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マスター:
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
参加人数:25人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2012/05/28


みんなの思い出



オープニング

●百聞は一見にしかず
 京都での命を削る攻防に、一つの区切りがついた頃。
 依頼や撃退士としての活動は欠席にみなされないとはいえ、学園ではちゃんと授業も行われていた。
 サーバントが覆い尽くした京都の空は眺める余裕などなかったが、この季節は実に気持ちがいい。
 梅雨が来る前の、五月晴れと呼ぶに相応しい、清々しい青空。
 窓を開けているだけで爽やかな心地よい風が入る教室。
 教科は日本史。
 江戸の文化を扱ったページを、着物姿の女性教師が生徒に読み上げさせていた。
「折角の日本晴れだッてのに、教室で授業ねェ……」
 指定され場所まで読み上げ終えた生徒が着席する椅子の音に、気だるげな愚痴が混じる。
 教師本人のものだ。
 彼女は窓の外の、版画にでもして青々と刷り上げたらさぞ美しかろう空と木々の緑をしばらく眺める。
 かの有名な江戸の絵師ならば、この空を、あの雲を、どんなに見事に書き上げたろう。
 傘屋はこれからの雨季に備えて大忙しの時季だ。
 教師は、パタリと教科書を閉じた。
「アタシも丁度草臥れてきたところだし。お前さんたち、百聞は一見にしかず、てェ言うじゃないのサ」
 そして教壇でにこりと笑む。
「ちょいと江戸時代、行ってきたらどうだい」
 突然の課外授業が決定した。


 もちろん、タイムスリップができる訳ではない。
 行先は江戸の町をそっくりと模しているテーマパーク、<大江戸遊戯場>である。
 テーマパークとはいえ、広い敷地内に人工の川を通し、そこに日本橋に見立てた大きな橋を掛けた本格派だ。
 長屋に始まり呉服屋に宿屋、飯屋など、多種多様の町家も並ぶ。
 もちろん桜吹雪を思わせる奉行所や歌舞伎小屋、吉原大門に武家屋敷と、お江戸好きの心を擽る場所が揃い踏みだ。
 食べ物も当時のスタイルで蕎麦や天麩羅を屋台で出していたりとこだわりがある。
 そんな異空間で、客は皆、貸衣装で江戸時代の何某になりきり、大通りを冷やかしたり、裏路地のお稲荷さんに手を合わせてみたりと、江戸の暮らしをまるごと体験できるのがウリだ。
 時間によっては、屋根の上に颯爽と忍者が現れたり、武士の仇討が本格的な殺陣と共に物語仕立てで繰り広げられたりするのも、客を楽しませる一つのウリになっている。
 
 今日もお江戸は五月晴れ。
 さァて、どんなお噺になりますことやら。


リプレイ本文

●大江戸遊技場
 今日もお江戸は大騒ぎ。
 お天道様も輝いて、嗚呼、あっぱれ、日本晴れ。


「おおーっ! ここが江戸の町ですかーっ!」
 貸衣装屋を出ると、町娘の姿に身をやつした丁嵐 桜(ja6549)がぐるッと辺りを見回して歓声を上げる。
 酒屋の暖簾、繕われた民家の障子と、どこもかしこも細かく作り込まれ、まるでタイムスリップしたかのようだ。
(江戸といえば、大相撲の元になった勧進相撲があります!)
 相撲をこよなく愛す少女は、本当だったら自分が相撲取りの恰好をしたい程だったが、残念ながら衣装屋に女性用の肉襦袢とマワシまでは用意されていなかった。それでも、ここならば江戸の重要なエンターテインメントであった相撲が催されているのではないかと、期待に胸を膨らませている。
 いざ、相撲文化を求め意気揚々と遊技場に踏み込んだ。

 その次に衣装屋を出て来たのはアーレイ・バーグ(ja0276)だ。
 一歩踏み出た瞬間から、周りの視線が集中する。
 艶やかな大振袖、数々の鼈甲串。アーレイは花魁の衣装を着込んでいた。
 和装用に胸を潰してはいるのだが、なんせアーレイのきょぬーはメリケンサイズのたゆんたゆんである。
 しかも憂い顔となれば、飛脚姿のスタッフもその色香につい足を止めて二度見する。
 否、実際は憂いているのではなく、小難しい顔をしているのだった。
「中途半端にお江戸の知識があると素直に楽しめませんねー」
 花魁と言えば錦絵にも描かれ稀代の美貌と豪奢なイメージが先立つが、実際は厳しいものだった。抗えぬ縦社会であり、殆どの女たちは花魁など夢の夢、借金に借金を重ねた挙句、性病を主とする病で短命であったと言われている。
 実情に想いを馳せたアーレイからは溜息が漏れる。
「そんな難しいことを考えなくてもこの服は失敗でしたかねー。必要以上にお色気を振りまいているような……」
 その通りだ。
 胸の内とは裏腹に、そんなアーレイに八百屋の親父も大根片手に見惚れているのであった。
 ちょいとアンタッ、と女房が脇から肩を引っ叩いて旦那を正気に戻す。
「ふむ、これが江戸の文化…なのだろうか…? 何か微妙にズレて居る気がしなくもないが…」
 丁度これから衣装屋に入って行くところだったユリウス・ヴィッテルスバッハ(ja4941)が、花魁だけは見ておけとの友人のアドバイスを思い出し、遠のいて行くアーレイを視線で追う。
 後ろ姿に漂う色香に、思わず鼻血を垂らしそうになるのを堪え、深呼吸。
 細かいことはご愛嬌。
「まぁ、楽しそうだし突っ込むのも野暮、かな…」
 そうして彼も、束の間のこの異世界を楽しむべく、服を選び始めるのだった。



