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最古泉おばけ道中 タグ:【有馬】  (周利 芽乃香)

●序〜最古泉・有馬温泉郷〜
 兵庫県神戸市。
 横浜・長崎と並んで異国情緒溢れる港町のイメージが強い観光名所の神戸だが、それは海に面した南方の話。北方は山に囲まれた長閑な地方都市である。

 今回、久遠ヶ原学園の生徒達がオリエンテーション旅行で向かった場所は、神戸は北方の山奥にある関西の奥座敷、日本三古湯のひとつでもある有馬温泉郷だ。
 ツアー会社が学園の為に用意したのは気の張らない観光ホテルで、銀泉掛け流しの大浴場のほか岩磐浴や打たせ湯なども完備した施設だった。
 食べ盛りの生徒達を迎えうつ食のもてなしは、山海共に縁深い場所ならではの新鮮な珍味の鉄板焼き。隣接する三田市で飼育されている神戸牛(三田牛とも)や瀬戸内海で獲れた魚や新鮮な牡蠣などを好きなだけ焼いて食べる形式で、皆満足するまで食べられたに違いない。
 洋間という仕様上、生憎大広間で雑魚寝やら枕投げ大会はできなかったが、旅行の本番は2日目とも言えた。
 何せ宿泊翌日には街を挙げての一大イベントが生徒達を待っていたのだから――

●最古泉おばけ道中
 さて、この地には一風変わったお遊びが伝えられている。
 冬から春へ、季節の分け目に生じる邪気は、眷属に扮して遣り過ごしましょう――という、今風に説明すればハロウィンのような風習である。

「‥‥てな訳で、昔の人はエラかったと思いますねん。鬼が怖いから鬼になったろなんて発想、斬新や思いませんか?」
 若手の噺家だろうか、ステージ上でマイクを握る男は有馬に伝わる風習を説明して「現代はハロウィンもコスプレも認知されとりますけど」と結んだ。
 ステージに立つ男の後ろには『有馬・おばけコンテスト』の垂れ幕が下がっている。かつて花街の遊びになっていた節分の仮装は、昨今の街興しの時流もあって、一般のコスプレイヤーも参加可能な一大イベントになっていた。
「皆さんも、そこらで鬼さんらに会わはったんちゃいますか? ここにもおまっせ、選りすぐりの鬼さんらが! ほな、コンテスト始めましょか!」
 拍手の中、腰を低くして下がってゆく司会役の男に代わり、優しげな少女が現れた。
 和装に銀色のウィッグ、薄化粧が仄かな色気を感じさせる。すっ――と伏せていた瞳を開ければ、女の情念を思わせる朱の瞳が現れた。
 実は権現堂 幸桜(ja3264)の女装である。カラーコンタクトで瞳の色まで変えた本格的なコスプレに初っ端から大きく湧く観客達だが、この美少女が実は少年だとは思いもしないだろう。
「うん、完璧だわ」
 観客の反応に気を良くして、くるりと舞ってみせる。袖の袂から紙吹雪が舞い散った。一見雪女のようにも見えるが、幸桜曰く、つらら女の仮装らしい。
 幸桜が観客を魅了している中へ勇壮な鬼達が乱入した。現れたのは襤褸を着た三本角の鬼と三つ目の烏天狗、だが――
「俺は天狗の類でも狐狸の類でもない! 妖怪を統べる魔王だ!」
 持参の木槌を大きく振り回して宣言する、獅子堂虎鉄(ja1375)。その迫力や観客を気圧すに充分で、決して大柄ではないはず虎鉄の姿が大きく見えた。
「酒呑童子様のお通りだ!酒を渡せば暴れないでやるぜ!」
 舞台から身を乗り出した双城 燈真(ja3216)が観客達に絡みサービス、どうやら今出ている人格は『翔也』のようだ。演出上の事とて、観客達は皆大盛り上がりだ。
「さすが山本五郎左衛門様、このつらら女、付いて行きますよ〜」
 烏天狗にそう言って、幸桜がくるりと舞った。木槌を用いて剣舞を始めた虎鉄に合わせ、くるりくるりと舞をさす。その度に袂から雪を模した紙吹雪が儚げに散り――
「あれ? 邪魔しちゃったかな‥‥」
 調子付き過ぎて辺りは大吹雪に。
 思わず固まる幸桜に、観客席で鈴原弥彦(ja1786)は気が気でない。コンテストには参加しなかったが侍の仮装で友人達を見守っている。
「皆! 頑張れ!」
 頭に付けていた鬼の面を、いつしか手に握って応援していた。
 弥彦の声が聞こえたか聞こえなかったか――ステージ上の面々はアドリブで動き始める。
「音に聞く山本五郎左衛門はお前か!」
 焦る幸桜と虎鉄の間に割り込んで、翔也は上手く紙吹雪を散らし広げた。手合わせ願おうとばかりに金棒を振り上げて剣舞に混ざる。
 勇壮に、大胆に――コンテストの枠を超えて、舞台は大きく盛り上がった。

