ここは、ダイエットサプリの治験会場。
前置きは面倒なので、さっさと始めよう。
「あのぉ……こんな招待状が来たのですけれどぉ……」
一番手の月乃宮恋音(
jb1221)は、そう言って一通の手紙を見せた。
平等院が不敵に笑って応じる。
「当然だ。この薬は、キミの話を聞いて開発したのだからな。さぁ飲みたまえ」
「うぅ……本当に、やせられるのでしょうかぁ……」
「無論! この平等院に『失敗』の文字はない!」
平等院にとっては、失敗もまた成功!
そこへ、チャイナドレス姿の袋井雅人(
jb1469)が口を出す。
「ここは平等院さんを信じましょう! いままでダイエットのたびにひどい目を見てきたような気もしますが、今回はうまく行くような気がしますよ!」
「そ、そうですかぁ……?」
「ええ! 私が保証しますよ!」
なんの根拠もなく太鼓判を押す雅人。
「では……そのぉ……もしうまくいったら、継続的にサプリを服用させてほしいのですけれどぉ……いいでしょうかぁ……?」
恋音が訊ねた。
「かまわんとも。ここに試供品がある。好きなだけ持っていくが良い」
平等院は太っ腹なので、わざわざ薬を半分残して持って帰ったりする必要はなかった。
そんな二人の背後で、うろうろしてるロリ巨乳がいた。
愛須・ヴィルヘルミーナ(
ja0506)ちゃんだ。
彼女は恋音のあとを追ってきて、なんの事情も知らぬままここにいる。
「なにこれ……飲めばいいのかな……?」
紙コップを手に取って、ためらいなく飲んでしまう愛須。
もともと小学生とは思えないサイズだったバストが、むくむくと大きくなっていく。
これが第一次性徴……もとい、成長!
「はぅぅ……っ!?」
プチプチッと制服のボタンが飛び、パツーンとブラジャーがはじけた。
そして現れたのは、たわわに実る大玉スイカふたつ。
「え? え……!?」
状況が理解できず、うろたえる愛須。
サプリの副作用なのか、なにやら酔っぱらったみたいに顔が上気している。
「ん……なんだかモヤモヤする……月乃宮お姉さん、どこ……?」
ふらふらと歩きだす愛須は、完全に理性を失っていた。
「そ、それではぁ……飲んでみますねぇ……?」
毒薬でも飲むかのように震える恋音。
「大丈夫! きっとうまく行きます!」
雅人は、グッと親指を立てて微笑む。
それを見て、恋音は薬瓶を口へ運んだ。
ほぼ同時に、愛須が恋音を見つけて駆け寄ってくる。
「月乃宮お姉さん、見つけた……」
子猫みたいにじゃれつこうとする愛須。
それに気付かないまま、恋音は目をつむって薬を飲んだ。
ドォォォォォンン!
瞬時に20倍のサイズに膨れあがった恋音のおっぱいが、周囲のすべてを押しつぶした。
もともと126cmのバストが20倍(自己申告)ってことは……まぁ、お察しください。
当然、最初の犠牲者は恋音本人だ。第一段階とか第二段階とか言ってる場合じゃない。
雅人も雅人で、大きくなったおっぱいを揉みしだこうなどと考えていたが、それどころの騒ぎじゃなかった。だいたい、こんな脂肪の山をどうやって揉めと……。
まぁ、この二人は自業自得だから仕方ない。
悲惨なのは、なにも知らずに巻きこまれてしまった愛須だ。
「月乃宮お姉さん……」とか言いながら無邪気に駆け寄ってくるロリ幼女を、標高15mぐらいのおっぱいが問答無用で圧殺したんだぞ! ひどすぎる! というかプレイング見た瞬間、『参加者全員皆殺しにする気か!?』と思いましたよ!
まぁ大規模も近いんで、重体判定は関係者だけで……。体育館の天井とか余裕でブチ抜いてますけど、ギャグ漫画と同じでシーンが替わると何もなかったことになってますんで。よろしくおねがいします。
……というわけで初重体おめでとう、恋音さん! 今日は赤飯だ!
