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マスター:望月誠司
シナリオ形態:ショート
難易度:難しい
形態:
参加人数:6人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/10/18


みんなの思い出



オープニング

 久遠ヶ原学園の収入の一つには企業や資産家達からの寄付というものがある。
 彼等の支援があってこそ、学園は大勢の人間を動かす事が出来るといえる。人や物を動かすには金がかかるからだ。
「…………ハイキング、ですか?」
 生徒会長・神楽坂茜は同行の撃退士達と共に挨拶に赴いた主要な寄付元の一つである大富豪の邸宅で、その主に問いかけた。
「うむ、こやつめが神楽坂さんと山に行きたいと言うてのぉ」
 はっはっはと笑ってダンディな口ヒゲを持つ中年男が隣に座っている少年の肩を叩く。
「いえ、ですから、父上、神楽坂さんと山へは行きたいですがハイキングではありませんと」
 年の頃、十四、五程度の黒髪の線の細い少年が首を振ると、茜を見つめて言った。
「私は剣の修行をつけてもらいたいのです。神楽坂さんといえば学園でも最強を争う剣の達人と聞きますから!」
「光栄です……ですが……それで、山に?」
「はい、剣の修行といえば山であると聞きましたから!」
 キラッと歯を輝かせて少年。
(えーと……)
 剣と一口にいっても色々ある。ひらばで使う剣法なら山に籠もる必要は無い、と茜としては思う。まあサバイバルや山岳戦に強くなりたいなら籠もるのもありかもしれない、とは思うが。暗闇と死の匂いは人の感覚を研ぎ澄ます。
「あ、でも今は紅葉が奇麗らしいですから、ついでに景色も楽しむのも良いかもですね!」
 と少年。
「やはりハイキングではないか」
「いや違いますよ、修行ですよお父様」
 はっはっはと朗らかに笑い合う父子。
 茜は本気でこの少年が強くなりたがっているのなら「修行というのはそんな半端な心持ちで行うものではありませんよ」と忠告するのが親切というものだろうかと思ったのだが、往々にして世の中そういうのはありがた迷惑というものになる事のほうが多いらしい、とも思っていたので、迷ったが黙っておく。
「いや、それで、神楽坂さんさえご迷惑でなければ、一つこやつに付きあってやってくれんかのぅ。いやご迷惑でなければなのだが」
 目の前の富豪・蒲剛政成(ふごうまさなり)は息子に甘い事で有名だが、実業家としてはかなりのもので、学園への寄付金の額も巨額である。息子に甘い事で有名だが。
「蒲剛さんにはお世話になってますし……えぇと、ちなみにどれくらい山に入られるご予定ですか?」
「二泊三日くらいですかねー」
「……政継(まさつぐ)さんは、強くなりたいのですよね?」
「はい!」
「本気ですか?」
 すると、
「はい! ですが痛いのは嫌です! 苦しいのも嫌です! ラクして効率よくサクサク強くなりたいです! あ、いわゆる根性論とか前時代的非科学的なものは大嫌いです! できれば楽しく強くなれればなお良し!」
 やたら爽やかな笑顔で政継少年はのたまった。
「……なるほど、政継さんは世界に対して強気でらっしゃいますね……?」
 微笑をひきつらせて神楽坂茜。
 しかし、
「ふ、お褒めに預かるほどのことではありません!」
 堂々と政継少年は宣言する。
「己の意思が己の周囲の世界を変えるのです! 楽な世界というのは己が楽をしようと望み楽をしようとするからこそ手に入るのです! 望まなければ何も始まりません!」
「な、なるほど……?」
 ちょっと一理あるかもと思い始める神楽坂茜である。
「まぁそんな訳なので」
 こほんと咳払いしてから蒲剛父がにこにこと笑って言う。
「神楽坂さんさえご迷惑でなければこやつめを、出来るだけ負担をかけずに秋の山で楽しませつつ最大限に強くしてやってくれんかのぅ? いや、神楽坂さんさえご迷惑でなければなんじゃが、ご迷惑でなければなんじゃがー」
 大富豪の神楽坂茜を見据える目は、まったく笑っていなかった。
 はたして、楽させつつ強くならせろ、という難題をスポンサーから突きつけられた撃退士達はどのように対処するのであろうか……




■状況設定
 参加PCの皆さんは会長の護衛依頼を受けて蒲剛氏達との会談に同行しており、そこから引き続き会長と共に蒲剛少年の二泊三日の山篭りに同行する事になったPC達、という設定になります。

 PCは基本的に蒲剛少年の教師役などを務めます。ただし、空き時間にPC同士でハイキングなどに繰り出しても問題ありません。
 二泊三日の山篭りの期間内に出来るだけ蒲剛少年を鍛えてその実力を向上させたり、蒲剛少年を楽しませたりすれば依頼の成功度が上昇します。
 蒲剛少年の機嫌ゲージが低下し過ぎると依頼が失敗してしまいます。
 ちなみに蒲剛少年はLv10程度のルインズブレイドであり、剣弓鉄砲あらゆる魔具を使えますので、剣しか教えられないという事はありません。

