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マスター:佐嶋 ちよみ
シナリオ形態:シリーズ
難易度:難しい
形態:
参加人数:6人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/02/08


みんなの思い出



オープニング

 経緯があって、今があって、縁は環となり連なって、未来へと続いていく。
 それは時として暖かな鎖。




 撃退士を必要とするのは、何も対天魔に限ったことではない。
 特にフリーランスの撃退士となれば、身体能力の高さを買われボディガードの任務なども珍しくはない仕事。
 文字通りの『盾』となり、要人を警護するというものだ。
 年末年始といった各界のイベントが増える時期、その需要は一気に跳ね上がる。
 個人事務所を構える筧 鷹政(jz0077)にとって、12月・1月といえば稼ぎ時の一つであった。


「よ、筧」
「生きてたか、相模」
 金髪の鬼道忍軍、相模隼人はコーヒーショップで鷹政の姿を見つけると右手を挙げる。和紐で結った長い髪が、尾の様に背で跳ねた。
 鷹政とは学園生時代の友人で、現在も連絡は頻繁だ。組んで仕事をすることも多い。
 待ち合わせ時間ちょうどに訪れた友人が向かいの席に着いてコーヒーを頼むのを見計らい、隼人は互いの近況報告から緩く切り出した。
「――で、高岡女史はあのまま六角氏の専属ボディガードに収まったってさ」
「マジでか。さすがというか。そういや、ユナちゃん元気かな」
「お嬢は年越しから、もう学園入りしてるんだっけか。まあ、あそこなら落ち込む暇もなかろう」
「言える」
 隼人の言い草に、鷹政が肩を揺らす。
「高岡から聞いた話だが。旦那、出張の際にはポストカードを買うようになったらしいぜ。お嬢と奥方へ送るってな」
「たいした進歩じゃない?」
「離れていても、繋ぎとめる何かがあるのは生き甲斐にならぁな」
 離れていると、思えばこそかもしれない。

 六角家の騒動から2ヶ月近く経過していた。
 六角真之――大怪我によって撃退士としては再起不能となり引退、現在は天魔から解放された土地の再開発に取り組む実業家。
 彼が養子に迎えた少女・ユナがハーフ悪魔の血を引いていると発覚した際の任務に、鷹政と隼人は関わっている。
 結果を言えばユナは久遠ヶ原学園へ編入を決め、今頃は緩やかに学園生活を始めているはず。
 それから先は学園で過ごす生徒たちの方が、よく知ることとなるだろう。 

 コーヒーが届いてウェイトレスが去ってから、本題へと。
「筧は三谷屋の件、聞いたか?」
「年末年始の仕事で、耳に挟んだ程度だな」
「充分」
 隼人は鷹政と違って事務所は構えておらず、フリーランス同士で都度都度のチームを組んで仕事に当たることをメインとしている。
 そのメリットは身軽であること・メンバー間の後腐れが無いこと・情報収集に長けること。
 拠り所が無いため、実績だけがモノを言う。
「月末にレセプションが開かれるのは知ってるだろ」
「ん、ボディガードの手配は三谷屋の自前だから、フリーに話はまわってこなかったやつな」
「それ。追加募集が来たんだわ」
「……珍しいな?」
 三谷屋は東海をメインとする地方財閥の一つ、百貨店経営だったりなんだったりをしている。
 レセプション……この時期ということは、新年祝賀会だろう。
 遅いようにも思えるが、競い合うように宴が開かれる、不自然という程でもない。
「ちょーっと穏やかじゃないみたいよ」
 トン、指先でテーブルを叩き、隼人が声を潜める。
「お前なら、現役学園生とも繋ぎが取りやすいだろ。風紀委員沙汰にはならないだろうから、そっちのが都合いい」
 ――とは、どういうことか。
 小首を傾げ、鷹政は同僚の言葉に耳を傾けた。




「皆様におかれましては、お久しゅう。年末年始はゆっくりできたでしょうか、戦いに明け暮れてたでしょうか」
 久遠ヶ原学園、ミーティングルーム。
 以前、仕事を引き受けた六角氏にも軽く関わる依頼ということで、今回は馴染みのあるメンバーへ直接呼びかけをすることにした。
 一般企業の社長ともなれば個人が容易く連絡を取れるでなし、娘のユナ嬢もこちらへ来たことから気に懸けている学園生もいるだろうかと考えて。
「今回のミッションは、レセプション……パーティーの警備です。サーバントやディアボロが出てくるわけじゃない、特定の要人を護るわけでもない」

 ただ、主催者側へ軽〜く犯行声明が提出されている。
 通報するなと添え書きがあったところで大人しくしているわけもなく、こうして撃退士へ話が来る。

「経済界の重鎮から新参まで、お金持ちの集いだから華やかだよ。六角真之氏も出席する。何か話したいことがあれば、少ない機会かもね」
 そう前置いて、鷹政は詳細を語り始めた。