(へぇ、話には聞いていたが‥‥これはなかなか)
 熱気溢れるコスプレコンテストの観客席周辺を二足歩行の馬がメモを片手に歩いていた。
「‥‥ああ、失礼、お気になさらず」
 全身茶色のウェットスーツに馬の被り物をした二足歩行馬は金鞍 馬頭鬼(ja2735)、温泉街を意識してか黒の羽織袴を着用した正装状態だ。
 そのままでも充分コンテスト参加のインパクト大な馬頭鬼であったが、彼はステージに上がる気はなかった。
 素人も多く参加するこのイベント、彼の目的は自身のコスプレネタに磨きを掛ける為の情報収集――所謂ネタ集めだ。
(刺又か‥‥相棒を探して獄卒に『なる』のも面白そうだな)
 沙 悟浄に扮した参加者が持っていた刺又状態の手作り杖を見て、己の名に因む地獄の獄卒を思い描く。参加者の扮装の完成度は様々だったが、興味を持って見てみればネタは沢山見つかりそうだった。
「干支‥‥じゃあないのね?」
 突然声を掛けられて振り返ると、少々大柄な芸妓が立っていた。緊張しているのか声がうわずっている――というか、野郎の女装か!
「おぉ、良く出来てますねぇー!」
 馬頭鬼は感嘆の声を上げた。この女装男、声を出さなければ絶対に騙し通せるに違いない。
「ああ、サンキュー☆ 気合入れて全身脱毛した甲斐があったぜ」
 脱毛+温泉美肌+完璧メイクの村雨 紫狼(ja5376)、コンテストにエントリー済なのだと言う。応援してくれよなと手を振って舞台袖へと消えて行った紫狼、暫くして女性になりきって現れた。
「エントリーナンバー76番、紫江留よん☆ さぁあたしの歌を聴けーっ!!」
 紫江留こと紫狼のアイドルソング熱唱アピールタイムが始まった!

