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マスター:STANZA
シナリオ形態:シリーズ
難易度:難しい
形態:
参加人数:10人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2014/09/19


みんなの思い出



オープニング


「あの子達、どうやら上手く切り抜けたみたいよ」
 勤務先の工場にほど近い自宅アパートの一室で、姉崎は誰もいない空間に向けて小声で呟いた。
「撃退署のオジサン達もだいぶマシになってきたみたいだし……」
 あのクレイジーな大天使も暴れるしか能がない様な、ただの戦闘マシーンの様だ。
 このまま放置すれば住民に対する精神吸収を強化して来るのは間違いないが、その前に彼等が倒してくれるだろう。
 これならもう、安心しても良いのではないだろうか。
「って言うかアンタ!」
 姉崎は、閉まったままの押し入れの襖をどかんと蹴り飛ばした。
「いつまでココに居候してるつもりよ!?」
 言われて、中からモゴモゴと申し訳なさそうな声がした。
「いや、その……」
 襖を透過して、顔だけがぬうっと現れる。
「きゃあぁぁぁっ!」
 すぱーん!
 姉崎はその顔面を護身用のスリッパで思いきり引っぱたいた。
「怖いからそれやめてって言ってるでしょ! 出るならちゃんと全部出て来なさいっ!!」
 大丈夫、窓はカーテンも締めてあるし、このアパートは家賃が安い割に防音効果が高いのだ。
「す、すまんのぅ」
 のっそりと現れたのは、大天使ダルドフ。
 先の戦いの後、何処かに行方をくらませていた彼は……こんな所に隠れていたのだ。
 どれだけ遠く離れようと、天界が本気で探す気になれば簡単に見付かってしまうだろう。
 それなら、情報収集にも便利で、何かあった時にすぐ行動に移せる近場に潜んでいた方が便利というもの。
 それにしても近すぎる気は、しないでもないが。
「灯台もと暗しと言うでのぅ」
 という訳で、ここに転がり込んで二週間あまり。
 ダルドフ自身は回復術を持たず、最初の頃はただひたすら死んだ様に眠り続けているだけだったが、そうしているうちに傷も自然と塞がった様だ。
 堕天した訳ではないので、天界からのエネルギー供給も保たれている。
 お陰で今はもう、随分と楽に動けるようになっていた。
「あたしだって、こう見えても彼氏くらいはいるんですからね!」
 アパートに男を連れ込んでいるなどという噂が立ったらどうしてくれる。
 もっとも実際は、世間一般に想像されるものとは随分と違う状況なのだが。
「男を連れ込んだって言うより、熊を飼い始めましたって感じ?」
 このアパート、ペット禁止なんだけど。
「案ずるな、何もせぬわぃ」
「当たり前でしょ!」
 すぱーん!
 ダルドフの頭にスリッパが飛んだ。
「もうさ、怪我も治ったんだし、こんな所にコソコソ隠れてないで、いっそ堕天しちゃった方が良いんじゃない?」
 堕天すると力が失われると聞いたが、それほど極端に弱るものなのだろうか。
 もしそうだとしても、撃退士達も成長している。
「あの子達に全部任せちゃっても、大丈夫だと思うけど」
「かもしれんのぅ」
 だが、まだだ。
 まだこの力を失う訳にはいかない。
「某には、使徒がおっての。某が力を失えば、あれの拠り所がのうなってしまうのだ」
 かつては、自分の使徒とする事が彼女を助ける途だと考えていた。
 だが今は……出来れば、人の間に戻って欲しいと、そう考える様になっていた。
「その意思を、某はまだ訊いておらぬでな」
 恐らく、彼女は人間に戻る事を拒むだろう。
 そして天界に背を向けようとする自分を討とうとするだろう。
「決着を付けるまで、逃げる訳にはいかぬのよ」
 そう言って笑うダルドフに、姉崎は思いきり深い溜息をついた。
「アンタって、ほんと馬鹿」
「うむ、かたじけない」
「褒めてない!」
 すぱーん!


 前回の戦いの前、もう二度と戻る事はないだろうと、ゲートの内部は片付けて来た。
 サーバント達は天界に還し、大切なものは蔵から「ある場所」へ移しておいた。
 コアのある蔵は、開け放してある。
 支配者が変わった今、あの蔵は既に安全な保管場所とは言えなかった。
「さて、あやつらは見付けられるかのぅ?」
 押し入れに戻り、積み重なった布団の間に透過で潜り込んだダルドフは、悪戯っぽい笑みを浮かべて顎髭を捻る。
 見付けられなければ、ゲートの崩壊と共に全てが滅びるのみ――


――――


 呑気な漫才が繰り広げられていた、その頃。

 ダルドフのゲートは不気味に静まりかえっていた。
 見張りに付いている黒田隊の報告によれば、Kがそこに逃げ込んで以来、目立った動きはないという。
 これは、まだ敵側が体勢を整えていないという事か。
 それとも罠を張って、獲物がかかるのをひたすら待ち続けているのか。

