インタビュー

第ニ回「なろうコン大賞」受賞者、高山理図先生のインタビューです。

―まずは受賞おめでとうございます。

ありがとうございます。選んでいただいた審査員の方々に感謝です。

―簡単な自己紹介をお願いいたします。

ウェブではLizreelという名前で活動していました、高山です。
SF小説をメインに執筆して、まったりと活動しています。

―小説を書き始めたのはいつ頃からでしょうか?

構想していた設定をまとめて自サイトで連載をはじめたのは2006年からです。2010年になろう様に引っ越して、それから細々と書いています。

―なろうコンに応募されたきっかけはなんだったでしょうか?

今回のなろうコンはクラフェとイラストタイアップと聞いて、参加表明タグをつけるだけでイラストを描いてもらえる機会があればと心惹かれて応募しました。このコンテストは応募期間中も楽しめる企画だと思いました。

―受賞作『ヘヴンズ・コンストラクター』の一番の魅力と、その魅力をどうやって思いついたかを教えてください。

まず、本作品の魅力というか特徴といいますと、ネット小説ならではの新しいSFを皆様にお届けできるということです。本作品では科学技術と医療、そして人類そのものの発展可能性を、現実に即した考察で探ってゆく予定です。

どうやって思いついたのかについては、死者がデータのみで永遠を生きるという仮想死後世界のアイデアは、既に前作で骨格ができていました。なのでそれに沿って世界観を拡大するような形で、より読み手に抵抗感が出ないよう意識しました。最初、特に一巻では科学要素を少な目にして、自分なりにどうやったら読んでもらえるかを念頭に置いて、キャラクター小説に近づけて書いていきました。

―ふだんは研究職をされているようですが、本業が小説にいかせた部分はありますか?

研究中、深夜の待ち時間などを利用して作品を書きはじめました。現実逃避のように感じて、執筆中は少々後ろめたさがあります。

本業をしていてよかったと思うのは、研究関連での人脈と文献取得が容易だということです。小説で私の手に余る分野は、専門家の協力を得て書いています。なろうで得た人脈もあります。でも内容の全てに考証が入っているわけではないので、間違っている部分もあるかもしれませんが、その点はご容赦ください。この作品は書いているのは私一人ですが、共著のつもりでいます。

―なろうの作品、商業作品問わず、お勧めの作品があれば教えてください。

お勧めや良作はたくさんありますが、小説家になろうに掲載されている小説で今一番夢中になっているのは、「謙虚・堅実をモットーに生きております!」です。これは作者さんの教養も素晴らしいのですが、伏線も巧みに張り巡らされて非常に魅力的です。

商業小説では、鈴木 光司先生の「ループ」です。この仮想現実で異世界をシミュレーションするというアイデアに、本作品も多大なる影響を受けました。

また、ノンフィクションですがミチオ・カク教授の「パラレルワールド―11次元の宇宙から超空間へ」は、読後に世界観が変わりました。「2100年の科学ライフ」も、最近では現実のテクノロジーがSF世界観に追い付いてきているということもあり、力を抜いてSF作品として読んでも楽しめる内容です。

―第二回受賞者として、第三回に挑まれる方にアドバイスをお願いします。

なろうコンは流行から外れていても、低ポイントでもいいという、懐の深いコンテストだと思います。小説ピックアップやイラストタイアップなどの企画もお祭りのようで楽しいです。アドバイスできる立場でもないような気がしますが、私はなろうコン期間中、質の向上は特に目指しませんでしたがテンポを優先して序盤の文量を大幅に削り、斜め読みで読んでも楽しめるように、というのを意識して改稿しました。

―作品を書いていくうえで「うれしかったこと」「つらかったこと」を教えてください。

嬉しかったことは、小説家になろうのマイページで感想通知の赤字を見た時です。投稿からすぐに返ってくるレスポンスの虜になってしまい、それを見るたびに報われた思いがします。感想も批評も、間違いの指摘も有難いです。

辛かったことは、ネタや語彙が思い浮かばなかった時です。何時間も座っているのに数行しか進まなかったりしたときです。語彙や表現力のストックがないので、いつも執筆にイメージが追い付かなくて困っています。

―受賞後の改稿作業の感想を教えてください。

もっと一巻の中でストーリーを進むまで収録したかったのですが、文量がなかなか減らず苦労しました。文量無制限のウェブ更新とは違って文字制限があることにもどかしさを感じ、ここまでお見せできればなあという悔しさもありました。

―最後に一言お願いします。

いつも応援をいただいているウェブの読者の方々、書籍化に関わっていただいたスタッフの皆様に感謝しています。ウェブ版のほうも書籍版のほうも、それぞれ違うテイストをお楽しみいただけるように努めますので、よろしくお願いいたします。

―ありがとうございました

こちらこそ、ありがとうございました。