6月28日更新分
●
天使・レギュリアは困惑していた。
あるいは小さな怒りを抱いていたかもしれない。
(もう……! こんな時だっていうのに、あの筋肉バカは一体どこにいるの!)
命じられた職務を全うするため、彼女は既知の仲である天使――ギメル・ツァダイを捜索していた。
人界において活動を続ける数多の天使たちの元を訪れ、上からの命を伝え、関東の地へと導くこと。
それが彼女に現在課せられている使命である。
――だが。
天界に戻っているわけでもない。使徒ナターシャは放ったらかし。かといって関東に既に居るわけでもない――。
ギメル・ツァダイの足跡は、共に戦った奪都の一件以降、ほとんど掴むことができなかった。
(……仕方ない、諦めて報告するしかないか。一度引き上げよう)
踵を返し、レギュリアは多くの天魔が集いつつある関東の地を再び離れる。
そして、西へ。
人界における天使達の筆頭たる、メタトロンの管理する地へと、向かう。
●
「……不可解だ」
学園内のとある資料室で――悪魔教師・太珀(jz0028)は人知れず眉をひそめていた。
彼の手中にあるのは、彼と親交の深い幾名かの生徒から寄せられた情報、新聞同好会からの調査報告、そして依頼斡旋所の報告書の束。
それらは凡そここ一ヶ月の間に発生し、久遠ヶ原学園で報告された『埼玉県』および『千葉県』での事件に関する報告。
「だが、少しずつ見えてきた気はする」
書類を机に置き、太珀は息をつく。
その全容が、いま自身が想像しているものともし一致するとすれば、一刻を争うのは間違いない。
だが、確定的でない状況下において、いたずらに学生を混乱させることはできない。
杞憂に終わったと笑えるならば、それもまた方策であろう。
しかし――今回に限っては、笑って済む規模ではないものを、動かさなければならない未来が見えている。
まとめられた書類の束の一番上には、先ほど飛び込んできたばかりの報告書があった。
紙面に記載された文字には『?』が目立つものの、要所要所に記された単語には覚えがあるものも多い。
――メフィストフェレスの関与?
――天使と悪魔の対立関係が激化?
踊る不穏な文字。
未だ単語に近しいそれらを、総合して導き出される答えは……
「……あと少し、材料が必要だな。先遣隊がすべて帰還すれば、きっと」
呟きを残して資料室を後にし、太珀は斡旋所へと足を向ける。
この疑念が真実であると一秒でも早く確信したかったのだ。
――この疑念が真実であるとするならば、一秒でも早く、すべての学生に伝えなければならない。
千葉、埼玉。関東有数のベッドタウンであり、久遠ヶ原学園への牽制にもなり得るこの地域への攻めの一手。
それを安易に許してしまえば、やがて戦いの火は、確実に東京へも及ぶだろう――
●
ギメル・ツァダイ(jz0090)は歓喜していた。
この数年、人界の弱き者たちに、己はどれだけ翻弄されてきたことか。
苦汁をなめさせられた記憶はギメルのプライドを大きく傷つけていた。
これまで、ただただ天界のために働き、立身出世のため尽力してきた。
ギメルはそう自負している。
その努力が報われる時が、ついに来たのだろうか。
「――否! 来たのだ! 上が授けてくださったのだ! この好機、逃すわけにはいかぬぞぉぉ!」
言うなればこれは、不意にもたらされた天啓のようなものだ。
当たるも八卦、当たらぬも八卦。
しかして大した任も与えられておらず、自由に身動きの取れる今、ギメルに失うものは無い。
カッカと高らかに笑い声を上げ、筋骨隆々の天使は目的の地へ飛び立つ。
