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マスター:川崎コータロー
シナリオ形態:シリーズ
難易度:難しい
形態:
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/02/21


みんなの思い出



オープニング


 そういえば、今回の依頼者の詳細を、十は知らなかった。
 あの時空港で春夏冬に携帯を投げ渡され「久遠ヶ原と関係のある者だ」との自己紹介を受けただけで、特にこれといった個人情報を聞いた事がないのが実情だ。
 それでもここまで行動ができたのは、支給品や寄越してくる情報の質や精度がかなりのものだからか。ともかく、顔も見たことの無い謎の多い人物ではあるが、ある程度信用してもいいのも事実であった。
 どういった組織に所属する何某なのか、気になる事は多々あった。しかし、知ろうという気にはならなかった。いや、なれなかった。
 バックアップなどで一定の誠意が見て取れるというのもあるが、それ以前に、「知らないほうがいい」情報というのは存在する。情報の扱いに長けた軍の出身だ、例え現場の人間であってもそれ位は理解ができた。
『報告書を読んだよ。今回もご苦労だったね』
「……いえ、こちらも大方慣れてきた所です」
 諸々の意味を含めて奇妙な敵ではあるが、結果的には倒せているので問題はないのか。
『さて、報告書を読めば読むほど気になるのは須藤の事だ。非常に興味深い。一部からは「是非とも話を聞いてみたい」との声もあるよ』
「それは……誰でしょう」
 いや、わかりきった事だ。
『無論、須藤自身とだよ。君達の言いたいことは全て報告書にあるだろうしね』
「つまり――」
 ここから導かれる結論。
「――須藤の生け捕りをご所望か」
『やはりあれが見込んだだけはあるな』
 元より須藤は犯罪組織・夜明けの八咫烏重要参考人であり、こと犯罪組織に関しては非常に多くの情報を持っている事が判明している。そこに、ディアボロを操っているらしい奇妙な義手をぶら下げて登場したのだ。
 多方面から見て、非常に高い価値を持っているのは違いない。
『できれば五体満足がいい。情報を抜き取るだけならば植物人間でも問題は無いが、いかんせん確かめたい事が多くてな。次にまた腕だか足だかが取れて植物人間というのは都合が悪い』
 確かめたい事、とは即ち義手の事だろう。よもや須藤を殺して義手だけを持ち帰り、それで実証実験とはリスキーが過ぎるか。
『無論、彼が求めれば、久遠ヶ原で人並みの生活を送る事を約束しよう。尤も監視は付くし、定期的に事情聴取なども行われるが――我々と送る「素敵な時間」とどちらがいいのかは、そうだな……彼自身が決めたらいいだろう』
 素敵な時間、とは一体何をするのか。考えたくはなかったが、行き着く先は人の形すら留めていない姿が妥当だろう。
「しかし、あの須藤が学園側に付くとは思いませんが……」
『だから言っただろう。彼自身が決めたらいい。嫌がっているのに学園内で暴れられてもこちらが困るだけだ』
「……」
 現場で動いている身分からすれば暴論だが、一応、筋は通っている。
『そろそろ厳しくなってきただろう。報酬は弾む。次も頼んだよ』
 面倒事に続く厄介事。途中で逃げ出せたら楽なものだが、生憎とそうもいかない。
「……了解しました」
 先行きに底知れない不安を感じながら返答。そこから通話が切れた事を確認すると、十は深い溜息を吐いた。


 須藤ルスランは意味がわからなくなってきた。
 グルグルズルズルと巡りに巡るどす黒い感情と、キラキラと美しく輝く真っ白な記憶が、理解できないほどに混ざり合って自分の中をのたうち回っている。
 天魔に対する憎悪か。
 久遠ヶ原に向ける怨恨か。
 組織に手向けた憧憬か。
 あの人に捧げる忠誠か。
 全て全てが自分に向かって肉体を抉ってくる感覚。
 やがて自我をも崩壊し、脳髄をも虫食いになってゆく不快感。
 救いなんて一片もない暗闇の中で、彼はただ蹲る。
 食い散らかされてゆく脳髄の代わりに、殺せ殺せとしきりに嘯く何かが入ってくる。
 では、何を殺せばいいのか。
 では、何を憎めばいいのか。
 では、そもそも自分は何者なのか。
 黒い霧に奥深くまで侵食された須藤の自我は、再び戻ってくる事はないのか。
 最早客観視すらできない須藤には、その事すらわからないのか……
 自分が何を考え、動き、求めるものすら、闇の中に掻き消されたままであった。

