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マスター:望月誠司
シナリオ形態:ショート
難易度:難しい
形態:
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2014/04/29


みんなの思い出



オープニング

――霊峰に築かれた天使の園は、現世に現出した楽園である。
 イスカリオテ・ヨッドは彼に協力する人間に必ず幸福を与えてくれる。
 そのメッセージは瞬く間に静岡県内へと広まっていった。
 だが、
「そんな妄言、本気で信じる奴は頭がどうかしている」
 相棒は薄桃色の口端を吊り上げ、その秀麗な顔を歪めた。嘲笑っているかのようだった。何を嘲笑っているのか。言葉の通りなら発言者だが、男にはそれだけではないように思えた。
 彼女の言う所の人間も世にはそれなりにいるようだったが、彼女は違うらしい。
「けどチャンスでもある。天使達には人間の金銭なんて基本的には必要ない。略奪した物をそりゃ気前良く私達にくれるだろうさ」
 天使に寝返ったという鈴木葵、彼女はネット上に発信している映像で実にその豪勢な暮らしぶりを見せ付けてくれた。
「だから人類を裏切る、か」
「人類なんて名前の奴が何処にいるんだよ」
 赤髪の女は嫌悪の色に赤瞳を鋭くした。
「俺達は人間だ。天魔の世界に居場所があると本気で思うか?」
 天魔を相手に取引、そんな事が出来るご身分なのか、と男は疑問に思う。自分達の価値を思い上がってはいないか、所詮、人間など利用されるだけされて始末されるのがオチ、そんな懸念がある。
「今日明日に世界が滅ぶ訳じゃない。天使と悪魔の戦争なんて気長なもんさ。自分が死んだ後の事なんざ知ったこっちゃない。万一すぐにケリがつくのだとしても、ご苦労なヒーロー様達が必死になんとかしてくれるだろう。そいつらでなんとかならなかったら、それこそ私達は天使に味方して多少なりとも立場を確保しておいた方が良い。悪魔よりはまだ天使の方が契約には忠実だろう」
 悪魔は契約は守る、そういう伝説もあるが、実際の所、世に出ている連中を見るに悪魔というのはそんな筋の通った奴等ばかりでもない。誓約は破る為にある、と公言して憚らない悪魔も多い。
 しかし、それを言ったら天使も十分以上に怪しかったが。
「良いかい竜一? 『そんな事』は『どうでも良い』んだ。世界の趨勢なんてご大層なもんは知ったこっちゃない。肝要なのはアタシ達がいかに利益を得て、いかに楽しみ、いかに良い思いをして、幸福になるか、それだけなんだよ。余計な事を考えるから皆、不幸になるのさ」
 幸福を目指す、という根源を除き、ストア派の哲学者達とはまったく相成れない理念を女は述べた。
「ヒーロー達の負担が増すな。不利になる訳だから」
「どうでも良いって言ったろう? 連中は好きでやってんだから好きに苦労させときゃ良いのさ。良い格好できてお幸せだろうよ。でも私達までそれに付き合わされるなんて御免だね」
 ハッ! と鼻を鳴らし久遠ヶ原撃退士養成学園出身の女は嘲笑した。負の念の塊。
「義理は一応、あるだろう。曲がりなりにも人類社会から禄を貰って生きてきた」
「義理? その人類社会様とやらからどんな扱い受けたよ。そんな社会、滅ぶというなら滅べば良い。他人の善意につけこんで奴隷としようとする者どもは死ねば良い」
「一理ある。で、対価と引き換えに人類を裏切り、天使が勝てばそのまま天使側へ、人類が勝てば人類側へとまた戻る、とそういう訳か。しかし、そんな変節が許されるものかな」
「道義って意味なら知った事じゃない。別の意味なら、表面だけお人好しであろうとする馬鹿どもならちょろいもんだよ、なんとかなる」
「前代の撃退長ならとかく、今の撃退長なら確実に陽に陰に処刑しにくるぞ」
 実際、既に殺して回っている。法的に罰せられるヘマをした者は法で罰し、法で罰せられぬ相手はあの軍事会社の社員達が人知れず海の底の闇に沈めて回っている。
 あの死んだ目をした炎達が通り抜けた後に残るのは灰だけだ。
「西園寺顕家は確かに邪魔だね」
 女は口端を吊り上げた。
「だからこそ天使に協力して奴には失脚してもらうのさ。物理的に存在を始末して貰えればなお良いね」
「……なるほどな」
 男は納得した。
「で、あんたはどうする?」
「お前が行くなら、俺も行くさ。お前の言葉を借りるなら、他の事など知った事じゃない――いや、違うか。単に優先順位だ」
「あんたも馬鹿な奴だね」
「そうでもない。操、今度こそお前の言葉を借りるなら、余計な事を考えるから皆、不幸になるのだ。本当に大事なものだけ、守れば良い」


