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マスター:水音 流
シナリオ形態:シリーズ
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/02/28


みんなの思い出



オープニング

 前回のトゥエンティフ(ry

『ブローカーはいつ来店するか分からない』
「必要経費でお腹いっぱい食べられるなんてステキ♪」
「ご注文は?」
「サラダが好きです。シーザードレッシングはもっと好きです」
「台風か(真顔」
「ひこうきびゅーん(超真顔」

「究極スイーツが完成したのです〜♪」
「近頃は妖怪モノに圧されガチらしい件」
「私が入れました」
「その忠義に感謝する」

 黒い大学部儀礼服の裾を揺らしながら銀髪ツインテールの後ろ頭が帰路を進んでいると、不意に後ろからやってきた誰かにロープで縛られ――

「待たせたな」
『……zzZ』
「むぅ!? どこかで見たような気がすると思っていたら、まさか収監所前で標的と一緒に居た…!」
「観念してください」

 プルルル

『やはり藻部田は口を割ったか』

 それは、本物のゲインからの電話だった――


●9:10
『替え玉を雇っておいて正解だったな』

 こんなこともあろうかと、と。
 スピーカーモードにした偽ゲインの携帯から、真ゲインの嗤い声が響く。

「貴様いまどこにいるー!」

 直後、店内へと駆けてきたバックが、電話の向こうのゲインに怒鳴った。

『相変わらずせっかちだなバック。そう慌てるな、すぐに分かる』
「何だそれはどういう意味だー!」
『すぐに分かると言ったぞ』
「ふざけるな替え玉のコイツがどうなっても良いのかー!」

 バックは拳銃のスライドをジャキリと大袈裟に鳴らして、銃口を偽ゲインの頬に押し当てる。
 だが、ゲインは冷めた声を返すだけだった。

『好きにするが良い。背丈が同じという理由だけで雇った赤の他人だ、名前も知らん』
「おい、取引はどうなる! 俺を騙したのか!?」

 対して問い詰めるように叫んだのは、学園生達に縛り上げられたブローカー。

『騙してなどいない。ただ邪魔が入っただけだ』

 そして一呼吸おいた後、ゲインは『お前達の仲間を誘拐した』と言葉を続けた。

「何だと誰の事だー!」
『銀髪ツインテールの斡旋所職員、と言えば分かってもらえるかな?』
「オペ子の事かー! 何故そんな事をするー!」
『俺がコンビニで捕まったのは撃退士のせい…ひいては撃退士を派遣した斡旋所支部のせいだ。つまり斡旋所支部の責任者が悪い。復讐してやる』
「いや違うあれは爆弾を仕掛けた貴様の自業自得だー!」
『勿論お前の事も忘れていないぞバック。そもそもあの時お前が店に現れなければ、俺も姿を現す必要など無かった。安心しろ。斡旋所を潰した後は、ちゃんとお前も吹き飛ばしてやる』

 プツッ ツーツーツー

「おい待て切るんじゃないー! 返事をしろー! くそおぉぉぉ!!」

 ダァン!とテーブルを叩くバック。
 指示を請う部下達にブローカーと偽ゲインの連行を命じながら、学園生達の方を振り向く。

「俺は対策チームと一緒に情報を集める。君達は撃退庁の転移装置を使ってすぐに斡旋所へ行ってくれ。口ぶりからして、ゲインは局長の命を狙っている」


●9:13
 斡旋所支部。

 局長は『寿』と書かれたマグカップ――ただし布テープが貼られて文字は隠れている――のコーヒーを一口啜り、コトッと卓上に置いて書類をチェックする。
 そこへ出勤してくる オペ子 。

「おはようございます」
「ああ、おはよう」

 銀髪ツインテの頭に乗っていた小次郎が局長のデスクに飛び降り、書類の上でごろりと転がって尻尾を揺らす。一方のオペ子はと言えば、局長の横を通り過ぎる際、カップの布テープをぺりっと剥がして『寿』を露わにしつつ自分のデスクへ。
 小次郎を撫でながら、むすっとした様子で布テープを貼り直す局長。 
 いつも通りの風景。