 なおPC1の訓練メニューが三日三晩不眠不休で走らせる、であり一方のPC2の訓練メニュー三日三晩不眠不休で泳がせる、などであった場合、走る事と泳ぐ事を同時に蒲剛少年に実行させることは不可能です。
 そのように同時実行不可能な内容の場合、大きく内容が修正される場合がありますので、タイムスケジュールがかぶらないように相談しておくと良いでしょう。
 あまりに無茶な内容の場合、神楽坂茜が止めに入りますが、修行となると彼女はちょっと一般常識とづれている所があるので、死なない程度なら止めには入らないでしょう。
 なお神楽坂は真剣での型稽古などを蒲剛少年へと教導する予定のようです。

 またプレイングに「訓練お任せ」と記述しておいた場合、プラスマイナスない普通の訓練をアドリブで行います。蒲剛少年の訓練よりも山で遊びたい場合はこちらを活用すると良いでしょう。

 なお期間は二泊三日ですが期間内のすべての行動をプレイングに記述する必要はありません。(ある程度アドリブで動きます)
 プレイングに記述するのは二、三点のやりたい箇所に絞った方が基本的には良いでしょう。(例えば、訓練をちょこっと書いてあとはPC同士で山で遊ぶなど)


リプレイ本文

 秋の山々は紅蓮の色に、燃えてるような一葉が、ひゅるりと吹いた風に舞い、螺旋を巻いて朝の空へと飛んでゆく。
 蒼空に舞った赤い葉が、落ちゆく先は枯れ色混じる草の原、老若男女の八つの影が、二つの天幕を張っていた。
「私はダアトの巫 聖羅よ。修行の間はあなたのサポート役を務めさせて貰うわ。三日間宜しく、ね?」
 茶色の髪の少女、巫 聖羅(ja3916)はにこりと天使のような微笑を浮かべた。微笑の向く先に居たのは十四歳の黒髪少年だった。線の細い身を儀礼服に包んだ蒲剛家の御曹司である。
"お金持ちとコネクションを作れる数少ないチャンス!"と実に気合の入った笑顔を浮かべる聖羅へと、政継少年は爽やかな微笑を少女に返し、
「やあ、こんな素敵なお姉さんにサポートして貰えるとは私は運が良い。やはり世界は私に微笑んでいるね。ルインズブレイドの蒲剛政継です。聖羅さん、ご教導の程、どうかよろしくお願いします」
 などと一礼してのたまった。今はまだ幼さを残しているが、あと三年もすれば立派な気障男になりそうである。
「ええ、頑張るわ」
 聖羅は言葉を返しつつ胸中で呟く。
(立ち振る舞いもあれだけど、富豪の蒲剛さん、って凄い名前よねぇ〜……)
 名は体を現すとでもいうのか、良いとこの坊ちゃん、というオーラをビリビリと周囲に放っている。
(また無茶な要求だが『迷惑』と言えない茜も辛いな……)
 ちらりと御曹司を見やって久遠 仁刀(ja2464)は苦笑する。その負担を少しでも減らせるよう頑張るとしよう、と思う所である。
(それに)
 強くなるのに苦労は伴うものと仁刀は思う。己自身はそれを厭う気もない。だが、"苦労しなければならない"と強制するものでもないとも思うのである。
「さて、と」
 設営作業が一段落した所で、銀色の長い髪の娘――ファティナ・V・アイゼンブルク(ja0454)が蒲剛少年へと視線を移す。
「それでは蒲剛さん、テントも張り終えましたし修行の予定を発表しますね」
「どのような事を行うのです?」
 世の中を大いに甘く見ているかのような少年は、期待しているような、ともすれば、値踏みしているかのような実に楽しそうな視線を向けてきた。
 ファティナはにこりと微笑を返すと、
「まずはオリエンテーリングを行います」
 と答えた。
「オリエン、テーリング……?」
 政継少年は目を瞬かせる。
「説明するわ」
 ファティナの隣に立つ歳の頃十一歳程度に見える悪魔の娘――ナナシ(jb3008)が解説を始める。
 オリエンテーリングとは、コンパスや地図を用いて、山野に設置されたポイントを指定順序通りに通過しゴールまでにかかった時間を競う野外スポーツの一種である。近代のスウェーデン軍が訓練の一環として取り入れ、それが広まったのだといわれている。
「戦闘の初歩にして基礎は戦場の地形を把握する事よ。これを疎かにする撃退士は多くの場合、力を十分に発揮しきる事はできないわ。だから地形把握能力を鍛えるのね」
「へえ、地図とコンパスだけでこの山の中を探索する訳ですか」
「そう、タイムを競ってね。私と茜で山の各所にチェックポイントを設置しておいたから、そこを順番に目指すの。各ポイントは後の訓練でも使うから、位置関係や周囲の景色はよく見て覚えておくようにね」
「競う、ですか」
「ああ、折角だからチーム対抗のゲーム形式にでもするか?」
 と赤髪の青年、仁刀が提案する。
「八人だから四人、四人か」
「チーム対抗ですか、楽しそうですね!」
 蒲剛少年は頷き、しかし、
「……でも、この訓練はポイントが設置されていてそこを通過する訳ですよね? ならば、ポイントの設置作業にあたった方はもうそこまでの道順を知っている訳で、では、道順を知っている者と知らない者では、有利不利が歴然ではないですか?」
 と首を傾げて疑問を呈した。
「私は勝って当然の勝負を仕掛けるのは大好きですが、負けて当然の勝負に挑むのは大嫌いです。ですので、私のチームにはナナシさんと神楽坂さんと、あと一人どなたか飛行を使える方を――」
「私と茜は審判ね。それぞれのチームに一人づつ同行はするけれど、ついて行くだけで道を案内したりはしないわ。フェアじゃないからね。あと、チーム分けはじゃんけんのグーパーね。飛行も禁止」
 きっぱりと少年の言を切り捨ててナナシ。
「えー」
「そうでなければ訓練にならんだろうが」
 銀髪の娘、鬼無里 鴉鳥(ja7179)がヘテロクロミアを細めて半眼で不満そうな少年を睨む。
「まあ、勝ち負けよりも鍛錬を積む事が目的だろう。順序を違えても意味が無いぞ」
 渋い声でファーフナー(jb7826)が言う。齢五十少々に見える白髪の男である。
「ふむ……そうですね、解りました」
 納得したのか蒲剛少年は頷く。
「それじゃ組み分けね」
 ナナシが手の指を組み、捻って、中を片目を瞑って覗き込む。
「はい、ぐーと、ぱーで、わっかれましょ!」
 かくて、数度のジャンケンの末に八人はファティナ、仁刀、鴉鳥、茜の四人組と、聖羅、ナナシ、ファーフナー、政継の四人組に分かれ、それぞれの組は時間差をつけて出発する事になり、まず聖羅らの組から挑戦する事となったのだった。