希望しなければ重体にはならないなんてことはなかったぜ!
「平等院さんの『退屈を吹っ飛ばす』という言葉に感動しました! みんなの耳がうさ耳になったら、絶対たのしいと思うんですよ!」
うさ耳帽子をかぶってピョンと跳ねてきたのは、宇佐美瑞木(
jb9528)
彼の目的は、おっぱいを大きくすることでも小さくすることでも、だれかのおっぱいを揉むことでもなかった。平等院の手腕を見込んで、『うさ耳サプリ』を作らせようというのだ。
が、平等院は乗り気ではない。
「うさ耳? なにが楽しいのだ、それは」
「たのしいですよ! 想像してください、学園のみんながウサギになってるところを!」
「わからん」
「でも、天才発明家の平等院さんなら作れますよね? 体型を自由に操作するサプリを作ったぐらいなんですから。それを応用すれば、うさ耳なんて簡単ですよ!」
おだてて、その気にさせようとする瑞木。
すると、平等院は不意に指を鳴らした。
「うさ耳に興味はないが……全身を兎にするのは面白いな」
「そ、そんなことが……!?」
「光纏したとき猫や狐になる例もある。要は、アウルを思いどおりに制御すれば良いのだ」
「それ、僕にも手伝わせてください! 今日から、助手として働きます!」
「よかろう。実験台として協力してもらう」
という次第で、平等院の次なる目標が決まったのであった。
メロンパン中毒の夜雀奏歌(
ja1635)と緋流美咲(
jb8394)は、おそろいのメイド服でやってきた。
薬を受け取った二人は、仲良くカーテンの向こうへ。
「これを飲めば……小学生とか言われない……はず……」
悲しいことを言いながら、ティーカップに紅茶を注ぐ奏歌。
そして美咲と奏歌は向かい合い、おたがいのカップに薬を入れる。
その光景は、なにやら心中を図る百合ップルみたいだ。
「さぁ一緒に飲みますよ、奏歌ちゃん」
「はい♪」
【結果】
奏歌A→F
美咲D→F
ふつうなら奏歌はバツーン!だが、この事態に備えてメロンパン柄の大きめブラを着用済み! ぬかりはない!
「ああ……メロンで、パンな触感……嬉しい♪」
たゆんたゆんな二つのメロンパンを見て、ごきげんな奏歌。
「これはおいしそうなメロンパンですね……」
ふよふよと奏歌の胸をさわる美咲。
メロンパンって結構硬いと思うんだが……。
ともあれ、ふたりは満足げだった。
「テスターほどラクな仕事はないと聞いたのですが!」
意気込んでやってきたのは、シエル・ウェスト(
jb6351)
彼女は先日、装備強化に失敗してしまい、下着と鞄と久遠を失っている。
つまり、ノーパンノーブラ!
上に着てるのは、セーターのみだ!
言うまでもないと思うが、タートルネックの縦セタである。色は黒! 異論は認める!
「かせがないと、下着を買う久遠もないからヤバいのであります。今月始まったばかりですし……。なにも悪影響が出ないことを祈りつつ、テスターがんばります。……あ、薬の飲み合わせ的に大丈夫でしょうかね?」
薬というのは、彼女の持病であるチーズ中毒を緩和するためのものだ。
平等院が「問題ない」と答えるのを聞いて、シエルはサプリを口に放りこむ。
「こ、これは……あきらかに胸が大きくなっているのですが!?」
セーターなので、ボタンがプチンと行くことはなかった。
が、ノーブラ状態でパツンパツンに伸びきったセーターの上からは、完全にポッチリが透けている。
かなりの眼福なのだが、平等院は「なぜだ……」と言いながら頭を掻きむしるのだった。
「え、ダイエットサプリ? そんなの、効くわけないって」
という軽いノリで、桜花(
jb0392)は躊躇なく薬を飲んだ。
その途端。
スゥゥゥ……ッと、桜花の肩にかかる重さが消えていった。
なにごとかと見てみれば、それなりに自慢だったおっぱいが、幼女サイズのちっぱいになっているではないか!
「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!?」
錯乱して、頭をかかえる桜花。
そのまま膝をつくと、彼女は床に拳を振り下ろした。
「これぢゃあ、あの子に揉んでもらえないぢゃないか! 抱きしめて押しつけられないぢゃないか! これはもう、おっぱいぢゃないぢゃないか!」
どこかの詩人みたいなことを叫ぶ桜花。
美少女美少年のハーレムを作ってアレコレするのが人生の目標だった彼女にとって、おっぱいは重要だった。怒りと絶望のあまり、「ド畜生がぁぁ!」と叫びながら近くの消火器を蹴り飛ばす桜花。
だが、次の瞬間。彼女は気付いた。
「あ、あれ……? この胸は、幼女の……!?」
ぺたぺたと自らの胸をさわり、恍惚の表情を浮かべる桜花。
そこに気付いてしまったか! ということは、もうわかるな!? やることはひとつ!
自! 家! 発! 電!
描写はカット!
「このサプリを飲めば、拙者も憧れの巨乳になれるのでござろうか……。わずかな時間でも良いから、巨乳になってみたいものよのう……」
だれにも聞こえない声で、鳴海鏡花(
jb2683)は呟いた。
かつて、全裸状態でヒトデ型ディアボロを退治しても女性だと気付いてもらえなかった鏡花。その貧乳ぶりは、ただごとではない。ほぼ垂直! 絶壁!
というわけで、憧れの巨乳を手に入れるため、彼女は治験に参加したのだ。
……うん、おかしいな。これってダイエットサプリの治験だよな??
まぁそれは置いといて。
「では、早速いただくでござる!」
豪快に一気飲みする鏡花。
すると、一口ごとに胸がむくむくと!
「おお……こ、これは……! これで拙者も巨乳に!」
やったね、鏡花ちゃん!
でも一時的なものだからね、これ!
そんな天からの声など聞こえもせず、「どれどれ……」などと言いながら胸を揉む鏡花。
「お、おおぅ……これが巨乳の感触……なんと心地良い……。ゆれる胸サイコー!」
自らのおっぱいを揉みしだきつつ、感動の涙を流す鏡花。
その姿をはたから冷静に見ると、ちょっと、だいぶ、アレだった。
「ダイエットっても、この学園で必要な奴そうそう居ねぇだろ……」
もっともなことを言って会場を見回すのは、貧乳イケメンの快晴(
jb9546)
もともとは友人が参加する予定だったのだが、治験の失敗談やらダイエット系サプリの怪しい話を聞いて怖くなってしまい、代打として快晴が顔を出した次第。
「……ま、ともかく飲んでみるか」
物怖じすることなく、快晴は薬を飲んだ。
「お? おお……」
ほどよく大きくなるバスト。
ちょっと驚きながらも、快晴は真面目にアンケートに答える。
「この薬がどうかって……? まぁすくなくとも俺にはダイエットの効果は見えねぇし、ここまで個人差が激しいままじゃ市販化は難しいだろうな。……あと個人的にだが、ちょっと飲みにくいなコレ。改善の余地あると思うぜ」
「ふむ。なるほど」
平等院も、真剣な表情でメモをとる。
「しっかし、ないモンが増えると動きにくいな。ふだんからこんなモンぶらさげてるヤツの気が知れねぇ」
「体型を自由に変えられると聞いて来たんだが……」
クールな表情でやってきたのは、志堂龍実(
ja9408)
彼の参加理由は、少々変わっていた。
もともと背が低く、外見で女性と間違われることが多い龍実は、自身の外見をひどく気にしている。そこでサプリを利用して身長を伸ばせば、もっと男らしくなれるのでは……と淡い希望を抱いて来たのだ。
「悪いが、体型を自由に変えることはできない。ただ、運が良ければ自らの望む体型になれるかもしれんが」
と、平等院が応えた。
「それで構わない。よろこんで、実験台になろう」
そして龍実は薬を飲んだ。
