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マスター:水音 流
シナリオ形態:イベント
難易度:非常に難しい
形態:
参加人数:25人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/11/28


みんなの思い出



オープニング

 この世界には、様々な勇者の伝承が存在する。
 ドラゴンスレイヤー。
 アンデッドスレイヤー。
 コスプレイヤー。

 勇者は往々にして、ダンジョン攻略で名をあげる事が多い。
 時に1人で。時に仲間と。
 苦難を乗り越え、悪しきを滅し、平和と栄光を勝ち取ったのである。

 そしてここ久遠ヶ原でも、新たなダンジョンとそれに伴う勇者達が生まれようとしていた――



 安全教習の会場跡地。
 地下に掘られた空間の地質調査および点検に訪れた、2人の整備作業員。地下のはずなのに、中はぼんやりと明るかった。

 しんと静まり返っているようで、どこかそうでもないような不思議な通路を進みながら、後輩作業員が何気なく話を振る。

「なんか、あの時のこと思い出さないっすか?」
「いま私も同じことを思っていたところだ」

 神妙な顔で相槌を打つ先輩作業員。
 2年前。
 地下用水路で遭遇した巨大な白ワニ。
 あれ以来、水場がトラウマになり、2人は転属願いを出して河川課から土木課へと異動になっていた。

「しかしあの白ワニなら、学園生が夏のキャンプで鍋にしたと聞いたよ」
「……でもそれ、あの時の白ワニと同じワニかどうか分からないっすよね」
「ハハッ、まさか。あんな怪物がそう何匹も居るわけが。それにここは用水路ではなく土……」

 その時、脇道の陰で何かが動いた。

 ぼんやり明るいとは言え、奥ばっていてよく見えない。
 ごくりと喉を鳴らし、2人は持っていたライトを恐る恐る点灯。

 足元を照らす大光量の白い丸を、ゆっくりと脇道へ差し向け――

「「ひああああああああああ――!!」」


●斡旋所
「モンスター?」

 憔悴しきった状態で駆け込んできた若い作業員の話を聞き、八嶋は「うーん……」と頬を掻く。
 無数の魔物達が突然通路の奥から襲い掛かってきて、元撃退士である先輩作業員が驚いて反射的に攻撃するも全く歯が立たないまま即座に失神。後輩である自分がまた彼を担いで、死に物狂いで逃げてきたらしい。

 恐らくは、教習会の最中に掘られた地下穴を、どこからか迷い込んできた野良ディアボロや野良サーバントが根城にして更に拡張してしまったのだろうが……。

「やっぱり、早いとこ依頼にして解決したほうが良いですよね?」

 局長へと振り返る八嶋。だが、

「……埋めておけ」

 ぼそりと呟く局長。

「コンクリートかウレタンでも流し込んで、地下穴ごと埋めておけ」

 嫌な予感がする、と珍しく消極的な指示。

「いやいやいや。もし本当に天魔だったら透過能力でいくらでも出てこれるじゃないですか」

 当然それは局長も分かっていたようで、ああは言ってみたものの、彼女は「やれやれ」と眉根を寄せながらオペ子に顔を向けた。

「依頼発行だ。戦力を集めろ」
「了解です」


リプレイ本文

 道端を歩きながら、ゼロ=シュバイツァー(jb7501)が携帯でMSと電話していた。

「おい分かってんだろ? いつものやつだ」
『よかろう、これでも喰ら――(ズドゴーン!』

 スピーカーの向こうで轟音が響き、通話が切れる。
 ゼロが手に持っていたナニカのスイッチを先に押していた。

「早押しなら負けんで」

 INI値、27.5。

 携帯をしまって、スイッチをゴミ箱にポイ。
 斡旋所に到着したゼロは局長を探す。

「そんな事よりも局長! お名前ですよ! そして連絡先とデートの約束を!」
「教えるのは別に構わんが、それより暇なら迷宮探索に加わってくれ」
「分かりましたよ仕事はきっちりやりますよでも名前ちゃんと教えてくださいね」

 一方、依頼書を眺めていたRobin redbreast(jb2203)。

「ディアボロかサーバントの退治だね。了解だよ」

 宝物などのお金稼ぎにはあまり興味が無い模様。

「何匹くらい魔物達が潜んでいるんだろうね」

 わざわざ根城にするほど住み易いのだろうか。悪魔勢と天使勢が同じ場所にいれば、互いに戦闘になって生活どころではない気がするが。
 要するに、危ない。

 するといつの間にか隣に立っていたユウ(jb5639)が、こくりと頷く。

「万が一もありますし、確りと調査しないとですね」

 こんな危険な依頼に学園生を送り出す事になって、オペ子さんはきっと責任感で心を痛めているはず。

「いえ特に」

 平常運転のオペ子。

「局長さん。きっとオペ子さんは自分も現地へ行きたいと考えていると思います。皆さんのオペレーターとして同行を許可してあげてください」
「ユウさんがオペ子の話を聞いてくれないです」
「許可する」
「やばすぎわろえないです」
「大丈夫です」

 その時、夜桜 奏音(jc0588)が現れた。
 オペ子の肩ガシィ。

「迷宮は山の修業とスペ●ンカー先生に学びましたから安心してください」
「オペ子、コウモリのフンに当たってしにたくないです」

 頼もしい?助っ人と、快諾した?オペ子。
 ユウは我が身を顧みないオペ子の勇気に感動しながら、暖かく彼女達を見送r

「逃がさんです」

 むんずとユウの後ろ襟を掴むオペ子。
 奏音に引き摺られるオペ子に引っ張られて、ユウもずるずると連行されていった。



 教習会場の跡地で洞窟が発見されたので、大次郎さんの別荘に如何ですか?
 そうフェルミを誘おうと、再度、山を訪れた月乃宮 恋音(jb1221)。
 ふと、

「探してんの?」

 ベースボールキャップを目深に被った男が、木陰に立ってこちらを見ていた。

「……お、おぉ……? ……い、いえ、これといって、探し物をしている訳では……」
「あるよ」

 聞いているのかいないのか、男はぐいっと1枚の羊皮紙を押し付けてくる。
 受け取って広げてみると、それは宝の地図だった。

「5千年前に滅んだ古代文明の秘宝さ」

 似たような話を以前どこかで聞いたような……。
 しかしこの地図の左上には『品質保証』と書かれている。現代語で。

「お代は結構だよ」

 そう言われて恋音が顔を上げると、既に男の姿は無く。
 気がつくと、大次郎にあげようと持ってきていたはずの猫缶が袋ごと無くなっていた。



 迷宮依頼を聞きつけた蓮城 真緋呂(jb6120)。
 目指すは最奥…には燃料が必要なので、出前を頼む事に。

 いそいそと、オカマバー『Heaven's Horizon』のママに電話。

「ママ、お弁当お願いします!」

 それで先日のママの“借金”はチャラ。
 キャシー達に預けてね。



 ヘヴホラ店内。

「“どこからか迷いこんで”とか、嫌な予感しかしないよね」

 啄ばまれる的な意味で。
 懸念する砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)。

「という訳で、キャシーちゃん達。天魔からは護るので、ペンギンから護ってください(切実」
「「かしこまりぃ〜!」」



「明〜けど暮ぅ〜れぇど〜も〜鍬を振〜る〜い〜♪」

\ハァーチョイナチョイナ/

 仄かに明るい土壁の通路を、歌いながらざくざくと耕すシエル・ウェスト(jb6351)。
 腰に下げた袋の中で、彼女の顔に似た喋る怪草『シエりじを』の苗が、合いの手を入れる。

