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マスター:STANZA
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:7人
サポート:3人
リプレイ完成日時:2016/10/17


みんなの思い出



オープニング


 伝統野菜というものを知っているだろうか。
 全国どこの八百屋やスーパーでも売られている一般的な品種とは違い、特定の地域でしか栽培や流通が行われていない「ご当地ラベル」の野菜達のことだ。
 有名な例で言えば、聖護院大根や加茂茄子などの京野菜が挙げられるだろう。
 その多くは地元で古くから受け継がれてきたものであり、独特の美味さや味の濃さを誇っている。
 中には全国的な流通に乗るものもあるが、大抵は手間がかかるなどの理由で大規模な栽培は行われていない。
 栽培する農家が一軒だけという、その畑が潰れたら種を取ることも出来ず、絶滅待ったなし――という危機的な状況にある品種も少なくなかった。


 ここにも、そんな品種がひとつ。
 六右衛門南瓜(ろくえもんかぼちゃ)という、東北地方のとある農家のみに細々と伝えられて来た伝統の日本南瓜だ。
 一般的には甘みが少なく水っぽいと言われる日本南瓜だが、この六右衛門南瓜はまるで西洋南瓜のように甘くてホクホクした食感が特徴だった。
 しかし頑ななまでに他の土地での栽培を嫌うため、現在ではテニスコート一面程度の面積で細々と作られているのみ。
 この畑で収穫が出来なければ、その時点で六右衛門南瓜は幻の南瓜となってしまう。

 そして今、その危機が実際に訪れていた。

「うちの畑のすぐそばに悪魔だか何だかのゲートだか何だかが出来やがってよ!」
 六右衛門南瓜を守り続けて幾星霜、当代の主である七右衛門(ななえもん)は受話器に噛み付かんばかりの勢いでそう言った。
「六右衛門南瓜はな、うちのひぃひぃひぃひぃ……とにかくご先祖の六右衛門じいさまが作り上げて、以来ずーーーーっと大事に守り続けて来た南瓜なんだ」
 電話の相手は久遠ヶ原学園、斡旋所の職員である。
「危ねえから近寄っちゃなんねえってのはわかる。今年の収穫は諦めもしよう……だがな」
 そこで一息吐いて、七右衛門は再び噛み付くような勢いで話し始めた。
「タネくらい取らせてくれってんだよ、なあ! タネが取れなきゃもう六右衛門南瓜は根絶やしだ、俺の代で絶やしたとあっちゃご先祖様にも子孫にも顔向け出来ねえだろが!」
 南瓜はそのまま畑に放置しても、次の年には種から勝手に芽が出てくる。
 しかしこのまま管理が出来なければ、いつかは雑草などに浸食されてしまうだろう。

 そんなわけで。

 畑に行って南瓜の種を取ってきて欲しいというのが今回の依頼――
「ちょっと待ったぁ!」
 はい?
「お前ら戦いはプロかもしれねえが、南瓜に関しちゃシロートだろ? 良い種の取れる南瓜なんて見分けつかねーだろ?」
 まあ、言われてみればそうかもしれない、けれど。
「だから俺が一緒に行ってやるよ! どうだ! これで安心だろう!」
 いいえ、不安材料が増えました。

 依頼内容、アップデート。

 農家のおじさん、七右衛門さんと一緒に畑に行って、彼が無事に種を取り終えるまで危険から守ってください。
 上手くいけば収穫した南瓜で作った料理を振る舞ってもらえます。
 南瓜をまるごと、お土産にもらえるかもしれません。
 なお周辺にはイノシシ型のディアボロが多数出現する模様です。
 ディアボロが南瓜を食べることはありませんが、畑を踏み荒らされて南瓜を粉々に粉砕される危険があります。

 では、いってらっしゃい、気を付けて。



リプレイ本文

「六右衛門南瓜か。初めて聞くが、南瓜好きとしてはぜひ食べてみたいものだ」
 不知火藤忠(jc2194)は畑に転がる小さな南瓜を見て、早くもじわりと湧き出して来た唾を飲み込む。
 こんなに美味そうな南瓜を絶滅の危機に追い込もうとしているディアボロ、許すまじ。