結果──
ぷるるん♪
お約束どおり、急成長するおっぱい。
シャツのボタンが飛び、Fカップがこぼれ出す。
「キャアッ!? な、なに!?」
その場にしゃがみこみ、両腕で胸を隠す龍実。
顔は真っ赤で、完全に涙目状態だ。
「ほほう。これは興味深い。よく見せてくれ」
エロ目的ではなく、完全に実験のためだけに龍実の腕を剥がそうとする平等院。
「そ、そんな! ダメ! ダメよ!」
「なにを言ってる? キミは男だろう? 上半身裸になるぐらい、どうってことないはずだ」
「うぅぅ……っ」
羞恥のあまり、全身を火照らせてしまう龍実。
完全に女性に戻ってしまった彼は、もはや言うなりだった。
「ほぇー、ダイエット薬? 人間用の薬が私に効果ありますかね?」
はぐれ悪魔のパルプンティ(
jb2761)は、首をかしげながら薬を飲んだ。
一口で十分なのに、ゴクゴクとボトル一気飲み
だが、しかし。彼女の体に変化はなかった。
「…………?」
なにも変化のないまま、パルプンティは自分の体をしげしげと見つめる。
そのまま、1分経過……3分経過……12分経過……
「ふむ……。きみの体質では何の効果もないようだ」
カルテに結果を書き込む平等院。
「ごらんのとおり、なんにも変化はありませんよーぅ。もう帰りますね?」
「ああ。しかし、この薬はまだ未知の部分が多い。くれぐれも気をつけるように」
「だいじょうぶですよーぅ。では、約束の報酬いただいて帰りますねーぃ」
二本の角をクネクネさせながら、パルプンティは上機嫌で体育館をあとにした。
だが、すべてはフラグ!
帰り道。治験のことなど完全に忘れて、今日の晩御飯は何にしようなどと考えているパルプンティがいた。
しかし、薬を飲んでから数十分後。
大勢の生徒たちが周囲にいる中で、突然パルプンティのおっぱいが!
「はわ……っ!? これは一体なにごとですよーぅ!?」
周囲の視線を一身に浴びて、めずらしくうろたえるパルプンティであった。
「さらば、我が贅沢な肉よ! 私は今日から合法的に胸だけ男の娘になる!!」
目を爛々と輝かせながら、アレクシア・フランツィスカ(
ja7716)は薬瓶を手にした。
彼女がこの治験に参加した理由は、少々変わっている。
それは『胸の脂肪を消去して胸だけ男の娘化しよう!』というもの。
そう、美男美女に目がないアレクシアだが、とくに男の娘が大好物なのだ!
最近はKURARINに配慮して男の娘ウォッチングを自粛していたアレクシア。この薬でうまいこと胸が小さくなれば、自前の胸で男の娘を堪能できるではないかと、大張り切りだ。なにやら言ってることがおかしいが、男の娘禁断症状でパルプン〒状態に陥った脳内会議で決定した結果がこれだ! なにも間違ってない!
「あら、シアも来てたのぉ……?」
色っぽい声で話しかけたのは、ツェツィーリア・エデルトルート(
ja7717)
「ああ、まぁな。これも人助けだ」
「わたくしは、純粋にダイエット目的よぉ……。デカイと運動しんどいのよねぇ……局地的に痩せれるなら万々歳だわ……」
どこかアンニュイな表情を浮かべるツェツィーリア。
それを見たアレクシアは、「たしかに戦闘時は邪魔でしかないな」と真面目な顔で応じる。が、内心は『胸だけ男の娘が増えたぜ!』と、ほくそ笑んでいるのだった。
でも、そろそろ気付いてほしい。それはもう男の娘ぜんぜん関係ないってことを。
「せっかくだ。同時に飲もう」
内心ワクテカしながら、顔だけはキリッとさせてアレクシアが言った。
「いいわよ。……個人的な希望はBよねぇ……。かわいいランジェリーの種類が多いのは、そのあたりだし……」
「よし、いくぞ。1、2の、3!」
「南無三!」
ふたり同時に、グイッとな。
おめでとう!