 迷宮で農業を始めるのは間違っているだろうか?
 ゴーレムに野菜を植えて農業するドワーフがいるんだから間違ってはいないだろう。

 どっちもブーム来たしな。

 先日ヘヴホラの厨房で、シエりじをが食材として保管されていた。栽培して売ればきっと儲かるに違いない。
 先程仕留めた猪(not天魔)の骨を撒いて肥料に。

 増やす。
 とにかく増やす。


 そして増やしすぎた――……




「最深部を目指すぜ」

 迷宮の入口前に立つ、勇者ミハイル・エッカート(jb0544)。
 ドラ●エごっこ。すぐ後ろには、きちんと一列に並んだ2人の仲間達が。

「ダンジョン…つまり、お宝の気配…」

 武闘家役の、Spica=Virgia=Azlight(ja8786)。
 動き易さを重視した、白いチャイナドレス姿。

「ぐる」

 戦士兼遊び人役の、道端でスカウトしたおつかい型の人狼@教習会の時と同じ個体。
 戦士(女)用の赤いビキニ鎧の下に、遊び人(女)用のバニー服を着てい――

「おいちょっと待て、なんで1匹で2役なんだ」

 気づいたミハイルが振り返る。
 もしかして:BrOを買いに来てた時と当たり屋を退治した時と教習会の時の人狼は全て同一個体。

「くそー、仕方ない。3人で行くぜ」

 ちなみに人狼には女用の装備を与えたミハイル。

「何故かって? 俺はホモじゃないから」

 そして彼は、迷宮の入口にとあるアイテムを捧げ始める。

「そういう気分だ」

 用意したのは邪神の像(という体のロベルのフィギュア)。
 どこからともなく声が聞こえてくる。

『最深部を目指すと“難易度:非常に難しい”で始める事になりますが、よろしいですか?』

 迷宮の精霊かな?
 ミハイルの脳裏に選択肢が投影される。

 →はい
  いいえ

 決定ボタンぽちり。

『分かりました。お気をつけて……』

 そして先頭のミハイルが最初の1歩を踏み出sダメージトラップがカチリ――

「おい待てドラ●エの床には不意打ちのダメージトラップなんて無かっt」

 足下から杭突出。

 ミハイルは 38のダメージをうけた!!
 ミハイルは しんでしまった!

 それをすぐ後ろで見ていたスピカは、こういう時に言うべき台詞を思い出して口を開く。

「おお、ミハイル…。しんでしまうとは、ふがいない…」



 迷宮入口のすぐ横に、『救護班』と書かれた白いテントが立っていた。

 ルーカス・クラネルト(jb6689)は、1枚のチラシを手に取る。

『急募:救助隊アルバイト』

 何故か彼の元には、探索隊の依頼書ではなくこのチラシが届いていたらしい。
 探索隊と違い、追加報酬は無し。基本報酬という名のアルバイト代のみ。
 但し安全。
 迷宮内で行動不能になったヒトを回収するだけの簡単なお仕事です。

 ちなみに迷宮と言えば、誰かが話していたアニメの話でこんな題材があった気がする。

(あれはそう…現代系のロボットアニメだったか)

 その回はロボットほとんど関係なかったけど。

 探検は男のロマン。
 が、ついついリスクを天秤に掛けてしまう軍人としての職業病。故に今回はアルバイトでお留守番。

 一方、隣の椅子には狩野 峰雪(ja0345)とファーフナー(jb7826)、そしてロビンが居た。

「地下迷宮かあ……。各自がバラバラに、闇雲に捜索しても効率が悪そうだしねえ……」

 峰雪は、パイプ椅子の背もたれに寄り掛かりながら考える。

「僕は地図を作ろうかなと思う」

 換金に出て来たヒトからどこを探索したか、どんな罠があったかを聞き、整理して図面に起す。そして新たに迷宮へ入るヒトへその情報を教えてあげれば、多少は効率的に探索できるのではないだろうか。
 ついでに、負傷して戻ってきたヒトの手当てなんかもしてみたり。

 その為にも、自分はこの救護テントから動く訳にはいかない。

「決して老体に迷宮探索は辛いとか、面倒事は若者に押しつけて自分は事務作業だとか、そんな考えは一切ないからね(にこにこ」
「ならば俺も裏方として動くことにしよう」

 ファーフナーが重みのある声で相槌を返す。

 直接迷宮内を見て回り、マッピングに必要な情報を集める。特に、罠の位置の特定。
 フラッシュライトで周囲を照らし、透過による奇襲には阻霊符で防止。戦闘になった場合も、炎焼スキルを上手く配置すれば光源を失う事はそうあるまい。
 そして仮に床にトラップが敷き詰められていようと、落とし穴が道を崩そうと、その程度は障害足りえない。
 自分には、陰影の翼がある。

 そう。この忌まわしき、人ならざる血が……。

 人に排され、魔にも染まれず、真を持たず社会に紛れる。
 鬱屈と焦燥。
 それでも、この檻から脱する術は無く――

「一生、ココからは抜け出せないのさ」

 コメディにあるまじきこの重み。
 抜け出そ? せめてダンジョンからは抜け出そ?

 その時、迷宮入口で勇者が1人、杭で打ち上げられた。
 待機していたルーカスの頭に直接誰かの声が響く。

『聞こえますかルーカス。ミハイルがしんでしまいました、今すぐ回収に向かってください』

 うん、見えてた。
 どっこいしょと立ち上がるルーカス。

 ふと、未だベンチでちょこんと座っているロビンを見て、

「探索には行かないのか?」
「みんながある程度トラップにかかったあとに行動開始するよ」

 退治に専念。体力温存。効率良く。
 少女はあどけない顔で、イケニエ達が道を均すのを待っていた。



 棺桶化して引き摺られていくミハイルとすれ違うように、迷宮前へとやって来た雫(ja1894)。

 その手には、マッピング用の方眼用紙とペン。
 目的:迷宮踏破。
 早速ミハイルが踏み抜いた杭トラップを記載しつつ、いざ内部へ。

 スライムのむれが あらわれた!
 スライムAの こうげk――

 雫が地すり残月ズバァ!