 静岡県内の各地に公的にも秘密裏にも設置された情報収集装置は『狩』に対抗する為の新防衛体制の要だった。
 県民生活のプライバシーの侵害にあたるとして反対する団体が存在しており、県議会等では未だ是非を審議中であったが、天魔に対抗する為、県民の命を守る為の非常令である、として西園寺は強行的に素早く設置していた。諸々の問題は押し通る腹らしい。
 豪腕とも言えたがそれよりもムチャクチャという表現の方が適切だった。「火薬庫でダイナマイトを爆裂させながら賊退治する狂気の番人」と、とある雑誌の記者は記していた。
 この情報収集装置による『歌』の発動の感知から出動迎撃、というシステムは一定の成果をあげており『狩』に出て来たサーバントを住民が連れ去られる前に撃退した、という報告が多数あがっていた(力及ばず、救出に失敗したとの報告もあったが)。
「で――それら装置から送られて来る情報を統括し、各地の撃退士に指令する管制室は、この新防衛体制の要であり、非常に重要な施設って訳だ」
 西園寺顕家、DOGの新撃退長、狂気の番人、目が死んでる系の壮年の男は、久遠ヶ原よりやってきた撃退士達へとそう語った。
「当然、敵としたら是非ともに潰したい場所だろうから、守りも強固だ」
 管制室は本部の地下にあり、アウル的防護は勿論最新技術も駆使された非常に守りの強固な場所らしい。
「だが遺憾な事に、この管制室の防衛機構、新防衛体制で設置された装置の位置、カバー範囲、管制に使うシステム構造などが記憶されたメモリースティックが盗まれた。やんぬるかな、どんな防衛システムもその内容が筒抜けでは機能しない。こいつぁとっても一大事、新防衛体制の危機、って奴よ。これが崩壊するとまたガンガン天魔どもに市民を掻っ攫われる事になっちまう」
 男はだるそうに言う。
「で、その不届きな盗人達だが今何処にいるのかは判明している。二人組みで名は刃香冶操と上々島竜一。二十代半ばの女が操で、同年代の男が竜一だ。こいつらは『天使の目(アンゲルス・オクルス)』って名の天使信奉組織の構成員と接触し、そこで金と引き換えにメモリの受け渡しを行う予定のようだ」
 どういう訳か、盗人の今後の予定までしっかり掴んでいるらしい。
 わざと盗ませたな、と何人かは思った。
「あんた達にやって貰いたいのは、こいつらを張りこみ、尾行して、構成員と接触したら、これらをもろともに捕縛する事だ。刃香冶と上々島は元は養成学園時代の久遠ヶ原生だが、実力はまぁ並て所かね。二人の生死は問わないが、接触する天使の目の構成員、こいつは最低一人は必ず生かして捕縛してこちらに引き渡して貰いたい。複数人だとなお良い。歌ってもらいたい事があるんでな」
 撃退長はそう述べ、次いで、
「メモリは無事に取り返せるならそれに越した事はないが、破壊でも構わないし、最悪敵の手に渡っても構わない」
 あっさりとそう言った。
 新防衛体制の危機とはなんだったのか。
「とかく構成員を生かして連れてきてくれ。頼んだぜ」