 依頼者は、主催である三谷屋。
 犯人側の目的は、わかりやすく『三谷屋の信頼失墜』。
 声明文では、食べ物・テーブルといった『会場側』に仕掛けをするように書かれていたけれど、風聞も無視はできない。
 参加者たちは個々人でボディガードを雇っているし、会場警備は三谷屋直属のガードマンがいる。
 俺たちは『会場全体を見渡して、おかしなところは無いかチェックする』ことがメインとなるね。
 もちろん、刃傷沙汰が起きれば周辺の人々を守りつつの取り押さえといった立ち回りになるだろう。
 それが起こるまでは、パーティーの盛り上がりに水を差さないよう、さりげなくさりげなく会場に溶け込むこと。

 俺たちの仕事は『事故を未然に防ぐこと』。犯人逮捕じゃない。
 不審な動きがあれば止める、凶器を持ち出すようなら取り押さえる。
 場所が場所だからV兵器での大立ち回りも難しいだろう、体術メインになるね。
 相手が一般人だとしたら、なおさらだ。
 武器を取り出すことでパニック連鎖になっても良くない。
 戦闘に展開するような場合は、極力配慮をすること。可能な状況なら、ね。
 
 連絡のやり取りには、共通タイプの小型通信機が配布されます。
 チャンネルを合わせて、任意の相手と個別情報交換もできるし、グループ設定で同時会話もできる。
 電波妨害もあり得ると思うから、『ソレ』もサインの一つかもしれないね。
 各人の配置は任せます。

 犯人の目星は、付いてるんだ。
 三谷屋とライバル関係にある『九堂グループ』の社長、久藤雅彦。還暦手前の狸爺が絡んでると見てる。
 三谷屋が百貨店進出予定の土地で、昨年からモメているらしくてね。
 その辺りの詳細は、大人の事情ということで割愛。
 当人も出席しているが、もちろん直接手を下すわけがないだろうし三谷屋のマークもキツイ。
 下手人を捕まえて拷問にかけたところで九堂の名は出さないだろう。
 だから――『捕まえて未然に防いだことを、周知させる』ことだけが必要ってことだ。
 適当に演技をして犯人を捕まえるフリをしても、『ああ、自分の手の者は上手く切り抜けたか』と思われて終わりなわけで、掴むならば、本物を。


 任務に関わることを、その後いくつか触れたあと。
「それから、先にも言ったけど俺たちフリーランスは『会場に溶け込む』ことが原則。つまり『パーティー出席者のフリをする』必要がある。
つまり―― ドレスコードってわかるかな」
 正装で、会場に居ること。
 ドレスコードにはランクがあるが、今回は準礼装……セミフォーマルで、とのこと。
 女性であればカクテルドレスやワンピーススーツ、男性ならばタキシード。
「自前だと助かりますが、会場のビルには貸衣装屋さんも有ります、どうにかなります。
準備してこなかったら、こっちで押し付けるからね! よろしくどうぞ」





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リプレイ本文


 毛足の長い絨毯に、足音が吸い込まれそう。
 館内には品の良いBGMが流れていて、ドレスアップした客たちが控え室で談笑している。

 他方、貸衣装室にて。
「鷹政ー、私何着たらいい?」
 困り顔で、青空・アルベール(ja0732)は支度を整えた筧へと訊ねた。
 今は、普段の着流し姿。
「何もかもわかんねーのだ。……正装ってすげぇきつそう」
「あー、確かにね」
 控え室を覗いた限りタキシード系が多い、年配には羽織袴も見受けられた。
「いざって時に動き難ければ意味が無いし、青空君は見た目からして若いしなー。背伸びしすぎなくてもいいと思うよ」
 外見年齢と実年齢がカオスなのが撃退士。ソレに乗ってしまうのも一つだろう。
「さすが、アラフォーの言うことは違うな」
「まだ三十代半ばです。半ばです。外見は若いです」
 ニヤリと笑えば堂に入った紋付姿で、強羅 龍仁(ja8161)がフィッティングルームから姿を見せる。
「レストランの様子を見て来る」
「りょっかい、それじゃあまた後で」
 青空へ、比較的カジュアルな型で良質な布地の羽織袴を宛がいながら、筧は龍仁を見送った。
 その傍らで、鳳 静矢(ja3856)は招待客リストと顔写真を照らし合わせている。控え室で堂々とできる作業ではないので、ここで頭に叩き込んでおく寸法だ。
(事を故意に起こすならば、身内を使うのが妥当……か)
 九堂直属とは限るまい、子会社などの関連の線もある。
「ふむ、これで大体か……。私は、会場を確認してきますね」
 スタイリッシュスーツにシルバーのラペルピン、それに革靴。
 静矢の衣装は、全て魔装だ。スーツに似合ったメガネまで。
 メガネのブリッジを押し上げ、リストを畳んで内ポケットへしまうと、青年はスイと部屋を出ていった。
「今回は企業お抱えの撃退士らしい仕事で、ある意味いい経験になりますかねー?」
「やだ、いつだってイイ経験できるようにしてるつもりなんですが」
 櫟 諏訪(ja1215)の言葉に、筧が笑う。
 紺系のタキシード、ネクタイは蒼系にアクセントで緑を混ぜた数種のラインのストライプで、スマートに着こなしている。
「得られるものが多くあることを祈るよ」
 『就職体験』と銘打った依頼から始まり、連なった縁だ。
 任務をこなす以外の、興味なり経験なり、持ち帰ってくれればと卒業生は願うが―― まあ、
「とはいえ成功させてこそなので、気合入れて頑張りましょー!」
 に、尽きる。
「どう、青空君。着付けできる?」
「……こんな、感じでいいのか?」
「上々」
 慣れた物と同じ色合いの着物に、薄紫の袴。こちらをシンプルにして、クリーム色の羽織の裾にはグラデーションで柄の入ったものを。
「ガチガチに着こまなくても、カッチリ見えるようにしたんだけど」
「襟元が堅苦しいのだ……。んぐ、でも流石にいつもの調子じゃ駄目であるよな」
 着崩したくなる衝動を必死にこらえ、
「ええと、宜しくお願いするn し、ます! がんばろーな!」