「ヨヨヨヨヨ……皆殺しマルグリットまで壊れちゃいましたか……ベリーベリーマストモスト悲しい……」
「マクスウェル様ぁ。お元気を出すのですぅ。まだ暴虐リリアンヌがいるのですぅ」
 泣いているらしいマクスウェルを慰めるリリアンヌ。
「それでもどうしましょう……アンネローゼはどうでも良かったとして、マルグリットは痛手なのですぅ」
 皆殺しマルグリット。何を考えているのかはわからなかったので、早いことくたばって欲しい奴ではあった。が、悔しいかな自分より頭は切れるので、要所要所で頼りになったのも確かだ。
「オヨヨヨヨ……では、須藤殿の最初の指示通りに久遠ヶ原にゴーするのがよろしいかと思いますよぉおおおおおお!!!! やっぱりモスト悲しい! アンネローゼ……マルグリット……君達は某の素晴らしい作品だったのですよぉおおおお!!!!」
「……そうですかぁ?」
 首をかしげながら、わんわん喚くマクスウェルに聞く。
「ずびっ……ぐずっ……その通りです。指揮官は何を言わせましょう、ミスター須藤殿なのです。リリアンヌ達は須藤殿の指示に従ってアクティブすればいいのですよ」
「そっか! そうですよねぇ! じゃあ須藤様ぁ、リリアンヌといっしょに進みましょー!」
 こくこくと頷いたリリアンヌは、最早黒い霧の繭とも言うべきものに包まれてウンともスンとも言わない須藤に意気揚々と話しかけている。
「彼の言う通りに動き、戦ったら、某のデータがまた……」
 真の顔は見えない被り物の奥、悪魔が笑った――ような気がした。

前回のシナリオを見る


リプレイ本文


 日々様々な物品が行き交う、潮風の場所――埠頭。
 今日も変わらず、海外から何かが輸入され、ここから何かが輸出されてゆく筈だった。
 しかし今、そこに居座っているのは――骸骨。
 歯車と発条で動く、機械仕掛けに見せかけた悪魔の手先。
 先の骸骨と比べると巨体なその骸骨は、歪に肥大化した手に、枯木に石を襤褸布で括りつけた槌を手に持っていた。
「見た所、今回のディアボロはハンマー系の武器かな」
 双眼鏡で敵の様子や配置を確認している神埼 晶(ja8085)が、その所見を呟く。
「今度はハンマー、か……。図体ばっかりデカいなら翻弄してやるゼ。ルスラン……は、居ねェのか……? ヤツは何処に居る……? 何を考えてやがる……?」
 ヤナギ・エリューナク(ja0006)が僅かに目を顰め、大将首の気配を探す。
「でも、敵さんは何をやりたいんだろうね。時間稼ぎのような、こっちの出方を見るような気もするけど……二回も必要かね?」
 アサニエル(jb5431)が、首を傾げる。
「それです……須藤さんは『学園生への復讐』が目的ですよね? ですが、どうも今までの行動と噛み合わない。――じゃあ、悪魔の目的と須藤さんの目的は別?」
 間下 慈(jb2391)は考える。骸骨兵団の本来の目的と、今の不可解さを。
 司令官と、創造主。
 二つの意見が混在し、今回の出現を招いたとしたら?
「考えても仕方ない。――やりますか」
 軽く頬を叩いて渇を入れ、二丁の青い銃を手に持つ。
「それが一番良いと思います……エリアを分けて、ひとまずは手分けして探しましょう」
 埠頭の地図に番号を振り分けてゆくセレス・ダリエ(ja0189)。倉庫・コンテナごとにこうしてゆく事で、位置の把握が容易となり、どの位置に敵が居るのか的確に皆と連絡出来るようになる。
「依頼人の要望というのなら従うが……その依頼人とやらは、本当に信用していいのか?」
「何の事だ」
 眼鏡を上げながら、十は牙撃鉄鳴(jb5667)の言葉に応答した。
「依頼主の事だ。知らない方が良い事というものはあるが、知らなければ困るというものもある。何でも屋なんてものをしていれば特にな。敢えて藪を突かせて貰おうか」
「僕も詳しくは知らん。その辺り、先輩に聞いてみるしか他はないが――」
「……そうか。ならば、これが終わったら春夏冬に探りでも入れてみるか。依頼人も、大方左腕の義手の技術が欲しいのだろうが、ロクなことに使われずにまた尻拭いというのは御免だからな」
 依頼主に多かれ少なかれ不信感を抱いているのは、何も十だけではない。
 静かに歩いてゆく牙撃の背中を見つつ、その先を見た。


