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マスター:STANZA
シナリオ形態:シリーズ
難易度:非常に難しい
形態:
参加人数:10人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2013/10/31


みんなの思い出



オープニング



「あンのクソカスどもがあぁぁっ!!!」
 アロンゲートの奥、透明なガラスに囲まれた一角。
 ますますヒートアップする主人を横目に、ツルギは相変わらず金ピカの鎧を磨いていた。
 先の戦いで受けた傷はかなり深かったが、幸い後を引く事もなく癒えた様だ。
 この主人に関して、その治療の技だけは素直に大したものだと、ツルギは思う。
 恐らくそれも、己の保身の為に磨き上げて来たのだろうが――

「……だが、まあ……お前のゲートは最初から囮にするつもりだったんだからな」
 落ち着きなく歩き回っていた足をピタリと止めると、アロンはひとつ深呼吸をした。
「バレたのが予定よりも少しばかり早かっただけだ」
 自分に言い聞かせる様に呟き、一人で納得した様にうんうんと頷く。
「それに元々、ここでのゲート展開はついでの様なものだしな」
 負け惜しみにしか聞こえないが、半分くらいは本当の事だ。
 主目的は勿論、あの蛇を痛めつける事――
 昔、途中で取り上げられてしまったオモチャ。
 まだ全然、遊び足りない。
「ヘマはしないさ、今度はな」
 あの時は加減が出来ずに足が付いてしまったが、今度は上手く立ち回ってやる。
「ゲートを一つ潰して……奴等、こっちを追い詰めた気でいるんだろうな」
 だが、そうじゃない。
 追い詰められているのはアロンではなく、リュールだ。
 アロンはただの、上から与えられた部下にすぎない。
 アロンの失敗はリュールの失敗。
 折角与えた部下を使いこなせず、戦果を上げられない無能な大天使。
 上はそう判断する。
「あのババア、降格になったりしてな」
 今回の任務が失敗したとしても、アロンの汚点になる事はない。
 それどころか昇格のチャンスもあると、上司は仄めかしていた。
 もしかしたら、立場が逆転する事も有り得ない話ではない。
 或いは作戦が上手く行き、予定通りに蛇を捕らえる事が出来たなら、それはそれで全く問題はなかった。
 捕らえた蛇をリュールの手で始末させ、自分はそれを高みの見物――それもまた良い。
「どっちに転んでも、俺は痛くも痒くもねぇんだよ」
 含み笑いを漏らしながら、アロンはゲートの出入口を見た。
「来いよ、カスども」
 今回は大人しく待っていてやる。
「せいぜい入念に準備して来るんだな」


――――――


『お前、つまんねぇよ』
 目の前にナイフをかざしながら、周囲を取り囲んだ誰かがが言った。
『何されても泣きもしねぇし怒りもしねぇ……お前、感情とかあんの?』
 少年は黙ったまま、じっと足元に視線を落としている。
 その態度が癇に障ったらしい。
『おい、何とか言えよ蛇!』
 腹に蹴りを入れられ、少年は膝を折った。
 けれど、何も言わない。
 それどころか穏やかな笑みを浮かべていた。
「気の済むまで……どうぞ、なのです」
 その一言が火に油を注ぎ、四方八方から蹴りが飛んで来る。
 裸に剥かれた身体には内出血の後が無数に見てとれた。
 しかし、それでも少年はじっと耐えていた。
『最近ホント生意気だよな、コイツ』
 一人が吐き捨てる様に言う。
 その時、遠巻きに見ていた誰かが近寄って来た。
『コイツには、俺らなんかよりもっと怖いモンがあるのさ』
 ポケットに両手を突っ込み、頭を不自然にのけぞらせた格好で、その誰かは少年を見下ろしている。
『なあ蛇。ママ、呼んで来てやろうか?』
 びくんっ、少年の身体が震え、顔から血の気が引いた。
『ほらな? コイツ、ママにこんな格好見られるくらいなら死んだ方がマシとか思ってるんだぜ? なあ、そうだろ?』
 少年は、自慢の息子。
 聡明で優しく穏やかで、誰にでも好かれる人気者。将来有望な天才児。
 それが仲間に虐められ、情けない格好で地べたに這いつくばっている所など見られたら。
『でも、見せてやりたいなぁ』
 少年の目の前で、ナイフが光った。
『お前のその生意気な目、抉り出してやろうか?』
 流石にそこまでの深い傷は隠せない。
 それを見た時に少年の養い親がどんな顔をするか……本当に失望するのだろうか。
 そうなったら、コイツはどうなるのだろう。
 見てみたい。
 少年の視界が真っ赤に染まり、やがて何も見えなくなった。



「……今度は、あの時の夢……か」
 門木章治(jz0029)は右目の脇に残る微かな傷跡に触れた。
 あの時、アロンはただ脅すだけのつもりだったらしい。
 本当に消せない傷を付けてしまっては、もう隠れて「遊ぶ」事は出来なくなってしまうから。
 リュールにバレたらゲームオーバー。
 そしてゲームは終わった。
 あの日、ずっと隠して来た秘密を知られてしまった。
 決して知られてはならない人に。

 失望させた。
 当時はそう思っていたが――

「……ずっと前から、知っていたのかもしれないな……」
 知っていて、黙っていた。
 彼が自分で解決するか……或いは泣きついて来るのを待っていたのだろう。
 今は、そんな気がする。

 そして現在。
 彼女はどんな思いで、この人間界に居るのだろう。
 どんな思いで、待っているのだろう。

 待っている……何を?

