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マスター:水音 流
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
形態:
参加人数:25人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/03/07


みんなの思い出



オープニング

 2月14日、昼前。
 とある山奥の洋館。

「あー……かったり」

 ショートの黒髪を揺らしながらコキコキと首を鳴らし、ミニスカメイド衣装の上からコートを羽織った歳若い使用人の女――リョウコ――は、やさぐれた目でぼやく。
 買い出しの荷物を抱えて屋敷の裏門をくぐると、ふと裏口の扉に見慣れないプレートがぶら下がっていた。

 『チョコをちょこっとね☆』と彫られた、大きな板チョコ。

 イラッとして、リョウコはチョコプレートをグーで殴りつける。ぱきょっと小気味の良い音と共に、焦げ茶色の板は真っ二つになった。

 買ってきた食材を置きに厨房へ行くと、待っていたのは金髪ロングの同僚――ミコト――。

「リョーコちゃんおかえり〜」
「ドアにウゼェ板が飾ってあったぞ」
「知ってるわ〜。さっきまでそこで京埜(きょうや)さんが、一所懸命チョコを彫ってたから〜」
「とめろよ」
「いやよ〜。相手するの面倒くさいもの〜」

 にこにこのんびりとした顔で答えるミコト。
 ちなみにリョウコのメイド服と違って、彼女のスカートは足首まであるロングタイプ。いずれも彼女達の主である須賀部 京埜(すがべ きょうや)の趣味によるものだが、リョウコはこのメイド服というものがすこぶる気に入らない。
 正装だのサブカルチャー論争だのは知らないが、街中で目立って恥ずかしい事この上ない。ジャージでいいだろ、といつも思う。

「寒ぃからちょっと風呂入ってくる」

 リョウコはどさりと荷物を置き、ミコトの返事を待たずに浴場へ。
 脱衣所で服を乱雑に脱ぎ捨て、温泉の湯気が立ち込める浴室でシャワーヘッドを手に取って蛇口のレバーを上げる。

 どろり

 出てきたのは、湯煎された液チョコだった――



 京埜の書斎の扉がバァン!と開け放たれ、チョコまみれの体にバスタオルを巻いたリョウコが飛び込んでくる。

「どうしたというのだリョウコ。タオル1枚でうろつくとは破廉恥な奴d」

 ボグシャア!
 京埜の顔面を打ち上げる強烈なアッパー。

 スローモーションで大きく弧を描いて飛び、べしゃあと床に落ちる。

「くっ、ふふ……中々効いたぞ(鼻血だくだく」
「シャワー弄ったのテメーだろ」
「本当は湯船もチョコで満たしたかった」

 ドゴォ!
 再度アッパー。

「食いもん粗末にするんじゃねーよ」
「粗末になどしていない。リョウコに付いたチョコは後で私が美味しく食べr」

 ゴキッ
 首がおかしな方向を向いて、屋敷の主は動かなくなった。



 厨房。
 昼飯の仕込みをするリョウコとミコトの後ろを、うろうろと往復する京埜。

「ほう、昼は焼き鮭か。悪くない。私はチョコっと焦げ目が付いているくらいが好きだ」

 うろうろ。

「米を炊く時はチョコっと水を少なめにして、気持ち固めだと嬉しい」

 うろうろうろ。

「逆に味噌汁はチョコっとお湯を多めにして、薄味にした方g」
「チョコチョコうるせえ」

 げしっ、とリョウコが京埜を踏みつけた。

「リョーコちゃん、京埜さんは構って欲しいのよ〜。ほら〜、今日はバレンタインだから〜」
「あー?」

 露骨に顔を顰めるリョウコ。

「んなもん用意してるわけねーだろ」
「なっ!? メイドにあるまじき怠慢!」
「メイド服着てやってるだけ有り難いと思え」

 顔を踏んでぐりぐり。
 せめてミニスカではなくミコトと同じロングタイプにしろと嘆願した事もあったが、「お前にロングは似合わん。ガーターを外す事も認めん」と却下されたのを思い出して2倍イライラ。

「くっ、仕方がない。ならば先程リョウコの体に付着して床にこぼれた浴室のチョコで我慢するか……」
「んなもんとっくに掃除して燃やしたわ」
「食べ物を粗末にするとは何事か!」
「うるせえ殺すぞ」

 げしげしっ ぐりぐり



 昼過ぎ。
 どうすれば我が家のメイド達からチョコを貰えるか。京埜はその事ばかりを考えていた。
 どうにもうちのメイド達は照れ屋揃いらしい。

「フフッ、そこがまた愛おしいのだが」

 1人ぶつぶつと顎に手を当てて考え込んでいたその時、彼の頭上にぴかりとLED電球が点った――



「バレンタインパーティーを開くことにした」

 久遠ヶ原の学生やその関係者を招待して盛大にチョコを祝おう、と。
 対して集められたメイド達は、主の思いつきに遠慮の無い溜め息と舌打ちを見せる。

「全員で掛かれば、夜までには準備も整うだろう」
「今日は夜から、猛吹雪になるらしいけれど〜」

 頬に手を当てながら、かくりと首を傾げるミコト。
 なにせここは結構な山奥である。

「お客様、帰れなくなっちゃうんじゃないかしら〜」
「心配するな、寝泊りする部屋なら充分余っている。泊りがけの夜通しパーティーだ」

 さあさあ時間が無いぞすぐに取り掛かれと急かされ、メイド達はペッと吐き捨てるようなメンチをくれてから、各自の持ち場へと散っていく。

 これでメイド達にパーティー用のチョコと料理を作らせる流れは整った。大量のチョコ作るのだ、ついでに私にも1つや2つくらい作ってくれるだろう。

「おっと、こうしてはおれん。私も準備に掛からねば」

 京埜は満足げに頷きながら、何かを取りに衣裳部屋へと駆けて行った。


●夜
 急遽ばら撒かれたチョコレートパーティーの招待状を持ち、学園生と斡旋所支部職員、オカマバー『Heaven's Horizon』の面々、BrO運営チーム、他にもいつもの顔がぞろぞろと屋敷を訪れ始める。

 送迎の車を降りて玄関の大扉前まで来ると、そこに1人の男が簡素なパイプ椅子に腰掛けて待っていた。

「よく来たね。パーティーは好きに楽しんで貰って構わないが、実はこの屋敷には1つだけ掟がある」

 男が傍に設置してあった移動式の衣装棚を開くと、中にはメイド服がぎっしり。

「レディは必ずメイド服に着替えてもらわなければならない。先に到着した何人かも、既に着替え終えて中で待っていr」

 メメキャア!
 刹那、裏口から走ってきたミニスカメイドのドロップキックが男の首筋に突き刺さり、枯れ木の砕けるような音が響いた。

「姿が見えねーと思ったら、招待客にまで馬鹿晒してんじゃねーよ」

 ずるずると引きずられていく男をポカンと見送り、一同は別のメイドに案内されて屋敷へと足を踏み入れた。



 豪奢に飾り付けられたエントランスホール。今回の主催者である京埜から開会の挨拶があると聞き、集まった来場者達は吹き抜け作りになった階上を見上げた。
 ホールの照明が消え、スポットライトに照らされて天井から下りてきたのは巨大なプレゼントボックス。どうやら中に京埜が入っているらしい。随分と仰々しい演出である。
 床に降りきったところで、ボックスの四方が分解されるようにパカリと開く。だが――

 出てきたのは、うつ伏せに倒れたままぴくりとも動かない京埜の無残な姿だった。

 照明のスイッチを戻すメイド。ざわざわと騒ぎ立つ会場。

「あー、はいはい、ちょっとごめんなさいよっと」

 その時、来場客の中から2人の男が歩み出てきた。
 非番で訪れていた中年刑事――冨岡――と、若い刑事――安藤――。

「……死んでます」

 京埜の脈を計った安藤が、首を横に振りながら告げる。
 遺体には首を絞められた跡、殴られた痕、謎の白い粉、手掛かり一杯etc しかし、

「じゃ、パーティー始めまーす。ご自由におくつろぎくださーい」

 リョウコが気だるそうに京埜の体を肩に担ぎ、すたすたと裏へ運びながら開会を宣言。

 人混みの中、にやりと口元を歪める黒い影が居た事に、一同はまだ気づいていなかった――……


リプレイ本文

■リプレイ本文
 オペ子達が到着する少し前――



 その屋敷の地下には隠された厨房があった。
 その隠された厨房の扉は、開かずの間として誰にも開ける事は許されなかった。

 だがその日、扉の鍵は誰に気づかれる事も無く開いていた。
 そう。開かずの間が開いていたのだ!