「さぁて、ツーリングデートの時間だ☆ 準備は良いかな?♪」
「ええ、大丈夫よ」
 大型バイクに腰掛けるジェラルド&ブラックパレード(ja9284)からヘルメットを受け取って被り、蓮城 真緋呂(jb6120)はリアシートに跨る。
 全長約2メートル、全1200CC超クラスのスポーツバイク。会社独自の鮮やかなグリーンが見る者の目を引き、ASB樹脂の体に刻まれた四本のラインとファイアーパターン。歴戦の猛者の誇り高き古傷と、燃え上がる闘志が如き風格を放っていた。
 その大きさから、取り回しは決して易しい機体ではない。しかし、ドライバーであるブラックパレードは撃退士だ。その腕力でどんな暴れ馬だって自在に操れる。
 彼らがそれで行うのは、埠頭の探索と囮。
「さぁ、捕まえられるかね☆……Catch Me If You Can☆」
 骸骨を発見したら、わざと猛スピードでその懐を突っ切って注意を引くブラックパレード。ただし、危険な動作は最小限に抑え、狙撃するメンバー――即ち蓮城――に背を向けさせるように誘導してみる。
「剣や弓に比べるとしぶといけれど……当てるのは容易い」
 札から発せられた雷の刃が、それこそ光の速さで骸骨を射抜く。
 その時、蓮城の鼓膜がある音を察知した。
 二区画先の倉庫。近い。
「――前から来るわ」
 瞬間、骸骨が倉庫の壁をぶち破り、こちらに突進してきた。無造作な横薙ぎの攻撃。
 骸骨との距離・スピード・道幅・車体――どれを取っても、Uターンやブレーキでの回避は不可能なように思える。
「――ま、力任せの敵には、やりようというものがある☆」
「どうするの?」
 蓮城は背後からブラックパレードの表情を伺おうと試みる。そんな彼女に、ブラックパレードはふふん、と少しだけ笑った。
「ベロ噛んじゃうから、歯を食いしばってね〜☆」
 八方塞に見える状況でも、回避できる方法が一つだけある。
 体重を一気に逸らし、車体ごと大きく傾け、ほぼ横倒しの形で相手の懐に滑り込んだ。
 端から見れば、派手な転倒そのもの。
 だが、それでいい。
 すれ違いは、一瞬だった。
 圧倒的物量の塊がブラックパレードと蓮城の頭上を高速で駆け抜けたのも束の間。巧みな重心移動とハンドル捌きによるドリフトで一旦停止する。
 ゴムの饐えた匂いと共に、硬いコンクリートの地面には超絶技巧の軌跡があった。
 同時に、骸骨が向きをぐるりと変え、バランスを崩してたたらを数度踏んでいる。
 蓮城が、鞭状に形成した植物で骸骨を縛りつけていたのだ。
 束縛されて身動きも取れない所に、上空から銃弾が飛んでくる。
「所詮は図体だけか」
 敵の射程外である屋上に降り立ち、足を狙って狙撃。図体がでかい分足をやられてはどうにもならないだろう。いや、この程度は狙撃とも呼べない。
「間下、三時の方向だ」
「了解です」
 別の方角にいた間下が、牙撃の情報に沿って挟み撃つように登場する。
 空が牙撃ならば――地は間下だ。
 一直線上に味方がいなくなった事を確かめ――撃つ。
 極めて貫通力の高い銃弾が、骨に風穴を開けながら猛進。
 銃弾の残り香が漂う中、バイクから降りた蓮城が大剣を振るって確実に撃破してゆく。
 その逆側では、ブラックパレードが援護的に接戦。体力を奪い取り回復しながら立ち回っている。
「無駄な事を」
 屋上から足を離し、空を飛んだ牙撃の網膜に写ったのは、別の建物を破壊しようとする骸骨の姿だ。
 骸骨が密集しないよう、自分を餌にしつつ誘導して各個撃破に努める牙撃。
 空から、地上から、人の足で、機械で。
 目指すは、どこかに居る、人形の少女。

「右の曲がり角の先に一体居る。気をつけろ」
「了解した。先行しよう」
 エリューナクの索敵で先行する十。
 その隣を、エリューナクが放った矢がすり抜ける。風を切った矢は十を軽々と追い越し、曲がり角から出てきたばかりの骸骨に当たる。
 骸骨の体制が一度崩れた隙に、十が斬り込む。
 さらに、射程ギリギリまで距離を取ったダリエの雷の刃が降り注ぐ。
「三時の方向より複数体、来ます」
 打ち捨てられたトラックに背を預け、周囲の環境に感覚を拡げるダリエ。その情報を逐一二人に伝え、骸骨を仕留めにかかる。
「そんなに動きも早くねえなァ」
 こちらに向かう骸骨の群れを確認したエリューナクが、注目を一手に集めながら骸骨達にわざと追い掛け回される。
 ここは埠頭。地図を見回せばいくらでも入り組んだ場所がある。
「こんな所でおちおちしてらんねェ。早く終わらせないとな」
骸骨達が一列に並んだ所で、鎖鎌を竜巻のように振り回すエリューナクが雷と共に駆け抜ける。エリューナクの雷が通り過ぎれば、次はダリエの火炎が降り注ぎ、骸骨達が一気に消滅する。
 鮮やかな雷と炎の共演。辺りに骸骨の姿はない。
 それを確認したエリューナクは、コンテナの壁に向けて歩き出す。
「よっ……と」
 まるで万有引力の向きを変えたかの様にコンテナの壁を地面としたエリューナクは、辺りを見回す。
 リリアンヌらしき姿は確認ができなかった。
「……やっぱ奥の方で指揮してンのかね。双眼鏡を使って探してみっか……」
 足の裏を壁にへばりつけたまま、双眼鏡を手に取る。
 高倍率のレンズの先、見えたのは。