「あ! 筧の彼女!!」
 会場へ踏み入れるなり、突拍子もない声を掛けられて常木 黎(ja0718)は転びそうになる。
「……ええと」
「どうも、久しぶり。筧と同期の相模です、相模 隼人」
 へらり、軽薄な笑みの金髪男が会場奥で手を挙げている。友人同士というだけあってか、何処となく軽さが似ている。
 そこには彼を含め数人の輪が出来ており、どうやらフリーランスたちの打合せ中の様だった。
「おや、普段着?」
「開会する頃には着替えて来るよ。会場チェックや、顔合わせを先にしておきたかったから」
「女子は、準備に時間がかかるもんねぇ」
 護衛とはいえフリーランスでさえ開場30分前には一度、締め出されてしまう。その間に支度を整えれば十分だと黎は答えた。
「衣装は目星を付けてるし、化粧だって作る程じゃない」
「美人は言うねー」
「今日は、よろしくお願いいたしますねー?」
 そこへ、諏訪が到着する。
「フリーランスで参加している方は、こちらで全てでしょうかー?」
「ん、そうだな。あとは、筧と愉快な仲間たちが揃えばってところ」
「そうだ。三谷屋直属、っていうのは……」
 相模が、ボディーガードとして参加している撃退士の顔写真付きリストをそれぞれへ渡す。
「会場内の黒服サングラスがソレだね、見てわかる。三谷屋の社員バッヂをスーツに付けているから」
 黎の問いへ、相模が顎で促した。
「視覚的に安全性をアピール、というところですねー?」
「そういうこと。自分たちが守ってるから大丈夫ですってね。数もそれなりだから、良からぬ輩にも牽制になる。でもって、オレたち」
 客に紛れての護衛役、と。誰に気づかれることのない、縁の下の力持ち。
「まあ…… 顔写真リストといっても『穴』はあるんだけどサ」
 相模は声を潜め、二人へそう告げる。
「オレのジョブ、筧から聞いてる?」
「相模さんの? ――……」
 以前、六角真之の窮地を救わんがために急行した依頼でも相模の姿はあった、しかし共闘と呼べるほど近い距離では戦っていない。
 今回も潜入捜査であって、戦闘能力はそれほど重要ではないだろうし協力を仰ぐと言っても情報共有ぐらい、と考えていて――
(あ)
 黎と諏訪は記憶を辿り、互いに小さく声を上げる。
 鬼道忍軍。特殊能力は、変幻自在。
「出来るだけ、一通り顔と名前と立場は覚えておきましたが…… 『そういう』異変も要注意、ですねー?」
 三谷屋やフリーランスは、こうして事前確認できるけれど、一般客の護衛となれば難しい。
 『会場内の誰か』に変化されたら…… その瞬間を捕まえることは難しいかも知れないが、注意事項として頭の片隅に留めておくべきだろう。
「改めて、今回はよろしく。こちらも協力するし、何かあったら情報共有を」
「もちろん」
 黎が右手を差しだし、相模が握手を返す。続いて諏訪とも。
「それじゃあ、あたしは監視カメラのある警備室へ挨拶して来る。カメラの死角もチェックするから、諏訪くん、手伝ってもらえるかな」
「監視カメラの死角は目で見ないとですし、今のうちに確認ですねー?」
 警備室へフリーランスは入ることができないのの、死角に関する情報は得られるだろう。
 会場内のカメラがどのようなポイントを映しているか直接訊ねた方が早く、そのまま通信機で会場のメンバーとやりとりすれば手間も省ける。
「富豪って、寛容なイメージだったんだけどな〜」
 黎と入れ違いに、ミントグリーンのカクテルドレスへ着替えた不破 十六夜(jb6122)が会場へ姿を見せた。
 同様の説明を相模から受ける。
「悪いことにも寛容なんだよね〜」
 カクテルドレスとお揃いカラーのリボンをつまみながら、相模。
「随分と可愛らしい撃退士さんだけど、どう動く予定?」
「誰かの付き添いで来たって形で、それとなーく久藤氏と取り巻きの姿をチェックしておくつもりだよ。大人にはできないことってあるよね」
「したたかだ」
 通信機は、左胸元のコサージュに隠してある。
 ふわりとしたシフォンスカートの裾は膝上から膝裏にかけて斜めにデザインされていて、品のある仕上がり。
 子供と侮るなかれ、だ。