「白オクラ、はなっこりー、かきちしゃ…」
 ご当地野菜は色々あれど、そんな品種は聞いた事がないと、礼野 智美(ja3600)は足下の南瓜をしげしげと眺めてみる。
「南瓜だからある程度は判る気もするんだが…極端な例になるが、蒟蒻芋や干瓢の良し悪しわかるか? そんなもんだろ?」
 とは言え過信は禁物、それに依頼人の希望を出来る限り叶える事も撃退士の仕事だ。

「伝統野菜か…」
 ファーフナー(jb7826)にとってはその名称さえ初耳だった。
「先祖代々受け継いできた、手塩にかけて育てた子のようなものなのだろうか?」
「おう、わかってんじゃねぇか」
 それを聞いて、七右衛門が親しげに肩を叩いた。
「あんた顔は怖いが良い奴だな!」
「…うむ」
 顔の事は余計だが。

「いい畑ねぇ、七右衛門君」
「おっ、あんたも畑の善し悪しがわかr…って、おい!」
「あら、中年のおじさんに君はおかしい? 私鎌倉時代生まれだもの、ずっとおじいちゃんよ」
 ふふっと笑った華宵(jc2265)は、見た目と言動のギャップにおののく七右衛門の背を押した。
「さあ、早いとこ収穫を終わらせてしまいましょ? ディアボロは私達に任せて頂戴ね」
「だったら私も手伝っていいかな?」
 天城 絵梨(jc2448)が玄人好みであるらしい七右衛門に好印象を持って貰えるように、アウルの力で暗示をかけてみた。
「収穫用の背負い籠も用意して来たし!」
 その効果か、それとも付け加えた「万が一、猪が畑に入って来たら一人じゃ危ないでしょ?」という台詞が効いたのか。
 絵梨は無事、畑に入る事を許された。
 それにもう一人。
「超レア南瓜の危機と聞いては黙っていられないよね〜」
 未来を守るために協力は惜しまないと、星杜 焔(ja5378)は七右衛門に問いかけてみる。
「良い南瓜の見分け方を教えて貰えれば、それを重点的に守るのですが〜」
 素人には無理だと言うが焔は料理人、食材に関してはプロと言っても良いだろう。
 だが、残念ながらそんな時間は残されていない様だ。

「近付いて来ます、臨戦態勢に入って下さい」
 時間差で生命探知を使った黒井 明斗(jb0525)が注意を促す。
 周囲の藪などに遮られて目視は出来ないが、範囲内には明らかに目的をもって近付いて来る反応がいくつか捉えられていた。
「どっちの方角が多い?」
「向こうです」
 智美の問いに、明斗がゲート側を指さす。
 智美はファーフナーと共にそちらへ向かい、明斗と藤忠は側面へ。
 反対側を見張っていた華宵は焔にタウントをかけて貰い、囮となって敵の頭上を飛び越える。
「動物も植物も命を繋げていく事は大切よね」
 しかしディアボロはその命の連なりから外れた存在、可哀想だがここで消えて貰おう。
「畑も良いけど、私とも遊んでくれないかしら?」
 一頭の尻に向けて太刀状のオーラを放ち、自分に顔を向けさせる。
「ほら、こっちよ?」
 釣られて周囲の猪達もくるりと後ろを向いた。
「…おいで」
 薙刀を手に煽ると、猪の集団は赤い布きれを見せられた闘牛の様に向かって来る。
「あらあら、まさに猪突猛進ね」
 一頭をいなし、次の一頭は薙刀を振り抜いて弾き飛ばし、くるりと回して上段の構えから次の一頭に面を打つ。
 相手の勢いを利用する事で、余り力を入れなくても大きなダメージを与える事が出来た。
「薙刀の打突とは相性が良いみたいよ?」
「なるほど、参考にさせて貰おう」
 同じ薙刀使いである藤忠は別方面からの攻撃を警戒しつつ、その加勢に入る。
 華宵が弾き飛ばした猪を待ち構え、ぎりぎりまで引き寄せて正面から突くと、刃はまるで豆腐でも切る様にその頭を切り裂いた。
 確かにこれは楽だ、相手が一頭ずつ向かって来るならば。
 しかしタウントの効果で引き寄せられた猪は、群れと言っても良い数だった。
「人気者は辛いわね、でも今なら一網打尽よ?」
「ああ、一気に片付けるとしよう」
 合図で華宵と体を入れ替え、藤忠は呪縛陣を発動、猪達の足を止める。
 範囲外に逃れたものは八卦石縛風で石化させ、それを纏めて闘刃武舞で切り刻んだ。
「南瓜を潰す奴に慈悲は無い」
 食べ物の恨みは怖ろしいのだ。
 特に南瓜の恨みは。

 智美は畑の中に怪しい生命反応がない事を確認して、阻霊符を使った。
「地面に潜られて畑に出てこられたら厄介だからな」
 不意打ちを防いだ後は華宵ひとりでは捌ききれない分を自分に引き寄せようと、一頭の猪に華麗なキックを決める。
 それに惹かれて集まって来た所を軍刀で二体同時に斬り付け、逃れたものの突進を身体で受け止めた。
「避けたら畑に被害出るからな」
 単純な突進くらい盾がなくても弾き返してみせる。
 その合間に切れたスキルを次々に入れ替えて、智美は湧いて来る猪を次々に屠っていった。

「数が多いとは聞いていたが、これほどとはな」
 残る猪を一手に引き受けたファーフナーは、周囲の空気を凍てつかせて猪達を眠りに誘う。
 眠らせたものは放置して次の標的へ。
 味方が範囲を出たところを見計らって、縦横無尽に飛び交う無数の影の刃で切り刻む。
 取りこぼしは突進を正面で待ち構え、魔槍の切っ先でその足下を薙ぎ払った。
 上手くすれば前足切断、外れても転がす事は出来る。
 起き上がって来るならトドメを刺し、そうでなければ後回しにして、とにかく動けるものの数を減らしていった。

「畑には寸土たりとも触れさせません」
 明斗は仲間の隙を突いて抜けようとするものを潰していった。
 正面に回り込んで聖なる鎖で縛り付け、足を封じたところで白銀の槍を突き刺す。
 それが切れればアウルの鎧で自らを強化し、自身を防壁として突進を受け止め、弾き返したところで槍を一閃。
 その間にも仲間の様子に気を配っていたが、どうやらすぐにも治療が必要な傷を負った者はいない様だ。

 焔はいつでも七右衛門をガード出来る距離を保ちつつ、畑の外で警戒に当たる。
 仲間の壁を抜けて来る根性のある猪はいなかったが、たまに流れ者がふらりと現れる事もあるから油断は禁物。
「でも今の所は大丈夫そうだね〜、今のうちに収穫を急ごうか〜」
 自分が見張っているからと、七右衛門と絵梨の二人に作業を促す。
「わかった、敵が来たら教えてね、私も護衛に回るから!」
 そう答えた絵梨は、七右衛門の動きを暫し観察して判断の基準を学び…学ぼうと、思ったのだけれど。
「七右衛門さん、もしかして腐ってるの以外は全部収穫してるんじゃ…?」
 本人が収穫に出向く意味はあったのだろうか。
 いや、南瓜に強い愛情を持つ彼にとって、収穫とはきっと子供の独り立ちを祝う様なものなのだろう。
 だとすれば他人任せに出来ない気持ちもわかる気がした。
 でもそれなら尚更、場所に拘って種族を保存する努力を怠っている事に憤りを感じる。
「作る場所にこだわるより、その種を残す事にこだわるべきだと思うけど…」
 土を選ぶとは聞いたけれど、この土地の成分を分析するとか、肥料や水を変えてみるとか、そういった研究はしていないのだろうか。
「タネを譲って貰えたら、久遠ヶ原で栽培してみようかな」
 そんな事を考えながら、せっせと収穫すること暫し。
「来たよ!」
 先程までとは打って変わった焔の厳しい声に、絵梨は手を止めた。
 周囲に散っていた野良ディアボロが騒ぎを感じて集まって来たのだろう。
 別々の方角から五頭ほどが近付いて来る。
 焔は位置取りに注意しながら猪の前に回り込み、突進を始めた一頭の足下に散弾銃をバラ撒く。
 それで一旦は怯んだが、邪魔をされた猪の怒りが彼に向けられるのは当然の流れ。
 前にも増して猛スピードで突っ込んで来る猪に向けて、焔は虹色に輝く光の砲弾を撃ち放った。
「何度向かって来ても、ここから先は通さないよ」
 押し返されて転がる猪、だがひとりで対処出来る数には限界がある。
「そんな時の為のチームプレイです」
「そういう事だな」
 駆け込んできた明斗が宝石の欠片を投げ付け、藤忠が遠い間合いから蛇を絡み付かせた。
 宝石から飛び出した雷の槍が一頭を貫き、もう一頭は曲刀の露と消える。
「ふっ、牡丹鍋も良いな」
 ディアボロは食えないし、食えたとしてもお断りだが。
 もう一頭は縮地で飛び込んだ智美が弾き飛ばし、最後の一頭は華宵が気合いで受け止める。
「…流石に重い突進ね。でも通すわけにはいかないのよ」
 押し戻し、転がして薙刀の刃先を腹に沈めた。
 これで全部か――いや、まだ一頭。
「新手のやつか来たよ、七右衛門さん、こっち!」
 絵梨は一心不乱に作業を進める七右衛門の手を取って、既に収穫が終わった区画へ走る。
 ここなら多少は踏み荒らされても大丈夫と、熱いビートに乗ってShall we dance?
「お…おぉっ!?」
 社交ダンスの要領で華麗に回避、するつもりだったが…おじさんにはちょっと激しすぎただろうか。
 避けきれない。走った為に焔の庇護からも外れてしまった。
 しかし、直後に焔のアハト・アハトが叫ぶ。

 ホモクレェ!

 白い何かに弾き飛ばされる猪。
「…いえ、知らない子ですね幻じゃないですかね」
 さようならシリアス、こんにちはコメディ。
 だって仕方ないじゃない、友に貰った大切な銃だけど、そういう仕様になってるんだから。


 猪はまだ散発的に現れていたが、収穫を終えれば畑に留まる必要はない。
 後は依頼人を安全な場所に送り届ければ任務完了――の、筈なのだが。
「乗りかかった船ですから」
 仲間の怪我を治療しながら、明斗が言った。
 いずれも打ち身や掠り傷程度だが、これから敵の本拠地に乗り込むならば万全の備えが必要だろう。
 そう、彼等はゲートを潰しに行くつもりなのだ。
「俺はそこまで頼んじゃいねえぞ、そんな金もねえし…」
「安心しろ、破壊料は請求しない」
 困り顔になった七右衛門にファーフナーが答える。
「元を絶たなければ根本的な解決にならないし、皆も戻れないものね」
 そう言ったのは華宵だ。
「この南瓜が頑ななまでに他の土地での栽培を嫌うなら、少しでも早く栽培再開出来るようにしたいし」
 智美は故郷の農地を思い浮かべる。
 そこでも被害額は相当なものだと聞くし、ディアボロであろうとなかろうと猪は農家の敵だ。
「これは俺達が勝手にやる事だ、あんたは気にしなくていい」
 南瓜の恨み晴らさでおくべきかと、藤忠が頷く。
 加えて、ファーフナーが言えずに呑み込んだ事をさらっと言ってのけた。
「この戦いが終わったら一番美味い南瓜料理を頼む」
 ついでに酒も欲しい所だ。
「よしわかった!」
 七右衛門がパンと手を叩く。
「その心意気は嫌いじゃねえ、とびっきりの南瓜料理を用意しといてやるぜ!」
「いや、それは…」
 避難所暮らしの所に押しかけるのは迷惑だろうと智美が難色を示すが、そんな暮らしだからこそ、だ。
「他の連中も皆呼べば良いだろ、なあ?」
「それは大がかりなイベントになりそうですね〜」
 ゲート攻略が終わったら調理を手伝おうと焔が申し出る。
 それからと、畑から持って来た熟れすぎた南瓜を差し出した。
「こういうやつは天然酵母にしてみるのはどうだろう〜」
 そんな使い方は知らなかった?
 じゃあ試してみると良いよ!
「私はお料理は出来ないけど、南瓜はシンプルに煮物が好きよ」
 華宵はメニュー考案の手伝いと称して、さりげなくリクエスト。
「あと豚汁というか、そういう具沢山のお汁の実にも美味しいわよね」
「それこそ牡丹鍋か」
 藤忠が笑うが、怪我の功名と言うべきか、本物の猪はディアボロのせいで(お陰で?)めっきり数を減らしている様だ。
「それなら当分は安心して畑仕事が出来そうだね」
 絵梨が言う様に、後はゲートさえ潰してしまえば、周辺農地の未来は明るいだろう。


