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みんな、お疲れさまだよっ!
無事に新歓イベントが終わって一安心だねっ!
色々な事件があったけど、解決できたみたいでよかったわね!
さーてと、次のイベントは進級試け……えっと、あー……クリスマスかしらね!?

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 中山寧々美が生徒会室の扉を開けると、すぐに強い磯の香りが抱きついてきた。胸いっぱいに吸い込んで入室する。生徒会の面々が簡素な挨拶を打ってきた。

「それが中庭で振る舞われたマグロ料理ね?」

 真っ白なれんげを置き、会長である黒髪の娘があごを引く。

「あのクロシオアオジロオオマグロさんをラーメンの具材に、と聞いた時にはどうなるものかと危惧していましたが、非常に美味しく、何より新鮮です。
 ……私にも作れるでしょうか?」
「無理やね」
「だろうな」
「あぅ、なら、串カツを――」
「サックサクのフワッフワやで? 揚げ物なめたらアカンよ」
「で、では鉄火丼ならっ」
「この絶妙な醤油加減が素晴らしい。一朝一夕で再現できる味ではないだろうね」
「ですか……そのようですね…………ふ、ふふ、しかし、無理って言われるとやってやりたくなりますね……!」
「いや、そないな所で負けず嫌いな根性発揮しなくてええから。敗戦処理には付き合わんで?」
「僕も巻き込まないでおくれよ?」
「ああ、なんて友達甲斐のない人達でしょう! 寧々美さん、寧々美さんは、今晩のお夕食にご予定とかありますか?」
「え、えーと……そもそもクロシオアオジロオオマグロってもう残ってないんじゃないの?」
「……市販のマグロさんで代用はできるでしょうか……」
「あくまでやる気かコノヤロウ」

 少し調べてみます。言うなり神楽坂茜がパソコンに向かい、この機に大鳥南と大塔寺源九郎が寧々美へ視線を送る。話があるなら今すぐに。彼女がエプロン片手に部屋を出る前に。

「と、とと、ところで!!
 新歓イベントも無事に終わったから記事にまとめようと思うんだけど、その、取材させてくれない?」
「取材、ですか?」

 神楽坂茜はディスプレイから視線を戻し、首を傾げた。

「寧々美さんにしては珍しいお願いですね?」
「あはは……ちょっと、その、時間が足りなくて全部は周れなくて……」
「それも珍しいやん?」
「取材より大切な用事があったのか?」
「……数学の……補習が……」

 泥のような沈黙が生徒会室に流れ込む。
 払拭したのは南の苦笑いだった。

「どこは周れたん?」
「えっとね、オリエンテーリング。学園内外のチェックポイントを周ってダイスを振って、合計得点を競うの」
「あぁ、生徒会室をお貸しした種目ですね」
「ちなみにこの部屋を訪れた生徒の感想は『ガッカリ異常なし!』ですって」
「まあ、この部屋には異常なもんはなーんもあらへんからなあ」
「あとは体育館で行われたきのこパーティね」
「懸念されていたきのこも無事確保できたらしいね。開催が確定したと聞いたときは溜飲が下がったよ。皆楽しんでいた?」
「えぇ! とっっっても楽しそうだったわよ!」

 ――いろんな意味で。
 ふと視線を伏せた寧々美に南が情報を提供する。視界の端できのこ料理について聞きたげに体を前後させている茜に先んじる必要があった。

「あたしは空き教室の組紐作り見てきたで」
「そうそう組紐! 気になってたのよねーどうだった? やっぱりコツとか必要?」
「あたしは作ってへんよ」
「そうなの?」

 教室には入らなかった。入れなかった。
 真剣に紐と思いを紡ぐ生徒らへ声を掛けることがひどく軽薄に思えたことを南は回顧する。
 そう言えば、と源九郎。

「『強化成功のお守り』なるものを入手した。これだ」
「やだ、可愛い……」
「……効果あるん?」
「裏付けとなる統計は得られていない。が、不思議と今日はいけそうな気がしている。食べ終わったら一緒に科学室へ向かわないか?」
「ふぅん、それじゃ一段落したし、物は試しでいってみるか?」

 最後の一切れを頬張り、どさり、と背凭れに沈む南。
 半ばほど開け放った窓から、秋風と、微かな音色が流れ込んでくる。

「よかった。無事完成していたようですね」
「これは――オカリナ? ってことは材料集まったのね!?」

 にこりと茜が頷く。

「なんでも、焼成まで生徒たちで済ませたとか。低音、中音、高音と分かれている点も、非常に面白いと思いました」
「見てきたわけやないんや?」
「是非とも拝見したかったのですが、私もあまり時間が取れなくて……直接――と言っても遠くからですが――見ることができたのは実技演習場だけでした」

 要点を纏めた映像と、経験を積んだ先輩による説明、実践は、傍目にも格別に有意義であったと茜は振り返る。
 一転、へにゃりと眉を曲げて、

「道中の教室で行われていた、バラをモチーフとしたカフェにも寄りたかったのですけれど……」
「あ、そうそう、そこも取材できたわ」
「どのような雰囲気でしたか? ずっと気になっていたんです」
「そこまで注目していたなら、レポートに目を通すことをオススメするわ」

 おどけたようにむくれてから、そうします、と笑みを傾ける。
 教室の中に咲いていた『色とりどりの花々』を知った時、どんな表情に変わるだろう。思いを馳せながら情報をメモに起こしてゆき、残った空欄をペン先で三度叩いた。

「マグロパーティはどんな感じだったの?」
「あたしは行っとらんよ」
「僕もだね」
「私もです」
「あれ? じゃあその料理は?」
「恵が持ってきてくれたんよ」

 気を利かせてあとひとつ運んでくれれば私も食べられたのに。口の下をペンの頭で叩き、ふむ、と切り替えた。

「大山さんは?」





 その中庭は既に普段の平穏を取り戻していた。事前に設置されたゴミ箱などの準備に因り片づけが簡略化できたことが大きい。その分入念に清掃が施され、イベント後であるにも関わらず、辺りには紙屑ひとつ残されてはいなかった。
 催しとはかくあるべきだと大山恵は深呼吸をする。噴水に濾された風が火照った体に心地よい。遠くでは既に、広げた書物で日差しを遮り、まどろみに身を任せようとしている生徒の姿が窺えた。
 ボクもちょっとだけ。腰の上で手を組み、目を閉じた直後、頬が局所的に冷やされた。

「ひぁっ!?」
「ははは、変な声ー」

 目覚ましの正体、放られたジュースの缶をなんとか受け取る。
 投げてきた小柄な茶髪の職員は口の端を吊り上げたまま隣に腰を降ろしてきた。自身の缶コーヒーのタブを起こして傾けてくる。彼女は表情を変えなかったが、恵はやがて頬を緩めた。

「いただきますっ。お疲れ様っ」
「ん、お疲れー」

 カン、と軽い音。
 同時に缶を傾け、コーヒーと炭酸を喉に流し込む。遠くで鳥が鳴いていた。
 柄にもなく静寂を楽しんでいると、三ツ矢つづりが姿勢を変えてきた。ベンチに沿って体を倒し、背中をこちらに預けてくる。

「終わっちゃったねー」
「……だねっ」

 小さなつむじに自分の頭を甘えさせた。
 振り返れば激動の日々だった。先に企画があるにも関わらず材料が届かないという事態がまずあり、なんとか状況を打破しようと船を借りて海に出た。肩を並べた仲間はそれぞれができることを精一杯尽くし、海に平穏を、学園に絶品のマグロを取り戻すことに成功。かと思えば主催者が急務で参加不可能となり、ここでも仲間の手を借りることとなった。主催者側に回っていたものの、教えられたこと、助けてもらえたこと、そして楽しませてもらったことがどれだけ多かったか。そしてどれだけ有意義だったことか。今感じている余韻こそが何よりの証左である。
 しかし、ここは久遠ヶ原であった。

「恵はこれ行かないの?」

 つづりが差し出してきたのは、オレンジと黒の映えるチラシだった。明るい夜に、いじわるな表情を浮かべたカボチャがいくつも舞っている。

「時間が取れたら、かなっ。やりたいこといっぱいあるんだっ」
「ぜいたくー。あたし仕事あるから無理なんだよねー」

 無念でこそあれ、言葉に落胆の色は少ない。
 ハロウィンを逃してしまったとしても、間を置かずにクリスマスがやって来る。間髪入れず訪れる年末年始を乗り越えれば、友人へ配るチョコレートの準備をしなくてはならない。やがて桜が咲き、長雨に流れ、夏を迎えればもう立ち止まってなどいられない。そしてその何れも、この騒がしくて忙しない学園が、ただのひとつでも見過ごすはずがないのだ。
 だが、ここは久遠ヶ原。

「仕事って、司書さんの?」
「それも当然あるけど、合間にちょっとだけ、秩父の資料整理もしてるから」

 彼女らが所属している久遠ヶ原学園という『機関』は、人間界の平和を脅かす天魔への対抗組織である。
 此度の新歓イベントに影を落とした一因である秩父には未だ不穏な雰囲気が漂い続けていた。大きな戦いを迎えた種子島、大きな戦いを乗り越えた東北もまだまだ予断を許すには至らず、加えて、同じアウル覚醒者でありながら敵対している組織との戦いも続いている。

「じゃあ、つづりさんが整理してくれた情報を無駄にしないように、ボクもっと訓練するよっ!」
「そーんな気張らなくって大丈夫だって。無事に帰ってきてくれればそれが何よりなんだから」
「そういうわけにはいかないよっ!」

 つづりの髪をわしゃわしゃと混ぜ返す。

「撃退士はヒーローなんだよっ! どんな敵にも勝てるように、どんな状況でも救えるように、もっともっと頑張らなくちゃっ!」

 わしゃわしゃわしゃ。
 暴れて無理やり逃れたつづりは、肘掛けに頬杖をついて、意地の悪い笑みを浮かべた。

「まっ、そのヒーロー様には近々最大の敵が訪れるわけだけど」
「そんなのあったっけっ?」
「いるっしょー。去年も戦ったはずだけど?」
「んー……?」
「わっかんないかなー。年に一度訪れて、負けると同級生を先輩って呼ぶハメになるやつ」
「!! そんなのいないよっ!」
「あるべなー。今明らかに気付いたべなー」
「よーしっ! ボク、ランニングしてくるよっ!」
「逃げるのかヒーロー!!」
「これも立派な試験対策だよっ! 腕立て伏せ何回できますかみたいな試験も前にあったしっ!」
「実際にあっただけに反論ができない――んだけどそっちはどうせもう充分なんでしょホラ授業いーけーよー!」
「ブレザー引っ張らないでえええっ!!」

 中庭の静寂を終わらせた2人の許へ近づく生徒がいた。恐らく兄妹であろう、まだ糊の効いた制服に袖を通した生徒らは、若干恐る恐るといった面持ちで恵とつづりに声を掛ける。
 居住まいを正した先輩と職員に兄が問いかける。『某学園生の自己紹介VTR』なるものを入手したのだが、閲覧できる設備の場所を教えていただきたい、とのこと。

「ここからだと……視聴覚室が近いかな。許可と鍵貰ってくるから案内したげてよ」
「オッケーだよっ! それじゃあ、訓練も兼ねてダッ――」
「くれぐれも! 新入生に廊下走らせないでよ!」
「わ、わかってるってばっ」

 まったくもう。肩を竦めた職員がベンチを離れ、恵が兄妹を反対側へ先導してく。
 ほどほど進んだところで、くすり、と妹が噴き出した。仲がよろしいんですね。

「うん! 一緒に船にも乗ったんだからっ!」

 ちょっと興味あります。
 身を乗り出した妹の隣で兄が手を挙げた。
 お時間があれば、美術室の位置も教えていただけませんか。

「もちろんだよっ。ボクでよければ、ついでにいろいろ案内するよっ!」

 兄妹は顔を見合わせてから、ではお願いします、とそれぞれの手を差し出してきた。
 恵が取ったそれは、どちらもうっすらと汗ばんでいた。
 ああ、と思い至る。

(「……そっか。そうだよね」)

 きっとこの2人は、初めて自分がこの学園を訪れた時のように、そしてあの時以上に緊張していたに違いない。
 そして自分もあの時、目の前にいる兄妹のように、希望と期待に満ち満ちた表情を浮かべていたのだろう。


「行こっ! この学園の楽しいこと、いっぱい教えてあげるよっ!!」


 強く手を引かれた2人は躓きそうになり、なんとか堪えてからもう一度顔を見合わせ、笑い合った。
 兄妹よりも二周り強く笑んだ恵が先陣を切って校舎に駆け入る。
 新たな光を含んだ校舎は、秋の和やかな日差しも手伝い、まるで微笑むように煌めいていた。


(執筆:十三番、監修:望月誠司)