 秋の山中、道を外れて斜面を行けば、葉が落ちて重なるそれは、柔らかく沈み込んだ。土も柔らかい。先日には雨が降っていたらしく、水に濡れた森の匂いがした。
(すっかり秋ね)
 ナナシは斜面から下方を見下ろした。紅や黄の葉をつけた枝を伸ばす木々が乱立している。地球の日本の秋の山だな、と思う。それほどこの国の秋の山に対して記憶に積み重ねがある訳ではなかったが。
 紫色の髪の童女は靴で足元の落葉を踏みしめながら振り返る。
 視線の先では蒲剛少年がコンパスを手に地図を睨んでいた。
 楽で効率の良い訓練、というのは、なかなか難題だったが、スポンサーが大事だということはナナシは理解していた。
(不可能なんてこの世界に無い事を教えてあげるわ!!)
 と燃えている。
 もっとも今は審判なので積極的に教導する事はできないのだが。
 代わりに、
「そう、戦闘中に両手が塞がってしまうのを避ける為に、こうやってハンズフリーにしておくのよ。コンパスと地図の見方はね――」
 聖羅が政継の隣について通信機器や地図らの使い方を教えていた。
「コンパスの赤い方が指しているのが磁北よ。この山の緯度経度だと真北から西に約七度ずれているわ。だから真北はこちら。山頂はこっちの方向ね。そんなふうにずれているから、地図上には定規を使って磁北線を目安に引くの」
 と聖羅は地図を指でなぞる。
「今は地図とコンパスを使う訓練だけれど、スマホのアプリを使える状況なら、真北を正確に示してくれるから、それを使うのがまさに楽で早くて正確で効率的ね。それで、私達はキャンプ地からこう東に進んできたから、現在位置は地図上では何処?」
「えぇと――」
 その問いに少年が地図上に指でさし、少女はにこりとエンジェリックスマイルで頷く。
「――そう、ここね、じゃあC崖に向かうにはどちらに進むべきかしら?」
 そんな調子で政継の進路決定を中心にチームは山中を進んで行ったのだった。