 そんな時、通報用の緊急回線ではなく、各デスクに置かれた通常回線の電話機が着信に鳴いた。
 端末を立ち上げているオペ子の代わりに、局長が受話器を取る。

「こちら斡旋j――」
『オペ子を誘拐した』
「……何だと?」

 思わず片眉を上げながら聞き返す。

『だから、お前の所の職員のオペ子を誘拐したと言っている』
「今か?」
『そうだ。当たり前だろう』
「……」

 局長は、目の前に立っているオペ子を見た。
 銀髪ツインテのオペレーターは、いつもと変わらぬ眠たげな半目薄表情で視線を返す。

「何ですか。オペ子をガン見しても若返ったりはしませんが」
「……あー、その、なんだ。誘拐したという証拠はあるのか?」
『今、声を聞かせてやる』

 直後、受話器の向こうから聞こえたのは――

『オタスケー』

 あ、これロペ子の方ですわ。

『同僚を死なせたくなかったら、10時に街外れの廃工場へ局長をつれて来い』
「忙しいんだ。付き合ってられん」
『何だと!? おい待――』

 ガチャン

 通話終了。

「何の電話だったんですか」
「廃品回収の勧誘だ」
「トイレットペーパー貰えますね」

 その時、ドタバタと慌てた様子で数名の学園生が駆け込んできた。

「「大変です局…長……? あれ?」」

 が、オペ子の姿を見て、はてと首傾げ。
 そこへ八嶋も登場。

「楽しそうですね、何の話です?」
「うちの掃除機がスクラップにされて埋立地へ送られるようです」
「誘拐したと今しがた電話があった」
「へー。リサイクル屋に持っていったらお金になりそうなのに、ちょっと勿体無いですね」

 オペ子は机の引き出しから煎餅の袋を取り出し、局長は小次郎を膝に乗せて書類を眺めながらコーヒーを啜り、八嶋はオペ子から煎餅を一枚貰ってパリポリ。

 だが、ふと気づいた八嶋が振り返る。

「あれ? でもそれじゃあ、今日の僕達のお昼ごはんって誰が作ってくれるんです?」

 賄い担当:ロペ子

「おのれ犯人め、我々の仲間を攫うとは許せんっ」
「オペ子は激おこです」

 椅子ガタァ!
 決起した職員達を見て、学園生達がバックに連絡。

『分かった、すぐに部隊を編成して合流するー!』

前回のシナリオを見る


リプレイ本文

「替え玉に誘拐……なかなか用意周到で侮れません」

 間違えてロペ子を浚った点に関しては、侮りまくりますが。真顔でpgrと鼻で笑う樒 和紗(jb6970)。
 何やら少し様子がおかしい。

「それにしても斡旋所の賄い担当がロペ子だったとは……俺はロボットにも女子力負けるのですか? いえ、一応自炊はしていますし、完全に負けた訳ではない…と思いたい」

 ぶつぶつ。
 一方、

「ゲインの事ですから物質透過無視の爆弾とか作ってそうですよね」

 充血した目に隈を滲ませたヴェス・ペーラ(jb2743)がごちる。
 悪魔とはいえ徹夜は割ときつかった。

「ハバネロの恨み、こちらも晴らさせてもらいます」

 ヴェスちゃんが眠気防止にしくじって自爆しただけで、ゲイン別に悪くないんじゃないかな。
 って思ったけど黙っておこう。

 そんな中、誰よりも憤っている者が居た。
 幸村 詠歌(jc0244)。

「ふっ…今の私は激おこぷんぷん丸だ」

 愛機ロペ子を奪われた怒りの余り、語彙もブレイク。

「…いかんな、雪子のがうつったか? まぁいい、ケリをつけるとしよう、ゲイン」

 その手には、ロボ研部長から貰った(奪った)何かのスイッチが――


●9:50
 廃工場敷地前で玉置 雪子(jb8344)が叫ぶ。

「ヒッキーボンバー出ておいでー! 出ないと目玉をほじくるぞー!」

 ひゅんひゅん さくっ(ブーメラン

「oi misu おい ブーメランって言った奴表出ろ 紀伊店のか」
(…とりあえず一通り皆が遊び終わるまでゲームでもしてるか…)