 開会後、真っ先に執り行われる鏡開きの道具類は、舞台袖に準備されていた。
「緩んだり切れかかったり割れたりしていないか、かね」
 酒樽や木槌に、異変は見られない。
(中の酒に細工されたら、確認しようもないが……)
 そうなると、出荷・流通の段階か? 直前ですり替えることも出来るだろうけれど、そこに関しては三谷屋自身が押さえているという話だったか。
(信用の失墜。悪評。例えばそれは、どういうものだろうか)
 経営内容に関する噂もあるだろうが、目立つのは会場内での整備不十分と取れるトラブルだろう。
 静矢は、ゆっくりと檀上を確認して回った。
 BGMとして生演奏があるというが、ドラムなど設置するタイプのものは既に在る。
「備品への警告もあるなら、あれも調べておくか」
 ふと、ステージを照らすライトを見上げる。
 脚立を借りるべく、場内スタッフへ声を掛けた。


(無事過ごせればいいが……)
 控え室と同階にあるレストランを、龍仁は覗いた。
 受付へ話を通すと、責任者の一人らしい男性がやってくる。
「時間を超過しても来店がなく、連絡のつかない客はいないだろうか?」
「今のところは、皆様いらしていますね。あとは19時に二組四名様の予定だけです」
「……そうか。それと、個室入退出時で姿が変わった者がいるかどうか、注意しておいてもらえるだろうか。いたなら、連絡を」
 龍仁の要望へ、接客のプロフェッショナルはにこやかに応じた。
 予約限定というだけあって来客の顔はきちんと覚えているし、異変があったならすぐに気づける。
 連絡時は、ホールスタッフを配膳係として会場へ送る形で落ち着いた。
(釣りをするなら撒餌――『嘘情報』が必要だ。通信機も良し悪しだな)
 傍受される懸念はある、が……
「部隊統括へは、直接話しに行くか」




 開場、30分前となる。
 フリーランスたちは控え室の一角へ集い始める。
「どう、かな……。似合う?」
 落ち着いたボルドーは今シーズンの流行色。イブニングドレスの裾を翻して、黎は筧の背へ呼びかけた。
 Vネックのオフショルダー、胸元と背中を大胆に開けたデザインは、それ自体が彼女の武器となる。が、今はそれは置いといて。
「……ちょっと待って。反則」
 メイクは上品で艶のあるものを。白い肌と黒髪が映え、どこぞの令嬢かという雰囲気を出している。
「鷹政さん?」
「減るって言ったでしょ……! 何か羽織るものー!!」
「はいはい、公私混同しない」
 踵を返し、貸衣装部屋へ向かおうとする赤毛阿修羅へ金髪忍軍がヘッドロックで足止めする。
「毎回こうだと、コレの相手、疲れない?」
「そんなことは……」
「誰がコレだ、離せ相模!」
「騒いで悪目立ちすんなっての」
 首を絞める腕に力がこもったところで、赤毛は大人しくなった。
(毎回……)
 言われてみれば、露出多めの服装を着てみた折りには『減る』という発言を度々受けている気がする。
(減る?)
 別に見られたって、減るもんじゃあるまいし……
(…………)
 独占欲、という単語がふわりと浮かんで、反射的に黎の頬が赤く染まった。
 いやいやいや。
 でもまさか。
 ねぇ?


