●惚気話が聞きたいの!
というわけで、明らかに天使の趣味です、ありがとうございます状態で集まったのは6名。
猪狩 みなと(
ja0595)
望月 忍(
ja3942)
夜科小夜(
ja7988)
雁久良 霧依(
jb0827)
時津風響(
jb1778)
平良・沙夢(
jb3716)
ルフィーリア=ローウェンツ(
jb4106)
長谷川アレクサンドラみずほ(
jb4139)
達だ。彼女たちは勇者である。なんてったって惚気話をしてね★ という何とも言えない状況だというのに、果敢にもこの依頼を受けたのだから!
他人の惚気話等聞いて楽しいか……という意見もあるだろう。あるだろうが、この天使はきっとそういうのが好きなタイプなんだろう、天使にも色々居ますからね! 多分!
●向かう道すがら
これ誰が皮切るんだ、意外と大変だぞ。ゆっくりと歩きながらまだ誰も口を開かない。
そんな中、一人本気で首を傾げている人がいた。みずほだ。
「わたくし、惚気話というものが何かわかりませんわ」
まさかの! というわけで、響にと聞く。響がにこっと笑い口を開いた。
「長谷川さん、惚気話と言うのは説明するのが馬鹿らしい部分もあるけれど……」
要するに「○○かっこいいv」「○○素敵v」と、当人にはとても幸せなんだけど、他人からするとへぇ……っ(苦笑)て感じの話である。
まさにその通りなのだが、そういうの好きな人にはそこがまたたまらんのですよ。
「そ、そのようなことなのですか! わたくし、話せることがまだ思い浮かびませんので、皆様の話をゆっくり聞かせていただきますわ」
それが合図のようになった。
いつ出会うか分からない……と、思うのでまず先に口を開いたのはルフィーリアだ。
「まず何よりもあの御方の素晴らしい処は凛々しい尾と耳でございましょうか?」
凛々しい尾と耳を思い出したのか、触りたそうにうずうずしている。とまらない。まだまだ止まらない!
「逞しいお身体に、意志の強い瞳……そしてわたくしを護って下さった立派な牙v 人界、冥界、天界と探そうとも、あの御方程素敵な御方はいらっしゃいませんわv」
その頬は蒸気し、瞳はうっとりと細められる。そんな隣で、同じように口を開いたのは霧依だ。可愛いペットちゃん達の話……どことなく、色々と漂うな気がするがあまり深くはつっこまないでおこう。
「その子は兎に角大人しくて、私の言う事は何でも聞くのよ♪」
くすっと微笑む。
「抱き枕になりなさい♪ 一緒にお風呂に入って背中を流しなさい♪ とかね♪」
それ、どんなペット? という表情を数名聞き流そうとしたが聞き流せずしましたが、そのまま話は続きます。
「無理難題を言っても顔を赤らめつつも、しっかりこなしてくれるのよ♪ 本当に可愛いわ♪」
ここでは言えないあれやこれを言うらしい。うっとりと頬を染めてそんな風に囁く霧依。大丈夫か、このまましゃべり続けていて、なんとか倫に触れないか!!
大丈夫だろうか……そんな表情がうかがえる。話は次の子へ。
「口を開けば罵詈雑言ばかりで、こっちの隙を見付けると本気で噛み付いてくるけど、みっちり教育的指導してあげるとね、とっても素直になるの♪」
そろそろ危ない!! 皆の表情が変わったところで、霧依が言葉をつぐんだ。
「それでね……いえ何でもないわ♪」
ふふっと笑い、皆がそ、そうですよねっていう表情をした時、広場にとついた。
まだ敵が現れる様子はない。ひょっとしたら様子をうかがっているのかもしれない……。
●ついても惚気です
というわけで、皆で女子会のようになって惚気をすることになる。勿論、聞き流すというか、多分聞いてない子も居る。自分のことで精いっぱい、それもまた可愛い姿ですよね! そして相槌を打つ子も居る……忍だ。
「ペットの子猫、あおちゃんのことを話そうと思います〜あおちゃん、とっても可愛いの〜」
今はオフにしているけれど、先ほどまでペットの写真を見て元気を貰っていたのだ。にこにこと微笑みが止まらない。
「あおちゃん、とっても可愛いの〜つやつやの毛並みと、長い尻尾と、金色のお目目が素敵なのね〜」
思い出したのか、ぱぁっと笑顔に拍車がかかる。とうとうオンにして、写真を見せた。子猫だ、大丈夫、微笑ましい!
