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マスター:神子月弓
シナリオ形態:ショート
難易度:やや易
参加人数:6人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/11/27


みんなの思い出



オープニング




 轟闘吾(jz0016)は、昔、ゲ−センでつるんでいた後輩に、呼び出されていた。

「頼んます! どうか、うちの部を助けるつもりで、紹介してください!」
 後輩は平身低頭して頼み込む。
「撃退士なら、マジもんの格闘戦に詳しいはずですよね!? 撃退士の学園なら、色んな女子もいますよね?」

 後輩は、某男子高のゲーム愛好会部長だ。
 闘吾が詳しく話を聞くと、文化祭で発表する自作対戦格闘ゲームの、キャラデザイン担当者が、インフルエンザで学校に来られない状態なのだという。

「このままじゃ文化祭に間に合いませんよ! どうか、キャラデザの出来る人を紹介してください!! おねげぇしやす!」


 ふむ、と闘吾は唸った。後輩の気持ちも、わからんではない。助けになれるなら手を貸したい。
 だが闘吾に、キャラデザインのセンスはない。

「まあ‥‥紹介出来るかわからねぇが、そのゲームの企画書のコピーを貸してくれ。誰か興味を持ってくれるかもしれねぇからな」

 しばらくして、闘吾は分厚い企画書のコピーを1部、手渡された。


●企画書のなかみ


◇ゲーム概要
・2D美少女対戦格闘ゲーム
・出てくるキャラは美少女キャラのみ
・男の娘、女装男子、男装女子は禁止。あくまで本物の女の子キャラで。種族は制限なし。
・舞台は現代、女子学園。生徒会長がラスボス(実は男の娘で、勝利すると判明する仕掛け)

◇ストーリー概要
 某ぷりてぃ学園は今、危機に瀕していた。
 新たなる生徒会長の就任により、学園生が楽しみにしていた文化祭が中止されることになったのだ。
 理由は財政難。生徒会長は各部活から巻き上げた金を、学園の備品補充にあてると言いだしたのだ!
 女の園に文化祭など不要と決め付ける生徒会長。
 そんな横暴を許すわけにはいかないと、今、6人の女子が、それぞれ立ち上がった!
「生徒会長は、私が倒す!」
 尚、生徒会長が男の娘であることを暴くと、彼は学園を追い出され、平和が戻ってくるエンディング。

◇キャラデザイン(6キャラ分必要)
プロトタイプとして以下を考案中、アレンジや変更などは自由な発想でOKです
1・ロリ系素直キャラ、主人公格
2・ロリ系ヤンデレゴスロリキャラ、ライバル格
3・少女系スポーティキャラ、スピードタイプ
4・少女系おっとりメガネ三つ編みキャラ、深窓の令嬢タイプ
5・お姉さま系お色気キャラ
6・お姉さま系金持ち金髪縦ロールキャラ
※武器や服装についての意見もあれば参考にしたい

◇必殺技や超必殺技のアイデア
1・一撃必殺系
2・飛び道具系
3・乱舞系
4・投げ技系
5・自己強化系
6・召喚系
※その他何でも。各キャラ間に差別化が図れていれば無問題

超必殺技は、一定ダメージ以上を受けると発動可能になる予定
各技の名前(6文字程度)とエフェクト効果を考えて欲しい

基本モーションプログラムは大体完成している
イラストパーツを各部に貼り込めばいい状態
文化祭の発表日まで、あと1ヶ月しかない





「‥‥てぇのが、舞い込んできやがったんだが‥‥俺ぁビショウジョってのがよくわからねぇ」

 久遠ヶ原学園に戻ってきた闘吾は、企画書のコピーをぺらぺらしていた。

「これも人助けだと思って、誰か、引き受けてやってくれねぇか?」


リプレイ本文




 『うぇるかむ・とぅ・××高校ぶんかさい』

 花紙で飾られたアーチをくぐる。そこは轟闘吾(jz0016)の後輩の某男子校だ。
 闘吾は、いかつい肩で風を切るように、ゲーム愛好会の発表会場へと、真っ直ぐに歩いていく。
 キャラデザインを担当した6人、雪室 チルル(ja0220)、仁良井 叶伊(ja0618)、松永 聖(ja4988)、Spica=Virgia=Azlight(ja8786)、長谷川アレクサンドラみずほ(jb4139)、咲魔 聡一(jb9491)が順番についていく。

 教室に近づくと、一昔前っぽい電子音楽が聞こえてきた。

「あっ、轟先輩、あと撃退士の皆さんも、ようこそっす! キャラデザイン有難うございやした!」
 部長である、ぐるぐるの瓶底メガネ君が、深々と皆に礼をした。

 備え付けられたモニターには、試作ゲームのデモ画面が写っている。
 モニターからパソコンにコードが伸びていて、ゲーセンレベルの大型コントロールパネルに繋がっている。
「このコンパネも自作なんすよ」
 メガネ君はそう言って前歯を光らせた。


「さて、じゃあマッチングを行いや〜す」
 モニターに各キャラの絵が表示され、チカチカと点滅を始めた。

「おおー」
 身を乗り出して見入ってしまう6人。自分の考えたキャラが、絵になっている!
 これだけでも感動ものだった。

 まあ、自作ゲームゆえに、少し前の、某ス■2程度の2Dグラフィックと操作性なのは、ご勘弁いただくとしよう。

「どんな感じになったかな? べ、別に‥‥楽しみとかじゃないんだから‥‥っ!」
 ツンデレ全開で、呟く聖。

「な、何だかお恥ずかしいですわね」
 みずほが、自分自身をモデルにしたキャラを見て、頬を染めた。

「ちゃんと声もついているのね!」
 チルルが自キャラである黒鉄リナを動かしてみて、歓声をあげる。

「演劇部の伝手で、他校の女子学生に声をあててもらいやした!」
 部長のメガネ君が嬉しそうに答える。
「勿論みずほちゃんには、モデルの長谷川さんが直々に声をあててくれたっすよ!」


 画面がチカチカと光輝き、マッチングが確定した。

 第1戦 黒鉄リナ(チルル)VS 蘭(聖)
 第2戦 ザ・SUMO(叶伊)VS エイル(スピカ)
 第3戦 みずほ(みずほ)VS 天草さとり(聡一)

 ラスボスに挑めるのは、勝者の中でも、一番スコアが高かったもの、ということになった。


●第1戦


 リナ「いざ! 正々堂々と勝負!」
 蘭「キミの本気を魅せてっ!!」

 小柄でスレンダーながらも、胸は程良い大きさの蘭。動くとちゃんと胸が揺れる。
 蘭は、性格は勝気で自信家で、負けず嫌い、とインストレーベルに書いてある。

 半袖へそ出しミニスカセーラー服を、ばっと脱ぎ捨て、艶感のある青系の生地に豪奢な金模様の刺繍が入った、ミニ丈チャイナドレスに着替える蘭。三つ編みのサイドヘアが揺れ、後頭部の大きなリボンが黒髪に映える。メリケンサックとピンヒールを身に付け、やや釣り目気味の紫の瞳は、真っ直ぐに対戦相手を見つめている。

 一方リナは、ブレザータイプの学生服に赤いリボンをつけた、まさに主人公タイプの女の子だ。金属製の肘当てや膝当て、革の手袋がアクセントになっていて、戦い慣れして見える。

「やっぱり主役といえばこんな感じでしょ! 遠慮なくいくわよ〜!」
 チルルはコンパネを固定した机にしがみついて、モニターを見つめた。

「格ゲーとか‥‥アツいわよね! こう‥‥心の中が燃え滾るカンジ?!‥‥って! べ、別にあたしが格ゲー好きってワケじゃ‥‥ない‥‥んだからね‥‥ッ! 勘違いとかしたら‥‥ぶっ放すわよ?! アウルの、リアル超必殺技をッ!!」

 聖はぞろりと自分たちを囲むギャラリーの視線に気づき、ぐっと睨みつけた。
 男子校内の女子は、それだけでも十分目立つ。だがギャラリーに気を取られている暇は無かった。

「ファイッ!」
 ナレーションと同時に、闘いの鐘が鳴った。

「あたいの本気、魅せてあげるわ!」
 チルルは、ばしばしとボタンを連打した。


 リナ「虎王襲!」
 手に風の力を集め、低空を跳躍しながらのストレートパンチが飛んでいく。

(回避はどうだっけ、レバー上だったっけ)
 慣れないコンパネに苦戦し、リナの攻撃を受けてしまう蘭。大きく弾き飛ばされる。
(えっとえっと、空中で体勢を立て直すのは‥‥!?)