 会場、他のフロア、それぞれに散っていた面々が揃うのを確認すると、筧を含む七名は互いの情報の交換を始めた。
「照明などの機材に不具合は見受けられませんでしたが……」
 最初に切り出したのは、静矢。
「このカメラは、会場に最初から設置されているものとは違いますよね」
「ずいぶんと小型ですねー? 確かに、他のカメラはメーカーが統一されていましたし、この視点から映るという情報はありませんでしたよー?」
 カメラを受け取った諏訪が首をひねる。サーチトラップを発動した確認もしたが、カメラの設置だけなら罠とは判断できなかったか。
「『仕掛け』は、アクシデントを起こすだけではなかったと?」
「鏡開きを行なうのが三谷屋側だけということからすれば、そこから何かを拾い上げるつもり……ということか」
 仲間内だけで気を緩めた時の言葉や動作から、その場で噂の種を作り上げる考え?
 龍仁は話を繋ぎ、自身のレストランとの連携を伝える。
「うーん……。第三者で悪いこと考えてるやつもいるであろし、九堂グループが主犯かもわかんねーので、そこは慎重に、な」
 手癖で襟元を緩めながら、青空は懐からICレコーダーを取り出した。
 明らかに疑ってかかるべきは九堂だが、他にも同様の魂胆を持っている参加者がいるかもしれない。
「通信機で会話はできるけど、いざって時の音声は決定的証拠な。私はこれをONにして、会場内をまわってみるよ。
あっ、それから見回りエリアは被らねーようにしたいな。どこに誰がいるか解かれば、連携も取りやすいよな」
「犯人検挙よりレセプション自体の無事が優先ってことで良いのよね。いっそ、ドンパチの方が楽……」
 黎が嘆息しては肩をすくめる。
「客人のボディーガードなど、名簿にない人の所属と顔は控え室でさりげなくチェックしておきましたよー?」
「ボクは、人を見て声を掛けていこうかな。だいたいのコトは、大目に見てもらえると思うんだ」
 胸を張る十六夜へ、どこからとなく暖かい笑いがこぼれる。
「じゃ、俺たちは個人行動で、有事の際には即時連絡ってことだね」
 青空のことを言っていられない、既にタイを緩めそうになりながら、筧が話をまとめた。

 ケガや食中毒や、そういった事故が起きず、平穏に終われば良いのだけど。
 財界の重鎮というのは、誰を見てもあくどい面構えで、善悪の区別がつきにくいったら。




 型にはまった、代表挨拶。
 少しだけ楽しそうな、鏡開き。
 無事に終わり、乾杯の声と共に宴は本格的に始まる。


(仕込んだカメラが取り去られたことに、仕掛け人は気づいているはず……。さて、どう出る?)
 カクテルグラスを片手に会場内を見回す静矢は、何くれとなく目の合う一般客へ自然な会釈を返しながら。
 握手や名刺交換が交わされる会場内で、手持無沙汰そうにしているのは例えば自分たちのようなフリーランスか、或いは新参の成り上がりか。
 成り上がりであるなら、逆に人との結びつきに対しては貪欲だろうか?
「おや」
 温和な物腰の下に緊張感を張りつめていた静矢へ、親しみのこもった声が掛かった。
「君は、確か……」
「鳳です、お久しぶりです」
 緑髪の女性ボディーガードを従えた、六角 真之がそこに居た。グレーのベストに黒のテールコートを合わせ、如何にも遣り手といった雰囲気を出している。
「――そうか、なるほど」
 事情こそ話せないが、会場護衛の任で来ていることを伝えれば、若手実業家はなんとなく察したらしい。
 形のいい顎を撫で、静かに頷く。
「話は変わりますが……先日、お嬢さんとお会いしました」
「ユナと?」
「ええ。餅搗きを、一緒に」
 学園の依頼で――ということは濁し、彼女も撃退士としての仕事を受け始めているのだと暗に伝える。
「級友に恵まれているようで、少しずつ溶け込めているみたいですよ」
 ――真之さんが所属していた頃と今の学園は、随分違いますよ
 かつて、そう告げたのは他ならぬ静矢だ。
 学園へ娘を託し、不安が無いとは言わない。けれど、今も何がしかの形で見守ってくれていることを知り、六角は安堵して表情を緩めた。
「ありがとう。あの子はどうしても強がってしまうから、『大丈夫』としか返事をくれなくてな……。疑うわけではないが、本当に楽しんでいるのならば越したことはない」
 血に、力に目覚めなければ、一般の学校でも上手くやっていけたかもしれない。
 しかし、養女ということに感じる引け目を払拭するには、時間が掛かったろうとも思う。
 その後いくつか言葉を交わし、二人は別れた。


「失礼致しました……」
 トンと肩がぶつかる、黎はハッとしたようにすれ違いざまの紳士から僅かに距離を取り、視線を下げた。
「ああいや、こちらこそ不注意だった。お怪我は?」
 形式に嵌ったやりとりから、それとない世間話へと移ってゆく。
 どんな仕事をしているのか。
 どんなことで苦労しているのか。
 50代前半で、とある企業の幹部だという紳士は聞いても居ないことを語りだす。
(まさか役に立つ日が来るとはね……)
 大人しく頷きを返しながら、黎は内心で深く深く溜息。
 幼い頃に、母から厳しく躾けられた事は無駄ではなかった……と、今になって感じるとは。
 洋装和装隔てなく、身のこなしを叩きこまれていた。
 言葉遣いや表情も、その一つ。
「正直、もっと荒れるかと思ったんだが…… いやぁ、美人もいるし、来た甲斐があったね」
「……と、おっしゃいますと?」
「今回の主催には、良からぬ噂があってね」
「良からぬ噂は、何処の誰にでも付きまとうものではなくて?」
「はっは、そうだねえ、有名税だ。三谷屋ともなれば――」
 紳士が語ったのは、三谷屋と九堂の確執だった。
 表立って九堂が三谷屋を非難するような言動が飛び出るのでは、と参加者たちは危惧していたらしい。
「六角君も巻き込まれる形になるからね、そうなれば気の毒だ」
(どうだろう。相手が女だから、『この程度』に留めたっていう可能性もある……?)
 名刺を受け取り、チェックを入れてから黎は自然な流れで会話を切り上げ、人の波に紛れてからも男の動向を暫く探ることとした。


