属する大炊御門菫(ja0436)も仁良井叶伊(ja0618)も口を開かず黙々と清掃作業を行っている。
 会話はない。しかし重苦しい雰囲気はなく、相互の信頼によって生まれる心地よい雰囲気があった。
 重量物の移動や回収は大柄な叶伊が行い、細かい部分はコニーが、その中間は菫が担当することで互いの負担を軽減しつつ効率よく仕事を進めていく。
 しかし彼等の努力をあざ笑うようにして水路の奥から異形が現れる。
 彼等も油断していた訳ではないが、穴を掘って地中から現れたそれは奇襲にほぼ成功しかけていた。
「御免!」
 水面から顔を出しかけたサーバントを、綺麗に揃えられた2つの足裏が蹂躙する。
「某、レオナルド山田! 水路掃除完遂の任を受け参った者! いざ、お相手仕る!!」
 敵を散々踏みにじり、忍者装束のレオナルド・山田(ja0038)が飛び上がる。
 その後を追おうとしたサーバントだが、レオナルドは宙で攻撃を受け流し、その反動を利用して岸に危なげなく着地する。
「ニンジャインパクト!」
 追ってきたサーバントに絶妙のタイミングで蹴りを繰り出し、したたかな衝撃を与えて吹き飛ばす。
 敵は向かい岸に打ち付けられ、朦朧とした意識で立ち上がる。だがそのときには戦闘準備を終えた雪ノ下・正太郎(ja0343)達総合格闘部に包囲されていたのだった。

●お掃除完了
 総合格闘部の白兵攻撃が炸裂していた頃、秋月玄太郎(ja3789)は水路から引き上げたゴミを袋の中に詰め込む作業を行っていた。
「ゴミがすごかったな」
 小等部に入ったばかりの堀川瑠佳(ja5358)から腐った木材を受け取り、適当に砕きながら袋に入れる。
「全くでござる」
 瑠佳の口調は時代がかったものだが、その礼儀正しさは一端の男のそれだった。
 彼は無駄口を叩かず黙々と作業を続けていく。そんな少年に玄太郎は好意的な視線を向ける。
 秋月玄太郎は冷静そうな雰囲気を持ってはいるものの案外気が短い。しかし若くはあっても心身を厳しく律している者を評価するだけの度量は持っていた。
「向こうのゴミ掃除も終わったようだし、俺達の担当分は終了だ。瑠佳はそれを頼む」
 玄太郎は5つあるうちの4つのゴミ袋を抱え上げると、瑠佳に反論を許さず運び出していった。

●取り戻された平和
 一時は騒然とした美観地区は、久遠ヶ原学園生達の活躍により平穏を取り戻していた。
 人々は活躍した若者達に感謝を述べ、そのうちの幾人かは即物的に感謝を伝えようとしていた。
「あのあの! リィがお願いしたのは蕎麦粉を使ったお菓子だけなののですがっ」
 オルゴールの美術館で目と耳を楽しませてから寄った茶屋で、エヴェリーン・フォングラネルト(ja1165)は大量の和菓子に囲まれていた。
 餡を薄い皮で覆った饅頭や、餅をカステラ風の生地で包んだものなど、洒脱さは足りないかもしれないが異様に食欲をそそるものばかり並んでいる。
「ここも含めた近くの店からの差し入れですって。ここでお弁当を食べても良いそうだから、一緒にいただいてしまいましょう?」
 新名明日美(ja0222)が上品かつ穏やかに微笑む。
「でも」
 エヴェリーンの視線はお菓子の群に固定されてはいるが、素直にうなずくことに抵抗を感じていた。
「リィさん。相手の感謝の気持ちを受け取るのも大事なことだよ」
 鳳・美空(ja2032)がおずおずと、しかし心からの言葉をエヴェリーンに贈る。
「うん…はい。そうですね! 一杯おいしくいただきます!」
 自らが慕う相手に優しく諭され、エヴェリーンは元気にうなずいた。
「じゃあいただきましょう。足りるようお重で持ってきたのだけど、多かったかしら?」
 重厚な漆塗りの箱を開けると、鮮やかな色の卵焼きやコミカルな形の腸詰め、緑のエンドウが鮮やかな煮物まで華やかに飾られていた。
「あはは…。私はちょっと地味かも」
 明日美がおずおずとバスケットを開けたとき、美空は軽く目を見開き、エヴェリーンが輝くような笑顔を浮かべる。1度ホテルに戻った際に差し入れられた野菜と魚介でつくられたサンドウィッチは、少女達の食欲を強烈に刺激していた。
 重労働の後の体は栄養を強く要求しており、3人が楽しくおしゃべりをする間に全ての弁当と甘味が美味しくいただかれていた。