 一掃。四散した魔物の残骸を戦利品袋に詰めて、再び歩き出す。
 迷宮内の道を残らず地図に記すべく、中央や幾つもの脇道を行ったり来たり。

「最奥に何があるんでしょうね」

 雫は方眼紙に線を引きながら、蟻の巣のような迷宮内を奥へ奥へと進んでいった。



 一方、こちらは数多 広星(jb2054)。
 薄手の鎧(Tシャツ『もちろん知っていたさ』)で身を守り、慎重に進む。

 小型の魔物は手早く片付け、大型の魔物に見つかった時は隠密グッズやスキルを駆使してやりすごす。
 更に、いざという時に隠れられるよう壁に所々窪みを掘っておき、その場所を記憶しながら前進。

 その時、曲がり角の向こうから足音が聞こえた。
 現れたのはウサギ(っぽい見た目のディアボロ)。

 が、その大きさは人間の2倍はあった。
 なにやら額に一角も付いている。

 危なそうなので隠れてやりすごす事に。
 するとそこへ、別の足音が。

 反対側の通路から羊が走ってきた。
 正確には、羊の着ぐるみで擬態したシェリー・アルマス(jc1667)。

「迷宮もふもふ!」

 一角ウサギ目掛けて一直線。
 全身でしがみつくようにしてもふもふもふもふ。

 直後、ぶん!とウサギに振り回されて宙に放り上げられるシェリー。一角で串刺しぐさぁ!
 ウサギは頭を左右に動かして角に刺さったシェリーを振り落とすと、そのままどこかへ行ってしまった。

 ぴくりとも動かなくなった羊シェリー。
 救護班のルーカスに回収されて去っていく。

「剛毅な」

 その生き様に感嘆しつつ。
 広星は窪みから出て、再び奥へと進んでいった。



 迷路といえば左手法。
 それに倣い、左回りで地道に進んでいたファーフナー。

 迷宮内には天魔以外の普通の獣も迷い込んでいるようで、鼠などの姿も散見された。
 罠の1つでも見つけられればと思い、忍法『響鳴鼠』を試みる。
 しかし本来はヒト探し用のスキルである為か、得られた反応は魔物の位置。まあそれはそれで役に立つ。

 敵をやりすごしてから、改めて前進。
 飛行しながら魔槍の穂先で床を掻き分け、罠の有無を確認。見つけた際には、後続が分かり易いよう近くの地面に×印を付けておく。

「しかし、誰かは知らないがこんなにも多くの罠を、ご苦労な事だ……」

 床だけでなく、壁や天井にも何か仕掛けがあるかもしれない。色や素材の違い、誰かが触れた跡、埃の積もり具合で判別できないだろうか。
 うっかり触ってしまわぬよう気をつけながら、ファーフナーは少しずつ奥へ。



 ここにも1人、法則に従う探索者が居た。
 真緋呂だ。

「迷宮には左手の法則」

 自信満々に進む。
 仮にヒトがいても進む。
 例えナニカいても進む。
 もしも罠に掛かっても進む。
 ただ只管左手を壁に進む。

 ――その時、魔獣が背後からゆっくりと彼女の首筋に爪を突き立t

 壁のスイッチかちり。
 ヒュンッ ドスッ

 後ろから飛んできた矢が、真緋呂との間に立っていた魔物の後頭部に突き刺さる。
 とさぁと倒れる魔獣。

 そして真緋呂は、気づいてしまった。

「…はっ、右手でやってた!?」

 左手じゃなかった。

「これじゃお箸が持てない!!」

 こわい!
 パニックを起こした真緋呂はおろおろと迷宮内を彷徨い始めた。



「探索は動き易い服ですよね」

 そう言って、芋ジャージを着て迷宮に挑んでいた樒 和紗(jb6970)。リーゼとエリスの分も用意して、おそろで任務。
 傍らにはジェンティアンやキャシー達はもちろん、エリスと遊ぼうとやって来たディザイア・シーカー(jb5989)も居る。

 ふと、和紗は手錠を取り出して、片方をリーゼの手首にカシャン。
 もう一方は自分の手に。

「はぐれない様に(真顔」

 迷子センターとか無さそうなので。

「なるほど(こくり」

 対して、そんな仲良しな光景に嫉妬したジェンティアンが、

「迷子に託けて和紗にくっつこうだなんて、リーゼちゃんのスケベ!」

 手錠の鎖を切ろうと、鋸を取り出した。
 が、あっという間に和紗に取り上げられた挙句、

「竜胆兄は先頭で」

 3m前を歩けと言われる。

「10フィート棒代わり!?」
「早くしてください」

 眼鏡のブリッジ部分を鋸でギコギコ。

「ちょっ、やめて! 折れる、折れるから!」

 しくしくと泣きながら歩き始めるジェンティアン。

「「ジェンちゃん頑張ってぇ〜!(野太い声援」」

 すると少し先の地面に×印が。

「きっと誰かが残してくれた目印だよね」

 踏まないように避――

「宝の目印かもしれないでしょう」

 掘って確かめてくださいと、その背を押す和紗。

 罠踏。
 杭どごぉ!

 ジェンティアンは し…にはしなかったが、HPの色が一気に黄色に。

「…………お、おぉ…………。…………だ、大丈夫ですかぁ…………?(ふるふる」

 そこへ、大次郎に乗った恋音とフェルミが通り掛かった。
 和紗達の後ろに居たエリスを見て、ある事を思い出す恋音。

 怪しい男から貰った、あやしい地図。
 自分が持っていても役に立たなさそうなので、エリスに譲渡。

「大昔の牛乳……」

 トラウマが呼び起こされるエリス。

「……『品質保証』との事ですので、今度は大丈夫ではないかとぉ……(ふるふる」

 もしかしたらこの迷宮の奥に?

「ダンジョンで(バストサイズを)一攫千金、か…」

 ディザイアが地図を覗き込みながら呟く。
 丁度エリスへのプレゼントを探していた所にこの知らせとは…乳神とMS神の思し召しか!

「お嬢、俺の帰りを待っててくれ!」

 俄然やる気になったディザイアが、単身駆け出す。
 だがその時、

\がおー/

 しろくまが あらわれた!