企画趣旨

生徒会長挨拶

 未だ暑さが残ります今日この頃、雨上がりの朝焼け時、学園のキャンパスは
黄金の色に輝いておりました。
 豊穣の時をすぐに控え、輝ける時を迎えております。
 今日という時、今ここに、久遠ヶ原学園の入学式を開催できます事は
誠に大きな慶びにございます。

 新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。久遠ヶ原学園は全園をあげ
皆様を歓迎いたします。
 人類の守護者たる撃退士としての生活は、困難もありますが、とてもやりがいの
あるものです。
 己の無力を嘆く事もありましょう。しかし、貴方の力を必要とされている方達が
この地上には必ずおられます。

 私、生徒会長、神楽坂茜もまた、貴方の力を必要としております。
 誰かの笑顔を守る力を皆さんは秘めているのです。
 久遠ヶ原学園はとてもユニークで自由な校風で、在園生の先輩がたも
とても素敵なかたがたが多いです。
 きっと素敵な出会いがあるでしょう。恋に青春に勉学に、撃退士として
ありながらも学生らしくあれる場所です。
 誰かを笑顔の守るだけでなく、皆さんご自身も笑顔であれるように、
それを忘れないでください。
 生徒会長として、これに勝る喜びはございません。
 新入生の皆さん、どうか自由で楽しい学園生活を!


力を合わせて新歓イベントを成功させよう!

 今回の任務は、生徒会主催の新入生歓迎イベントに必要な
あれやこれやの奪還です。
 手にした物や人たちは、きっと夏の久遠ヶ原を盛り上げてくれる筈。

 任務を果たした後は、皆で楽しく過ごしましょう……!
 さらに、場合によっては購買のラインナップに変動も?!

(もっとすごいアイテムが手に入れば、助かる人もいるかもしれない……)




シナリオ情報

第一弾シナリオ情報


今日も、久遠ヶ原学園に持ち込まれる
誰かの大事な何かを守る、あるいは取り戻す依頼。

その大事な何かの中には、新入生を迎える学園有志が手配した
様々なモノも含まれているのです。

手に入るもの シナリオ名 マスター名 公開予定日
1.戦闘記録アルバム
2.某学園生の自己紹介VTR
3.クロシオアオジロオオマグロ
4.学園紹介のしおり
5.組紐の材料
6.バラの切り花
7.上質な粘土・粘性の高い粘土・硬い粘土
8.科学室の手引き
9.マツタケ
【新歓】私たちの足跡 神子月弓MS)
【新歓】自己紹介クイズ! スタジオIMS)
【新歓】遠洋漁業(物理)だよっ! 十三番MS)
【新歓】久遠ヶ原の歩き方 嶋本圭太郎MS)
【新歓】一縷の望み 佐嶋ちよみMS)
【新歓】バラ園の守護者たち 樹シロカMS)
【新歓】君だけの音色 楠原 日野MS)
【新歓】科学室ってどんなとこ? STANZAMS)
【新歓】しっぽを立てろ! 真人MS)
大成功
成功
成功
大成功
大成功
大成功
大成功
大成功
大成功

 

第二弾シナリオ情報


手に入るもの シナリオ名 マスター名 公開予定日
1.-
2.-
3.-
4.誓いの組紐
5.バラのミニブーケ
6.素焼きの1穴オカリナ
7.強化成功のお守り
8.-                          .
【新歓】先輩みたいになりたい! 神子月弓MS)
【新歓】マグロパーティだよっ! 十三番MS)
【新歓】オリエンテーリング! 嶋本圭太郎MS)
【新歓】糸の縒り処 佐嶋ちよみMS)
【新歓】バラ薫る館へようこそ? 樹シロカMS)
【新歓】私達の音色 楠原 日野MS)
【新歓】科学室ってこんなとこ! STANZAMS)
【新歓】○きのこパーティー 真人MS)
成功
大成功
成功
大成功
大成功
大成功
大成功
大成功
大成功












 

※上記「手に入る物」はシナリオ結果として取り戻せるものであり、必ずしもキャラクターへ配布されるものではありません。
 マスターの判定結果により、配布が妥当と判断された場合にはされることがございます。
 第二シナリオにおいて完成したシナリオが配布される場合、第一、第二双方の参加者へ送付される場合もございます。

 また、これらのアイテムはシナリオ結果反映時には登録が行われておりません。
 対象者には後日、アイテムの販売開始と同時に配布を行わせていただきます。



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推奨環境:Internet Explorer7, FireFox3.6以上のブラウザ