――沢山の戦があった。
悲憤を抱き戦場を駆けぬける者。
惨劇を阻む為、己の身命すら賭して抗う者。
再戦の誓いを果たすべく刃を研ぐ者。
奪われた故郷を取り戻さんと馳せ参じる者。
誰もが己の心を胸に「今日」を生き、明日を目指す。
世界の何処かでは今もまた新しい悲劇が生まれ、人々が絶望の淵に追い込まれている。
久遠ヶ原学園の教室に張り出される数多の依頼もまた、同様に。
けれど全ての時間をただ戦いの中だけに置き続けるのは難しい。
肉体の負傷。
蓄積された疲労。
心に負わされた深い傷。
その悲しい絶望の数々。
時には無理やりにでも休まなくてはならないことがある――
――これはそんな、戦士達の休息の一ページ。
●\温泉じゃー!/
「さて、皆、水着の準備は万全だな? ようこそ! スパ・リゾートランドへ」
巨大なスライダーの前、参加者全員に配った説明書と同じ物を手に、鎹 雅(jz0140)は競泳用水着姿で立つ。
外はそろそろ風が寒くなってくる季節だが、円形ドームの屋内型施設は冷暖房完備。一年を通して常時同じ気温が保たれている。
「温泉、温泉プール、および宿泊施設は、本日から明日朝まで完全貸切となっている。器物破損しない限りはっちゃけて大丈夫だぞ」
プールの温水も疲労回復効果のある温泉水とのこと。
水着、ビート版、浮き輪、ボートと、貸し出しも無料で行われ、施設内の食費も含め、費用は全て学園持ちとなっていた。
「今から明日の朝まで自由時間だ。プールの終了は、南の巨大テーマプール以外夕方五時までだ。温泉は朝三時〜四時の一時間は清掃の為入れないが、それ以外の二十三時間はどの時間でも入れるそうだ」
説明を聞きながら、生徒達は手元の説明書に視線を落とす。
描かれた巨大な楕円形ドーム状の見取り図の中、東西南北に分かれたエリアはそれぞれ特徴のある施設が揃っている。
ドーム中央、一階は休憩室を兼ねたオープンレストラン&バー。二階〜三階は宿泊施設だ。
「集合は明日の朝、八時。集合一時間前に久遠ヶ原学園の校歌が全館放送で流れるから、それを合図にしてくれ。――では、解散!」
号令とともに生徒達が思い思いの場所へと移動を始める。
新たな一日が始まろうとしていた。
温泉かつプールレジャー。そしてお泊り会。のんびりまったり遊んだり寛いでいただければ幸いです。
楽しいプレイングをお待ちしています^^
●
「皆さーん、進級おめでとうございま−す♪」
先生の明るい声が、大講堂に響いた。
「昨日の友は今日の敵。彼氏彼女も今日は敵。と、そういうわけで、校舎内で、一晩だけ、『倒し合い』をしてもらいまーす♪」
‥‥なにが「そういうわけ」なの?
ざわっ! 集まった学生に動揺が走る。
周囲から教職員、生徒会、学級委員が、各自に、頭につけるピコピコランプと、武器、すなわち、ピコピコハリセン、及び、ピコピコ銃を配って回る。
どれもV兵器とは全く関係ない、テキヤの射的も真っ青の、ちゃちなおもちゃであった。
先生は、見本として、ピコピコランプを頭につけた。
付属するベルトを、顎の下で、ぱちんと止める。
「このピコピコランプは、ピコピコハリセンで叩かれても、ピコピコ銃で撃たれても、明かりが消える仕組みですー」
先生は、わざと助手先生からの攻撃を食らってみせた。ランプの光がぱっと消える。
「ランプが消えた時点をもって、敗北。つまり、『倒された』ことになりますー」
あーれー、と、わざとらしい悲鳴を上げて、先生は大講堂の舞台に倒れ伏す。
「‥‥とまあ、こんな感じで、一晩、校舎内で『倒し合い』ましょう! 最後までランプを点けたまま、朝6時まで逃げ切った人が、勝ちとなりますー」
先生は身を起こして、ホコリを払い、真面目な顔で、細かい説明に入った。
「ランプは一度消えたら、もう点きません。改造したら、失格ですよー」
「スキルや魔具は、絶対に、使わないでくださいですー」
「『倒し合い』タイムは、大食堂での夕飯が終わる20時から、朝御飯の準備ができる、朝6時までですー」
「大講堂と、体育館は、仮眠所、すなわち安全地帯としますー。ひとり4時間まで、安全に仮眠を取ることが出来ますー。4時間を超えたら、係の先生が、起こして『戦場』に戻らせますー。大講堂が女子用で、体育館は男性用ですよー?」
