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マスター:みそか
シナリオ形態:イベント
難易度:非常に難しい
形態:
参加人数:100人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/07/17


みんなの思い出



オープニング

 【緊急速報】
  埼玉県秩父市に、異常な速度で膨れ上がる気脈エネルギーを確認。

 その報せは、瞬く間に久遠ヶ原にもたらされ、全生徒へと通知された。





 『謎の光』による爆発は、三峯一体を縦走していった。
 無尽光研究委員会の研究員らは衝撃に身構え、レミエルは咄嗟に《アウルの衣》で研究員らを保護したが、爆発の直後に濃密な光に飲み込まれただけで、それが過ぎるとまるで平常通りの世界のように、見えた。
 彼らが想像したような被害――閃光に灼かれたり、建物が吹き飛ぶこともなかった。
「‥‥どうやら何も被害は」
 が、彼の背後で一人、また一人と研究員が崩折れ、事切れていく。
「な、に‥‥?」
 凡そ20人。その中で、立っていられたのはレミエルを含めた7人。そのいずれもが、撃退士であった。

 ――傷が一切ないとなると物理的な攻撃という線はまずないだろう。
 仮に毒のようなものが充満したなら、俺達撃退士にも多少なりとも影響がでるはずだ。
 携帯‥‥は、電波が届いているな。なら少なくとも支配領域によるものではない、か。
 では、一体――。

 どくん。

 考えを巡らせる最中、大きく脈打つ鼓動。

 どくん、どくん。

 この感覚は、知っている。
 濃い霧の中にいるような息苦しさ。心臓を握られているような不快感。
 相いれぬ『異界』の環境に適応するため、普段以上にアウルを搾り取られるような感覚。
 アウルの衣ではどうにもならないわけだ。これは、適応出来ぬものの精神を一瞬で刈り取る、聖なる瘴気。
 かつて『地球上』では経験したことはない、だが、事実その感覚は、異界を内包するゲート内のそれと全く同じもの。

「これは――……誰だか知らないが、困った事をしてくれたね」

 言って、レミエルは確信した。
 三峯の地は今、地球上でありながらゲート内部と同じかそれ以上に濃い『天界の空気』に染まってしまった事に。





「すぐに人員を集めろ! これまでのゲートとは訳が違うぞ!」
 資料室で速報を聞いた太珀は、埼玉周辺の報告書をかき集め、寧々美に向かってそう叫んだ。
「ハイ先生! 緊急事態なのはわかるけど、私にもわかるよう説明して欲しいです!」
 緊張感のない少女の声に、太珀は会議室へと足を進めながら答えていく。寧々美も足を動かしながらメモを開いた。

「チッ、仕方ない。特別授業だ中山。断片的な情報をつなぎあわせてみろ。

 リザベルは『地脈を調査していた』と報告があったな?
 ソングレイは『冥魔と天使は等しく同じものを探している』と言った。
 シェリルは『天使の動きに対抗せざるを得ず、埼玉を訪れた』と言った。
 シェインエルは『トビトより上の存在からの命を受けた』と言った。
 レガは『血肉沸き踊る戦いが近い』と言った。

 リザベルが探していた『地脈』は、トビトより上、恐らくはメタトロンが命令を下すほどに重要な地脈ということになる。
 メタトロンが感知している力場なら、ルシフェルも当然手に入れんと乗り出すだろう。
 これはシェリルとシェインエルの言葉から察する事ができる。
 そしてレガは戦いの機運の高まりを告げていた。
 それはつまり天魔両陣営が、『血肉沸き踊る戦い』をしてでも手に入れる意義のある、要所。

 導かれる答えはひとつだ。
 埼玉の――恐らく異常観測が見られた秩父に、莫大なエネルギーを蓄えた地脈がある。
 それこそ、天魔戦争を左右しかねない規模のな‥‥!」


 言い終わるとほぼ同じ速度でメモを終えると、首をかしげる寧々美。
「もし仮に悪魔が目的の地脈を見つけたら、悪魔勢力を集めてから地脈を開放しそうですよね? その方が確実だし。
 でも、報告書を見る限りそういった動向は見られない」
「ああ、そこは僕にもまだわからないところだな」
 久遠ヶ原で捕捉した天魔が尽くブラフだったか、今開放されたことが天魔達にとってもイレギュラーなのか。
 今の段階ではどちらも可能性としてはある、としか太珀には言えない。
 5月にナターシャに接触した天使がいたのが、もしかしたら本命だったのかも――

(‥‥そういえば、なぜ使徒であるナターシャに天使が接触したんだ‥‥?)