 頭に“く”が刺さっている雪子を放置し、武田 誠二(jb8759)はゲインの透過対策に阻霊符を発動しつつ隅っこでお座り。
 ときめきエリュシオンの電源ON。

\守備範囲が女子だけと言った覚えはないな!(謎の背後ボイス)/

 一方、ヴェスは索敵スキルを発動しながら敷地外周をぐるっと一周。
 発見できたルートや罠の位置をメールに記し、各自の携帯に転送した。

『ただ本気でしかけられた爆弾まではわかりませんので、特殊急襲部隊に先に行ってもらってはいかがでしょう?』

 サーチトラップを試みていた和紗も同意。

「俺が探索する限り、此処には罠はありません」

 安全です。

「ですから急襲部隊が先に逝っt…もとい行って下さい」
「了解だ俺が先陣を切るー! 援護しろ軍曹ー!」

 部下の1人をつれて駆け出すバック。

「あ、念の為に1人ずつ進んで下s」

 カチッ
 ドォォォン!

「…やはり有りましたか、爆弾」

 世の中どこに危険が潜んでいるか分かりませんし、と真顔で頷く和紗とヴェス。
 安全とはいったい何だったのか。

 そんな急襲部隊を、誠二が熱く激励。

「流石プロすげーなーかっこいいなーあこがれちゃうなー(ときエリュしつつタバコすぱー」

 ふと、彼はある事を思いついて携帯を取り出し、MSへ電話。
 プルルル ガチャッ

『私だ』
「ロペ子に乗り移ってゲインごと付近の爆薬吹き飛ばせないか?」
『えー、今カップ麺にお湯入れたとこだしー。あ、3分経っt』

 ドォォォン!

 瞬間、受話器から爆音が轟き通話が切れた――



「カップ麺に爆薬を仕掛けておいて正解だったな」

 MS宅の信号が途絶えたのを見て、ゲインは口端を吊り上げた。



 陸海空の量産型ロペ子を同行させていたシエル・ウェスト(jb6351)。徐に陸ロペの胴部をこじ開ける。
 どうやら中に入ろうとしているらしい。

「この子なら爆発物の1つや2つ余裕で耐えられるでしょう。多分」

 初夢依頼で鹿とか入ったんだからいけるいける(頭捻じ込み
 それ夢ですしおすし。などというツッコミを振り切って、狭いドラム缶内に収まって蓋パタン。

 残った空ロペは空中監視、海ロペは……頑張れ。

\これで爆発物対策は完璧でありますな!/

 対して、死地を前に己の人生を思い返していたグラサージュ・ブリゼ(jb9587)。

「改めて16年間の人生を振り返ってみると…地雷という地雷は全部踏んじゃってたかな?」

 だって考えるより先に体が動いちゃうんだもんテヘペロ♪

「というわけで!」

 自身の前後左右に急襲部隊を立たせるグラサージュ。
 操り人形ダンス風に自分の手足と相手の手足を棒で繋ぎ――

 突撃。

 私の行きたい方向に地雷があっても大丈夫♪(私は
 途中で気が変わって方向転換しても大丈夫♪(私は
 隊員さんが怪我したらチョコレートを食べさせてあげるね!
 疲れたときとか滋養強壮に甘いものっていうし♪(
 私が被爆したらもちろん大地の恵み使用で自己回復♪

 ゲスの極み。

 対して、蓮城 真緋呂(jb6120)らも進軍を開始。

\うわー/
 ちゅどーん

「私は局長さんを護りながら進むわ」
「すまないな」

\ぎゃー/
 どかーん

「あ、マグカップ使ってくれてて嬉しかったの♪」
「う、うむ…」

\いやー/
 ぼーん

「お揃いの寿座布団も見つけたから、今度プレゼントするわ(悪気の無い笑顔」
「女子高生時代などあっという間だぞ蓮城(ぎりぃ」

 色々酷い。



 やがて建物前に到着――した瞬間、和紗が入口にアンタレスをぶちかましていた。
 罠ごと爆ぜる扉。

「……わあ大爆発(棒」

 真緋呂が花火を見上げる。

(和紗さんのリミッターが外れてる気がするのは、気の所為かしら?)