目指す先は、埼玉県。
各地を調査する天魔双方をまるで嘲笑うかのように、迷いなく、彼は向かってゆく。
約束された、『力の得られる場所』へと。
(執筆:クロカミマヤ)
7月2日更新分
それは、音なき音によって静かに始まりを告げた。
●
ジリリリリリン ジリリリリリン
けたたましい音が、静寂を撃摧する。
あまりの音量に中山寧々美(jz0020)はびくりと身動ぎをひとつしたが、それが電話の着信音だとわかると再び手元の資料と取材メモに目線を落とした。音量は下げて欲しいと感じたが、機械音痴の彼の人には丁度いいのだろう。
アナログめいた古めかしい黒電話の着信音はやがて止まり、応答する声が静かな資料室に広がった。
通話はほんの2分もなかったくらいだろうか。
「おい、中山」
突如投げられた不躾な呼び声に、寧々美は顔をあげた。
5月下旬に埼玉と千葉で確認された使徒・ナターシャ(jz0091)の異常な動向報告からこっち、すっかり資料室の住人――いや、主かもしれないが――となっていた太珀(jz0028)が、顰め面を向けている。
微かに感じるひりついた気配。それを敢えて気づかないふりをし、寧々美は努めて明るく返事を返した。
「なんですか、先生。特ダネでも教えてくれるんですか?」
太珀は幼い相貌だが、眉間に険しい谷を作る事はそう珍しい事ではない。
だが彼女は知っている。太珀がそういう顔をする時は――
「ああ、悪いほうのだがな」
「アッハイ‥‥」
大体、こういう時なのだ。
●
大地から立ち上る光の渦を、その男は見上げていた。
●
緑深き秩父、三峯の地。
迸る衝撃と眩いほどの光が、その天空を貫いていた。
不可思議な事は、それほどの――身に不可視の圧を感じるほどの衝撃だったというのに、何の音もしなかったのだ。
霊社・三峯の空を見上げていたレミエル・N・ヴァイサリス(jz0006)は、はっと我に返った。
何か、ひどく良くない事が起こる。それも、間もなくに。
それは長くを生き、様々な事件を見てきたものの直感だった。
「レミエル様、これは一体‥‥」
「もしや我々の研究を狙っての事でしょうか」
動転する研究者らを一瞥し、レミエルは再び不気味に光を放つ空を見上げた。
確かにレミエルら無尽光研究委員会は、とある研究のために秩父を訪れていた。
四国で研究所が襲撃されたように、今や天魔らは人間の技術にも幾分の警戒心を持っているのだろう。
だが――だからこそ、彼らは地下に小さな研究施設を設け、人や物資の出入りを最小限にしたはずだ。
「いや、多分関係ないだろうな。しかし‥‥」
やがて光は天に凝り固まり、収束していく。まるで小さな太陽のように――。
刹那。それは爆発し、あたり一面を光の瀑布が覆いつくした。
●
その男は五体に滲み入る光粒を握りしめ、嗤った。
●
「クク‥‥クハハハ‥‥!」
嗚呼。これが嗤わずにいられようものか。
まるで堰を切ったように流れこむ地脈のなんと猛々しいことか。
空を覆った極光の、なんと神々しいことか。
「みなぎるぞ! 血沸き肉踊る――筋肉を引き締めねば我の体がはち切れてしまいそうなほどのエネルギーよ!!」
天啓は正しく我を導いた。我は『天』に選ばれた。
数百年、数千年を経てようやく1つ生み出す事ができる神の器。‥‥神器。
それを糧にし人間どもを支配するという――かのメタトロンにすら許されぬ至高の行いを、今、我が成すのだ。
ザインエル様‥‥いやザインエルよ。天の恩寵に浴するのは貴様ではない、我だ!!