 まずはファーフナーが軽く偵察し、現状の勢力で不安がない事を改めて確認する。
 ゲートはかなり小さく、何か目的があって作られたものではなさそうだ。
 練習用か、それとも遊び半分の気紛れか。
「迷惑な話だ」
 藤忠は拳をぐっと握り締める。
「絶対根絶やしにしてやる」
 南瓜の恨み、思い知るがいい。

 トーチを掲げてシールドを構えた焔を先頭に奥へと進む。
「ディアボロは残ってないみたいだね〜」
「ええ、コアを守る事は全く考慮されていない様です」
 周囲の様子を探りながら明斗が頷いた。
 ここのディアボロは多くが外に出て周囲を荒らし回り、残りも先程の一件で全て外に出てしまったのだろう。
「放っておいたらディアボロが生まれ続けて、また被害が出るところだったわね」
 華宵が呟く。
 本来なら生まれる命は歓迎されて然るべきなのだけれど。
「次に生まれて来る時は、未来ある命となりますように…」
 あっという間に辿り着いたコアに向き直り、そっと手を合わせる――ここで誕生を待っているであろう命と、既に終わってしまった命に向かって。
「そう考えると、あいつらも被害者…か」
 藤忠の中で燃えさかっていた怒りの炎が揺らいだ。
 それは彼等を生み出した顔も知らない相手への怒りとなって更に激しく燃え上がる。
「いつか必ず作り主を探し出して、南瓜の恨みは晴らす」
 今はここを壊すだけで良しとしよう。
 ファーフナーがコアに向かって立ち、光の魔法陣を描く。
 その中心に魔槍を差し入れると眩い光が一直線に迸り、コアをガラスの様に打ち砕いた。
「これでもう安心だね」
「ああ、暫くはディアボロが湧くだろうが、この規模ならすぐに収まるだろう」
 にっこりと笑う絵梨に、智美が返す。
 これで任務は完了、後は――


 避難所は南瓜の甘い匂いと、人々の楽しそうな笑い声に溢れていた。
「ふふ、甘くて美味しい…愛情たっぷりの味ね」
 華宵はシンプルな煮付けにほっこりと顔を綻ばせる。
「そうだな、作物への愛情と料理への愛情と…美味い、とにかく美味い」
 藤忠は天麩羅に素焼き、サラダに汁物など次々に手を出しながら「美味い」しか言えないマンになっていた。
「ああ、酒が進む!」
 ファーフナーは無表情に見えるが、料理には興味津々。
 南瓜料理は欧米にもあるが、和の文化に触れるとこうなるのかと、出されたもの全てをしみじみと味わう。
 土産も貰ったし、味を覚えて再現してみようか…出来るかどうかは別にして。
 智美はそれを今度の野菜パーティに持って行くつもりらしい。
「形が特徴的だからスライスしてグリルで焼くだけでもお菓子代わりになりそうだし」
「私は料理より栽培かな」
 タネの取り方と保存法を教わった絵梨は、帰ったらすぐに挑戦してみるつもりだった。

 料理を充分に堪能したら、帰る前に少し畑を片付けて行こうか。
 来年の為、その先にある未来の為に。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:6人

凛刃の戦巫女・
礼野 智美(ja3600)

大学部2年7組 女 阿修羅
思い繋ぎし翠光の焔・
星杜 焔(ja5378)

卒業 男 ディバインナイト
鉄壁の守護者達・
黒井 明斗(jb0525)

高等部3年1組 男 アストラルヴァンガード
されど、朝は来る・
ファーフナー(jb7826)

大学部5年5組 男 アカシックレコーダー:タイプA
藤ノ朧は桃ノ月と明を誓ふ・
不知火藤忠(jc2194)

大学部3年3組 男 陰陽師
来し方抱き、行く末見つめ・
華宵(jc2265)

大学部2年4組 男 鬼道忍軍
見えない同居人付きの・
天城 絵梨(jc2448)

大学部2年130組 女 アーティスト