説明を終え、先生はにっこりとサムズアップした。
「それでは皆さん、ぐっどらっく、なのです〜♪」
この『倒し合い』は、皆様の「プレイング」のみで判定いたします。
<ミッション目的>
朝6時まで、『生き残る』こと。
<ピコピコハリセン(射程1)、ピコピコ銃(射程2)>
一晩しっかりもつだけの電池が入っているおもちゃ。V兵器にあらず。
ハリセンは叩いた瞬間、銃は撃った瞬間にピコピコと音が鳴る。
<ピコピコランプ>
頭に固定するタイプのランプ。
ピコピコハリセンとピコピコ銃にだけ反応する。
一度消えたら、もう点かない仕組み。
暗闇を明るくするほどの光量は無い。
カバーを掛ける等は不正行為と見なし、即脱落とする。
<『倒し合い』ルールまとめ>
・20時〜6時まで。
・場所は学園校舎内。校舎内に存在してもおかしくないものは在るとして構わない。
・体育館(男子用)大講堂(女子用)で、最大4時間まで安全に仮眠OK。
・ピコピコ武器類とピコピコランプの改造禁止。
・召喚を含めた全てのスキル、魔具類は使用禁止。一般装備品も使用禁止。
皆様ごきげんよう。
進級試験大規模作戦第3回のフリーシナリオも、担当させていただくことになりました、神子月弓です。
どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回は、親しき仲にも不満あり、ということで(?)、
夜の校舎内でサバイバルゲームをしていただこうというシナリオです。
OPと解説をしっかりお読みいただいたうえで、ご参加くださいますよう、よろしくお願いいたします。
それでは皆様、ご武運を!
「……無事、完成……だな」
出来上がった72セットのかるたを前に、門木章治(jz0029)は満足げに微笑んだ。
読み札は書道が得意な生徒の達筆で書かれ、絵札の方は絵に自信のある生徒の手によって描かれている。
表面の飾り枠や裏面の意匠デザインは有志数名によるアイデアの結晶だ。
読み札に書かれた文章は、殆どが公募で選ばれた生徒の作品だ。
残念ながら応募のなかった一部の文字については、学園長が独自のセンスで捻り出した素敵な文章が使われているが……その発表は割愛させて頂く。
そして絵札は、畳半分ほどの大きさがある、分厚い鉄板製だ。
紙に描かれた絵を特殊加工で貼り付けた上から、作品保護の為のコーティングが施されている。
ゲームでは、この鉄板絵札を巡る攻防が繰り広げられるのだ。
かなり重いが、撃退士なら抱えて走るくらいは造作もないだろう。
それに、この絵札を持っている間は何故か回避が上がるという謎の効果も付いているし。
ルールは簡単、読み上げられた札の頭文字が描かれた絵札を確保し、本部まで持ち帰れば得点が入る。
ただし、一枚の絵札に何人も殺到すれば、当然そこでは壮絶なバトルが繰り広げられる事になるだろう。
それを勝ち抜き、無事に絵札を確保出来たとしても、本部までの道中では横取りを狙う者がハイエナの様に待ち構えているかもしれない。
しかし、その全てを知恵と勇気と力と運でクリアしてこその撃退士だ。
最終的に、絵札を持ったまま本部前に張られたゴールテープを切った者が勝ちとなる。
それを繰り返すこと、72回。
全てが終わった時点で、無事に持ち帰った札が最も多い者が優勝だ。
「……チーム戦も、考えたんだが……色々と厳しそう、なんでな」
ジスウとか判定とか。
なので、今回はお試しという事もあって個人戦だ。
いずれ回を重ねて問題点が克服出来ればチーム戦になるかもしれないが、まずはこれで。
とは言え、余り勝ち負けに拘る必要はない。
今回はそれぞれに、この久遠ヶ原流のかるたを楽しんで貰えれば、それで良いのだ。
やがて72枚の絵札が久遠ヶ原人口島の各所に配置完了。
いよいよゲーム開始だ。
参加者達はスタート地点となる正門前でアナウンスを待つ。
第一回、久遠ヶ原バトルかるた大会、スタート!!
という訳で、皆で作ったかるたで遊ぼう!
勿論、制作に関わらなかった人の参加も大歓迎です。
こういうものは遊んでもらってナンボですからね!
