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マスター:むらさきぐりこ
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:4人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/06/02


みんなの思い出



オープニング

●とある大会議室
 広い空間に、たくさんの拍手が鳴り響く。
 それは祭りの終わりを惜しむものであり、満足を知らせるものであり、感謝の念を伝える物であり、様々な、それでいて幸福な感情を内包したものだった。
 ――終わった。
 ――終わってしまったのだ。
 しかし、彼女にとってはそうではなかった。周囲にならって手を打つも、その音はどこか空々しい。
 事実、彼女は絶望していた。
 どうしてこうなった。何よりも楽しみにしていたはずのこの祭りを、どこで私は間違えた。
 背後を見る。
 そこには、絶望の根源たる『もの』たちが、天高く鎮座ましましていて――

●学生寮
「どうしてこうなった」
 翌日、憔悴しきった彼女――久遠ヶ原学園、漫画研究会の一員である女生徒はぽつりとそう呟いた。すわ天使のゲートの被害者かと思わんばかりの、あまりにも生気と感情の欠けた声だった。
 あなたたちは学生寮の一室、彼女の部屋に集まっている。朝早く、『どうしても頼みたいことがある』と呼び出されたのだ。何事かと思って来てみれば――
「違うのよ。私ならこのくらい楽勝って思ったのよ」
 まだ新しい寮の一室。一人で暮らすには十分な広さがあるはずの彼女の部屋は、しかし。
「現実って、あまりにも、非情よね……」
 ずん。ずん。ずん! そんな擬音が今にも聞こえてきそうな圧迫感。女の子の一人暮らしには似つかわしくない無骨な光景。
 大量の段ボールの山に占領されていた。
「うおお、あんまりだ。こんなのあんまりだァーッ! なんで両隣に長蛇の列が出来る人気サークルが配置されてたんだァーッ! 私知ってるよ、こういうの緩衝材って言うんでしょ! 私の扱いって発泡スチロールなの!?」
 その中身は本。しかも寸分違わず同じ内容が書かれた、彼女お手製の自費出版である。
 そう。
 そこにあるのは『大量の同人誌の在庫』という、あまりにも辛い現実であった。

「うう……辛い」
 わんわんと一時間ばかりむせび泣くと、ようやく彼女は事情を打ち明けた。
 なんでも昨日、彼女が待ちわびていた同人誌即売会が行われたのだという。初めてサークル参加――要するに売り手として、参加することが叶ったのだ。そのために彼女は寝る間も惜しんで、一本の漫画を書き上げた。
 初めての自分の本。彼女は高鳴る鼓動を抑えきれないまま、原稿を印刷所に納品した。チェックも綿密に、締切も守って正規料金で。そこまでは良かった。
 だが、浮かれていたのだ。彼女はやってしまったのだ。初参加故の過ちを。ある意味では通過儀礼を、それはもう律儀に。
 印刷部数。何冊発行するかというその項目に、彼女は堂々と打ち込んでしまったのだ。
 『1000部』と。
 本来であれば予算の都合でもう一桁は思いとどまるところを、撃退士という『多少稼げる』立場であったが故に、ブレーキが効かなかったのだ。さらにこの作品なら、自分の実力ならこのくらい余裕だと、書き上げた陶酔感も後押しした。
「その結果がこのざまですよ、ハハハ」
 はぁ、と魂すら抜けそうな溜息をつく。その結果は、あまりにも惨憺たるものだった。
 初参加の無名サークル。冷静に考えれば当然の帰結だった。

 売上は、たったの20部。
 すなわち、在庫980冊。
 慢心と陶酔感に冷や水をぶっかけるには、十分を通り越して苛烈すぎる数字だった。
 ちなみに両隣はイベント開始一時間で完売してしまったというオチが付く。追い打ちどころか死人に鞭だった。

 話している内に思い出したのか、彼女はまたふさぎ込んでしまった。
 あなたたちは彼女の漫画を読んでみる。
 ――『悪くない』と思った。
 やや荒削りなことは否めないが、少なくともこんな仕打ちを受けるほどつまらなくはない、いや、十分面白いと感じたのである。
 あなたたちがその感想を伝えると、
「ありがと……。そう思うのなら、ちょっと助けてくれる……?」
 泣きそうな声で、そう言った。