アレクシアは男の娘になった!
「キタ! 私の時代キタ! これでもう、男の娘を眺めておまわりさんこっちですにならずに済む!」
謎の言葉を口走るアレクシア。
だいぶテンションがおかしい。
一方、ツェツィーリアは悲劇に見舞われていた。
飲んだ瞬間、パーーンッという破裂音とともに服が吹っ飛んだのだ。
どうにかギリギリで全開だけは免れたデカブツを見下ろす瞳からは、急速にハイライトが消えていく。
「……これはもう、胸というよりお尻だわねぇ……胸にパンツ履かせないといけない事態とか……」
「おちつけ、ツェリ。胸にパンツは履けない」
「は……っ! シア、なぜあなただけ小さくなってるの!? この裏切り者ぉぉ!」
完全に男の娘と化したアレクシアの胸を、ぺたぺた撫でまくるツェツィーリア。
「な、なんか、めちゃ怒ってる!?」
「お約束を破るからよ!」
というわけで、ここでもまた騒ぎが起きるのだった。
「ダイエットサプリ……? わたくしの体に、痩せる部分などありませんわ」
斉凛(
ja6571)は、妙に得意げだった。
たしかに、がりがりつるぺた幼児体型まな板洗濯板の凜にとって、無駄な肉など1グラムもない。必要な肉もないって? それを言ってはいけない。こう見えて、まな板であることを少し気にしているのだから。
そんなわけで、凜は最初から副作用を期待して参加。
薬物の力で胸を大きくしようというハラなのだ。胸なのに腹とは、これいかに。
「では、さっそく……」
期待とともに薬をあおる凜。
これでおっぱいが巨大化すれば、あの憧れの『胸がキツくてシャツのボタン取れちゃった♪』ができる!
駄菓子菓子!
「ちっとも、大きくなりませんわね……」
つるぺた胸を両手で撫でる凜。
よく見れば、わずかばかり存在したふくらみが、完全消失しているではないか!
「そ、そんな……っ!? わたくしの胸を、ささやかとはいえ健気にも存在していたおっぱいを、返してくださいぃぃ……っ!」
絶望のあまり、凜は泣き崩れた。
そこへやってきたのは、自家発電を終えて賢者モードどころか荒武者モードになった桜花。
「はぁはぁ……つるぺたおっぱい……!」
「そ……そんな……恥ずかしいです……辞めてください……」
文字数が足りないので描写はカット!
「なるほど、これはボクサーにとって福音ですわね」
まじめな顔で言うのは、長谷川アレクサンドラみずほ(
jb4139)
「ふむ。キミはボクサーか」と、平等院。
「まずは重要なことをお訊ねしますわ。この薬品、ドーピングには当たりませんわよね?」
「無論だ」
「では、ひとりのボクサーとして、このサプリによる運動能力の変化を確かめてみますわ」
というわけで、体育館の中央にリングが設置された。
「さぁ実験開始ですわ!」
コーナーポストにもたれかかり、薬を飲み干すみずほ。
ぼい〜ん♪
この擬音は、正直どうかと思う。
「な、なんてことですの!? わ、わたくしの胸が、そ、その、はちきれんばかりになってしまいましたわ!?」
説明台詞ありがとう。
というわけで、能力測定のスパーリングが始まった。
相手は平等院だ。
「こういうことには向いてないんだが……」
きっちり死亡フラグを立てたところで、ゴング!
みずほは、ふだんより重いフットワークで前に出た。
「胸が邪魔で動きにくいですわ」
「そのようだな」
「では、ためしに軽く一発」
みずほの全身からオーラが噴き上がり、黄金の拳がうなりをあげた。
ドグシャアアアッ!
