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マスター:黒川うみ
シナリオ形態:ショート
難易度:易しい
参加人数:10人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2012/06/08


みんなの思い出



オープニング

 それはとある書店でのこと。

「サインありがとうございます!」
「応援してます!」
「握手して下さい!」

 書店と言っても音楽コーナー、映像コーナー、ゲームコーナーと色々ある大きなショップである。
 開かれているイベントには人だかりができており、サイン会の主役は売り出し中のシンガソングライターである。
 彼女は満面の笑みを浮かべ快くファンの言葉に応えているが、内心は穏やかではなかった。



 サイン会が決まった時、彼女は事務所でこう叫んだ。
「だめよ、私には才能なんかないんだわ! サイン会なんてとても無理よ!」
 歌うのが嫌いなわけではない。
 人前で歌うのは、もちろん好きだ。大好きだ。
 そうでなければ歌手になろうだなんて思わなかった。

 ただここのところ、酷いスランプに陥っているのも確かだった。

 曲も詞も、納得するものが作れない。
 自分が納得できないものを売り物になどできない。

 事務所の社長はそれは一時的なこと、売れ始めたプレッシャーからくるものと宥めた。
 が、当人には気休めにもならなかった。
 プロになりたい人はいくらでもいるのだ。
 特に新人、売り出し中の歌手などすぐに消えてもおかしくない。
 そんなことは改めて口にしなくてもわかっている。

 しかしサイン会を開くことはもう決まっていたし、日も迫っていた。
 そこで事務所の社長は一計を案じた。
「君、久遠ヶ原学園は知っているね?」
「はい。スタントやCGがなくても凄い映像が撮れるって有名ですから」
 なんとなく間違った認識だが、したり顔で社長は言った。
「そうだ。新しいアルバムのテーマはこれにしよう」
「え?」
「天魔と戦う学生たちのリアルを、そして普段の学生生活のギャップ――テストや友情や恋愛、そうしたものを詰めてプロデュースしようじゃないか」

 それはなんだか、とても魅力的なことに思えた。

「久遠ヶ原学園には個性的な生徒が数多くいると聞いている。知り合いがそこの教師をしているから、サイン会が終わったら取材ができるように頼んでおく。内容については学生たちと直に話し合うといい。君にとってもいい刺激になるだろう」

 だからサイン会を頑張って乗り切ることにしたのだ。




「……よろしくって言われてもねえ。こっちにも都合ってものがあるのよねー」
「カズハちゃん先生、芸能プロダクションの社長さんと知り合いなんですか?」
「知り合いというか……以前、相棒がスタントマンとして映画に出たことがあって、それを見学しに行った時名刺をもらったくらいよ? 面識がある程度なんだけど」
 親しくもなければ頼みを聞いてやる義理もない。
 だが、第一線で活躍している人と生徒を逢わせるのは悪い話ではないように思えた。
「一応お給料も出るし、滅多にない経験ができるとなれば、将来の肥やしにはなるかもしれないわね」
 今は学生でもいずれ社会に出て働かなければならない。
 久遠ヶ原にいる限り学生ではいられるが、自分のように怪我を負って引退を余儀なくされる者もいる。
 それに最近は将来を撃退士だけに限ることもないという風潮がある。
「とりあえず話を通すだけ通してみましょ」


リプレイ本文

『BREAKERS!』

天魔と戦う少年少女――その素顔にスポットライトをあてた
 そこには当たり前に恋をし、友人関係に悩み、勉学に励む姿があった


●01 ペルソナ / 原案・近衛 薫(ja0420)

沈んでいく 夢のまにまに
どこへ手を伸ばせば息ができるのか
問いかければ 答えが出るの?
誰一人ここにはいない気がするのに

苦しくても もがきたくても
暗闇に囚われたまま堕ちていく
私は誰 答えが出ない
ただひとつ 夢を塗りつぶしているのは

自分自身だと
わかっているけれど

私は僕で 僕は私
仮面の下の素顔はどちら
忘れてしまった 選べなかった
仮面の下の素顔はどちら

僕は私で 私は僕
みんなが欲しい“わたし”はどちら
どちらでもいい どちらでもいい
みんなが欲しい“わたし”はどちら


溺れている 優しい夢に
まぼろしとまほろばに胸躍らせて
差し出された 温かい手は
この胸と同じ想いで震えていた

目覚めないで 溺れていたい
夢ならば久遠に続いていて欲しい
だけれど今 広がる世界
たくさんの夢を消して前を見つめる

自分一人では
持てなかった勇気

私は僕で 僕は私
仮面の下の素顔はどちら
どちらがウソで どちらがホント?
仮面の下の素顔はどちら

僕は私で 私は僕
“わたし”が欲しい“わたし”はどちら
どちらでもいい 両方自分
ようやく一歩、踏み出せた



●02 Arbitrator / 原案・カタリナ(ja5119)

あの頃は それが世界で
一番の正しい形だと思ってた

ただそれは とても勝手で
子供っぽい正義の味方でしかなかった

争いがなければ
みんなは幸せに

幸せになるために争いをなくそう
争いを止めるために戦う
戦えば争いが増えてくのはなぜ
私なら傷ついてもいいのに


でも今は 子供だったと
沢山の意地を張ってたことに気付いた

見せかけの平和よりも
本当の幸せのため戦うならば

この殻を破って
世界広げよう

独りでは見えなかった暗闇を照らそう
大切な人のために戦う
戦えば傷ついて悲しむこともある
でもきっとあなたと分かち合える

私のために戦ってくれるあなたとなら



●03 旅の途中 / 原案・カルム・カーセス(ja0429)

天空を羽ばたく鳥のように
自由の風を切り 遠くへ
稲妻も嵐も向かい風も
ものともせずに さあ、遠くへ

淋しさと少しの不自由では
私を捕まえられない
素晴らしい世界を閉ざせない
翼を広げ さあ、遠くへ

ああ 優しい君を止まり木に
ああ 悲しい罪を止まり木に

羽を休ませたら
飛んでいこう どこまでも


明け方に飛び立つ鳥のように
いつかはここを去り 遠くへ
悩んだり怯えて竦んだり
多くのことがあるだろう

だからこそ私は鳥のように
何度も立ち上がり 空へ
困難を二人で乗り越えて
思い出にして さあ、遠くへ

ああ 愛しい君を止まり木に
ああ 苦しい傷を止まり木に

羽を休ませたら
飛んでいこう どこまでも

どこまでも



●04 守るべきもの / 原案・久遠 栄(ja2400)

ふと見上げたときの夕日の赤さ
いつまでも笑ったあの日の会話
覚えてるかな

守るべき人たち守れなくって
悔しくて泣いたあの日の想い
覚えてるかな

毎日繰り返す
日常と非日常

埋もれていく思い出を
ひとつひとつ掘り起こし
薄れている当たり前を
強く肌に感じたい

ささやかな幸せを
ひとつひとつ数えたら
目の前の困難も
越えていける気がするよ


好きな子が浮かべた可愛い笑顔
意味もなく騒いだ放課後の時間(とき)
覚えてるかな

今度こそ仲間を守ってみせると
強くなりたいと誓った決意を
覚えてるかな

毎日繰り返す
日常と非日常

忘れていく光景を
ひとつひとつ取り出して
目を逸らさず見つめてみる
怖さつらさもあるけど

全部ぼくの一部だと
ひとつひとつ確かめる
いつの日か忘れても
ぼくの中にちゃんとある



●05 Little steps! / 原案・二階堂 かざね(ja0536)

楽しいことはなんだろう?(食べる?)
嬉しいことはなんだろう?(おやつ!)
顔を上げたらスタートダッシュ!(ごはん!)

私はいつも全力疾走

楽しいことはなんだろう?(ぱそこん?)
美味しいものはなんだろう?(お菓子!)
よそ見してたら顔面強打!(いたい!)

私はいつも全力投球

たまには失敗もするけれど
 失敗は成功のもとって言うでしょ♪

授業はねむねむ(ねむねむ〜)
テストはひやひや(ひやひや〜)
戦う時は真剣勝負!

まだまだ強くなる(まだまだ〜)
五十歩百歩(少しずつ〜)
諦めないよ Little steps!


悲しいことは考えない!(ハイ!)
悪い方に考えない!(イエス!)
チャイム鳴ったら猛烈ダッシュ!(おやつ!)

わたしはいつも全力前進

悲しいことは考えない!(ヘイ!)
悪いことより良いことを!(です!)
苦しいのはお腹いっぱい!(げぷっ)

わたしはいつも猪突猛進

厳しいツッコミもあるけれど
 めげないでぽじてぃぶしんきんぐ!

学校はワクワク(ワクワク〜)
購買はドキドキ(ドキドキ〜)
誰かのために日々是修行!

少しずつ頑張ろう(まだまだ〜)
心頭滅却(とかなんとか〜)
諦めないで Little steps!