リプレイ本文

 街は闇を抱く。
 衆目という意味で、野の戦が陽なら街の戦は陰だ。水面下での陰達の戦い。
「新防衛体制の危機とな? ……西園寺顕家とは面白き男よのう」
 DOG本部を出て街を歩く小田切 翠蓮(jb2728)は笑みを口元に含んだ。常の着流し姿では目立ち過ぎると判断して、黒のトレンチコートとスーツ姿である。冬に先の大戦を経て、春の風が吹き込む街の雑踏は、活気のあるものだったが、しかし何処か陰も落としていた。
 北の富士山にゲートを構えるイスカリオテ・ヨッドの襲撃、そしてその内通者による揺さぶりが、市民達の心に不安と波を呼び起こしている様が肌で伝わってくる。黒衣の死天使は人の心の弱い箇所を突く。
「何処も彼処も陰謀渦巻いてんな」
 同道する同班の麻生 遊夜(ja1838)はやれやれと肩を竦めた。こちらも黒のトレンチコートとワイシャツにスラックス姿だ。ただしこちらはこの格好が着慣れたもの、といった態だったが。
「意識としてはDOGの長に賛同できるわ」
 佐藤 七佳(ja0030)はそう言った。四葉のクローバーを模した幸運の守りが左肩に留められている。元来は気弱な性格だったが、己の正義の為に怯えを抑えて少女は戦場に身を置き続けていた。幾多の生と死を見つめ続けた彼女の正義は『生きる意志を貫く事』だ。人である彼女はその為に人の社会を守る。天魔が害成すなら天魔を斬り、人が害成すなら人を斬る。
 西園寺顕家から依頼を受けた八人の撃退士達は、四人二班に別れ、ホテルの正面にあるマンションと、ホテルの裏にある廃ビルへと向かった。
 それぞれ先に任務についていたDOG撃退士達と交代して対象の――メモリを盗み出した二人の――監視を引き継ぐ。
 マンションの一室は分厚いカーテンが締め切られた薄暗い部屋だった。現在は使われてはいないらしく、がらんとした殺風景な部屋で、独特の匂いが鼻についた。
 機嶋 結(ja0725)は窓辺に付くと、設置された小型望遠鏡を覗き込み、カーテンの隙間からホテルの一室を窺った。あちらもカーテンがかかっているようで中の様子ははっきり窺えなかったが、隙間から時折陰が横切る事から、中で人が動いているのが解る。じっと監視しつつもぐもぐとアンパンを齧り、瓶に口つけて牛乳を飲む。曰く「……貰える物は貰っておかないと、損ですから 」との事で支給品は遠慮なく受け取っていた。程よく甘くて美味しい。
「日本のドラマで観たことがありますわ。太陽に吠えるヤツですわね」
 その隣でふふと微笑しつつ同じようにアンパンを齧っているのはクリスティーナ アップルトン(ja9941)だ。英国貴族のブロンド美女は、今日は地味なセーターに袖通し帽子を被り、双眼鏡でホテルの表通りを監視している。
『アメリカじゃ張りこみの定番はドーナツ&コーヒー、又はファーストフードとコーラだが』
 僅かなノイズの後に無線から渋い声が流れた。ファーフナー(jb7826)だ。元FBIの中年の男は、対象に動きがあった時に備えて、ホテル近くの路地裏で待機していた。
『甘い物で疲労回復、というのは理に敵っている。地味ながら神経を消耗させるからな』
「……コーンポタージュとメロンパンでは駄目なのかのう?」
 廃ビルの方に潜伏している翠蓮は、缶コーヒーを手にプリントされた男の絵を一瞥する。パイプを咥えたダンディな奴だ。
『疲労回復、という点ならそれでも大丈夫そうですけども、きっと様式美というものですわ』
 無線にノイズが走った後に、クリスティーナから笑みを含んだそんな言葉が返ってきた。アンパンと珈琲はドラマティックな食物。
 陽が落ちる。
 刃香冶操と上々島竜一に動きはなく、二人はずっとホテルの室内に閉じこもっているようだった。
「忍耐勝負だな」
 日中、麻生遊夜はそんな呟きを洩らしていた。青年は今は毛布に身を包んで廃ビルの剥き出しのコンクリートに背を預けて寝息を立てている。撃退士達は監視と尾行待機、休憩でローテーションを組んでいた。長期戦の構えである。
 同じく廃ビルで監視にあたっている日下部 司(jb5638)は、夜間においても油断無く神経を張り巡らせていた。
『深淵を覗く者は、深淵に覗かれている』
 そんな言葉がある。それは精神的な影響力を表した言葉だったが、そのまま物理的な意味でも、ある意味正しい。
 こちらから見える時は、相手側からも見えるのだ。
 廃ビルだ。潜むには手頃である。手頃という事は、それだけ警戒されやすい。相手側から逆に監視されている可能性も高い。そう考えた司は廃墟への進入経路や出入りなどは細心の注意を払うように徹底していた。
(気付いているのかいないのか……)
 青年は暗闇の中から裏通りを睨むのだった。
 表。
 昼とは表情を変える深夜の街、眠りに落ちた街、しかし窓は煌々とした光を闇の街へと放っていた。
 マンションのカーテンの陰からElsa・Dixfeuille(jb1765)はホテルの一室を見張っていた。傍らでは先に交代した十一歳程度に見える少女――機嶋結が毛布に包まって寝息を立てている。
 子供は寝る時間だ、という言葉は撃退士にはあてはまらないし、べきではないのかもしれないが、その上でもそんな思いが脳裏を掠めなくもない。世間一般ではElsaも若者の部類だが、学園においては彼女より歳若い者の方が多い。年長者である事を忘れぬように、と二十歳そこそこの女は思う。
――どんな夢を見ているのか。
 Elsaにとって夢は恐ろしい。正確に言うなら『あの日』見た光景が再生されるのが恐ろしい。拭いきれぬ記憶は今も尚彼女の恐怖として根付いている。
 女は一つ首を振って物思いを払い、監視に集中する。
(明かりが灯っているという事は室内にいる……いえ、警戒して消さずに抜け出す可能性も十分にあるわね)
 スマートフォンに映し出されている地図へと視線を落とす。周辺の地形は頭に叩き込んでいた。双眼鏡を向け闇に目を凝らす。
 路上に動きは無い――本当か?
 暗中、視界の中を影が過ぎる。反射的に意識を振り絞り即座に双眼鏡を向け陰を追う、目を凝らす。猫。
 息が洩れた。
 夜はじりじりと過ぎてゆくのだった。