 ヒョイと摘まんだ唐揚げが予想以上に美味しくて、青空は目を丸くする。
「一通りは異常なしな」
 立食形式で、料理の交換が早い。ドリンクコーナーには三谷屋直属の護衛が狛犬のようにビタリと配置されていて、そちらは問題なさそうだ。
「……? これは」
 真っ白なテーブルクロスにシルバーの食器、手元には直営レストランの紋がデザインされているものばかりだったが――
 ひとつだけ、無柄のフォーク。
 それが何を意味するか気づき、青空が手を伸ばす―― 前に。
「あっ」
 細い指先。老婦人が取り、そのまま鶏の唐揚げへ向かう。
「待って……」

『こんなことで上手くいくのか?』
『数打てば当たるというだろう、これだけの客だ。誰かが必ず引っ掛かる』

 不穏な会話は、雑踏に紛れて遠くのテーブル。
 カチリ、その傍に居た諏訪と目が合う。視線の動きで、諏訪が『対象』に気づいた。温和な笑顔そのままで、通信機へ手を。
 確認した青空は、流れる動きで老婦人へ腕を伸ばした。
「きゃ……ッ!」
「おいしー唐揚げな!!」
 彼女が口へ運ぶ前に、パクリ。
(……激辛!!!!!?)
 目を白黒させながら、青空は胸元をトントン叩く。フォークの先に、何がしかを仕込んでいたらしい。
「あらあら、やんちゃな紳士さんだこと」
 背後からの急襲へ驚きながらも、婦人は孫を見るかのようにクスクス笑った。グレープフルーツジュースを差しだしてくれる。
「ありがと! ……ござい、ます!」
(毒じゃなくたって、おばーちゃんが食べたら……)
 ビックリなんてことじゃ、きっと済まない。
 青空はフォークをぎゅっと握って、仲間たちへ一斉連絡を入れた。
 仕込みは、食器の一部。
 恐らくは、現在進行形。


「三谷屋主催だというから期待してたが、料理に関しては経費削減といったところですかね」
「仕方がありませんよ。年の瀬に無理をして、土地へ手を出したという話ですし。開拓していくには締めるところを締める、『らしい』門出でしょう」
 青空の合図を受けて諏訪がチェックした、タキシード姿の二人組。
 40歳前後、この会場内では若い部類に入る。ダークグレーとモスグリーン、覚えやすい。
(たしか、この二人は成り上がりの……)
 特徴的だったから、諏訪も覚えている。六角同様、ここ数年で頭角を現してきた企業の所属だったはず。
 通信機で、メンバーと三谷屋専属護衛へ連絡を入れると、諏訪は自然な笑顔で二人へ接近した。
「新規開拓は、いつの時代も苦難が付きものですねー? 譲れない部分で花を開かせてこそですよー?」
「おや、若い客人だね」
「興味深いことを耳に挟みまして。経費や開拓…… お二方は、そちら方面に詳しくいらっしゃるのですかー?」
「ん、ああ、いや。事情にはアンテナを張っているがね」
 ダークグレーが片眉を上げ、モスグリーンが上擦った笑みを浮かべる。
「もしもそちらへ興味がおありでしたら、ご案内したいことがあったのですよー? あっ、わたくし、イチイ商事の諏訪と申しますよー?」
 二人が『それ以上のわざとらしい噂』が出来ないよう、話の腰を折って曲げて結び上げる。
「よろしければ、お二人のお仕事に関して、詳しくお聞かせいただけないでしょうかー? なにぶん若輩ですので、勉強になればと思うのですよー!」
 傍目には、前途洋洋で勉強熱心な青年にしか見えない。
 仕事内容は、と問われて逃げるわけにもいくまい。
 視界の端では、青空が老婦人の手から唐揚げを奪う姿が映っていた。
『食器が、すり替えられてるのだ』
 通信機から、そっと連絡が入る。
(あちこちで、静かに、始まっているみたいですねー……?)




