●これまでのあらすじ
私、武田美月。久遠ヶ原学園に通う、ごくごく普通の高校一年生っ! だったんだけど……。
ある日突然、白い球の光を浴びて、同じ境遇の仲間達と一緒に黒の魔法少女達と戦うことになっちゃった!
部活もエンジョイしたいし、憧れのセンパイともいっぱいお話ししたったのに……私のばら色高校生活、一体全体どうなっちゃうのー!?
と、武田 美月(
ja4394)の心境を代弁したような映像が空に映し出されると共に、学生街から学園の広範囲に可愛らしい歌が流れ始めた。
どうやらオープニングといったところなのだろう。
BGMとして、時折爆発音やら悲鳴やらが至るところから聞こえるのがとってもシュールだ。
とか考えていると、曲が終わりを告げて空に輝くように文字が表示された。
『久遠ヶ原魔法少女大戦』と……どうやらオープニングにお決まりのタイトルなのだろう。
そして魔法少女達の戦いへと話は移るのだった。
●第49話 決戦! 黒と白がぶつかる時っ!?
「獲物見っけ♪ 楽しい楽しい魔法少女狩りの始まりだね♪」
赤い鬼灯の花が描かれた和ゴス風衣装を身に纏い、神喰 茜(
ja0200)は戦場を駆ける。
握ったマジカル打刀を振りながら、多くの白い魔法少女を斬捨て茜は黒球の命令に従っていた。
「この悪行もそこまでだよ!」
「ここから先は、マジカル☆バニーと」
「魔法の忍者ボーバルが相手をするよ!」
兎が付いた帽子を被り赤いラインの付いた白いドレス風の忍者衣装を纏う犬乃 さんぽ(
ja1272)と淡い橙色の入った色違いの衣装を着た若菜 白兎(
ja2109)がポーズを取って、茜と対峙をする。
『さんぽちゃん、相手の動きは素早いから注意よ!』
「大丈夫だよ、ナンノ! ボクは負けないんだよ!」
お供の喋るヨーヨーに語りかけながら可愛い胴長の2mほどの兎さんソードをさんぽは手にする。
白兎の傍にもお供の白い仔ウサギがくりくりの円らな瞳で見つめる。
『さあ、です☆さいずさんの刃の錆にしてあげましょうバニーちゃん☆』
「おっけーなの」
愛くるしい外見に似合わず、中身は腹黒だった。
「まったく、こんなのに付き合ってる暇は無いのよ。だから……一気に斬ってあげるね♪」
茜の楽しそうな呟きと共に、両者は戦いを開始した。
「魔法少女マジカル♪ にゃーこ参上にゃ♪ 黒に染まった瑞穂さんを助けてあげないとにゃ♪」
猫耳尻尾を装着し、お供の白猫を従えた猫野・宮子(
ja0024)がポーズを決め、目の前に立つ桜井・L・瑞穂(
ja0027)と相対する。
宮子の傍には、瑞穂の従者であるリネット・マリオン(
ja0184)が動き易さを重視した高露出度のミニスカ衣装を纏い立っていた。
「おーっほっほっほ! ここで会ったが百年目ですわ!」
それに対して黒を基本とした赤や金色のラインが入ったフリルドレスの衣装を纏う瑞穂は手を口に当て、向かい合うリネットと宮子に向けて高々と笑った。
その笑いを見ながらリネットが前へと出ると……、
「お嬢様は人の上にこそ立たれるべき方、あんなものの下に従うなどあって良い筈がございません……! あと何より、黒って地味じゃないですか!」
こんな主人を見ていられないのか、何時ものリネットに比べ言葉に力が篭っていた。
それを言われ、瑞穂の口が怒りに引くついているが、落ち着かせようと宝石の形状をしたお供が彼女の周りを飛ぶ。
それで怒りが収まってきたのか、瑞穂が鞭で地面を叩きつける。
すると、周囲から黒い魔法少女と化した一般人達が姿を現す。
要するに戦闘員的魔法少女(雑魚)という事である。
「わたくしが確りと『教育』してさしあげますわ! 貴方達、やっておしまいなさい!」
命令されるまま、戦闘員達は宮子とリネットへと襲い掛かった。
迫り来る戦闘員に拳を握るリネット、爪を光らせる宮子。
主人と友を取り戻す為に2人の戦いは始まった。
「純悪★魔法少女! マジカル知夏参上っす! この店のショートケーキの上の苺は、知夏が頂くっすよ!」
外の状況に怯え隠れた店員達のいるケーキ屋に乗り込むと共に黒マントの黒ジャージという服装の大谷 知夏(
ja0041)はカウンター内へと飛び込むと、冷蔵庫を開けて並べられたショートケーキの苺を食べ始めていく。
これが終われば今度はホールケーキの苺だ! 更には苺タルトの苺もだ!!