●依頼
「どんなに安くてもいいから売って欲しいの」
 捨てるのはあまりにも忍びないそうだ。お金の問題ではない。魂の問題だ。創作者たるもの、『我が子』はそうそう捨てられない。
 しかし限界はある。
「実際、いつまでもこんな物量が部屋にあったら生活できないし……。あと寮長に怒られるし」
 さりとて自分で捌く決断を今すぐするには、些かダメージが大きすぎた。
 そこであなたたちへの依頼である。
「財布へのダメージもバカにならないから、あんまり大した報酬は用意できないんだけどね……ああ、自分の売上は持っていっていいよ。出来高制ってやつ?」
 あははのは、と自嘲気味に笑った。

 果たしてあなたたちは、この状況を撃退することが出来るだろうか?


リプレイ本文


「いー感じだよコレ! うん、たまにはノーマルもいいね!」
 因幡良子(ja8039)は同人誌を一読すると、500久遠を作者の手に握らせた。彼女はやや遅れて「あ、ありがと」と礼を口にする。
「Normal……?」
「気にしないでいいよ」
 首を傾げるレティシア・シャンテヒルト(jb6767)の思考を、アーニャ・ベルマン(jb2896)は遮った。分からないならそのままでいいという『同士』の心得である。
「そうですか……。詳しいことは分かりませんが、とっても素敵な世界だと思います」
 レティシアは本を閉じる。素直に美しい話だと感じた。彼女の恋愛観――どこか悲観的な、を飲み込めた気がする。学園生活の合間を縫って織り上げた彼女の世界。それはきっと尊い。
「うんうん、素敵だよねー。いやー、ラストの見開きが綺麗なんだ」
 対照的に良子はシンプルな感想を口にした。本の楽しみ方は人それぞれである。
「しかしこの在庫か。良品とて売れるとは限らないの好例だな」
 本を閉じ、ファーフナー(jb7826)は冷静にそう告げる。「う」という呻きと、溜息が部屋を支配する。
「ほんと、在庫は気が滅入るよねえ……」
 アーニャは彼女の肩をぽんぽんと叩く。かつて自分も同人誌を頒布したことのある身だ。この光景が地獄なのはよく理解できる。
「ともあれこの数だ。きちんと作戦を立てるべきだろう」
 あくまで冷静なファーフナー。この中で唯一見た目が大人であることも含めて、まるでコンサルタントのようだと女性陣は思った。


「病院や銀行の待合室に置いてもらう、というのはどうだ」
 本を読むのは手持ちぶさたの時。ならばそういった所に配置するのが道理。ファーフナーはそう考えた。
 しかし、
「ちょ、ちょっと待って。それはやめて」
 作者は慌てて否定した。良子とアーニャも頷く。
「往来で同人誌読むのは……」
「ちょっと公開処刑だよね」
 いかんせん同人活動は人を選ぶ趣味だ。公共の場では慎むというのが、その筋にとっては暗黙の了解である。例え健全な一次創作であっても、だ。
「そういうものか。なにぶん門外漢だからな」
 ファーフナーは気を悪くした風もなく意見を撤回する。そしてアーニャをちらりと見た。
 アーニャは頷く。この中では、頒布経験のある自分がリードすべきだろう。
「やっぱり即売会が一番確実だと思う。確かオリジナル専門の即売会が二週間後にあったと思うから、そこに割り込ませてもらうよう頼んでみるよ」
「あー、そういえばあったねえ」
 良子にとって同人誌は二次創作メインだ、と喉元まで出掛かったがなんとか嚥下した。一般人(パンピー)が混じっている以上、無闇に公言すべきではない。
「後は……購買かな。学園内なら大丈夫でしょ?」
 作者は頷いた。なにせ大量の学生で混沌極まる久遠ヶ原学園である。同じ穴の狢がどれだけ潜んでいるかなど考えるまでもない。
「んじゃ、私は友達にかけあってみるよ。こういうの好きな子何人か心当たりあるし、宣伝になるよね?」
 良子は任せろ、と胸を叩く。
「宣伝といえば、思ったのですが」
 何度も本を読み返していたレティシアが、ふと顔を上げる。
「この状況をドキュメンタリーにして、インターネットにアップして、作者の知名度を上げるというのはいかがでしょう?」
 おお、と良子と作者は唸った。確かにそういうものはたまに読む、と納得したのだが、アーニャは首を振った。
「……今それやったら反感を買うと思う。やるとしても、全部片付いてしばらくして笑い話になってからだね」
 ウェブの難点だ。同人という『趣味の分野』で露骨に『儲け』を重視すると、一部のユーザーから反感を買うことがままある。同情を誘う手法は、『あざとい』と批難される危険性があった。
 ファーフナーは鼻を鳴らす。
「面倒だな。ウェブで宣伝して通信販売というのを考えていたのだが、却下か」
「ううん、むしろそれはやった方がいいと思う」
 人の目に触れる機会が多いに越したことはない。潜在顧客は全国にいるのだ。それを狙わない手はない。
 要するに、方法の問題ということだ。
「なんか完全に商談だよね、これ」
 同人なのになー、と良子は独りごちた。
「商談だろう。そういう依頼だ」
 ファーフナーにその機微は掴めなかった。