 間に昼食を挟み、両チームがオリエンテーリングを終えた所でタイムを審判の二人が一同に報告する。
 結果、ファティナらのチームの勝利となった。ベテランの撃退士達のチームと、新米の政継が主導したチームではタイムの差は歴然である。
 敗北に政継は機嫌を悪くしているかと思ったが、案外そうでもなかった。聖羅がついて丁寧に教えていたのが良かったのかもしれない。
 午後は個別での教導となり、一日目はファーフナーが指導にあたる事となった。
 ファーフナーは"山で修行"等、政継はイメージが先行しているように思えたので、幾つかを提案して、本人に好きなものを選んでもらう事とした。
 案は、山伏の修行風に、滝での水行(と称した水遊び)に動体視力の訓練として釣り、そして崖の下の方でのボルダリングである。
「うーん、どれが良いですかね……」
 考えている少年を眺めてファーフナーは思う。
(蒲剛はアウルもあって今は撃退士をしているようだが、将来は父親の跡を継ぐのだろうな)
 資産家であり実業家である家の跡取り息子である。
(父親は社会勉強のつもりで学園に通わせているのかもしれない。子の好きにさせたいが、危険な目には遭わせたくないだろう)
 だから危険からは遠ざけた方が良いのかもしれないが――
(しかし、あまりに世を舐めすぎていては、依頼でハプニングが起こる可能性もある)
 実績に裏打ちされていない自信は危険だし、そもそも自然は驚異だ。
 今回は強くなるというより、自発的に危機感を持たせることができればいいかもしれない、とファーフナーは思う。
"世には思い通りに行かないこともある"と。
「そうですねぇ、滝に打たれて強くなれるかイマイチ解りませんし、あと寒そうです。釣りも修行効果が不明ですし、あと暇そうです」
 実に堪え性のない子供らしい事を政継は言った。精神修養とかそういう事には意味を見出さない性質らしい。
 少年は屈託無く笑う。
「ですので、ボルダリングにします! 折角山に来たのですしね。登攀能力を磨きましょう」
 かくて、ファーフナーと政継はキャンプ地からC崖へと移動した。
 C崖はA山の頂上付近にある岩肌が剥き出しの断崖絶壁で、先のオリエンテーリングの時にもチェックポイントになった場所である。
 崖下には草木はなく大小の岩が転がる荒地だった。
 ファーフナーはクラッシュパッド(携帯式マット)を崖下に敷くと、儀礼服の上を脱いでシャツ姿になりクライミングシューズを履き、チョークバックをベルトで腰につけた蒲剛少年のほうを振り向いた。
「安全第一だ。無理と感じたらすぐに言うように」
 崖上を見上げていた少年はファーフナーの言葉に「はい」と頷く。
 準備を整えた政継は岩肌に取り付くと、足先を突起にかけ指先で岩の窪みを掴み、ひょいひょいとそつなく軽快に登ってゆく。撃退士だ、新米でもオリンピック級以上の身体能力がある。
「ははは、これは楽しいですね! 良い眺めです!」
「ああ、その調子だ」
 飛行して後を追っていたファーフナーは崖下から二十メートル程度を登った高さで、少年の死角となる位置よりおもむろにナイトアンセムを発動させた。
 暗闇が悪魔の翼を広げた男を中心に広がり、岩肌に取り付いている少年を包み込む。
 政継が動揺する気配が伝わってきた。
「ファ、ファーフナーさん! 突然目の前が真っ暗に!」
「なに? そうか、山ではよくある事だな」
 素知らぬ顔でファーフナーは言う。「よくある事なんですか?!」と少年。
 中年の男は思う、危地に陥る経験、というのは大切だ。是非積ませておくべきだと。
 焦燥、恐怖、これらを前にしてもパニックに陥らずに冷静に行動出来てこそ一人前の戦士というものである。
(さて、どう行動するのか――)
「すいません、視認が困難で移動できません! ファーフナーさん、助けてください!」
(ふむ)
 自らが行動不能時に素直に仲間に頼るのは悪く無い、と思いつつ男は答える。
「わかった――む? いや、待て、あれは……右手に岩肌に擬態しているディアボロらしき存在を発見した! すぐ近くだ!」
「なんですってっ?!」
「迎撃してくるからそこで待て! 動くなよ!」
 無論、嘘である。
 ファーフナーは少し離れると、二十メートルの高所に視界を潰されて取り残された少年の様子を観察する。雷光纏う銃を取り出し、付近の岩肌に撃ち込んで爆砕し爆音をまきあげ威圧と激闘を演出する事も忘れない。
 ナイトアンセムを時折追加しつつ数十秒間銃を乱射したファーフナーは、そろそろ頃合かと判断する。
「片付けたぞ」
 震えている少年に声をかけ、脇に抱えると翼を使って地上へと降りてゆく。
「勝ったんですか?! さすがですね! あぁ、あぁ、目が見えるようになってきました……!」
 心底ほっとしたように息を吐いた少年に対し、
「どうやら悪魔どもの仕業だったようだな。パニックにならずに良く耐えた。危機に陥った時こそ冷静さが大切だ。忘れるなよ少年」
 などとファーフナーは真顔で告げたのだった。