●美しいもの
「きれいな街並だね…。水路に柳…、雰囲気あるなあ」
 守り切った満足感を味わいながら、日比野亜絽波(ja4259)はカメラのシャッターを切りつつゆっくりと通りを歩いていた。
「おや?」
 向かいから糸魚小舟(ja4477)が歩いてきているのに気付き、亜絽波は挨拶代わりにシャッターを切った。
「日比野、さん?」
 小舟が立ち止まり礼をする。亜絽波も返事をしようとするが、小舟の様子に気付いてわずかに口ごもる。
「ひょっとしたあの美術館に行ってきたのかな?」
「はい…」
 天使などを題材にした絵が飾られた美術館に行った帰りの彼女は、どこか気落ちしているようだった。
「そうか…」
 天魔に様々なものを奪われた者は多い。絵と天魔におそらく直接の関係はないとはいえ、完全に割り切れるものではないのかもしれない。
 亜絽波はそれ以上何も言わず、小舟にそっと寄り添った。
「倉敷、素敵な街…ですね」
 風に揺れる柳を見上げる小舟の顔からは、先程まであった憂い薄くなっていた。
「失礼。そのパンフレットはどこのものか教えて欲しい」
 掃除の後始末を終えてから、衛生のためホテルでシャワーを浴びてきた玄太郎がたずねる。
「はい。これは…」
 胸に抱えていたパンフレットを開き、県庁所在地でもない地方都市にしてはかなり充実した品揃えの美術館の名をあげる。
「礼を言う」
 眼鏡を直してから礼を述べ、玄太郎は颯爽と立ち去るのだった。

●食事
 大部屋に大量に運び込まれてきたのは、よくある宴会用お膳だけでは無かった。
「女将、これは」
 綺麗な姿勢で正座をした小紅がたずねると、近代的な内装のホテルで純和風の着物を見事に着こなした女性が柔らかに答える。
「勝手ながら、地元の方々の差し入れを調理させていただきました」
 次々に並べられていく大皿に載っているのは刺身だ。
 ひとつひとつがかなり大きく、女生徒の場合一口で食べられないかもしれない。鮮度も素晴らしく、柔らかな照明を艶めかしく反射していた。
「おかわりも十分に用意してございます。お楽しみ下さいませ」
 女性が退室すると、学園生達は嬉々として箸を伸ばし始める。
「まあっ」
 フランシスカ・フランクリン(ja0163)は期待以上だったそれに舌鼓を打つ。
 瀬戸内海で釣り上げて即締められてから2時間以内に膳に並んだ刺身は、舌の上で旨みと良質の油が弾けるようだ。
 白いご飯も素晴らしい。箸でつまむと適度な弾力があり、口に含むとふわりと甘い香りが鼻孔と舌を刺激する。米だけでいくらでも入りそうだ。
 そう感じたのはフランシスカだけではないらしく、おかわり用の飯が入ったお櫃は次々に空になり、補充が次から次へと運び込まれている。
 瑠佳も黙々と箸を進めているが、あまりのおいしさに箸の動きがほんのわずかにいつもより早くなってしまっていた。
「星三つ…! あ、これは四つかな!? 全部美味しい系だ〜」
 元気よく頬張りながら格付けしていたナニガシは、厳選された差し入れの質に圧倒されて格付けを断念して食事に専念し始める。
「あ、あの、フランシスカさん!」
 美味な食事で心と体が満たされ、皆の口数も多くなり賑やかになった頃、真っ赤な顔で正太郎が立ち上がり想い人のもとへ向かう。
 緊張で一杯一杯の正太郎とは逆に、フランシスカは凪いだ海のように平静を保ったまま箸を置いた。
「あなたのことだからアルコールに流されてのことだとは分かっています。でも、私は素面のときに口にして欲しいですわ」
 真正面から受け止めた上で真摯に返すフランシスカに、正太郎は圧倒されふらりとよろける。
「紛らわしい器に入っていたからな。大丈夫か?」
 静かに杯を傾けていた紫宮翔(ja4767)が立ち上がり、そっと正太郎を支えてやる。
「良い酒過ぎるのも考え物だな。味が良くて水のように飲めるから間違ったときに気づきづらい」
 正太郎の膳に紛れ込んでいた酒に気づき、翔は小さくため息をついた。
「ああ、しばらく寝ていろ。脈はありそうなんだから焦ることはないだろう」
 年長者の威厳で黙らせながら、正太郎を寝床を寝床に運んでいくのだった。