「アバーーッ!?」
リングの外まで吹っ飛ぶ平等院。これはひどい。
「あら! バストとパンチ力は比例するようですわね! 素晴らしいですわ!」
無邪気に喜ぶみずほ。
だが、体重計に乗ってみたところ、規定値を余裕でオーバー。
「リミットをオーバーしてますわ……これはダメですわね……」
それはまぁ、うん……。
「これは一体……」
周囲の惨状を見回して、雫(
ja1894)は震えた。
会場には早めに来ていたのだが、どうにも飲むタイミングがつかめず、惨劇を目の当たりにしてからの挑戦となってしまった。
「ええい! 女は度胸です!」
意を決して、薬をあおる雫。
そして、期待と不安の交じった目で胸を見下ろす。
そもそも、雫が治験に協力したのは理由があった。胸が大きくなれば少しは女性らしい魅力が出て、気になるあの人へのアピールになるのでは……と考えたのだ。
そろそろ薬が効いてくるはず……と思いながら、まな板をペタペタする雫。
だが、一向に変化は現れない。
「…………」
沈黙。
まな板ぺたぺた。
しーーん……。
ぺたぺた。
まな板は、どこまでもまな板だった。
「なぜ……」
「キミには効果がないようだ。もう帰っていい」
ズバッと斬り捨てる平等院。
「な……なんで効果がないんですか! あれですか!? 私の胸が大きくなるのは烏滸がましいってことですか!? それとも、私の胸には未来がないってことですか!?」
闘気解放して、烈風突をぶちかます雫。
「ちょ……ッ!?」
平等院は避ける術もなく、壁まで吹っ飛ばされてスタンした。
なんという八つ当たり。
だが、雫は止まらない。
「乙女の純情を返せ〜!」
『咆哮』しながら、『縮地』で間合いを詰めると、動けない平等院に『黄昏』を発動!
「はい、そこまでね? 雫ちゃんが本気で殴ったら、その人死んじゃうからね?」
明日羽が雫の首根っこをつかんで、猫みたいに持ち上げた。
「でも! でも! 乙女の純情が……!」
「うんうん。慰めてあげるからね?」
結局、得したのは明日羽だけ!
「これを飲めば痩せれるんですね!?」
東風谷映姫(
jb4067)は、なぜか褌とさらしに着替えて、なんの迷いもなくサプリを飲んだ。
そのとたん、パーンとさらしが弾け飛ぶ。
「な、なんじゃ、ヒャッハハーー!」
ハイテンションで自らの胸を揉む映姫。
まてまて! あなた貧乳マイスター! You貧乳マイスター!
「ああ……これは神の御加護なんでしょうか……」
ひとしきり揉み揉みして満足すると、映姫は周囲を見回した。
そこには、見渡す限りのおっぱいおっぱい!
「これは、またとない機会! 揉めるだけ揉みます!」
こうして、映姫の揉み行脚が始まった。
まずは、友人の凜のもとへ。
「ぐへへ、お嬢さん。怖くないよ〜」
貧乳マイスターらしく、凜乳……もとい凜の貧乳を揉みに行く映姫。
「や、やめてください、映姫さん!」
恥ずかしがりながら、凜は釘バットをフルスイングした。
カキーーン!
「アバーーッ!」
映姫は血まみれになりながら、体育館の壁をぶち破って吹っ飛んでいった。
行脚終了!
「ダイエット薬なんて、本当にあれば大スクープネ! 噂ダト、バストが変化するらしイケド……」
長田・E・勇太(
jb9116)は、薬の真偽を確かめるために参加していた。
「エ? コレ飲むの? オーライ。オーライだ」
そう言って、わりと気楽に薬を飲む勇太。
すると──
「WHAT? ミーのバスト大きくなってル? 重いし邪魔だし、けっこう大変ネ。……って、アレ? なんだか下に違和感が……」
な、なんだと!? 下に違和感!?