 購買の承諾はすぐに得られた。交渉の結果、ひとまず100部を委託販売してもらうこととなった。
「300久遠で……ですか?」
 レティシアは首を傾げた。500久遠が定価のはずなのに、である。アーニャは頷く。
「レティちゃん。こんな薄い本が市販のコミックスや文庫本と同じ値段だったら買う?」
「ああ、そういえば」
 件の本は72ページ。同人誌としては分厚いが、一般の本と比べれば遙かに薄い。自費出版故に仕方ないのだが、相場を知らなければどう見えるか。レティシアは得心する。
「よし、それじゃポスター作ろう」
 交渉の一手として、アーニャは宣伝用ポスターを作ると言った。ミハイル――猫のぬいぐるみと共に腰を折ったのが効果的だったらしい。対応した男性店員の顔がふやけるのをレティシアは見逃さなかった。ちょろい、と。
「それですがアーニャさん。私、少し提案が……」
 それはそれとして、レティシアは一つ、描きたい世界を見ていた。

 ファーフナーはウェブサイトを立ち上げていた。女性陣が描いたイメージ図を参考に、淡々とコードを書き上げていく。
 ――それは、儚くも美しい恋物語。
 真顔でそんな文句を打ち込んでいく。マフィア然とした見た目で乙女チックだが、言わずもがな、指示通りに書き込んでいるだけだ。アーニャが選んだ『見栄えのする』カットを埋め込んでいく。どう違うのかは、正直なところ興味がない。
 一段落したところで通販用のフォームに着手する。結局、個人で発送する方法に落ち着いた。
 書店委託も考えたのだが、手数料や売上期待値を調査して諦めた。無名作家のオリジナルでは、売れずに送り返されることもままあるらしい。
 それにしても、だ。
 ビニールのブックカバーを手に取る。見本のために用意したものだ。
『あ、全然考えてなかった……』
 彼女に欠けていたのは客側の意識だろう。立ち読み専用の見本でも用意していれば、また結果は違っただろうに。購買に並べる分にはきちんと用意するように指示し、結果それなりに目を引いているようだ。
 物を売るのだからそのくらいは考えるべきなのだ。しかしビジネス論を振りかざすのは同人の世界では煙たがられるらしい。全く理解が及ばない。