 太陽が傾き、空が赤く暮れゆく。
 夕焼け色に染まった草原のキャンプ地で、ファーフナーに次いで教導にあたったのはファティナだった。
「蒲剛さんにはカレー作りに挑戦して頂きます」
 おたまを手に腰に片手をあてエプロン姿の銀髪の娘が片目を瞑り宣言した。
「……カレー、ですか?」
 黒髪の少年は戸惑ったように目を瞬かせる。
「あら、蒲剛さん、まさか料理なんてやっても強くなれないなんて考えてはいませんよね? 包丁を握った経験もない方が」
「まさにその通りですレディ・ファティナ。強くなるのに何の意味があるのですか? 料理など使用人に任せればそれで良いではないですか」
 十四歳の御曹司は貴族の娘の言に疑問顔だ。
「浅はかですね……食は三大欲求に数えられるほど人間にとって必要不可欠、外せない欲求です。胃袋を制する者は世界を制す。そう言い切らせるだけのものが、料理にはあります」
「はぁ」
「ふむ、餓えた事のない人には解りませんかね。蒲剛さんは今晩は味の無い料理を食べてみます?」
「料理修行、頑張らせていただきます」
 きらっと笑顔を輝かせて蒲剛少年は宣言した。
「これも戦地での食料確保訓練の一環よ。生き抜く為にはサバイバル技術は必要だわ」とナナシ。
「はぁ」
 そんな少年に悪魔の童女は笑って言った。
「それに、自分で火を付けて飯盒炊爨は絶対に楽しいわよ」
 かくて蒲剛少年はファティナらの指導のもの、カレー作りに励む事になったのだった。


「料理を作る際に一つ、必ず欠かせないものがあります。それは……相手を想う心です」
 キャンプ地にて野外調理器具を並べ火を熾し、調理にかかる際、ファティナはそう言った。
「あの人に喜んで貰いたい、美味しいと言って貰いたい。その想いは間違いなくやる気に繋がり、上達にも繋がります。嫌々作っても楽しくありませんし作業も雑になりますからね」
 その言葉に神楽坂茜がうんうんと隣で頷いているが、十四歳の少年にはいまいち実感が湧かないのか「そんなもんですか」と相槌をうつのみである。
 博愛でも家族愛でも友愛でも色恋でも、喜ぶ顔が見たい、と思う相手がいないと始まらない。
「……まあ、蒲剛さんもそのうちに解るようになりますよ。それはさておき、目標があるから人は努力できる、それは剣の道にも通じる筈ですよ」
 ファティナはそう言った。


 日が落ちて闇の山岳地帯の中、一同は携帯のカンテラの光を囲んで、携帯皿に盛ったカレーを食べた。
 包丁の握り方も知らなかった蒲剛少年が関わったカレーであり、時折やたらに大きく切られたニンジンなどが混じっていたりもしたが、味はファティナやナナシが調整したので食べられない事もなかった。
 夕食を終えた一行は、湖の近くに沸き出ている温泉へと向かった。二地点あるので男女で別れる事が可能である。
「あ〜、生き返るわね」
 ナナシは月光とLEDカンテラが照らす薄闇の中、程よい湯加減の岩風呂に浸かって手足を伸ばしつつ息を吐いた。
「ですねー。大自然に囲まれてというのも、なかなか贅沢です」
 とタオルを頭の上に乗せつつ茜。
「うむ、風流だな」
 鴉鳥もまた銀の髪をまとめつつ頷く。
「これってすっかり林間学校よね……」
「確かに、山篭りっていうよりそんな感じですね」
 ナナシの言にファティナが頷く。
「効果があると良いんだけど」
 と聖羅。
「一回だけなら効果あるんじゃないかしら。毎日続けるには準備とかが大変だけど」
 五人はのんびりと湯に浸かりながらそんな会話をかわしたのだった。


 温泉でさっぱりした後、男女に別れてテントに入った。
「茜さん、これどうぞ」
 ファティナは茜にラッピングされた包みを渡した。
「遅くなりましたが誕生日のお祝いに、ですね」
 微笑して言う。
「わぁ、有難うございます! 開けても良いですか?」
「どうぞ」
 中に入っていたのは、ゴシック調の装飾が施された腕時計だった。
「おぉ、これは、とても洗練されたデザインで格好良い……! 大切にしますねっ」
「ふふ、渡す機会が、あってよかったです」
 そんな会話をかわしつつ寝袋に入り、カンテラの灯を消し、就寝となる。
 月と星が天を巡り、やがて夜が明けた。
 朝食にファティナは山菜と川魚の和食を作った。軽めの食事を取った所で本日の午前訓練開始である。
「今日は模擬戦といこう。俺が相手だ」
 仁刀は木刀を一本、政継へと放ると、自身もまた木刀を構えた。赤髪の青年はとある敗北以降、剣を使う事を避けている節があったが、最近また剣を握る覚悟を新たにしていた。
「模擬戦、ですか」
 政継は回転しながら飛んできた剣を乾いた音を立てながら掴み、仁刀を見据えた。
「ああ、一対一だ。こちらに有効打を一本入れたらそちらの勝ちでいい」
「……わかりました」
「では茜、審判を頼む」
「はい」
 仁刀の言葉に立会いの黒髪の娘が頷き、静粛に前に出ると、少しの間の後、鋭く言った。
「両者構え……始めっ!」
 刹那、気合の声をあげて少年が朝の山の草の原を駆け、木刀を振り上げ飛び掛り振り下ろす。仁刀は振り下ろされる木刀に対し、半歩を動いて紙一重でかわしつつ反撃の一閃を繰り出した。
「くっ!」
 木刀と木刀が激突して鈍い音が山野に鳴り響いた。