 アサニエルが空を飛ぶ。
 地上で敵との距離を取りつつ、全体の局面を見ていた。
 その足元では、神埼がスナイパーライフルの銃口を煌かせていた・
 酸の弾丸が、骸骨を脆くしてゆく。
 さらにもう一撃、もう一撃と、アサニエルが放つ光の球と共に弾丸が飛ぶ。
 大柄な敵、大型の武器、のろい動き。
 ならばわざわざ、敵の間合いに入ってやる事もない。敵との鉢合わせが一番厄介なのだ。
 コンテナの壁に背を預け、スコープの先を見る。
「昭和の刑事ドラマの銃撃戦の舞台っぽいよね」
 次々と現れる骸骨に狙撃を行いながら、その昔、姉と見た刑事ドラマの再放送を思い出す。
「まだ距離はあるけど左右にそれぞれ一体、それに手前の倉庫に一体いるから気をつけるんだよ!」
「わかったわ」
 背をコンテナに預け、アサニエルの情報と周囲の状況を確認する神埼。
 左右は挟撃の可能性があるが、距離があるならばまだ憂慮する事はない。それよりも――手前。
 こちらから仕掛けるか?
 そう考えてリボルバーに切り替えた時、倉庫の壁がぶち破られる。
 飛び散る巨大な破片を撃ち落とし、その後は攻撃させないように槌へ射撃を繰り返しながら攻撃を避ける神埼。
「全く、分かりやすいね」
 アサニエルが上空から霊符の光を打ち下ろすアサニエル。さらには神埼が息もつかせぬ連射の猛攻。槍と共に骸骨も消え失せる。
 そこに、左右の骸骨が到着した。脅威ではない。
 アウルで作り出した槍を振り下ろすアサニエル。槍は二体の骸骨の体を貫き、串刺しにする。
 つかさず神埼が右に、そして右が消えたら左と確実に撃破する。
「気をつければ、難しくはないわね」
「そうさね。次に行くよ――」
 場所を移そうとした時、通信機にノイズが入る。
『こちらジェラルド。お人形さんを発見したよー☆ 5番の倉庫から十時の方向におよそ二十メートル♪ ガイコツが一、二、三、四、五……』
 ブラックパレードからの通信。
 地上と空中、互いに顔を見合わせた後、すぐさま走り出した。
 目指すは、マキナ・ドールの居場所だ。


 次に待ち構えていた少女も、先の二人とは同じ系統の、だが少し趣きが異なる姿であった。
 黒く長い髪はツーサイドアップ。赤いタータンチェックのアシンメトリースカートに、セパレート袖のブラウス。白黒ボーダーのニーハイソックスの爪先は、スタッズが用いられた黒の厚底ブーツだ。
「んふふう、よく来たのですぅ」
 球体関節の手が持っているのは――角材。
 一部ではゲバルト棒、即ち、ゲバ棒と呼ばれているものだ。
「剣、弓と来れば魔法、と思っていたら――棒ってのは拍子抜け……や、予想外ですー」
 拍子抜けのような間下。
「マクスウェル様が人類が最初に作り上げた武器にリスペクトを捧げた結果らしいですぅ。リリアンヌのような豚めにこのような事など身に余る光栄なのですぅ」
 妙に引っ掛かる単語があった。
 子供の教育上よろしくない言葉だ。
「さあ、槌のマキナ・ドール『暴虐リリアンヌ』を罵るのですぅ!!! 『この汚らわしい雌豚が』と! 『お前はどうしようもない★★★で×××な△△△だ』と! さあ!!!!」
 一応にも可憐な少女とは思えない程の罵声の数々。
 これがテレビならば、規制音だけではなく、口元にモザイクがかかるレベルだ。
「まさか、精神攻撃も仕掛けて来るとは……いやー、今度も強烈ですねー」
 誰もが反応に困る中、間下が引きつった笑いで呟いた。
「とにかく、他の皆さんと合流できるまでは時間稼ぎです」
 通信は先ほどブラックパレードが入れてくれたので合流は時間の問題ではあるが、さて。
 これはまた中々に厄介な敵だ。
「さあさあ、行くのですぅ!」
 巨大なゲバ棒を振り回し、猛攻を仕掛けるリリアンヌ。
 確かに今までとは違って動きは遅いが、近くの空気を掠めただけでも分かる威力が恐ろしい。
 銃撃を打ち込みつつ回避する間下。
 どちらにせよ、全員揃わない限りはロクに相手取れない敵だ。時間は効率よく稼がなければならない。
「罵声を好むタイプね♪んー……ボクはサディストを責めるのがスキなんだけどなぁ♪」
 横薙ぎには薙ぎ払いで返し、背後に回り込めれば生命力を貪ろうと試みる。
 付かず離れず、絶妙な距離感を保つ。無理な攻撃は禁物だ。