●お江戸グルメ
 遊技場の目抜き通りには、お馴染みの呉服屋や酒屋の大店が大暖簾を張り、更に団子茶屋や蕎麦屋、飯屋など飲食店が並んで賑わっている。
 端の黄本や役者絵などを扱う店も景気が良い。
(本とかも当時を再現してるのかなー、気になるねー)
 小袖を着込んだ鬼燈 しきみ(ja3040)は、普段から活字中毒なのもあり、ここでもまずは活字に興味を示して和綴じの本を捲っていた。
 ユーモラスな化け猫の絵の脇に、つらつらと書かれた平仮名まじりの文字。コミックの要素と文字がマッチングし、また印刷技術の高さから、庶民にとっても文字は親しみやすく識字率は驚くほどに高かった。
 …と、納得はするのだが、如何せん近くから良い香りが漂って来るものだから、次第に興味はそちらに移ってしまう。
 本を戻して通りに出ると、並びの団子茶屋から堪らない良い匂いが漂って来る。
 庶民に砂糖の普及が進んだのも江戸時代だったはず、と、思うのは知識欲か、食欲か。
「コチラ、南蛮由来ノすいーつネ。オジョウサン、チョットドウデスか?」
 出向いてみると、刺繍の多い南蛮商人風の衣装を選んだらしいユリウスが、敢えてカタコトで話ながら、様々な甘味を並べた店先で売り子に挑戦していた。
「…本当に、こんなので良いのか…?」
 異国の風貌の自分にとってこれが正しい江戸の馴染み方、のはず、と思いながらも本人は小首を傾げている。しかし金髪碧眼のイケメンがカタコトで商売をしているとなれば、立ち寄って行くお嬢さんは多い。
「あんこの、ください」
 しきみもその店に立ち寄った。商品の中から、あんこがたっぷり塗られた串団子を選ぶ。
 本と同じくらいにあんこが大好きだ。
「アリガトウゴザイマス。串ニ、気ヲツケテ、クダサイネ」
 温かい出来たてのそれを片手に、しきみは気分良く食べ歩きを開始した。
  

 さて、その何軒か先には茶房もある。
 この日は特別に“茶房 三毛猫”の看板が掛けられていた。
「お侍さんに、お茶をおひとつ!」
 表の長椅子に腰掛けた侍姿の客に注文を取り、すっかり茶房の店員になりきった氷雨 静(ja4221)が奥へと声を掛ける。
 中で返事をするのは、東城 夜刀彦(ja6047)とRehni Nam(ja5283)だ。
 三人ともこの店を借りるのにあたり、町人姿へ着替えるだけでなく本来の従業員から切り盛りの手ほどきを受けた。
 店はなかなかの繁盛ぶりだ。
 そこへ蒼の着物に煙管を咥えた強面の強羅 龍仁(ja8161)がぬうっと現れる。長身の体躯と顔に傷持ちとあって、他の客は一瞬やくざ者でも現れたかと身を竦めるが、今日の彼は与力役だ。レフニーが笑顔で出迎える。
「ゴウラの旦那さま、お勤めご苦労様です」
 おう、と一声応えて、龍仁は手近な席に腰を落ち着け一服する。
「昨夜も猫の目が出たと聞いたですけど、どうだったのです?」
 お茶と共に話題に出すのは江戸を賑わす義賊の件だ。
「昨日は呉服の大店の蔵を空にしやがった。その小判を裏長屋でばら撒いて、長屋の連中にゃ義賊なんて言われてるみてぇだが……、必ず捕まえてやるよ」
 そうして茶を一口含んだところに、同心が一人駆け込んで来る。
 同心、にしては品のある、銀髪にオッドアイのグラルス・ガリアクルーズ(ja0505)である。
 しかしこんな施設を体験するのは彼も初めてだ。楽しもうと成り切っている。
「旦那、猫の目の新しい予告が」
 店にいた誰もがざわついた。
「ちッ! 悪い、また今度寄らせてもらうぜ!」
 龍仁は碌に休む間もなくグラルスと共に慌ただしく店を後にする。
 それを合図にしたように、密やかに目配せをする静、夜刀彦、レフニー。
「そろそろ休憩時間ですので、後でまたお寄り頂きたいのですよ」
 茶房には一旦<休憩中>の札が掛けられた。