 何かずっとぶつぶつ呟いてたし。
 すると和紗は、中に居るであろうゲインへと呼びかける。

「大人しく出て来なさい。此れが如何なっても良いのですか」

 その手には、道中で拾ったゲインの手榴弾。
 拳銃を突きつけ、人質…もとい物質に。

「おのれ姑息なマネを…!」

 ゲインの声。
 黒煙が晴れた建物内部の中央で、爆弾を巻きつけたロペ子と共に居た。

「先にツッコミを入れさせて下さい」

 前へ出たのはヴェス。

「貴方の誘拐したのはオペ子でなくロぺ子です。どうやったら人とそうでない存在を間違えるんです?」

 言われ、ゲインがロペ子を見る。が、

「ふん、戯言を」

 違い分からず。

\どうやらその目は節穴のようでありますな/

 その時、ブオーっと建物内へ進み出た陸ロペからシエルの声が響いた。
 胴部が開き、中から出てくる。

 シエルの形が、円柱形になっていた。

 思いのほか中が狭かった。

 再度、投降を迫る和紗。
 当然ゲインは拒否。

「貴方の爆弾愛はその程度ですか(鼻で笑い」

 対するゲインも鼻を鳴らしつつ、

「お――」
「誰が、男前ですかっ!(涙目」

 突如、和紗が石臼を投げつけてきた。

「えっ? 何でいきなりキレたの?!」

 『お前達』って言おうとしただけなのに。
 ていうか何この石臼。

「え? ヒヒイロカネに入ってましたけど。これでお菓子作ったりしようと思ってますけど」

 きっとV兵器。
 石臼でお菓子の材料から自作するとか、女子力高くないですか? 高くないですか?
 もう誰にも男前女子とは言わせない。

「俺は、女子力を求めているんです…!」

 きっとゲインを倒せば女子力も上がるに違いない…(病み
 目がマジだ。
 更に、

「動かないで。局長さんがどうなってもいいの?」

 なんと真緋呂が局長を人質に。

「おいこら」
「復讐したくて呼び出したんでしょ? 貴方が復讐出来ない侭、私が手をかける…なんて事になってもいいのかしら(迫真」

 正義とは。

 また、グラサージュも説得を試みる。

「今みんなが恐れているのはスイーツテロだよ♪」

 世は健康ブーム!
 火薬よりも糖分!

「人の好みや空腹度合なんてお構いなしに強制できるってすごいでしょ♪」

 辛うじて生き残っていた部隊員の口にキメラスイーツをぐいぐい押し込んで見せる。
 糖分の過剰摂取で意識を失う部隊員。

「見て見て♪ 口にすれば全世界が私たちの仲間!」

 部隊員を放り捨て、新たなキメラスイーツを取り出す。

「あなたを想ってスバラシイスイーツを作ったの!」

 ファミレスではあんなに長時間かけて作り上げたのに偽ゲインだったし。

「あなたの存在がなければこれは出来上がらなかったの! だから食べて!」

 両腕を回転させ、ゲインの顔目掛けてポイポイとキメラスイーツを連投するグラサージュ。
 咄嗟にロペ子の後ろに隠れるゲイン。

 べしゃっとロペ子の口にスイーツin。

「結構ナ オ味デ」



 その頃、建物の隅っこでは。

「またフラれたぞ」
「初対面で『結婚を前提に』なんて選択肢選ぶからだ」
「それが目的のゲームじゃないのか?」

 真緋呂の魔の手から何とか抜け出した局長に、誠二がときエリュをやらせていた。
 おい仕事しろおっさん。

「働きたくないでござる」

 日本酒ぐいー。



「ええいお前達、人質がどうなっても良いのか!」

 起爆スイッチをチラつかせるゲイン。

「悪魔は所詮悪魔なのね…」

 真緋呂が、スッと光の消えた眼を向ける。

「そう、悪魔の所為で私の故郷は…」

 回想始め。
 回想終わり。

「…だから地獄に落ちろ、ゲイン(サムダウン」
「おい待て。だからと言う割には回想がおざなりだったぞ」
「斡旋所のお昼ご飯と貴方との決着のどちらが大事か問うまでもないでしょう」