最早原型も留めぬ砂粒と化した神剣・倚冥衝を握りしめ、ギメル・ツァダイ(jz0090)は再び高らかに嗤い声をあげた。
「クァハハハハハハァッ!! 全ては――ベリンガム様の御声のままに!!!」
(執筆:由貴 珪花)
7月22日更新分
均衡の揺らぐ音がする。
●
一手誤るだけで『この世界の大きな前提が覆ってしまう』危険な局面――
∨兵器の生みの親ことレミエル・N・ヴァイサリス(jz0006)をしてそう言わしめた現状に、生徒会も黙り続ける訳にはいかなかった。
学園にもたらされる、今年三度目の大召集令。
初春の四国、五月には山梨。
そして。
「埼玉……秩父、か」
まるで東京へ近づいてきているかのような動きだ、と。
太珀(jz0028)は人知れず舌打ちをする。
もちろん、それらの動きが偶然の符合でしかないのは承知している。
二月は天界、五月は冥界それぞれの動き。
そして七月。天界側の先制により双方が動いた今回は、どうやら天冥の双方ですら想定外の事態だった様子であった。
ギメルがどうやら単独行動をしているらしい、というイレギュラーを除いたとしても、
今回の動きは非常に急であった。
その理由は――学園に身を置く太珀やレミエルらには推察することしかできないが、
この世界に降り立っていた多くの天魔でさえ、直前まで知らされていなかった事を鑑みるに、
現在、秩父三峯地脈がゲート生成にきわめて適した時期にあること自体が
そもそもイレギュラーな事態であったのだろう。
まして、大都市東京を間近に見据えた埼玉の地だ。
もし適合期が近いとわかっていれば、これを気にかけずにいるような真似をするはずがない。
秩父地脈の適合周期は元々、数百年に一度……あるいは数千年に一度といった極めて稀なものであり
次の適合時期は、数十年単位で先の話と目されていたのだろう。
それが、何らかの原因によってずれてしまった。
――今回の混乱や現場の反応から見るに、おそらくそれが最も可能性としては高い。
ゆえに事実を知っていたのは、天魔でもほんの上澄みだけ、という事態に陥ってしまった。
太珀を含め、学園に身をおく天魔たちが思い至らずとも、無理はない。
そもそも誰もがその存在を、直近の危機として認識していなかったのだとすれば。
これまで天魔らが大都市部に大規模な襲撃をかけてこなかった――京都の件が当初イレギュラーであると言われたのには、幾つかの理由があった。
もっとも大きな理由としては、やはりゲートを展開するにあたっての様々なリスクだろう。
いかな万年人手不足とはいえ、東京をはじめとする主要都市には一定数の企業撃退士や公務員撃退士が存在している。
これらの妨害により、万一途中で詠唱を中断せざるをえなくなる状況に陥った場合、天魔にとってはやはり大きな損失になり得る故に。
しかし、これは不安定な均衡の下で成り立っているにすぎないことも、また事実。
幾つかの前提のうち、たったひとつが崩れることにより、この均衡は容易に崩れ落ちる危険を孕んでいる。
可能性の一。
都心部にすべての撃退士を集結させたとしても太刀打ちできないような、強大な天魔による絶対的支配。
可能性の二。
ゲート生成にかかる天魔側のリスクのゼロ化。
これまで地球に強大な天魔があまり降臨しなかったのは、
そこまでの有力者を配したところで、それに見合う収穫が得られないと判断されていたからこそ。
収穫地たるこの場所で、むやみに糧を食い荒らしても決して長期的な得にはなり得ないという認識があったからこそ。
だが、もし――この場に巨大かつ効率的なゲートが生成される事態が、生まれるのなら。
関東の四千万。
日本国にして一億二千万。
ひとりから搾取できるエネルギーはたかが知れていたとしても、この規模ならば――
対立する側の勢力にとっては、潰すべき補給源と捉えられる可能性が浮上する。
それは、常ならば挙って並行世界に降り立つことなど無いような高位の存在が、
この場所に集う切っ掛けにもなり得るということ。
(そんなバカみたいな地脈が、この地球に――まして日本に存在しているとは)
バカみたいに都合のいい話。
しかし、これが現実だ。
(……あまり考えていても仕方ないな。既に先手を取られたものは、機を見て破壊に動くとしても)
最悪のケース。
ギメル以上の力を持つ天魔がこの場を抑える事態。
せめて、それだけは。
(これ以上の……北海道や九州、あるいはそれ以上の巨大ゲートを、生成させるわけにはいかない)
――無論いずれ、天魔の支配から脱却しなければならない時は来る。