「ふっふっふ……」

 火にくべた鍋の前で大きく口端を吊り上げる。
 煮えたぎる湯に蠢く無数の麺。

 さあ、もうすぐだ。もうすぐ――……



 物陰から覗く白い衣服と、怪獣帽……

 恐怖、悲鳴、疑心暗鬼。
 甘い催しを真っ赤なイチゴソースで染めるべく、暗躍する3つの影。

「さあ…殺戮茶会の始まりですわ」
「己の無知に恐怖するが良い……」
「チュン……(パタパタッ」

 皆様ぞんぶんに味わいくださいませですの――……



 お菓子やご飯が食べ放題のパーティ……そんな健康に悪い催し物を見過ごすわけにはいかない。

「わたしが皆の健康を守るため、ここは心を鬼にして教育的指導を……!(燃」

 孤立した山奥の洋館。連続殺人はお約束。
 誰かが死んだとしても何もおかしくない。むしろ死なないはずがない。常識的に考えて。

「暴食の罪人には死の恐怖を味わってもらいましょう」

 大丈夫です、痩せれば生き返ります。多分――……



「エリスちゃんにチョコをあげるのですぅ〜」

 深森 木葉(jb1711)が一足先に到着すると、玄関の前で京埜が待っていた。
 屋敷の中ではメイド服を云々。

「メイド服を着なければいけないの、です?」

 小さく首を傾げたのは華桜りりか(jb6883)。チョコ色ミニ丈メイド服とフリフリエプロン、それとオーバーニーを選択。
 一方、矢野家の陛下こと矢野 胡桃(ja2617)は、一部を捻じ曲げて解釈。

「とりあえず、メイドの格好をしてチョコレートを食べればいい、のね」

 違う? 違わない、わよ。私がそう決めた、もの。
 流石です陛下。

「チョコレートさえあれば、まぁ、いい、わ」

 クラシカルなメイド服セットを受け取った胡桃に続き、木葉が尋ねる。

「あたしに合う服ありますか? えっと、ロングタイプがいいのです」
「ぬかりはない」

 採寸したかのようにぴったりなサイズのメイド服を差し出す京埜。

「いつか幼女メイドを雇った時の為に備えておいて正解だった」
「メイドインカノン、見参ッ!!」

 そこへカノン産の微少女戦士、歌音 テンペスト(jb5186)が到着。
 メイド服着用と聞き、マイページTOPをメイド服画像でコーディネート。

「その心意気、素晴らしい」
「ありがとう! あたし、この戦いが終わったら結婚するんだ…」

 フラグを踏み抜きながら小躍りして、屋敷の中へ消える。
 次に屋敷を訪れたのは、マリス・レイ(jb8465)と樒 和紗(jb6970)。

「和紗ちゃん和紗ちゃん、メイド服だって…!」

 キャッキャッと大燥ぎで服を受け取るマリス。

「メイド服……」

 そんな彼女を見ながら、和紗は顎に手を当てて考え込む。

 メイド服→メイド→家事が出来る→女子力高い(ぴこーん!

「着ます(真顔」

 デザインも確かめずに京埜の手からメイド服を毟り取ると、マリスと共にいそいそと更衣室へ向かった――……



 オペ子達が到着。
 直後、京埜の首にメイドキックが刺さった。

 引きずられていく京埜を見送る、Rehni Nam(ja5283)。

「えーと……よく分りませんが、パーティを楽しみましょう!」

 客間へ入ると、ツインテミニスカメイドにされた和紗が膝を抱えてぷるぷる縮こまっていた。

「和紗ちゃんかわいー!」

 羞恥に震える和紗を、マリスがきらきらした目で愛でる。
 対して、首を傾げたのはレフニー。

「……メイド服は着る必要ないんですよね?」

 可愛いですし着ても良いんですけど、強制されるのはちょっと……。

「勿論よ〜。お客様だもの〜」
「えっ」

 和紗が反応。
 着るとは言ったけど、着なくていいとは聞いてない。

「やっぱり着替え直します」

 しかし、

「あらあら大変〜、洗濯しちゃったわ〜」

 言いながら和紗の私服を洗濯機に放り込みに行くミコト。問答無用でスイッチぽちり。

「それじゃ〜、パーティーが始まるまでもう少し待っててね〜」



 書斎。

 京埜が1人で開会の挨拶を考えていると、部屋の扉が開いた。
 気づかずに背を向けたままの京埜へと近づき……

「テメーが喋るとまた仕事が増えんだよ。永遠に寝てろ(ドゴォ」

 動かなくなった屋敷の主を放置し、黒髪ショートのメイドはずかずかと書斎を出て行った。
 だがしばらくして、別の人影が入ってくる。

「(※無言のドス黒いオーラ)(バキューン」

 そっと退出。
 しかし、また新たな影がやってくる。

「チェックメイトDEATHの(ボグシャア」

 退室。
 そこへ次の足音。

「きゅぃぁ!(gbgb」

 逃走。
 次の(ry

「これで病気とは永遠に無縁になれます(キュッ」

「害虫は駆除、慈悲はない(ズバァ」

「チーズうめぇ(サラサラ」

「全てあの子の為なんだ(ズドォ」

 最後の人影は、外傷だらけの京埜を抱え上げて静かに書斎を後にする。


 さあ、パーティーの始まりだ。


●し、死んでる!
 ボックスに入った京埜の遺体。
 それとラーメン。

(きっとメイド服強要というセクハラのバチが当たったのです……)

 顔を見合わせる参加者達の中で、こっそり「くっくっくっく」とニヤリ笑いを浮かべるレフニー。

「えっ……? いま殺人事件って……ドッキリ?」

 雫(ja1894)は判断に困って周囲を見回す。

「じゃ、パーティー始めまーす。ご自由におくつろぎくださーい」
「主催者が惨殺されて始まるパーティーとは…斬新だな(ごくり」

 しれっと遺体を担ぐリョウコや、それを見送るディザイア・シーカー(jb5989)。

「まぁああいうキャラ?は次のコマ?になったら復活してるもんだ、大丈夫だろう」

 また、他のメイドは何事も無かったかのように(一目で義理と分かる)チョコを配り歩き、招待客達も好き勝手にパーティーを楽しみ始めている。

「推理ゲーム的な催しかもしれないです」

 ローストビーフを齧りながら、オペ子がごちる。

「なるほど」

 雫は小さく頷くと、同じくお肉もぐもぐ。
 テレビの探偵を想像しながら、にょろ〜んと気楽に推理トーク。

「もしかしたら此処に金田●やコ●ンがいるのかも知れませんね」
「体は子供、頭脳はじっちゃんでしょうか」
「しかし、あの二人は毎回殺人事件にあって一緒に旅行はしたくありませんね」
「あの2人が居なければ誰も死なずに済んだという説は有名です」
「公共施設から出入り禁止にすれば、被害者が出なくなるのではないでしょうか?」
「人権問題で訴訟になって弁護士アニメへ方針変更ですね」

 ふと雫は、オペ子の頭上に居る小次郎がじっとこちらを見ているのに気が付く。
 微動だにせず雫をガン見する猫。

(もしかすると小次郎さんなら……)

 自分にも懐いてくれるかもしれない。
 ドキドキしながら皿を置き、背伸びして小次郎へと手を伸ば――

 猫ぱんちバシィ!