「うわあ、これでもかってくらいのノーマル。良子、どったん?」
「うっせ、私だってオールウェイズ発酵してるわけじゃないっての」
 良子は『理解のある』友人達に本を薦めていた。
「それで、どう? 私は結構好きなんだけど」
「悪くないんじゃない? ちょっと古風だけど、いかにも正統派って感じで。絵柄好みだし」
「この主人公が男なら……うん、いけるいける」
 たくましい妄想は置いておくとしても、良子は確かな手応えを感じていた。おおむね好感触で、逆にどうやったらあれだけ在庫が残るのか不思議になるぐらいに。
「そっかそっか! それならさ、感想送ってあげてよ。ほら、このサイト」
 良子はファーフナーの公開したウェブサイトを示した。そこには感想を送るためのフォームが設けられている。良子の発案だ。読者からの感想は何よりも原動力となると聞いている。
「あと、今は購買にも置いてるし……そうそう、今度のイベントでも頒布するからさ! フラゲしたかったら買い付けるよ」
 ともあれ、ひたすら宣伝に専念する。あとは草の根にどこまで浸透するかの勝負だ。


 二週間後、一同は即売会の会場に足を運んでいた。
 よくイメージされる大規模即売会のような息苦しい雰囲気はない。和やかな空気だった。
「創作オンリーだからねえ」
 スペースを融通してくれたサークル主は苦笑する。ジャンルとしてはこのくらいの人入りが普通なのだという。

 アーニャは運が良かったと独りごちた。
 友人であるサークル主が委託を募集している所に滑り込めたのである。サークル主にしても『諸般の事情』で新刊を落とし、コピー本だけでは寂しいとぼやいていた。そこにオフセット本の委託は渡りに船だったのだ。
 まあ流石に委託の身なので、200部を持ち込むのが限界だったのだが。これ以上はスペースの乗っ取りになってしまう。要らぬ反感は買わない方が良い。

「しかし何度見てもぴったりなイラストだよね。これ、レティちゃんのアイディアなんでしょ?」
 購買の宣伝にも使っているポスターを、スペースの机に貼り付けながら良子は言った。レティシアは薄く微笑んだ。
「こういう世界が見えましたので」
 白と黒のモノトーンで、余白を大胆に使った構図となっている。いわゆる『引き』の絵だ。登場人物二人は手を繋いでいるものの、どこか不安定な印象を受ける。
 アーニャも描いている途中で納得した。悲劇的、孤独感。確かにこの漫画にはそういった『別れの美』が根幹にある、と。ハッピーエンドなのに、どこかしこりを残すのだ。
「いやー、でも普段買う側だから、設営って初めてだ! すげえ新鮮!」
 良子はウキウキと声を弾ませながら、レティシアの用意したテーブルクロスやポップで机を飾り付けていく。無骨な会議机が華やいでいく姿は、良子にとってとても目新しいものだった。
「こんな感じでいいかな。ファーフナーさんはどう思います?」
 本の搬入を終え、何気なく会場を眺めていたファーフナーは、視線を机に戻す。素っ気なく言った。
「そうだな、違和感はない」
 もっともある程度飾り付けてしまえばどれも同じに見える、とは口にしない。ここでの自分の仕事は荷物運びだけだ。装飾にとやかく言うほどの知識と興味がない。
「うん、私もこれでいいと思う。それじゃ、ちょっと失礼するよ」
 アーニャは完成したスペースを一瞥すると、何故か持ってきていたトランクを引いて会場の奥へ引っ込んでいった。


 売れ行きは好調だった。というのも、
「ありがとうございます」
 ふわ、と淑女の笑みを浮かべるレティシアと、
「あ、分かります? こんな感じの可愛い女の子がヒロインですよ」
 漫画の主人公と同じ格好をしたアーニャ。トランクの中身はこれだったらしい。
 目立つのである。外国人美少女が二人、売り子。とにかく目立つのである。
「たっだいまー! いやー、創作にもいいのが色々……おお! もう半分減ったんだ!」
 良子が買い物を終えて戻ってくると、順調すぎるペースで在庫が捌けていた。
「じゃ、変わるよアーニャちゃん」
「ありがと。んじゃ、買い物ついでに宣伝もしてこよーっと」
 スペースに入れる人数は限られているので、売り子は交代制だ。良子は『チェックリスト』をアーニャに手渡す。
「レティちゃんもせっかくだし色々見てきたら?」
 レティシアは少し逡巡したが、
「そうですね……では、少しだけ」
 ぺこりと頭を下げて、会場の中に消えていった。