『――動いた』
 二日目の深夜、司の張り詰めた声が無線に響いた。
『裏通りに出て来ました、徒歩』
「二人揃いで?」
 ファーフナーはホテル駐車場に備えておいたレンタカーへと向かいつつ問いかける。
『揃ってます。尾行は――』
『今ついた。気づかれてはなさそうじゃな』
 と翠蓮。着流し――ではなくトレンチコート姿のはぐれ悪魔は、電柱の陰等に身を隠しつつ、裏通りを足早に進む男と女を追跡する。
「GPSは?」
 七佳に起こされた遊夜は廃ビルの階段を勢い良く駆け降りつつ問いかける。
『ONになっとるぞ』
「よし――OK、こちらでも確認した」
 GPS機能を使い翠蓮の位置を把握した遊夜は、ビル内から路地裏に出ると別ルートから追跡を開始する。
「どちらへ向かっているのでしょう」
 表からもクリスティーナとElsaが足音を殺しながら駆け向かっている。Elsaは先に確認しておいた地図を脳裏に思い浮かべる。こちらの方角だと何があったか。まだ絞り切れない。
 前鍔付きの帽子を被りデニムのジャケットを着込んだポニーテールの小柄な娘と、ニット帽に長袖カーゴパンツに登山靴の長身の男は人目を忍ぶように周囲を警戒しつつ足早に夜の街を歩いてゆく。二人のうちどちらがメモリを所持しているのかは、確認できなかった。
 徒歩で遊夜、翠蓮、クリスティーナ、Elsaが連携して尾行し、それらを司は二重尾行の存在がないか離れて追跡する。また徒歩では追いきれなくなるような事態に備えてファーフナーは距離をおいて車両で追跡した。車内には七佳、機嶋が同乗している。
 空は曇天で月と星々の光を遮り、深夜の風は冬に逆戻りしたかのように肌寒く、犬の遠吠えが時折聞こえていた。
 尾行する事しばし、徐々に背の高いビル等の数は減ってゆき、建造物自体の数も減っていった。道路の幅は広くなり、彼方に闇の中に鬱蒼と聳える林が見えた。街外れだ。
 林の手前、建造物が低くなってきていた周囲に反して、突如として巨大な建造物が姿を現した。周囲には人の背に数倍する白い柵が張り巡らされている。
『あれは、工場ですわね。名前からすると飲料の工場のようですけども……』
 暗視ゴーグルを装着中のクリスティーナが地図を片手に無線に声を流す。今の御時世、工場は大抵二十四時間動いているものだが、外から見る限り真っ暗で、周辺に車両などもなく、稼動しているようには見えなかった。柵の一部は破壊されて崩れているようにも見える。先の一連の戦いで破壊され、放棄されているのかもしれない。
 操と竜一は足早にゲートを潜り工場内の敷地へと侵入してゆく。
 撃退士達もまたメンバーが揃うのを待ってから敷地内へと侵入した。手分けして建物の周囲を回り出入り口をチェックしてゆく。
 敷地内に一台所有者不明の乗用車を発見したファーフナーはロックがかかっていた燃料タンクの蓋をこじ開け細工した(悪い子が真似すると問題なので具体的な所は伏せておく)。また窓から内部を確認すると月明かりの元に見えた室内は狭く奥にも扉があった。どうやら工場内部は複数のスペースに区切られているようで、かなり広いようだ。
 クリスティーナは発見された出入り口をまとめその数や位置を無線で仲間達に報告を入れる。操と竜一は既に工場の内部へと入ったようだった。
 報告を元にElsaは敵の脱出路の予測をつけつつ鋭敏聴覚を用いて追跡、尾行しつつ無線で連絡を入れて仲間達を誘導する。
 遊夜は開錠で閉められていた扉を開き別経路から侵入する。ファーフナーもまた窓から侵入した。かくて撃退士達もまた工場の内部へと侵入してゆくのだった。
 