「どちらにしても、これ以上は待てん」
 黒田は言った。
「学園に連絡を入れろ」
 ゲートの攻略を開始する。
 今度こそ、天界の支配からこの地域の人々を解放するのだ。



前回のシナリオを見る


リプレイ本文


 ゲートの周囲は不気味な程に静まりかえっていた。
「正念場ってやつですね。気合入れてきますよー」
 夏木 夕乃(ja9092)は右手の拳で左手の平をパシッと叩き、気合を入れる。
 このゲートの元の主であるダルドフに対して、夕乃にはこれといった思い入れはない。
 以前の報告書に目を通した程度で、実際には会った事もない人物だった。
(という事はですよ、私情を挟まずに戦える強味があるという事ですよね)
 それを活かして、皆を支える力になれれば良い。
 彼等が自分のしたい事を、やるべき事を、心置きなく出来る様に。
「キョーカはしーたといっしょ、なのっ」
 キョウカ(jb8351)は紫苑(jb8416)と二人で別行動の予定だった。
「だるどふたまのだいじなもの、きになる、だよ?」
 それに紫苑が行くなら自分も一緒に行くのが当然、そこに一切の迷いはない。
 だが紫苑は少しだけ迷っていた。
「おれ…本とに、いっちまっていいんですかぃ?」
 誰にともなく遠慮がちに訊ねる。
「こいつぁおれのわがまま、ですし。手がたりねぇなら、おれもそっちに…」
 それを聞いて、夕乃は首を振った。
「良いんですよ、こちらには撃退署の皆さんも一緒に来て下さいますしね」
 今後の事を考えれば、ダルドフが残した物を確認するのも大切な仕事のうちだ。
 と言うかもう、今の紫苑を見て「諦めろ」と言える者はいないだろう。
 何しろ言葉以外の全てが語っているのだ、「探しに行きたい」――と、ただそれだけを。
「元は蔵の中にあった様ですが、今も同じ場所にあるとは限りませんし、別の場所を探してみるのは良い考えだと思いますよ」
「そうですね。管理者が交代したなら、そこはもう安全とは言い難いでしょうし」
 ユウ(jb5639)が頷く。
 コアと同じ場所にあったのでは、真っ先に目に付いてしまうだろう。
 この期に及んでダルドフからの行動がないのは妙だと感じていたが、もう既にやるべき事は終えているのかもしれない――他の天使達の目に触れては拙い物を、何処かに移動させるという形で。
「私達に見付けて貰いたいと考えているなら、私達が知らない場所に隠す事は考えにくいでしょう」
 ユウは以前に訪れた広々とした屋敷を思い起こしてみる。
「調べてみる価値はあると思いますよ」
 ただし、敵もそこには目を付けているかもしれない。
「紫苑さん、キョウカさん、くれぐれも気を付けて下さいね」
「わかってまさ。ありがとうごぜぃやす、おんにきやすぜ」
 ぺこり、紫苑が頭を下げる。いつもの快活な笑顔はないが、礼だけは忘れなかった。
 二人の護衛として、黒田隊からアスヴァンの井上とインフィの後藤が同行する事になっている。
 生真面目なユウは、彼等にもきちんと挨拶を。
「井上さん、後藤さん、宜しくお願いします」
「よろしくおねがいします、なのっ」
 一緒に頭を下げたキョウカがニッコリ笑う。
 次いで隊長の黒田にも、ちゃんと前回のお礼を。
「かつおじたん、このまえはありがとうでした、だよ?」
「か、かつお…!?」
 まあ確かに、黒田の下の名前はカツトシではあるが。
「何だか猫に好かれそうな名前ですね、隊長」
 部下達がくすくすと笑う。
 彼等が向かうダルドフ宅には、沢山の猫がいた筈だ。
「何だったら隊長もこっち来ますか?」
 からかう部下達に、黒田は渋い顔で「やかましい」と一言。
「俺は猫が苦手なんだよ」
「知ってます」
 気楽そうなやりとりを見て、少し気を張っていた撃退士達も肩の力を抜く。
 紫苑だけは相変わらず、魂が何処かに飛んで行ってしまった様な顔をしていたが。
「漸くここまで辿り着いたんだ、手ぶらでは帰れんぞ」
 その頭に、黒田が軽く手を置いた。
「お前はしっかり、ダルドフの手がかりを見付けて来い」
 顔を上げた紫苑は、怪訝そうに黒田を見る。
 この人はお父さんの敵ではなかったか。今はゲート攻略の為に協力しているが、手がかりを教えたら倒しに行こうとするのではないか。
 そんな疑念が頭の中に渦巻いた。
「安心しろ、逃げた奴まで追っかける程、俺達は暇じゃない」
 そう言って髪を掻き混ぜた黒田に、紫苑は素直に頷く。
 その「言葉」を全面的に信じた訳ではないが、とりあえずこの「人」は信じられる。
 一緒に戦ってみて、それだけは確かだと思った。
 失敗や勘違い、暴走も多く、決して立派とは言えないけれど――
「我輩も奴の置き土産が気になるのは山々だが、Kもコアも放ってはおけん。そちらは任せたぞ」
 もしこちらで何か見付かればすぐに知らせると、ファウスト(jb8866)は借りて来た光信機のひとつを手渡した。
 戦力に余裕があるなら自分も子供達の護衛に回りたい所だが、コアを破壊する為には出来るだけ多くの戦力を集める必要があるだろう。
「わかりやした。まかしてくだせぇ」
 こくりと頷き、紫苑は精一杯の笑顔を作って見せた。
「くろ田のにーさんもファウのじーちゃも気をつけてくだせぇね」