口が甘酸っぱくなったら、シュークリームのクリームをいっぱい舐めるぞ★
なんて恐ろしい、誰か救いの手は無いのか! そう思われた時、店の扉が開かれた。
「これ以上、ケーキの上の苺は食べさせないの!」
「だ、誰っすか!?」
「らびっとエンジェル、華麗に参上なのです☆」
カメラ目線でポーズを取り、可愛くウインクをする絵本から飛び出してきたようなアリスのような少女。
その名は、逸宮 焔寿(
ja2900)……またの名をらびっとエンジェル♪
助けが来た事に店員達が歓喜の声を漏らす。同時に白いウサギのポシェットが動き出した。
「うわ、ぬいぐるみが動いたっす!?」
「……それは仮のす・が・た☆ しかしてその正体は……!」
驚く知夏にどこぞの臓物動物の兎ッぽい声を出しながら焔寿のポシェットは言う。
「そ、その正体は……?」
ゴクリと唾を飲み込み、知夏は答えを待つ。
「……教えなーい☆」
「な、何でっすかーー!?」
そう突っ込んだ瞬間、知夏の周囲は爆発した。どうやら突っ込んだ瞬間に爆発するという物だったのだろう。
爆発により吹っ飛んだ知夏はホールケーキに顔を突っ込ませながら呟く……。
「ふっ、例え知夏を倒しても、いずれ第二第三の知夏が復活するっすよ! ……ガク」
「こ、これってこんな効果があったんだね……はっ! こ、これにて一件落着、らびっとエンジェルは華麗に去るのです☆」
そう言って、焔寿は店から出て行った。
銀髪に金色の瞳、顔の右側には蠢くトライバル。
その姿はまさに魔人。そんな魔人こと与那覇 アリサ(
ja0057)は……バナナを食べていた。
「正義を乱すクソッタレ悪は許さないぞォッ! ☆になぁ〜れぇ〜! キャハ☆」
そんな魔人アリサの前に、子供向け魔法少女衣装と髪型の十八 九十七(
ja4233)が現れた。
可愛い服装だが……顔は何時ものメイクを施している為、残念な事になっている。
現れた白の魔法少女である九十七に気付き、アリサは食べ終えたバナナの皮を投げ捨てると立ち上がり襲い掛かってきた。
「白い魔法少女は……ぶっ潰ぅーすっ!」
「やれるもんならやってみやがれぇぇ! ヒャッハー!!」
そう叫び2人のマジカルアイテムがぶつかり合い、周囲を破壊するほどの衝撃波を生み出す。
事実周囲の地面やらビルやらにヒビが入り見るも無残になりかけている。
が、戦況はアリサ有利となり始め、九十七は窮地へと追い込まれていった。
「勝てるか勝てないかじゃない! 殺るんだ!」
自分を激励するようにそう叫び、力を込めアリサに一撃を放った。
……1分後、下着姿で地面に倒れた九十七の姿はそこにあった。
それに満足してアリサは破壊の限りを尽くそうと新たなる一歩を踏む……バナナの皮の上へと。
結果、綺麗に180度回転を行い、地面に置かれた金ダライに頭をぶつけ、止めとしてぶつけた金ダライが宙を舞い……アリサの頭へと落ちたのだった。
「ふふ、黒球様に従えば、皆さんだって解放的でいい気持ちになれるんですよ。それとも、お望みなら私が気持ちよくして差し上げましょうか? ……返事がないみたいですし、椅子やマットにして、踏んであげますね♪」
胸元の開いた黒いドレスと不自然に靡くマントを羽織る神月 熾弦(
ja0358)が妖艶に微笑みながら周囲を見渡す。
そんな熾弦の胸元にはお供の鼠が男達に羨ましいだろう、と言うようにして顔だけを出していた。
ちなみに返事を求めようとした魔法少女達は今、気絶しており……それを行った者は今ハルバードを持ち、目の前の男と向き合っていた。
そう……シンプルな黒いワンピースとマント姿の黒百合(
ja0422)が、目の前に立つラグナ・グラウシード(
ja3538)を見ているのだ。
「くっ! 悪の魔法少女どもめ……私が許さん! あと鼠も羨ましいから絶対に許さん!」
「うふふふふぅ……魔法少女同士が出会ったらぁ……戦うしかないでしょうぉぉぉ!」
ハルバードを振り翳し、黒百合はラグナも倒すべく走り寄ってくる。
だがその瞬間、ラグナは胸元から1本のタクトを取り出すと天にかざし叫んだ!