「マゾヒストを喜ばせる趣味はない。早く終わらせるぞ」
 敵がどれだけ気色悪かろうが、やる事は変わりはしない。
 お約束の通り、左腕に侵蝕弾頭を撃ちこむ。
 動きの遅さを補うようにゲバ棒を振り回してはいるが、なんという事もない。腐食のスピードは遅いというのも計算済みだ。
「リリアンヌ、こういうの大好きなんですよぅ!」
 ただし、こういう反応をされるのは計算外だ。
「えへへへへへへへへへ。痛いのって楽しい! 痛いのってとってもキモチイイ!!!」
 酔っ払いのような千鳥足のまま、周囲のものを無造作に破壊してゆくリリアンヌ。
 ゲバ棒で破壊されたものは粉々になって周囲に飛び散り、さらには倒壊なども引き起こす。
「厄介だな――」
 リロードを一回。
「追加料金を請求しなければならないな」
 瓦礫の暴風の中、再び引き金を引く。
 外しはしない。弾丸が、宙を切り裂いた。

「お待たせ!」
「さあ、やるさね!」
 神埼とアサニエルが合流する。
 リボルバーの射程ギリギリの間合いを堅持し、リリアンヌに対する神埼。骸骨と違って距離を一気に詰められたら厄介ではあるが、リボルバーならば身軽に動けて対応し易い。
 隙の隙を突く神速の銃撃、星の光を纏わせた一撃を、惜しみなく使う。
「そこ、見えてるわよ」
 疲弊した味方を回復していたアサニエルの背後を取った骸骨の槌を神埼が撃ち抜く。つかさず振り向いたアサニエルが光を放つ。
「助かったよ」
 次々と光を浴びせ、骸骨を仕留めるアサニエル。

 予期せぬ方角から、矢が飛ぶ。誰も居ない筈の場所で、誰もがそこに視線を傾ける。
「待たせちまったようだな」
 エリューナクだ。
 さらに、異界の呼び手がリリアンヌの足を絡めた。
「……行きましょう」
 ダリエが呼び出したものだ。
 後衛に移動した彼女と入れ替わりで、サーベル片手に十が斬り込む。
「遅れて済まない。全員集合だな」
 全員が出揃う。
「さて、と……」
 リリアンヌと仲間が交戦しているのを確認しつつ、エリューナクはコンテナから足を離す。決して低い位置ではないが、それが狙いだ。
 1メートルで9.8倍の加速してゆく。その加速に体重を乗せ、その最中に靄で目を隠す。
 脚甲の赤が煌いたのも一瞬。
 激突する。
「あひん」
 リリアンヌの矮躯が吹っ飛ぶ。あの一撃を「あひん」の一言で済ませるとは中々の耐久力ではあるが、関心している暇はない。鎖鎌を猛然と振るう。
 風をも切り裂く一撃。それを平然と受け止めようとするリリアンヌに、別の行動が何一つ取れない隙が生まれる。
「今だゼ、セレス!」
「……了解です」
 そこにセレスが、雷を打ち込む。雷は一直線にリリアンヌに下る。
 轟音が響く中、戦闘は続いてゆく。