 ふ、と。何かを掴みかけたような、そんな気がしたが、しかし頭を振って再び前を睨んだ。
 今確実なのは、埼玉各地に出没した天魔に接触すべく出ている先遣隊の一部は秩父に残っていること。
 そしてもしディアボロやサーバントが大量に発生した場合、彼らが孤立しかねないということだった。
「とにかく、まだ『中』に残っている連中を救助できれば、詳しくわかることもあるだろう。そのためには――」
「大至急で救助隊を派遣して、人命救助と状況の把握が大事!! ってことですね!」

 ぱん、と軽い音を立てて取材メモ手帳を閉じる寧々美。
「それじゃ私は状況まとめて超速報の号外撒いてきまっす! 情報の周知徹底はブン屋の大事な役目ですから!」
 言って、彼女が部室棟へと足を向けた丁度その時、再び太珀の黒電話着信音が廊下に響き渡る。
 足を止めて太珀を見やる寧々美。太珀は舌打ちを一つ、スマフォを耳にあてると、面倒くさそうに「なんだ」と言った。


『やぁ太珀。すまないが――ちょっと、助けてくれないかな』



リプレイ本文

該当リプレイは以下のURLの特設ページで公開されております。

http://www.wtrpg9.com/event/event_boa/index.html                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          


依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: 紫水晶に魅入り魅入られし・鷺谷 明(ja0776)
 釣りキチ・月詠 神削(ja5265)
 セーレの王子様・森田良助(ja9460)
 桜花絢爛・獅堂 武(jb0906)
 誓いを胸に・ナナシ(jb3008)
 されど、朝は来る・ファーフナー(jb7826)
 大切な思い出を紡ぐ・ジョン・ドゥ(jb9083)
重体: 暗殺の姫・紅 鬼姫(ja0444)
   <囮役として奮戦した>という理由により『重体』となる
 絆を紡ぐ手・大狗 のとう(ja3056)
   <囮役として奮戦した>という理由により『重体』となる
 あなたの縁に歓びを・真野 縁(ja3294)
   <囮役として奮戦した>という理由により『重体』となる
 蒼を継ぐ魔術師・アスハ・A・R(ja8432)
   <阿修羅から集中攻撃を受けた>という理由により『重体』となる
 久遠ヶ原学園初代大食い王・Unknown(jb7615)
   <白玉からの反撃を受けた>という理由により『重体』となる
面白かった!:12人

胡蝶の夢・
ケイ・リヒャルト(ja0004)

大学部4年5組 女 インフィルトレイター
Eternal Flame・
ヤナギ・エリューナク(ja0006)

大学部7年2組 男 鬼道忍軍
God of Snipe・
影野 恭弥(ja0018)

卒業 男 インフィルトレイター
新世界への扉・
只野黒子(ja0049)

高等部1年1組 女 ルインズブレイド
撃退士・
マキナ・ベルヴェルク(ja0067)

卒業 女 阿修羅
撃退士・
セレス・ダリエ(ja0189)

大学部4年120組 女 ダアト
撃退士・
鈴木悠司(ja0226)

大学部9年3組 男 阿修羅
思い繋ぎし紫光の藤姫・
星杜 藤花(ja0292)

卒業 女 アストラルヴァンガード
撃退士・
天風 静流(ja0373)

卒業 女 阿修羅
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
創世の炎・
大炊御門 菫(ja0436)

卒業 女 ディバインナイト
暗殺の姫・
紅 鬼姫(ja0444)

大学部4年3組 女 鬼道忍軍
パンダヶ原学園長・
下妻笹緒(ja0544)

卒業 男 ダアト
Blue Sphere Ballad・
君田 夢野(ja0561)

卒業 男 ルインズブレイド
約束を刻む者・
リョウ(ja0563)

大学部8年175組 男 鬼道忍軍
歴戦勇士・
龍崎海(ja0565)

大学部9年1組 男 アストラルヴァンガード
遥かな高みを目指す者・
地領院 徒歩(ja0689)