●06 男の娘の悩み / 原案・権現堂 幸桜(ja3264)

大好きなものを並べてみよう
可愛い服とアクセサリー
甘いお菓子とショッピング
大事な人へプレゼント

大好きなひとを見つめるだけで
胸がドキドキ高鳴るし
急にそわそわしちゃうけど
守りたいって思うんだ

理解してとは言わないけれど
頭ごなしに否定しないで

男か女かハッキリしろって
心はちゃんと男なんです
だったら女の服着るなって
これにはちゃんと理由があるんです

オトコノムスメが悪いんですか?
心はちゃんと男なんです
女に囲まれて羨ましいって
気絶するほど苦手なんです


大切なものを守れるのなら
苦手なことも平気です
怪我をしたって泣きません
絶対に生きて帰ります

大切なひとと生きていくため
一分一秒大切に
息をするのも苦しくて
愛してるって伝えたい

みんなと同じ平凡な恋
だけど僕には特別な恋

男か女かハッキリしろって
心はちゃんと男なんです
だったら男の服を着ろって
これにはちゃんと理由があるんです

オトコノムスメが悪いんですか?
心はちゃんと男なんです
彼女の気持ちが分からなくって
いつもいつも空回りです



●07 真夏のイブ / 原案・道明寺 詩愛(ja3388)

ふわり 粉雪が舞う日のことでした
ひとつ 約束を守れませんでした
はらり あなたを守れませんでした

ふわり 花びらが舞う季節になっても
ひとり あなたは目覚めませんでした
ぐっと 涙をこらえて待ちました

ぽつり 雨音が奇跡を呼びました
だけど あなたは忘れてしまいました
するり すべてがすり抜けていきました

運命のクリスマス・イブ
悲しみのクリスマス・イブ

きっと忘れないよ あの日のこと
 たくさん、たくさん、泣いたから
ずっと忘れないよ あなたのこと
 ぜったい、ぜったい、忘れない

 
ひらり 紫陽花が枯れる頃になっても
ひとり 懸命に支え続けました
はらり 心はあの日のままでした

ふわり 暖かな風がそよぎました
ひとつ あなたはわたしに問いました
そっと 悲しげな瞳に答えました

ひらり 向日葵を見上げ笑いました
ふたり 寄り添って恋を語りました
ひとつ 新しい約束をしました

運命の真夏のイブ
はじまりの真夏のイブ

きっと忘れないよ あの日のこと
 たくさん、たくさん、泣いたから
ずっと忘れないよ あなたのこと
 ぜったい、ぜったい、忘れない



●08 mao a mao / 原案・沙酉 舞尾(ja8105)

本当に悲しい時
どんな言葉も役に立たない
優しさも慈しみも
ひどく虚しく煩わしいだけ

頑なに拒んだのに
ぎゅっと抱きしめ撫でてくれたの
あたたかくて涙が出た
胸に灯りがつくのを感じた

ありがとう おとうさん
ありがとう おかあさん

mao a mao 手と手を繋いで
 思い出は宝箱にしまおう
mao a mao 本音をさらして
 思いきり泣いたらきっと笑える

mao a mao 手と手を繋いで
 いつの日か誰かを助けるよ
mao a mao 私にしてくれたように…ね?


友達が苦しい時
何が私にできるだろうか
傍にいる それだけでも
とても心が強くなれるんだ

「頑張れ」も「大丈夫」も
傷を突き刺すことがあるから
話してくれるのを待とう
こんなことしかできなくてごめんね

ありがとう Lala...
ありがとう Lala...

mao a mao 手と手を繋いで
 体温でそっと話をしようか
mao a mao 優しい沈黙
 明日には笑顔を見せて欲しい

mao a mao 手と手を繋いで
 今はただ ここにいるだけでいい
mao a mao あなたはひとりじゃないから…ね!



●09 幸せな生き方を / 原案・鳳月 威織(ja0339)

僕の生き方は たぶん
人は幸せと呼ばないだろう
人の一生は たった
一度きりのものだから余計に

僕は戦うよ それが
僕の選んだ生き方だから
幸せかどうか それは
僕が決めるものだと思うんだ

たとえ止められても
もう決めたことだから

あなたが生きたい場所はどこですか?
あなたが成したいものはなんですか?
あなたの大切なものはなんですか?
…どうかその気持ちを大切にして。


僕の生き方を うん
人に押しつけるつもりはない
真似て幸せに ううん
それをあなたが望むなら止めない

僕は戦うよ それが
僕の幸せ、生き方だから
迷い悩んで きっと
あなた以外に答えは出せない

たとえ止められても
自らの道を行こう

あなたが生きたい場所はどこですか?
あなたが成したいものはなんですか?
あなたの大切なものはなんですか?
…どうかその気持ちを忘れないで。



●10 夢の守り人 / 原案・君田 夢野(ja0561)