 何かを。
 その時を。

 自分に出来る事は、あるだろうか。


 門木はふと机の上を見た。
 そこには、まるでラブレターの様な、ピンクのハートが散った可愛い封筒が置かれていた。
 先日、高松が置いて行ったものだ――と言っても、彼からの恋文では勿論ない。
 中身は細かく千切られた写真の様だった。
「……あいつも、一筋縄ではいかない……か」

 とにかく今は、残ったゲートを破壊する事。
 今はまだゆっくりと吸収を続けているらしく、犠牲者が出たという報告はないが……
 気紛れに、いつペースを速めるかもわからない。
 マンションに残された人々の精神が完全に絞り尽くされてからでは遅いのだ。

 門木はいつもの様に、生徒――いや、仲間達を呼んだ。



前回のシナリオを見る


リプレイ本文

 そこは以前にも来た店だった。
 同じ場所に座り、注文も同じくコーヒーをふたつ。
 目の前に座っているのも同じ…高松紘輝だ。
 雨野 挫斬(ja0919)はコーヒーを飲みながら、高松に一枚の写真を見せた。
「見て。君が来なかったから可哀相な事になっちゃった」
 それは先日彼に送り付けたのと全く同じもの――ただし、写っている親子は血塗れで息絶えている様に見える。
 それを見せられても、高松は眉ひとつ動かさなかった。
 鬼道忍軍にそんなスキルあっただろうかと思う程の見事なポーカーフェイスだ。
「な〜んてね、嘘。手紙のお返し。安心した?」
「別に。で、今度は何?」
 訊かれて、挫斬は直球で切り出した。
「今度私達アロンゲートに遊びに行くんだけど一緒に来る?」
「行くわけねぇだろ」
「一緒が恥ずかしいなら私達がゲートを攻めてる間こっそり住民救助したら?」
 高松は鼻で笑うが、挫斬は構わず続ける。
「迷って何もしない男より、昔の自分を助けようと頑張る男の子の方が私は好きだな」
「年増に好かれても嬉しかねぇよ」
 酷い言われ様だが、挫斬は気にせずコーヒーを飲み干して立ち上がった。
「今回も奢ってあげる。貸し2ね」
 伝票を取ってレジに向かう途中、ふと思い出した様に振り返る。
「そうそう。可能ならリュールに、お宅の息子が男になろうとしているので内緒で手助けお願いしますって伝えといて」
 返事はなかったが、特に期待もしていない。
 挫斬はそのまま店を出て行った。

 それが二時間ほど前の事。


 そして今、科学室では。
「…あのさ、カドキ。もう少し…普段通りに話せない?」
 演技指導の七ツ狩 ヨル(jb2630)先生に何度目かのダメ出しをされた門木が、盛大な溜息をついていた。
「感情を込めてとは、言わないから」
 それは録音した門木の声をゲート内で流して、彼がその場に居る様に思わせようという、名付けて「声で錯覚・神出鬼没の門木大作戦」の為の下準備。
 小型レコーダーに自分の声を吹き込むだけの簡単なお仕事なのだが、門木の台詞はマイクを向けられると途端にこれだ。
『スガタヲケセルノガオマエダケダト――』
 普段から割と淡々とした棒読みに近い話し方ではあるが、再生された声はパソコンの読み上げソフト並の酷さだった。
「なんでやろね?」
 向こうで他の生徒達と連携の打ち合わせをしていた蛇蝎神 黒龍(jb3200)が、ひょっこりと顔を出す。
「この前ロボにメッセージ入れた時は、それほど酷なかった気ぃするんやけど」
「…あれは…」
 何だろう。自分の言葉だったから、か?
「じゃあ…カドキの好きにして、良いよ。アロンに言ってやりたいこと、これにぶつけて」
 こくり、門木は頷く。
 それならきっと大丈夫だ。
 正面切って立ち向かうのは流石にまだ少し怖いが、言いたい事なら山ほどある。
 でも、ちょっと恥ずかしいから…隣の部屋で録ってきて良いかな?

「なら、ボクらは打ち合わせの続きといこか」
 黒龍が声をかけたのは、戦闘時に盾になってくれるであろうディバインナイトのロヴァランド・アレクサンダー(jb2568)と、アストラルヴァンガードの鏑木愛梨沙(jb3903)だ。
 アロンやツルギが出て来れば、それぞれの対応に分かれる事になるが、序盤は彼等の援護を頼る事になるだろう。
 同じくディバインナイトのカノン(jb2648)は今回、積極的に攻勢に出るつもりだった。
「壁を壊して強行突破を狙っている様に見せかければ、敵は私に集中して来るでしょう。その間にコアを破壊して頂ければ」
「おう、任せておけ」
 ミハイル・エッカート(jb0544)が自信満々の様子で頷く。
「この時の為に大枚はたいて習得したピアスジャベリンだ、きっちり成功させて見せるぜ」
 ついでにナイトビジョンにも熱源探査システムを搭載しておいた。
 これで役に立たなかったら泣いても良いよね?