 説明を放棄した説明をするヴェス。
 もう逃がさない、とマーキングを撃ちこむ。

「とりあえず、ロペ子だが…捕まえたのは失敗だったな、ゲイン!」

 刹那、詠歌が叫んだ。

「ドッキングシステム起動!」

 部長から強奪してあったスイッチぽちっとな。
 直後、縦に割れるロペ子。

 縄と爆弾を振り払い、詠歌の両肩に合体。
 詠歌-2 ダブルバレット(以下、DB)仕様へ。

「まずは先制する!」

 ツインドッズアウルキャノン発射。
 慌てて回避するゲイン。

「ユッキー知ってるよ。可愛いものには手が出せないって」

 雪子のターン。

「行けケセラン! 忌まわしき記憶と共に!」

 ケセラン落としを仕掛ける。
 生命力共有? 雪子テイマーじゃないので知りません。実際にケセラン辿り付けても「だからどうした」状態なのは見逃してくれよな〜頼むよ〜。

 だがその直後、「そういえば」と雪子はある事実に気が付く。

「あれ、雪子も可愛いハズなのに今回のシリーズ碌な目に遭ってない件」

 ケセランを行かせてから気付く矛盾。
 瞬間、ロペ子から剥がれて転がっていた爆弾が爆発。
 爆ぜるケセラン。
 吹き飛ぶ雪子。

 迫った爆炎にシエルが慌てて陸ロペの中へと戻る。
 そこへ駆けつける、空ロペと海ロペ。

\今がその時であります!/

 シエルの怒号。
 チェェェェンジロペ子ォォォォォ1!

 変形合体。
 中に乗っているシエルの体がメキメキと拉げる音がしたが、些細な問題だ。

\とりあえず困ったときは1号にすればいいって友達が言ってました/

 唸れロペ子トマホーク!
 轟けロペ子ビーム!
 輝く明日へ、飛び立てロペ子3!!
 次回! 『閃光! 進化の果てへ!』
 来週もこのチャンネルに! スイッチ・オォォォォォン!

 カチッ ドォォォォォン!!