●麻雀伝説
「ふふっ、見た目で油断しない方が良いですよ」
 慣れた手つきで牌を並べるはくあの対面で、萬木直は生真面目な表情のまま手牌の確認を行っていた。
「油断できる訳がありません。…しかしどういう打ち方ですか」
 彼は頭痛に襲われていた。
 うつらうつらと船を漕ぎながら打っているテイはまだいい。最大の問題は、特殊効果が幻視できるほど気合いの入りまくった雪那だ。
「それは、1万ですね」
 直が切ろうとした牌を、場に出される前の時点で当ててしまう。
 いかさま抜きで牌の状態を記憶した上で裏から見て牌を特定してしまう雪那は、麻雀漫画を読んだことがあるだけの初心者未満である。
 真に優れた者が全力を出すと架空の技も実現できてしまう。その実例がここにあった。
「イーワンと読みます」
「なるほど。はじめて知りました」
 短時間で箱割れに追い込まれた直は、掛け金代わりのお菓子を差し出しながら頭を抱える。
「ああ、いや…ありがとう」
 テイがそっと差し出す焼き菓子を受け取り、直は困ったように微笑むのだった。

●ピローファイト!
「枕投げだぁ?」
 雀卓を囲んでいた陸刀が呆れたように声をあげる。
「俺の力を考えろ。軽い枕でも派手に壊しちまうぞ」
 喧嘩も派手な遊びもどんと来いだが、必要もない被害を出すのは趣味ではない。
「それなら問題有りませんわ」
 今回のピローファイトを企画したうちの1人であるフランシスカが、よく手入れされた縦ロールをきらめかせながら断言する。
「説明しましょう。これが今日の報酬。こちらは修理の見積書となります」
 叶伊が通帳と見積書複数を広げる。
 このときのために各所との折衝と重ね、彼は全ての準備を完全に整えることに成功していた。
 学生達である撃退士が体を張って観光地を守ったことに恩を感じているらしく、通常なら困難な交渉で相手が喜んでこちらの要求をのんでくれたのだ。会場の準備も万全で、いつの間にか壊れ易いものは運び出され、一部には施設を保護するためのマットが張られていた。
 ありがたいことですと笑顔で語る叶伊を見た者の多くは、今後の展開を悟りそそくさと撤退を開始する。
「待てお前等! 他の客がいるホテルでそんなことを…」
 同じ部に属する菫が止めようとするが、陸刀を初めとする体力が有り余った者達は早速ウォーミングアップを始めていた。
「本ファイトの主催は我々総格部です。存分にお楽しみ下さい」
「えーい」
 開幕を告げたのはコニーが放った一投。
 ぱふ、と気の抜ける音と共に菫の頬にまくらが命中した瞬間、大量の枕が轟音と共に飛び交い始めた。
 自重しない攻撃が敵味方を問わず炸裂した結果、ほんの数分で全員床の上に転がる事になるのであった。

●帰路
 2日目以降、誰にとっても幸いなことにサーバントの襲撃は無かった。
 大勢の地元民に見送られる撃退士達は、連日の労働に疲れてはいたがとても良い顔をしていたらしい。



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