 その向こうでは、前回得たゲート内部の情報から、ユウ(jb5639)が内部の簡易地図を作っていた。
「役に立つかどうかはわかりませんが、何もないよりは良いかと」
 特に今回初めて現場に入る者にとっては、最初に降り立つ場所の様子だけでも知っておく事は重要だろう。
 僅かな予備知識でも、あるとないでは大違いだ。
 後は共に行動する仲間達との打ち合わせをしっかりと行って――

 と、そこに録音を終えた門木が戻って来た。
 レコーダーは5個。それぞれに一言ずつ、アロンへの言葉が吹き込まれている。
 それを受け取ったヨルは、ひとつを自分で持ち、残りをアロン対応の仲間に手渡した。
 挫斬、愛梨沙、ユウ…残るひとつは黒龍に。
「これで準備は整ったかしら」
 御堂 龍太(jb0849)が一同を見渡すと、無言の決意が返って来た。
 だが、もうひとり決意を問うておきたい人物がいた。
「門木先生」
 ユウが訊ねる。
「この作戦が成功した時…それはアロンにとっては作戦の失敗となります。その時、上司であるリュールさんにまで責任が及ぶ可能性が高いと思われますが、先生はそれでも大丈夫でしょうか」
 真っ直ぐに見つめる瞳に、門木も真っ直ぐに答えた。
「…覚悟は、出来てる」
 無傷で済むとは、最初から考えていない。
 恐らく、リュールもそうだろう。
「…耐える事なら、慣れてるし…それが俺の戦い、だから」
 一番最後に笑っていられれば良い。
「…俺と、お袋の事は…気にしなくて良い。全力で、自分のやるべき事をやって…無事に,戻って来てくれ」
 信じて、待っているから。
「では、行きましょうか」
 レイラ(ja0365)が門木を見る。と、その頬が「ぼんっ」と音を立てて真っ赤に染まった。
 先日の一件は、彼女にとってかなり嬉し恥ずかしの経験だった様だ。
「えと、そのっ…どうでしたか?」
 思わず口走り、ちらりと上目遣いの視線を向ける。
 忽ち、門木の掌に「あの感触」が戻って来た。
「ご、ごめんなさい、なのですっ!!」
 マッハで後ずさり、今度は科学室の壁に激突、その衝撃で棚に置かれた備品が床に落ち、盛大な音をたてる。
「ああ、えと、ではなくって」
 あわあわしながら目を泳がせ、レイラは懸命に言葉を探した。
「そっ、そうです!」
 壁に貼り付いたままの門木に駆け寄り、手を差し伸べる。
「アロンさんなんて一蹴してきますから、待っていて下さいね」
「は、はい…っ」
 耳まで赤くなった門木に、あっちこっちから冷たい視線が刺さっている気がするのは…多分、気のせいではなかった。



「今時の子は街中に堂々とゲート張るンだねぇ…」
 屋上に降り立ったロヴァランドが、呆れた様な感心した様な複雑な表情を浮かべながら、規模としてはそう大きくないゲートを見下ろす。
「俺なんかは山奥の教会なんぞにこっそり作ってたもんだが」
 それ、何百年前の事ですか長老様。

 愛梨沙はまだ上空で爆音を響かせているヘリを見上げた。
(センセは中まで一緒には行けないけれど、ここに来ている時点で一緒に戦っていると言う事)
 胸のポケットに忍ばせた門木のブロマイドにそっと手を当てる。
 それは愛梨沙にとって、大事なお守りだった。
(なら、あたしはあたしに出来る事をする。そしてかならずみんな揃ってセンセの所に帰る!)
 皆を降ろして待機場所へと去って行くヘリを見送り、愛梨沙は決意を新たにする。
「負けない、負けられない……絶対に!」
 もう後戻りは出来ないし、する気もなかった。

「皆、準備と覚悟は良いな?」
 カラーボールを手に、ミハイルがゲートを囲んだ仲間達を見る。
「行くぞ。強敵はお前らに任せるから俺はコアへ行くぞ作戦、開始だ」
 だから長いよ作戦名。