 レバーをガチャガチャする聖。
 その間に、リナの飛炎拳があらぬ方向に飛んでいく。

「あー、違う違う、ここは飛燕落としを当てるところよ!」

 リナ「飛炎拳! 飛炎拳!」
 手に炎の力を集めて撃ち出す飛び道具技が連発する。
 チルルは、対空技の「飛燕落とし」を出そうとしているのだが、うまくコマンドが入らない。


 撃退士たるもの、依頼に授業にバイトに忙しく、ゲーセンで遊んでいる時間はあんまり無い。
 ゆえに、複雑なコマンド技は、方向を間違えたり、空振りになることが多かった。


 蘭「胡蝶の夢!」
 リナに向かって、無数の蝶が飛ぶ。

「あ、あれ?」
 チルルが、レバガチャを繰り返すが、リナは美しく輝く蝶をよけられず、硬直していた。
 蘭がジャンプし、ナックル攻撃を綺麗にキメる。

 リナ「天地の構え!」
 超必殺技が発動した。パワーアップオーラに包まれたリナは、蘭を捕まえると「激震投げ」で地面に叩きつけた。ガッと蘭の体力ゲージが減る。

 蘭「無双乱舞:蝶!」
 こちらも超必殺技でお返しだ。画面が暗くなり、2人だけにスポットライトが当たる。
 リナの周囲を舞うように攻撃を繰り出し、その後上方へ放り投げて三角跳びピンヒールキックをかます蘭。扇を持ち、くるりと一回転して決めポーズ。


 カンカンと、ゴングの音が鳴る。


 リナ「くっ……次は負けません!」
 蘭「当然? 鍛え方が違うっての☆」


「勝てたぁ〜!」
 自分で設定した決めゼリフ「勝利時」を聞いたとき、聖は正直、万歳しそうだった。

「うああ〜悔しい! 結構頑張ったのになあ」
 チルルはリナの体力ゲージを見た。かなりの接戦だった。
 思うようにコマンドが入っていれば、もっと楽に倒せた相手だろう。

「あたいもしゅぎょーが足りないわね!」
 数日間、チルルはゲーセンにこもることを考えた。


●第2戦


 ???「行きなさい、SGX−00」
 エイル「貴方は、あの人に不要‥‥。だから消えて‥‥」

 黒いフリル傘を手にした、銀髪ロングに蒼い瞳の、ヤンデレ黒ゴスロリまな板娘エイルと、謎の白衣のセクシー3年女子が相対する。しかし、白衣女子こと科学部部長、黒鋼みゆきは、ピンク色の相撲ロボットを残して、立ち去ってしまった。
 みゆきは、背景の群衆に紛れ、前世紀的なコントローラを握り締めて正面向きで立っていた。

「‥‥相手‥‥歩くだけで胸が揺れる‥‥スゴイ‥‥」
 スピカは、グラフィッカーの、胸揺れ表現への情熱に、思わず呆れて呟いた。

「容赦は、しない‥‥」
 そして対戦相手である叶伊をぐっと睨みつけた。
 コンパネのレバーを握る手に、力が入る。

「こちらこそですよ」
 叶伊も微笑みを浮かべて、コンパネに手を置いた。


 「ファイッ!」


 試合開始とともにビットをばらまくエイル。特殊技SHI−KOを踏み、地鳴りを起こしエイルをスタンさせるザ・SUMO。
 素早くスタン状態から立て直し、突撃技ZUTUKIで飛び込んできたザ・SUMOを大ジャンプで大きく躱し、傘による突き刺しと蹴りを組み合わせ、多段攻撃を仕掛けるエイル。

 ザ・SUMOの体力がじわじわと減る。だが、まだ数ミリ程度である。
 相手はしぶとく、硬い。しかし、その分体も大きく(=当たり判定も広く)、移動スピードも遅い。

 遠距離からのビット攻撃に、傘からの光線を加え、必殺技にコンボを繋げようとするエイル。
 そこで炸裂するのが、ザ・SUMOのHARI−TE。必殺技相殺技だ。
 エイルの召喚した炎剣レーヴァテインは、HARI−TEの前にもろくも崩れ去った。

「くっ‥‥固めコンボ‥‥崩された‥‥」

 コンパネと格闘しながら、悔しげに呟くスピカ。レバー慣れしていないため、ふらついてコマンドが思うように出せない。左にレバー、右にボタンという、ゲーセン式のコンパネの構造にも不慣れだ。

「なかなか操作が難しいですね。家庭用コントローラならもっと上手く出来そうなんですけれど」
 両手利きで器用なはずの叶伊も頷いて、倒れたエイルを下段蹴りで浮かせ、飛び道具TEPPOUビームを放った。
 危うく傘を開いてガードするエイル。ガードの音とともに、ごりごりと体力が削られていく。
 ノーダメージでガードするには、TEPPOUの威力が高い。

「まだ‥‥召喚技、使い尽くして‥‥ないっ!」
 投げ技OOSOTOにも捕まり、エイルは空中に放り出された。レバーを上へ入れて宙で多段ジャンプし、華麗に着地。投げられダメージを軽減させる。

「‥‥ラグナロクで‥‥全てを終わらせる‥‥!」

 エイルの体力ゲージは真っ赤に点滅している。ザ・SUMOの体力は残り3分の1程度。
 超必殺技ラグナロクを使うべき時だ。上手くハマれば、一発逆転のチャンス!