 準備を整えた一行は、ゲートの内部へと足を踏み入れる。
「私達久遠ヶ原組はKとコア破壊に集中しますので、撃退署の皆さんにはそれ以外の露払いをお願いします」
 ぺこり、夕乃が黒田隊のメンバーに頭を下げた。
 ゲート内での能力減衰は地味に痛い。本命に辿り着くまで、なるべく体力は温存しておきたかった。
 その代わり、コアは責任を持って確実に潰す。
「このゲートも3度目ですね、まあその内の一つは遊びに…ですが」
「…事前に内部が判っているだけでも大分マシだな」
 ユウの言葉にファウストが頷いた。
「敵の配置は変わっているだろうから油断は禁物だが、覚えている道を辿って素直に蔵を目指すぞ」
 前に来た時には確認出来なかったが、コアがあるとすれば、その中以外には考えられない。
 まさかコアが移動するとも考えにくいし、そんな前例も記憶になかった。
「今回で最後にしなくてはいけませんね」
 ユウが見たところ、内部の様子に変化はなさそうだ。
 しかし見えない部分が変わっている可能性もあるし、配置された敵がメカ蜘蛛達なら目で確認するのは難しいだろう。
「探知可能な範囲に敵はいない様です」
 生命探知で確認した知楽 琉命(jb5410)が小声で知らせて来る。
 それでも琉命は念の為、周囲に小麦粉やポテトチップスをバラ撒いておいた。
 ダルドフに見付かれば食べ物を粗末にするなと拳骨を喰らうのは必須だが、こうしておけば予想外の場所から現れた時でも、それを踏む音や足跡で存在を確認出来るだろう。
 それに加えて、夕乃の指示を受けた黒田隊のメンバーが定期的に範囲攻撃を行う。空振りならそれで良し、何かが潜んでいれば反応がある筈だ。
「さて、あの不気味な天使とも今回限りにしたいところだな」
 黒羽 拓海(jb7256)は気配を殺しながら先頭に立って進む。
 報告書は読んだし、地図も頭に入れた。ゲート探索に参加した彼女から話も聞いた。
「ダルドフのゲート…気になりはするが、俺が考えても仕方ない」
 出来れば一度、のんびりと訪ねてみたかった気もするが。
「今は破壊させてもらう」
 このゲートを破壊すれば、支配下の人々は解放される筈だ。
 きつい締め付けがなかったとは言え、自由を奪われていた事に変わりはない。
 ましてや支配者が変わった今、これまでのやり方がいつまでも続くとは思えなかった。
「敵の本体がいなくても、糸でトラップを仕掛けてあるかもしれない」
 仲間にそう声をかけ、自らも抜き放った刀で前方を探りながら、ゆっくりと歩を進める。
 ゲートに侵入した事は、既に探知されている筈だ。どれだけ急いでも、自分達がコアに着く頃には敵は防御を固めていることだろう。
 ならば慌てる必要はない。慎重に、避けられるものは出来るだけ避けて行こう。