 降り立ったそこは、周囲をぐるりと敵の大軍に囲まれていた。
「眩しいのはただでさえ御免だってンのに」
 サングラスをかけたロヴァランドが、それでも眩しそうに目を細める。
 その眩しさを作り出しているのは敵の大部分を占める金ピカと、その光を反射して輝く純白の模造天使達だろう。
 正面にはアロンとツルギ、そして巨大な黄金龍の姿も見える。
 だが、それがガラスの屈折率を利用した錯覚である事を、彼等は知っていた。
「前回多少無理をしてもゲートの中を確認してよかったですね」
 カノンが呟く。
 この仕掛けを知らずに突破を計る事は困難、いや自殺行為となったかもしれない。
「ただ、知った以上はやって見せるのみ…過去の悪夢も、今の強敵も、私達ならば越えられることの、証明を、ここに」
 カノンは暫し目を閉じ、祈る様な沈黙を捧げ――開眼と同時に手近な空間に向けて踏み込むと、思い切り斧槍を振るった。
 ガラスの割れる派手な音が響き渡り、同時に敵の虚像が動き、乱れる。
「なるほど、こういう事な」
 ロヴァランドは納得した様に頷くと、手近な空間に向かって盛大に原色のペンキをぶちまけた。
 透明なガラスに派手な色が散る。
 それに便乗して、黒龍がスプレーで落書きを始めた。
 二人の共同作品は、人通りの少ない地下道などでよく見られる「自称芸術作品」よりも更に前衛的で、下手をすれば怪しい評論家に絶賛されかねないレベルのヒドさだった。
「センス悪ィなぁ…デザイナーを呼べ!、みたいな」
 腹を抱えて笑うロヴァランドに、黒龍は小さく肩を竦めて見せる。
「ま、ただの目印やしね」
 傍若無人な高笑いを響かせながら、二人は次々に新たな芸術を創造していった。
 一方ではミハイルが、ガラスに向かってカラーボールを投げ付ける。
 それはガラスが張られていると思った手前の柱の間を素通りして、ひとつ向こうの一見何もない空間に当たって弾けた。
 ただし、それは反射率が限りなくゼロに近い透明なガラスであって、鏡ではない。
 そこに散った色は「そこにガラスがある事」の目印にはなるが、何処かに反射して他のガラスの存在を浮き彫りにする連鎖効果はなかった。
 それでも、色の付いた部分から敵が現れる事はないと、それがわかるだけでも有効な手段と言えるだろう。

 だが、のんびりと落書きやボール遊びを楽しんでいられる時間は長くなかった。

 柱の間の空間を抜けて、サーバント達が次々と姿を現す。
 ガラスの向こうに見える大物達に動きはなかったが、まずはこの小物達を倒さなくては大物に近付く事も出来なかった。
「あいつらが門木センセの悪夢だってんなら、絶対に、あいつらをぶっ飛ばす」
 その為には、こんな所で足止めを食っている暇はない。
 龍太は目の前に現れた白天使を受け流しつつ、その向こうのガラスを叩き壊すと、そこに現れた金天使に狙いを定めて鎌鼬を放った。
「だってセンセは、この学園に無くてはならない人だし、なによりあたし達の仲間だもんね!」
 命中と共に金天使は爆散したが、この距離なら殆ど影響はない。
 寧ろ周囲のガラスが巻き添えを食って飛び散るという、有難いオマケ付きだ。
「さ、どんどん行くわよ!」
 龍太は爆発で出来た空間に走り込みながら、進行方向にミハイルから受け取ったカラーボールを投げ付けた。
 それは二本の柱の間を素通りして、その向こうで弾け飛ぶ。
 金天使の自爆を利用すれば、一気に半径3m程度は破壊出来そうだ。
「これを利用しない手はないわね」
 龍太は走りながら、それを大声で仲間達に伝えた。

「うん、わかった」
 愛梨沙は金剛夜叉を振るって、他の仲間達とは別方向に進んで行く。
 大物が出るまでは緩い連携で問題はないだろう。
 とにかくまずは、戦いやすいフィールドを作る事だ。
 行く手を塞ぐものは敵でもガラスでも、とにかく速攻あるのみ。
 ゲートの影響とCRの関係で敵への攻撃は思う様に決まらないが、戦っているのは自分一人ではない。
「援護します、離れて下さい」
 上空から闇の翼で近付いたユウがガルムSPを撃ち込むと、大抵の敵は一撃で沈み、金天使なら即座に大爆発。

 やはり仲間達とは別方向に突き進む挫斬は、龍太の声を聞いて手近な金天使を攻撃と同時に突き飛ばし、白天使にぶつけてみる。
 自爆の巻き添えを食らった白天使は、周囲のガラス諸共に散った。
 それで破壊の範囲が広がる訳ではない様だが、一度に二体潰せるならそれはそれで。
 何しろ、こちらは早く大物に喰らい付きたいのに、出て来るのは雑魚ばかり。
 だが、力を出し惜しみするつもりはなかった――と言うよりも、惜しむ余裕もない。
 それほどに敵の攻撃は激しかった。
「そこまでこのゲートが大事って事?」
 或いは自分達が次第に消耗していく様子を眺めて楽しんでいるのか。
 アロンの性格からして、恐らく後者だろう。
 だが、そうして高みの見物をしていられるのも今のうちだけだ。
 じきに追い詰め、斬る。
「アハ! 今そこに行ってあげる、そのクサヤの匂いが染みついた臭い首を洗って待ってなさい!」

