ふと思いつくRehni Nam(
ja5283)。
「そーいえばエリーちゃんは、視覚を封じれば人形を操る精度が落ちる……つまり、これを装備させれば!」
アイマスクばばぁん!
「でも、人形が動物を捕獲しようとした時に…」
すぷらったーな光景を幻視。
「うん、止めておきましょう」
愛護団体白目不可避。
一方で、ディザイア・シーカー(
jb5989)は、
「待ってろ、すぐ迎えに行く(お嬢鉢巻装着」
言いつつ、エリス用に常備していたおやつをどさっと献上。
その際、小声で尋ねる。
(お嬢。前に渡したアクセサリー、今持ってるか?)
(持ってるけど?)
(ついでにこれも渡しておこう)
アクセを複数こっそり渡すディザイア。
(後で目立たない所に付けといてくれ)
次いで、何やらブツブツ言いながら寄ってくる樒 和紗(
jb6970)。
「エリス…俺は昨日、何かリーゼを悩ませる事を言ってしまったのでしょうか…(しょも」
しかし和紗はすぐに顔を上げ、
「はっ、いえ、絶対に勝ちますから待ってて下さい」
レフニー達と共にペット店へダッシュ。
和紗はまず店員に状況を尋ね、
「あとこれください」
スッポン買い占め。
これで準備は整った。
するとディザイアが、ケージの看板を見て何かに気づく。
エリ[ー] エリ[ス]
「違和感あるな」
「…なんかシールっぽいですよね。剥がすとどうなってるんでしょう」
レフニーの言葉に、和紗がシールべりぃ!
エリス エリー
なんと名前が逆に書かれているではないか。
「これ、エリーちゃんはどっちに柴犬を入れるのでしょうね?」
「どちらに入れるかでエリーの考えが読めたりしないかね?」
ふむ…と考えるディザイア。
どちらにせよ、前回も今回も悪意の割に実害は薄め。
「お嬢も最初はこんな感じだったなぁ(しみじみ」
対して、和紗も思う。
本当に初期のエリスが元になっているのだとしたら、エリーも悪い子ではないはずだ。
だが今はひとまず、店員情報を頼りに猫探しへ。
「なら俺はケージを見張るとしよう」
「私はハムケツを追うのです」
3人はそれぞれの持ち場へと散っていった――
フロアを探索しながら佐藤 としお(
ja2489)が呟く。
「悪戯っ子だなぁ……」
それにしてもこんなに沢山の人達に迷惑を掛けて、一体何がしたいのか。
隣を歩くジョン・ドゥ(
jb9083)も、阻霊符を発動させながら頷く。
「ヤツが何がしたいのかわからんが…とりあえず動物を見つける、連れて帰る、で良いんだな…?」
「ですね」
そこへ和紗からの通信。
動物情報ゲット。
「よし分かった」
飛翔するジョン。阻霊符を切り替えつつ透過して上階へ。
狙うはレトリバー。
一方、としおは兎狙い。
索敵で目視による捜索。
鋭敏聴覚で音による探査。
侵入で静かにターゲットに接近。
縮地で距離を詰め確保。
「……完璧だ……インフィルトレイター、このストーカー紛いのスキル。まさにこの時の為にあると言っても過言ではあるまい!!」
いそいそと地下の食品売場へ向かう。
「兎は臆病な生き物。好奇心旺盛でも見た事のない外の世界だから意外と近場に居るんじゃないかな?」
っと、その前に。1階奥のペット店に立ち寄り、兎用のミニケージを借りていく。
兎は骨折しやすい。無理に掴み掛かるより、ケージへ追い込む様に捕まえた方が安心だ。
食品売場に到着。
早速、兎の誘い出しを試みる。
「ル〜ルルル〜♪(吹けない口笛」
反応した兎がストンピングする音を鋭敏聴覚で拾う…つもりだったがしかし!
鋭敏聴覚は対象の位置が判明していない場合は満足な効果が得られない!