 ゲートの外周から内へ内へと、互い違いになった門を抜けて進む。
 それぞれの門は固く閉ざされてはいたが、鍵はかけられていなかった。開けた途端に敵の大軍が押し寄せて来る、などという事もない。
 罠もなく、敵に遭遇する事もなく、拍子抜けする程あっさりと、一行は最も内側の門に辿り着いた。
「向こう側に多数の生命反応があります」
 琉命が報告する。
 大きさはわからないが、分布の範囲から見てそう大きなものではないだろう。
 2〜3の反応が、じっと動かずに固まっている部分が多い。
「蜘蛛の動きだと考えると、少し妙な気がしますね」
 とすると、新手のサーバントか。
 撃退士達は後方で武器を構えつつ、慎重に扉を開ける。
 と、その目に飛び込んで来たのは――
『にゃぁ〜ん』
 気ままに寛ぐ猫達の姿だった。
「ダルドフさんの屋敷にいた猫達でしょうか?」
 ユウが首を傾げる。
 数が多すぎて顔や模様は覚えきれなかったが、人懐こく近寄って来る様子を見ると、やはりあの猫だろうか。
 だが、遊びに来たあの時とは状況が違う。
「同じ様に見えても、以前と同じ安全な個体とは限らんぞ」
 自身も構いたくなる衝動を抑えつつ、ファウストが注意を促した。
「ゲート内に居るサーバントな以上、無害に見えても危険だと考えた方が良いだろうな」
 拓海はワイヤーを取り出し、追い払う様に地面を軽く叩いてみる。
 身軽に逃げ散る様子は、普通の猫と変わらない様に見えるが。
「ねこたん、キョーカたちいまいそがしーから、ばいばい、だよ?」
 キョウカも冷静に手を振り、仕事中である事をアピールしてみた――それが猫に通じるかどうかはともかく。
 一方の紫苑は、ダルドフの家がある方角にじっと目を向けていた。
 哀しくて、哀しくて、猫に気付く余裕さえない様子だ。
『にゃぅん』
 一匹の猫が、その足元に擦り寄って行く。
 こつんと頭が当たった、その瞬間。
 猫の背に、一筋の白く光る筋が現れた。
 それは見る間に膨れ上がり、光球となって毛皮を引きちぎり、弾き飛ばす――その様子が、周囲の目にはスローモーションの様に見えた。
 爆発の直前、本能的に何か違和感を感じ、紫苑は咄嗟に足を引っ込める。
「危ない!」
 殆ど同時に拓海がワイヤーで打ち払い、猫の身体を弾き飛ばした。
 それは光の尾を引く様に空中を跳び、途中で爆散する。
「爆弾猫か…!」
 拓海は周囲にいた猫達も叩いてみる。
 攻撃が当たった猫達は、その衝撃で次々に爆発していった。
「しーた、だいじょぶ?」
 駆け寄ったキョウカに、尻餅を付いた紫苑が頷いて見せる。
 脛のあたりが少し赤くなっているが、大した事はなさそうだ。
 拓海に礼を言い、紫苑は立ち上がる。
「よかった、なの」
 キョウカはその首にぎゅうっと抱き付いた。
 しかし危なかった。これがウサギだったら脇目もふらずに駆け寄って、もふっと抱き締め…どっかーんになるところだった。
「ねこたん、かぁいそ、なの」
「ひでぇことしやがりまさ、あのカラクリやろう」
 ダルドフが可愛がっていた猫達。
 お泊まりした時、何匹かが布団に潜り込んで来た事もある。
 それをこんな風に使うなんて。
 今すぐにでも飛んで行って、ぶん殴ってやりたいけれど。
「キョーカ、いきやすよ」
 今はひとつ、貸しにしておいてやる。
 返して貰う前に仲間の誰かに倒されたなら、それはそれで構わない。
「とびやすぜ、しっかりつかまっててくだせぇ!」
「ねこたん、とびこえてびゅーん、なのっ」
 二人は自分よりも遥かに大きな大人を抱え、塀を越えて飛んで行く。
 途中にメカ鬼蜘蛛が隠れていたとしても、この高さならぶつかる心配はないだろう。
 ダルドフの家まで、脇目もふらずに一直線だ。

「ダドルフの隠した何かは天界側も探しているでしょう」
 琉命は生命探知で周囲を探る。
 近くに紫苑達を追う動きをするものがあれば、まずはそれを先に潰す。
 だが幸い、危惧した様な動きを見せるものはなかった。
「或いは既に先回りをして、待ち伏せされているのかもしれませんが…」
 気を付けてと心の中で祈り、琉命は先を急ぐ仲間達の後を追った。


 コア攻略組は、近寄って来る猫達を避けながら先へ進む。
「爆弾猫は厄介なだけかと思いましたが、思わぬ利点もありますね」
 猫達の動きをじっと見ていた夕乃が囁いた。
 彼等が何もない所で急に方向を変えたり、蛇行して歩く素振りを見せる時、そこには何かがあると考えて良いだろう。
 何かとは、勿論――
「これで見えるでしょうか?」
 夕乃は猫達に小石を投げて誘爆を誘ってみた。
 爆発の光や煙がスクリーンとなって、予想した通りの姿を映し出す。
「流石にこの辺りになると、敵も増えて来ますね」
 浮き上がったシルエットに向けて、ユウがエクレールで牽制射撃を撃ち込んだ。
 体力温存の為にも、出来ればこのまま駆け抜けてしまいたい所だが、蜘蛛達は通路一杯に広がっている。
 こんな時は、黒田隊の出番だ。
「先生、お願いします!」
 夕乃にヨイショされ、黒田達は「調子の良い奴だ」などと苦笑を漏らしながら前に出る。
 まず投げ付けたのはキョウカ直伝のカラー水風船。
 仮にも撃退庁所属の専門家集団であるからには、ここは本物のカラーボールを使わせて欲しいところだ。
 しかし昨今はどこの機関も資金難、低価格で同等の性能を持ったアイテムが作れるとなれば、採用しない手はなかった。
 カラフルに染まった蜘蛛を押し退け、出来た道を駆け抜ける。
 各自が頭に入れた地図を元にして予め決めておいた進行ルートは、必ずしも最短距離ではなかった。
 だが距離を優先して、敵に待ち伏せされそうな地点に突っ込むよりは、多少は遠回りでも安全な道を進んだ方が消耗も少ないだろう。
 やがて中心部にある鎮守の森が見えて来た。

 以前と同じ様に、奥へと続く通路には篝火が明々と燃えていた。
 その光が届かない所は真の闇に包まれているところも以前と同じだ。
「前回はここで集中攻撃を受けたのだったな」
 ファウストは周囲の暗闇に目を懲らす。
 だが、ここもやはり駆け抜けるのみ――Kが現れない限りは。
「木がある場所は却ってわかりやすいかもしれん」
 拓海が言った。
 いくら迷彩で姿を消しても、風の抵抗をなくす事は出来ない。
 移動の際に起きる風は木々の葉を揺らし、その存在を教えてくれる。
 ぶつかって音を立てる事もありそうだし、移動の制限にもなるだろう。
「いたぞ」
 両脇の木々の間から、ガサガサと派手な音が聞こえる。
「奴等、忍ぶ事はやめたらしいな」
「上からも来ます!」
 上方からの奇襲を警戒していたユウが注意を促すと同時に、小ぶりなメカ蜘蛛達がバラバラと降って来た。
 篝火に揺れる朧な影を見て、撃退士達はその落下点から素早く身をかわす。
 着地と同時に塗料をぶちまけ、蹴散らし、奥の広場を目指して走った。
 参道の両脇からは、メカ鬼蜘蛛が力任せにヘシ折った太い木々が倒れて来る。
 それに潰されない様に飛び越え、或いは下をくぐり――

「ここが、コアのある場所ですか?」
 少し息を切らしながら、夕乃が上を見上げる。
 報告書で読んだ通り、そこには季節感を無視して桜が咲き乱れていた。
 そして広場の真ん中には蔵がある。
「扉は開いていますね」
 ユウが言った。
 以前は何処に扉があるのか、それさえわからなかったのだが。
「ダルドフさんが開けて行ったのでしょうか」
 まだ距離はあるが、中を覗き込んでみる。
 見える範囲には何も見えなかった――ただ、赤く光る宝石の様なコア以外には。
 ユウはその場に膝を付き、スナイパーライフルを構えた。
 もしも蔵の防衛機能が生きているなら、近付いた途端に作動する可能性もある。ならばコアの破壊を優先すべきだろう。
 慎重に狙いを定め、引き金を引く。
 だが――
『ひぃっひっひぃ!』
 耳障りな声が響くと同時に、銃弾が何かに弾かれて消えた。
「出たな」
 拓海が愛刀「黒百合」を抜き放ち、構える。
 開け放たれたままの蔵の戸口に、Kが姿を現した。


「だるどふたまのおうち、はじめてっ、なのっ」
 キョウカと紫苑は、屋敷の庭先まで辿り着いていた。
 しかし案の定、そこには敵がひしめいている。
「いのうえのにーさん、こいつらおっぱらえますかぃ?」
 紫苑に乞われ、アスヴァンの井上が星の輝きを使っと、それを嫌った猫達は一斉に縁の下に潜り込んだ。
 だが、蜘蛛達はそう簡単にはいかない。
 上空からバラ撒いたインク入り水風船のおかげで、その姿ははっきりと浮き上がって見えた。
 巨大なメカ鬼蜘蛛はいない様だが、小型の蜘蛛がごっそり。小型と言ってもその体高は大人の背丈ほどもあり、二人にとっては充分に大型だ。
「まずは、あのげんかんまえにいるヤツをかたづけやしょ」
 地上に降りた二人は助っ人達をその場に残し、蜘蛛の腹の下を潜って反対側へ回り込む。
「はさみうち、なのっ」
 四人の一斉攻撃でそれを斥けると、残る三人が壁を作る中、インフィの後藤が鍵を開ける。
 せーので飛び込み再び施錠、これで外から入る事は出来ない筈だ――玄関を突き破らない限り。
 だが、それで家の中が安全になったかと言えば、そうではない。
「ろうか、くものすだらけ、なのっ」
 キョウカが声を上げる。
 避けて通る隙間もない程に、透明な蜘蛛の糸が縦横に張り巡らされている。
 既に中に入り込んでいる蜘蛛がいる、という事だ。
 紫苑はミカエルの翼でそれを打ち払いながら、先頭に立って廊下を進んだ。
 ここは、お父さんの家だ。
 なのに勝手に入って、こんなに蜘蛛の巣だらけにして。
 コアが破壊されれば、この家もなくなってしまう事はわかっている。
 わかっているけれど…悔しくて、哀しくて。
「しーた」
 そんな紫苑の背を、キョウカがそっと抱き締める。
「だいじょぶ。だるどふたまのだいじなもの、さがそ?」
 袖口でごしごしと顔を擦った紫苑は、こくりと頷き襖を開けた。
「なにか、手がかりの一つでもありゃあいいんですがね…」
 そこは皆で食事をした、床の間のある部屋だ。
 何もない――蜘蛛の巣の他は。
 いや、奥に何かがいる。
 キョウカがインク風船を投げ付けると、明るいオレンジ色が弾けて蜘蛛の形になった。
「でていきなせぇ!」
 紫苑がミカエルの翼を投げて、周囲の糸を切りつつ蜘蛛の足を掬う。
「はいってきたら、めっ、なのっ」
 ひっくり返ったところで、キョウカが腹にコナインロッドを打ち下ろした。

 四人はその後も蜘蛛の巣を払い、蜘蛛を排除しながら手がかりを探し続ける。
 床の間のある部屋と、肖像画が隠してあった奥の部屋、台所に、ダルドフが使っていた4畳半の部屋…
「ここにはない、だよ?」
 と言うより、どこにもない。
 その時、コアに向かったユウから連絡が入った。
『蔵の中には何もありませんでした。防衛機能も解除されていましたし、恐らくダルドフさんが移したのでしょう』
「だるどふたまのおうちにも、なにもない、だよ?」
 家具や寝具などはそのまま残されていたが、それが「大事な物」だとは、ちょっと考えにくい。
『奴の性格を考えると、神棚とかの日本的に特別な場所に隠していそうな気もするな』
 今度はファウストの声だ。
「もう、ぜんぶさがしやした。でも、みつからねぇでさ…どこも、くものすばっかで」
 萎れた声で紫苑が答える。
『蜘蛛の巣、か』
 暫しの沈黙の後、ファウストが言った。
『蜘蛛に荒らされる事を想定していたとすれば、恐らく――』
 だが、通信はそこで切れた。
 恐らく戦闘が激しくなり、話している場合ではなくなったのだろう。
「ファウのじーちゃたち、だいじょうぶですかねぃ…」
 心配だが、今は自分に出来る事をやるしかない。
「あらされることを、そーてい…?」
 そーていって、どんな意味だろう?
 大人達に訊きながら、紫苑は脳味噌を絞る。
 蜘蛛に荒らされない場所…蜘蛛が入れない場所?
 あの大きさで入れない場所と言えば、床下か天井裏くらいなものか。
 そう思って上を見上げる。
「…あっ!!」
 天井の板が一枚、僅かにずれて隙間が出来ていた。
「きっと、あそこでさ!」
 陽光の翼で舞い上がった紫苑に、キョウカが続く。
 板を持ち上げて潜り込むと、そこには――


「黒田さん、堅実防御でフォローをお願いします!」
「ったく、人使いの荒いガキ共だな…」
 夕乃の要請にぶつぶつと文句を言いながらも、黒田は生徒達に鉄壁の加護を与える。
 だが残りの部下達は背後の森から追いかけて来た蜘蛛達の対処に忙しく、こちらの加勢までは手が回らなかった。
「後は盾役になれとでも言うんだろうが、俺ひとりじゃどこまで保つかわからんぞ」
 さっさと片付けてくれと言いつつ、黒田はタウントでKの注意を引きつつ盾を構える。
「それも良いですけど、あればシールドバッシュでKのスキル発動を妨害して下さい!」
「お前、少しは遠慮しろよ」
「子供は遠慮しちゃいけないって、どこかの偉い人が言ってましたよ?」
 都合の良い時だけ子供になるのも子供の特権だ。
 黒田の後ろに隠れなだら、夕乃は蔵の入口を塞いだKに向けてフレイムシュートを放つ。
 二割減の能力では温度障害まで期待するのは難しいか。
 Kはコア防衛の為にそこから動かないと見た琉命は、距離を詰めてシールゾーンを発動、スキルを封じる魔法陣の中にその身体を捕らえた。
 しかしKは動じる様子も見せず、背中の翼を広げて琉命を狙う。
 魔法攻撃の威力に応じて成否が決まる封印は、Kに対して全く効果を発揮していない様だ。
「ゲート内部では、Kを上回るのは難しい様ですね」
 翼を避けて後方に下がった琉命はシールゾーンからクリアランスに切替え、ヒール、神の兵士と共にセット、スキルを回復支援に特化させる。
 前回と違い、Kが自ら積極的に動く事はなかった。
 じっと動かずに、相手が射程に入った時のみ、近寄らせまいとするかの様に魔眼や砲射で弾幕を張って来る。
「やはり今回は、コアの守護が優先されるか」
 その周囲にインク風船を投げ付けながら、ファウストが言った。
 何もない様に見えたが、やはり周囲には蜘蛛達がひしめいている。
 そしてKに安全地帯を提供するかの様に、左右と上部をガードした巨大なメカ鬼蜘蛛が一体。
 上空から狙ったユウの狙撃も、その堅い殻に阻まれてKには届かなかった――勿論、その奥にあるコアにも。
「まずはあの鬼蜘蛛を何とかする必要がありそうですね」
 ユウはスナイパーライフルにダークショットの威力をを乗せて、鬼蜘蛛の背を撃った。
 そのCR差はゲート内のペナルティさえ帳消しにして、更にお釣りが来る程の威力を発揮、迷彩能力を失った鬼蜘蛛はその場に脚を折って蹲る。
 だがその威力は、逆に狙われた場合には一撃で致命傷になり得る諸刃の剣。
 そして防御が難しいと判断したKは、脅威を迅速に排除する道を選んだ。
 金属質の翼を広げ、上空へと舞い上がる。
「そうはさせん!」
 ワイヤーで引き摺り下ろそうと拓海が駆け寄るが、バリケードの様に横たわる鬼蜘蛛の巨体に阻まれて射程内まで近付く事が出来ない。
 ならばと拓海は闘気を解放、鬼蜘蛛の残骸に登り、そこからモーゼル・ライエンフォイヤーを連射、飛び去るKの背を狙った。
 当たっている筈なのに、Kは怯む様子も見せない。
「やはり痛覚は鈍い様だな」
 拓海は銃を収めると、その背に呟いた。
 次に射程に捉えた時は遠慮なく急所を突かせて貰おう。
「手足を狙っても、どうせ堪えないのだろうからな」
 前回の轍は踏まない。
 一方、追われるユウは得物をエクレールに持ち替えて全力で逃げる。
 しかし、ただ逃げていると見せかけて、それは仲間の元への誘導でもあった。
「黒田さん、あのデカブツ邪魔ですから、フォースで吹っ飛ばして下さい!」
「だから人使いが荒いんだよお前は!」
 文句を言いながら、やっぱり黒田は夕乃の命令――いや、お願いの通りに動く。
 鬼蜘蛛の残骸をどかすと、蔵の中にあるコアが丸見えだった。
 だが、何かがおかしい。
 ファウストが念の為にインク風船を投げてみると、それは何もない筈の空間で破裂した。
「中にも蜘蛛がいたのか」
 小型のメカ蜘蛛が、隙間もない程にみっちりと詰まっている。
 更にはコアからも新たに生まれている様だ。
「戦いは昔から得意ではないのだがな」
 ファウストは苦笑混じりに溜息を吐く。
「けれど今は我輩なりに戦おう、望む未来を見る為に」
 セルフエンチャントで威力を上げ、ライトニングを撃ち込んでいく。
 この壁を崩さない限り、コアに手は届かない。使い切ったスキルを入れ替えながら、ファウストはひたすら蔵の中に魔法を放ち続けた。


「ありやした! 見つけやしたぜ!」
 大きな風呂敷に包まれた額縁と、小さな桐箱、そしてまだ封を切っていない酒の瓶。
 きっとこれが、ダルドフの大事な物だ。
 紫苑とキョウカは、それを傷付けない様にそっと下の部屋へ降ろす。
 桐の箱は軽かった。
 蓋を開けてみると、中に入っていたのは――
「…これ…」
 見覚えのある封筒に、鉛筆で書かれたひらがなの文字。紫苑がダルドフに充てた手紙だ。
 他には枯れて萎れた赤い薔薇が一輪、菓子折の包み紙、携帯音楽プレーヤー等々…どれも撃退士からの贈り物ばかりだ。
 これが、ダルドフの大事な物なのだろうか。
 と、その背後でキョウカの声がした。
「きれいなひと、なの」
 額縁を包んでいた風呂敷が外されている。
 真っ二つに切られていた筈の絵は、元通りに繋ぎ合わされていた。
 その顔に見覚えはないが、学園に持って帰れば誰かしら知っている人がいるかもしれない。
 他に持ち帰りたい物は、布団、ちゃぶ台、食器に座布団…ここにあるもの、全部。
「…は、むりですかねぃ?」
 ならせめて、将棋盤だけでも。


 Kに追われたユウは相手の攻撃が届かない距離を保ちながら、仲間が待ち受ける場所へ飛んで行く。
 高空から急降下し地面すれすれを掠めて飛ぶと、Kもその後に付いて来た。
 どうやらひとつの獲物に狙いを定めると、他は目に入らなくなる癖がある様だ。
 ユウを追って上昇に転じた瞬間、鬼蜘蛛の背で待ち構えていた拓海が、その身体にワイヤーを巻き付けて引く。
 上昇の勢いとワイヤーを引く力が重なって、Kの身体を締め付けた。
 不意打ちを食らったKはそれを力任せに引きちぎると、今度はユウの存在など忘れたかの様に、一転して拓海を狙い始める。
 ワイヤーを手放した拓海は黒百合を活性化、闘気解放を維持しつつ、あらん限りの力でそれを迎え撃った。
 六爪を受け流し、返す刃で鬼剣・瞬獄、更に剣・颶風へと繋げる。
 その背中を狙って、夕乃がフレイムシュートを放った。
「ほらほらKさん。どうしました? せっかくの爪が泣いてますよ」
 コアに意識を戻さない様に挑発しつつ、反撃に出ようとしたKの動きを阻害する。
 Kがそちらに意識を向ければ、再びスナイパーライフルに持ち替えたユウがダークショットを乗せた一撃を。
 だがKは避ける素振りも見せず、一番近くにいた拓海に向かって両腕を振り上げた。
 しかし何かおかしい。
 その時、Kは初めて気付いた――自分の左腕がなくなっている事に。
『ひぁっ!?』
 喉を鳴らし、驚愕の表情を浮かべる。
 次の瞬間、Kは走り出した。コアに向かって脇目もふらずに、邪魔するものは全て吹き飛ばす勢いで。
 その線上に立っていたファウストは緊急障壁を展開、向かって来るKを睨み付ける。
「ここを通す訳にはいかん」
 目力と目力の勝負、だが実際にビームの出る目には敵わなかった。
 それでも何とかカウンターでスタンエッジを叩き込んだが、Kの動きは止まらない。
 味方である筈の蜘蛛達を薙ぎ倒し、掻き分け、蹴散らして、Kはコアに飛び込んで行った。


「それで、にがしちまったんですかぃ?」
 急いで助っ人に駆けつけた紫苑が悔しそうに言う。
 だが、そこに非難の色は全くない。寧ろ申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「すいやせん、おれがもっとはやく、かけつけてりゃ…」
 しかしKは既に片腕を失い、他にもかなりのダメージを受けている筈だ。
 当分は復活して来ないだろうし、戻ったとしても片腕は義手になるだろう。
 それに、その後の集中攻撃でコア破壊という目的は果たした。
「そちらはどうでしたか?」
 大事な物は見付かっただろうかと、ユウが訪ねる。
「みつけた、だよっ」
 安全の為にゲートの外に運び出したそれは今、井上と後藤が守ってくれていた。
「では、これで目標は二つとも達成出来た訳ですね」
 怪我をした仲間達に治療を施しながら、琉命が言った。
 キョウカもライトヒールでそれを手伝う。
 全員が全快とまではいかないが、命の危険がない程度には回復出来そうだ。
 後は無事にゲートから脱出すれば、任務完了。
「帰り道にもまだ敵が残っている筈です」
 最後に残った生命探知で比較的安全な退路を探し、エスクードを構えた琉命が先頭に立つ。
「キョーカたち、がんばる、なの。みんなはおやすみしてて、だよっ」
 既に治療を受けて体力全快、スキルも温存してあったキョウカと紫苑で両脇を固め、一行は出口を目指して歩き出した。


 ゲートの外で待っていた二人と合流した彼等は、改めて「大事な物」を確認してみる。
 桐箱の中身は、どうやらダルドフの個人的な宝物らしい。
 その他には、何かの手がかりになりそうな物も、メッセージや手紙の類も入っていなかった。
 となれば、彼が手がかり、或いはメッセージとして残したのは、あの絵のみという事になるだろう。
 風呂敷が解かれ、絵の全容が露わになる。
 片側に描かれているのは、彼の家を訪ねた者なら見た事のある、若き日のダルドフの姿だ。
 その隣に寄り添っている背の高い女性は――

 腰まで届く真っ直ぐなプラチナブロンドの髪に、白い肌。
 少しきつそうな、水面を映した様な淡い瞳。

 ユウは、その姿に見覚えがあった。

「まさか…」



 リュール・オウレアル。
 それはつい先日堕天したばかりの、大天使の姿だった。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:8人

胡蝶の夢・
ケイ・リヒャルト(ja0004)

大学部4年5組 女 インフィルトレイター
撃退士・
セレス・ダリエ(ja0189)

大学部4年120組 女 ダアト
撃退士・
夏木 夕乃(ja9092)

大学部1年277組 女 ダアト
イケメンお姉さん・
影野 明日香(jb3801)

卒業 女 ディバインナイト
智謀の勇・
知楽 琉命(jb5410)

卒業 女 アストラルヴァンガード
優しき強さを抱く・
ユウ(jb5639)

大学部5年7組 女 阿修羅
シスのソウルメイト(仮)・
黒羽 拓海(jb7256)

大学部3年217組 男 阿修羅
娘の親友・
キョウカ(jb8351)

小等部5年1組 女 アカシックレコーダー:タイプA
七花夜の鬼妖・
秋野=桜蓮・紫苑(jb8416)

小等部5年1組 女 ナイトウォーカー
託されし時の守護者・
ファウスト(jb8866)

大学部5年4組 男 ダアト