「「!!」」

 ざっ!とベアクローでディザイアを一撃。
 そのままエリスを抱え上げて走り去っていった――



 エリスを捕獲したしろくま@着ぐるみ姿のRehni Nam(ja5283)。
 超リアル白くまーレフ。

 迷宮の入口付近まで戻ってくると、いつの間にか『れふにーの別荘』と書かれた掘立小屋が建っていた。

 中に入ると、人力エレベーターらしき物が。

 乗り込んで滑車を回し、ごうんごうんと下へ。深層部の一角に位置する小空洞へと降り立つ。
 そこに置かれていた豪奢な宝箱を開け、エリスをぽいちょ。

 閉じ込められた!
 と思いきや……

 宝箱はただの扉代わりで、中は謎のスイートルームになっていた。

 どこからか(勝手に)引いてきた電気、ガス、水道完備。
 テレビにエアコン、テーブル、冷蔵庫、ベッド諸々搬入済み。

「……」

 まあ、そのうちみんな追いついて来るだろう。
 それまでエリスは、ごろごろと贅沢を堪能させてもらう事にした。



「なんか白くてエロい粘液系のモンスターが出ると聞いたなの!」

 迷宮外の救護テントの机をばんばん叩きながら、と興奮した様子のペルル・ロゼ・グラス(jc0873)。

「ひどい空耳だな」
「白い熊なら出たみたいだけどね」

 若干引くルーカスと峰雪。

「冬のイベントの新刊にぴったりなのー☆」

 聞いちゃいねえ。
 間違って自分達がネタにされてしまう前に、2人はそっと迷宮入口を指差して彼女を誘導。
 ペルルはノートとペンを持って弾丸のように突入していく。

 そして闊歩する魔獣や落とし穴を見て、早速ネタを思いつく。

「落とし穴って誘い受けなのなのなー」

 めもめも。

「あー、どっかにお宝(ホモ)落ちてねーかなーなの〜グフフ♪」

 なお脳内変換するので、ネタになれば対象が女子でも全く構わない模様。

 このヒトこわい。



 ミハイルとスピカのパーティに、臨時で新たな仲間が加わっていた。

「教習所の次はダンジョン探索ってかー? まあ、面白ければなんだっていーけれどよ」

 ラファル A ユーティライネン(jb4620)。
 魔物なんざ阻霊符張って地盤ごと吹き飛ばせばまとめて片付くぜー。とでも言い出すかと思いきや、今回はしっかり慎重に攻略する様子。
 目的は最深部への到達と、ラスボス退治。
 どんなゲームでもラスボスのドロップが一番レア度が高いと相場が決まっているのだ。

 あばれイノシシのむれが あらわれた!

 瞬間、でんこうせっかの如く飛び出したのはスピカ。

「見敵必殺、逃がさない…」

 手加減抜き。
 槍を振るって敵をメッタメタに。返り血ブシャー。

 ミハイルのターン。

「ベギラ●ン!」

 と唱えながらファイヤーブレイク。

「戦士、トドメだ!」
「ぐる」

 人狼は爪(自前)を振り上げ、とりあえず ようすを みている!

「遊び人、邪魔するんじゃねー!」

 1匹2役の弊害が。

 あばれイノシシの こうげき!
 つうこんの いちげき!
 ミハイルは 47のダメージをうけた!!
 ミハイルは しんでしまった!

「おお、ミハイル…。しんでしまうとは、かわいそう…」
「ぐる…」
「仕方ねーな」

 義肢の擬装を限定解除してタイタス形態へ移行したラファルが、残った敵を粉砕。

 あばれイノシシたちを やっつけた!

 棺桶の気配を察知して、ルーカスが到着。
 ミハイルを復活させる為、スピカと人狼は一旦帰投する事に。
 対してラファルは少しでも先へ進むべく、彼女らを見送って別の探索者と合流する事にした。



 救護テント。

「はい、回復完了。お大事にね」

 白くまーにやられたディザイアを復活させる峰雪。
 ディザイアは礼もそこそこに、急いで迷宮へ再突入。

 目的:お嬢奪還。

「俺的ダンジョンボス、白くまーレフを討伐するのだ!」

 深層部へ降りていったという情報を得て、脇目も振らずに奥を目指す。
 魔物を殴り飛ばしながら突き進み、罠は漢解除で正面から踏み抜k

 かちっ ドゴォン!

 そこへ通り掛かるファーフナー。
 床に転がっているディザイアを見て、持っていた槍で揺すってみる。
 返事が無い。ただの屍のようだ。

「やられたのか。まあ、すぐに救護班が回収するだろう」

 などと言ってる傍からルーカス到着。

「思ったより忙しいな……」

 ディザイアを回収していくルーカス。
 ファーフナーも一旦、峰雪に状況を報告しに戻る事にした。



 一方、峰雪が整理した上層の情報を得て、ロビンも出発。

 罠を避けつつ、魔物が多く目撃されたルートを選んで迷宮内を歩く。
 エンカウントした瞬間、バッドステータス系のスキルを当てていくスタイル。単体相手には八卦石縛風、群れにはナイトアンセム。

 撃ち、穿ち、薙ぎ払って首を撥ねる。

「きれいに魔物のお掃除しないとね」

 キルゼムオール。

 可愛らしく作られたあどけない笑顔のまま、少女は深夜放送でも規制が掛かりそうな光景を量産しながら迷宮内を練り歩いた。



 骨付き肉やらゴムボールやらがぎっしり詰まった道具袋を背負ったゼロ。

 魔物が居そうな場所では肉に(水ω音)と書いて設置し、狼に囲まれてしまった時はボールに(水ω音)と記して投擲、罠がありそうな床には人形に(水ω音)と刻んで置いてみる。

「今日の出番は多いですよ水音神! 局長の名前を教えないからこういうことになるのだ!」
『おいばかやめr(ばりむしゃどごーん』

 追加の(水ω音)を書きながら、ゼロはふと思う。

「そういえばせっかくのダンジョンやのに、アンノとオ嬢はどないしたんやろな」
『あいつ、ザコキャラやめるってよ』



 その様子を、曲がり角からこっそり覗いていた2つの影。

|w▽)_廿) >やーめないッ<

 Unknown(jb7615)とΩ(jb8535)。
 角の向こうへ、スゥッと引っ込む。

「ダンジョン点検なら任せろー」

 娘のΩと共に、シャベルを持って徘徊。

「これが娘が掘ったというアレなダンジョンか」

 なかなか立派!とΩの頭をわしわししてやる。
 Ωは母に褒められて薄っすら照れたような表情を覗かせる。

「…でも、我が掘った時と…形が違う……」
「びふぉーあふたー」

 ふと、罠を発見。
 自ら真顔で踏みに行くアンノウン。

 作動。
 縄で宙吊り。
 逆さまぷらーん。

 その時、猪達(not天魔)が突っ込んできた。

「ほーぉ…我輩にエンカウントしてくるとは良い度胸だな」

 縄をぶちぃ抜け出して、シャベルから彩りのある黒い戦斧へと持ち替え。
 Ωも魔攻鋏を手にして、母に炎、自身に風の烙印を施し、

\ランチターイム/

 どっかんどっかん大暴れ。
 屠りながら食し、食しながら屠り、バッツンバッツン解体して晩御飯分もタッパに詰めて回った。



 マッピングしながら奥へ奥へと進んでいたユウ。
 同行していたのはもちろん奏音とオペ子、そして迷宮内で偶々合流したラファル。

 先頭を歩く奏音は、ちょっとした横道でもスルーせずにきちんと探索。自分でも地図を描きながら床、壁、天井を槍でつついて安全確認。
 登れそうな道があれば鎖鎌を使ってよじ登り、それほど高くない位置から下りる時はそのままジャンプ…などと過信せず、足場を伝ってそっと下りる。

 自分の身長程度の高さでも落下死するかもしれない。

「スペラ●カー先生の教えです」
「流石ですね」

 感嘆するユウ。
 彼女もまた透過や飛行スキルを過信せず、常に誰かの阻霊符や対空トラップの類を警戒しながら進んでいた。

 魔物対策も万全だ。
 奏音が敵の動きを推し測り、ユウがバッドステータスをばら撒いて、ラファルが火力で薙ぎ払う。

 そんな3人を見てオペ子は、

「頼もしいです」

 おやつもぐもぐ。
 遊び人枠だった。

 すると一同は、ペルルと遭遇。
 奏音が情報交換を持ちかけると、

「あっちに誘い受k…じゃなくて、落とし穴があったぜ。なのー☆」
「なるほど」

 対してペルルの要求は、

「ちょっとそこのスライム沼に落ちてくれないなの?」

 ぬちょぬちょべっとり、えろちっく。

「ちょっとだけ! スケッチするだけ! なの!」

 奏音たちは にげだした!

 ペルルを振り切り、やがて中層へ到達。
 そこから先は景色が一変。別世界と化していた。

 シエりじをの氾濫。

 世界樹(シエりじを)の迷宮。

\イキイキ/

\イキイキ/

\イキイキ/
\イキイキ/
\イキイキ/
\イキイキ/
「引き返しましょう」

 奏音の提案。

「生き残ることが重要ですから」
「オペ子は大賛成です」
「俺は先に進むぜー」

 それでも最深部を目指すというラファル。
 するとユウも、

「そうですね。オペ子さんが心から安心できるように、ダンジョンを踏破して最深部の安全を見届けなくては。さあオペ子さん、行きましょう」

 曇り1つ無い笑顔で。

「殺意を感じます」

 ずるずると引き摺られながら、オペ子は奏音と別れて中層の奥へ消えた。



 鍵の掛かった宝箱を発見した和紗。
 スキルで開錠。だがまだ罠の可能性がある。

 ジェンティアンをぶつけて確かめてみる。

「痛い! ひどい! サーチトラップがあるでしょ!?」
「どうやら罠は無いようですね」

 開封。
 中に入っていたのは、すべすべで平べったいだけの、ただの小石。
 ガラクタか。

 すると一同の前に、1人の老人?が現れた。
 その風貌は、まるで某天空の城アニメの坑道シーンに出てきたポm――

「わしはとし爺じゃ」

 とし爺@佐藤 としお(ja2489)。

「この洞窟で生活をしとる。何か困り事かい? わしに相談してみるとようぞ。わしの知らん事は何もないわい。ふぉっふぉっふぉ……」

 とし爺は和紗の持っている小石に気づくと、

「小石だ。小石がおる」

 ほぅっと目を丸くした。

「どれそのお宝をちょっと見せてみい……お〜こりゃ素晴らしいお宝じゃ!」

 このすべすべ具合。
 川で投げれば、20発は水切り出来るじゃろう。

「大切にするとよい……。ふぉっふぉっふぉ……」

 言うだけ言ってどこかへと歩いて行くとし爺。
 一体彼は何だったのか。

 直後、今度は雫がやって来る。

 地図を作っていた彼女は、迷宮で見つけた物品と引き換えにマップ情報が欲しいと言う。
 一同が自分達の歩いてきた道について教えてあげると、雫は礼を述べながらナニカの肉を差し出した。
 何の肉かは雫にも分からない。

 先を急ぐ彼女を見送り、和紗達はここらで一旦休憩する事に。

 リーゼがシートを広げ、和紗やキャシー達と共に腰を下ろす。
 同じくジェンティアンも、シートに座ろうと――

「シートが狭いので竜胆兄はシートの外でお願いします」

 押し出される。

「くっ、リーゼちゃんは座らせて貰ってるのに…!(ハンカチぎりぃ」

 仕方ないので、少しでも土汚れの無さそうな草…もといシエりじをが生えている場所に腰を下――

 しゅぱっ!と和紗が先程の小石を投擲。
 ジェンティアンの尻を弾く。

「茎が折れたら可哀相でしょう?」
「座らせても貰えない僕は可哀相じゃないとでも!?」

 結局、ジェンティアンだけ立ったままお昼ごはん。
 キャシー達がママから預かっていた、重箱に入った具沢山のおにぎり弁当。蓋を開けると――

「食べ物の匂い!」

 真緋呂が あらわれた!

 迷子になっていた先で見つけたママのお弁当に猛ダッシュで飛び込んでくる。
 更に匂いにつられて、どこからか迷い込んでいたペンギン達も登場。

 一瞬で消える真緋呂の分のお弁当。
 それだけでは足りず、真緋呂とペンギンは無防備に立ち尽くしていたジェンティアン分もぺろり。

「僕の分…」

 しくしく。
 対してジェンティアンの脹脛が啄ばまれぬように、シートから立ち上がってペンギン達を抱き上げるキャシー達。
 自然、嘴の位置が高くなり、

 ジェンティアンの鎖骨に嘴ドドドッ。

「いたっ、痛い!」
「「いやぁん、タイヘン! んメッ!(咆哮」」
「じゃ、お腹も落着いたし行ってきます!」

 それを他所に、再び探索へと出かける真緋呂。
 ペンギン達も、キャシー達の腕の中から飛び降りて彼女の後ろをぺたぺたとついていく。

 今度こそ左手の法則。

 しばらく歩くと、前方に曲がり角が見えてくる。
 だが実はこの時、角の先には魔物の群れが潜んでいた。

 そして真緋呂は、気付いた。

「…はっ、これフレ●ングの!?」

 ローレンツ力を求めても仕方が無い。

「どうせなら起電力よね」

 真緋呂は左手から右手に切り替えてクルリと方向転換。いま来た道を、ペンギン達と共に引き返していった。



 ミハイルを復活させる為に戻ってきたスピカと人狼。
 棺桶を峰雪に預ける。

 一方そのすぐ横では、奏音が中層までの地図を売っていた。

「情報はただではありません、情報収集を怠るものは死を見ますよ」
「確かに…」
「ぐる」
「ほい、勇者さんの回復完了っと」
「俺も地図を買うぜ」

 それを手に入れて、一気に中層へ入る。

 オークっぽいまものが あらわれた!

 取り囲んでボコる勇者一行。
 トドメ寸前まで削った後ミハイルは友達汁を使用し、

『仲間になりたそうにこちらを見ている(※ミハイルの声)』

「いいえ」

 自作自演でトドメぐしゃあ!
 果たして友達汁を使う意味はあったのか。

 ふと、彼は仲間達が掠り傷を負っていた事に気づいて回復魔法を使う。

「ホ●ミ」

 と唱えながらライトヒール。

 先へ進むと、スピカが宝箱を発見。
 蓋を開けると、しかしそれはミミックだった。

 死の呪文(単体)を唱えるミミック。

 スピカは しんでしまった!



 大次郎に乗り、隠れ家になりそうな場所を探して中層を更に奥へと探索していた恋音とフェルミ。
 その時、後方から何かが走ってくる気配を感じて振り返る。

「中層もふもふ!」

 羊シェリー。
 弾丸のような勢いで一直線にこちらへ、いや、大次郎へと向かってくる。

「…………お、おぉ…………」

 魔物の類と誤認する恋音。
 しかしあの大きさならば大次郎の猫ぱんち1発で終わる筈と、ふるふるしつつ見守る事に。

 直後、大次郎が横フックで猫ぱんちズドン。

 一直線に突進してきた羊が、ギュンッ!と直角に吹き飛ぶ。

「も、もふ…もふ……」

 だがまだ倒れない!
 羊はふらふらと大次郎のほうへ近づいて来る。

 瞬間、恋音がライトニングで追撃ぴしゃーん。

 ぷすぷすと黒焦げになる羊。
 それでも尚、ずる…ずる…と地面を這って大次郎の足に抱きつき、1もふ2もふ3もふ……がくっ。
 ついに力尽きた。

 大次郎が動かなくなった羊をもぐもぐ。
 そこへ雫が通り掛かる。

 雫は大次郎を見て立ち止まり、うずうず。

 情報交換ついでにちょっと撫でてみようと近づk

 猫ぱんちビターン!

 雫はぺしゃんこになった。



 救護テントで目を覚ます雫。

 こうしてはいられない。
 すぐに迷宮へと戻って入口をくぐ…らずに、そのまま素通り。

 迷宮内ではなく地上を進み、自作した地図を元に力尽きた場所の真上辺りへと移動。
 その後、地面に穴を開けて直接さっきのポイントへ復帰を試みた。

「コンティニューと言う奴ですね」

 中断地点へ見事降り立つと、周囲をきょろきょろ。
 が、既に大次郎達は居ないようだった。
 ちょっとしょんぼり。

 開けた穴は確りと埋めてから、行動開始。
 すると、

「奥へ向かうんです?」

 シエルが居た。

「ならこれを持って行きなせえ」

 シエりじをが詰まった袋を差し出すシエル。
 薬草という名目で販売。シェアの独占に成功した模様。但し効果は不明。

「ありがとうございます」

 雫は持っていた魔物素材とシエりじをを交換し、再び最深部目指して歩き始めた。



 ダンジョンの様子をチェックしながらうろうろするアンノウン。
 Ωも勉強も兼ねて母の作業を手伝いながら、キラッキラした瞳でえんやこら。

 一面が草で覆われていた中層だったが、たまに泉のような物が湧いているエリアがあった。
 飲んでみると、ぴろりんと体力が回復。
 しかし逆に魔物達は、どうやらこの泉の周囲にはあまり近づきたがらないようだった。

 そうだ、ここに休憩所を建てよう。

 びふぉーあふたーあふたー。
 黒夢母娘は、えっさほいさと改築を始めた。



 窪みに隠れていた広星。敵をやりすごしたのでそろそろ出ようかと思っていた矢先、中層を攻略中のミハイルとスピカと人狼がやって来る。
 面白そうなので隠れて様子を見る事に。

 毒の沼に差し掛かって立ち止まる3人。
 道が間違っている可能性を疑い、スピカは迂回ルートを探そうと。
 対してミハイルは、

「トラ●ナ」

 と唱える。

「これで大丈夫だ、行ける(気がする」

 ふと、沼の先に杭トラップが仕掛けられているのを見つける。

「フッ、同じ手は食わない」

 ミハイルは沼ごとジャンプして飛び越えようと――

 広星が足元にワイヤー張り。

 躓くミハイル。
 転んで手をつき、毒と杭でつうこんの(ry

 姿を現す広星。

「そんな所に罠があったんですねー」

 しかし上着に書かれたその文字は…(第2弾

 スピカと人狼は召喚されたルーカスと共にミハイルを(以下同文
 それを見送った後、広星は次の獲物を探して迷宮の奥へ。

 一方、スピカは引き返す途中で雫と遭遇。
 情報or物品交換。

「この先に毒の沼があった…。杭トラップも…」
「なるほど」

 カキカキ。
 雫はお礼にシエりじをを渡そうと――

「大丈夫、私達も持ってる…」

 行商人(シエル)から購入したシエりじを。
 ならばと、雫は道中で拾ったナニカの骨を提供。

 引き返していくスピカ達と別れ、雫は更に奥へ。



 雫の前に現れる、とし爺。

「何か困り事かい? わしに相談してみるとようぞ。わしの知らん事は何もないわい。ふぉっふぉっふぉ……」
「道を教えてください」
「わしの知らん事は何もないわい。ふぉっふぉっふぉ……」
「なら道を」
「わしの知らん事は何もないわい。ふぉっふぉっふぉ……」
「道…」
「わしの知らん事は何もないわい。ふぉっふぉっふぉ……」
「……」
「わしn」

 地すり残月ズバァ!
 雫は真っ二つになったとし爺に背を向け、先を急いだ。

 そしてついに最深部へと到達。
 ドーム状になった、巨大な部屋。そこに鎮座していた“それ”が鎌首を擡げる前に壁をよじ登り、地上へ穴を開けて無事脱出した。

 確りと穴を埋めてからテントへ戻る。
 雫は地図(完全版)をコピーして売り出し、後はのんびりとお茶を啜る事にした。



 雫の地図を手に入れたディザイア。
 台風が如くあらゆる障害を蹴散らし全力で突き進む。

 回復? 食料? シエりじをで代用すればいい!(ぶちむしゃあ

「俺の邪魔をするなぁぁぁ!!」

 頭からシエりじをにょきにょき。

 そうして彼は、ついに宝箱の間へと到達。
 魔王っぽいマントと付け角を付けた白くまーレフ…いや、シロクマオウが、それっぽい椅子に座って待っていた。

「ここで会ったが百年目! …いざ、尋常に勝負!」
\がおー/

 叫ぶディザイア。
 吼えるシロクマオウ。

 いつの間にか置かれていた卓球台。
 何の疑問も抱かず台につく1人と1匹。

 先攻はシロクマオウ。
 瞬間、シロクマオウはラケットを持たず、代わりにベアハンドでずどばーん!と強烈なスマッシュ。
 サーブなんてなかった。

 一瞬にして惨敗を喫するディザイア。
 だがその時、

「深層もふもふ!」

 羊シェリーが現れた。
 シロクマオウに飛びつき、全身でもふもふ。

 シロクマオウの動きが鈍る。

「隙ありだ!」

 ラケットを振り下ろし、猛烈なスマッシュを叩き込むディザイア。
 やっぱりサーブなんてなかった。

 敗北したシロクマオウが、エリスに泣きつく。

「よ、よしよし…」

 なでなで。

「くっ、お嬢を盾にするとは…!」
「うーん……じゃあ今回はこれで決着つけたらどうかしら」

 エリスの提案。
 曰く、恋音が言っていた『秘宝』を先に見つけたほうの勝ち。

 地図上では、どうやら最深部に保管されているようだが……。

 頷く白くまーとディザイア。

 瞬間、シェリーをくっつけたまま、エリスごと地図を持って飛び出す白くまー。
 負けじとディザイアもダッシュ。

 第3ラウンド開始。



 のんびり探索を続けていた和紗とジェンティアンの一行。
 魔物と遭遇…と思いきや現れたのは、和紗によく似た、わんこっぽいちんまりとした謎の生き物。
 せぐ●ぇいに乗ってぶいーん。

「……」
「……」

 何やら見つめ合うリーゼとわんこ。
 体育座りで微笑ましく見守る和紗。

「へぇ、可愛いね」

 ジェンティアンも近づき、わんこの頭をなでようと――

「や」

 ぺしっと手を払われ、ジェンティアンは体育座りで床に『の』を書いた。
 その時、本物の魔物の群れが現れて一同に襲い掛かる。

 咄嗟にわんこと和紗を抱え上げるリーゼ。
 ジェンティアンもキャシー達を抱え上げ…るのは人数的に無理だったので、後ろを守りながら揃って逃走。

 そうして行き着いた先に、1件の小屋が建っていた。
 アンノウンとΩの仮設住宅。

 畳にテレビに炬燵と蜜柑。庭には菜園と、回復の泉がきらきら。
 仮設の割に実用性高めな雰囲気。

「…母、お客さん…」
「よくきたなー。我輩達はこれから宝探しに行くが、ゆっくりしていくといい」

 お言葉に甘えて、回復の泉を使わせてもらう事に。

 唐突に、リーゼを泉へ突き落す和紗。が、手錠で繋がった自分も一緒にばしゃーん。
 何でいま押したし。

 すると彼女は大小1つずつの箱を取り出し、

「リーゼが落したのはどちらの箱ですか?」

 落したというか落されたというか。

 まあ、それはそれとして。
 落してない、と小さく首を横に振るリーゼ。

「正直者には両方差上げます。Alles Gute zum Geburtstag(微笑」

 中身は、(毛刈りから)手製の墨染め帽子、マフラー、そして手袋。
 また、ジェンティアンからも紙袋が飛んでくる。

「暫く年上だからって調子に乗らないでよね!?」

 中身は日本の伝統衣装、FUNDOSHI。
 だけというのもアレだったので、追加でダウン風のロングジャケットも投擲。

 意表を突かれたリーゼだったが、やがて……

「Danke」



 お出かけ先で宝箱を発見したアンノママとΩ嬢。
 でももしかしたらミミックかもしれない。

「…困ったら…神様利用…」

 娘の提案に母も頷き、閉めたままの宝箱に(水ω音)と書いてみる。
 瞬間、箱の中で何かが噛み砕かれる音と悲鳴がして、蓋に書いた(水ω音)マークが消滅。

「やっぱり…ミミックだった…」
「やったねますた!」

 鬼か。
 ちなみにすぐ後ろにも1つ箱があり、開けるとなんかそれっぽいメダルが入っていた。



 再び宝箱を発見するスピカ。
 開封。今度は本物の宝箱だった。

 さてさて中身は――

「宝箱に向かって走るぅ! あのパーティを叩いて行こうぅ! ひとりのままで飛び出したぁ! あのソロパも叩いて行こうぅ!」

 不意に轟く誰かの歌声。
 振り向くと、玉置 雪子(jb8344)が土煙を引きながら走ってきていた――

「敵のヘイトがほしくてぇ! たくさん敵を撃ちまくるぅ!」

 雪子の後ろには夥しい量の魔物がついてきていて――

「混沌の声を聞かせておくれよぉ!」

 なんと雪子は、全ての魔物をミハイルとスピカに押し付けて行った!

 TRAIN-TRAIN 擦り付けて行け
 TRAIN-TRAIN ガチパにも
 TRAIN-TRAIN MPKして行け
 TRAIN-TRAIN ソロ充にも

 trouble-shooting.exeで敵の注意を引き、scroll.exeで走り抜け、invisible-file.exeで忽然と姿をくらまして押し付け轢殺。

「MMOへようこそ。これがBOT対策です」

 え? 強敵もパーティ組んで挑めばいいって?

「いいですか、雪子は面倒が嫌いなんですよ。宝箱は雪子のものです! 雪子だけのものです!」

 ミハイルは しんでしまった!
 スピカは しんでしまった!
 人狼は しんでしまった!

 テントで目を覚ます。
 雫が売っていた地図(完全版)を買い、3人は最短ルートをダッシュで復帰した。

 あのユキコ野郎、許さねえ!



 前方に、大量のドロップアイテムを発見した雪子。
 ロビンが放置していった物だ。

 迷わずルートする。

「消える前に雪子が貰っておくんですわ? お?」

 ルート権争いは戦争です。
 せっせと拾っていると、

「見つけたぜ!」

 ミハイルとスピカと人狼がドドドッと戻ってきた。

「粘着PKktkr」

 scroll.exeで逃げる雪子。
 一方、それを目撃するラファル。

「お、なんだか知らねーけど勢いあるじゃねーか」

 便乗してついていく――



 最深部の広間へと到達した白くまーレフとシェリーとエリス。
 Ωも通り掛かり、

「…あれ…妻なんでこんな所にいるの、花嫁修行…?」

 その時、広間に居た“ソレ”が咆哮を上げた。
 鋼のような鱗を持つ、巨大な竜。
 見るからに勝てない。

 とさぁ、と死んだフリをする4人。
 だがエリスの金髪がチカチカと目に付いたのか、竜はズシンズシン近づいてきて――

 咄嗟にエリスと自身を豆腐の着ぐるみへと着替えさせるΩ。
 豆腐、豆腐、白熊、羊。
 色素薄い組。

 竜の興味が逸れる。

 そこへ、ミハイル達に追いかけられた雪子が走ってきた。
 竜に気づいて急ブレーキを掛けようとするも、突如、足元に広星のワイヤーが!

 顔から地面に突っ込む雪子。
 顔面を強打して、スーパーボールのようにバウンド。フォンフォンと高回転しながら宙に跳ね上がり、そのままドラゴンの口へすっぽり。
 むしゃむしゃごっくん。

「そんな所に竜が居たんですねー」

 上着に書かれた文字(ry

 狩場?を荒らし回った結果、結局デスペナで全ロストした雪子。

\燃える…燃えてしまう…/

 晒しスレ的な意味で。
 炎上不可避。

 続々と到着する探索者達。
 ディザイア、恋音、フェルミ、大次郎、ゼロ、ユウ、オペ子。

「ラスボスゲットだぜー」

 火力一閃、迷わずケンカを売るラファル。
 怒り狂う竜。

 更に、

「こういう名言があるなの…」

 無いのなら 創ってしまえ DASHホモ

「極めれば鉛筆×消しゴムさえできる不屈の腐女子の精神ッ! 目にホモ見せてくれるわッ! なのー☆」

 ペルルも来た! これで腐る!