 炎剣レーヴァテイン、輝槍グングニル、雷槌ミョルニル、邪剣ダインスレイヴの4武器を全て召喚。
 一気にザ・SUMOに突撃させ、連撃開始! 更に傘の溜め攻撃とビットの集中砲火を食らわせる!!

「これで‥‥終わる‥‥はず!」

 はず、だった。しかし、ザ・SUMOはのっそりと立ち上がり、赤く点滅した自身の体力ゲージを確認すると、超必殺技・SENSHURAKUのモーションに入ったのだ。

「エイル逃げて‥‥!」
 スピカが画面内に訴える。だが、格闘ゲーム内のキャラに、逃げ場所などない。

「あっ」
 やってしまった、という顔で、叶伊は頭を抱えた。最後の最後にコマンドミスだ。
 自身の器用さを過信して、油断してしまった。
 SENSHURAKUはモーション途中で不発に終わり、タイムアップで、僅かにエイルの勝利となった。

 エイル「勝った‥‥。これで、邪魔者は‥‥」
 みゆき「計算ミスか‥‥出直しますわ」


●第3戦


「ええええっ、わ、わた、わたくしそのままですの? お、お恥ずかしいですわー!」
 真っ赤になって両頬を押さえているみずほは、モニターから目を背けた。部員が首をかしげる。

「喜んでモデルになってくだすったじゃねぇですか」
「で、ですが‥‥声まで‥‥」
「ご自身で入れてくだすったじゃねぇですか」
「そ、そうですけれど‥‥」

 自分で自分の声を聞くのは、恥ずかしいものだ。しかも別人の声に聞こえるから余計に。

「まあまあ、長谷川先輩、とにかく試合しましょう、試合」
 聡一がなだめて、みずほを対戦席につかせる。


 みずほ(キャラ)「さあ、かかってらっしゃい‥‥ませ!」
 天草さとり「喧嘩なんて野蛮ね。レディのする事じゃないわ」

「ファイティングポーズは確かにこのようにいたしますが、こ、こんなに大きく足を開いてございましたかしら‥‥!?」
 ボクサースタイルの自分自身(のCG)に、泣きそうな声をあげるみずほ。
「ゲームですよゲーム。始めましょう、行きますよ」
 聡一は、さとりに軽いジャブを打たせることから始めた。

 みずほ(キャラ)は、ファイティングポーズをとったまま、初期位置から全く動かない。

「‥‥そんなにご自分の姿が恥ずかしいですか? なら明かしますが、出来ればここだけの話にしていただきたいのですが、さとりは、僕がとある依頼で女装した時のものを、モデルにしています。長谷川先輩よりずっと恥ずかしいですよ」

「そ、‥‥そうなんですの?」
 涙声が対戦台の向こうから聞こえた。聡一は頷き、「これはゲームです。折角デザインに参加させていただいたのですし、楽しみましょう」と説得した。

 みずほは涙を拭き、そしてコンパネを見て、また固まった。
「これは‥‥どう操作いたしますの?」

 さとりは、初期位置を保ったまま、みずほ(キャラ)を見守っていた。

「コマンドが出ませんわー!」(奇妙な踊りを踊る)
「こちらのボタンがジャンプですの?」(キックが出る)
「わ、わたくしが自ら殴りましたほうが、早いですわー!!」(ぴょんぴょんジャンプ)
「あ‥‥こういたしますと、パンチが出ますのね!」(大きく空振る)

 さとり「テレキネシス」
 釘や金鎚がみずほ(キャラ)に飛んでいった。さくさく、と体力ゲージを削る。

「きゃー! 何か飛んでまいりましたわ! こういう時はどのようにいたしますの?」

「そんな時はこうしろ」
 後ろから闘吾のごつい手がのび、みずほをサポートした。
 みずほ(キャラ)は背中から蝶の羽根の様なオーラを出し、すっと移動した。
「テ、テレポート技のF.L.B.ですわね!」
「‥‥そしてここから、こう繋げて、こうだ」