 黒龍とロヴァランドは、敵の出現と共にヨルと合流していた。
 敵を屠りつつ、周囲のガラスをひたすら叩き割りながら、三人は入口から遠い方へとひたすら突き進んで行く。
「あいつら、どうやってこのガラスの迷路を抜けて来るんだろう」
 透過して来る可能性を考えて、ヨルは阻霊符を使ってみる。
 しかし、それで敵が何かしらの影響を受けた様には見えなかった。
「ここに何かの目印でもあるのかな」
 ヨルは撤退の目印になるようにとスプレーで数字を書いた柱をざっと観察してみる。
「ただの柱にしか見えへんな」
 一緒に覗き込んだ黒龍が首を傾げた。
「俺達には見えないけど、敵には見えてる…とか」
 それとも構造を熟知しているであろうアロンが直接指示を出しているのだろうか。
 しかし、それがわかったからといって、何が変わる訳でもない。
「壁も敵も、とにかくブッ壊しゃ良いンだろ?」
 ロヴァランドの物騒な言葉に、ヨルは頷く。
 やるべき事はひとつ、コアの破壊のみ。
 例え相手が雑魚だろうと、一撃でも食らったら危ない事はわかっている。
 だが今までの経験から、ダメージを受けずに切り抜ける方法も学んでいた。
 それに、危ない時はロヴァランドが盾になってくれる。
 黒龍もまた、庇って来そうな気はするが…今度約束を破ったら、口きかない刑は三日では済ませないつもりだった。
 そんなヨルの内心を知ってか知らずか、黒龍は楽しげな様子で残ったガラスにスプレーを吹き付けながら進んで行く。
「間違うて激突せえへんようにな」
 ついでに蜘蛛の糸よろしく出口まで辿れる様にと、持参のロープを柱に巻き付けて。
「使うとはおもってへんかったけど」
 自然、戦闘の方は疎かになるが…
「ロヴが頑張ってくれるて、信じとる」
 勿論、本当に危ない時にはしっかり戦うけれど。
 信頼に応えて――かどうかはともかく、ロヴァランドは先頭切って突き進む。
 次々に現れる敵をヴィリディアンの鋼糸で絡め取り、横薙ぎに引いて側面のガラスに叩き付ければ一石二鳥。
「この調子で出てくる敵はさっさと倒して進撃進撃ッ足ィ止めるんじゃねぇぞッ!」
 手を出したくても、若い者の出る幕は当分なさそうだった。

 ミハイルは熱源探査システム搭載のナイトビジョンで虚像を見破りつつ、レイラと共に道を開く。
 ガラス越しに使う場合サーモグラフィの類は極端に性能が落ちるものだが、それでもガラスのすぐ向こうに何かがいるかいないか、その違い程度はわかる。
「肉眼ではすぐそこに見えるのにナイトビジョンでは見えないって事は、ただの虚像か」
 或いは実物は探知不能な程に離れているか、その間にもう一枚ガラスがあるのか。
 少なくとも、すぐ目の前には何もいない事は確実だ。
 ナイトビジョンにはっきりと像が写るなら、そこにはガラスがないという事。
 そして、ぼやけて見えるなら――
「ガラスの向こうにいるって事だな!」
 ミハイルは見えないガラスに向けてアサルトライフルを撃ち放った。
 ガラスが砕け散り、ナイトビジョンの映像が鮮明になる。
 同時に、背後に控えていたレイラがミカエルの翼を投げ付けた。
 爆発音と共に周囲のガラスが砕け散る。
 この調子で行けば、アロン達…そして結果的には彼等が守っているであろうコアに近付くのも、そう難しい事ではなさそうだ。

 そしてカノンは、ひたすら前に進む事だけを考えていた。
 叩き割ったガラスの向こうに金天使の姿を見つければ、一気に踏み込んでその胴を薙ぐ。
 次の瞬間、それは周囲のガラスを吹き飛ばして大爆発を起こした。
 この距離だと威力は半減するとは言え、まともに喰らえばかなり痛い。更に角度によっては爆風に混じってガラスの破片が飛んで来る危険もあった。
 しかしカノンは退かない。
 どれほど多くの敵が群がって来ても、シールドや防壁陣で踏ん張りつつ、ひたすら前進を続ける。
 空間の端まで行ってそこに敵の姿がないとわかれば、横に折れて再び前進。
 はっきり言えば、愚かな直進だ。
「ですが…アロンになど、いくらでもこちらが愚かと思わせて構いません」
 もっと大きな痛みに耐え続けた人がいる。
「これくらい耐えないと、その隣に並べません!」
 疲労の為に重さを増した斧槍を振り下ろし、もう何枚目か数える事もやめてしまったガラスを叩き割る。