 コンテスト開催中も、仮装姿で練り歩く者は多い。
「炭酸煎餅を買ったのは‥‥こんな顔だったかい?」
 小柄な少女が、ぶかぶかの制服の袖で顔をつるりと撫でて――ケケケと笑った。
 のっぺらぼうのマスクひとつでも充分人を驚かせるものだ。
 すかさず「とりっくおあとりーと♪」ハロウィン流の決まり文句を続けた神守 照咲(ja4594)、言うだけならいいじゃんと明るく笑う。観光客のノリの良さに土産物屋の売り子も気前良く瓦煎餅をオマケで付けてくれた。
 温泉マークの焼印が押された固めの煎餅を齧りながら、行き先決めずのぶらり歩きを決め込む。コスプレコンテストが開催されているようだけど、気楽な行列参加も良いものだ。
 冬場の仮装と言えばこれしか思いつかなかったが――と、宇高 大智(ja4262)は、なまはげの扮装で通りを歩く。しかしお決まりの「悪ぃ子はいねが〜」の脅し文句は封印だ。
(子供をおどかす事はしたくないもんな。格好だけ格好だけ)
 気のいいなまはげは焼餅の店先で立ち止まると何個か買い込んで、熱々を頬張りながら行列を続けた。
 立ち寄り湯を巡りながら行列に参加する者もいる。
「ぷ〜さん、泳ぎがとっても上手だったのです」
 昨夜ホテルの大浴場で、こっそりひよこのぷ〜さんを泳がせてみたクリーメル(ja2297)がご機嫌で話すのを、小鳥遊利里(ja1227)はにこにこと聞いていた。
 小さい子達が3人一緒にそぞろ歩いていた。小等部の利里とクリーメル、そして高等部所属だが見た目小等部の彼女らと上背の変わらない七尾 みつね(ja0616)だ。みつねは妖狐の扮装をしており、仮装ではなかったがクリーメルも和装で歩いていた。
「ねえ、今度は金泉の所に行ってみない?」
 ガイドブックを繰って、浴場の開放をしている旅館を探すみつね。色んな泉質の湯に浸かり、クラブの友人達と洗いっこして――コスプレコンテストが終わった頃にコハルちゃんこと幸桜を誘って混浴もしてみよう。
 はにかみながら、利里もまた楽しげにクリーメルやみつねの話に耳を傾けていた。時折カメラを手にしては、二人とぷ〜さんを被写体に旅の記念を残してゆく。
「鼓ヶ滝はどんな物なのか、見てみたいかもです」
 今はその名の由来となった音は奏でなくなったと言うが、滝の周囲は緑豊かな公園だとか。
 温泉を楽しんで、散策を楽しんで、買い物を楽しんで――増えてゆく、友たちとの思い出。
 飄々と空亡 晦冥(ja1947)、非常に楽しそうに仮装の群れを眺めていた。
「いいネェ。妖怪好きとして、この上なく楽しいお祭りダヨ」
 お化けの仮装と言えば西洋のハロウィンを連想しがちだが、こうした和風ハロウィンも悪くない。自称妖怪オタクとしては心が弾むというものだ。
「なまはげにのっぺらぼう、あれは馬頭鬼かナ‥‥あれ、名前まんまカネ?」
 並んで眺めるフラッペ・ブルーハワイ(ja0022)へと言うよりは、仮装の元ネタ全問正解を目指して、あれは何、これは某と仮装妖怪の名を当ててゆく。
「実に楽しいネェ、是非とも、百鬼夜行をしたいネェ」
 心底心地良さ気に場の空気を楽しみながら、晦冥は独りごちた。
 とは言え、晦冥もフラッペも仮装はしていなくて、見物人、傍観者、第三者的立場で眺めている。気楽な立場がまた良かった。
 ――と、ついつい没頭していて忘れるところだった。
「ああ、お土産も買わなきャネ」
 自称不審者の妖怪オタクは、愛しい人へのお土産探して視線を行列から土産物屋へと移す。さて、何を買おうか。
 晦冥が動き始めると、フラッペもまた黙って後ろに付いて行く。

 暫し後――
 コスプレコンテストを終えた出場者達が、仮装のまま足湯を楽しんでいた。
「こういうのも、良いもんだな‥‥」
 のんびりと侍が――弥彦が言った。
 優勝は紫江留が持って行ってしまったが、一閃組の面々はイベントを盛り上げたという事で特別賞を貰う事ができた。
「おいら的には幸桜の女装はナシだが、紫江留殿は凄かったぞ」
 何せ正真正銘の成人男性が完璧に女性になり切っていたのだ。一枚上手と言わざるを得なかった。
 そんな事を話しながら、虎鉄はさっきから額をごしごし擦っている。
「あ、油性マジック‥‥」
 第三の目を描いた画材が油性ペンだった事を思い出して絶句していると、幸桜がメイクを落とすクレンジングで落とせるよとアドバイス。
「良かったね、虎鉄くん」
 翔也から切り替わった燈真の言葉に皆和やかな笑い声を立てた。

●湯の街めぐり
 温泉街に於いて、一番風呂は何時頃になるだろう。
 風呂は熱いに限る主義の池田 弘子(ja0295)は、自由行動開始早々、一番風呂を目指して立ち寄り湯を回っていた。
 本当は白髭魔法使いに扮してみたかったのだけれど、伝統ある花街に洋物は合わないのではと思い留まったのだ。その代わりと言っては何だが、熱い一番風呂を求めて気ぜわしく動き回っていた。
(家のお風呂と同じで、一番風呂が一番熱いに決まってるもの!)
 ――というのが、弘子の言い分である。