 こうなっては仕方が無い。
 一同は一斉に竜へ攻撃を仕掛けた。

 が、鋼の鱗で守られた巨躯はびくともしない。
 このままでは……。

 一方、激戦を他所に隅っこで地面を掘っていたアンノウン。
 カツーン。
 何かを掘り当ててしまった感触。

「…アッ」

 瞬間、溶岩ごぼごぼ。

 豆腐(娘)を担いで一足先に逃走(告知無し)。
 担がれる寸前、咄嗟に豆腐(エリス)と白くまーと羊を鷲掴むΩ。

 次いで気づいたユウもオペ子を抱えて飛び去り、恋音とフェルミも大次郎の猫ジャンプで退避。広星は戦闘が始まった時点で既に居なかった。

 直後、爆発。

 ラファルの一斉砲撃。
 竜を含め、逃げ遅れたメンツを丸ごと発破。

 ふと、溶岩に沈んでいく竜の額にきらりと光る石を発見。なんかレアっぽい宝石。
 飛びついて魔刃でくり貫き、ずぎゃーんと離脱するラファルさん。

 だが通路の先で待っていたのは、

「ふぉっふぉっふぉ……」

 とし爺。
 ラファルを通せんぼしたかと思うと、

「落ち着いて、茶でも飲むがようぞ」

 徐にお茶を差し出してきた。
 明らかに怪しい。

 実際、このお茶には多量の眠り薬が仕込まれていた。
 これまでの行動は全て、物凄く良いヒトを演じ、油断し切った所で最後にお宝を強奪する為の――

「邪魔だこらー」

 爆 砕 。

 計略虚しく、とし爺は爆発四散した。



 徐々に溶岩へと消えていく広間。
 まだ生きていたゼロは、(水ω音)と書いたボールを叩く。

「はよ! しぬ前に局長の名前はよ!」
『局長の名前は、さe(じゅっ』

 溶。



 Ωは追いかけてくる溶岩の波を見て、ふと考える。
 このままでは妻(豆腐)が妻(焼き豆腐)になってしまう。

 Ωは母から降りると、勘に任せてシャベルで地面をざっくざく。

 瞬間、地下水が噴出。迫ってきていた溶岩とぶつかり、強烈な蒸気が立ちこめる。
 徐々に冷え、固形化していく溶岩。

 黒く固まったそれは噴出口に蓋となって多い被さり、溶岩も水も、やがてぴたりと流れを止めていた――



 危機を脱した迷宮内部。
 大暴れした影響か、巣食っていた魔物達も出て行ったようだった。

 白くまーを脱いだレフニーは、別荘側を通って地上に出る。

「エリスちゃん、そろそろ帰りましょうか」
「うん」
「楽しかったですか?」
「すごく!」

 こくり。



 ちなみに白くまーレフの作った掘立小屋と宝箱の間が、その後どうなったかと言うと……

『ふぇるみ&だいじろーの別荘』

 看板が書き換わっていた。
 ご近所は黒夢母娘。

 たぶん、そのうちまた「土地権がー」と言われて取り上げられるかもしれないが、それまではひっそりこっそり使うとしよう。





















 ――最深部。

「あれ? ここって最深部?」

 左手やら右手やらの法則で進んでいて、漸く広間へと辿り着いた真緋呂とペンギン達。
 魔物が居ると聞いていたのに、結局1匹も見かけなかった。

 その時、黒く固まっていた地面の下から、ボゴォ!と幾つもの手が突き出てきた。
 ディザイア、ゼロ、ペルル、ミハイル、スピカ、人狼、としお、雪子。

 そして最初に外へ這い出してきたディザイアは――



 オカマバー『Heaven's Horizon』。

 カウンター席に座り、恋音から貰った地図を眺めていたエリス。
 結局、大きくなる秘宝は見つからずじまい。というのも、後から分かった事だが、これはどうやら別の洞窟を示した地図のようだった。

 そこへボロボロのディザイアがやって来る。

「あ、おかえり」

 彼が手に持っていたのは、冷えた溶岩から削りだした、竜のデフォルメフィギュア。

「お嬢、俺の気持ちを受け取ってくれないか?」
「い、いいの? なんか悪いわね……」

 まあ、とりあえずコーヒーでも。
 そう言ったエリスの視線を追ってカウンター内に顔を向けると、

 エプロンを付けた白くまーが居た。

 ベアクローしゃきーん。
 クリア後の裏ボスかな?



              つづく   かもしれない。




依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 歴戦の戦姫・不破 雫(ja1894)
 前を向いて、未来へ・Rehni Nam(ja5283)
 大祭神乳神様・月乃宮 恋音(jb1221)
 ペンギン帽子の・ラファル A ユーティライネン(jb4620)
 久遠ヶ原から愛をこめて・シエル・ウェスト(jb6351)
 暁光の富士・ルーカス・クラネルト(jb6689)
 久遠ヶ原学園初代大食い王・Unknown(jb7615)
 氷結系の意地・玉置 雪子(jb8344)
 インファイトガール・Ω(jb8535)
重体: −
面白かった!:13人

Mr.Goombah・
狩野 峰雪(ja0345)

大学部7年5組 男 インフィルトレイター
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
さよなら、またいつか・
Spica=Virgia=Azlight(ja8786)

大学部3年5組 女 阿修羅
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
死のソースマイスター・
数多 広星(jb2054)

大学部4年4組 男 鬼道忍軍
籠の扉のその先へ・
Robin redbreast(jb2203)

大学部1年3組 女 ナイトウォーカー
ペンギン帽子の・
ラファル A ユーティライネン(jb4620)

卒業 女 鬼道忍軍
優しき強さを抱く・
ユウ(jb5639)

大学部5年7組 女 阿修羅
護黒連翼・
ディザイア・シーカー(jb5989)

卒業 男 アカシックレコーダー:タイプA
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
久遠ヶ原から愛をこめて・
シエル・ウェスト(jb6351)

卒業 女 ナイトウォーカー
暁光の富士・
ルーカス・クラネルト(jb6689)

大学部6年200組 男 インフィルトレイター
光至ル瑞獣・
和紗・S・ルフトハイト(jb6970)

大学部3年4組 女 インフィルトレイター
ついに本気出した・
砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)

卒業 男 アストラルヴァンガード
縛られない風へ・
ゼロ=シュバイツァー(jb7501)

卒業 男 阿修羅
久遠ヶ原学園初代大食い王・
Unknown(jb7615)

卒業 男 ナイトウォーカー
されど、朝は来る・
ファーフナー(jb7826)

大学部5年5組 男 アカシックレコーダー:タイプA
氷結系の意地・
玉置 雪子(jb8344)

中等部1年2組 女 アカシックレコーダー:タイプB
インファイトガール・
Ω(jb8535)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプB
空の真ん中でお茶を・
夜桜 奏音(jc0588)

大学部5年286組 女 アカシックレコーダー:タイプB
┌(┌^o^)┐・
ペルル・ロゼ・グラス(jc0873)

高等部2年3組 女 陰陽師
もふもふコレクター・
シェリー・アルマス(jc1667)

大学部1年197組 女 アストラルヴァンガード