均衡を護ったところで、それが薄氷の上、仮初めのものに過ぎない以上。
だが今は。まだその時ではない。
――第三の力となるその時を、いずれ確かに迎える為に。
撃退士達を育む土壌たる、この不安定な世界を。
我々は、『今』を死守しなければならない。
●
学園に戻ったレミエルは、委員会のメンバーなど既知の顔ぶれとともに、ある試算を始めていた。
奥秩父で行なっていた調査は本来、今回の一件と直接関わるものではなかったが
幸いにも測量データなどの一部資料が、現在の秩父三峯地脈の状況を把握する材料のひとつとして機能したが故、
なぜ、現地がゲートの生成に適した状況となっているかの分析に着手することができたようだった。
このまま地脈の状況分析が進めば、何らかの方策によって状況を打開することも不可能ではないはず――。
たとえば、気の流れが変化して地脈のゲート生成適合時期が終了する「その時」を待つことが出来れば
ひとつ最悪のシナリオを回避することも可能なのではないか。
「その時」がいつであるか――それまで久遠ヶ原の戦線が耐えることができるのか。
最終的な行軍の判断は、生徒会に委ねられるかもしれないが
彼らに対し、助言をすることはできる。
「――少しだけ、結論が出るまで時間が欲しい。……代わりに、約束する。必ず導き出そう」
最低限。それだけを告げ、生徒会室を後にしたレミエルは再び研究室へと足を向けた。
(……心配するな。俺の『武器』が、お前を守るさ)
データ、知識、経験を基とした勘。
そして――学園で得た、様々な絆。
様々な武器を手に、今ふたたび、抗う決意を固める。
(執筆:クロカミマヤ)
8月5日更新分
「ザインエルさま」
白銀色の髪の天使が、夢幻悪魔の攻撃を躱しながら近づく。
ルシフェルの大太刀を己が剣で受けながら、ザインエル(jz0247)は報告の続きを促した。
「上と連絡がとれました。冥魔が『ベリアル』を寄越すというのなら、此方としても『アクラシエル』の派遣はやぶさかではないと」
「……良い報せだな。これで安心して戦える」
もとより因縁を持つ"二人"が、この世界に降り立ち対立する。
この世界における対立の激化という不安材料はあれど、冥魔が先んじて動いた以上やむを得ぬ。
冥魔がその心算なら、天界とて策がないわけでもない。
アクラシエルの能力ならば、この地脈が『使えなく』なる前に――
否、上手くすれば冥魔よりも先に、関東に別途ゲートを生成することができるだろう。
彼ならば上手くやってくれる。ザインエルには、その確信があった。
「では、私はあの女悪魔の足止めに集中します」
「頼む」
銀髪の天使は幾分憂鬱そうな顔をしてそう告げると、怒りの形相を浮かべる女男爵・リザベル(jz0193)の対応に向かわんと踵を返す。
一連の様子を黙って聞いていたルシフェルは、そこで漸く口を開いたのだった。
「……力天使風情が。手合せ中に部下とお喋りたぁ、俺も舐められたものだな」
不満を漏らすルシフェルの表情は、言葉の温度とは裏腹に愉悦を滲ませている。
ザインエルはぐっと眉根を寄せたまま、静かに応えた。
「一人の天使である以前に、私は指揮を執る立場にあるがゆえ」
「はっ、いけ好かねぇ野郎だぜ」
拮抗する刃。鍔迫り合いの末、飛び退いたルシフェルの背後に肉迫するは、天の双剣が一、ウリエルの焔。
傍目には隙をついたかのように見えたその一撃は、しかしてルシフェルには軽く躱される。
ザインエルとウリエル、二人の気鋭を同時にあしらうほどの力を有する事、それもまた。
ルシフェルがこの世界において総大将たる所以の、ひとつであろうか。
「私を忘れて貰っては困るぞ……冥魔の将!」
「あぁ――御前さんも居たんだったな。来いよ、まとめて相手してやらぁ」
唇の端を吊り上げ、冥魔宰相は不敵に笑う。
鎬を削る天魔の戦いは、未だ始まったばかり。
●
「試算の結果――地脈適合の終焉は8月31日頃との予測がたった」
レミエル・N・ヴァイサリス(jz0006)の言葉に、太珀(jz0028)は頷きを返した。
すなわち『その時』まで、レミエルらの計算が正しければ、あと――
――短い。
しかし、長い。
三峯での天魔の戦いは、ほんの少しの要素の変化で覆る可能性を秘めている。
昨今の天界の内情を知っているであろうオグンをしてそう言わしめたのだから、
おそらくそれは客観的に見ても真実といって相違ないはず。
「31日まで均衡を保たせることができると思うか」
「……いや厳しいだろう。双方いつ戦力の補填があるとも限らない」