(あれ)
 異変に気付いたのは、十六夜だった。
 誰よりも視点が低いから、堂々と上を見て人の顔を確認できる。
(さっき、すれ違った服だよね。でも、顔が違うな)
 女性に比べて、男性は衣装の幅が狭い。似通ったものだってあるだろう。けど。
(サイズが合ってないよ?)
 同じ服が二つ。違う顔・体格で一つずつ。
 ……一つは、偽物? なんのために? それは、青空や諏訪から入った情報を繋げれば浮かび上がる。
「どうしたのかな? 迷子かな?」
 何処にでもあるような黒タキシードの紳士が、困ったように十六夜を振り返った。
「うん? なんかおじさんが変な事しているから、何かな〜と思って」
「……変?」
「気のせいかな〜。おじさんってかっこいいから、ずーっと見てたんだよね」
「ずーっと?」
「そう、そのタキシードがピッタリ合ってた時から」
「…………」
 紳士の笑顔が、強張る。
「気のせいだよね。ボク、眠くなってきちゃったのかな〜」
「ああ、そうだね。きっとそうさ」
 『先読み』で紳士が何を言わんとするかを察知し、十六夜は先手を打つ。泳がせる。
 子供らしい笑顔で手を振り離れ、すぐさま警備室へ連絡を入れる。
「――番の監視カメラに映った男性と、招待客リストの照合をお願いできるかな?」


 青空・十六夜からの連絡を受け、龍仁は改めて会場内を見渡した。
 鬼道忍軍による変化か、あるいは単純な変装かまではわからないが、少なくとも食品への仕掛けは会場内で進行されているらしい。
(フリーランスか、三谷屋の部隊に紛れている可能性だってある……。疑い出せば、キリは無いが)
『第三者で悪いこと考えてるやつもいるであろし、九堂グループが主犯かもわかんねーので』
 そう話したのは、青空だ。
「やれやれ、頭の痛む――……」

 ――久藤さんの周囲が慌ただしくなったから、何か起きるかも知れないから注意……

 十六夜の声が、通信機から届いた。後半は、ノイズで消える。
(電波妨害か)
 バチン、と何かが焼き切れる音。会場内が暗闇に包まれたのは、それからさほど間を置かずしてだった。
「ブレーカーが落ちたか。この程度のアクシデントは、想定済みだ」
 場内が混乱へ陥る前に、龍仁は星の輝きを発動させる。
 キラキラと、それは美しく天井を照らす。
 龍仁が味方と認識している者以外は、しかし目を逸らさずにはいられないはず。
 誰もの動きが止まる。その中で、暗闇に乗じて何かをしようとしていた者は、目立つ。

「御気分が優れないようですね、別室でお休みください。案内しましょう」

 ごく自然な動作で、静矢が後ろへ回り込んだのは十六夜がチェックした人物だった。




 二度目の星の輝きは、全ての人々が楽しめるよう『余興』として龍仁は発動し、三谷屋の機転で停電トラブルも丸く収められた。
 一人捕まえたことで解決する規模でもないだろうが、三谷屋側の監視が確実に機能していると伝えるには十分な効果だろう。
 引き続き周辺に気を配りながら、風聞を収めていくことに個々人の行動はシフトしてゆく。
「真之」
 合間を見て、龍仁は六角を呼び止めた。
 久堂と三谷屋に関して、きな臭い話が出ていないか――少なからず関わりのある六角が、何処まで知っているのか。
 そう言ったことを聞きこむ。
「ユナのことは、鳳くんから聞いたよ。その節は、娘が世話になった」
「ああ」
 先日の餅搗き大会には、龍仁も参加していた。彼女と一緒に仕上げ作業をしたことを告げれば、義父の目元には薄く涙が浮かんだようだった。
「…………俺が言うのもなんだが……。恥ずかしがらずに、偶には抱きしめてやるといい。ユナもきっと喜ぶ」
「強羅さんには、お子さんが?」
 その問いには、曖昧に笑ってごまかした。深く語り合うことは…… 少なくとも、今、この場所ではできない。
「今は『学業』へ専念させてやるべきだと考えて、長期休暇でも戻るつもりは互いにないが…… そうだな。折を見て」
 家へ戻らなくても、こちらから会いにゆくことはできる。
 或いは、何がしかの依頼で近くの地域へ来ることもあるかもしれない。
 そんな時は。
「育てたように、子は育つ…… か」
「そう、信じたいな」
 遠くを見る六角へ、龍仁は肯定を添えた。
(親子……か。結局、俺のしている事はただの独り善がりなのだろう……。これは俺のエゴだな……)
 言葉とは裏腹に、内側では自嘲の感情が渦巻いていた。
 親と子の、本当の感情は互いだけのもの…… 祈ること、願うこと、それは第三者のエゴでしか……
「なに暗い顔してんの、強羅さん。あっ、六角さん、乾杯でっす。うちの同期の仕事は如何ですか」
「鷹政」
 肩に重みが、と気づけば筧が肘を乗せていた。
「乾杯、筧くん。言うことなしだね、高岡くんは非常に優秀だ」
「残業代もキッチリ出してくださいますしね。社長は自身の仕事処理能力の限界をもっと把握するべきかと」
「これだ」
 六角が笑い、傍らの高岡も薄く笑む。
「無茶するのは、実証済みですしねぇ。繋いだ命、しっかり燃やしてくださいよ」
「ああ、肝に銘じる。もしもの時は、真っ先に声を掛けるよ」
 視察先で天魔に襲われ、再起不能で次は無いと宣告されながらも現場へ残った六角を、助けたのも今の学園メンバーだった。
「……色んな生き方が、あるよな」
 非常に苦しい身長差を頑張りながら肩を組みつつの、筧が龍仁へ呟いた。