「魔玻璃玖・魔玻璃蛇ァァ!!」
直後、ラグナは光に包まれ、身体が不自然に輝き、身に纏う服が消え去り一子纏わぬ姿となり、何処かからか生足の上に靴やら手袋やらカチューシャやら女物のパンツやらがラグナの身体に装着されていき、最後に白いワンピースが彼の身体を覆うと、最後にリボンがネクタイ代わりに勝手に巻き付くと光が消え、魔法少女プリンセス☆ラグナが誕生した。
変身シーンが終わった瞬間、熾弦と黒百合の2人は……可哀想な瞳でラグナを見ていた。幾らなんでもアレは無いだろう……そんな瞳だった。
「私の魔法の言葉で! 夢と笑いを振りまくぞおォッ!」
そう言ってタクトを振りかざすと、キラキラした光が周囲に撒き散らされ……無数の変な顔の猫が何処から出てきたり、街路樹が歩き出したりして2人を捕える為に動き出した。
「変なのが増えたわねぇ、潰してぇ、殺してぇ、灰にして上げましょうかぁぁぁ!」
「私もあれを踏むのはちょっと……という事で、マジカルハルバードでマジカルフルスイングを」
「この町に住む我が友のためにィィ! うおおおおお!」
こうして、3人の戦いは始まった。
「纏うは闇、散らすは花吹雪……暗黒突撃隊長『ストーム・サクラ』見参!」
漆黒の中に桜の花吹雪が模様された和風の軽鎧に漆黒のマントを羽織り、漆黒のトンファーを構えた桂木 桜(
ja0479)が叫び、電柱の上に立つ菊開 すみれ(
ja6392)を見る。
対してすみれはミニスカートかつ胸元が強調されたロリータ調の薄桃色のフリル満載の衣装を纏っており、地上の桜からはパンツが丸見えだった。
「出たわね、世界の平和を乱す人は、このマジカル☆プリズムすみれちゃんが許さないっ! 世界の平和を守るために、あなたを懲らしめますっ!」
「俺ァ強い奴と戦いたいんだ、腕に覚えがあるならどんと来い!」
「じゃあ早速、すみれビームっ!」
直後、桜へとすみれのロッドから光線が放たれた。しかし、一足早く後ろへと跳びその攻撃を何とか回避した。
「いきなり何するんだ! 魔法少女なら堂々と直接攻撃で戦え!」
「そんな事を言って、このマジカル☆プリズムすみれちゃんに勝てない言い訳ですか?」
怒る桜、ほくそ笑むすみれ……どちらが悪なのか分らないような構図だった。
そして上からのすみれの光線を掻い潜りながら、桜は接近するために空中を蹴る独特な走法で走る。
徐々に距離が詰まり、すみれへと桜は懇親のコンボを叩き込む。
トンファーキック、パンチ、エルボー、踵落とし……って、トンファー関係ないよねこれ。
嵐のような攻撃を喰らい、すみれの体は地上へと落ちていき……桜が倒れたすみれへと近づく。
「俺の勝ちだ!」
「ふ、ふふ……私は白虎になりきれなかった百虎。きっと白虎があなたを倒しに……がくり」
新たな謎を残しながら、すみれは気絶し衣装が消えて下着姿となるのだった。
「頭とケツにマムをつけて返事をしろ、この(ピー)どもがっ!」
大通りで軍服姿の暮居 凪(
ja0503)が叫ぶ。ちなみに何処からか規制音が響き何を言ってるのかは分らない。
それでも悪乗りしているのか目の前に立つ某雷系を得意とする黒い魔法少女衣装に身を包んだ雫(
ja1894)が片手を上げて声を出す。
「マム、イエス、マム」
「ゥンムゥァァム! ゥィエエェェス、ムゥゥァアンム!」
ちなみに雫のお供である黒い仔狐も真似をしているが、外見に似合わず「ぶるぅあああぁ!」と今にも言ってしまいそうなイケメンボイスだった。
そんな彼女達へと1匹のクマ……のぬいぐるみが近づいてくるのが見えた。
良く見ると、クマの上にはプルネリア・ロマージュ(
ja0079)が乗っていた。
「さー、ザルハくん。くろいまほうしょうじょをたおすのー」
『おうよ、おれっちの手技でめろんめろんにしてやるぜー!』
作られたつぶらな瞳でそう言いながら、ザルハくんは手をクネクネさせて凪と雫に向けて歩き出した。
対抗するように雫も駆け出し、マジカルフランベルジェを振り下ろす。
「そんなこうげき、ザルハくんには効かないよー」
『おれっちの身体はオリハ――ごはっ!?』
言い終わる前にザルハくんの頭へと弾丸が直撃し、雫諸共吹き飛ばされた。
