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どうでもいいですけど、「ぷちぷち」ってひらがなで書くと、かわいいですよね(*´∀`)
――――ラグナ・グラウシード(
ja3538)
●健全ですキリッ
「う、ううっ……うおおおおおおおっ!!」
「『エロだと思ったらプチプチ潰しだった』。な……何を言っているのかわからないと思うけど、 あたしも何があったのかわからなかった」
ラグナはやり所のない怒りに憤り、「おかしい、あはーんうふーんな依頼だと思ったのに」とグリーンアイス(
jb3053)は真顔を禁じ得ない。
「どうしてこうなった?」
「ふ、心頭滅却すれば火もまた涼し」
何とも言えない表情を浮かべている凪澤 小紅(
ja0266)、七種 戒(
ja1267)はその心をポーカーフェイスで押し殺し。
「プチプチの早潰し、この様な事でも普段の鍛錬が出ますわね」
「あんぱんが掛かっている以上負けられぬ……全力で挑むのだ!」
長谷川アレクサンドラみずほ(
jb4139)は己の拳を掌に打ち、リンド=エル・ベルンフォーヘン(
jb4728)は口から火煙を漏らす。満身創痍? そんなものあんこの愛への前では金魚を掬うアレに等しい!
(やばい……エロ依頼って、どれぐらいエロいんだろう……でも、学園の正規の手続きを踏んで参加した依頼なんだし、怒られたりはしないよな、大丈夫……だよな!?)
ドギマギしながら若杉 英斗(
ja4230)。入れこみ過ぎて棄棄の言葉も耳に入らず、エロい依頼があると信じて疑わなかった彼はエロい内容が気になって気になってよく眠れなかった。先生、『良く眠れなかった』なんて事前準備初めて見ました。リアルに吹いた。
でも、参加した以上は大義名分をもって――エロに臨む!
「いや、依頼だから! 斡旋所に出ていたちゃんとした依頼だから! エロくったって、仕方ないよねッ……」
「若ちゃん……これプチプチをぷちぷちするっていう……」
「えっ!? ぷちぷち? ……コレは、エロいことする前の準備体操的ななにかか!? まさか……今回のエロい依頼とはあんなトコロやこんなトコロをツンツンするのか!? そのためのウォーミングアップというわけですかぁあああ!?」
「うん 先生はもう頷いておくね」
まぁそういうわけでバトルスタート。
「確かこれ、エアーキャップとも言うんだよな」
常通りの平静さ。小紅は気泡緩衝材を手に取った。それを二枚に重ねて、器用に二個同時ぷちぷち。
ネタバレ:真面目な潰し方ここまで
「く……勝負とあれば、退くわけにはいかんな!」
そんなラグナが設置するのはサンドバッグ。それに気泡緩衝材を巻き付けて。『リア充』と書いた紙を貼り付けて。
これは訓練。己を鍛える場。そう――『リア充撃破』の為のッ!
「うおおおおおッ! 死ねえッ、リア充ッ!」
呻れ腕力、全力で絞め付けて息の根(ぷちぷち)を潰せ!
「たあっ! この私の手にかかって死ぬことを光栄に思えッ!」
ビッタンバッタン。敵の天魔にも言わない様な台詞と共に、サンドバッグを馬鹿力でぶん回し、何度も何度も地面に叩きつける。
なんて気迫だ。その凄まじいリア充憎悪のあまり、勝手に噴き出すシャイニング非モテオーラ。渦巻く非モテ的要素が黄金の輝きとなって溢れ出す。文面だけなら神々しいんだけど、それはなんだか皆の気分を害する神秘的な光。度肝を抜かれてをなんか一回りフライアウェイしたプチプチ早潰し愛好会のウワァって眼差し。でもラグナはドMなので冷たい視線は寧ろご褒美です! ご褒美です!
「気持ちいいぜーーっ この爽快感の中で非モテキャメルクラッチとかしちゃうぜぇえーーっ」
背中にぶわぁーと神々しい天使の翼。からの、高度を付けてフライングボディアタック(必殺非モテメテオ)。
「ラグナさん、もっと丁寧にやさしくツンツンしないと」
そっと提案する英斗だったがラグナは血涙を流しながら高笑いをしている。英斗は歯噛みする他にない。
(かわいこちゃんの写真を顔のあたりに貼れば……雰囲気出るかもな……いや、だめだ、そこまで行ったら戻ってこられなくなる!)
ディバインナイトよ、大志を抱け。
一方で。
「こ、これはどういうことですか!? わたくしが用意したジャージやら何やらが白いビキニにす、すり替えられておりますわ! いったいどなたの仕業ですの!?」
更衣室内のみずほは愕然中。しかし皆に迷惑をかける訳には。逆に考えよう、ビキニは動き易い。
(やはり恥ずかしいですわっ……! いえ、いけませんわ。わたくしは『長谷川アレクサンドラみずほ』! 恥ずかしがってばかりもいられません。皆の為にも、精一杯頑張りませんと!)
と言う訳でみずほは勢いよく更衣室のドアを開けてリングイン。
「みずほちゃん似合ってるぜ! 可愛いなぁ〜先生次はセーラー服が見たいです。ミニスカじゃなくって膝丈で!」
盛り上がる棄棄はさておき。
「みずほ殿、全力で参れ! 俺のあんぱんエネルギーストリームボルテージを滝登りさせるのだ!」
「宜しくお願い致します!」
みずほはボクシンググローブを両拳に装着し、リンドは気泡緩衝材を巻き付けたサンドバッグを両手に持ち。そこへ、踏み込んだみずほがボクシングの要領で鋭くパンチを打ち込んでゆく。一心不乱の連打。正確に高速に潰されてゆくプチプチ。
靡く金の髪と飛び散る汗が、白いビキニに良く映える。うむ。
「あんぱんあんぱんあんぱんあんぱん!!」
リンドもヒートアップ。自慢のゴツゴツ尻尾でビッタンビッタン気泡緩衝材を潰しつつ。重体? あんぱんの前では無意味よ!
「……胸でプチプチ潰すか? 無理か。物理的にもルール的にも」
グリーンアイスもみずほと同じくグローブを構えていた。そゆ訳で一発目。気泡緩衝材へ叩き付ける右ストレート。しかしグローブを物質透過。拳でダイレクトアタック。
「グローブを使うといったな? アレは嘘だ」
次いで二発目。そいっ。束にした気泡緩衝材に素の拳を叩き付ける。纏めて豪快に潰す――のかと思いきや、チプチ一個を除いて透過して、潰したのは一個だけ。
「うーん、職人芸?」
我ながら、と眺めるけれど。飽きてきた。眠い。あ゛ー。良し。明鏡止水。少なくとも眠気は飛ぶだろう。
「……」
覚醒した意識で、見詰めるそれ。
「……気泡の中に宇宙が見える……プチプチの中の宇宙が潰れていく。物質はなんて儚いんだろう。でも――何もないはずの気泡の中に、宇宙がある……!」
悟っちゃったよ。
「色即是空、空即是色……」
悟っちゃったよ。
「そういえば、古い漫画で、ゲームの対戦中だというのにムーンサルトでハイスコアを出しているものがあったな」
ここにきて唐突、小紅がそんな事を口走る。真面目な顔と口調のまま。そして鮮やかに宙返りを決めるや急降下――雷打蹴だ! だがそれは失敗に終わり。
「効率が悪いな……」
溜息と共に作業再開。因みに小紅はスカートを穿いていた。そんな状況で宙返りとかしちゃえばスカートが翻ってラッキースケベな訳で。あっ、注目ってそういう……でも当の本人は気にも留めず超クールだった。マジCOOOOL。
「よし小紅、合体技だ」
そんな折に顔を出した戒が手にしていたのは羽織りだった。小紅が頷く。小紅が前で戒が後ろ。プチプチ早潰し愛好会の二人も同様に二人羽織り。なのだが。戒にとっては――なんか勝負らしいがそんなことわどうでもいい! そして自分はが見えません、つまり!
ついうっかりトゥルッと手元が滑ってアレでソレな部分にダイレクトアタックしても仕方のない環境ッ!
「ひゃああ。戒、どこを触っているんだ、お前はっ!」
「わたしわるくないですよねええ」
「ちょっ……やだ、ひゃぅっ」
あっはんうっふんえっちすけっちわんたっち。だったのだが。偶然にも戒の手が小紅の目にダイレクトアタック!
「目がぁ! 目がぁ! ……戒〜ッ!」
軽く()シバいて作業に戻った小紅でした。
しかし戒は諦めていなかった。とりあえずチチが揺らせたらなんでもいい。挑むぜ、くらりんの限界まで!
お次の標的はみずほ。ビキニの上から気泡緩衝材を身に纏っているのは、それを戒に攻撃して貰う事でディフェンス面を強化する為だ。
「練習に付き合って頂けるとは、有難いですわ」
「いえいえ〜」
頷く戒であったが――なんか鍛えたいらしいがそんなことわどうでもいい! そして自分は遠距離職、つまり!
ついうっかりスカッと目標を外してアハンでウフンな部分にダイレクトアタックしても反則ではない仕様っ!
「わたしとーしろですしおすし!」
「きゃぁっ!?」
だがここでみずほの鮮やかなカウンターパンチが炸裂。みずほの清純は護られたのであった。
それでも戒は諦めなかった。
「かわいこちゃんにプチプチを貼り付ける勝負、名付けて『よいでわないか』ごっこをしようではないか」
「そういう事で、なあ、そこの美少女達、ちょっと身体にぷちぷちを巻きつけてくれないか?」
真顔で赤坂白秋(
ja7030)が続く。
「勘違い、するな……! 俺達も本当はこんな事はしたくないんだ!! だがこれまでの戦いで示されたプチプチ早潰し愛好会のぷちぷちを愛する心は俺のイケメンハートに火を点けたッ! 確かめたい! この目で! その愛が! その情熱がどれほどのものなのか! 例え圧倒的逆境に立たされようとぷちぷちをぷちぷちする事をやめないぷちぷち早潰し愛好会のぷちソウルを俺達は見たい! だからこれはそのためにどうしても必要な事なんだ!! まあ最初から最後まで丸っと全て建前で『よいでわないかごっこ』がしたいだけですし!! おすし!!! 暑いんだよとにかく暑いんだよ暑さが全部悪いんだよおっぱいおっぱい!! とにかく俺はこの『よいでわごっこ』をやる、それはもうやる、やりたい! やります! やらせてくださいおねがいします!!!」
というわけでそこの美少女たち身体にぷちぷちを貼り付けてくれないか。
はい、白秋さん爛れた言い訳をありがとうございました。取り敢えず反論は\イッケメーン!/して二の句を次がせず目隠し準備OK。
そんな時に突然立ち上がったのはなんか目がいっちゃってる藤咲千尋(
ja8564)。
「今年の夏は、暑かったーー!! 嘘です、まだ暑いーー!! なう暑いーー!! だからエロ依頼で頭ぐにゅんぐにゅんしてもいいって思ったんだ……思ったんだ……ッッ!! なのに、なのに、なのにーー!! センセの嘘つきィィィィェェエエエーー!!」
\乙 女 の 純 情 を 返 せ ー ! ! /
※おつおんな、ではない。すみなさけ、でもない。
「先生かっとなりました。純情はかえします」
「やったー! がんばるよ!! いつでも元気に一生懸命やれることを精一杯がんばるのだよーウェウェーイ!!」
「え、ちひろんもやるの? よし標的増えtげふん心強い味方だねっ!」
戒もサムズアップで目隠し装備。そして白秋も緑火眼ビッカー! インフィスキルを無駄つk 有効活用。
「いいんだよ俺はとにかくぷちぷちすんだよっつーかぷちぷちどうでもいいから女の子の身体を合法的に触りたいうおおおおおおおあああああああ触る俺は触る触りまくるぜ!! 視える!! ここだあああああ!!!」
むに。
触ったのは千尋の後頭部。
彼女は馬鹿正直に気泡緩衝材をひとつひとつぷちんぷちんぷちんぷちんぷちんぴちんぴち……
「あ、あれ、頭がぐにゅんぐにゅんしてきた……コレは、コレは、キタかしらキタかしら……うひゅひゅー、楽しそうなのだよヒュー!! 目隠しヒュー!! あっちむいてヒュー!! 背徳的なアレとかソレとかのにほひがしますねハスハスクンカクンカ! ヘイヘーイ、パスパース、プチプーチ☆ ああ、そんな、ご無体なヒュー!! よろよろヒュー!! プチプチヒュー!! むぎゅーしてはぐーしてもふもふぺろぺろうへへうへへヒュー!!」
「ちょっ どこさわって」
「大丈夫、わたし女の子だから!! ハクさんがやったらいろいろ問題があると思うけど、わたし女の子だから平気だよ!!」
「えっ 待っ アッー!」
「むぎゅーーいい匂いハスハスクンカクンカ」
千尋にあんなことやこんなことをされてしまった白秋でした。千尋ちゃんそれお姉さんじゃなくて男性です。暑さの所為ですね。そこへ更にリンドが頭からチャージングどーん。楽しそうでウズウズしてたけど混ざりたいって言えないコミュ障。だからボディランゲージ。仕方ないね。
「……棄棄殿もよいではないかせぬか? 梱包なら任せろ」
「うん……先生はここで見てるね」
もみくちゃになっているリンドの真顔に棄棄は微笑んだ。ていうかエロ全くないつもりだったのに実際やらしくなって先生真顔だよ。
「俺のこの指が光って唸る……いや……いかんいかん、攻撃スキルはナシだった。やさしくツンツンしないと、な」
神輝掌をぐっと抑え、英斗は正確無比かつスピーディーにぷちぷちをつんつん。ぷちぷち。つんつん。何かに取り憑かれでもしたのか、異様な光をその目に宿し。
最中にハッと我に返る。周りを見渡せば。
「ご存知だろうか。インフィにはマーキングというスキルがあってですねぇえ!」
「くくく……リア充が一匹、リア充が二匹……」
以下略な戒に、陰険なまでにぷちぷちを丹念に潰しているラグナ。
「うん、みんな通常運転だった」
せやな!
●結果は引き分けでした
「「ごめんなさい」」
戒は進級試験に向けて練習中の華麗なるDOGEZAを披露。白秋も反省。
「やはり戒さんご謙遜でしたわね、ボクシングに関しても手練れではありませんか。ですからわたくしとみっちりスパーリングをいたしましょう」
凄く良い笑顔、みずほはそんな戒の耳を掴んで彼方の方へ引っ張って行った。
「嗚呼実家のお兄ちゃん、千尋は真夏の夢を見てひとつ大人になりましふぁーーーーー……」
千尋昇天。
「……あたしは一体何してたんだ? つーか、今日は一体なんだったんだろう……」
明鏡止水が切れると共に悟りモードも切れたグリーンアイスが欠伸と共に言い、
「皆疲れただろうし喉も渇いたろう? ……あまり金はかけられんかったが、乾杯でもせぬか?」
満足げな顔のリンドは牛乳や緑茶を皆に配る。因みに余ったプチプチは頂いた。昔は良く世話になったとか何とか。梱包されて彼方此方に運搬されてたとか何とか。
そんな中で英斗は何か言いたげに。そっと、終始何とも言えない表情を浮かべていた棄棄に目を遣って。
「ところで先生、あの……その……エロい依頼って、いつはじまるんですか?」
「終わりこそが始まりなのかもしれないね」
と、棄棄は若ちゃんの肩をポンしたのであった。
『了』