「ま、まだ奥の手があるから…」
売場の野菜をビニール袋に詰めるとしお。
上下に振ってシェイク音シャカシャカ。好物(たぶん)で釣る。すると……
\……/
兎登場。
「怖くないよ〜。おいで〜」
\……/
離れた位置からじーっととしおを観察していた兎は、
ヒュバッ!!
ワープと見間違うほどの瞬発力で反対方向へ超ダッシュ。
「ま、待ってくださーい!?」
としおは大慌てで兎を追いかけた――
一足先に上の階へ向かっていた鈴代 征治(
ja1305)。
「お遊びに付き合ってあげるのも撃退士の務め……、なのかな?」
ともあれ、このままではデパートが利用できないので早く解決しなければ。
5階に到達。
通路で複数のぬいぐるみがうろうろしていた。エリーのぬいぐるみ達だ。
それに対し征治は、
「相手の手数と捜索の目を減らすのは常識だよね」
槍でぬいぐるみをぐさー!!
とりあえず破壊。
「あ、ルール違反じゃないよね?」
――ぬいぐるみ数体の反応が消えた事に気づくエリー。
そっちがそのつもりなら、と。
彼女は付近の個体に新たな指示を出した――
スポーツ店に到着した征治。
弾んだり転がったりする物が好きな子なら寄ってくるかもしれないと考え、売場からボールを拝借。
「んじゃ、試しに。そーれ取って来ーい(ぽーい」
すると、
ぽてっ
もっふりした物に当たって停まるボール。
釣れた。
かに思われたが、そこに立っていたのは新手のぬいぐるみ達だった。
ひー、ふー、みー…なんかたくさん。
次の瞬間、ぬいぐるみからカッ!と赤いビームが――
透過して5階に来たジョン。
目の前にボールを加えた仔レトリバーが居た。
「む。運が良いな」
もっふりゲット。
だがその時、
「タイム! タイム…!」
なんと奥から、ビームを乱射するぬいぐるみ達とそれに追い回された征治が走ってくるではないか。
ジョンは咄嗟に拒触を発動。
その結界に滑り込む征治。阻まれて足を止めるぬいぐるみ。
しばし周囲をぐるぐる回っていたぬいぐるみ達だったが、やがて諦めたようにどこかへと散っていく。
「危ない所だったな。俺は透過で他の応援に行くから、この犬は任せる」
言いながらジョンは征治に仔犬を渡し、床を透過して別階へ。
征治はそれを見送りつつ、
「……。折角だからちょっとだけもふもふさせてもらおうっと」
\わふ/
もふもふ。
しかしそこへ、去ったはずのぬいぐるみ達が再び集まってきた。
やがて結界の効力が消え――
「あ」
和紗からの通信でインコ情報を仕入れた陽波 透次(
ja0280)。7階の園芸店へ。
ケセランを召喚し、自身は蜃気楼で姿を隠してから店に入る。
既にぬいぐるみがインコと空中戦を展開していた。
壮絶なドッグファイト(インコだけど
すぐさまケセランを投入する透次。
白い毛玉が2匹の間をスイーっと横切り、一瞬、空中戦の動きが停まる。
その隙を突き、透明な透次がインコにヒプノララバイすやぁ。
鳥ゲット。
一方ぬいぐるみはと言えば、空調の風でふわ〜っとどこかへ漂っていく毛玉をインコと誤認。精度低下の弊害かもしれない。
ぬいぐるみはそのままケセランを追って飛んでいった。
小物好きだと言う猫狙いで、雑貨屋へ来た和紗。猫発見。
そっとケセランを召喚。小物でデコった毛玉をもふもふと転がしてみる。
瞬間、超反応する猫。デコ毛玉に猫パンチ連打。
畳み掛ける和紗。猫槍を装備して猫にあっぴる。
猫槍じゃらしふりふり。
猫まっしぐら。
捕獲。
「見事な手際だ」
いつの間にか天井からにょきっと生えていたジョンが言う。
「丁度良い所に。物色したい物があるので、少し猫を持っていて貰えないでしょうか」
彼に猫を預け、雑貨を漁る和紗。
リボン入手。
「ありがとうございました」
「じゃあ俺は次の階を見てこよう」
ジョンと別れ、和紗はペット店へ。
エリ[ス]のケージに猫を入れつつ、待っていたディザイアにリボンを渡す。
「お土産です」
「任せて貰おう」
エリ[ー]のケージをラッピングして扉を開け難くしてみる。
なんと姑息な!