心につける薬はない
時間が癒してくれると人は言う
憎悪につける薬はない
時間が増幅させると人は言う

音色は嘘をつかないから
この手が奏でるピアノは泣いている
優しく穏やかな人に
弾いて欲しいとピアノも泣いている

だけど ねえ
こんなにも傷ついてなお

輝く夢を胸に笑う子供たち
未来を信じ共に笑う子供たち
君たちに、
僕のピアノはどう聞こえるのだろうか

輝く夢を胸に笑う子供たち
未来を信じ共に笑う子供たち
君たちの、
夢を守りたいと願う資格が欲しい


心の傷は隠している
仲間といると治った気がするから
憎悪はそっと飲み込んだんだ
仲間が止めてくれることを知ったから

音色が嘘をつかないなら
少しは優しい弾き手になったかな
仲間を信じ、人を愛し
おそるおそるピアノを奏でるよ

だって ねえ
あんなにも傷ついたのに

輝く夢を胸に笑う子供たち
未来を信じ共に笑う子供たち
君たちが、
僕のピアノで笑顔になってくれるから

輝く夢を胸に笑う子供たち
未来を信じ共に笑う子供たち
君たちの、
夢を守ることが僕の夢になったから



●11 集いし想い /合作

いにしへの都に白い闇が襲い来る
つんざく悲鳴 飛び散る鮮血

恐ろしき使者が牙を剥いて襲い来る
虚空を睨み 戦士は立ち向かう

その背を仲間に預け
 勝機薄い戦に命を賭して

助け求める人々 こぼれ落ちる命を
すべてを救えるだけの力が欲しい

共に戦う同志よ 力合わせることを 
忘れず大義のために戦おう


その背を仲間に預け
 勝機薄い戦に命を賭して

守らねばならぬ人を 力なき命を
すべてを救えるだけの力が欲しい

仲間信じて進もう 畏れるものなどない
我らの使命を今、果たそう




●COMMENT?
近衛 薫
「わたくしでもやっと友達が出来ました。大切な友達です、わたくしは一人じゃなくなったのでしょう。此方で出会った人は皆さんいい人ばかりですから」

カタリナ
「え、ええと‥音楽は大好きですし、期待しています! よかったらプロ活動の楽しい事、大変な事、聞いてみたいです」

カルム・カーセス&二階堂 かざね
「おー、かざねじゃねえか。どうしたんだ? こんなとk・・・かざね、今日作んのは曲だ。食えねえぞ?」
「お菓子はでないんですか!? 歌? ならお菓子の歌作る!」
「おー、頑張れよーって、待てコラ。あっちの美人さんのスランプ脱出が掛かってんだ、真面目にやれ。腹減ってんならポテチやるから」
「極めつけは頭使ったから後でお菓子作ってくださいねー」

久遠 栄
「こんな時代だからささやかな幸せも大事にしていきたいよね。本当は好きな子には笑顔を向けてくれるだけじゃなくてもっと話をしたいんだけどね。あっ、いや、何でもないよ(照れ) 」

権現堂 幸桜
「この学園には男の娘がいっぱいいます。僕はその代表だと思っています。……男の娘がリア充だっていいじゃないですか!」

道明寺 詩愛
「撃退士は大事な物、場所、人を守るために戦っています。その気持ちは皆さんと変わりないんです」

沙酉 舞尾
「私たちの持つアウルのように、貴女には歌という力があるって私は思います。…だからこの曲たちも、胸を張って歌ってくれたら嬉しいです」

鳳月 威織
「誰かの幸せが、僕の幸せ。繋がっているなら、それはとても素敵なこと」

君田 夢野
「自分の撃退士としての在り方を再認するいい機会にもなったよ。今度CDが出たら絶対に買うから」


依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: −
重体: −
面白かった!:5人

死神と踊る剣士・
鳳月 威織(ja0339)

大学部4年273組 男 ルインズブレイド
撃退士・
近衛 薫(ja0420)

大学部6年194組 女 ダアト
My Sweetie・
カルム・カーセス(ja0429)

大学部7年273組 男 ダアト
お菓子は命の源ですし!・
二階堂 かざね(ja0536)

大学部5年233組 女 阿修羅
Blue Sphere Ballad・
君田 夢野(ja0561)

卒業 男 ルインズブレイド
心眼の射手・
久遠 栄(ja2400)

大学部7年71組 男 インフィルトレイター
愛を配るエンジェル・
権現堂 幸桜(ja3264)

大学部4年180組 男 アストラルヴァンガード
悪戯☆ホラーシスターズ・
道明寺 詩愛(ja3388)

大学部5年169組 女 アストラルヴァンガード
聖槍を使いし者・
カタリナ(ja5119)

大学部7年95組 女 ディバインナイト
懐かしき思い出の味・
沙酉 舞尾(ja8105)

大学部4年152組 女 鬼道忍軍