「ふっ、奇遇だな。僕もそう思っている」
このまま消耗戦が続くのであれば、芽がないとも言い切れないが――
「太珀先生っ」
ガラッという音とともに、聞き慣れた生徒の声。
振り向けば、焦燥にかられた顔が視界に飛び込む。
中山寧々美(jz0020)の姿があった。
「茨城だか千葉だかで、よくわかんない新しい天使だか悪魔だかが目撃されたとかなんとかいう情報が」
「……緊急事態なのは分かるがまずは落ち着け」
そもそもまずもって、茨城なのか千葉なのか。悪魔なのか天使なのか。
――だが問おうとする言葉は、携帯電話の着信音にかき消された。
「……なんだこの忙しい時に。猫目」
『先生、今生徒会関係者に聞いたんだが、神奈川に交戦経歴のない新たな天使が現れたって本当なのか……!?』
太珀は息をつき、こめかみを押さえた。
様々な事象が起こっている。冷静に整理する必要がある。
だが、ひとまず理解できたことはひとつ。
「レミエルよ……31日を待つことは、できそうにない」
「そのようだな」
「これは緊急事態だ。どんな手を使ってでも――この危機を脱するぞ」
(執筆:クロカミマヤ)
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現在の状況
戦場は埼玉県秩父市山中。
中心地は三峯神社と思われる。非常に強いエネルギーが開放されたような衝撃が体感できた模様。
現場に居合わせたレミエルによると、支配領域や結界は確認されておらず、恐らく『ゲート』ではない、とのこと。
しかし周辺凡そ半径4km程度は非常に濃密な『天界の瘴気』に満ちており
アウルで自身を保護する手段を持たない一般人は即死(精神吸収による脳死)している。
ただし、宮司など神職の人間にはアウル保持者も多いため、学園生以外の生存者が0というわけではない。
なお、瘴気は中心地から遠ざかるほど薄くなっていき、およそ5kmほどで一般人への影響はなくなる。
異常事態発生後に中心地へと向かったレミエルは、三峯神社の敷地内にて、十数名の生存者を発見したが、まもなくサーバントに囲まれたため、防戦に徹したまま救助を待っている。
また、少し離れた地点(大滝地区周辺)には、レミエルと共に行動していた研究員と、その護衛にあたっていた撃退士の一団が取り残されている模様。
いずれも学園の重要な戦力であり、失うことは今後の学園の発展においてきわめて致命的な打撃となることが予想される。
目的
要救助者の救出、及び、中心地と推測される三峯神社の可能な限りの情報収集
【中心】 解説
■難易度 ★★★★★★
■タグ 【中心】
■場所
三峯神社中心部〜半径2kmのエリア(三峯神社敷地と周辺民家)
■状況
ギメルによる神器破壊の影響により、非常に強い聖瘴気に満ちており、一般人は既に全員死亡しています。
当時社務所などにいた宮司らの証言によると、爆発の直前、本殿のほうから男の笑い声が聞こえたとか‥‥。
一般的なゲートの2倍のペナルティ(=アウルへの負担)がかかるため、非常に危険なエリアとなっています。
具体的には、全てのステータス(魔具魔装コスト以外)に一律「-40%」程度の影響を受けます。
天使・悪魔のPCも、堕天により地球環境に則した身体環境に変化しているため、ペナルティは人間PCと同様です。
作戦や状況により、死亡やアイテムロストなど、厳しい判定が下される可能性があります。
◆救助対象:
《三峯神社内》宮司、巫女など三峯神社関係者 約10名
《三峯神社内》レミエル・N・ヴァイサリス(
jz0006)
V兵器開発の第一人者であり、アウルを効率的に使用できる技術を開発した堕天使。
現在、撃退士達が有利になるよう研究を行っているらしい。彼の存在を失えば、撃退士ひいては人類の発展は困難となるだろう。
◆敵勢力 :
ギメルの手勢サーバント。依頼『残光』で確認されたそれと同系型の模様。
《回避型阿修羅 2体》
通称『阿修羅』。拝殿の前で仁王像のように並び立っている。
自身への攻撃に対し、射程2の物理カウンターを行う。
ターン終了後に生命力が全快するため、一斉攻撃で仕留める必要がある。
●PL情報
かつて報告された個体より、1〜2まわり巨大化しており、全体的に能力値の強化がされている。
なお、阿修羅を無視して本殿へ向かう者がいれば、神社を破壊しながら直線距離で追いかけます。
《照皓光 7体》
通称『白玉』または『発光体』。阿修羅を取り囲むようにたゆたっている。
一見変化がないようにみられるが……?
