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マスター:神無月ゆうめ
シナリオ形態:シリーズ
難易度:難しい
参加人数:6人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2014/09/08


みんなの思い出



オープニング

●依頼達成?
 すみれはふっと息を吐き、目の前の天魔の亡骸を見つめた。
 疲労というよりは緊張のせいだろうか。息があがって肩が激しく上下する。心臓の音がうるさい。でも、終わった。天魔退治の依頼を達成したんだ。

「ほら、無茶なんかじゃないじゃない……」

 同行した仲間達に振り返り、勝利を喜ぶ。
 足は引っ張ったかもしれない。でも、自分だって戦えたというのが嬉しかった。

 その時、仲間の1人が首を傾げた。

「ねえ、あれってゲートじゃない?」

 仲間に言われた方を向くと、確かに遠くの方に空中に浮かんでいる物体がある。今倒した奴らは、あれを護るために生み出されたのだろうか。

「今からゲートはちょっと厳しいな。そこそこ消耗してるし、一回引き上げて報告しよう」
『それは困るな』

 ばさりと羽の音が響くと同時に、空から影が差した。
 聞き覚えのある声。冷や汗が額から顎のラインを伝った。

『折角作ったばかりだというのに、目障りな事だ』

 金の髪と青い瞳に冷たい笑み。
 間違いなく、この前墓地を荒らしたサーバントをけしかけた天使だった。

「あ……あんたは、この前の……!」
「おい……こいつ天使か……?何でこんな所に」
「皆逃げるの!あと、早く学園に連絡を!」

 慌しく仲間達が駆け出す。連絡を入れたのは結局誰だったのかよく覚えていない。

『遊んでやろう、餌にもならん人間達よ』
「やめてえーっ!」

 ただ、無慈悲な天使の声が耳の奥に残って。

 倒さなきゃ。
 皆を傷つける奴を。
 幸せも平穏も奪うあいつを。
 誰ももう傷つけないで。
 これ以上、奪わないで。


●少し前の話
 依頼斡旋所。いつもそこで働いている鈴木さくらは、珍しくすみれと言い合いをしていた。

「ねえ、やっぱりまだ早いんじゃない?」

 心配そうにそう問いかけるさくらに、すみれはきつい眼差しで答える。

「そんなこと言ってたらいつまで経っても強くなれないでしょ。それに私だけで行くわけじゃないんだから、お母さんは心配しすぎよ」

 里帰りの日から数日。鈴木すみれは今まで避けていた天魔退治を受けた。
 正確にいえば、今までさくらに止められていたのを振り切って参加したのである。

 すみれの言う通り、彼女は未熟でも撃退士。過保護だと言われればそうなのだろう。

 だが、不安になる。
 すみれの笑顔が減った。思い詰めたような表情が増えた。

「……この前の天使を、探してるの?」
「……あんなふざけた奴を、放ったらかしにしていいっていうの?」
「そうは言ってないわ、けど……」
「私がやらなくちゃダメなの」

 『すみれがやる必要はない』と言おうとしたさくらの言葉を遮る。

「お父さんのためにも、お父さんみたいな人を出さないためにも」

 きつい眼差しのまま去っていったすみれ。残されたさくらが溜息を吐く。

「ああ、もう」

 止められなかった。

 手元には、すみれが参加した依頼の資料。
 天魔退治の依頼。場所は、この前の墓地の近く。

 嫌な予感がする。でも、自分が一緒にいったところで護りきれる力はない。

「皆の連絡先聞いておくんだったわ……」

 この前助けに来てくれた皆なら、力になってくれたかもしれないのに。
 歯噛みして、ただ祈る。

 すみれが無事帰ってくること。
 誰かがすみれの力になってくれること。

 この嫌な予感が外れることを。


 さくらの祈りも空しく、学園に緊急の救助要請が入ったのは、その少し後の事だった。


前回のシナリオを見る


リプレイ本文


 すみれ達が危ない。
 硬い表情のまま状況を説明しおわったさくらに、藤井 雪彦(jb4731)が安心させるよう笑いかけた。

「大丈夫!ボク達に任せて♪さくらさんっ☆」
「雪彦君、お願いね……」

 僅かに震えるその手を、自らの手で握りしめるさくら。
 その心配そうな様子を見て、砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)が呟く。