 にょろ〜ん。



 一方、ガチ事件だと断定したのは桜井疾風(jb1213)。
 京埜が倒れていた傍に残されていた謎の白い粉に気が付き、

「(ぺろっ……)これは、青酸カリ!!」

 昏倒。
 そんなもの舐めるから。

 登場から僅か5行にしてメイド達に運ばれていく疾風。

「やりおる……」

 唸るディザイア。
 
「さて、と」

 見送りも程々に、彼は燕尾服の襟を正して会場を見渡す。
 パーティーという事で正装もした。

「チョコや飯食うのもいいが…せっかく豪勢なとこ来てんだ、お嬢に傅いて世話焼きまくってみるか」

 言いながら、エリスを探してホールの中を歩き出した。



 頭から降りた小次郎と雫がじりじり距離を測り合うのを他所に、りりかがオペ子に声を掛ける。

「こんばんわ、です」
「おや華桜さん。こんばんはです」
「お会い出来て嬉しいの……。チョコをどうぞなの、です」

 差し出したのは、小次郎の姿を模した特製チョコ。

「これは見事な小次郎です。ありがとうございます。お返しにオペ子からも手作りチョコをプレゼントです」

 オペ子はメイド服を着たロペ子をつれてくると、その頭部をパカリと開く。
 素材用のチョコをロペ子の開いた頭に放り込み、アイレンズのカメラでりりかと小次郎をスキャン。

 キュイィィン ゴウンゴウン ドガガガ ボシュウゥゥ パカッ

 なんと、かつぎを被って大剣を背負った等身大の小次郎チョコが出てきた。
 どうやら雫も一緒にスキャンしてしまったようだ。

「好きな部位から召し上がれです」
「ありがとうございます…です。んぅ…もったいなくて食べれないの……」
「チョコ次郎さんなら、私も怯えられずに済むんでしょうか……」

 次いでりりかは、用意しておいたチョコを他の参加者達にも手渡していく。

「みなさんに食べて頂けたら嬉しいの……」

 人見知りしつつも、頭に被ったかつぎをぎゅっと握りながら頑張って配り歩く。
 可愛くラッピングされた包み。中身は桜の花弁を模った生チョコ。
 カカオから作った本格派だ。

「大丈夫、変なものは入っていないの」

 でも、カカオ99%のものを作った記憶はあるかもしれないの、です。
 ロシアンルーレットかな?

「これはこれは。ありがたく頂戴するといたしましょう」

 エイルズレトラ マステリオ(ja2224)が、仰々しくぺこりとお辞儀を返す。
 チョコは主食。バレンタインとか関係なく365日常にチョコを貪っている自称“奇術士”。早速りりかのチョコを平らげるも、まだまだ足りない。
 会場中のチョコと名の付く飲食物をモリモリ食べ続ける。

 一応、他にも料理はあるのだが、

「チョコがある……ならばそれ以外の物事に関わる必要は皆無ですね」

 ひたすらモリモリ。

「今日のご飯はチョコなの、ですね」

 りりかも頷き。
 そこへ、ゼロ=シュバイツァー(jb7501)が歩いてきた。

「りんりん、楽しんどるか〜♪」
「はい、です。チョコがたくさんで嬉しいの……」

 りりかは未成年組に渡した物とは別のチョコを取り出し、ゼロに差し出す。
 アルコール度数のかなり高いお酒を練りこんだチョコ。

「おおきに〜♪」

 酒好き且つ蟒蛇なゼロは大喜びでひょいぱく。
 駄菓子菓子、

「ちゃんとご飯も食べなあかんで」
「んぅ…お昼はちゃんと食べたの、ですよ?」
「深刻なお肉不足です」

 小次郎の隙を窺っている雫と共に、ステーキを頬張るオペ子。

「チョコがあればそれでいいの……」
「ま、チョコは足りてるけどパーティは楽しまんとな〜♪」
「じゃあ…味見役なら任せろー(ばりばりー」

 名乗りを上げて皿ごと料理を噛み砕いたのは、自称ザコキャラの悪魔Unknown(jb7615)。
 チョコを飲み込み、ステーキを吸い込んで、寿司にも手を伸ばす。

 だがその時、不意打ちで伸びてきた雫の手を避けて小次郎がジャンプ。
 アンノウンの足の上に着地した瞬間――

 ドカッ!とクリティカルエフェクト。

 ステータス画面が赤一色になり、とさぁと倒れるアンノウン。

\突然の死!/

 あんのうんを たおした!
 ロペ子が、棺桶のグラフィックに変わった真黒悪魔を牽引して去っていく。

 一方、ゼロは辛うじて残っていた寿司を抓みつつ会場をぐるりと観覧。

「「やぁん、ゼロちゃん発っ見ぇん!(バリトン声」」

 振り返ると、丸太のような両腕でチョコを抱えたオカマの群れが床を揺らしながら突っ込んできた。

「「ハッピーバレンタイィン!!」」

 ゼロに巻きつき、口にチョコを捻じ込み、揉みくちゃにして去っていく。

「モテる男はツライわ」

 しかし今日はバレンタイン。せっかくなので両性類じゃないお姉さんも愛でたい。
 そしてこの屋敷にはメイドがたくさん。のびのび優雅に酒を愉しみつつ、メイドを愛でるとしよう。

 丁度、会場にリョウコとミコトが戻ってきた。

「愛でる――」
「なに見てんだ、殺すぞ」

 ペッ。

「愛でr――」
「ダメよリョウコちゃん〜、お客様に殺すなんて言っちゃ〜。そういう時は黙って仕留めないと〜」

 ナイフくるくる。

「ここのメイド、全然愛でさせてくれん……」

 責任者呼べ。
 あ、死んだのか。

 その時ゼロの視界に、チョコやケーキやフルーツばかり食べ漁る胡桃の姿が映った。

「へーか♪ へーか♪ なんや殺人事件っぽい演出あったけど、へーかは誰が犯人やと思います♪」
「え? 殺人事件?」

 ケーキを皿に移しながら、くるりと振り返る胡桃。

「私の手を煩わせるのはやめて頂戴、ね」

 どうでもいい、わ。

「それより右腕? お菓子が足りない、わよ?(mgmg」



 その頃、厨房では。

「ここは楽しんで行きましょう♪」

 足首まで届くロングスカートのヴィクトリアンメイド服に着替えた木嶋香里(jb7748)が、手馴れた様子で紅茶やサンドイッチを作っていた。

 隣には、「似合うか解らないけど…」と執事服を着用した日向響(jc0857)の姿も。
 少しでも皆にパーティーを楽しんでもらおうと一所懸命にサンドイッチを作る。

「響さん、喜んで貰える様にやりましょう♪」
「はい♪」

 とは言え、料理はまだまだ勉強中。
 ローストビーフやスモークサーモン、燻製鴨肉といった本格的な具材を仕上げる香里とは違って、響のサンドイッチはタマゴやハムなどの簡単なものが多い。
 それでも、きちんと基本を押さえたそれらは充分に整った出来映えだ。

 そんな2人の後ろで、ミコトがのんびりとごちる。

「助かるわ〜。これならお仕事しなくても良いわよね〜」

 職務放棄。

「オ料理 運ビマス」

 棺桶を牽いたロペ子がやって来て、完成した料理を台車に載せる。
 ふと、ロペ子が持って行こうとした料理の中にラーメンが混ざっていた。

「あら〜? こんなの作ったかしら〜?」
「食べていいのか?」

 ガコン、と内側から棺桶の蓋を持ち上げてアンノウンが首を傾げる。
 返事を待たずに器ごとモグシャア。

「サンドイッチもありますよ♪」
「さんきうなー」

 尻尾をぴこぴこ振りながら、香里と響から手渡された皿を受け取――

 指が接触ズババァ!