 撃退士としての道をあきらめざるを得なかった男は、過去の経験を糧として違う道を歩んでいる。
 そうして、彼の養女はたどたどしくも、撃退士の道を学び始めた。
 天魔との戦い。
 生きていく上で避けることのできない、それ以外の戦い。『己の弱さ』と一言で括るには、複雑なものだ。
 それはたった一人で往く道ではなく、きっと途中で多くの出会いがある。
 縁は連なり、踊るように輪となり繋がる。
 今が、たとえばそれだった。



●連なる縁は踊る
 龍仁がレストランへ要請を入れていたことから食器に関する対応は早く、ウェイターに扮した三谷屋の部下たちが細やかに各テーブルをチェックしていった。
 毒物に該当するものはなく、会場内で悲鳴を上げさせることが狙いだったと見える。
 何事かとざわついた隙に、聞こえよがしに風聞を流すというものだ。
 その辺りに関しては、黎を始め諏訪や十六夜の立ち回り、釘を刺してへし折って回った。


 結果としてレセプションは無事に終え、片付け終わった会場に護衛達ばかり事後報告に残っている。
 何処かで聞いたクラシックのBGMだけが、何事もなかったかのように流れていた。
「便乗犯ってわけでもないけど、面白おかしく両者の対立を噂する輩もいたから…… 『誰もが不和を知っている』程度に留まったんじゃないかな」
 対立の原因自体は、何処も後ろ暗いことはない。
 黎からの報告に、三谷屋の部隊統括である男性が重々しく頷いた。
「う〜ん、筧さんの娘として参加すれば良かったかな?」
「え!?」
 悪戯っぽい十六夜の言葉に、驚いたのは黎の方だ。
「騒動が起きた時に、涙目でパパ怖い……って言えば、収まったかも知れないね」
「違う騒動が勃発の予感ですよー?」
 あほ毛をクルリとまわし、諏訪が首を傾けた。
「騒動を騒動で上塗り、か……」
「静矢君、『その手があった』って顔をしないように」
 神妙な表情の静矢を、筧が肘で小突く。
「相手を封殺して、イベントが滞りなく終わるのが一番だものな。強硬手段を取らずに済んで良かったのだ」
 深く頷く青空の腹が鳴った。
「……会場警備に手いっぱいで、ほとんど食べなかったしな」
 ぽん、龍仁が青空の頭へ手を置いて、優しくフォロー。
「あ、その件だけど。六角の旦那が、このあとメシ奢ってくれるって。下のレストランに予約を捻じ込んだから、服装はそのままでいいって」
 相模が、挙手をして会話に加わる。
 ふぅん、と黎は意味ありげに笑い、さり気なく筧へ腕を絡めては見上げる。
「滅多にこういう格好しないし、たまにはいいかもね」
「……たまにはね?」
「真之と一緒だったら、もう袴は脱いでいいか? そろそろ、堅苦しくて耐えられねーのだ」
 言った傍から、青空は着流し姿へ戻っている。
「はは。改めて、今日はお疲れ様。掴みどころのない任務だっただけに、エネルギー消費も激しかったよね。あとは襟元緩めて、気楽に打ち上げと行こう」


 閉店間際のレストランは貸切同然、愚痴をこぼしたりテーブルマナーがわからなくたって誰も咎めやしない。
 財界の重鎮というのは、誰を見てもあくどい面構えで善悪の区別がつきにくいし、そも区別なんて存在しないのかもしれない。
 その一端に触れたこと。ほんの少しだけ覗いたこと。
 これもまた、きっと何かの縁へ繋がるのだろう。





依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: dear HERO・青空・アルベール(ja0732)
 二月といえば海・櫟 諏訪(ja1215)
重体: −
面白かった!:4人

筧撃退士事務所就職内定・
常木 黎(ja0718)

卒業 女 インフィルトレイター
dear HERO・
青空・アルベール(ja0732)

大学部4年3組 男 インフィルトレイター
二月といえば海・
櫟 諏訪(ja1215)

大学部5年4組 男 インフィルトレイター
撃退士・
鳳 静矢(ja3856)

卒業 男 ルインズブレイド
撃退士・
強羅 龍仁(ja8161)

大学部7年141組 男 アストラルヴァンガード
偽りの乳神・
不破 十六夜(jb6122)

中等部3年1組 女 アカシックレコーダー:タイプA