「でね、えっとね朝は、顔をなめたり、お布団の上で肉球ぐーばーして起こしてくれるの〜。あおちゃんと一緒だから、一人暮らししてても、寂しくないのね〜」
一気にそこまで語り、可愛いでしょうと微笑む。子猫にこんなことされたら、猫好きには堪らないだろう。確かにそんな愛らしい子猫が居たら、幸せになれるだろうな、と猫が好きな人は微笑んだ。
その隣で、小夜が口を開いた。
「兄様は小夜の自慢の兄様、です 。サラサラした黒髪も全てを包んでくれるような銀色の瞳も美しいです。それに、引き締まった身体は思わず見とれてしまいます……」
ほぉっと息をついた。まだまだあるのだ。その瞳は大切な人への愛情があふれていた。
「兄様は、明るく社交的で、小夜には真似出来ません。とても自慢の兄様なんです」
きりっとしたその表情は、本当に心から兄を尊敬し、兄のいい所ばかりを言っているだけである。
(それにしても、惚気話は聞かされると脱力するんだけど、まさかサーバントにも効果があるとはね)
その表情がでていたわけではなかろうが、響にと誰かがぼそっと、多分このサーバントが特別なんじゃ……と突っ込んだ。
「……え、特別なの?」
ここまで惚気を聞いていた響が苦笑を浮かべた。そうなんです、このサーバントが特別なんです。しかも脱力っていうよりは、メロメロになって……って感じらしいんですが、そろそろ現れてくれないと惚気話が終了しそうな気がする。
………そして、ふと気がついた。あれ? なんか人数が多くない?
●そして戦いもあったのです
さりげなく、素敵ねーっていう表情? をしていた大型のカラス。ふっわとしたその毛並みは結構可愛く……見えなくもない。
ちなみに惚気を聞いていたので、皆を見る瞳は、貴方達、本当素敵ね! っていううっとりしたものである。
だがしかし、はっとあ、そうだったここ守るのが使命だった! という表情に切り替わり、隣に居た響にと向かう。惚気話をしていなかった彼女に対しては、俺は本気をだすぜ! という感じでばさぁっとその翼を広げたが、ここぞとばかりに口を開き、惚気を始める。
「あたしの愛車は運転していて楽しいんだ。ハンドルを切る、アクセルを踏む・緩める、ブレーキを踏む、そういった操作に吸い付くように反応してくれるの」
ふわりと舞いあがり、カラスを見据える。まさかここで惚気られると思っていなかったカラスはぐんっと高度が落ちた気がした。気がしただけで、浮いてはいるがどこか先ほどまでの力はない。
………効いている!!
ここぞとばかりにふっと笑う。そうだ、この惚気そうそう簡単に止まる物ではない!
「まさに人馬一体って言うの? この前調整したのがサスペンションのダンパーの減衰でね、吸い付くように……」
さらにまだまだ続くが、ちょっと専門的になるので人によっては呪文か日本語以外に聞こえるかもしれない。ほら、電化製品の売り場が違うと言語が違うように聞こえるあの現象に似ている。
上空から銀色の炎で攻撃を加えれば、惚気をきいたカラスの攻撃はへにゃんとなった。
「私と旦那様のお話、幾らでも聞かせてあげるよ♪」
薄紫色の矢を打ちこみながら、にこーっと微笑む沙夢。
「旦那様、強面の割にはかなりモテるんだよね。やっぱり人格のせいかな?」
炸裂した所から羽をまき散らし、カラスがなんとか攻撃しようとその嘴でつつこうと飛び掛かる。だがしかし! にこぉっと笑顔の沙夢。矢がその顔面に突き刺さった。これ多分普通の人がされても痛い。
「でね、そんな人だから凄く沢山の女の人から慕われてたけど、その人たちの前で堂々と私を選ぶって言ってくれて……」
忘れられない姿をぽっと思い出したのか、頬を真っ赤にさせる。そうだよね、そんなかっこいい姿を見たら誰だって惚れてるのがさらに惚れるというもの! カラスもそうよねーって感じなのか、それとも矢が当たったせいかカァ!! と頷きなのか悲鳴なのかを上げた。
だがしかし体力がまだまだあるらしい。全然堪えて居ない。というか、もっと惚気を寄こせよ! という瞳に見えなくもない。
みなとが攻撃を当てながら首を傾げる。皆の惚気はさらーっと流す、と決めている彼女。とりあえず自分も惚気ないと危ないため惚気をどこから言おうかと悩む。
「ウチの彼……ていうか婚約してるし実質もうダンナさまみたいなもんなんだけど。 年下なのよね」
自分はこんな風な感じだから、一生懸命追いつこうとしてくれる旦那様がね? とぽそりと頬を染めながら呟く。
「ありがちだけど可愛いんだな、うん」
さらっと言っているが、その言葉は幸せと、愛情が満ちていた。
勿論、惚気だけでなくウォーハンマーでぶん殴れば気持ちいい程吹っ飛んでいった。その先に居るのはアウルの力を込めて強烈な一撃を放つ小夜。
「昔、同級生の人達の不注意で事故に遭った時は真っ先に助けてくれました」
彼らを病院送りにしたそうだが、それは流石にやりすぎだと小夜も思う。けれど。
「一度だけ、小夜を置いて行方不明になった時は、とても寂しくて心配ですが、久遠ヶ原で再会した時は喜びと安堵でいっぱいでした。その時の気持ちは一生忘れません」
ふわっと笑って言い、強烈な一撃がどごんとカラスの胴体に当たる!