\かいしんの いちげき!/

 棺桶アンノは再びロペ子に牽引されて去っていった。



 オペ子とエリスへ挨拶しに、数多 広星(jb2054)が顔を見せる。

「いつも凛がお世話になってます」
「あ、広星。こんばんは」

 振り返って返事をするエリス。
 彼は斉凛(ja6571)の義兄にあたり、よく凛と一緒にエグい話題で盛り上がっているのを見かける。
 オペ子もぺこりと頭を垂れ、

「こんばんはです。斉さんにはいつも悪者をボックリ殴り倒してもらって斡旋所も大助かりです」
「凛らしいね」

 苦笑する広星。

「料理適当に持ってきましたけど食べます?」

 そう言って、金銀ツインテの2人にずいっと差し出す。

「ありがとう」
「いただきまs(もぐもぐ」

 広星は減った分を補充しに、料理が置かれたテーブル巡りへ。
 皿によそう…フリをして、チョコケーキにドス黒い死のソースどばどば。
 肉料理を皿に乗せる…と見せかけて、死のソースを肉にドバドバ。

「あ、靴紐が解けた」

 呟き、しゃがみ込んで靴を弄る…かと思いきや、テーブル手前の床にワイヤートラップ仕込み。

 広星はそのまま何食わぬ顔で隅へ移動し、死ソースが掛かってない普通の料理を味わいながらテーブルを観察。

「タダ飯は旨いと相場が決まってるのであります」

 舌をぺろっとはみ出させながらシエル・ウェスト(jb6351)が現れた。

「今年のチョコは強化等々でやたらと高かったんですよね……」

 足も生えてたしな。
 よって久遠が無い。食費が腹ペコ。

「タダ……。うん、いい響きです」

 シエルは徐にタッパーを取り出すと、テーブルの料理をぎゅうぎゅうと詰め込み始めた。
 優先順位:ご飯>チーズ>チョコ

「貧乏人感覚ですいませんね」

 ペコペコしながら手当たり次第に詰める。

「せっかくなのでもう少しホワイトチョコをいただくであります」

 言いながら、トングで熱々のホワイトチーズが乗った肉汁たっぷりのステーキ挟み。
 チョコじゃねえ。

「え? 何だって?(難聴」

 大型の登山リュックいっぱいにタッパーを入れ、ご満悦な表情のシエル。
 おみやは充分。

「あとは体重計が量子分解するまで腹に詰めて帰るであります」

 皿を持ち、黒ダレが香ばしそうに輝くチーズハンバーグに手を伸ばす。
 大盛りごはんと一緒にぐもっと頬張り――

 血を噴いた。

 死ソース直撃。

 奇声を発し、水を求めて走り回る。
 前方のテーブルにジュースコーナーが。迷う事無く一直線に突っ込み――

 手前で足首ワイヤーびたーん!

 顔面からグラスの山に突っ込み、ガラス片でウニ頭のようなシルエットになりながらもジュースをガブ飲み。
 何とか落ち着いた。

「口直しに甘い物でも……」

 近くにあったチョコケーキが目に留まる。
 液チョコ?的なソースが掛かっていて、実に甘そうだ。

「いただきます(ぱくっ」

 血を噴(ry

 終始眺めていた広星は、

「うん、人の悲鳴とか叫び声っていいよね」

 鬼か。

「自分の種族は人間ですよ?」

 そういう意味じゃねぇよ!?

「あらあら大変ですわ。ドリンクをお持ちしましたの」

 転げ回るシエルに駆け寄ったのは純白メイド服の凛。
 差し出したのはオレンジジュース。何だか妙にブクブクと泡立っている。
 サイダーかな?

 ぐびぐびっ

「たくさん入れ…もとい、ありますので、皆様も遠慮なく飲んで欲しいですの」

 メイドスマイルきらきら。
 この屋敷のメイドとは大違いだな!

 そうしてドリンクを配り歩いた後、凛はそそくさと何処かへ消えた。



 Heaven's Horizonの面々と歓談する砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)。
 そこへミニスカメイド服のツインテ和紗が、同じくメイド服姿のマリスに手を引かれてやって来た。

 にぱーっと笑うマリスの背に隠れるように、もだもだする和紗。
 それを見て、ジェンティアンがスマホを構える。

「もう撮るしかないよね」
「撮らなくて良いです(急に冷たい目」

 メイドな2人は用意しておいたチョコを取り出し、

「頑張って作ったんだー」
「作りました」
「はいどうぞ☆」

 リーゼとエリス、そして隣に居る和紗にも手作りチョコを渡すマリス。

「すまない。ありがたく頂こう」
「あ、ありがとっ」
「ありがとうございます」

 仏頂面で小さく頷くリーゼと、嬉し笑いに頬を赤らめるエリス。和紗も小さく頭を垂れる。
 リーゼとエリスは受け取りながら、それぞれ用意していた手製のウイスキーボンボンやうさぬい型チョコをマリスに渡す。

「わっ、ありがとー! だいじに食べるね!」

 一方、和紗も人生で初めて手作りした抹茶のトリュフチョコを、マリスとエリスに差し出す。
 自前の石臼で抹茶を挽いた本格派である…いや…ん? 本…格……?

「菓子を手作りするとか、女子力高いですよね?(真顔」
「え、あ、うん、そ、そうね。あ、ありがと和紗」

 間違ってないはずなのに何かが間違っている気がする。
 とは口には出さず、エリスは和紗のトリュフチョコと自分のうさぬいチョコを交換。マリスも「わーい!」と大喜びで石臼チョコを受け取った。