 塗り込められたような闇だ。
 ハンドライトの一条の光が、墓所の如き闇を裂いて、廃工場の内部を照らし浮かび上がらせてゆく。鋼の残骸。
 床や壁に張り巡らされたパイプ、元はボトルを流していたのであろうコンベアが床にも宙にも立体的に張り巡らされている。かつてはここで、従業員達が働いていたのだろう。今はもう動いていない。戦火が破壊したから。
「故郷への最後の逢瀬は済ませたかね?」
 不意に横手から声がかかった。操が素早くライトを向けると、そこには黒スーツに身を包んだ総髪の巨漢が佇んでいた。傍らには黒いグラスをかけたワイシャツスラックス姿の小柄な女が立ち、背後頭上を走るコンベアの上には同じくサングラスと黒スーツ姿の銀髪の少年が肩膝を立てて座っている。
「――随分夜目が効くんだね。やっぱり天使に魂を売ったから?」
 驚かされた苛立ちを声に込めて操は銀髪の巨漢を睨んだ。
 ラジェンドラ・グプタ。
 アンゲルス・オクルスの構成員の一人だ。かつては兄弟が東南アジアの支部の一つを任されていたが、久遠ヶ原の風紀委員によって潰されたという。
「そうだな、天使は加護を与えてくれる」
 黒スーツの巨漢は笑みを含んだ声で答え、その背後のサングラスの少年は嘲るようにハッと鼻を鳴らした。
「例の物は?」
 グプタは冷えた月のように銀色に鈍くライトの光を照り返すジェラルミンケースを掲げて見せる。
「……ここに」
 竜一が声をあげた、その時だ。
「そこまでです!」
 暗中にクリスティーナの声が響き渡り、刹那、エルディーナの身からぱっと鮮血の如く赤いアウルが噴出した。麻生遊夜の追跡痕だ。
「――ヘマしやがったなテメェら!!」
 少年が怒声をあげ、二丁の拳銃より発砲炎を噴出しながら銃弾が放たれる。
「おっと危ない」
 遊夜は床のベルトコンベアをスクリーンに身を低く静粛に――足音すら立てず――駆けながら飛来する弾丸をかわしてゆく。
 先に「少年を抑えます」と伝えていた七佳は、暗視ゴーグルを装着し浮遊型力場制御器・偽翼「煌炎」を背面に展開すると、三対の光の翼を噴出し闇を切り裂いて、ブランカート目掛けて飛翔してゆく。
「撃退士?!」
 操が闇中へとライトを振り動揺の声をあげている。
「『久遠ヶ原の毒りんご姉妹』華麗に参上! ですわ」
 クリスティーナはその美麗な肢体から黄金光を獅子吼の如き爆音と共に噴出させながら光纏、阻霊の力を展開しつつ、ヒヒイロカネよりフラッシュエッジを出現させて構え、機嶋と共に竜一と操へと突撃する。
「足跡を追われるとは、稚拙でしたね。お疲れ様でした」
 距離を詰めた機嶋はタウントを発動、ナイトヴィジョン越しに赤髪の小柄な女を見据える。
――……世界に対する呪いには、同意できる。
 少女の胸にあるのはそれだった。操の抗う元気が機嶋には何処か眩しく見えた。
「畜生、餓鬼どもがぁ!」
 赤毛の女は牙を剥いて吼えライト片手に鉤爪を出現させる。竜一もまた無言で竜人型のセフィラ・ビーストを出現させた。
「何故? って顔だな。あんたらの素性は割れている、逃げても無駄さ」
 ファーフナーが駆けつつ低い声を投げた。
「此方に協力すれば、多少は減刑されるかもな?」
 揺さぶる。
 信念ではなく利で動く者は楽な方へ流されると、中年の男は知っていた。
「……騙されるな。そんな甘い手合いでは無い!」
「解ってるよ!」
 操が機嶋に突進して鉤爪を一閃させる。薙ぎ払い。レート差が乗った剛爪が少女の身に突き刺さり、強烈な衝撃を炸裂させてその意識を消し飛ばさんとする。機嶋は意識を繋ぎ止めんと身に力を込めて踏みとどまる。抵抗した。負傷率二割五分。
 さらにその側面より竜人が迫る。
 竜の気合の声と共に流星の如くに拳が放たれ、しかしその間にブロンドの女が割って入った。透明な刃と竜鱗の拳が次々に激突し鈍い音と共に衝撃を巻き起こしてゆく。
「おとなしく捕まってくださる……訳はないですわよね?」
 クリスティーナは剣を流麗に操って連打を捌くと、
「本当の撃退士の力を魅せてさしあげますわ。スターダストイリュージョン!」
 竜人と竜一が手前と奥に重なる角度に狙いを合わせ一閃。煌に輝く流星群が噴出し、竜人と竜一を纏めて貫いて抜け破壊を巻き起こしてゆく。
(兎に角逃がさないように……!)
 司、ファーフナーと共に闇中を総髪の巨漢目掛けてひた走る。竜一や操、小田切、ファーフナーが光源を使っているが、それでも深夜の工場内は暗い。
「おぉっと、行かせませんよぉ!」
 ワイシャツの女が青年の進路上に立ち塞がりライフルを構えて発砲。飛来する弾丸が司の身に突き刺さり、そしてノーガードで弾き飛ばされた。
「――はえっ?!」
 エルディーナが戸惑いの声をあげている。ちょっと、日下部司、壮絶に硬い。
 青年は装甲に任せて突撃すると踏み込みざま、弾き飛ばすように大剣を横薙ぎに振るった。エルダは慌てたように後方に飛び退いて紙一重で竜巻の如き刃を回避する。
 ファーフナーは陰影の翼を発動、自らを苛む翼を広げ、エルダの頭上を飛び越えてグプタへと向かう。
 グプタはというと、戦場から背を向け手近な通路を目掛けて全力で駆け出していた。
「下がって」
 その進路上、純白の弓身に矢を番えて銀弦を引き絞り、Elsaが通路入り口前に回りこんでいた。
「撃ちたくは無いのよ」