弾丸が放たれた方を見ると、魔砲少女のような杖を持って水に濡れたら肌色が透けて見えてしまいそうな旧式の白スク(飾り付き)を身に纏ったエロゲーの使者……じゃなかったアーレイ・バーグ(
ja0276)が満足そうな顔をしていた。
「あーれいは魔法少女になったのでぼんっ、きゅっ、ぼん! になったぞ!」
言ってる事はよく分らないが、どうやら砲撃が心地良いのかも知れない。
その証拠に次弾を装填してすぐに凪に向けて躊躇無く撃ち出した。
「気合が入ってない! それでこの私を倒すつもりかっ!」
盾で受け止めると、一喝しアーレイへと叫ぶ。
が、すぐにその表情は一変した。何故なら……。
「USマリーンの実力をジャップに見せつけるのです!」
アーレイの構えた巨大な銃口が凪へ向けられ、砲弾が放たれた。
直後、大通りで大きな爆発が起きたのだった。
爆発が起きる大通りから外れた裏路地では、黒いエプロンドレスを纏い妙に大きな赤いボクシンググローブを装着したコニー・アシュバートン(
ja0710)が居た。
その周囲には……奇怪な生物が沢山居た。
犬人間、猫人間、人面犬、人面猫そんな奇妙な魔法少女達が居た。
「にゃんこジャブ、わんこストレート」
『ちょ、おま、不気味生物になるぞ!?』
お供の黒いチワワの文句を聞きながらコニーが殴りつけると、戦っていた魔法少女(男)の姿が犬と猫の混ざった様な物になった。
どうやら彼女の魔法らしい。そんな完全に動物と化した魔法少女の頭や顎を撫でながらコニーは満足そうな顔をして夢中になっていた。
「……うん、もふもふ、気持ちいい、ね」
そんな時、彼女の背後……要するに裏路地の空に白い翼が舞い上がった。
振り返ると羽生 沙希(
ja3918)が浮かんでおり、今まさに魔法少女に変身する所だった。
翼が球体となり中に舞い落ちた羽に包まれながら沙希の服は光の粒となり、裸の沙希がクルクル回ると共に体操着にスパッツが纏われ、その上にセーラー服が形作られ、最後に魔法ステッキが手に握られると翼の球体が弾け魔法少女となった沙希を露出させた。
「魔法少女スパッツさっきゅんが、あなたを鍛えなおしてあげる!」
最後にポーズを取ると、弾けた球体が光を放ち周囲を輝かせた。
そして、地上に降り立つと……疲れ切っていた。
「何だか良く分らないけど、チャンスだよね」
「う、うわっ!? ちょ、ちょっと待つっすよ! だ、誰かー!」
拳を握り迫ってくるコニーに慌て、沙希は助けを求めるのだった。
「世の中黒が一番だよ! みーんな魔法少女になっちゃえっ★」
黒フリルのミニスカートを振り振りさせながら、頭に取り付けたインカムで拡張した台詞を周囲に撒き散らしながら栗原 ひなこ(
ja3001)が立ち、足元にはお供の黒猫ヌイグルミが2足歩行で立っていた。
そして、周囲には彼女が原因の惨状が広がっていた。
そこへひなこの友人である道明寺 詩愛(
ja3388)が現れた。
その足元では『猫+犬÷兎=お供』と言った桜がピスピス鼻を鳴らしていた。
「ひなこちゃん、魔女っこ魔女っこと言っていましたが……まさかここまでとはニャ☆」
「詩愛ちゃん白だったんだ、白でもあたしは負けないからね!」
反論したら良い筈なのに、詩愛のその言葉を洗脳されているからか嬉しそうに受け入れながらひなこは杖を握ると無数の魔法を詩愛へと撃ちだした。
それによって周囲に煙が立ち込めるが、きっと晴れたら胸元に大きな青いリボンが付いたワンピースは無残に散って可愛らしいスパッツ姿が晒される事だろう。
だが、予想は違い……まったくダメージを受けていない詩愛がそこには居た。
「なん……ですって……、効いてないっ?!」
「今度はこっちから行くニャ☆」
驚くひなこへと奇襲をかけるように、詩愛は足技を主体に攻撃を開始し始めた。
だが冷静さを取り戻したひなこも反撃として零距離からの魔法を詩愛へと撃ちこんで行く。
そこで彼女は気付いた。詩愛は攻撃を無効化しているのではなく、馬鹿みたいに防御力が高いという事に。
「だったら、最大火力の魔法を使っ――へぶっ!? 詠唱させなさいよ!」
「前から思っていましたけど、やっぱり隙だらけニャ☆」
魔法を唱えようとするひなこへと詩愛は蹴りを放ち、両者は戦いを続けるのだった。