そこへインコを連れた透次も帰還。
ケージにIN。
他を手伝うべく、和紗と透次は再び店を後にした――
食品売場でリーゼと合流した砂原・ジェンティアン・竜胆(
jb7192)。
「アニマル…嫌な予感しかしない(真顔」
ペンギンとかペンギンとかペンギンとか。
「僕、上の方探すから、リーゼは下の方探してて(おうペンギンから護れよ」
そんな感じで捜索しつつ、
「昨日の話…和紗のは願いじゃなく遠慮だよ」
徐にリーゼに話を振る。
「あの子が自己評価低いのは知ってるだろ」
――通りすがりのペンギンが現れた!
「お前が1人を優先出来ないのは知ってるし、『僕の代役』を頼む気はない」
――ペンギンのドリルクチバシ!
「どうした方が良いかじゃなく、リーゼがどうしたいか…それを和紗に伝えてあげてよ」
――ジェンティアンに99のダメージ!
「柴わんこみたいに攫われてからじゃ遅いよ?」
まあそれはそれとして、
「見てないで助けて?(とさぁ」
「すまない。話の腰を折るのも悪いかと思った」
――ジェンティアンのターン! しかし傷が深くて動けない!
「和紗…ヘルプ…」
呼ばれて飛び出て和紗登場。
鞭で床びしぃ。
「整列!(女王感」
プリンとカツオでペンギン達を従え、ホイッスルを吹きながらペット店へ行進していった。
ずりずりと床を這って警備室へやってきたジェンティアン。監視モニター前の椅子にどっこいしょ。
ここで各階の様子を見張るのだ。
「別に楽しようとか思ってないから(真顔」
食品売場で入手した激辛煎餅ぽりぽり。煎餅うめぇ。
画面チェック。すると家具売場付近で、何やら監視カメラに向かって手を振っているレフニーを発見。
スピーカーをONに。
『生命探知を使うので、範囲内に動物以外が映ってたら教えて欲しいのですよ』
「ん。了解だよ」
という訳で探知発動。反応は11個。
上下の階も含めて周辺の映像をチェック。ぬいぐるみ(非生物)以外の姿は無し。
『という事は、反応位置に動物が隠れているはず。ありがとでしたよー!』
レフダッシュ。箪笥の裏で隙間の奥に手を伸ばして挟まっているミニチュアダックスを発見。
確保。
「ダックス獲ったどー!」
そのまま隙間の奥を覗いてみると、ハムケツの塊も発見。
「ヒプノララバイ!(カッ!」
ハムスターすやぁ。
「無事に確保したな」
その声に振り向くと、ジョンが居た。先端にパペットを括り付けた鎖を持っている。
そしてそのパペットには、エリーのぬいぐるみ達がぶら下がっていた。どうやら動物を釣ろうとしてぬいぐるみが釣れたらしい。
「ここは任せて先に行け(こくり」
「犠牲は無駄にはしないのです(こくり」
創造で作った簡易ケージにハム10匹を放り込むレフニー。ダックスも抱えてペット店へ――
柴犬を抱えてケージ前へやってくる金髪ツインテ。
見張りのディザイアに事情(エリーの隙を突いた云々)を説明。
「お、お手柄だな!」
「じゃあケージに入れるわね」
「…そういや、指輪どうした?」
「? ああ、アレね。ちゃんと持ってるわよ?」
でも見せない。
「ほう?」
「持ってるってば」
頑なに見せない。
「……」
「……」
正体見破ったり!