ちょっと待て、性別を変える効果はないぞ!
……って、ああ、そういうことか! そりゃまぁ無理もないな!
「Oh……さわった感じが、クセにナリソウネ」
などと言いながら、自分の胸を揉み揉みする勇太。
そして、ふと思いついたように彼は言うのだった。
「そうだ! この際だかラ、ほかのバストも触診させてもらうネ! グッドアイディア!」
揉み行脚発動!
「こ、これは……っ!?」
薬を口にした直後。静馬源一(
jb2368)は声を上げた。
その脳内には、ツナギ姿の精霊、通称アベ・ギューがチラついている。
『よかったのか? ホイホイ依頼に来ちまって。俺は不用意に参加した奴だって構わないで進めちまう人間なんだぜ?』
どうやら源一は、少々錯乱しているようだ。
しかし、無理もない。
「どーしてこーなった!? どーしてこーなったで御座るか!? じ、自分の胸に、お、お、おっp……うなぁぁぁぁ!? そんな破廉恥な言葉、言えないで御座るーー!」
源一は、すっかり女体化しているのだった。
そのおっぱいは、魅惑のGカップ! だって、G大好きだからね!
「と、とにかく、こんな姿見られたら恥ずか死してしまうで御座るよ!? 早急に隠れなければ!? 隠れ……!?」
その瞬間。源一は異音に気付いた。
なにか、重い物が空を切る音。これは一体──
グシャアアアッ!
どこかから飛んできた消火器が、源一の後頭部を直撃した。
「〜〜〜〜ッッ!?」
10回転ぐらい床を転がって、動かなくなる源一。
そこへ、桜花が駆けつけた。
「げ、源一!? しっかりして! だれがこんなことを! とりあえず人口呼吸しないと! いますぐに! ディープな感じで!」
描写はカット!
源一南無!
桜花万歳!
「あの……明日羽様、お茶をどうぞです♪」
奏歌が、トレーに紅茶とメロンパンを乗せて持ってきた。
となりには美咲。
ふたりとも、完璧なFカップメイドである。
「おいしそうな紅茶だね? 薬が入ってるんでしょ?」
あっさりと罠を見抜く明日羽。
「あ、あの、明日羽様。これにはわけが……」
どうにかしようと、美咲が前に出た。
「どういう『わけ』なの?」
「正直に言います! 明日羽様の変化が見てみたいんです!」
「見かけによらずアグレッシブだね? そういうのはキライじゃないよ?」
「こう見えても、やるときはやるんです! 明日羽様! わ、私が……飲ませてさしあげます〜!」
真っ赤になりながら、美咲は紅茶を口に含んだ。
そして、真正面から明日羽の唇を奪う。
「ん……」
明日羽は微笑みながら紅茶を受け入れ――
「んんん〜〜ッ!?」
頭を押さえつけられ、唇を封じられたまま、びくんびくんしながら押し倒されてしまう美咲。
あとはご想像どおり!
「ん……。おいしかったよ? 次はあなたね?」
ぺろりと唇を舐めて、明日羽は奏歌のほうを振り向いた。ちなみに薬は全く効いてない。
「えと……その……」
予想外のなりゆきに、Fメロンパンをかかえて狼狽する奏歌。
だが、彼女も撃退士。ただではヤられない。
「メロンパンが私に力をくれる! カレーパン以外には無双!」
メロンパンを食べて、光纏する奏歌。
必殺! アンリミテッド・メロンパン・ワークス!
「遅いよ?」
「ふにゅ……っ!?」
呪文を唱えるヒマもなく、審判の鎖をくらって倒れる奏歌。
そこへ、マウントポジションで明日羽がのしかかる。
「こうなるってわかってたよね?」
手術に臨む外科医みたいに、明日羽は両手をかざした。
「えと、あの……!」
奏歌がどんな目に遭ったか、とても書けない。
ごちそうさまでした。
「凄まじい呪いだ……。きっと、これで勇者とかラスボスを倒さねば、我輩はザコキャラには戻れぬのだ……!」
Unknown(
jb7615)は意味不明なことを口走りながら、戦慄に震えていた。
すでに薬を服用済みの彼は、たっぷたぷの巨乳……否、魔乳を装備!