大学部4年7組 男 アストラルヴァンガード
dear HERO・
青空・アルベール(ja0732)

大学部4年3組 男 インフィルトレイター
紫水晶に魅入り魅入られし・
鷺谷 明(ja0776)

大学部5年116組 男 鬼道忍軍
戦場ジャーナリスト・
小田切ルビィ(ja0841)

卒業 男 ルインズブレイド
二月といえば海・
櫟 諏訪(ja1215)

大学部5年4組 男 インフィルトレイター
最強の『普通』・
鈴代 征治(ja1305)

大学部4年5組 男 ルインズブレイド
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
愛すべからざる光・
神喰 朔桜(ja2099)

卒業 女 ダアト
奇術士・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

卒業 男 鬼道忍軍
歌謡い・
亀山 淳紅(ja2261)

卒業 男 ダアト
ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
『天』盟約の王・
フィオナ・ボールドウィン(ja2611)

大学部6年1組 女 ディバインナイト
撃退士・
金鞍 馬頭鬼(ja2735)

大学部6年75組 男 アーティスト
絆を紡ぐ手・
大狗 のとう(ja3056)

卒業 女 ルインズブレイド
あなたの縁に歓びを・
真野 縁(ja3294)

卒業 女 アストラルヴァンガード
君のために・
桐生 凪(ja3398)

卒業 女 インフィルトレイター
おかん・
浪風 悠人(ja3452)

卒業 男 ルインズブレイド
蒼の絶対防壁・
鳳 蒼姫(ja3762)

卒業 女 ダアト
撃退士・
鳳 静矢(ja3856)

卒業 男 ルインズブレイド
新たなる平和な世界で・
巫 聖羅(ja3916)

大学部4年6組 女 ダアト
ブレイブハート・
若杉 英斗(ja4230)

大学部4年4組 男 ディバインナイト
庭師・
〆垣 侘助(ja4323)

大学部6年52組 男 阿修羅
黒の微笑・
石田 神楽(ja4485)

卒業 男 インフィルトレイター
撃退士・
ラドゥ・V・アチェスタ(ja4504)

大学部6年171組 男 阿修羅
良識ある愛煙家・
ロベル・ラシュルー(ja4646)

大学部8年190組 男 ルインズブレイド
釣りキチ・
月詠 神削(ja5265)

大学部4年55組 男 ルインズブレイド
思い繋ぎし翠光の焔・
星杜 焔(ja5378)

卒業 男 ディバインナイト
魔族(設定)・
ギィネシアヌ(ja5565)

大学部4年290組 女 インフィルトレイター
夜の帳をほどく先・
紫ノ宮莉音(ja6473)

大学部1年1組 男 アストラルヴァンガード
紅茶神・
斉凛(ja6571)

卒業 女 インフィルトレイター
心の盾は砕けない・
翡翠 雪(ja6883)

卒業 女 アストラルヴァンガード
時代を動かす男・
赤坂白秋(ja7030)

大学部9年146組 男 インフィルトレイター
押すなよ?絶対押すなよ?・
メフィス・ロットハール(ja7041)

大学部7年107組 女 ルインズブレイド
蒼を継ぐ魔術師・
アスハ・A・R(ja8432)

卒業 男 ダアト
暁の先へ・
狗月 暁良(ja8545)

卒業 女 阿修羅
セーレの王子様・
森田良助(ja9460)

大学部4年2組 男 インフィルトレイター
陽へと輝く星の煌き・
弥生丸 輪磨(jb0341)

大学部4年261組 女 アストラルヴァンガード
鉄壁の守護者達・
黒井 明斗(jb0525)

高等部3年1組 男 アストラルヴァンガード
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
撃退士・
黒夜(jb0668)

高等部1年1組 女 ナイトウォーカー
紡ぎゆく奏の絆 ・
水無瀬 快晴(jb0745)

卒業 男 ナイトウォーカー
桜花絢爛・
獅堂 武(jb0906)

大学部2年159組 男 陰陽師
ラブコメ仮面・
袋井 雅人(jb1469)

大学部4年2組 男 ナイトウォーカー
深淵を開くもの・
アイリス・レイバルド(jb1510)

大学部4年147組 女 アストラルヴァンガード
陰のレイゾンデイト・
天宮 佳槻(jb1989)