「そろそろ、お昼ですね」
 茜の声が響いた。
「もうそんな時間か」
 仁刀は答えた。
 政継はぜいぜいと息を乱して膝をついている。
 仁刀は木刀を片手に背を向け、昼食へと向かった。ファティナがホットドッグを焼いてるらしく良い香りが漂ってきている。
 ここまで、とは言わなかった。


 昼食後、茜が剣の型稽古をつけ、その後に少年の指導にあたったのは鴉鳥だった。
「蒲剛政継」
 少年を見据えて銀髪の娘は言った。
「試験直前で解答を憶え、それで用紙を埋めて満点を取った所で『これが自分の実力だ』などと誰が誇れるものかよ。楽して力を得たいとは、有態にこう言う事だろう。覚悟なく努力もなくただ結果だけ求める。恥を知れよ」
「……鬼無里の方は一本気ですねぇ」
 政継少年は鴉鳥の言葉に対して顔を顰めた。
「しかし、誇る? そこを誇ってどうすんですか? それに、試験で例えるなら、効率的にラクして楽しく試験を突破できる力を身につけたい、という事ですよ」
「なに?」
「だって、覚悟や誇りや努力や苦労というのは、己自身とその価値を認め合う者同士でしか価値はありません。血反吐をはくほどに努力したので五十点の答案を六十点にしてください、なんてのが通りますか? 通りませんし、逆に鼻歌交じりで解いても百点は百点です。頑張りましたね、で認められる世界もあるのかもしれませんが、蒲剛の一族が生きる世界はそういう世界ではない。結果だけ求める、その通り、私に求められるのは結果だけです。私の覚悟も努力も苦労も結果が出なければ価値は無い。結果がすべて」
「……ほお? 努力というのは、その結果を出す為に必要なものだがな?」
「言うならば、これが私なりの努力というものでしょう。例えば、このキャンプでの夕食の準備では火が必要ですよね。この時、苦労し努力し木の棒を擦り合わせて熾された火も、ライターを使って欠伸混じりにつけられた火も、料理に使うという役立ち度で比べればまったく同じです。そして木の棒を擦って火を熾すのは難しく、どれだけ努力して擦っても失敗すれば皆、飯は喰えない。ですので私は、木の摩擦で火を熾そうとしないで、まずはライターを探します」
「……今回の依頼がそれだと?」
「ええ、私は根性がないので普通に根気が要る修行で強くなれる訳がない。努力すれば根性無しに根性が宿る? 寝言だ。駄目でも精一杯努力したから満足? 当主というのはそれで済むものではない。手札が弱くてもどうにかして百の手を尽くしてでも成功させねばならぬ。何事もそういうものではありませんか。成功しなければならないのに、失敗すると解りきってるやり方をただただ我武者羅にやって失敗するのは、成功する為の努力をまるでしていない。それこそ怠惰だ。成功する為には頭を使い工夫し成功するようにしなければなりません」
「……御託だけは一人前だな」
「自分は指一本も動かさず口先だけで他人を動かせるなら、これほど効率的な事はありませんので」
「やはり貴様は恥を知った方が良い」
 鴉鳥はそう断じた。この蒲剛家の次期当主の少年はきっと将来、ろくでなしになる。
「まぁ良い、依頼は依頼だ。教導はつけてやる」
 不機嫌な表情で半眼を向けつつ鴉鳥は言った。
「どうも有難うございます」
「貴様は根性論は嫌いと言うが、然し人間は機械ではない。苦難に直面した時、抗うか諦めるかを決めるのは己なのだ」
「まぁそうですね」
「黙って聞け――であるならば、心は強く在るべきだろう。目指したモノに至る為の力とは、即ちそれだ。そして同時に前提でもある……車も燃料なくして走れまいが」
「つまり?」
「座禅と瞑想をせよ」
「そんなんで根性つくなら私はこんなに苦労してませんが?!」
「いいから、や、れ」
 冷たい瞳で睨み鴉鳥は言った。
「力を得たい理由を再認識し、それに対する心構えを整えるのだ」
 渋々と政継は地面に座り、胡坐をかき目を閉じる。
「……筋力などと同じで心力っていうパラメータが人間にはきっとあるんですよ。そこが強い人間はそれで勝負すれば良い。けれど私のような人間にもそれをやれというのは愚の骨頂」
「愚かは貴様だ小手先だけに走る小僧め。腕立て伏せするように心も鍛えろ。貴様は常に己が他人に抜きん出て、効果的な手段をとり続けられる程に天才だと、夢想しているのか?」
 争うという事は相手がいるという事だ。相手というのは己と同じようにあるいはそれ以上に考えるという事だ。手段が互角に等しい、もしくはそれに近くなれば、勝敗を分かつのは何か。真剣勝負の場で、木の棒で火を熾すような事を我武者羅にやる者など話にならない。だが、同様に気合も根性すらもない者も話にならない。双方備え磨いて当たり前だ。
 鴉鳥は思う。
『強さ』とは即ち『心』である。
 精神論もまた然り。
 無論、下地としての基礎を伴った上で、ではある。
 心だけで易々と力量が覆る訳もない。
 しかし、その至難を成すのもまた心なのだと。