話も聞かずに参加してしまった悪い子は、そういう目に遭うのです!
……いや、これ別におしおきになってないよね? むしろ、ごほうびじゃね? まわりは女の子いっぱいだし。ある意味ハーレムに近い。
まぁとにかく本気で呪いのせいだと思い込んでいるUnknownは、『乳で戦えば元にもどるんじゃね?』と考えて、いざ突撃!
……だが、ちょっと待ってくれ。だれと戦うつもりだ!? なにも書いてない!
まぁ仕方ないので、手当たり次第に殴りかかることにしよう。このおっぱいでな! たとえどんな強敵勇者であろうと、倒す所存! この武器(乳)で経験()を積めば、魔王に昇格も夢じゃない……って、目的なんだっけ!?
……というわけで、Unknownは雄っぱいを振り乱しつつ誰彼かまわず殴りかかるのだった。
ああ、だれか医者を呼んでくれ!
このイベント、変態しかいない!
「ダイエットサプリのモニターだって聞いたような気がするけれど、どんなのかな? おなかが少しでも引っ込んだら嬉しいんだけど……」
のんきなことを言いながらやってきたのは、藤宮真悠(
jb9403)
そこで彼女が目の当たりにしたのは、面白衝撃ハプニング映像の数々だった。
全身おっぱいと化した恋音。
チャイナドレス姿で倒れる雅人。
息をしてない愛須。
なにか大切なものを奪われている源一。
瞳の光を失ってマグロみたいになった、美咲と奏詩。
なぜかおっぱいを揉みあう、大勢の撃退士たち。
色々書きたいけど、字数が足りないよ!
「こ、これは一体……」
あまりの光景に息を呑みながらも、真悠はデジカメで撮影しはじめた。
こんな光景を写真に収めてどうするのかと思うが、多分どうにかするんだろう。
具体的にどうするのかはわからない。だが、使い道はありそうだ。
「すいません、遅れ……って、なにこれ」
矢野古代(
jb1679)がやってきたとき、治験会場は凄まじいありさまになっていた。
巨乳化した男女が乳を揉みあい、ある者は鼻血まみれで倒れ、ある者はちっぱいをかかえて泣き崩れ、またある者は完全に息をしてない。だれか医者を呼んでくれ。
「ふむ……どうやらこの薬を飲むと……おっぱいぼーん! となるのか」
周囲を見回して、古代はうなずいた。
「なるほど」
と言いつつ、おもむろに上着を脱ぎだす古代。
「おもしろい」
ついでにシャツも脱ぎ脱ぎ。
「飲むぞっ! 俺の体に脂肪は少ない。どういう効果が現れるのか……って重っ!?」
薬を一口飲んだとたん、古代の胸に巨大なおっぱいが出現した。
どれぐらいかというと、『体の10倍はある大きな、おっぱい』だ!
……って、うおおおい! 恋音と同じ惨劇をくりかえす気か!
……いや、大丈夫! 古代は耐えた! 耐えきったぞ! 娘への愛の力で!
「……ふむ。これはみごと。よし、おっぱいローリングだ!」
意味不明なことを口走り、突如として暴れだす古代。
そう! いまこそ、雄っぱいの力を見せるとき!
駆けよ雄っぱい! 風の如く!
なにがなんだかわからんが、とにかく雄っぱいローリングサンダーだ!!
すべてを叩き壊す雄っぱい!
なにもかもを吹っ飛ばす雄っぱい!
だれにも需要のない雄っぱい!
医者を呼んでくれ!
ちゅどぉぉぉぉん!!
よくわからないうちに古代の雄っぱいは爆発し、すべてを吹っ飛ばして終わった!
完!
……すまん。色々ひどすぎた。
次の治験は、動物化サプリだ。