「柴犬、渡して貰おうか」
そこへレフニーも帰還。
ケージ前の攻防を眺めながら思う。
(…エリーちゃんごと柴犬を捕獲して、ケージに入れたいなぁ)
そして提案。
「ディザイアさんもお付けするので、どうですか?」
「アナタがこっちのケージにダックスとハムごと入ってくれるなら考えてあげてもいいわよぉ?(クスクス」
その時、ジェンティアンから通信。
『鈴代ちゃんがピンチっぽい』
殺気立ったぬいぐるみ達に追われ、レトリバーを抱えながら爆走する征治。
しかも兎と鬼ごっこ中だったとしおも偶然合流。
「やや!? これは大変!」
気合のヘッドスライディングで兎を確保するとしお。すぐさま立ち上がって征治と共に猛ダッシュ。
そこへ駆けつける仲間達。
物陰から和紗が仕事人の如く飛び掛かる。ビーと伸ばした布テープでぬいぐるみを床に張り付けびたぁ!
更に、別の個体の首にテープを巻きつけて吊り上げる。
\(じたばた)/
「(指先でテープをぴーんっと弾く)」
\(かくっ。ぷらーん)/
ペット店へと続く細い通路の入口で、ジョンが拒触を展開。
「こっちだ!」
飛び込む征治&としお。
追手を振り切ってケージ前へ。
だがしかし!
黒うさ率いる別の群れがケージ前で待ち構える。
「先に攻撃してきたのはそっちだからねぇ♪」
エリーの合図でビーム斉射ちゅどーん!
目視距離による精密射撃。レトリバーを傷つける事無く、倒れた征治から横取り。ラッピングリボンをちょっきんしてエリ[ー]のケージへぽいちょ。
一方、その隙にダックスとハムと兎をエリ[ス]のケージにINするレフニー&としお。
集計。
エリ[ー]:柴犬、レトリバー、透次のケセラン。
エリ[ス]:いっぱい(主にハムとペンギン)。
エリ[ス]の勝利。かに思われたが!
「あらぁ? この看板ちょっと変ねぇ?」
白々しくシールを抓むエリー。べりっとな。
だがしかし!
エリス エリス
なんとどちらの看板もディザイアによって書き換えられていた。
「あらぁ…?」
「お疲れさんだ、すまんね」
目には目を。極めて公平である(たぶん
約束通りお嬢を解放しよね。
「でも無傷で返すとは言ってないわよねぇ?(クスクス」
そう言ってエリーは、スッポンを求めて振り向く。
が、和紗が水槽ごと抱えていた。
スッポン@買い占め済み。
「俺のスッポンに勝手に餌は禁止です(どやぁ」
「その発想はなかった(ぐぬぬ」
お嬢、無傷で生還。
●
潔く去るエリー。
が、その前に。
「良い名ですね」
と、エリーに声を掛ける透次。
「名前は大事だと思います。自分が自分で在る為のものですから」
「あら、いい事言うわね。そうよねぇ。自分は自分だもの」
答えながら、エリーは一瞬だけエリスの方を見た。
「それと前回、質問に答えてくれたらお菓子を奢りますよと言ったので、質問に答えてくれたお礼にお菓子持ってきました。宜しければどうぞ(差し出す」
「律儀ねぇ(受け取る」
「しかし遊びに誘って貰えるのは光栄ですが、出来れば周りの迷惑のない形でお願い出来ませんか?」
次は誰も泣かずに済む形で会いたい。互いにこれで良かったと笑えた方が楽しいと思うから。
「言いたい事は分かるけど、“こういうワタシ”を作ったのは他ならぬその“周りのヒト達”なのよ?」
“エリス”という噂が誤って広まった存在。
対して、ジェンティアンも一言。
「次はお店に遊びに来たらいいんじゃない」
「まぁそれも含めて、考えておいてあげるわぁ」
「あ、そう言えばちょっと失礼」
と呼び止めたのは征治。
エリーに中立者を試みる。
カオスレート判別『−2』。
抵抗せずスキルを受けた後、エリーは静かに飛び去って行った。
隅でじっと考え込むリーゼ。
それを見守るエリスに対し、
「…やっぱり何か悩んでるよな?」
ディザイアが目の前ににょきり。
「くくく、今度は逃がさんぞー(がっしり抱き抱え」
「な、悩んでるけど、自分で答えを見つけなきゃいけない事だと思うし…!?(もだもだ」
だからこれは、もうちょっとだけ秘密――