大学部1年1組 男 陰陽師
黒焔の牙爪・
天羽 伊都(jb2199)

大学部1年128組 男 ルインズブレイド
籠の扉のその先へ・
Robin redbreast(jb2203)

大学部1年3組 女 ナイトウォーカー
撃退士・
ルナ・ジョーカー・御影(jb2309)

卒業 男 ナイトウォーカー
我こそ肉体言語体現者・
ギメ=ルサー=ダイ(jb2663)

大学部4年215組 男 アストラルヴァンガード
誓いを胸に・
ナナシ(jb3008)

卒業 女 鬼道忍軍
By Your Side・
蛇蝎神 黒龍(jb3200)

大学部6年4組 男 ナイトウォーカー
蒼閃霆公の心を継ぎし者・
メリー(jb3287)

高等部3年26組 女 ディバインナイト
ペンギン帽子の・
ラファル A ユーティライネン(jb4620)

卒業 女 鬼道忍軍
想いを背負いて・
竜見彩華(jb4626)

大学部1年75組 女 バハムートテイマー
剣想を伝えし者・
戸蔵 悠市 (jb5251)

卒業 男 バハムートテイマー
セーレの大好き・
詠代 涼介(jb5343)

大学部4年2組 男 バハムートテイマー
優しき強さを抱く・
ユウ(jb5639)

大学部5年7組 女 阿修羅
総てを焼き尽くす、黒・
牙撃鉄鳴(jb5667)

卒業 男 インフィルトレイター
撃退士・
ロジー・ビィ(jb6232)

大学部8年6組 女 ルインズブレイド
愛する者・
華澄・エルシャン・御影(jb6365)

卒業 女 ルインズブレイド
Cherry Blossom・
華桜りりか(jb6883)

卒業 女 陰陽師
シスのソウルメイト(仮)・
黒羽 拓海(jb7256)

大学部3年217組 男 阿修羅
マインスロワー・
ゲルダ グリューニング(jb7318)

中等部3年2組 女 バハムートテイマー
縛られない風へ・
ゼロ=シュバイツァー(jb7501)

卒業 男 阿修羅
外交官ママドル・
水無瀬 文歌(jb7507)

卒業 女 陰陽師
雷閃白鳳・
支倉 英蓮(jb7524)

高等部2年11組 女 阿修羅
優しさに潜む影・
ルティス・バルト(jb7567)

大学部6年118組 男 アストラルヴァンガード
久遠ヶ原学園初代大食い王・
Unknown(jb7615)

卒業 男 ナイトウォーカー
鬼!妖怪!料理人!・
葛葉アキラ(jb7705)

高等部3年14組 女 陰陽師
Lightning Eater・
紅香 忍(jb7811)

中等部3年7組 男 鬼道忍軍
烈火の拳を振るう・
川内 日菜子(jb7813)

大学部2年2組 女 阿修羅
されど、朝は来る・
ファーフナー(jb7826)

大学部5年5組 男 アカシックレコーダー:タイプA
圧し折れぬ者・
九鬼 龍磨(jb8028)

卒業 男 ディバインナイト
明けの六芒星・
リアン(jb8788)

大学部7年36組 男 アカシックレコーダー:タイプB
撃退士・
僅(jb8838)

大学部5年303組 男 アストラルヴァンガード
大切な思い出を紡ぐ・
ジョン・ドゥ(jb9083)

卒業 男 陰陽師
撃退士・
若宮=A=可憐(jb9097)

大学部2年3組 女 インフィルトレイター
魔法使い・
キュリアン・ジョイス(jb9214)

大学部6年3組 男 バハムートテイマー
撃退士・
サーティーン=ブロウニング(jb9311)

大学部3年7組 女 鬼道忍軍
スプリング・インパクト・
マリア(jb9408)

大学部7年46組 男 陰陽師
風を呼びし狙撃手・
アルベルト・レベッカ・ベッカー(jb9518)

大学部6年7組 男 インフィルトレイター
『楽園』華茶会・
草摩 京(jb9670)

大学部5年144組 女 阿修羅
空の真ん中でお茶を・
夜桜 奏音(jc0588)

大学部5年286組 女 アカシックレコーダー:タイプB
その愛は確かなもの・
華子=マーヴェリック(jc0898)

卒業 女 アストラルヴァンガード