 右ストレート「黄金の拳」で牽制し、左ボディブローの「D.B.」で、さとりの動きを止めて、「L.C.C.」の左フックから左アッパーへ 繋げるコンビネーション技が炸裂する。
 十字架型の軌道が画面に残像を描いた。
 点滅しているみずほの体力ゲージが、超必殺技「B.K.」のチャンスだと告げている。

「今ですの!」
「おう!」

 みずほと闘吾が、息を合わせる。
 蝶のオーラを撒き散らしながら放たれる、連続パンチの乱舞技が、まさに発動しようとしていた。

「なかなかやりますね」
 だがさとりも負けてはいない。「B.K.」発動の瞬間、「テレキネシス」で技を強引にキャンセルさせる。


 タイムアップ!


 さとり「不思議ねぇ、何もしてないのに倒れちゃって」
 みずほ「くっ、こんなはずでは‥‥」

(長谷川先輩がゲームに不慣れで救われたかな)
 聡一は肩をすくめた。
 撃退士のみずほは、「次の機会までには練習いたしますわ! 今度こそ自分の力で勝ちますのよ!」とリベンジする気満々であった。


●ラスボス戦


 結果、さとりが最高スコアだったため、ラスボスと戦うことになった。

 帝華ゆりね(ラスボス生徒会長)「あたしに楯突くとはいい度胸ね」
 さとり「文化祭の練習を無碍にされては演劇部とて黙っていられないわ」(ボス専用ボイス)

 ステージ全体がせり上がり、エレベーターのような背景の縦スクロールが始まる。


(やれやれ、やっと本気で遊べるな)
 聡一は何処かで昔覚えた遊び方を思い出す。232年もの人生において、駄菓子屋の10久遠ゲームで遊んだことが一度もないわけではない。

 さとり「パイロキネシス」!
 投げ技を仕掛けるため、近づいてきたゆりねが発火する。ゆりねが炎を振り払うまでに「テレキネシス」で金鎚や釘を次々と撃ち込む。

 ――来た! ボスのダッシュ攻撃技だ。さとりの頭を掴んで一気に画面端まで叩きつける。
 ぐぐっと体力ゲージが削れ、さとりの体力ゲージが赤く点る。
 ここで戦況をひっくり返さないとまずい。さとりは超必殺技「サイコバースト」を発動!!
 接近距離にいるゆりねを「テレキネシス」で思い切り、画面端まで突き飛ばす技だ。
 画面端に衝突すると、ボキッという骨折音とともに、敵に大ダメージを与えた。

 ゆりね「やるわね!」

 ゆりねはダッシュで詰め寄ってくる。ひらりと、さとりがジャンプで躱す。
 空中から「テレキネシス」でガラクタを弾丸のように飛ばす。
 着地点で待ち構えていたゆりねに「パイロキネシス」。


「隙がない動きですわ」
 みずほが観戦用モニターを見て、息を飲んだ。

「もう少し削れば勝てるよー! いっけー!」
 チルルが応援する。

「うちのキャラが勝っていたら、去勢エンディングだったんですけれどねえ‥‥残念です‥‥」
 叶伊が呟く。

「ああっもう、とっとと勝ちなさいよ、別に応援している訳じゃないけどね!」
 聖も拳を握り締めている。

「慣れた‥‥動き。‥‥ゲーム経験者?」
 スピカが訝る。


 スピーカーから、ゆりねの悲鳴が聞こえた。
 ナレーションが「さとりウィン!」と、勝者を告げる。

「面白かったですよ」
 聡一は部長と握手をし、皆は口々に再挑戦を希望した。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 闇に差す光輝・松永 聖(ja4988)
 そして時は動き出す・咲魔 聡一(jb9491)
重体: −
面白かった!:3人

伝説の撃退士・
雪室 チルル(ja0220)

大学部1年4組 女 ルインズブレイド
撃退士・
仁良井 叶伊(ja0618)

大学部4年5組 男 ルインズブレイド
闇に差す光輝・
松永 聖(ja4988)

大学部4年231組 女 阿修羅
さよなら、またいつか・
Spica=Virgia=Azlight(ja8786)

大学部3年5組 女 阿修羅
勇気を示す背中・
長谷川アレクサンドラみずほ(jb4139)

大学部4年7組 女 阿修羅
そして時は動き出す・
咲魔 聡一(jb9491)

大学部2年4組 男 アカシックレコーダー:タイプB