 夕食を終え、自己鍛錬した後、一風呂浴び夜、木刀を枕元に置くと仁刀は就寝した。
 月と星が巡り、風と虫の声のみが聞こえる深夜。
 闇の中、むくりと起き上がる影が一つあった。
 影はペンライトを一瞬つけて仁刀の寝ている位置を確認すると、光を消し、おもむろに木刀を寝ている仁刀の腹目掛けて振り下ろした。
 が。
「――?!」
 返ってきたのは地面を叩く手応えのみであった。
 次の刹那、ぱっとテント内に光が満ちる。
 仁刀がLEDカンテラと木刀を手に膝立ちに起き上がっていた。
「『ここまで』と言わなかった事には気付いていたようだな」
「ははっ、そりゃあ木刀持ち歩いてらっしゃいましたからね」
 カンテラに照らされながら少年は低い態勢で木刀を霞みに構えた。その双眸がぬらりと光る。
「私、痛いのも苦しいのも嫌いですが、負けっぱなしというのはさらに大嫌いなんです!」
 矢の如くに政継が踏み込んだ。突き。切っ先が仁刀の眉間に迫る。仁刀は木刀の柄側を動かし刀身の根元の部分で払い弾く、受け流し、間髪入れずに巻き打ちで斬り返す。
 両者は激しく立ち回りテントを打ち倒すと、倒壊したテント内より脱出し、月下の草原で激しく斬り結び始めた。
 そして、崩れたテントの盛り上がっていた部分が蠢いた。
 大きな影が一つ這い出てくる。
「……眠いな」
 ファーフナーは欠伸を一つ漏らすと、剣士達を見やってはぁ、と嘆息したのだった。


 夜明け。
「おじさまの口に合うかしら……?」
 聖羅は皆よりも早起きして『ハロウィン弁当』を人数分作成していた。訓練後の昼に食べて貰うつもりである。
 やがてぽつぽつとファティナやファーフナーらが起き出してきてこれまで通り朝食の準備に入る。
「今日は依頼形式でいくわね」
 朝食後、ナナシは寝不足気味な様子の男性陣に小首を傾げつつ宣言した。
「依頼形式、ですか?」
「ええ。山の何処かに天魔が居るので見つけて退治するって形ね。天魔役は私がやるわ」
 依頼形式なので蒲剛の補助に茜を除いた他のメンバーがつく形だ。
「この山の何処かに居る、ですか……条件がそれだけだと遭遇する前に日が暮れませんかね?」
「それもそうね……それじゃオリテのチェックポイントの何処かを根城にしてるって事で」
 諸々話し合って条件を定めてゆく。
 それらを決定しキャンプ地から移動したナナシは光信機を手に言った。
「こちら配置についたわよ」
『こっちも準備OKです』
「では状況開始」
 かくて依頼形式訓練が始まった。
 とは言っても。
「しばらく暇ね……」
 ざあざあと流れる川を眺めながらナナシはぽつりと呟いたのだった。


 樹木に沈めていた身が押し出された。
 阻霊符の効果だ。
 ナナシは意識を鋭く集中する。
 どうやら撃退士達が近くまで接近してきているようだ。
 距離五百メートル。
 例外を除きこの距離は確定。
 木の枝の上から息を潜めて目を凝らす。
 近づいて来る。
 近づいて来る。
 やがて、四十メートル程の位置にある川の浅瀬を、政継の先導で固まって渡ろうとしている撃退士達の姿が見えた。