久遠ヶ原かるた・基本仕様:
清音「あ行〜ら行+わ、を、ん」の48文字
濁音「が行、ざ行、だ行、ば行」の19文字
半濁音「ぱ・ぴ・ぷ・ぺ・ぽ」の5文字
以上の72文字を頭文字にした、読み札・取り札のセットで構成される。
ルール:
基本は読み札の争奪戦。
同じ札を狙うライバルがいなければ、バトルなしで札の確保が可能。
ただしその場合でも、ゴールに向かう道中での襲撃の危険がある。
飛行(ゴール手前100mを除く)、潜行、攻撃、バステ付与等、全てのスキル及び武器の使用可。
ただし遊びの範囲内での使用に限る。
相手に重症を負わせた場合や、悪質な行為に関しては失格等の処分の対象になる。
多少の怪我は、本部に待機した救護班が癒やしてくれる。
また、戦闘により札を破損した場合は得点が認められない。
(少々の傷ならOK。札は金属製とは言え、撃退士の攻撃を防ぐ効果はないので注意)
札を無事な状態で確保したままゴールテープを切れば得点が認められる。
ゴールの場所はグラウンドの隅、本部前。
ただしゴール手前100mの区間は飛行禁止。透過での地中潜航も禁止。
基本的に、一枚読み上げるごとに正門前からの一斉リスタートとなる。
通常は、そこから大体の当たりを付けて札を探す事になる(→プレAα
狙った札の前での待機は不可だが、他の札を探すついでに場所を覚えておく事は可能(→プレAβ
絵札の配置場所:
【庭】学園のグラウンド
【廃】学園内の廃墟
【商】久遠ヶ原商店街(見物人あり。一般の皆様に迷惑をかけない様に!)
プレイング記入法:
自分で札を取りに行くか、横から強奪するかによって異なる。
A.札を取りに行く宣言(二種類あり)
α 狙う札の頭文字をタグで囲んで記入。
例:「あ」の札を狙う→【あ】
β 狙う札と配置場所のセットで記入。
例:学園のグラウンドに置かれた「あ」の札を狙う→【あ庭】
セット記入の場合、予測が当たれば他のPCより2ターン先行して現場に到着する。
ただし外れた場合は他PCより2ターン遅れて到着。
・上記の例
PCα:【あ】 PCβ:【あ庭】 と記入
実際には「あの札が学園のグラウンドに置いてあった」場合→PCβが2T先行
実際には「あの札が久遠ヶ原商店街に置いてあった」場合→PCαが通常通りに到着、PCβは2T遅れ
その後の行動に関しては、札を死守して戦う、ひたすら逃げる等、普通にプレイングを記入して下さい。
B.他PCからの横取りを狙う宣言
プレに【奪】と記入。
後は潜伏場所や奪取方法などを記入して下さい。
特定の相手を狙う場合は、重点関与PCとして指定。
誰でも良い場合は指定なしで構いません。
その他:
取りに行く宣言のあった札に関する行動の全てが描写される保証はありません。
状況により一部割愛、或いは全く描写されない場合がありますので、ご了承下さい。
複数のタグ記入も可。
ただし字数いっぱいにタグだけを羅列してある様な場合は、予測が当たったとしても採用される確率は低くなります。プレイング補正、大事。
また、札の自力確保と奪取、両方行っても構いませんが、両方採用されるとは限りません。
タグを記入せず、狙う札や相手はお任せといったプレイングも可能ですが、参加人数が多い場合は有効な手段ではありません。
現場の状況は島の各所に配置されたスピーカーによって実況中継されます。
スタート地点、庭、廃、商、ゴール前の各ポイントにおける現場リポーターも募集。
読み上げ役の立候補も可能ですが、字数の都合によりリプレイ内での読み上げはありません。
ただし例外として、応募作のなかった文字(【け】【ぬ】【の】【る】【ぐ】【ご】【ざ】【ず】【ぜ】【ぞ】【ぢ】【づ】【ぼ】【ぱ】【ぷ】【ぺ】【ぽ】)の読み札を考え、それを「学園長の作品としして」読み上げる事は可能です。
こちらで想定していない役割も、何かあれば文字数と諸事情の許す限り採用させて頂きます。
お世話になっております、STANZAです。
……解説が、えらい長くなってしまいましたが……
書いてある事を守って頂けるとMSがちょっと楽になって、見落としの可能性も減るよ、という事です。
後はちょっとしたギャンブル気分も味わいつつ、楽しく遊んで頂ければOKですので、はい。
バトルになった場合も殆どプレのノリだけで判定しますので、
レベル30超えのPCさんにレベル1のPCさんが勝利する事も有り得ます。
遊びだし、数字なんて見ないからね!(良いのか
では、よろしくお願いいたします。