 割り切れない思いを声に乗せて女は警告する。確保目標云々抜きに殺傷は避けたかった。生き延びる事で更なる不幸があるとしても、アウルは他者を殺す為の力では無いとElsaは信じたかった。
 しかし黒スーツの巨漢は口端を上げ、素早く拳銃を構え躊躇無くElsaへと発砲した。カスタムされたマグナム弾が飛来し次々に女の身に突き刺さってゆく。が、Elsaは倒れなかった。撃退士は簡単には倒れない。
 巨漢はそのまま脇を抜けんと駆け、女が身を入れてブロックする。
「――ほほう。頭上から狙い撃つか……!」
 闇の翼を広げ飛翔する小田切翠蓮は、高所を走るコンベア上のブランカートの側面へと回り込むと蛇の幻影を生み出して放った。蟲毒。飛来する蛇が少年の身に喰らいつき、次の瞬間、それはスクールジャケットへと変わる。
 闇を纏った少年はコンベアの側面に足をつけ銃声を轟かせながら猛射、弾丸が翠蓮の身に突き刺さって血飛沫が吹き上がる。闇遁・闇影陣。翠蓮、負傷率八割。なかなか強烈な一撃だ。
 遊夜は銃口をグプタの背中へと向けアウルを練り上げて発射、巨漢の背より赤い光が噴出する。手引きする追跡痕だ。
 Elsaと押し合うグプタは銃口を女の身へと押し付けると引き金を連続して引いた。
「くっ……」
 超至近距離からマグナム弾が炸裂しElsaの身が揺らぐ。撃退士は頑丈だが、撃退士という分類の中ではElsaはあまり頑丈な方ではない。先の依頼での負傷が残っていた事もあって、その表情が苦悶に歪んだ。
 司は進路上に立ち塞がるエルダへと大剣を袈裟に叩き込んで血飛沫を噴出させ、ブロンド娘は光を纏って己の傷を癒し、司の進路上の立ち塞がり続ける。
 しかし、先に飛行で飛び越えたハーフブラッドの人魔が、悪魔の翼を広げグプタの後背へと猛然と迫った。ファーフナーはグプタの喉に腕を回して組み付くとその撃退士の強力でもって締め上げる。グプタはもがいたが、やがてその動きが止まった。拳銃とケースが床に落ち、ついでその巨体が崩れ落ちる。
「くっ……おんし、二丁拳銃使いか? 忍者と言うよりはカウボーイだの」
 翠蓮は宙を機動しつつ忍法「髪芝居」を発動、幻術を少年へと放つ。無益な殺生は好まない所だが、どうもそういう事を言ってられるような相手でもなさそうだ。
「はっ、馬なんざ嫌いだね! オレは南シナ海の海賊だ!」
 ブランはアウルを活性化して幻術を打ち破る。流石に高レベルの撃退士は抵抗力が高い。
 そこへ七佳が背後より突っ込んで稲妻の如くに戦刀で斬りかかった。バックアタック。殺意が込められた刃は白銀の輝きを放ちながら横一文字に空間を断裂し、その間にあった少年の身を真っ二つに両断して抜ける。
 直後、切り裂かれたジャットが宙を舞い、少年がその後方へと出現する。
「こえーなぁ! オイィ?!」
 ククと喉を鳴らして笑いながら銀髪の少年が叫ぶ。
「社会に害を為すなら斬り捨てる。行為の善悪は問題では無いわ」
 ゴーグル越しに少年を見据えつつ七佳は冷静に淡々と告げる。
「はっ、たいしたガーディアンだ、上等ぉッ!!」
 牙を剥いて少年は吼え、二丁拳銃を猛然と構えた。
 他方。
「いきなり苦しそうですわね? 降伏なさっては?」
 星屑幻想を警戒してか機動しながらラッシュをかけてくる竜人の拳をクリスティーナは剣で悉く打ち払って防ぎつつ述べる。
 レート差が無い為地力の差が明確に出ている。
 実力差は歴然だった。
 しかし、
「その二文字は俺には無い」
 肩で息をしている竜一の様子を見定め、クリスティーナは手加減を発動する。
 薙ぎ払いが効かなかったのを見た操は、紫色の炎を爆発的に噴出させると後退する機嶋を追って踏み込み爪を振り上げた。
「喰らいやがれッ!!」
 全身のアウルを燃焼させて加速し、目にも止まらぬ速度で一閃。振り下ろされた紫焔爪が少女の肩口から入って切り裂きながら抜ける。レート差が爆裂している阿修羅の剛撃が決まって機嶋、負傷率七割八分。
「……必死ですね」
 機嶋、操を引き離すべく誘い込むように後退を続けながらリジェネレーションを発動、みるみるうちに傷を癒し再生させてゆく。六割二分まで回復。 
 七佳は背面の力場制御器より三対の光を噴出し少年を支点に円を描くように高速で機動してゆく。ベルトコンベアを潜り抜けブランカートの横手へと出現しざま、白銀の太刀を振り上げる。
 ブランカートはコンベア上から飛び降りるようにして紙一重でかわし、七佳が天井近くまで抜けた後、コンベアの側面に足裏を張り付かせていた少年は、再び闇を纏い二丁拳銃で猛射した。七佳は咄嗟に受け止めんと戦刀をかざすが、レート差が爆裂している銃弾はそれをかわして少女の身に連続して突き刺さる。闇影陣の二連撃。負傷率十三割五分。激痛に意識が遠退いてゆく――宙で態勢が崩れ、眼前に工場内の鉄柱が迫る。意識を振り絞って急旋回、激突を避け、態勢を立て直す。なんとか堪えた。
 翠蓮はその下方、ブランの後背に回り込むと再度蛇の幻影を放つ。忍軍は九十度の態勢のままコンベアの側面を駆け抜けて蛇をかわした。空蝉抜きでも素で速い。
 Elsaは洋弓を構え少年へと撃ち放った。鏃が空を貫いて鋭く少年へと襲い掛かり、スクールジャケットを射抜いて抜ける。空蝉。
 ファーフナーはグプタの足を圧し折るとその口蓋を開かせてスマホの光で照らし中を確認、口内毒物等の自殺を警戒する。怪しい物が奥歯にあったので外しておく、アンゲルス・オクルスには利害の一致から参加している盗賊のような輩も多いが中核は狂信者だという、警戒するに越した事は無い。次いでネクタイを外して猿轡を噛ませた。