 爆弾直撃。

「ふん、たわいもない」

 だが次の瞬間、爆炎の中からボヒュッと飛び上がるロペ子1。
 まさかの無傷。

 最終決戦、開幕。

 ヴェスがアシッドショットを放つ。
 しかしゲインには当たらず。

「どこを狙っている?」
「狙い通りです」

 ハッ、と気づいて後ろを振り向くゲイン。弾が当たった柱が溶けていた。
 支えを失った資材が降り注ぐ。

 ゲインは反射的に手榴弾を投げ、爆風で資材を弾き返した。
 そのままヴェス達にも複数投擲。連続爆破による塵埃が立ち込める。

 その時、風塊が黒煙を内側から貫いた。
 エアロバーストで出来た氷風のトンネルから飛び出してくる、天使形態の雪子。

「毎度毎度見事に私たちを掌で躍らせて、楽しいですか?」

 氷剣を手に、ゲインへ肉薄。

「終始何でもお見通しで少しの愛嬌も見せず、ギャグキャラの風上にも置けません」

 凍てつく口調でブチ切れ連撃。

「コメディはお互いの理解の上で成り立ってます。それが少しでも崩れた時の恐怖を貴方はご存知でしょうか」

 「じゃあ俺がやるよ」と言った後で誰も「じゃあ俺が」「いやいや俺が」と続いてくれなかった時の虚無感がどれ程の物か。

 雪子の猛攻を、耐爆盾を構えて何とか凌ぎ切るゲインだったが、

「うおぉぉぉ!」

 両肩のロペ子バインダーからアウルソードを噴出させた詠歌DBが、背後より斬りかかってきた。

「ぬぅ!? 何なんだお前は!」
「私は」

 右手ズバァ

「私は!」

 両脚ズバァ

「スーパーブレイカー――」

 左手ズバァ

「幸村 詠歌だー!」

 向こう側に居た雪子ごとズバァ!
 ソードがデカ過ぎたんや。

 頽れるゲイン(と雪子)。
 そこへ真緋呂がマウントポジション。コレダーを纏った両拳で、

 殴る。

 殴る。

 ぼっこぼこ。

「…爆弾を抱いて沈め」

 彼女は和紗が物質にしていた手榴弾をゲインの懐に捻じ込み、ピンを抜k

 その時、真緋呂の脳裏にエフェクトが走る。
 発破の気配。

 直後、ゲインが袖の内側に隠し持っていた爆弾を投げつけてきた。
 爆風をガードしながら飛び退く真緋呂。
 持ってて安心、予測防御。

「ま、まだだ…まだ終わらん……」

 爆弾の遠隔スイッチを押すゲイン。
 切り札の爆弾ビット一斉射出。

 その時、誠二が動いた。
 妙にぼやっとした眼で飛翔しながら、ビットに炎陣球をぶち込む。

 爆薬相手に炎属性攻撃とかマジキチ――あ、さっきの日本酒。
 こいつ悪魔の癖に酔ってやがる。

 誘爆直撃。

「あばー!?」

 消し炭になる誠二。
 切り札だけあって威力が尋常ではない。

「私の勝ちだ!」

 ゲインが吼え、ロペ子1へビットが特攻。

\オープン・ロペ子!/

 寸前、分離して散開するロペシリーズinシエル。
 ビットを躱し、再度合体。だが――

 タイミングをしくじり、空海に挟まれて陸ごと圧潰するシエル。
 墜落。

 墜ちた先にはゲインが居て――

「うおおぉぉぉ!?」

 大 爆 発
































 煙が晴れた後、そこにはシエルによく似た喋る怪草『シエりじを』が咲いていた。

\爆破オチなんてサイテー!/

 一方、グラサージュはゲインと思しき黒炭へと歩み寄り、


 その口にそっとスイーツを捻じ込んだ。



●11:57
 斡旋所。

\爆破オチなんてサイテー!/
\爆破オチなんてサイテー!/
\爆破オチなんてサイテー!/
\爆h(毟られ/

「本日の斡旋所ランチは私に任せてくださいです〜♪」

 宅配ピザを貪る雪子らを他所に、グラサージュがフルーツソース&生クリームたっぷりのパンケーキやキメラスイーツ入りのクーラーボックスを開封。が、

 空っぽ。
 代わりに、口にクリームを付けた小次郎が入っていた。

「血糖値に沁みる美味さです」

 振り返ると、キメラスイーツをもぐもぐしているオペ子。
 いつの間に。

 一方、真緋呂は人質にした局長にごめんなさいをしていた。

「寿座布団で許して下さい!(差し出し」
「ちょっとそこに座れ」

 また、石臼を抱えて隅で体育座りしている和紗や、それを発見して慰めるエリスの姿も。
 気づいた誠二が、重傷で息も絶え絶えにエリスへと近づき、

「はぁ…はぁ…お嬢さん可愛いね…メアド教えてくれないか…はぁ…はぁ…」

 14歳は守備範囲。

「!?」

 うさぬい魔具からビームつぴー。
 じゅっ、と蒸発する誠二。

 今日も斡旋所支部は平和である。



 ――12:00


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 久遠ヶ原から愛をこめて・シエル・ウェスト(jb6351)
 氷結系の意地・玉置 雪子(jb8344)
 『楽園』華茶会・グラサージュ・ブリゼ(jb9587)
重体: −
面白かった!:9人

スペシャリスト()・
ヴェス・ペーラ(jb2743)

卒業 女 インフィルトレイター
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
久遠ヶ原から愛をこめて・
シエル・ウェスト(jb6351)

卒業 女 ナイトウォーカー
光至ル瑞獣・
和紗・S・ルフトハイト(jb6970)

大学部3年4組 女 インフィルトレイター
氷結系の意地・
玉置 雪子(jb8344)

中等部1年2組 女 アカシックレコーダー:タイプB
撃退士・
武田 誠二(jb8759)

大学部7年118組 男 陰陽師
『楽園』華茶会・
グラサージュ・ブリゼ(jb9587)

大学部2年6組 女 アカシックレコーダー:タイプB
火消しの稲妻・
幸村 詠歌(jc0244)

大学部2年201組 女 阿修羅