 囲まれた。
 槌を使う骸骨の数は剣・弓と少ないと言っても、その巨体で全てをカバーできる。
 例え十に満たない数だとしても、体積がそもそも違う。逃げる隙間もない。
 さあ、どうする?
 ――愚問だ。
 高く掲げた右腕に銀の雷を落ちる。閃光と轟音で戦場が――『硬直』した。
 一瞬。
「その網膜に焼き付け! 慈雷!」
 無数の弾丸が、間下達をぐるりと囲んだ骸骨達に叩き込まれる。その時、亡き姉の姿が頭の片隅を横切った。
「大丈夫ですか? ……焼き払います」
 続き、セレスが火炎を爆発させる。圧倒的熱量の塊は、炎に具現化して残りの骸骨を焼き払う。
「むむむぅ、アンネローゼとマルグリットを殺っただけあるのですぅ。いじめられ甲斐があるのですぅ」
 頑丈さが取り柄の骸骨達が順当に壊されてゆくのを、少しいただけなさそうに、そしてとても嬉しそうに眺めるリリアンヌ。
 隙しかない。
 音を消し、間下が迫る。
 今だ。零距離からの射撃を――
「いひ」
 ぐるりと首の角度を変えたリリアンヌが笑い、ゲバ棒を振るう。
「何?!」
 全力で上体を逸らして紙一重で避ける。そのまま地面に手を着き、両腕のバネを生かして後ろ宙返りで距離を取る。
「利かない……?!」
 侵入から零距離射撃のコンボ。
 前回、皆殺しマルグリットでは決定打となったのに。
「じゃあ、こいつはどうだ?!」
 間下の対応をした隙に背後を取ったエリューナクが、鎖鎌の鎖で首を狙う。
「それもお見通しなのですぅ!」
「クソっ!」
 鎖は首を絡め取らず、振り下ろされたゲバ棒を絡め取った。力ずくで鎖を解き、後退する。
「リリアンヌはバカだけどぉ、アホじゃないんですぅ! アンネローゼはどうしようもないバカでアホだったんですけどぉ! マルグリットの二の舞にはならないのですぅ!」
 マルグリットの二の舞。
 現場に居合わせなかったのに、間下の攻撃を見切り、そう言えるのか。
 もしかして――事前に知ってる? ならばいつ知った?
「……人形同士で感覚を共有? いや、貴女の感覚も誰かへ送られてるのですか。恐らくは須藤さんか、他の人形か、その辺りが妥当ですか」
「ぎゅふふ、正解ですぅ。須藤様とマクスウェル様のお気遣いのお陰ですぅ。リリアンヌは馬鹿で使えない豚から馬鹿で使える豚へと進化したんですぅ! さあさあ、この豚めも本気をそろそろ出すのですぅ!」
 神埼が相手をしていた骸骨が、アサニエルが相手をしていた骸骨に殴りかかった。
 いや、殴るという表現では生ぬるい。殺しにかかったの方が妥当だ。
「?! 骸骨同士で殺し合ってる……?!」
「どういう事さね」
 いや、少し考えれば、予想は着いた。
 血まみれアンネローゼの巨大獅子。
 皆殺しマルグリットの腐食の矢。
 骸骨同士で殺し合うという奇妙な状況も、先の二体の戦いである程度の予測は付く。
 まさか、同士討ちで残った一体を武器に?
「蠱毒……みたいなものでしょうか――ヤバイ予感です」
「やっぱり何か隠してやがるな」
「発動までの時間が狙い目ね」
 阻止するように、間下はリリアンヌを狙って撃つ。エリューナクと蓮城は間下に続いて攻撃を繰り出すが、かわされ、打撃で相殺されてしまう。
「スイッチの入ったリリアンヌにはどれもこれも利かないんですよぅ!」
 ゲバ棒を肩に担ぎ、靴の爪先で地面を数度小突いてから、生き残った唯一の骸骨に向き直る。
「えへっ」
 そうして骸骨をゲバ棒で叩きつけると、その衝撃に反応するように、骸骨が分解されてゲバ棒に纏わりつく。
「ふふん、お手伝い、感謝するのですぅ。お前達がウォーリアーを倒してくれたお陰で、選別の手間が省けたのですぅ」
 出来上がったのは、息を止めたくなるような瘴気を発する、禍々しい棍棒。
 巨大な骨――しめて二百六個に、それらを動かすための歯車やバネ。背の丈を悠々と超えるその武器は、それを持つ人形の――名前の通りの暴虐さを表していた。
「ふわふわクマの(内臓モロ出し)ロックチューン、お楽しみあれなのですぅ」
 かっ開きの目で笑うリリアンヌ。彼女の笑みに、ブラックパレードはヒュウと口笛を吹き、天使のような笑みで返す。
「そういうグロいの、嫌いじゃないね♪キミを作った人とは趣味が合うかも♪」
 笑ったまま、瘴気と距離を取るブラックパレード。
 戦いは、佳境へ入ってゆく。