「天使とぶつかっちゃったか。急いで助けに行かなきゃね」
「誰一人の例外もありません。全員連れて帰ります!」

 テレジア・ホルシュタイン(ja1526)が、らしからぬ強い語気で宣言する。雪彦もそれに頷いた。

「絶対に助ける!待ってて、すみれちゃん!!」


 一行は転移後、現地へ急ぎながらレンタカーの中で市街地に救急車両の手配をした。
 まだ最悪の事態が起きていない事を祈りながら走行していると、広い道路の上に佇む幾つかの人影を発見する。急ブレーキで近くの建物の影に停めると同時に飛び出した。

「助けに来たよ!」
『応援か?た、助かった…』

 駆けつけた一行に、人影達が振り返る。
 傷を負い、疲弊しきった顔の撃退士3人、気絶し地面に伏している2名。そして、冷ややかにこちらを見る天使と、満身創痍のまま天使と対峙し続けるすみれ。

「気絶してる方は私が運びます。早く後方へ」
『わ、解った。だけど、鈴木さんが…』

 改めて見回すと、すみれだけ、左腕を力なくぶらさげながらも天使を睨み付け、残った右手で剣を握りしめている。

「私は戦うわ」
「これ以上傷を負えば、撃退士として再起不能になるかもしれません。そうなれば、二度と戦えなくなるのですよ? あなたの為にも、あなたの帰りを待っている人の為にも、今は退くべきです」
「嫌!もう嫌なの!あいつは、私が…!」

 テレジアの言葉に頭を振り、叫ぶ。
 興奮していて、言葉が届かない。今の状況をどれだけ把握出来ているのかは解らないが、今にも倒れそうな体を怒りの感情で支えているのが見てとれた。
 気にはなるが、ここで手間取って犠牲者を出したくはない。仲間が説得してくれることを信じ、テレジアは気絶者の1人を背負って全力跳躍で退いた。

 そんなすみれの様子に恙祓 篝(jb7851)は溜め息をつくと、すみれを押し退けながら前に立つ。

「おい、今のお前は邪魔だから下がってろ」
「なっ…」

 すみれが言い返そうとしたが、篝の険しい表情に言葉が詰まる。

(無茶すんなっつったのに。腹立つ。天使も、すみれも)

 すみれの感情を理解出来ない自分にも。

『援軍か。全く、人間は群れるのが厄介だな』

 しまっていた翼を広げふわりと浮かび上がる天使。それからすみれ達を庇うように、撃退士達が立ちはだかる。

「よう。また会ったな…って一々覚えてないか?…今度は俺が遊んでやるよ」

 ジョン・ドゥ(jb9083)が闇の翼で空に浮き上がりながら不敵に笑う。

『…お前達はどうやら、邪魔をするのが趣味のようだな』
「…あの時の外道か。俺は旅団【カラード】の長、リョウだ。名乗れ。戦の作法も知らないか?それとも名乗るほどの名も持ち合せ無い小物なのか?」

 リョウ(ja0563)が挑発するように話しかけた。
 相手の強さは未知。自分達が到着する迄に犠牲者が出なかった事を考えれば滅茶苦茶な強さではないのだろうが、重体者達を庇いながらの戦いは厳しい。何とか、こちらに気を引きつけておきたい。
 その意図に気付いたかは解らないが、天使は眉をぴくりと動かした。

『…人間風情が吠えることよ。我が名はニドルグ。この名をその身に刻んでやろう』

 悠然と笑み、その手に煌びやかな大剣を持ちながら名乗る。同時に、すみれの顔から血の気が引いた。
 今更恐怖したわけではない。ただ、まるで聞いてはいけないものを聞いてしまったかのように立ち竦む。

「そんな……嘘でしょ……?本当に、あんたが……?」
『……まず、死に損ないを始末せねばな。そこをどいてもらおうか』

 ニドルグが、立ち塞がっているリョウに向けて軽く剣を振るう。リョウはそれを受け止めながら、棒立ち状態のすみれに向けて叫んだ。

「ぼさっとするな鈴木すみれ!退くんだ!」

 叱咤にびくりと我に帰る。だが、すみれに退く様子は無い。

「……ダメなの。こいつは……こいつだけは私がやっつけなきゃ…!」
「すみれちゃん」

 なりふり構わず前に進もうとしたすみれを雪彦が引き留める。
 そして、左腕には触れないようにしつつぎゅうっと抱き締めた。

「へ、な、何!?」
「よしよ〜し♪落ち着いて。怒りは力になるけど、頭は冷静に…じゃないと空回っちゃうよ?七夕に願った護りたいものを大切にするには…自分自身も護れないとね」

 温かい。

 抱き締められて、すみれの体から力が抜けていく。血が流れ、緊張で冷え切っていた体に温もりと麻痺していた感覚が戻ってきて、体中がズキズキと痛む事に今更気付いた。

「ボク達に任せて…先輩ヅラさせてよね♪」
「雪彦先輩…」

 落ち着いてきた様子のすみれに、ジェンティアンも声をかけた。

「復讐を否定はしないよ。久遠ヶ原にはそんな子いくらでもいる。けどね、それは『生きている』から出来ることだよね。このまま退かなければ死ぬことくらい、鈴木ちゃんでも分かるでしょ。戦いたいなら生き抜くんだね」

 柔らかな声音ながらも瞳は鋭く天使を見据えて、コメットを放つ。降り注ぐ無数の彗星をニドルグは軽く旋回して避けた。
 続き、リョウが弓を射ながら言い聞かせる。

「何故自分以外を頼ろうとしない。君の命の懸け所は今こんな所では無いだろう。君の命や渇望は、こんな所で投げ捨てて良い程度のものか?」

 すり抜けていた皆の声が、ようやくすみれの中に入っていった。
 死ぬかもしれないという事にすら目を逸らし、自分だけで戦おうとしていた。その事に気付かされた。

「ごめん、なさい」

 それしか言葉にならなかった。

 雪彦が手を離しながら笑いかける。

「よし、下がろう!」

 後退するため重体者たちにも韋駄天をかけながら、もう1人の気絶者を背負ってテレジアの後を追う。
 それを黙って見逃すつもりはニドルグにはない。だが、撃退士達も追撃を許すつもりはなかった。

 篝が双銃をニドルグへ向ける。

「俺らの相手してもらうぜ、クソ天使。てめぇはアイツの元へ行かせねぇよ」


 怪我を庇いながら後退する重体者達と雪彦。
 先行していたテレジアが往復してきたところと鉢合わせた。

「藤井さん、抱えるのを交代します。治癒をかけてさしあげて下さい」
「了解♪」

 そこですみれと目が合って、無事退いてくれた事にふっと笑みが漏れた。

 テレジアに微笑まれたすみれは、先程いう事を聞かず迷惑をかけたことを思い出して、ばつが悪そうに視線を下げる。
 それを気にした様子もなく、テレジアは急ぎ要件を伝えた。

「気絶者はあちらの建物の影に避難させました。近くに車を待機させてますから、そちらまで頑張ってください」
「わ、解ったわ」
「もう少しだよ、頑張って」

 雪彦が治癒膏をかけ励ます。浅い傷が治るだけかもしれないが、少しでも気持ちが楽になればいい。

 大丈夫、安心して。
 その気持ちが、皆に、すみれに伝わるように祈りながら。


 戦いが始まっていた。
 空を飛ぶニドルグに、銃や弓で牽制する。それを避けたところを狙ってジョンが拳を打ち込んだ。

『悪魔の分際で生意気な』

 ジョンに対し高度を上げながら下から斬り上げてくる。足から腹にかけてを深く斬られ、痛みに声が詰まった。何とか翼を頼りに反撃するが、力が入らない。
 それをサポートするように地上から攻撃をかける。

「ま、僕らとゆっくりしてってよ、天使ちゃん☆」

 ジェンティアンが髪芝居を放つが、ニドルグの動きが衰える様子はない。

『効かぬな』
「ならこれでも喰らっとけ!」

 そうして油断しているニドルグの翼を、銃から放たれた弾が射抜いた。
 羽根が数枚、はらはらと散る。

『私の翼を…おのれ!』

 ニドルグが地上に降下しながら、その勢いのままに篝に斬りかかった。リョウが咄嗟に防壁陣を張るが、受け止めきれず魔具の上から上半身を斜めに斬り裂かれる。
 そのまま地上に着地するニドルグ。冗談じゃなく痛むが、天使を地上に引き摺り下ろした対価と思えば安いものだ。

 武器を切り替えながら、一気に詰め寄るリョウと篝。ジョンが斧槍で空から圧力をかけ、ジェンティアンがワイヤーで翻弄する。かわされても、畳み掛けるように波状に攻撃を重ねた。

「おまけだよ!」
『毒など無駄だ!』

 蛇の幻影を振り払うが、そこを追い打つように攻撃してきたリョウの槍がニドルグの肩口を裂いた。その痛みに抗うように剣が振り下ろされ、痛み分けのようにリョウの肩からも血が流れる。

 そうして戦っている所にテレジアと、少し遅れて雪彦が駆けつけてくる。無事に避難が終わったのだ。
 それに気付いたニドルグは、建物の影に隠れ見えなくなった彼らの姿の代わりに、目の前の撃退士達を忌々しく睨みつけた。

『……甘く見過ぎたか』

 肩が呼吸に合わせて僅かに上下する。
 侮り過ぎていた。ゲートの作成に力を使っていたとはいえ、ここまでてこずるとは。

「ゲート作成後でお疲れなのでしょう?少々集中が途切れていますよ?」

 テレジアが弓を構えながら、わざと煽るように言葉を放った。

『チィッ』

 顔を歪ませ舌打ちする。
 ニドルグの意識が逸れているのを見て、すかさずジョンが斧槍を大きく振り回した。

「折角だ。翼か腕、片方置いていけ!! 」

 翼を庇いステップでよけるが、そのタイミングで篝が突っ込んでくる。真っ直ぐ突き出し引いた刀がニドルグの腹を鋭く裂いた。腹部が赤く染まっていく。

 予定外の傷に、自分より劣る筈の者に翻弄されたことに、天使は激昂した。

『はっ……、人間風情がァ!!』

 ニドルグが剣を地面に突き刺した。
 その地点を中心に、地面から金色の風のような激しい衝撃波が立ち昇る。空を飛んでいたジョンは難を逃れたが、近くにいた3人が巻き込まれた。

「くっ……」

 ジェンティアンは受けようと試みたが、吹き荒ぶ衝撃波に対応出来ず体を引き裂かれる。リョウは篝に防壁陣をかけながらも後方へ避けたが、その篝は衝撃波を直に喰らい、そのまま崩れ落ちるように倒れた。

 ニドルグはそれを見下ろし少しは溜飲が下がったのか、肩で大きく息をしながらもすっと目を細める。

『……リョウと言ったな。貴様達の事覚えておくぞ。次に会う時は、全力をもってお相手しよう』

 そう捨て台詞を吐くと、翼を大きく広げ、山道の奥へ消えていった。


 すっかり静かになった元戦場。ジェンティアンはスキルを活性化し直しすぐ、篝にライトヒールをかけた。
 幸い気絶しただけだったらしくすぐ目が覚め体に異常も無さそうだが、念のため重ねてかける。

「あー、いってぇ……」

 天使相手という事で覚悟はしていたが、痛いものは痛い。

「俺も回復頼んだ…」
「はいはい、今かけるよ」

 ふらふらしているジョンも回復してやる。リョウは自分でリジェネレーションをかけていた、すぐ全快するだろう。
 少しして、テレジアが戻ってきた。

「皆さんを救急車両までお送りしてきました。消防局の方が処置をしてくださってます」
「…すみれは?」
「腕は固定してもらったから帰るわ」

 予想外に早い登場に、雪彦が心配そうに眉を下げる。

「大丈夫なの〜?」
「先輩達に、話したいことあるから…帰りながら、いい?」


 一緒に車に乗り込んでも、暫く黙り込んでいたすみれ。レンタカーを返し、復路の電車の中で、ようやく口を開いた。

「……迷惑かけて、ごめんなさい」
「当たり前だ」

 篝が軽く拳骨をかまし、すみれがいたっと小さく声をあげる。

「…これだけは言わせてくれ。お前が居なくなったら、さくらさんは、今お前の抱えている感情の倍以上の苦しみを味わう。それだけは、忘れるな」

 残される者の辛さは篝にも解る。そしてそれを知っている筈のすみれがこんな無茶をしたことが篝には理解出来なかったし、腹立たしかった。

「…死ぬつもりとか、そんなんじゃなかったの。でも……結局、何も出来なかったわね」
「生きてたら『次』があるよ。現実を冷静に受け入れる、これ生き抜くために大事、ね?」

 そう髪をわしゃっと撫でるジェンティアン。すみれがくすぐったそうに目を閉じる。
 いまいち要領を得ないままのすみれに、ジョンが問いかけた。

「俺は説教する程できたヤツじゃないが…一つ訊きたい。すみれはこれからどうしたい。何故戦い何を望む?教えてくれないか。決まっていないなら、決まってないで良い」

 その質問に、すみれは深く深呼吸をしてゆっくりと話し出す。

「……私は、お父さんの仇を討ちたい。だけど、居場所も解らなかったし……戦うのも本当は怖くて。だから『アウルがちゃんと使いこなせるようになるまで討伐依頼に参加しない』っていうお母さんとの約束を守ってたわ」

 自分の気持ちを確かめるように語る。

「でも、これでいいのかなってずっと思ってた。そこにあいつが現れて…なんか、わけ解んなくなっちゃった。どうしてこんなひどいことをするの。理不尽だよ、あんまりだよ」

 すみれの中で父への想いが、復讐を果たせない事が、知らず罪悪感のように溜まっていた。
 そこに、それを晴らせる相手が現れたこと。そして、幼さ故理不尽な現実を受け止めきれなかったこと。目の前の仲間を助けられなかったこと。それが、ダムが決壊したかのように吹き出てしまった。

「戦いたい。護りたいよ。でも、誰も護れなかった。どうして私はこんなに弱いの」

 自分を責めながらそう吐露する。
 たどたどしい告白。全てを理解出来たわけでは無かったが、すみれ自身、自分の感情に苦しんでいることは伝わってきた。

「俺達だって奴を許すつもりはない。君が奴を倒したいと言うなら協力するし、強くなるための手助けだってする」
「無謀な事はすんな。それが守れるなら、俺もそれに協力するぜ」
「失敗してもいいんだ…取り返しがつかない事になんて、ボクがさせない。安心して強くなりなよ☆」

 3人の言葉に、すみれが顔をあげる。

「いいの……?」
「無茶されるよりよっぽどマシだ」

 篝の言葉に、少しだけ悩んでから。

「あのね……あいつの名前、聞いたよね?」

 皆で頷く。テレジアは名乗るところには居合わせなかったが、その後話を聞いていた。

「ええ、あの天使の名前がどうかしましたか?」
「お父さんの仇は、金髪碧眼のよくいる感じの天使って話で、正直見つからないんじゃないかって思ってた……。それ以外に解る手がかりは、そいつの名前だけ」

 ここまで言えば、名前が何を意味するのか、想像は容易い。
 すみれは椅子から立ち上がると、一行に向かって頭を下げた。

「お願いします。ニドルグを、お父さんの仇を討つのに協力してください」

続く


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 君との消えない思い出を・藤井 雪彦(jb4731)
重体: −
面白かった!:15人

約束を刻む者・
リョウ(ja0563)

大学部8年175組 男 鬼道忍軍
絆繋ぐ慈愛・
テレジア・ホルシュタイン(ja1526)

大学部4年144組 女 ルインズブレイド
君との消えない思い出を・
藤井 雪彦(jb4731)

卒業 男 陰陽師
ついに本気出した・
砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)

卒業 男 アストラルヴァンガード
炎刀を秘める者・
恙祓 篝(jb7851)

大学部2年35組 男 ナイトウォーカー
大切な思い出を紡ぐ・
ジョン・ドゥ(jb9083)

卒業 男 陰陽師