●PL情報
既出のものより護衛機能が向上しており、阿修羅への集中砲火を阻止する動きを取る。
ダメージを受けた際5%の確率で、生命値の2割分のダメージを相殺するバリアを張る(被弾後発動)
【内円】 解説
■難易度 ★★★★★
■タグ 【内円】
■場所
三峯神社から半径2km〜5kmのエリア(秩父湖以北、大滝地区)
■状況
聖瘴気が充満しており、一般人は既に全員死亡しています。
一般的なゲートと同様のペナルティがかかっているため、選択肢1ほどではありませんが、能力が減衰します。
具体的には、全てのステータス(魔具魔装コスト以外)に一律「-20%」程度の影響を受けます。
なお、事件発生当時レミエルが居た『鬼鎮神社』には無尽光研究委員会の研究員6名、
大滝地区北東部集落では先遣隊の13名及び猫目が応戦している状況です。
研究員のほうは全員無事ですが、撤退には研究資料を運ぶ必要があり、協力が求められています。
先遣隊は悪魔との交戦でかなり消耗しており、13人中4名が重体となっています。迅速な救助が求められるでしょう。
◆救助対象:
《鬼鎮神社》研究員6名、《大滝地区》先遣隊13名
《鬼鎮神社》猫目夏久(
jz0004)
遠距離からの攻撃を得意とし、接近戦を嫌う高校生撃退士。先遣隊と共に研究員の護衛を行っていたところ、今回の事態となった。
◆敵勢力 :
ギメルの手勢サーバント。依頼『残光』で確認されたそれと同系型の模様。
《ウルフライダー 10体》
通称『狼少年』。エリア内の広い地域に点在している模様。
少年部分の目・耳・鼻などの五感が鋭く、哨戒役としてうろついている。
特殊な能力は持っていないものの、その分基本能力が高い。
●PL情報
既存の個体より五感が強化されているため、奇襲にはめっぽう強い。
撃退士の侵入を阻むために監視しており、エリア内で撃退士を見つけると非常に大きな雄叫びをあげる。
雄叫びを聞いて付近のウルフライダーも集まって来るため、各個撃破するには作戦が必要。
【外戦/外救】 解説
■難易度 ★★ 〜 ★★★★
■タグ 【外戦】【外救】
■場所
三峯神社から半径5km〜8kmのエリア(荒川地区西部)
■状況
聖瘴気の影響を受けていないため、身体への負担は一切発生していません。
しかし、一般人も全員生存しているため、救助対象者の数は非常に多い状態となっています。
現在は自治体の防災放送・防災ネットワークなどを通じて、避難準備を行いつつ自宅待機、という状態ですが
レミエルが感じたという『衝撃と光』については、このエリアでも確認されており、
多くの住民は自治体の指示を待たずに、車や鉄道で東方面へ脱出を試みるなど現場は混乱しています。
三峯方面の人間が死んでいるらしい(連絡が一切とれない)という噂も流れています。
【外戦】 このエリアの戦闘を担当します。
【外救】 このエリアの住民救助を担当します。
鉄道は1時間に1本。作戦開始から30分後に到着・出発します。
駅には既に100人以上が詰めかけていますが、荷物を抱えた老人層が多く、全員が1回で乗車するのは難しいです。
下級サーバントが道路にのさばっているため、作戦開始時点で、既に立ち往生・渋滞が始まっています。
ただ保護するのではなく、人の流れを整理したり、時には説得をする必要があるでしょう。
救助班側で目立った対策がなければ、戦闘班は一般人がまわりにいる中での戦闘になるため
下級サーバントといえど苦戦が予想されるでしょう。
選択肢3は、救助班の動き次第で大きく難易度が変化する選択肢です。
◆救助対象:
《荒川地区》市民600名
◆敵勢力 :
ギメルとは無関係だが、偵察目的で別の天使が放っていたもの。神器破壊の影響で凶暴化している。
《毒甲蟲 個体数不明》
通称『毒虫』。体長1〜2mほどの、翼が生えた蟻。エリア内の地上・空中に大量に確認されている。
攻撃は体当たりや粘液噴射くらいしかしないが、粘液は束縛+毒の効果を持つ。
地上では『丸まる』ことで防御力が上がり(対抗スキル)、飛行中は回避が上昇する。
柔らかい頭部にクリティカル攻撃を浴びせると即死を狙える。
なお、粘液は一般人の避難の妨げにもなるので注意が必要。