「私は呪われし13番目。イレギュラー」
魔法少女となり性別も変わってしまった星杜 焔(
ja5378)が男声でそう言いながら怯える人達を見る。
そこへと一歩一歩近づき、その度に胸がバルンバルン揺れて近づく。
「あなたが最後の晩餐に食べたいと思ってる料理を目の前に出現させてあげる」
そう言いながら、次々と料理を出現させていき人々に最後を与える為に近づく。
そんな時、上空から焔に向け泥水が放たれ、間一髪で避けそこを見ると空中に白と青を基調色にしたフリルドレスに白衣という服装のユウ(
ja0591)が4体の西洋人形を従え立っていた。
「ほらほら、逃げないと服破けちゃうよー!」
「くっ、料理を食べさせる邪魔をするのね……!」
憎憎しげにユウを睨み付けると、焔は狙撃銃でユウを狙い、手榴弾で牽制を行い始めた。
ヒラヒラと揺れる白衣に穴が開き、爆風がユウの服を焦がしていく。
それでも回避しながらユウは4つの人形型ビットを駆使し、掛け合わせた特殊技を放っていく。
「争いなんて無くなれば良い……だから、これで最後よ」
「とっておきを使うんだね。だったら、僕も……皆よろしく♪」
何処からともなく出現させた焔のICBMに対し、ユウはドールズビット4体の力を一点に収束し撃ち出した。
瞬間、光と爆発が周囲を包んだ。
●第50話 激突、黒の四天王VS白の四聖獣
次々と魔法少女が倒れていく中、漆黒のチャイナドレスが敵陣に向け駆け抜ける。
同じく、フリルタップリのゴスロリ少女の氷雨 玲亜(
ja7293)も黒の魔法書片手に敵地を悠々と歩く。
とっても似合うチャイナドレスを着ているのは佐藤 としお(
ja2489)だった。そう、男でありモヒカンタトゥーの男だった。
としおが通る度に、彼の纏う黒い竜巻に白の雑魚が巻き込まれて行き、黒の雑魚へと変貌していった。
何とかそれを回避する事が出来たとしても、玲亜の攻撃が待っていた。
「愚かなる白の魔法少女達、我らの主の力に平伏すがいいわ」
薄い笑みを浮かべながら虐殺が始まった。
そして黒い竜巻を撒き散らし周囲の白の雑魚を黒へと変貌させ、黒となった雑魚達と椅子に座る向日葵へと突撃していく。
「お前が親玉かーっ! 主の為に倒れろーっ!」
「その白い服を真っ黒に染めてあげる」
「ふぅ……折角力を与えてあげたのですから、皆さん同士で傷つけ合ってくださいよ、ね♪」
軽い溜息を吐いた瞬間、向日葵の持つ白い球から激しい光が放たれ周囲を白に染め上げた。
そして、光が止むと……その場には純白に染まったチャイナドレスを纏ったとしお、フリルタップリのホワロリ、白く染まり直された雑魚達が跪いていた。
「「主様、我らにご命令をっ!」」
開口一番彼らの口からはそう出たのだった。
それを見ながら、向日葵は黒く笑うのだった。
「悪いのは君達だよ、どうしてこんな酷い事するの」
スパッツにチューブトップというラフな格好の上にマントを羽織った衣装のNicolas huit(
ja2921)が黒球へと駆けようとする残りの白魔法少女達の前に立ちはだかった。
その威圧感に彼女達は身構え、戦闘態勢を取る。
「意地悪する人なんて、嫌い……だからシテンノーのニコラがここを通さないよ」
それに反応するように黒剣が周囲を浮遊し、狙いを定める。
そんな時、周囲に音楽が鳴り響き色取り取りの光が周囲を照らし、新井司(
ja6034)が威風堂々と現れた。
まったく乳が無いのに、乳を強調させた服を着て! まな板なのに、そんな無茶をしやがって!
「きっと英雄になれないお前達に告げる! この道を通せ!」
「ことわる! 君達を黒球様の下へは行かせない!」
「そうか、仕方ない。ならばこの四聖獣の玄武が相手をしましょう……ポチッとな」
「イチゲキでシズめ――え、う……うわーっ!?」
ドSな笑みを浮かべながら司は手に持ったスイッチを押すと、攻撃に移ろうとするニコラの足元に落とし穴が空き、真っ逆さまに落ちていった。
何というかその卑怯っぽい技に周囲の白黒魔法少女達は小言を呟いた。
――うわ、酷い。まな板酷い……貧乳なのにやることが大きいよ……落とし穴って巨乳の特権じゃね?