 そこに、視界全体を覆い尽くす程の黄金色の塊があった。


「はい、一番乗りおめでとう」
 拍手と共に、上の方から何度か耳にした嫌味な声が響く。
 見上げるカノンの目に、黄金龍の背と一体化した様な金ピカ姿が見えた。
「アロン…」
「お前も堕天使か。なら遠慮なく捻り潰せるってワケだ」
 喉をヒクつかせる様な笑い声と共に、金ピカ天使が龍の背から降りて来る。
 手にした杖でカノンの胸元を指すと、その先端が禍々しい光を帯び始めた。
「この距離なら一撃だが…見逃してやっても良いんだぜ? ただし、蛇と引き替えにだ」
 返事の代わりに、カノンはリジェネレーションを発動させ、盾になる様に斧槍を構え直す。
 と、その時。
『お前の好きにはさせない、アロン』
 何処からか、門木の声が聞こえた。
 アロンはその出所を探るが、声がした筈の場所にその姿はない。
 と、また別の場所からも声がした。
『お前になど、負けない。俺も、お袋も』
 だが、やはりそこに門木の姿はない。
『俺の仲間達も、負けない。お前にも、お前の背後にいる奴等にも』
 右から左から、そして背後から、声だけが聞こえる。
『俺は、逃げも隠れもしない』
「隠れてるじゃねぇか! 出て来い蛇野郎!」
 四方八方から聞こえる声に、アロンは人質に取ろうとしたカノンの存在も忘れてしまった様だ。
 その顔に浮かぶ焦りの色は、誰の目にも明らかだった。
 効果を確かめ、最後の一言。
『言った筈だ…一昨日来やがれ!』
 その言葉が聞こえて来た場所には、これまで何度も煮え湯を飲まされてきた少年の姿があった。
「姿を消せるのが、自分だけだと思った?」
「小僧てめぇっ! また何かしやがったのか!?」
 いきり立つアロンに、それまで黙っていたツルギが何事かを耳打ちする。
「ああ、バレちゃった」
 カラクリを知ったらしいアロンに向けて、ヨルはわざとらしく言ってのけた。
 顔を真っ赤にして激昂するアロン、だがその時には既に、撃退士達は万全の戦闘態勢を整えていた。

「アハハ! 捕まえた。これで消えても無駄だね!」
 挫斬が放ったチタンワイヤーが、アロンの身体を絡め取る。
 それが振りほどかれる寸前、愛梨沙がカラーボールを投げ付けた。
 残念ながら顔面直撃とはいかなかったが、それでも塗料をベッタリ付けられては姿を隠す事も出来まい。
「あらあら、自慢の鎧が台無しね」
 これで厄介な能力のひとつは封じた訳だが、ちょっとした悪戯心を発揮した愛梨沙は、くすくすと意味ありげに笑った。
「これは他のと違ってセンセが作った遅効性の発明品、早く取らないと拙いのではなくて?」
「な…っ!?」
 だが流石に四度目ともなれば、如何なアロンでも騙されは――
「おいツルギ、何とかしろっ!」
 ああ、騙されるんだ?
 その度に諭してくれるツルギの存在さえなければ、案外簡単に墜ちそうな気がする。
 武力行使よりも寧ろ、言葉責めで。
 どちらにしても、やはり邪魔になるのはツルギの存在だった。
「この間はかなり悶えていたみたいですが、傷の方は大丈夫ですか?」
 分断を狙い、ユウが挑発に出る。
 プライドを刺激すれば、勝手に自爆してくれないだろうか。
「かなりみっともない様子で膝をついていましたよね、こんな小娘の攻撃に」
 あの時は誰にも見られずに済んだけれど。
「今度もまた、あんな姿を晒すのでしょうか…しかも部下の目の前で」
「それがどうした」
 しかし、アロンはさも馬鹿にした様に鼻を鳴らした。
 彼にとって、使徒はただの道具にすぎない。
 道具の前で失態を晒したからといって、恥じ入る者はまずいないだろう。
「使徒の…ツルギ君、だっけ」
 今度はロヴァランドが口撃を始める。
「あんたマジ喪主みてェな顔してやがんのなw 口にシリカゲル詰めてやりてぇわー」
 ツルギにそれが効かない事は百も承知、本当の標的はアロンの方だ。
「湿気た顔の使徒やらサーバントとこの趣味悪い部屋で缶詰してたご感想は如何ですかねアロン君! …餓鬼ン遊び未だに引き摺ってるてめェらよか、門木のほーが余ぉおっ程大人になってらーな」
 ピクン、アロンの眉が不自然な動きを見せた。
 どうやら門木の名前は効果絶大らしい。
「口の減らねぇ野郎だな」
 案の定、アロンは挑発に乗って来た。
「減らず口さ、違ぇねえ。あんたと同じだよ」
 もう一押し。
「閉じさせたかったらこの首ごと撥ねるしか無ェな!」
 これでどうだ。
 ロヴァランドが思った、その時。

 部屋の何処かで、ハンマーで何かを叩く様な甲高い金属音がした。


 その少し前。
「必ず生きて戻るから、お前らも生き残れ」
 アロン達の居所が判明した直後、そちらに向かう仲間達とは離れ、ミハイルはひとりコアを目指して走った。
 それは恐らく、あの黄金龍の巨体に隠されている。
 だがコアの正確な位置さえわかれば、その身体越しに叩く事が出来る筈だ。
 仲間達がアロンやツルギの目を引き付けているうちに、それを探して壊す。
「…あれか」
 龍の背後で、白い模造天使が円陣を組んでいるのが見えた。
 まるで何かを守る様に…
 何か? 決まっている、コアだ。
 ミハイルは得物をショットガンに持ち替えて、ピアスジャベリンの狙いを定める。
 ――キィン!
 鋭い音がして、その場にいる全員の視線がコアに集まった。

 まずは一撃。
 だが、流石に一発で砕けるほどコアは脆くない。
 続けてもう一発。
 コアを守っていた白天使達が一斉に向かって来るが、ミハイルはその場を動かずに引き金を引く。
 敵が壁を作っても、貫通弾の前には無力。
「悪いな、これも俺の本気だ。隠し球はここぞというときに見せるものだぜ」
 最後の一発、これで終わりに――
 ならなかった。
「思ったより硬いな」
 だが、ダメージは入っている。
 後はそれを重ねるだけだ――コアが砕け散るまで。
「俺が壊すと言ったんだ、男に二言はないぜ」
 取り付こうとする白天使達を振り払い、蹴散らし、コアを目指す。
 黄金龍が動き出し、更にはツルギの姿も見えたが――

「あんたの相手はこっちよ!」
 龍の正面に立った龍太が、自分に注意を向けさせようと四神結界を展開させつつ祝詞を発動、魔力を上げて大鎌を振るいつつ、ありったけのスキルを叩き込む。
 これで何かしらのバステを付与出来ればしめたものだが。
「いい子だから、大人しくしていなさいな!」
 だが、黄金龍は全くもって良い子ではなかった。
 呪縛陣さえ振り切って、ふわりと宙に舞い上がる。
 次の瞬間、黄金色のレーザー光線の様な眩い光が龍太を襲った。
 だが、自分が標的になっている間は、他の仲間に危害が及ぶ事はない。
 勿論、コア破壊の邪魔も出来ないだろう。
「なら、いくらでも受けてあげようじゃないの!」
 龍太は咄嗟に盾に持ち替えてそれを受け止め、今度はルキフグスの書で反撃。
 参戦したカノンと共に、龍太は黄金龍の相手を続けた。
 舞い降りた拍子に踏み潰されそうになっても、尾の一振りで叩き潰されそうになっても、逃げずに立ち向かう。
 自分達がそれを続ける事で、仲間が自由に動けるなら。

「そちらには行かせません」
 ツルギの前に立ちはだかったのは、レイラだ。
 その反対側にはロヴァランドが立ち、退路を断つ。
 彼の後ろにはヨルと黒龍の姿があった。
「そろそろ、倒れてもらわんとね」
 黒龍はヘルゴートを発動、ヨルもまたワイヤーを手に己を強化し、ツルギに狙いを付ける。
「前は盾で防がれたけど…今度こそ」
 ツルギは前後の敵を見比べてその危険度を計ると、自身の防御力を高めてナイトウォーカーの二人がいる方へ向き直った。
 レイラの方には完全に背を向ける事になるが、それでも構わないと判断した様だ。
 しかし、その好機をレイラが逃す筈もない。
 背中からの攻撃に躊躇いはあったが、それを振り払って闘気を開放し、蛍丸で弾き飛ばす様な一撃を放つ。
 相手の意識を刈り取るには至らなかったが、それで充分だった。
 背後からの攻撃が決まった瞬間、黒龍が紅炎村正を振り下ろす。
 ツルギはそれを盾で防いだが、本命はその次――
「ヨルくん、頼むで!」
 目には見えないアウルの弾丸、ゴーストバレットがツルギの身体を抉った。
 更に、背後からレイラの四連続攻撃が決まる。
 ――カシャァァン!
 一瞬、ツルギの身体が壊れた音かと思った。
 が、そんな筈はない。

 それは勿論、コアが破壊された音だった。

「やってくれたな」
 大して悔しくもなさそうに、アロンが吐き出す。
 それどころか、さも可笑しそうに笑い出した。
「お前等も馬鹿だな、これであのババアは絶体絶命の大ピンチだぜ!?」
「そうでしょうか」
 だが、そこにユウが異論を挟む。
「それでは貴方は使えない駒の烙印を押されますね。力を持ち、これだけの戦力を預かってただ遊ばせただけなのですから。これで自分の地位が上がると思っているなんて…貴方、本当に天使ですか?」
 しかしアロンは堪えた様子もなく言った。
「わかってねえな。俺にとっちゃ、あのクソ大天使を追い落とす事が一番の功績なんだよ」
 身分や階級制度は厳しいが、一方で上手く立ち回れば大出世も夢ではない。
「天界ってのはそういう所なのさ」
 だから、失敗しても痛くも痒くもない。
 痛くも痒くもないが…
「お前等、気に食わねぇんだよ」
 黄金の翼を広げて空中に舞い上がると、アロンは黄金龍の背に乗った。
「ぶっ潰してやるよ、このゲートごとな!」
 忽ち、黄金龍は今までにない程に激しく暴れ出した。

 もうコアを守る必要もない。
 余波を怖れる事なく、思う存分に尻尾を振れる。
「どうだ、お前等にこいつが抑えられるか!?」
 アロンの高笑いが上空から降り注いだ。
「悔しいけど、アイツの言う通りね」
 ゲートの中ではとても無理だと、龍太が拳を振るわせる。
 とは言え、このまま好き勝手に暴れさせる訳にもいかなかった。
「せめて皆が脱出するまで、何とか時間を稼がなきゃ」
 龍太は祈念を発動し、盾を構えて龍の前に立つと、アロンに呼びかける。
「ちょっと、降りて来なさいよ! あたしが相手してあげるから!」
 だが、アロンはそれを鼻で笑って退けた。
「お前に用はない。俺がぶっ潰してぇのは小僧、貴様だ!」
 ふわり、飛び降りたアロンはロヴァランドの前に降り立ち、その背後を杖で指す。
「…俺?」
 彼の背に半分隠れたヨルが呟く。
 狙われている自覚はあったし、自ら煽った事でもあるが。
 しかし、周囲の者達がそれを黙って見過ごす筈もない。
「弱き者の味方となり、盾たる事、それが力ある天界種族の義務にして誇り。それすら忘れたお前なんぞ、俺の敵には成り得ねェ」
 ロヴァランドが一歩、前に出た。
 黒龍はただ黙って刀の切っ先をアロンに向ける。
 飛び込んで来た愛梨沙が盾を構えつつアウルの衣で皆を守り、ユウは上空で属性攻撃の準備を。
 挫斬はワイヤーを構え、レイラはその背に蛍丸を突き付ける。
「人を陥れ弄ぶ傲慢な者、貴方の思うようにさせはしません」
 それでも、アロンは余裕の表情を浮かべていた。
 これは何かある。
 それが何かを確かめる為にも、ヨルへの攻撃を防ぐ為にも、先手必勝!
 アロンを取り囲む者達は、一斉にその持てる限りの攻撃を繰り出した――が。
「隠し球を持ってんのは、お前等だけだと思ったか?」
 杖全体が光を放つと、アロンの全身が眩い光に包まれる。
 殆ど全ての攻撃はその光に跳ね返され、次の一手で更に大きな光を蓄えた杖の先端から白い光が迸った。
 それは何枚もの盾を突き抜け、ヨルの身体を貫いていく。
「撤退、撤退や!」
 その小柄な身体を抱き上げ、黒龍が叫ぶ。
 しかし苦しい息の下で、ヨルはアロンに向けて言い放った。
「…人間も、カドキも、お前が思ってるよりずっとずっと強い」
「わかった、もうええから!」
 挫斬が発煙手榴弾を投げ付け、皆が出口に向かった事を確認してから、ユウが追跡防止にくさや爆弾を炸裂させる。
 相も変わらず同じ手に引っかかるアロンに別れの挨拶代わりの鬼神一閃を叩き込むと、ユウも皆の後を追った。

 その頃、ツルギは――
 撃退士達の意識がアロンに向いた隙をついて、またも逃げ出していた。
 しかし。
「よう、もう逃げ場所は無いぜ」
 遠い間合いから、ぴたりと向けられる照準。
 コアの破壊を終えたミハイルが待ち構えていた。
 この距離なら反撃を喰らう事もない。
「さあ、どうする?」
 ミハイルはダークショットの狙いを付ける。
 この威力なら、一撃で済む。
 もう少し付き合ってみたかった気もするが――
「次はもう少し、楽しい人生を送れると良いな」
 銃声と共に、命がひとつ……消えた。



 その後、何とか無事に生還した彼等の耳に、こんな情報が届く。
 高松紘輝が学園から姿を消した、と――


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: Eternal Wing・ミハイル・エッカート(jb0544)
重体: 夜明けのその先へ・七ツ狩 ヨル(jb2630)
   <強敵に対しヘイトを稼ぎすぎた>という理由により『重体』となる
面白かった!:8人

202号室のお嬢様・
レイラ(ja0365)

大学部5年135組 女 阿修羅
高松紘輝の監視者(終身)・
雨野 挫斬(ja0919)

卒業 女 阿修羅
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
男を堕とすオカマ神・
御堂 龍太(jb0849)

大学部7年254組 男 陰陽師
その絆を取り繋ぐもの・
ロヴァランド・アレクサンダー(jb2568)

大学部8年132組 男 ディバインナイト
夜明けのその先へ・
七ツ狩 ヨル(jb2630)

大学部1年4組 男 ナイトウォーカー
天蛇の片翼・
カノン・エルナシア(jb2648)

大学部6年5組 女 ディバインナイト
By Your Side・
蛇蝎神 黒龍(jb3200)

大学部6年4組 男 ナイトウォーカー
208号室の渡り鳥・
鏑木愛梨沙(jb3903)

大学部7年162組 女 アストラルヴァンガード
優しき強さを抱く・
ユウ(jb5639)

大学部5年7組 女 阿修羅