「ああ、ちゃんと竜胆兄の分もありますよ」

 淡泊な調子でジェンティアンにも渡す和紗。

「ありがとう。でも和紗の女子力はどこへ向かうつもりなの……」
「何か?」
「うん、まあ、良いんだけどね」
「あ、そうだ。あたしからもちゃんとあるよー!」

 マリスがジェンティアンにチョコを元気よく突き出す。
 が、何故かこれだけ市販の既製品。

「あげるー☆」

 悪気の無い笑顔。

「ちょっとツッコミたいけど気持ちは嬉しいから、ありがとう」

 ちなみに彼は、甘い物が大の苦手である。

「うん…頑張って食べるよ……ほんと、がんばる……」

 それを知っていたエリスとリーゼは、チョコではなく焼餅とハムの詰め合わせをプレゼント。
 対するジェンティアンも貰ってばかりという訳ではなく、

「vt、僕からはお花贈るね。リーゼちゃんには髪に一挿してあげる」

 言いながら、リーゼの髪に蝋梅の小枝を通す。

「ふむ(無抵抗」
「可愛い可愛い(にやにや頭撫で」

 次いでジェンティアンはキャシー達の元へ行き、プリティーピンクの薔薇の花束を手渡す。

「「あらやだぁステキぃん! ジェンちゃんってばオトメ心が分かってるわぁ!!」」

 両脇からガシィ!と巻きついてソファーへ引っ張っていくオトメ達。
 それを他所に、和紗がリーゼへと声を掛ける。

「此方へ」

 リーゼの手を引き、ジェンティアン達とは別のソファーへ。
 がしっと彼を引き倒して、膝枕。

「メイド姿は此の様に食べさせると聞いて(淡々」

 リーゼの分の抹茶チョコを彼の口へそっと押し込む。

 対するリーゼも、「それは知らなかった」などと横向きのまま返事。

「美味い」
「…美味しいなら良かったです」

 ダメだこの2人、早く何とかしないと。
 和紗大好きっ子のジェンティアンは最初の瞬間こそ「はぁ!?」と白目を剥いたものの、

「ねぇ、普通桃色なシチュが、何であんな色気ないのかな(遠い目」

 何で2人とも真顔なの。
 かくいうジェンティアンも、現在キャシー嬢に強制膝枕されて横向き中。

「もう少し柔らかいと嬉しいかな?」



 手足が無く翼のみの小柄な召喚獣が、エリスの元へ飛んでくる。
 小さな一角の白いヒリュウ。華愛(jb6708)のところのヒーさんだ。

 ヒーさんが、首に下げた紙袋をエリスの手の上に置く。
 中には綺麗にラッピングされた抹茶や桃のチョコが入っていた。

「ありがとう。持ってきてくれたの?」
「きゅー♪」

 ふよふよと浮かぶヒーさんを撫でながら、辺りを見回す。
 オカマバーの雄姉様方にチョコを渡している華愛を発見。

「あ、抹茶ちょこを、どうぞ、なのです」
「「ありがとぉ! ハナちゃんもハピバレー!」」
(邪魔しちゃ悪いわね)

 歓談している華愛を見て、エリスはしばらくヒーさんと遊ぶ事に。

 周囲をくるくる飛びながら体を擦り寄せてくるヒーさんを、もふもふ。

「きゅー♪」
「(ぴくっ)」

 ふと、向こうにいる華愛が揺れた気がした。
 気のせいか、とエリスはヒーさんの喉を指先でうりうり。

「きゅー(もじもじ」
「(もじもじ)」
「ヒーさんは今日もふかふかね(抱っこしてほっぺにむちゅー」
「(ぴ!?)」

 こっそりと、華愛がキョドっていた。

 もしかして:生命力共有

 ダメージがリンクしているならば、痛覚や触覚も共有している…かもしれない。
 ハグられればハグの感覚が。
 撫でられれば撫でられた感覚が。
 喉を擽られたら(略
 ほっぺにちゅーs(ry

(バレない様に、しなければ、なのです……)

 こくりと頷く華愛。

「ハナかわいい……(どきどき」

 バレました。

「あ、エリスちゃんも来てたのですね」

 その時、会場を練り歩いていたレフニーがエンカウント。
 彼女は何やらじーっとエリスを見つめると、

「……えいっ」

 唐突にハグぎゅー。

「ふぇっ!? な、なにっ?」

 特に意味はない。

「ふう……なんか落ち着くのです……」
「そ、そう? うん、まあ、う、嬉しいけど……」

 そして再びエリスを凝視するレフニー。

「エリスちゃん、あーんです」
「え? あ、あーん……」

 チョコぽいちょ。

「あ、ありがと(もぐもぐ」
「!」

 その反応が嬉しかったのか、レフニーはせっせとチョコやラーメンをエリスの口に運び続ける。

「あ、ありがt」

 チョコぽいぽい。

「あ、ありg」

 麺詰め詰め。
 うぼぁ。

 そこへ、木葉が駆けて来る。

「エリスちゃ〜ん。バレンタインには好きな人にチョコを贈ると聞きましたぁ〜。頑張って作ってみたのですぅ。どうぞ、なのですよぉ〜」

 うつ伏せに倒れているエリスをよいしょと抱き起こし、その口に本命?チョコを放り込み。

「あ、あのぉ…。美味しくできてる…、かなぁ?」
「う、うん…すごく美味しいわ。ありがとう木葉(ぜぇはぁ」

 実際、美味しかった。
 何とか自力で立ち上がったエリスは、レフニーと木葉にもチョコを渡す。
 その後、バーの他メンバーやメイド達にもチョコを配って回る木葉。

「おおぉ。雫ちゃんに歌音ちゃんもいますね〜。チョコを渡すのですぅ〜」

 元気にぱたぱた。
 そんな中、ディザイアが合流。

「愛を込めた贈り物ってことで一夜だけだが誠心誠意お仕えしよう」

 彼はエリスの前で片膝をつき、

「何なりとどうぞ、お嬢様(慇懃」
「私はあれが食べたいのですー」
「じゃあ、あたしはアレがいいですぅ〜」
「私の身長だとケーキの三段目より上が届かないので、切り分けて欲しいです」
「言ってくれればあたしが口移しで食べさせてあげるのにっ」

 次々と釣れるレフニー、木葉、雫。そしてそれら女子達に迫る歌音。
 唸るディザイア。

「おかしい。こんなはずでは(汗」

 言いつつ、彼女らの分も甲斐甲斐しく世話をする。
 ディザイアさんのおかん力ぱねぇ。



 その頃、和紗は何となくリーゼの頭を撫でながら、うとうと。

「…石臼が…重くて…」

 膝枕をやめ、逆に彼の膝へと寝転がる。

「交代…(すやぁ」
「樒?」
「部屋で石臼回して抹茶挽いてたからねぇ、疲れたんでしょ」

 ジェンティアンが言う。

「これの、ね」

 石臼チョコを1つ抓んで、リーゼの口へポイ。
 リーゼは「ふむ」と頷いて、膝元の和紗の頭を一撫で。

(和紗、僕には撫でさせてくれないのに…!)

 ジェンティアンがハンカチぎりぃ。

 とその時、唐突に屋敷中の照明が消えた。

「えっ、何? 僕がハンカチ噛んだせい!?」
「そんなわけ無いですよね」

 広星はツッコミを入れた後、スキルで視界を確保しつつ気配を消す。
 せっかくの暗闇だ。ちょっとイタズラしてやろう。

 エリスに霞声で「照明のスイッチはこっちですよ」などと話しかけ、誘導。
 しかしその先にはディザイアが居て、

 ドンッ

「ぶはっ。スイッチじゃないじゃん!(ムキー!」
「どうしたお嬢!?」

 困惑するディザイアだったが、ふと彼はある事を思いつき――

「ここは危険ですお嬢様」

 ひょいっとエリスを抱え上げ、何処かへ姿を消した。

 一方、不意に腹を押さえて蹲る一部の参加者達。
 凛がくれたジュースを飲んだ組。

 ぽんぽんぺいん。
 暗闇の中、手探りでトイレへと向かう。
 廊下を少し進み――

 ピンッ
 斡旋所職員の八嶋の足に、何かが引っ掛かる。

 瞬間、ワイヤーが足首に巻きついてグアッと逆さ吊り。
 からの巨大丸太直撃ドメキャア!

 その頃、会場ではシエルもぽんぺに陥っていたが、タダ飯欲しさに根性で痛みに耐えてご飯を貪り続けていた。

 最初にトイレへ辿り着いたのは、携帯で誰かと電話していた撃退庁の捜査官バック・ジャウアー。
 何やら床に青い鳥の羽とラーメンが落ちていたが、そんな事に構っている余裕も無く。

「俺だー! 今テロリストの襲撃を受けているー! あとで掛け直すー!」

 個室へIN。
 しかしペーパーケースに入っていたのは、発光ペンでメッセージが刻まれた空芯――

『紙は死んだ』
「くそおおぉぉぉ!!」



「ブレーカーを見てくるでござる」

 言い残し、ぞろぞろとホールを出て行く豚侍達。
 この時、彼らは気づいていなかった。

 闇の中で咎人を待ち構える断罪者の影。

(あの名前、とても見過ごす訳にはいきません)

 豚侍。なんと不健康な名前か。パーティーの間も、ずっとチョコとピザとコーラとラーメンばかり食べていた。
 ギルティ。

 暗い廊下を進む豚の列に背後から忍び寄り――

 シュルル
 キュッ

 1人、また1人とワイヤーで首を締め上げ、最後の1人もボンレスハムにしたところで、その遺骸に『暴食罪』の札を貼り付けた――……



 カッ!