ギャァァ!! と聞くに堪えない悲鳴を上げながら、吹っ飛びました。流石に一体で数名に囲まれて惚気話もされて、ぶん殴られまくれば攻撃する隙もありません。
というわけで、容赦? する必要があるの? と霧依が魔導書からさらに攻撃を重ねた。すぱぱーんと小気味よく当たります。次のこの話である。
「凄く真面目なコで、初めに話したコと同じく 私のいう事は何でも聞くのよ♪」
四国では、命じたとおりに体を張って足止めを行ってくれ、見事に散ったという。
あら、私喋りすぎ? と首を傾げたが、多分ちょっとそれ以外も色々危ない気がします。というわけで、まだ居る子はのちほど……と他の人にバトンタッチだ。
まだルフィーリアはきゃっとしていた。薄紫色の光の矢を飛ばしながら、見比べてふっとあざけりの表情を浮かべる。愛しいあの方と同じ土俵にあがれるわけもない。
「貧そうな貴方と、あの方はもちろん違いますわね、当たり前ですけれど」
ふっと鼻で笑われれば、なんとなくカラスも傷ついたのか、カァーと鳴いた。だがしかし、惚気っていうことはこういうことも想定されますよね。
そんな中、そっと瞳を伏せたみずほがとうとう口を開いた。
「皆様お話されて後はわたくしだけですか……お話させていただきます」
きっと見据える。
「わたくしが出会ったのはわたくしがまだ幼いころでした。それからずっと……ずっと夢中になっております」
びしぃと満身創痍のカラスに指先を突きつける! 大切なものを伝えること、それもまた惚気の一つなり。
「傷ついたこともありますわ。つらい思いをしたことをあります。どうして好きになってしまったのだろう、そう悩んだこともありますわ」
すっと拳を握る。にこっと微笑んだ。
他の人を傷つけたこともあった。二度と見たくないと思った、けれど、戻ってきてしまう。なぜなら、それ以上のことを教わったのだから!
「いえ、傷ついた経験も、それ以上の幸せを感じるためのものだったのかもしれませんわ。わたくしにとっては常にそばにいる、常にともに歩む、そういった存在ですわ………」
純粋な破壊力と速度で押す剛撃が炸裂する! そう、彼女はボクシングに恋をしているのだ! それは見事はまり吹っ飛んでいった。
その先には忍がにこにことほほ笑んでいた。
「部活のお友達の相棒さんも素敵なの〜」
一人は、ひよこを可愛がり、そしてもう一人はかっこいい鷹を育てているという。
「ぴよぴよもふもふで皆の人気者なのね〜、あとね、鷹さんは大きな翼で飛んでる姿にうっとりしちゃうのね〜」
俺は?! というようにカラスもばさぁってしてみたが、その……度重なる攻撃で羽が飛んじゃってて貧相です。動植物が好きな忍。彼女はそれでも可愛いというだろうが……。
攻撃を緩めない! 当たり前ですよね、仕事ですから!!
「そうそう部活といえば、花壇の花が咲きそろって、鮮やかになってきたの〜虫さんの観察も楽しみなのね〜」
動植物、昆虫も好き、幸せなお話も大好き。今のこの時間がとても幸せである。
雷がすぱーんとはまった。ギャァァァ! と叫び声がすでに何度目だろうか、上がる。カラスはふらふらだ。つうか、攻撃してる暇がない!!
バサバサ翼をはためかせながら、あっちこっちと吹っ飛ばされている。メロメロになった代償ですよね!
「そうそう。 ダンナさま撃退士なんだけどさ、なんで撃退士になったの? って聞いたら『みなとさんを守れるように』 なんて。真顔で言うんだよ? 耳真っ赤にしてさ」
そうなんだ、でもそろそろ俺も攻撃させていただくよ! とカラスがぶわっとその羽を広げて大きく嘴を開いた。が………。
「でもさ、 不意打ちでこんな事言われたら不覚にもキュンとしちゃうじゃない? ほんともう、ね」
いや、でもやっぱりこれ恥ずかしい、聞き流してー!! と顔を真っ赤にしてみなとがまたぶん殴った。しかも顔面に。これは痛い。そして、とうとう。
「で、式がまた素敵で……最後なんて私を抱き抱えてそのまま式場からダッシュだよ。町中をドレスで抱き抱えられていくのはちょっと恥ずかしかったけど……きゃっ☆」
その様子を思い出したのか、頬が真っ赤で両手で押さえている。なんというか愛らしい。だがしかし、その惚気を向ける相手、動いていません!!
「それから結婚してからのお話も一杯あるよー。そうだなぁ……って、あれ、何時の間にか戦い終わってる……?」
パタンと動かなくなったカラスを見詰め、首を傾げた。
「ねぇねぇ、せっかくだしどこかでお茶しながらお話しようよ!」
「そうですね、兄様のこと、でしたら、あと三時間は、……喋れます……」
こくんと頷きながらそんなことを伝える。
「いいわねぇ♪ 私のペットちゃんのお話するわ」
あぁでもペットちゃん達に会いたいわねぇ……とも思う隣では、
「まだまだあの方のことでしたら喋れますわ」
そんな風に盛り上がる人も居れば、無理無理無理となっている人も居る訳で。
流石にここから先は、希望者だけになるだろう。
皆片づけをし始めた。
惚気が苦手な人達、お疲れさまでした!