 温泉浴衣に手拭持って、街を練り歩くのも温泉街ならでは。
(まぁ、こーいう雰囲気は慣れてないからねぇ‥‥わくわくするよ♪)
 同行の従妹が疲れ過ぎないように気を配って、無理をしない程度に温泉巡り。
 そろそろ疲れて来た辺りで切り上げて、甘味処へ入ったところだ。
 注文を待つ間、リスティア・シェイド(ja0496)は響 恋(ja3171)に何度目かの問いかけをした。
「レンちゃん楽しんでる?」
「はい」
 ならいい、とリスティアは恋に笑顔を見せた。
 イベント参加も心惹かれたけれど、彼女には従妹の方が大切だった。
(コスプレとかしたかったけどねぇ、レンちゃん無理だし一緒に行動しないと心配だし)
 それで結局、温泉巡りと相成ったのだったが。
「しっかし‥‥レンちゃんスタイル良いなぁ、身内だから許せるけどねぇ」
「おねぇちゃん‥‥それは言わないで‥‥」
 長身かつ均整の取れた羨ましい体型の恋本人は、消え入りそうに小さな声で恥ずかしがるけれど、もっと自信を持てば良いのにと思う。
「レンちゃんは本当にお茶だけでいいの?」
「はい」
 汁粉を注文したリスティアに対して、恋はお茶だけで充分だと言う。
 熱めのほうじ茶をゆっくりと口へ運び、恋は敬愛する従姉と共に居られるゆったりした幸せを噛み締めていた。
 そんな様子をリスティアは眺めて思う。
 恋が満足ならそれでいいか。おどおど控えめなのも恋らしさだよね。心配性の従姉は汁粉の餅を噛みながら、そんな事を考えた。

 揃いの温泉浴衣の一団が温泉街をゆく。洋館【Athena】の面々だ。
「わぁ‥‥色んな所から湯気出てる‥‥!」
「なんか、不思議な光景だよな〜」
 湯の街独特の雰囲気にマリア=クリスファー(ja5310)が目を輝かせると、リオン=アルバート(ja5307)が頷いた。温泉浴衣はともかくとして、仮装行列と場を同じくしている辺りが何とも不思議だ。
「ふふ、何だか新鮮よね」
 きめ細かな頬をほんのり染めて微笑むマリアの姿が愛らしい。つい釘付けになりそうになるのをリオンは懸命に堪えて、通りの店へ目を向けた。
「その‥‥何か食べたいもの、あるか?」
 店々を眺める振りして、さりげなく、ごくさりげなく尋ねてみる。リオンにとっては懸命な誘いだ。
「えと、温泉卵とか温泉饅頭‥‥かな‥‥っ」
「えーと‥‥温泉饅頭、な‥‥まあ、その‥‥俺が奢る‥‥」
 はにかみ赤面したマリアがこの上なく愛らしい。リオンは無事マリアを誘うのに成功した!
 ――と思いきや、年長者の茶々が入る。
「リオンは何コソコソしてるのかな〜? ホント、若いよねぇー?」
「いや〜、若いね〜」
 目ざとく見つけた紫音=コトニー(ja5322)と、ニヤニヤ笑う村沢 昴(ja5311)にからかわれたリオン、慌ててマリアから飛びのいた。
「うるせーなっ! 別に良いだろっ さっさと風呂に入って来いよ!」
「そ〜だね〜 瑠依〜 是非とも俺と一緒に入ろうよ〜 勿論、混浴で!」
 睨みつけられても堪えない昴は恋人――多分恋人だ、彼女の兄弟達には認められていないけれど――の月岡 瑠依(ja5308)を温泉に誘った。
「は? 昴、いきなり何言って‥‥」
「うちの妹と一緒に入浴なんて、300年早いで〜」
 戸惑う瑠依を他所にして、全力で阻止を図るは瑠依の兄。月岡 華龍(ja5306)が力任せに昴を引きずって男湯へ連れて行こうとする。散歩中の犬のようにそれを拒みながら昴は吠えた。
「俺は瑠依と入りたいんだ〜 義兄さんや義弟でなくて〜!」
「あんた‥‥煩い。俺の兄さんは‥‥龍兄だけ」
「この害虫っ、瑠依姉に近付くんじゃないわよっ!」
 ぼそり義弟こと月岡 朱華(ja5309)に拒否られた。おまけに瑠依を姉と慕う四条 那耶(ja5314)が昴に蹴りを入れる。
「瑠依姉は、私と一緒に温泉入るの! 千歳さんは、何か食べたいものあります?」
 大好きな人達と一緒で華やぐ那耶だ。食べたいものを問われて、伏見 千歳(ja5305)は柔らかな微笑を浮かべた。
「ん?食べたい物?僕は那耶が食べたい物が良いな」
 いつものメンバーが集まると、いつものように賑やかになる。千歳も少し困っているようだとユウリ=アルバート(ja5312)は、さりげなく話題を変えた。
「千歳、此処で休憩していくか?」
「あ‥‥そうだね。ユウリ、紫音。2人はお酒を飲むんじゃない? お土産屋さんでお酒買って温泉行こうか?」
 千歳の提案とあらば一気に纏まる部員達だ。紫音はにっこり言った。フォローに動くユウリに否やはない。
「あ。良いねー 俺、ワインが良いなー?」
「それ、良いな。確かここの販売店に売ってたな。風呂の中で飲めるか聞いてくる」
 てきぱき動き出す面々に紛れて、マリアは赤面しつつ、そっとリオンの浴衣を引っ張った。
「リオン‥‥一緒に‥‥その‥‥御揃いのストラップ‥‥どうかな‥‥っ?」
 二人が土産物屋へ向かったのを微笑で見送り、千歳は朱華に何が食べたいかを尋ねた。
「ん‥‥美味しいものいっぱい‥‥甘いものもいっぱい食べたいな‥‥」
「色んなお店を回れるよう、食べ過ぎない程度にしておこうか」
 満腹まで食べると5〜6人前は軽く平らげてしまう朱華だから、やんわりと誘導し、さすがに落ち込んでいたお調子者にも目を向ける。尤もそちらは適任がいたが。
「そんなに落ち込んでどうするの‥‥一緒に温泉巡りして、一緒に入れる所探さなきゃでしょう?」
「そ〜だよな!」
 瑠依に手を差し伸べられて、途端に浮上する昴。恋人の単純明朗さに呆れつつ、瑠依は釘を刺しておいた。
「‥‥けど‥‥変な事したら‥‥殴るわよ? ‥‥本気で」