瞬間、司の口から血が吹き出し、泣きながらスイッチを押すと自身を穴に落としたのだった。
「貧乳でまな板の何が悪いのよー! ……がはっ!?」
こうして、四天王と四聖獣の戦いは始まった。
高いタワーの天辺で黒いゴスロリ衣装に厚底ブーツ、お供に両手を拘束させた森浦 萌々佳(
ja0835)が醜悪な笑みを浮かべながら立っていた。
その傍らには同じくゴスロリ風の衣装を着たルーネ(
ja3012)とカタリナ(
ja5119)が居た。
「クックック……さぁ、私の為に争うが良い!」
「悪役だな本当に、あと高みの見物してる所悪いけど……2人見てるぜ」
「あらアレは……四聖獣みたいですね」
ルーネが指差した先にはピンク色のセーラー戦士風の小野友真(
ja6901)とシアン色のセーラー戦士風の紫ノ宮 莉音(
ja6473)がタワーを見ていた。
「青龍コンビ・ぷりちー☆ゆーま参上やでー!」
「同じく美少女的な戦士りおん参上っ☆」
そう言って2人は左手を腰に、右手をウインクした目元で横にピースしてポーズを決めた。
その姿を見てカタリナが一瞬獣の目をしたが気のせいだろう。
「ククッ……小賢しいわね、2人ともやっておしまい!」
萌々佳がそう言うとカタリナとルーネの2人が青龍コンビに向けて降り立った。
まず最初にカタリナが降り立つと笑みを浮かべ莉音に手を差し伸べる。
「……一緒に遊びましょう?」
「本当は友真お姉様と遊びたいけど、この際しゃーないなー」
薙刀を手に莉音はカタリナに向き、友真はルーネに向け右足太股ガーターに突っ込んでいたリボルバーを間髪問わず撃ち出した。
身軽に跳躍する友真とそれを避けるルーネ。バレエの様に舞いながら薙刀を振るう莉音と槍で応対するカタリナ。
そんな時、莉音が足を滑らせた瞬間にカタリナの一撃を受け、倒れた。
「莉音ちゃんっ!」
「くっ、友真お姉様……先に行って! 四天王を倒すには青龍の力が必要だわ! だから、はやく……がく」
最後の力を込め莉音がそう叫ぶと弾けるようにして友真が立ち去り、それを見届けながら莉音は気絶した。
「ふふ……やぁっと遊んでくれるのね……お人形さんごっこ?」
『ワタシ、マホーショージョ!』
裏声で莉音の真似をしながらカタリナは平らな胸に触れると残念そうな顔をする。
「可哀想……大きくしてあげる」
「胸を大きくさせる魔法の茸の里、此方に御座います」
モノクルを付けた兎のお供からチョコ菓子を受け取ると荒い息とショタを見る怪しい瞳を宿しながらカタリナは莉音の口へとそれを運ぼうとする。
チョコが口に入ろうとした瞬間、カタリナの頭に衝撃が走った。
「…………見苦しいモン晒してんじゃねーよ」
「なんで……いじわるする……の、仲間……でしょ?」
「生憎だが、洗脳されたのは私じゃねぇからな。だから私はあんたらの仲間じゃねぇ……逃げたか」
カタリナを見て萌々佳を見たが、タワーの天辺には姿は無く何処かへ逃げたようだ。
そう思っているとカタリナの衣装が破け、下に着ていた指定水着が露わとなる。
「ありがとう、ございます……」
ルーネに礼を言いながらカタリナが気絶するのを見届け、静まり返った周囲の中でルーネはポーズを取ってみた。
「『愛と正義の味方☆ストレーガ・ルーネ! ただいま見参!』……ねぇな、これ」
「虹色の夢を纏い、水の守護を受けし蒼の精霊、ウォーターユーキー!」
「悪のはびこる大地を駆ける紫のそよ風、ウィンディシズカ!」
「「二人揃って……『シズカ&ユーキー』!」」
膝下までのフリフリフリルの水色ドレスを着てハイビスカスの花を頭につけた鳳 優希(
ja3762)、同じデザインで薄紫色ドレスにカチューシャをつけた鳳 静矢(
ja3856)が言い終えると共にポーズを取った。
直後、シズカに剣型の銀色ロッドが現れ、ユーキーに鍵型の金色ロッドが現れた。
「黒の球は仰せになった……世界を手に入れよ……と」
2本のロッドを向けられた四天王の日谷 月彦(
ja5877)がそう言いながら、椅子から立ち上がり多節棍を掴んだ。
月彦が立ち上がるとボロボロの制服を着た天風 静流(
ja0373)が黒い球の形をした槌を握り締め立ち上がった。
「来い、貴様ら全員粉微塵にしてやる」