――こちらにはまだ気付いていないようだ。

 狙撃なら奇襲できる。
 通常まず潰すべきは、高火力で防御の薄い者、ファティナか聖羅か。しかし奇襲で大打撃を与えられるなら、普通にやっては倒しにくい者を一撃で倒しておくのも良い。
 が、一般に、天魔とはいえ初見の相手の能力などわからないのだから、適当に見た目で撃っておくべきだろうか?
 ただ、この訓練は知能が高い天魔、という設定だった筈だから、有名所の撃退士の能力は冥魔軍デビルならよろしく知っていてもおかしくはない。自分もプ軍団とかに知られてたし。
 という訳で仁刀がやばいので仁刀から潰そう、そうしよう、と決めたナナシは初手で仁刀を狙う事とした。
 青年の眉間に狙いを定め、発砲。
 刹那、唸りをあげて弾丸が飛んだ。
「!」
 仁刀は咄嗟に気付き、伏せてかわさんとする。が、かしきれずに頭部に炸裂し、真っ赤な色が宙に飛び散った。不意打ちヘッドショット。
「む、これは……気絶したか」
 赤色のペイントを拭いつつ仁刀。ピッと笛の音が響いた。
『仁刀さん、脱落です』
 茜が淡々と撃墜判定を無線に流す。
「んなぁ?! 久遠さん?! ど、どこから――」
「あそこだ! 木の上!」
"撃退士達"が戦闘態勢に入る。
 気付かれた。
 ナナシは翼を広げて山林の枝葉の陰に身を隠しながら後退する。自分で考えて動く純天魔級の敵の"嫌らしさ"を教えてやるのである。
「蒲剛さんがこの先ネームドと戦う事があるかは判らないけど、頭を使ってくる敵の怖さをここで知っておきなさい!」
 かくて、山林内において飛行機動する超火力ロングレンジ範囲攻撃空蝉四回天魔相手に撃退士達の死闘が始まった。


「か、勝った……!」
 ナナシへとペイント弾を数発撃ち込み、撃墜フラッグを茜があげたのを確認した政継は肩で息をしながら呟いた。なんとか勝利したもののパーティはほぼ壊滅状態である。
「ふふ、よくやったわね。でも光あるところに影はあり、悪魔は何度でも甦るのよ……」
 ペイント塗れで撃墜された空飛ぶ魔王はそんなことを言っていた。
「……実戦でも狙撃銃は予備に絶対持っていく事にします……射程か飛行等の機動が無いと手も足も出ずに完封されますね、これ」
 政継少年はしみじみと実感を籠めてそんな事をのたまったのだった。


 依頼形式戦の後は自由行動となった。
 温泉でペイントに塗れた身を清めてから各々行動する。
「――さ。おじさま! 腕によりを掛けて作ったの……」
 静かな湖の畔、手頃な岩を椅子と台にして、聖羅とファーフナーは弁当箱を広げていた。
 ぱかっと開けられた弁当箱に詰められていたのは、一口サイズの『ジャック顔おにぎり』 、目鼻を作ったウインナーに細長チーズを巻き付けた『ミイラ男ウインナー』 、などなど、彩り豊かなキャラ弁である。
 強面のファーフナーにはこのうえなく似合わない。
 が、
「凝っているな」
 ファーフナーは軽く微笑すると握飯を口に運んだ。野暮は言わない。
「……どう? 美味しい?」
「ああ、美味いぞ」
 女を怒らせてはいけないとファーフナーは知っているのである。
「やったっ、良かったわ!」
 聖羅はぱっと輝くような笑顔を浮かべる。
(ふむ)
 ファーフナーはミイラ男ウインナーを口に放り込む。
 彼にとって聖羅は職場の可愛い後輩のような感じだった。その猫のような気紛れに翻弄されるのは、嫌いではなかった。


 やがて山を降り、麓の車道上で解散となった。
「皆さん今回は有難うございました。少し強くなったような気がしますよ!」
 蒲剛少年ははっはっはと笑って撃退士達に礼を言った。
 そして、蒲剛家の人間が運転する迎えの車に乗り込み去っていった。
 はたして少年がその言葉の通り強くなったのかどうかは定かではなかったが、幾つか貴重な経験を積んだ事は、間違いがないだろう。
 また、
「お疲れ様でした。皆さんのおかげで蒲剛さんにはご満足いただけたようです。有難うございます」
 と茜は微笑して言っていた。
 蒲剛少年のあの様子ならスポンサーである蒲剛父も不満はないだろう。

 かくて、厄介な依頼を無事にこなした撃退士達は、それぞれの帰路についたのだった。


 了


依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: 誓いを胸に・ナナシ(jb3008)
 されど、朝は来る・ファーフナー(jb7826)
重体: −
面白かった!:7人

Silver fairy・
ファティナ・V・アイゼンブルク(ja0454)

卒業 女 ダアト
撃退士・
久遠 仁刀(ja2464)

卒業 男 ルインズブレイド
新たなる平和な世界で・
巫 聖羅(ja3916)

大学部4年6組 女 ダアト
斬天の剣士・
鬼無里 鴉鳥(ja7179)

大学部2年4組 女 ルインズブレイド
誓いを胸に・
ナナシ(jb3008)

卒業 女 鬼道忍軍
されど、朝は来る・
ファーフナー(jb7826)

大学部5年5組 男 アカシックレコーダー:タイプA