 と、唐突に目覚める和紗。
 起きたか、と。リーゼがその顔を覗きこむ。

 彼は膝枕をしたまま、小さな紙袋を取り出した。
 クリスマスに渡しそびれた、雪の結晶がレーザー加工された小さなクリスタルキーホルダー。
 それをウイスキーボンボンと一緒に渡そうとして、

「樒、これを――」
「和紗」
「?」
「名前。和紗と呼んで下さい」

 スッとリーゼの頬に手を添えて見つめr…すやぁ。

「……」

 どうしようこれ。
 とりあえずキーホルダーとボンボンをそっと和紗の手に持たせるリーゼ。

(随分と復旧が遅いな)

 様子を見に行こうと考えた彼は、目を凝らして周囲をきょろきょろ。ジェンティアンを発見して声をかける。
 そっと膝枕役を交代。

 そのまま配電室へと向かった。



 ――配電室。

(獲物はまだかしら)

 うきうき。
 ナイトビジョンを装備し、物陰で胸を高鳴らせる白いメイド。

「うふふふ……BO☆KU☆SA☆TU♪したくてたまらないですわ♪(はぁはぁ」

 おっと思わず声に出してしまった。
 彼女はきゅっと口にチャックをすると、釘バットを握り締めてわくわく。

 そこへやって来る人影。
 リーゼだ。

 入口をくぐろうとした彼の足が、不意にワイヤーを引っ掛ける。
 瞬間、天井から降り注ぐ大量の虫。

「む」

 頭上や肩で蠢くムカデや蜘蛛の群れに、ぴたりと止まるリーゼ。
 が、すぐにそれが玩具だと気が付き、うぞうぞと体に貼り付けたままブレーカーへ。

(リーゼさん気持ち悪いですの!!)

 自分で仕掛けた罠じゃないですかやだー。
 しかし凛はすぐに目的を思い出し、ブレーカーへと手を伸ばした彼の背後から飛び掛り――

 撲 殺 ☆

 愛刀もとい愛バット『エスカリボルグ』を振り翳して後頭部を一撃。
 更に髪芝居やコメットを浴びせながら一撃。
 オシオキと称してとにかく一撃。

 ボコボコ グシャア!

 返り血や虫の肉片(玩具)の散った頬でリーゼを見下ろし、恍惚とした表情を浮かべる凛。
 だがその時、

 カサカサ

「!!」

 暗闇の中に響く、黒い足音。

「あばば……」

 この足音はまさか、いやそんなはずは……。
 凛は悪寒を振り払うように配電盤の蓋を開け、慌てて電源ON。
 視界に飛び込んできたのは、親指ほどもある見事なGとラーメン。

「――!!」

 音にならない悲鳴がした。



 その少し前。

 エリスを拉致ったディザイアは、人気の無い廊下で彼女を降ろして壁ドン。
 彼女のあごをクイッと持ち上げ、

「な、ななな!?」
「お嬢…俺の気持ちを受け取ってくれないか?」

 ずいっと迫り――

 口の中に、足の生えたチョコぽいちょ。

「美味いかお嬢!」
「お、おいひい…(もぐもぐ」

 その時、照明が復旧。
 そこへ通りがかるレフニー。

「ディザイアさんがエリスちゃんを襲っているのです?!」
「ちぃ、見つかったからには仕方ない! お嬢は貰った!(悪ノリ」

 エリスを小脇に抱え、じりじり後ずさり……

 クイッ

 ディザイアの踵がワイヤー的な何かを踏む。
 それとラーメン。

 瞬間、頭に丸太直撃ドゴォ!
 壁にめり込むディザイア。

 ディザイアが死んだ!



 新たな犠牲者が出たことで、再度ホールに集められた一同。
 とにかく、出来るだけ1人にならず一緒に居た方が安全だ。

「こんな殺人犯がいるかもしれない部屋にいられないわ!」

 歌音が叫ぶ。
 1人ホールを飛び出し、予め割り当てられていた自分の部屋へ…と見せかけて、いやらしい手つきでリョウコに触ろうとして蹴り倒されたり、ミコトのスカートに伸ばした手をメキメキ踏まれたり。

 一方、ゼロも「同感や!」と頷く。

「殺人犯と一緒におれるか! 俺は帰る!」
「外は猛吹雪よ〜?」
「殺されるよりマシや!」

 言いながら玄関の扉に手を掛けた瞬間、

 ヒンッ
 スパァ!

 ギロチントラップで、首と胴体が寸断。

 油を敷いた熱々の鉄板。
 刻んだ鳥肉が鉄板の上で転がり、あふれ出した肉汁がジュウジュウと香ばしい音を立てる。
※自主規制により、現在イメージ映像にてお届けしております。

 ショックの余り、シエルが失神。
 傍にあったラーメンと一緒に、メイド達に運ばれていく。

「これは事件です! 捜査しますよ!」

 勇ましい声に振り返ると、そこには疾風の姿が。
 生きてた。

「……とその前に」

 疾風はいそいそと料理のテーブルへ。

(犯人は誰か? そんな事はどうだって良いんだよ! とにかく疾風とオペ子ちゃんをくっつけるんだよ!!)

 その陰で、疾風の父である桜井明(jb5937)が人知れず決意。
 全ては愛しい息子の為に。

「オペ子さん。助手をお願いします」

 言いながら、料理で釣ろうとする疾風。
 そんな疾風に先駆け、黒子帽を被った明が料理を詰めたタッパーを疾風の前に並べていく。
 何故か黒子には気づかない疾風が、タッパーだけを取ってオペ子へ贈呈。

 ふと、オペ子と小次郎が明をガン見。

(黙っててね……?)

 買収用のチョコを差し出す明。

「オペ子なにも見てません(もぐもぐ」

 推理開始。
 疾風はゼロの遺体に触れ、

「まだ温かいな……」

 そりゃあ、いま寸断されたばかりですし。
 ふと、ずかずかと前を横切るエイルズ。

「あ、僕にかまわず続けてください(チョコモリモリ」

 向こう側にあるテーブルのチョコが取りたかっただけ。

「その時間アリバイの無かったのは……?」

 ディザイアと会うまでレフニーのアリバイ無し。
 慌てるレフニー。

「私がやったっていう証拠はあるのです?!」

 するとメイドの1人が、最初に京埜が死んだ時、ニヤリと笑っているのを見たと証言。

「そっ、そんなもの私がやった証拠にはならないのです!」

 だが、都合よくディザイアの死亡現場に居合わせたのは何故か。

「それは彼が罠に掛かったどうかを確認しに行っていたからです!(ばばーん!」
「た、ただの偶然なのですよ?!」
「そして凶器は……」

 聞いちゃいねえ。
 顎に手を当ててぶつぶつ言いながら、疾風は屋敷の中を歩き回る。

 合間にタッパーをオペ子へ献上。

「あ、オペ子さんはついてきてくれるだけでいいんで」
「食べるのは任せてください(もぐもぐ」

 助手ェ。



 エイルズは、チョコを求めて屋敷内を彷徨っていた。

 突然、眼前でキラリと鋼線が閃く。
 彼は凄まじい反応速度で空蝉を使用して回避。

 顔を向けた先には1人の影。

「その偏食、万死に値します」

 おやおやと肩を竦めるエイルズ。
 ふと、

「……あ、失敬。チョコを食べすぎて鼻血が」

 それでも チョコを食べるのを やめない!(モリモリ
 直後、自身をトランプ吹雪で包み込む。

 トランプが消えると、そこに彼の姿は無かった……



 京埜の私室。

 ミコトが、ロペ子とその後ろの棺桶に京埜の私物を差し出す。
 すると棺桶の中からアンノウンがぴこりと出てきた。

 服やら家具やらラーメンやらバリムシャ貪るアンノウン。

「助かるわ〜。他にも要らない物、持ってくるわね〜」

 ミコトが部屋を出てからしばらくして――

「その暴食を処断します」

 バキューン!



「一体誰が犯人なんだ……」
「難事件やな」

 疾風の後ろで、たこ焼きとラーメンを頬張るゼロ。
 死んだ? 鳥肉? チョコの食べすぎで幻覚でも見たんとちゃうか?
 ドラッグだめ絶対。

 オペ子と一緒にたこ焼きもぐもぐ。
 ふと、青い小鳥が1匹ゼロの肩に止まる。

「なんや欲しいんか?」

 ゼロがたこ焼きを小鳥の嘴に差し出したその時、

 チュンッ
 音速のドリル嘴がゼロのこめかみを貫通。

 串を通した焼き鳥が網の上に乗り、馥郁たる香りが広がる。
※イメージ映像です

 カラスを仕留めた小鳥は、ぱたぱたとどこかへ飛び去っていった。



 騒ぎそっちのけで大量の苺をmgmgしていた胡桃。
 そこへご飯を抱えてやってくるゼロ。
 串焼きになった? 夢でも見t(ry

「ちゃんとご飯食ったんか?」

 振り向いた胡桃の口にラーメン捻じ込み。入らなくても捻じ込み。
 窒息。

 動かなくなる陛下。

「はっ! へーかが死んでる!? いったい誰がこんなこt」
「きゅぃぁ!」

 刹那、謎の生物が背後からゼロを襲撃gbgb。
 可愛らしいモモンガが苺を齧っている。
※イメージ映z(ry



「局長、局長♪ 俺と大人のデートs」

 クイッ
 火炎放射シュゴー

「ん?」

 呼ばれた気がして局長が振り返ると、床にこんがり焼けたローストチキンとラーメンが。
※イメーj

 何度だって甦r(サクッ



 リーゼを探していたマリスと和紗。
 配電室で彼とラーメンを発見。

「温泉だって! 今日はあたしたちメイドさんだから、和紗ちゃんと一緒に背中流してあげるね…!」
「日頃世話になっているので、背中を流します…メイドですし」

 有無を言わさず彼を両脇から抱え上げて風呂場へ。
 中から鍵掛け。

「ほらー、恥ずかしがってないで脱いで脱いでー!」

 きゃーきゃー言いながら目を瞑り、リーゼの服を引っぺがすマリス。

 洗う係:マリス
 流す係:和紗

 自分達は服を着たまま、腰タオルなリーゼをゴシゴシざばー。
 次いでマリスは、和紗を湯船へと誘う。

「タオル巻けばへーきだよー! 和紗ちゃんも一緒にはいろ!(はぐ」

 彼女は暫し考えた後、頷いて入浴。

「リーゼくんも入ろー!」

 タオルマリスは微動だにしないままのリーゼの肩を揺すり…気づいた。

「し、しんでる!(ばばーん!」

 ていうか生きてたら、さっさと自分で体洗っちゃってたんじゃないかな!



 リーゼの遺体を移した後。

「エリスちゃんと一緒にお風呂なのです〜。うふふっ」

 お風呂セットを持ってエリスの手を引く木葉。レフニーも一緒だ。
 湯浴衣や足湯も出来るという事で、雫や華愛も。

 入浴開始――
 ――終了。

 幼女の映像は、最近、世間の風当たりが厳しいので……。

\そういや1人失神したらしいが、大丈夫なのかね?/

 そう言ったのは、エリスが持っていたディザイアの遺影(お風呂は覗いてないよ!)。
 木葉も頷く。

「お見舞いに行くのですよぉ〜」

 一同はシエルが寝ている部屋の前へ。

 中へ入ると、ベッドの上にシエルと思しき膨らみとラーメン。
 木葉がとてとて近づいた瞬間――

 突然、影からワイヤーが伸びてきて木葉に巻きついた!

「助けてぇ〜!」

 掴もうとしたレフニーや華愛やエリス(と遺影ディザイア)諸共、ベッドの下へと引きずり込む。
 その時、雫が大剣を抜き放った。

 ベッドごと一刀両断ズバァ!

 真っ二つになるシエルと木葉達。
 大惨事。

「違うんですこれは助けようとしただけで決して殺そうとしたわけでは……」

 慌てた雫は、とりあえず死体を隠そうとタンスをぱかり。中には、血が漏れないように段ボールが敷き詰めてあった。
 シエルの仕業だろうか。

 これ幸いと死体をタンスに押し込み、雫は何食わぬ顔で部屋を後にした。



 お花を摘みに来た歌音。
 が、床に張られていたロープに躓いてすってんころりん。芸術的な転倒芸を披露。
 更に転んだ先にはクリームが仕込まれていて、白いのべっとり。

「大変! 誰かに舐め取って貰わないと!」

 べっちょりしたまま女子を探して歩き回るも、誰も居ない。
 仕方ないので自分で舐めながらお風呂場へ。

 サービスシーン(湯気多め)。

「はあ〜極楽極楽…」

 その時、ガラスの向こうに人影が!

「キャー! のび●さんのエッチー!」

 と思ったが、返事は無く。
 おかしい。確かに影が見えた気が。

 まあいいぽん、と風呂から出る。
 鏡の前に立ち、服を拾うのに俯いて、もう一度鏡を見r

「……」
「!!」

 背後に少女が立っていた。
 驚いて「オーマイガッ」と胸を撫で下ろす歌音。
 しかしすぐにいつもの調子で振り向き、

「これからお風呂? 何ならあたしが手取り足取り体取り、全身くまなく洗ってあげる!」



「うーん、手詰まりだなー」

 温泉にでも浸かって一度頭をスッキリさせようと、オペ子と別れて風呂場を訪れる疾風。
 肩まで浸かって寛いでいると、不意に湯の底から何かが浮かんで――



「皆さん、お茶会しませんか?」

 できるだけ単独行動は控えた方がいいでしょうし、と香里が客間に追加の料理を運んでくる。
 響も給仕のお手伝い。

「皆様、美味しい軽食で寛いでくださいね♪」
「いい機会なので普段出来ないお話をしましょうよ♪」

 紅茶にサンドイッチ、チョコ等を手に、嘉瀬 綾子やヒメに声を掛ける香里。
 そこに局長とオペ子も交え、ガールズトークに花を咲かせる。

「局長にガールズトークを要求するとは。木嶋さんおにちくですね」

 言ったオペ子の頭に、玩具のピコハンを振り下ろす局長。

「ヒメさんはどうですか? 好きな男性とか♪」

 香里に話を振られてキョドるヒメ。

「ヒメは毎日モテモテよね。ゲームの中でだけど」

 からかう綾子。
 そんな女性陣を――いや、その中の1人を――邪魔にならぬよう近くで観て、微笑む響。

 ふと、輪から離れた香里が彼の隣に腰を下ろす。
 徐に響へ肩を預け、

「協力して貰って、嬉しかったです♪」

 響は驚いて固まりながらも、やがてそっと彼女の肩に手を回し、

「木嶋さんに喜んでもらえたなら、私も嬉しいです♪」

 その時、遠くで疾風の悲鳴が聞こえた。



 何かに啄ばまれたような歌音の遺体が、ラーメンを抱えた状態で湯船にぷかー。

「お、俺じゃないですよ!?」

 慌てて一同に説明する疾風。
 一方、リョウコが歌音を引き揚げると、なんとまだかろうじて息があった。

 虫の息で歌音が口を開く。

「あなたに…会えて…良かった…」

 震える指でリョウコへと手を伸ばし――
 胸揉み。

 ドカァ!

 顔面を鷲掴まれて床に叩き込まれ、今度こそ死亡。

 おや? そういえば香里と響の姿が見当たらない。
 全員で客間へ戻ってみると、そこには2人の遺体が!

 そこにあった料理の中から、チョコだけが食い荒らされている。
 チョコと言えば……

「んぅ……あたしじゃないの、ですよ…?」

 首を振るりりか。
 となると残るチョコジャンキーはエイルズだが、

「見かけていないの、です」



 廊下を歩いていたエイルズの前に、白衣で黒子帽を被った男が現れる。
 その手には巨大な斧が。

「僕はね、あの子が活躍できさえすればそれで良いんだ」

 唐突に告げる黒子帽。

 探偵が活躍する為には死体が要る。
 死体が出る為には犯人が要る。
 犯人が居ないのなら作れば良い。

 黒子帽はエイルズに斧を突きつけ、

「……さて、お前の運命は二つに一つだ。あの子に自白するか、この斧の錆となるか。――選べ」

 とか言いつつ、いきなり斬りかかってズドォ!
 真っ二つ。

 男は、黒子帽の下で狂気の笑みを浮かべていた。



 飲み物を取りに厨房を訪れたオペ子とりりか。

「その暴食、ギルティ」

 その時、いずこからか声がした。
 首めがけて鋼線が閃き、

「く……オペ子さんには指一本触れさせません!!」

 寸前、駆けつけた疾風が彼女を庇って代わりに首吊り。
 直後、騒ぎに気づいた一同がやってきて、声の主は逃走。

 疾風死亡。



 男は憤慨していた。
 疾風の死。
 許すまじ犯人。

 逃亡を図っていた犯人――雁鉄 静寂(jb3365)――の前に、斧を持った黒子帽が姿を見せる。

「動機は知らん。言い訳も聞かん。お前の行く末は一つだ――」

 斧を振り上げ、

「ダァァァイ!!」

 ズドォ!

 真っ二つ。
 さて、後はこの死体を捨て――

「そこまでです!」

 その時、柱の陰から現れたのは疾風。
 他の皆も居る。

「生きてたんだね」
「スクジャが無かったら危ないところでした」

 空蝉。
 いや結構がっつり首吊られてたけど。

 刹那、黒子帽は窓を破って外へ逃走。
 追う一同。

 追い詰めた先は、朝焼けの断崖絶壁。波打ちどぱーん!
 吹雪の雪山? 知らんなぁ。

「父さんですね?」

 疾風の指摘に、観念したように黒子帽を脱ぎ捨てる明。

「よく分かったね。流石は僕の自慢の息子だ」

 むしろ分かるの遅すぎたっていうか。

「息子を殺人者の子供にする訳にはいかない」

 瞬間、崖から飛び降りる明。
 疾風の手は、彼の白衣を掴みそこね――

「父さぁぁぁん!!」

 事件解決――……


●本当に?
 犯人は本当に静寂と明の2人だけだったのだろうか。

 屋敷の地下で、佐藤 としお(ja2489)は一同を嘲笑うように両手を広げる。

「あーはっはー!」
「うるせえ!(ばしぃ」
「痛っ!?」

 振り向くと、リョウコが立っていた。

「隠された地下なのに何故バレた!?」
「ねえよンなもん」

 実はただの酒蔵。

「あ、テメー何勝手に改造してんだよ」

 コンロ用のガス管を通す為に開けられた壁の穴を見て、としおを蹴たぐるリョウコ。
 刺さっていた管を引っこ抜こうとして――

「あっ、ダメですよそれはー!」



 ――カッ!!



























 としおとシエルが逝ったか。
 あっけないものよ。
 だがあの2人は我らの中でも(ry

 屋敷の爆発を、遠くの崖から見下ろす5人と2匹。
 エイルズ、静寂、広星、凛、秋嵐 緑(jc1162)と相棒の青い小鳥Pちゃん、そして胡桃に似た生物こももんが。

「奇術を駆使すれば死んだように見せかけるなど容易い事です(チョコモリモリ」
「健康的な生活をしていれば、生き返ることなど造作もありません(サプリぼりぼり」

 一方、気がつくと広星に助けられていた凛は、彼に京埜の殺害について尋ねる。

「兄様はどうして殺したんですの?」
「凛に興味を示しそうだったから」

 大切な義妹に手を出す変態は許さん。

「兄様……(ほろり」

 ほろりじゃねえよ!
 良い話っぽく言ってるけど!

「きゅぃぁ(mgmg」

 苺を頬張るこももんがを肩に乗せ、凛達は静かに山を下りる。

 さあ、次のパーティーへ行こう――……


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: ヴェズルフェルニルの姫君・矢野 胡桃(ja2617)
 前を向いて、未来へ・Rehni Nam(ja5283)
 紅茶神・斉凛(ja6571)
 朧雪を掴む・雁鉄 静寂(jb3365)
 主食は脱ぎたての生パンツ・歌音 テンペスト(jb5186)
 久遠ヶ原から愛をこめて・シエル・ウェスト(jb6351)
 縛られない風へ・ゼロ=シュバイツァー(jb7501)
 久遠ヶ原学園初代大食い王・Unknown(jb7615)
 こそこそ団・秋嵐 緑(jc1162)
重体: 久遠ヶ原学園初代大食い王・Unknown(jb7615)
   <かいしんの いちげき!>という理由により『重体』となる
面白かった!:19人

歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
奇術士・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

卒業 男 鬼道忍軍
ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
ヴェズルフェルニルの姫君・
矢野 胡桃(ja2617)

卒業 女 ダアト
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
紅茶神・
斉凛(ja6571)

卒業 女 インフィルトレイター
オペ子FC名誉会員・
桜井疾風(jb1213)

大学部3年5組 男 鬼道忍軍
ねこのは・
深森 木葉(jb1711)

小等部1年1組 女 陰陽師
死のソースマイスター・
数多 広星(jb2054)

大学部4年4組 男 鬼道忍軍
朧雪を掴む・
雁鉄 静寂(jb3365)

卒業 女 ナイトウォーカー
主食は脱ぎたての生パンツ・
歌音 テンペスト(jb5186)

大学部3年1組 女 バハムートテイマー
地上に降りた星・
桜井明(jb5937)

大学部6年167組 男 アストラルヴァンガード
護黒連翼・
ディザイア・シーカー(jb5989)

卒業 男 アカシックレコーダー:タイプA
久遠ヶ原から愛をこめて・
シエル・ウェスト(jb6351)

卒業 女 ナイトウォーカー
暁光の富士・
ルーカス・クラネルト(jb6689)

大学部6年200組 男 インフィルトレイター
竜言の花・
華愛(jb6708)

大学部3年7組 女 バハムートテイマー
Cherry Blossom・
華桜りりか(jb6883)

卒業 女 陰陽師
光至ル瑞獣・
和紗・S・ルフトハイト(jb6970)

大学部3年4組 女 インフィルトレイター
ついに本気出した・
砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)

卒業 男 アストラルヴァンガード
縛られない風へ・
ゼロ=シュバイツァー(jb7501)

卒業 男 阿修羅
久遠ヶ原学園初代大食い王・
Unknown(jb7615)

卒業 男 ナイトウォーカー
和風サロン『椿』女将・
木嶋香里(jb7748)

大学部2年5組 女 ルインズブレイド
撃退士・
マリス・レイ(jb8465)

大学部5年7組 女 アストラルヴァンガード
初日の出@2015・
日向響(jc0857)

大学部2年71組 男 アストラルヴァンガード
こそこそ団・
秋嵐 緑(jc1162)

大学部4年291組 女 インフィルトレイター