「あっらー」
 グプタが捕縛されたのを見たエルダは、どこか幼さを残すソプラノの声をあげた。おもむろにその銃口をファーフナーに捕縛されているグプタへと向けコンマ秒の逡巡も無く引き金を絞る。
 銃声を轟かせながらライフル弾が勢い良く飛び出し、瞬間、その弾道上に青年が飛び出した。口封じの攻撃を警戒していた司だ。ライフル弾が青年の身に直撃し、そしてその装甲で弾き飛ばされる。
「――げぇっ、邪魔な奴!」
「それはこっちの台詞だな」
 グプタへと狙いを移した瞬間の隙を突いてエルダの側面へと抜けた司は、彼女とブランカートを視界に入れつつグプタを拘束しているファーフナー達の方へと後退してゆく。
 入れ替わるように赤黒い霧の様な襤褸切れを纏う男が飛び込んで二丁拳銃を構えて猛撃を繰り出した。
「接近戦は得意分野でな、あんたはどうだい?」
 麻生遊夜だ。凶悪な鋭さの弾丸がエルダの右腕に突き刺さって血飛沫を噴出させる。
「――これで断ち切って差し上げます。スターダストイリュージョン!」
 クリスティーナ、再度フラッシュエッジより煌く流星波を撃ち放ち、竜人を吹き飛ばした。一撃を受けたセフィラ・ビーストが虚空に掻き消え、竜一がばたりと前のめりに倒れる。昏倒させた。
「くそぉおおおおおっ!」
 操が爪をふりかざして機嶋を切り裂くも、少女は肉体を再生させつつリジェネレーションを再度発動して負傷率六割。
 遊夜は動き回るエルダに近接型拳銃術の動きでぴったりと張り付きつつ、その足へと銃口を向け猛射、至近からの銃弾が即座にスラックスを貫いて血飛沫を噴き上げさせる。
「あぐっ! ブ、ブラン! プランB−ッ!! こ、こいつスタイリッシュ強いーッ!!」
 金髪娘は悲鳴をあげると片足で跳躍しその背から光の翼を出現させ宙へと逃れつつ、視線をグプタへと移す。
「なんだそりゃっ?! これからだってのに!」
 少年は舌打ちすると翠蓮へと黒雷の如くに弾丸を叩き込み穿つ。
「ぬっ……!」
 翠蓮、負傷率十四割五分、激痛に意識が遠退く。鮮血を噴出しながら男の身が床へと堕ちてゆく。昏倒した。
 直後、ブランカートの背後に光の翼を展開している七佳が出現して流星の如くに飛翔しながら太刀を一閃させ、少年はジャケットを身代わりに飛び降りてかわすと踵を返してElsa達が塞いでいるのとは別の通路口へと向かって駆けてゆく。Elsaはその背へと弓矢を放ち、鋭く飛んだ矢がやはり空蝉、ジャケットをぶち抜いて抜ける。
 ファーフナーは意識を取り戻したグプタを縄で簀巻きに縛り上げるとケース内や衣服に爆発物等がないか手早く調べてゆく。
 司はファーフナーと合流すると縛られた巨漢を肩に担ぎ上げ、通路内へと飛び込み確実な確保・護送の為に戦場から離脱を開始する。
「年貢の納め時、ですわね?」
 クリスティーナが操へと踏み込んで透明な刃を一閃させて切り裂き、血飛沫と共に女がよろめいた隙にサイドに回りこんだ機嶋が、防御を粉砕する剛斬を放って斬り抜けた。
「ち、ちくしょう」
 操は一言苦悶の声を洩らすと糸が切れた人形のように血河に沈んだ。
 機嶋は手錠を取り出すと倒れた女を後ろ手に拘束する。
「逃げようとすれば、命はありませんよ……と、聞こえてませんか……」
 息はあるようだが、気絶しているようだ。
 クリスティーナもまた縄を取り出すと竜一の身を縛り上げて拘束する。
 宙のエルダはその手に手瑠弾を出現させ、咄嗟に放ったファーフナーの銃撃をかわすとピンを口に咥え引き抜く。
 が、
「墜ちて来い、俺の所まで」
 地面から湧き出た鎖を身に絡めつつ宙に向けている遊夜の双銃が轟音と共に銃火を放ち、女の身をぶち抜いた。
「げぇっ!」
 苦悶の悲鳴をあげながらエルダは落下し、こぼれ落ちた手榴弾が爆発して閃光と煙を爆発的に噴出させてゆく。
 他方。
 逃げるブランを飛燕の如く、七佳が高速で猛追していた。
「逃がさない」
 瞬く間に間合いを詰めるとその背へと向かって戦刀を振り下ろす。唸りをあげて振り下ろされた刃が、少年の身を切り裂き、レート差を爆裂させて強烈な破壊力を撒き散らした。鮮血が盛大に噴出し、ブランカートの態勢が大きく崩れる。
「やってくれたなこのアマァッ!!」
 少年は血反吐を吐きつつ、駆けつつ身を捻りざま、七佳へとギラつく眼光と共に銃口を向け牙を剥いて猛射する。轟く銃声と共に爆裂するレート差と共に放たれた弾丸が少女の身に喰らいついて貫いた。激痛に七佳の意識が千切れ消え、その身が急速に失速落下して床へと激突する。負傷率十八割八分、倒れた。
 ブランカートは通路の彼方へと走り抜け、その姿を消した。
「逃げるときの定番だよな? 西だ!」
 煙中の遊夜は先に打ち込んでおいた追跡痕から位置を掴むとElsaや仲間達に通達する。
 数秒後、視界が回復すると撃退士達は追撃にかかった。
 かくて、
「げげげげっ!」
 脚を負傷しているエルダは再度翼を発生させて飛行し工場内からの離脱を成功させたが、遊夜を先頭にそれを追って撃退士達が猛追を仕掛け、遊夜の『地を這いし天敵』が再度炸裂て撃墜した所を包囲した。
「や……優しくしてね?」
 えへっと戯けた事を抜かした女をとりあえず撃退士達は簀巻きにして確保したのだった。