邪悪な静流の笑みと共に戦いは始まりを告げた。
「どりゃあああー☆」
「わたくし、争いは好みませんが……行きますわ!」
優希もといユーキーが静流に向かい、静矢もといシズカが月彦へとロッドを構え、駆け出すと共に殴打しようと振り被る。
大して静流が槌を振り被り目一杯にユーキーを狙い攻撃を放ち、月彦が多節棍で攻防を同時に仕掛け始めた。
黒龍を巻きつけ、身体のラインを目立たせるボディスーツを纏い、その上に暗銀色のプロテクターを装着した桐原 雅(
ja1822)が獣のような瞳で強敵を求めていた。
「強い奴がいるならさっさと出てこーい! ボクが叩きのめしてやる!」
拳を突き合わせながら雅は叫び、敵を求める。
そんな彼女を物陰から覗き込む者が居た……四聖獣白虎の雪平 暦(
ja7064)だ。
彼女はお供の食虫植物を反対側へと回らせると行動に移るのを待っていた。
「私のはんぺんが!」
「っ! ……って、何ですかこれ?」
振り返った雅が見たのは変な足を生やした食虫植物だった。
瞬間、振り返った雅へと暦は一気に仕留める為に駆け出した。
「ハートをブチ抜くぞ☆」
「あなたがね!」
勝利を確信した瞬間、突如振り返った雅に驚きながらも暦はカウンターを受けた。
助けを求めようと暦は声を出そうとしたが、気が付くと宙を舞うほどの攻撃を浴びせられていたのだった……。
黒球の前に鎖に絡められ、目と口を塞がれていたレギス・アルバトレ(
ja2302)の拘束が解かれた。
ビキニとホットパンツ、長めのジャケットを着たレギスが降り立ち……軽く挨拶した。
「こんにちは、さようなら」
直後、前方に向け大砲が放たれた。
その一撃を受け、残っていた魔法少女の大半は倒れ、散って行った。
迂闊に手を出せない状況の中、柊 夜鈴(
ja1014)が前へと出た。
「レギスは俺が助ける☆」
かっこいい事を言ってるつもりだろうが、着ている服装はマント付きの魔法少女衣装であり怪しさが上だった。
残った数名の中から、朱雀だ。四天王の朱雀だ……という声が聞こえる中、レギスへと歩く。
「……」
「眼鏡の特権! 眼鏡からビィームゥ!」
何も言わずに彼女は夜鈴へと赤い光弾を撃ちだしていき、夜鈴も魔法で対抗しながら近づいていた。
赤い光と謎の光が交錯する中、2人の距離は徐々に詰められ……夜鈴の身体へとレギスの魔法が直撃した。
「くっ、レギス……今、助ける☆」
攻撃を受けた箇所が腐り始めていく中で、夜鈴はレギスを抱きしめると腰に手を回し……激しい口づけをした。
始めは驚く周囲だったが、それをマジマジと見つめ……レギスが倒れるのを見た。
「……夜鈴」
「ああ、もう離さないさ……レギス☆」
そして、重なり合うようにして2人は倒れた。
●最終話 夢の終わり
激戦の末、白の魔法少女達は黒球の前まで辿り着いた。
だが、宙に浮かぶ黒球は周囲に巨大なバリアを展開させており誰も手を出す事が出来なかった。
しかし残った魔法少女達は力を結集させ合体魔法を使う為に力を解放するのだった。
『みんなの未来と願いを守る為! 今この力を解放するよ!!』
御手洗 紘人(
ja2549)に良く似た魔法少女プリティ・チェリー(純白仕様)がそう言いながら杖を掲げると、雪室 チルル(
ja0220)も氷の力を宿した大剣を空に掲げた。
「これでまとめてぶっ飛ばすわよ!」
「よぉ〜っし、ことぶ子頑張っちゃう☆」
最後の四聖獣麒麟こと純白ナースの梅ヶ枝 寿(
ja2303)も巨大な注射器を構えポーズを取る。
ちなみに四聖獣なのに五人目とか言うのは気にしたら負けである。
更にそこへ白のコートを靡かせたソリテア(
ja4139)、肩出しセクシー巫女服の神城 朔耶(
ja5843)、それに良く似たプリティ巫女服の各務綾夢(
ja4237)の3人が合体魔法へと加わった。
「我ら久遠ヶ原三銃士! 邪なる者どもを打ち払おうぞ!」
「悪に捕らわれし御魂よ。姫さまに代わり浄化いたします!」
「黒き力に捕らわれし心、私達三銃士が解放してみせましょう!」
ソリテアが三日月型のロッドを掲げ、朔耶がロングボウに矢を番え天へと向け、綾夢が大きな扇子と護符を構え……一斉に魔法を黒球に向けて撃ち出した!