●流鏑馬
「のっほっほ、フル姫なのじゃ♪」
 振袖を着込んですっかりお姫様となったフル・ニート(ja7080)は、好奇心の赴くままにあちこちを見て歩いてまわっていた。しかしこの振袖というものは想像していたより重く、慣れない鼻緒にも疲れてしまう。
「おぶってやろうか? 背中からなら違った風景が見えて楽しいかもな」
 そんなフルを見つけて声を掛けたのは、浪人姿の如月 敦志(ja0941)だ。
 敦志の言葉に甘えて背に乗ると、いつもよりぐんと高くなった景色にフルの疲れは直ぐに遠くへ飛んで行った。
「如月は髪が青いからアオじゃの。うははは、アオ! 次はあっちじゃ♪」
「はいはい…って、あんまはしゃぐな!」
 無邪気にあちこちを指さす姫様をおぶって歩く二人は微笑ましいものがあり、すれ違う客も自然と笑顔になる。
 しばらく歩いて回ると、遊戯場の端に関所を見つけた。籠屋が一服し、宿場が並んでいる。
 本物の大きな馬も繋がれている。引き馬を体験できるのだ。
 普段はショーだけに使われている流鏑馬も、今回は特別に生徒に解放されていた。
「すごい! まるで時代劇の世界ね!」
 雪室 チルル(ja0220)は真っ先に流鏑馬体験に名乗りを上げた。
 濃紺の狩装束姿は彼女の髪の色に似合い、射小手も嵌めるとなかなか様になる。
「江戸といえば馬! 馬といえば流鏑馬ってことで皆、勝負だぜ!」
 敦志がフルを背中から降ろしながら勝負と切り出す。
 遊ぶ時は徹底的に遊ぶ。
 何であれ勝負事には本気で挑む。
 それが久遠ヶ原の学生たちの良きところである。
「僕もやろう」
 着流し姿で散策を楽しみ、フルの姫衣装を見かけて今後のコスプレの参考にスケッチをしようと懐紙を取り出しながら近づいて来たクインV・リヒテンシュタイン(ja8087)も、意気揚々と手を挙げて飛び入り参加する。
 彼らのルールは簡単だ。
 馬を走らせ、兎に角、一本でも多く的の真ん中に寄せて矢を射た者が勝ち、である。
 もし馬に蹴られたら恋路の邪魔をしてなくても死ぬよ、他、幾つかのアドバイスと共に本格的な小物を借り受けつつ、チルル、敦志、クインの馬が用意された。
 矢を背負い、馬に跨りスタート地点に居並ぶ姿は壮観―――な、筈が。
「ふふん、僕に出来ないことなんてないのさ」
 自信満々に馬に跨ろうとした直後から、クインは悪戦苦闘してしまう。
「お先に行くぜっ」
「さあ! あたいの完璧な手綱捌きに任せろー!」
 チルルの自信と「馬は取り敢えず全速力」という作戦に根拠は一切ないが、勝負は敦志とチルルの一騎打ちとなった。
 馬の蹄が砂を掻き、地を駆る。ごうっ、と耳を風に塞がれる。
 的はゴールまでに三つ。その一つ目が見えて来た。
 体重の軽いチルルの馬の方が若干早く的を捕える。
 手綱を離す瞬間は緊張したが、的を狙い弓をいっぱいに引き、射る。
 狙いを絞ったつもりでも、流石にチルルの一回目は的の端に刺さるだけだった。否、それでも上出来なのだが。
 その直後に敦志の放つ矢が的にタンッと刺さる。なんと真ん中から僅かに逸れているだけだ。
「次の的はどこっ?」
 馬は止まることなく二つ目の的を目掛けて駆け抜ける。
 二人の瞳に更に真剣なものが宿る。
「ちょっ、大人しくしろ、うわぁー! 助けt……」
 咄嗟に馬にしがみ付き、更に馬を暴れさせてしまったクインの悲鳴は、後ろへ遠ざかって行くばかりであった…。

 その後、クインも気を取り直して挑戦し、合間にフルもおっかなびっくり、引き馬を体験した。
 流鏑馬の勝敗は、結果的にチルルが二つ目、三つ目と回を重ねるごとに要領を得たのかかなり良い位置を射たものの、一枚目の敦志の好プレーが効き、勝者は敦志となった。
「馬に乗れて面白かったわ!」
 馬と共に駆ける一体感は、勝敗よりも得るものがあったようだ。チルルは清々しく伸びをする。
 敦志も笑顔で頷いて、改めてフルをおぶって食べ歩きにでも行こうかと、その姿を探す。
 しかしフル姫の姿がない。
 その時、馬舎の向こうから悲鳴が聞こえた。
「アオー! 助けるのじゃー!」
 悲鳴を聞いて反射的に臨戦態勢に入るのは、ブレイカーの悲しき性である。
「偶には悪役と言うのも悪くない筈です」
 くノ一姿の雫(ja1894)が、配下(スタッフさん、ご協力有難うございます)と共にフルを人質にとっていた。
「ふふふ…、このお姫様を助けたければ、身代金を用意しなさい!」
「なに…ッ…!」
 そして小芝居に直ぐに乗ってしまうのは、久遠ヶ原の学生の性である。たぶん。
 今日のフルの扮装は曲がりなりにも、姫。姫を助けるだけの金など、どうやっても用意は出来ない。
 雫の忍者姿は可愛いが、人質救出は力ずくで行くしかないのか…ッ。
「お饅頭を要求します!」
 まんじゅう。
「売っているお饅頭、全種類です!」
 おもむろに、クインが遊技場の地図をびらりと広げる。
 饅頭屋の数を数えて行く。
(……地味に、…多い……)
 流鏑馬を楽しんだ三人が、地図の上の飲食店の数と土産物屋の数をざっくりと数えながら無表情になる。
「無理よ!」
 チルルがばっさりと切り捨てると、雫はそもそも悪役に慣れていないので、素直に無理かー、と思った。
「じゃあ、最低でも三つ!」
 雫は三本の指を立て、ばーん、と力強く主張した。
「我の価値は饅頭三つかや!?」
 憤慨して暴れだすフルを見かねて、敦志はどっと息を吐いた。
「わかった、わかった。皆で饅頭食いに行こうぜ。な?」
 かくして、お江戸の平和は敦志おにーさんの優しさによって保たれた。
 しかし、まだ別の悪が潜んでいると、この時、誰が予想しただろうか…。
 ちなみに後日、馬に乗った者に襲いかかる筋肉痛も、まだ遠くで息をひそめている―――。




●花魁道中
「華やかでいいねぇ〜…」
 茶屋の二階から、一人の花魁が小物の長煙管を手に、江戸の町を眺める。森浦 萌々佳(ja0835)だ。
 雰囲気に酔っているようで、普段のヒロイン的微笑みは今はなく、すっかり気だるげだ。
 そこに梅ヶ枝 寿(ja2303)が顔を出す。四方八方丸く収まるってェ寸法で、と当時の幇間は頭を丸めていたのに倣い、ハゲヅラを被る気合いの入りよう。ちゃんとハゲヅラの端にトレードマークの花ピンを留めるのは忘れない。
「花魁、お時間で」
 萌々佳は頷き、腰を上げた。
 玄関口では男衆役として参加する桐生 直哉(ja3043)が大ぶりの傘を手に待っていた。
「さぁさ皆々様 これなるは吉原の花 萌々佳太夫の道中でござい!」
 寿は店先に出ると声を張り上げる。
「音に聞こえし花魁の 目にも綾なる艶姿 見逃すは一生の損だよ!」
 捲られる大暖簾。普段道中を見世物にしているスタッフも手伝い、遊女見習いの若い振り袖姿の少女たちも花を添え、現れるのは白と紫の鮮やかな着物に煌びやかな櫛飾りで着飾った萌々佳である。
 高下駄を履いた足を一歩、また一歩、と外へ半円を描きながら歩み出すと、みるみる間に人だかりが出来た。
 いよッ、太夫!、と景気の良い声が飛び、その声がまた人を呼ぶ。
「また派手に騒いでるな」
 浪人風情に身をやつし茶屋の店先で寛いでいた癸乃 紫翠(ja3832)も、騒ぎに気づき、腰を上げてスマホを起動させる。
 妹のように親しくしているフランス人の友人から、写メを撮って来てと強請られているのだ。
「外国から見ると、未だにこういうの好きなんだな」
 大判小判の降り注ぐ浮世と美貌を見せつけるが如く、お江戸を練り歩く花魁道中。
「まさに江戸の華か」
 きっとこれも喜ぶに違いない。動画に切り替えて撮影を始める。
 しかし撮影具合を確かめるため画面を見ていると、不意ににゅっと全面に寿のハゲヅラが写り込んだ。
「ヨッ! すーさん色男☆ 撮るなら先に俺に撮影代をだな…」
「こ〜と〜ぶ〜き〜」
「いでででででででッ」
 肝心な太夫が写らずにハゲヅラ満載の動画になってしまった恨みを込め、寿のこめかみを力強くグリグリすると、調子よく寿は御代を諦め紫翠の元を逃げ出し戻って行った。
「これはかなり興味深いですね」
 瓦版屋に扮し、生徒たちの思い描く江戸、この遊技場が提供している江戸、そして文献に残されている江戸との比較に勤しんでいたグラン(ja1111)は、早速その光景を手元にメモする。後日、真面目にこの日のことをレポートに纏めてくれるのは彼しかいない。そんな気がする。
 なんせ萌々佳太夫に後ろから大傘を差し掛ける大役を担う直哉も、一件真面目に自分の役割をこなしているように見えて、内心は寿のハゲヅラと辺りから漂う良い出店の良い匂いに気を取られている始末なのだ。
 本当に江戸時代に来たみたいだなー、と思いながら道中を見物している友人のしきみが美味しそうにあんこの串団子を頬張っているのが視界に入ると、直哉の理性は脆くも簡単に崩れた。自らの欲望に素直に従い、向かう足先を変える。
「串団子、三本下さい」
 こいつハラペコだ。
 堂々買い食いである。
 何食わぬ顔で、いや、団子を頬張ってもぐもぐ食っている訳だが、道中に戻る。
 改めて先頭でやんややんやと歩いていた寿に流石に気づかれ怒られた。
 反省したような顔を見せるが、もぐもぐしながら今がチャンスだと寿のハゲヅラも撫でておく。
 ちなみにこの直後、見物に来ていたユリウスが萌々佳の気だるげな流し目にあい、今度こそ鼻から青春という名の鮮血を
大量に溢れさせ、倒れた。
 これぞ江戸のハナ、はハナでも、鼻血、であった。



●大事件!
 江戸のグルメはまだまだ尽きない。
 ファストフードの時代であり、天麩羅も寿司も、お馴染みの蕎麦などに並び、屋台で出されていた庶民の楽しみだ。
 おでんも、そのひとつである。
「旦那、そこの旦那! 当時の味を再現したおでん『煮込み田楽』だよ、ちょっと食べてみないかい?」
 『おでん かんざけ』と暖簾を出した屋台から、味醂や醤油の食欲をそそる良い香りが漂ってくる。
 屋台を借り受け、当時の味を再現し濃い味におでんを煮込んだ土方 勇(ja3751)が切り盛りをしていた。
 部活でも自らおでん屋を出している勇が拘って取り組んでいるのだから、味は上等。繁盛する屋台を、メフィス・エナ(ja7041)も町娘の着物を着込み、襷に前掛けという看板娘姿で手伝っている。
「時代劇って言ったら、これよねー!」
「可愛い売り子さんが居てくれるだけで、売り上げがうなぎのぼりだね!」
 顔を笑みでますますふくふくとさせ、勇は品切れにならないようにいそいそと働いていた。
 しかし繁盛店は目を付けられやすい。
「えらい儲かりようやないですかー、土方さーん」
 和やかにおでんを楽しむ客の会話を遮り、上方訛りの声が通る。
 黒の上等な羽織に、扇子を扇ぎながら不敵な笑みを浮かべた亀山 淳紅(ja2261)が現れた。
 天下の台所から商売の手を江戸にまで広げやってきた、この辺りでは有名なやり手の極悪商人…に扮している。
「亀山屋の…!」
 勇は顔色を変え、屋台の裏から表に回ってしきりに頭を下げる。
「お陰様です。この通り、店は繁盛してます。ですから…」
「それやったら直ぐにお貸しした十五両、耳を揃えてお支払い頂けますねぇ?」
 言い分を最後まで聞かず、畳み掛ける亀山屋。
 おでんを食べていた客たちも不穏な空気を感じとる。
 片付いた皿を運ぼうとしていたメフィスも、何事かと手を止めて二人を見比べた。
「お借りしたのは五両のはず…!」
「そら利子ってもんがありますやろー。猫でも知ってることですわ」
 パチンッと亀山屋が扇子を畳み、その先で勇の肩先を嫌味たっぷりにトントンと叩く。
「土方さーん、ええ加減返してもらわんと困るんですよー? こっちも商売なんでねぇ」
 そしてお約束の展開である。
「払えんやったら、代わりにこのお嬢さんに来てもらうしかないなー」
「えっ?」
 突然の展開だけでなく矛先まで向けられ、メフィスは心底驚いた声をあげる。
 彼女は正真正銘、この流れを全く聞かされていない純粋な売り子さんだったのだ。
 和風の花飾りが儚く揺れ、戸惑った、直後。
「待ちな!」
 ハゲヅラが亀山屋の手首目掛けて飛んで来た!
「だ、誰や!」
 ハゲヅラで出ているのは今回ひとりだけです。
「この梅さんの花ヘアピン、散らせるモンなら散らしてみねぃ!」
 案の定、寿だ。ヅラを投げ切ったままの姿勢で、髪に挿したヘアピンをビシィッと示し、ポーズを付けていた。
 その脇からずっとヅラに興味を示している男・直哉がひょいと現れ、未だに何かもぐもぐしながら、弾けて飛んだヅラを拾い上げる。
 そしておもむろに勇の頭にカポッと嵌めた。
 もぐもぐしながら、グ、と親指を立てる。ヅラやるからおでんくれ、と伝えたいようだ。
 うん、今それどころじゃないんだ。
 勇が涙を流しながらハゲヅラを被らされたまま笑顔でサムズアップ。
「話は聞かせてもらったわ…。白昼堂々、弱い者いじめはおよしなさいよ」
 やっと頼りになりそうな人が現れた!
 町娘の姿で、おでんの屋台を楽しんでいた高虎 寧(ja0416)である。
 偶然居合わせただけではあるが、お約束的展開に流れは心得たも同然だ。
 バッと黄色の小袖を一瞬にして脱ぎ捨てた彼女は、女忍者に早変わり。
 由緒正しき武術に秀でた血族の出であり、学園では鬼道忍軍として活躍する生粋の忍者。ある意味本物である。
 折良くスタッフから槍が投げ渡されると、そちらには視線も繰れずに華麗な手さばきで受け取り、ビュッ、と重く空気を斬る音を響かせ、亀山屋の鼻先に突きつける。
「な、何やあんた。邪魔するいうんか! …ッ、せんせ、お願いします!」
 やはり悪党! 一人ではなかった!
 展開についていけないメフィスが息を飲み、勇はなんとか借り物の屋台だけは守ろうと、ハゲヅラのまま涙目で屋台を背に庇う。槍を手にした寧はその先にまで意識を集中させ、寿は未だにポーズを決め、直哉はもぐもぐしている。
 そこに、ざり、と砂を踏み、狂気混じりの殺気を纏った亀山屋の用心棒が現れた。
 しかし幾ら左右に視線を振っても、用心棒らしき逞しい風体の輩は見つからない。
「…小ッさ!?」
「あ、黒百合だー!」
 視線を左右ではなく上下に移動させると、用心棒役の先生は、いた。
 身長は133センチ、初等部6年。これからの成長にまだまだ期待☆の黒百合(ja0422)だ。
 メフィスはなんだ知り合いかーとホッとして気安く手を振る。
 振っちゃらめぇー!とメフィス以上にお約束を理解している野次馬の総ツッコミは伝わらない。
 そんな周りも一瞬、着流し姿の細身の美少女には、つい「かわいー」などと言いそうになる。
 が、次の瞬間、その場は凍りついた。
「今、小さいィ、って言った連中は前に出ろォ! 一家親戚まとめて辻斬りしてやるから、まずは首晒せェ!」
 黒百合はすぅっと息を吸うと、その外見を華麗に裏切り模造刀を引き抜きブチギレたのだ。
 どす黒い狂気は人一倍。黒百合ちゃんはこういう子です。
「ヤラレ役だと思って先生なめんじゃねいぞォ、おらァ!!」
 まずはお前か、と獲物を持つ寧に向かい、槍の間合いを物ともせずに踏み込む黒百合。
 方向性は激しく間違えているが、兎にも角にも、踏み出すと同時に始まる渾身の殺陣。
 片やブチギレ、片やぶっつけ本番なのだから迫力満点だ。
 反射的に地を蹴り、宙に身を翻して躱す寧。
 アクロバティック且つ息もつかせぬ派手な二人の立ち回りを見せつけられ、喝采に沸く観衆。
 おでんをもぐもぐする直哉。
 え、俺にも、と食べ始める寿。
 うめえ、お前も喰ってみ、と食べさせられる亀山屋こと淳紅。
 オススメこれよー、と皿に盛るメフィス。
「ちゃんと御代払ってね!?」
 濃い味に煮込んだおでんより、おでん屋・勇の涙が一番しょっぱかったという。


「…っ、今日のところはこれぐらいにしといたるわ!」
 うっかり和やかになりかけた所で、立ち回りが山場を迎えたのを感じると、悪徳商人・亀山屋は本来の目的を思い出し、捨て台詞と共に踵を返した。
 大立ち回りも大盛況。黒百合もちゃっかりと手土産におでんをもらってから、じりじりと下がり、やがて引き上げる。
 思った以上の殺陣を繰り広げた寧は、ふう、と額の汗を拭う。
 そして悪役を追い払い更に大きくなる観客からの声援に笑むと、最後の仕上げとばかりに脱ぎ捨てた町娘の着物を拾い上げ、同時に伸びやかに屈伸し、近くの瓦屋根の上へ目掛け跳躍する。
 たちまちに宙へ姿を消した寧に、本物の忍者だ!と子供の目が輝いた。
 屋根の上で改めて着物に袖を通しながらその声を聞き、寧はふっと微笑む。
 美味しいものも食べたし、運動もしたし、あとは昼寝でもしようか――そんな事を考えつつ、帯を結ぶ。
 その時。
「…動くな」
 背後に、気配。
 立ち回りを演じた達成感が勘を鈍らせたか。屋根の上に人がいるとは思わず油断をしたか。
 否、確かに自分が上がって来た時は誰もいなかった。
 声の主が意図的に気配を消し切って、距離を詰めたのだ。
「動けば、切る」
 脅しを含む冷たい声音に、反射的に寧は身を固める。
 何奴―――――!
 いざとなれば四肢のいずれかを犠牲にしてでも、致命傷だけは免れその顔を確かめ…。
 そう覚悟を決めたところで、背後の気配がふっと緩んだ。
「なんてね、冗談だよ」
 振り向くと、黒い忍装束に身を包んだ影野 恭弥(ja0018)が立っていた。
 屋根の上で何を、などという質問はお互い様である。
 恭弥はちょっとした悪戯が成功して満足したらしく、また撃退士の身体能力を活かし、寧を残してひょいひょいと音も立てずに隣の屋根瓦へと飛び移って行った。
 しかし更にその向こうの屋根へ、と軽やかに飛び立とうとしたところで、途中で止める。
 直哉の視線は一点を捕えていた。
 思わずまだ呆然としていた寧も気を取り直し、恭弥の視線を辿る。
 するとそこには父親の絵を担いだレオタード、もとい、千両箱を担いだ忍装束の三人がいた。
 噂の女盗賊衆<猫の目>こと、レフニー、静、そして女装し、くノ一・ヤトになった夜刀彦だ。
「待ちやがれ!」
 下の路地を龍仁とグラルスが追いかけている。
 遠くからは「御用だ!御用だ!」と更に大勢が提灯を手に追いかけていた。
 猫の目の三人も千両箱を抱えたまましつこく追い掛け回されては体力が続かない。
 仕方あるまい。
 三人は目配せをすると、鮮やかに路地へ降り立った。
「決着をつけるしかないようです」
 レフニーが手首を返し、胡蝶扇を鮮やかに開いた。
 静も小太刀をすらりと引き抜く。
 そして息を切らし辿り着く龍仁とグラルスを前にし、すう、とヤトの身が二つ、そして三つへと別れて行く。
「ふふ、捕まえられて?」
 艶やかな声と共に披露されるのは、分身の術だ。
 惑わされかけるが、龍仁とグラルスも刀を抜いた。
「今日こそ、神妙にお縄に付きやがれ!」
 長屋の戸板を震わせる程、気迫の籠った龍仁の慟哭を合図に全員が動く。
 レフニーの脇腹を狙い、下段から跳ね上げられるグラルスの刀身。それをレフニーは扇で躱す。
 矢継ぎ早にグラルスの手から刀を取り上げてしまおうと、ヤトの分身の一人が居場所を掴ませぬ侭、一気にグラルスへ間合いを詰める。危ない。誰もが息を飲んだ。
 しかしそうはさせるかと、傍らから二刀流の龍仁の刀が二つの角度からヤトを突きに掛かる。
 それを寸でのところで刀身で弾いたのは静だ。
「女だからって甘く見ないで下さいね」
「そう簡単に捕まる三姉妹じゃないのですよ、ゴウラの旦那〜!」
 レフニーの扇が舞う。それを二本の刀で受け止めた龍仁の背後に否が応でも隙が出来る。
 ヤトの一人が華麗と呼べる動きで、上段からの回し蹴りを龍仁の後頭部目掛けて叩き込もうとした。
「旦那!」
 今度はそれをグラルスが救う。蹴りが入る直前に、グラルスの刃がヤトを袈裟斬りにする。
 しかし空を切った。分身だったのだ。
 ちなみにこの殺陣のお稽古を、彼らは事前にプロから習い、みっちり30分、真剣に練習しました。
 初めは猫の目が優勢に見えた。しかし千両箱を抱えての大立ち回りである。
 疲労は先に猫の目の三人を蝕んだ。龍仁たちに勝機が巡る。
「仕方ありません! 今日の所は逃げましょう!」
 静が決断し、再び屋根の上へ舞い上がろうとする。
「させるかッ!」
 龍仁の刀が片方、矢のように静目掛けて空を裂く。咄嗟に静は千両箱でそれを防いだ。
 ただ、防いだは防いだが、その拍子に鍵が外れ、小判がざらりと金の滝のように流れ出た。
「いけない…! お宝が…ッ!」
 ヤトが声をあげるが、溢れだした大判小判に、最も敏感に反応したのは野次馬だった。
 それまで撃退士ならではの捕り物劇を見物していた観客が、目の色を変え流れ落ちる小判へ殺到する。
「義賊だ! 猫の目は庶民の味方だ!!」
「何言ってやがる、盗んだ金だァ!」
「金に名前は書いちゃいねえよ!」
 長屋の路地は舞い降る小判を一枚でも多く掻き集めようとする町民でもみくちゃになった。
 そうして人々の注意が逸れている内に、三人は屋根の向こうへ姿を消した。
 龍仁とグラルスはお江戸の空を仰ぎながら舌を打つ…。
 この大芝居が、同じものをもう一度やって欲しいと評判を呼んで騒ぎになるのは、また、後のお話。




●大団円
 陽も傾き、江戸を模した町の提灯に火が入る。
 陽の下では精巧な作り物なのだと思っていたはずのものも、軒先の輪郭と共に朧になる。
 本当に時代を超えてしまったかのようだ。
 グランは、揺れる川辺の柳を橋から眺めつつ、今日の事を纏めていた。
(どちらかといえば、時代劇に見られる江戸時代のような傾向が強いでしょうか)
 皆の楽しみ方は時代劇の影響が大いに見られた。それは、繰り返し物語の舞台に取り上げられるほど、魅力的な、ビックリ箱のような文化なのだという裏付けでもあるかもしれない。
 そんなグランの脇に、一日中走り回って相撲関係のものを探した桜が、疲れ果てた様子で橋の欄干に身を寄せる。
 結局相撲関係のものは、錦絵と番付しか見つけられなかったのだ。
 思わずため息をつきそうになるが、それを飲みこんで自ら頬をぱんぱんっと叩き、気合いを入れ直す。
 町家の中に番付が貼ってあったのは、やはりこの時代から相撲が愛されていた文化である証拠なのだ。
 自分が大好きなものが、江戸の時代にも根付いていたことを実感する。
「うん、楽しかった!」
 お相撲自体は見られなかったけれど、充実していて、そしてどこか不思議な一日だった。
 そんな思いを込めて顔を上げた桜の顔に、パッと赤い光が照る。
 吉原大門を模した門を潜っていたアーレイも、光につられて空を見上げた。
 恭弥のいる屋根の上は、一番の特等席かもしれない。
「本物の、江戸の花、か」
 紫翠も、通りかかった橋の上から空を仰ぐ。
 暮れた空に、一日を締めくくる大輪の花が咲く。
 たまや、かぎや、の掛け声が、あちこちから威勢良く上がる。
 次に金色の花火が大きく開き輝くと同時、紫翠は江戸の空を撮りおさめた。