 

 結果。
 撃退士達は銀髪の少年ブランカート=ハーツの逃亡を許したが、ラジェンドラ=グプタとエルディーナ=ランバルト、上々島竜一及び刃香冶操を確保しDOGへと引き渡した。
 なおメモリースティックは戦闘の余波で破壊されていたが、依頼時の言葉通り、問題無い、との事だった。
 後に情報が引き出され、静岡県での人と天使の暗闘は、ほぼ一方的に天界側が攻め立てている現状から、人間側へのイニシアチヴが僅かに回復されたのだった。


 了


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 夜闇の眷属・麻生 遊夜(ja1838)
重体: −
面白かった!:10人

Defender of the Society・
佐藤 七佳(ja0030)

大学部3年61組 女 ディバインナイト
秋霜烈日・
機嶋 結(ja0725)

高等部2年17組 女 ディバインナイト
夜闇の眷属・
麻生 遊夜(ja1838)

大学部6年5組 男 インフィルトレイター
華麗に参上!・
クリスティーナ アップルトン(ja9941)

卒業 女 ルインズブレイド
踏み外せぬ境界・
Elsa・Dixfeuille(jb1765)

大学部7年203組 女 インフィルトレイター
来し方抱き、行く末見つめ・
小田切 翠蓮(jb2728)

大学部6年4組 男 陰陽師
この命、仲間達のために・
日下部 司(jb5638)

大学部3年259組 男 ルインズブレイド
されど、朝は来る・
ファーフナー(jb7826)

大学部5年5組 男 アカシックレコーダー:タイプA