「あ、どうですかそっちは?」
「コピ本完売。既刊もほとんど無くなったねー。いや、ホント様々だよ」
 サークル主はほくほくと笑う。
「ところで、あの男の人はどうしたの?」
「あー、なんか終わるまで待ってるらしいです」
 開場前のアナウンスが鳴るや否や、ファーフナーは会場を離れた。ネットカフェで通販の動向を見るのだという。『俺がいても客を遠ざけるだけだろう』という言葉は、悪いと思いつつも納得出来た。
「そっかー。見た目マフィア、中身オタクってギャップ萌えなんだけどなー。違ったかー」
「……お? まさかそういう話いけるクチで?」
「……ほほう? なんとなくは思っていたけどやっぱり……」
 良子は戦利品をサークル主に見せる。そしてお互い『にやり』とほくそ笑む。
 そして戻ってきたアーニャを含めて『アツい』トークが繰り広げられ、レティシアは完全の蚊帳の外なのであった。


 一行は会場近くのファミリーレストランで打ち上げをすることにした。作者も電話で呼びつける。その表情は期待に満ちあふれており、
「完売御礼! お疲れ様でしたー!」
 結果は、出来うる限り最良のものだった。
 持ち込んだ200部は完売。それどころか売り切れたことに落胆を示す人すらいた。どうやらネットで評判を知ったらしい。
「ほらほらセンセ、見てよ。こんなに感想が」
 ウェブサイトの感想や、会場で採ったアンケートの結果を見せる。そこには好意的な感想や、続編を望む声もあった。
「購買の分も完売したそうだ。追加発注を先程受け取った。差し当たっては150部とのことだ」
 ファーフナーが言うと、作者は感極まったような表情になり、
「……あ、ありがとう。みんな、ありがとう……」
 温かい涙が頬を流れ落ちた。

 後日、報酬授与ということで一行は部屋に集められた。かなり部屋はスッキリしていて、段ボールは見る影もない。
「それじゃ、これが今回のお礼」
 内訳には各自の売上分が入っている。レティシアはふるふると首を振った。
「いえ、この分はあなたが受け取ってください。本来あなたが得るべき分です」
 作者はからからと笑った。
「ううん、私の本を売ってくれたのはみんなだから。その手数料」
「もらっておけ。仕事だ」
 ファーフナーの言葉に、レティシアは俯く。
「それでは、せめて」
 500久遠を差し出す。そして本を一冊手に取った。
「お買い上げ、ありがとうございます」

「それで、今は次の本ってところ?」
 アーニャは机の上のパソコンに目をやった。そこには絵を描くためのタブレットが接続されている。
「また売れ残りとか勘弁してよー?」
「あはは、もう懲りたよ。次は身の丈に合わせるから」
 明るい笑いが室内を満たす。残る在庫は200部を切った。購買での売れ行きも落ち着いてきたので、後はイベントで頒布していくと言う。
「ところでセンセ。物は相談なんだけど……」
 良子はそっと耳打ちする。
「……なに?」
「ヒロインをね、男にすると滾るって意見がチラホラあってね」
 作者は何かを悟ったような顔をし、
「次は是非、男同士」
「ごめん。うちはノーマルオンリーです」
 良子の提案を、食い気味に遮った。
「そんにゃー、もちっと考慮してくれても。ほら、報酬として」
 レティシアは首を傾げた。
「Normal……?」
「それはNL、BL、GLという分類の話か。ウェブで見たがよく理解出来なかった」
 今度はファーフナーまで乗ってきた。
 アーニャはにっこりと微笑んだ。

「分からなくていいから」

 ちゃんちゃん。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: キングオブスタイリスト・アーニャ・ベルマン(jb2896)
重体: −
面白かった!:5人

┌(┌ ^o^)┐・
因幡 良子(ja8039)

大学部6年300組 女 アストラルヴァンガード
キングオブスタイリスト・
アーニャ・ベルマン(jb2896)

高等部2年1組 女 鬼道忍軍
刹那を永遠に――・
レティシア・シャンテヒルト(jb6767)

高等部1年14組 女 アストラルヴァンガード
されど、朝は来る・
ファーフナー(jb7826)

大学部5年5組 男 アカシックレコーダー:タイプA