 これにて、めでたし、めでたし。


依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: −
重体: −
面白かった!:14人

God of Snipe・
影野 恭弥(ja0018)

卒業 男 インフィルトレイター
伝説の撃退士・
雪室 チルル(ja0220)

大学部1年4組 女 ルインズブレイド
己が魂を貫く者・
アーレイ・バーグ(ja0276)

大学部4年168組 女 ダアト
先駆けるモノ・
高虎 寧(ja0416)

大学部4年72組 女 鬼道忍軍
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
雷よりも速い風・
グラルス・ガリアクルーズ(ja0505)

大学部5年101組 男 ダアト
仁義なき天使の微笑み・
森浦 萌々佳(ja0835)

卒業 女 ディバインナイト
厨房の魔術師・
如月 敦志(ja0941)

大学部7年133組 男 アカシックレコーダー:タイプB
天つ彩風『探風』・
グラン(ja1111)

大学部7年175組 男 ダアト
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
歌謡い・
亀山 淳紅(ja2261)

卒業 男 ダアト
哀の戦士・
梅ヶ枝 寿(ja2303)

卒業 男 阿修羅
読みて騙りて現想狂話・
鬼燈 しきみ(ja3040)

大学部5年204組 女 鬼道忍軍
未来へ願う・
桐生 直哉(ja3043)

卒業 男 阿修羅
縁の下の力持ち・
土方 勇(ja3751)

大学部4年5組 男 インフィルトレイター
愛妻家・
癸乃 紫翠(ja3832)

大学部7年107組 男 阿修羅
世界でただ1人の貴方へ・
氷雨 静(ja4221)

大学部4年62組 女 ダアト
『封都』参加撃退士・
ユリウス・ヴィッテルスバッハ(ja4941)

大学部5年4組 男 ディバインナイト
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
災禍祓いし常闇の明星・
東城 夜刀彦(ja6047)

大学部4年73組 男 鬼道忍軍
序二段・
丁嵐 桜(ja6549)

大学部1年7組 女 阿修羅
押すなよ?絶対押すなよ?・
メフィス・ロットハール(ja7041)

大学部7年107組 女 ルインズブレイド
使命を帯びし神の子・
フル・ニート(ja7080)

高等部3年4組 女 アストラルヴァンガード
眼鏡は世界を救う・
クインV・リヒテンシュタイン(ja8087)

大学部3年165組 男 ダアト
撃退士・
強羅 龍仁(ja8161)

大学部7年141組 男 アストラルヴァンガード