 ゲバ棒に直接侵食弾頭を打ち込む。骸骨を纏わせた分、非常に当てやすい。
「やりやがってくれましたのですぅ。それそれそれ〜なのですぅ〜!」
 瘴気と共にゲバ棒を振り回すリリアンヌ。瘴気を見ていると視界が狂ってくる禍々しさがあるので近づきたく無い。
 しかし、こちらに向かってきたのであれば仕方が無いのも事実。ゲバ棒の軌道がある方向にずれるように、何度かゲバ棒に銃弾を打ち込む。
 逸れる。狙い通りだ、
「あうっ」
 リリアンヌの頭とゲバ棒の骸骨が激突する。
 大きくふらついた所で、蓮城が植物の鞭で動きを阻む。
「もっときつくして欲しいのですぅ!」
 そろそろこの反応にも、阻む程度では攻撃を繰り出すのをやめないしぶとさにも慣れてきた頃合だ。
「読めない間合いじゃないわ」
 大剣で防ぐ。攻撃は予測しやすい。
 一撃を頭上で構えた大剣で斜めに流し、踏み込む。
 今だ。
 大剣に太陽の光が収束し、赤光の一撃を浴びせる。
「いひぃ。お前ら強烈なんですぅ」
 よろけながら何とか立ち直るリリアンヌの足元に、一直線に銃弾が飛ぶ。
「んふふぅ、小石に躓くほどドジでもないんですぅ」
 それを難なく避けたリリアンヌは知らなかった。
「敬語も戦闘もなってませんね 」
 ピアスジャベリンは、あくまでもパフォーマンスでしかない。無論当たれば尚良かったのだが、本来の目的を果たせただけで十二分。
 足元をこれ見よがしに狙い、『回避させて』隙を作る。
 それだけで、十分だ。
 例え一億分の一秒でも敵に隙があれば、攻撃する。
 それが、撃退士なのだから。
「先に逝ったお友達と、ごゆっくりお勉強なさるのが宜しいかと」
「何でそんな事が言えるのですぅ?! リリアンヌはお前達を殺して須藤様にその首全部献上するのですぅ!」
「お友達は皆そうやって――背後を取られて負けたのですから」
 リリアンヌは気付かなかった。いや、気付けなかった。
「縛られるの、スキ?☆」
 背後に潜り込んだ、ブラックパレードの存在を。
「あっ、大好きですぅ! リリアンヌ縛られるのだーい好きですぅ!」
「わかりやすい子は好きだよ☆」
 ワイヤーを一気に展開してリリアンヌを縛るブラックパレード。
「下らん」
 牙撃は弾丸を切り替える。腐食の弾丸から、破壊の弾丸へと。
 腐食の進み具合が遅いのは計算の内。よって、計算通りにいい塩梅に仕上がった。
「的でもないな」
 動いていても動いていなくても当てやすい敵だった。
 込める弾丸は二発で十分。
 左腕とゲバ棒が崩れ落ちる。時間はそうかからなかった。