 気の置けない仲間と賑やかに旅を楽しむのもあれば、ぶらり気侭に独り旅を満喫するのも旅の楽しみ方だ。
 一式 光(ja5418)は、ホテルの従業員に温泉情報を聞き込んで穴場の浴場を梯子している。似たような名前の場所が多くて少し迷ったりもしたけれど、人の少ない湯壷に小麦色の身体を沈めると苦労が溶けてゆくような気がした。
 マキナ・ベルヴェルク(ja0067)は、お化け行列の光景をひとしきり眺めた後、手頃な浴場施設に入って湯を堪能する。
 あまり人がいない穴場を探すように湯を楽しむマキナは温泉浴衣姿、それは立ち寄り湯を梯子するつもりだという事を表していたが、同時に己の右腕を他人に見られたくないのと独りの方が気楽というのもあって、他の生徒達とは被らないよう行動していたのだ。
 底の見えない金の湯に身を沈めると、マキナの右肩も湯に隠れた。
「おや、学生さんは独りかい」
 話しかけて来た老婆は近所に住んでい
て術後のリハビリに通っているのだとか。話好きのようでひとしきり湯の効能を講釈垂れた後、先に上がって行った。
 湯は不思議だ。
 浸かった時に感じる身体の開放感、疲労感の緩和は勿論だが、どこか心も開放的になる気がする。
 これから激化するであろう天魔との戦いに備えて英気を養った久遠ヶ原学園の新入生達は、それぞれの思い出を胸に学園へ戻ったのだった。



新潟『雪国浪漫』ツアー
美観地区で労働の汗を流そう
奈良県、歴史堪能(?)旅行
粉雪のスイーツ王国
モデル体験ツアー〜らららガーデン♪〜
大阪日本橋 〜電気街ツアー
東京もふランドバスツアー
島根一畑電車ゆらり旅
長野渋温泉巡り
のんびりのどかに、花巻温泉郷
冬の南国でのびのびと
最古泉おばけ道中
闇に潜む罠‥‥?






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