6色の魔法に繋がる様に散って行った魔法少女達の想いが重なり、虹色となって黒球へと放たれた。
膨大な威力の魔法の直撃を受け、黒球のバリアは消滅し……球自身にも亀裂が入った。
そして、誰もが勝利を確信した瞬間、中から弾けるようにして漆黒の波動が黒球を中心に放たれた。
波動を受け、6人は倒れた。あと一撃あれば破壊する事は可能なはず……それなのに、体は動かなかった。
「この時を待っていた!」
そう叫びながら上空から萌々佳、倒れたはずの四天王モモカダークが現れた。
どうやら物陰に隠れてチャンスを狙っていたようだ。
しかも、亀裂が入った黒球へと手を突っ込むと、それを自身の体の中に取り込んだ。
「人を超え、神を超え、私は最強の魔法少女となる! もう私を止める者は誰も居ない!!」
「そうは行かないよっ! 私がまだ残ってる!」
高笑いするモモカダークへと、美月……いや魔法少女ハート☆ムーンが立っていた。
「クックック、たかが魔法少女一人残っていても……この最強の魔法少女であるモモカダークを倒す事など不可能!」
「一人じゃない……ここにいるのは私一人じゃない! これまで戦った仲間達もいる、だから私は負けないっ!」
そう言いながら恥ずかしいほどのフリルの付いたスカートを、胸元の無駄に大きなリボンを揺らし、キラキラ☆ハートスピアを呼び出した。
美月の想いに応えるようにハートスピアの穂先にあるハートが輝きを増した。
「面白い、だったらその勇気も希望も愛も全て打ち砕いてやる!」
叫び、モモカダークは最強の蹴りを放った。その一撃でハート☆ムーンが倒れることを確信して……。
だが決着は呆気無く着いた……。槍全体が淡い桃色を放つハートスピアがモモカダークを貫いていたのだ。
「バカな……最強の魔法少女となる私が……私がぁっ!?」
直後、内側から爆発するようにモモカダークの体は黒に飲まれたのだった。
黒球……そして最後の黒の魔法少女モモカダークの最後を見届けると……ハート☆ムーンは力尽きるように倒れた。
一撃に全てをかけていたのだ……。
そして、静寂が生まれた。
静かになり死屍累々となった学生街の中を、白球を抱えた向日葵が踊るように歩いていた。
「皆さんご苦労様です。ええ、本当に助かりました……何時も邪魔をしていた黒球が遂に倒れてくれたので、わたしは本来の目的を果たす事が出来ます」
本当に楽しそうに向日葵の体を借り……奪った白球は笑っていた。
「まず手始めにこの世界を変えてあげましょう。わたしが創造主として、魔法少女となるしかない世界に変貌をしてあげましょ――」
言い終わる瞬間、白球の中心に穴が開いた……銃で撃たれたのだ。
『チェリー腹黒さんは嫌いかな……?』
腹這いになり、最後の力を使いプリティ・チェリーが白球に向け魔法を放ったのだ。
白球が向日葵を制御する力を失ったのか、フラリと向日葵の体は倒れてその手から白球が離れた。
ころころ転がりながら穴が開いた白球は明暗し……最後に激しい光を放ち爆発し、周囲は白と黒に染め上げられた。
向日葵が目を覚ますと何だか周囲が騒がしく、起き上がってみると学生街の真ん中であり自分を含め周囲の人達が下着姿となっている事に気付いた。
近くの電光掲示板を見ると、4月2日となっていた。
今日は4月1日ではなかったのかと首を傾げた。
一体何が起きたのかは分らない、だけど大変な事でも起きたのかも知れない。
「まあ、大した事じゃないだろうし。今の姿を見られても私は恥ずかしくないから、別に構わないわ」
そう言って、向日葵は再び横になるのだった。
周囲の女達の恥ずかしい叫び声と男達の理不尽と叫ぶかわいそうな声を聞きながら……。
ちなみに学生街、学園で下着姿で寝ていた男女達は暫くの間、『魔法』とか『少女』という言葉に敏感になっていたが理由は分らなかった……。