 埠頭に静寂が戻る。片腕を失い、倒れたリリアンヌは、上機嫌な様子で鼻歌交じりに空を見上げていた。
「あの義手は、何なの?」
 リリアンヌの喉元に切っ先を突きつけた蓮城が一応問うてみる。するとリリアンヌはぐふっと笑い声を上げた。
「ぐふっ、ぐふふふふ……この期に及んで尋問ですかぁ……? リリアンヌ、いじめられるのだーいす」
「いいから早く答えろ」
 そこに、牙撃が銃をリロード。小気味のいい音の後、引き金を引く。
「あうっ。ありがとうございますぅ……はあぁうん」
 脇腹を見せ付けるように派手に苦痛を与えるようにして撃つ牙撃。撃たれたリリアンヌは苦痛で悶えるどころかぎゅふふと笑って愉悦の表情だ。
「セレス、あんま見ンじゃねェ」
「? ……はい」
 エリューナクがセレスの前に出て、彼女の視界を防ぐ。
 これは中々にアウトな光景だ。
「ぐふふふふ……あの義手はぁ、私達の指揮権そのものなんですぅ……私達はぁ、その指揮権を一部借りて骸骨から作り出されたぁ、言っちゃえば子機みたいなものなのですぅ」
 指揮権『そのもの』。
 人形達が須藤ではなく、義手を重んじるのは――義手こそが人形達の意義そのものなのだ。
 つまり須藤は、義手の力を使って人形達を操っているだけでしかないのか。
「それで、お前のような人形はもう残っていないのだな?」
「うふふ……マキナ・ドールはリリアンヌで最後ですぅ。他は全員壊れてますぅ。ウォーリアーも居ますけどそこまで数は無いのですぅ」
 牙撃に銃を突きつけられながら、恍惚の笑みを浮かべるリリアンヌ。
 嘘は吐いていない様子だが、いかんせん表情が気色悪い。苦虫を噛み潰した顔のまま、さらに牙撃は問う。
「それで、須藤はどこにいる?」
「須藤様はですねぇ……これは言えないのですぅ」
 ごろごろと寝返りを打つリリアンヌに、アサニエルは呆れ気味だ。
「……ついでにダメもとで聞くけど、あんた達を作ったその『マクスウェル』とやらはどんな奴なのかい?」
 質問をすればあっさりと答える辺り、前の二人と比べて格段に扱いやすい、が――いかんせんそれが器官快楽によるものであるから、反応に困るものだ。
「それも私めの口からはあんまり答えられないのですぅー」
「そうか、ならご苦労だったな」
 欲しい情報は一通り揃ったと見た牙撃が、そのままリリアンヌの頭を打ち抜いた。
「えへへ……こんな○○○な豚めには勿体なきお言葉なのですぅ……」
 言動に見合った言葉を吐いて、愉悦の笑みで消えてゆくリリアンヌ。
 これで、今回の戦いは終わりか。
 だが、そうだとしても、引っ掛かることが神埼にはあった。
「つなつな……じゃなかった、ねぇ十さん。なんかおかしいと思わない?」
「つなつな? ……まあいいだろう。確かに、何か妙な感じがするな」
「うん。やっぱりさ、敵がココにいる理由なんてあったのかな?」
「……確かにな。そこが不可解だ」
 神埼の言うとおりだ、と十は頷く。
「この埠頭が奴らのアジトなわけでもなし、何かの取引現場のわけでもなし……」
「それに、あの骸骨達に海を渡れるような能力がある訳でもなさそうだしな」
 かと言って、マルグリットのように待ち構えているようなものではなかった。だとすれば、目的は何か?
「もしかしたら私達との戦闘自体が……その結果得られる情報が――敵の目的?」
 辿り着いた結論。
「フゥーハッハッハ! 至極真っ当でベリベリプレシャスな百点満点の正解でェェェっゴザル!!!!」
 高笑いの声。
「「「「「「「「?!」」」」」」」」
 ぶしゅううぅぅぅぅと、何かが噴出する音と共に、空から妙なものを背負ったユニコーン頭が降ってきた。
「どべふッ」
 そして顔面で華麗に着地した後、被り物の位置を直しながら立ち上がって決めのポーズを取る。
「某はァー……マクスウェルッ!!!! 冥魔の歴史が作り出した天才悪魔で・あ〜〜〜るッ!」
「「「「「「「「……」」」」」」」」
 あまりにも場違いな登場にどう反応していいかわからず、硬直する一同。
「マクスウェル……もしかして、あんたがあのガイコツ達を作ったって言うのかい」
「正解正解! ベリベリアンサーです! その名推理、某の脳髄に心底痛み入りますなぁ……」
 支離滅裂な喋り方で、ペースが狂いに狂って次の言葉すら出しにくい。アサニエルは次に出す言葉を考えあぐねる。
「ってンエエエエエエエエエエエエエエ――――――――――! 暴虐リリアンヌは?! 某がぁ作り上げたァァァア自信作の一つはァァァ!!!! ウェア?!」
「今しがた消したばかりだ。残念だったな」
 リロードをしつつ、マクスウェルに照準を合わせる牙撃。
 全ての黒幕が、目の前に居る。
 臨戦態勢は、牙撃だけではなかった。
 鎖鎌を構えるエリューナク、魔術書を開くダリエ、リボルバーの撃鉄に指をかける神埼、斧を肩に担ぐブラックパレード、照準器にマクスウェルを収める間下、霊符を煌かせるアサニエル、大剣の切っ先を掲げる蓮城、ゆっくりと剣を抜く十。
「イヤアアアアアアア!!!! ベリベリバイオレンス! 何コレ! 某には戦う意思はありません故―! っていうか戦えません故―!」
 空気だけで仕留められそうな場の中、マクスウェルは狼狽する。それこそ、わざとらしく。芝居がかった動きで。
「ンフフゥ。それで、そなた達はイッツよろしいのですか?」
 がぽりと被り物がずれた所で、地鳴りが起こる。
「?!」
 あまりにも不可解なそれは、自然現象ではなかった。
「何だ……あれは……」
 黒の奔流。竜巻とも言うべきものが、遠くでも判るほどに大きく蠢いている。
「まさか、須藤かァ?」
「……あそこに、いるのですね」
 エリューナクとダニエの目に映るものは、開戦の狼煙、などという生易しいものではない。
 憎しみが竜巻になり、暴風となったような、そのような錯覚さえ起きる。
「サァ撃退士諸君。そなた達はホワッドゥー?」
 被り物の頭が、再び傾く。
「……やれやれ、これからが本番だね」
 アサニエルが深く大きな溜息を吐き、困ったように軽く頭を掻いた。

 救いとは――須藤が求める救いとは、何なのだろうか。
 絶望の中、それでも生きることなのか。それとも……
 本人からそれを聞いた訳ではないので、蓮城には分からない。
 けれど、これだけは分かる。彼はきっと、悪魔の力を望んではいない。
 仕える人形も『彼』に忠じている訳ではなく、『義手』こそを重んじていた。
 そこに須藤へ向かう意識はなかった。
 ならば。
 須藤へと向かう蓮城達の想いを、貫かせてみせる。
 その為に邪魔であった、偽りの献身人形は全て壊した。
 
 ――全ての憎しみに終止符を打つ時は、目の前にある。

【続く】


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:4人

Eternal Flame・
ヤナギ・エリューナク(ja0006)

大学部7年2組 男 鬼道忍軍
撃退士・
セレス・ダリエ(ja0189)

大学部4年120組 女 ダアト
STRAIGHT BULLET・
神埼 晶(ja8085)

卒業 女 インフィルトレイター
ドS白狐・
ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)

卒業 男 阿修羅
非凡な凡人・
間下 慈(jb2391)

大学部3年7組 男 インフィルトレイター
天に抗する輝き・
アサニエル(jb5431)

大学部5年307組 女 アストラルヴァンガード
総てを焼き尽くす、黒・
牙撃鉄鳴(jb5667)

卒業 男 インフィルトレイター
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA