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マスター:水綺ゆら
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2015/01/21


みんなの思い出



オープニング

 大地を灼き尽くす戦はいつも些細な火種から。
 喩え、小さな火種は瞬く間に広がり憎しみの炎で世界を灰へと変えてしまうのだ。

 引き裂かれた絆がひとつ。

「楓……」
 北を眺める瞳が憂いを帯び――そして、殺意に変わる。
「大丈夫、僕が君に全部仇為すもの……」

 全部、殺してあげるから。


●北軍、シマイの部屋

「クソ……ッ!」
 兄の目をかいくぐり、少し買い物に出ようと思っただけだったのだ。
 確かに、兄の過保護さには辟易していたのは認める。それでも、自分の為に一生懸命働く彼に嫌な感情は抱かなかった。
 ニコニコと笑みを浮かべながらも、いつも疲れているのだろう。かまぼこと、ちくわと、はんぺんとその他諸々。兄の好物を集めて、癒そうと思った。
 それだけなのに。

「くっ……殺せっ!」
「そんな何処かの女騎士みたいなこと言って反抗的な目で見てさぁ……後、“姫”がそんなはしたない言葉遣いなのはどうかと思うなぁ?」

 で、何故か、敵国の大将であるシマイに捕まってしまった。
(あ、ちなみに今楓は姫の姿をしている。これは兄の主人であるジャスミンドールの趣味だったのよ)
 柱に腕を繋がれた状態で近付いてくるシマイを楓は睨み付ける。

「やめろ、近付くな……虫唾が走る」
「そんな虫けらを見るような目で見ないでよ。癖になっちゃうよ」
「ふざけるな!」
 頭を抱えようにも、腕を拘束されてしまっている。
「……何が目的だ」
「え? あのお嬢さんからかうのが楽しいからに決まっているじゃない。目的なんてないよ」
「ふざけやがって……」
 この北軍大将、事ある毎に南軍へとちょっかいを出すのだ。
 しかも、物凄く低レベルで本気さを全く窺えないことが更にジャスミンドールの怒りに火をつけている。
「さて、今日はどんな表情を見せてくれるのかな」
 愉しみだねぇ。

 シマイは闇に微笑んだ。

●南軍城内

「あんなぁ……檀、何してるん?」

 ジャスミンドールは悩んでいた。というか、何処からつっこんでいいのか頭を抱えている。
 その手には藁人形と五寸釘。後、金槌。これで神木に打ち付けたらかーん、かーんといい音が鳴りそうだ。
 ガチ、呪いの道具である。はい。

「ねぇ、ジャスミン様……」
「な、なんや?」
「人を一番苦しませつつ、殺したいんです。 どうすれば、いいでしょうか? 針を千本飲ませることでしょうか? 指の爪を一枚一枚剥がしながらすりつぶすことでしょうか? それとも――」
 振り向いた檀の瞳に光は無い。それ、ガチ拷問なんじゃ。ドン引きを通り越して、超怖い。マジ怖い。
「……楓のことか」
 先程、檀の双子の弟である楓姫(正確には姫ではないのだが)が敵国の大将に浚われてしまったとの報が入った。
「腐れ外道変態野郎に……今頃……絶対、許しません」
「檀、そんな言葉遣いする子やったっけ……?」
 藁人形を握りつぶす。ジャスミンは、汗だらだら。
「今更、謝っても許しませんよ――あの世で後悔させてやります」

 あ、先に行っちゃった。

「ちょ、ちょっと檀! あんたひとりで行くつもりなん!?」
 そのジャスミンの声さえ届いていない。
 はぁと溜息。しかし、ジャスミンの中に広がるのもまたシマイへの憎悪だ。
 舐めているとしか思えない。
「ウロチョロしとって鬱陶しゅーくて仕方ないんよね……」
 今まで送られた物はどれもふざけたものばかりで。それでも最初は隣国のよしみだと受け取って開封したが、中に入っていたのは魔法少女のような服(何故かジャスミンにぴったりサイズ)。
 その次はメイド服、その次は巫女服。最近は到着次第速攻受取拒否をしているのだが、懲りることなく送ってくる。
 度々、此方にちょっかい出してくるのだがふざけた敵ばかりを仕向けてきて余計カチムカしてる。
「ほんま今度こそ、潰したるわ」
 だから、檀がムカ着火インフェルノォォォオウしたのはある意味良い機会だったのかもしれない。
 並ぶ部下達に向けて、告げる。

「出陣や!」


リプレイ本文

「楓ちゃんが浚われた……あたしは悟ったわ」
 楓姫誘拐の報は南軍に衝撃をもたらした。ファラ・エルフィリア(jb3154)だってそうだった。

 これは

 なんて

 おいしいの!!!!!!!

「ふ、腐った道に進んではや●十年、往く度もあたしは挫折してきた。理想の衆道もとい腐道など無いのだと……!」
 周囲が一斉にツッコんだがファラさん聞いちゃいねえ。
「でもせっかくのこの機会。張り付いていれば美味しいシーンが見られると思うから、あたし頑張る!」
「楓殿は相変わらず受難でいらっしゃいますな……」
 頑張りどころがイマイチ違うファラに対し、穏やかな老紳士の笑みを浮かべているのはヘルマン・S・ウォルター(jb5517)だ。
 恐らく、浚われたことに関して災難と言っているんだろう。食い物(意味深)にされることに関して憐れみの笑みを浮かべているわけではないのだ。多分、きっと、恐らく、メイビー。
「お姫様を浚うなんて許せないもん! ボク、絶対助け出してきちゃうよ……ついでに北軍の宝も奪ってきちゃうから!」
 一方、ぐっと拳を掲げ気合をいれているのは南軍の武士(ニンジャマスター)である犬乃 さんぽ(ja1272)だ。こっちはなんか正統派だけれど、武士なのにニンジャマイスターとはこれ如何に。
『期待している。全ては南軍の栄光の為に』
 スケッチブック越しに葉月 琴音(jb8471)が激励を送ってきてくれた。言葉少なめな琴音という武士。とても、クールに見えた。
 しかし、行動理念は全て檀の為だという。本来は楓のことだって邪魔だって思っているけれど、愛しい彼が大切に思うなら仕方ないと割りきって今回の戦に参戦した。
 琴音という武士は嫉妬の炎で軽くムー大陸くらいは焼き尽くせる程度の持ち主であった。

「……つーか、南軍大丈夫かコレ。普通に北軍の方がマシじゃ……」
 遠い目をしながらラウール・ペンドルミン(jb3166)は北軍を見やる。騎馬が目に入る。
「……嗚呼」
 ラウールは察した。
「そういえば、ジャスミン様ジュードーが好きらしいけど、投げ技とか得意なのかな? それとも寝技?」
 それはあかん。隣で呟かれたさんぽの言葉にラウールは思った。
 純粋な一言は時にダイナマイトより破壊力を持つ。
「とりあえず、今はまだ知らなくてもいいことだ」
「作戦用語とかなのかな!」
「ああ、そうだ」
 とりあえず、そういうことにしておこう。

「平和、だな……」
 さて、突然ですが今日はいつも通り空が青い。アスハ・A・R(ja8432)は空を見上げていた。決して現実逃避ではない。
 上の連中ふたりのやり取りは見なかったことにしておきたかった。
(子どもの喧嘩の延長戦だよなー、行きたくないなー)
 本音が出てしまう。てか、くだらなすぎます、本当にありがとうございました。
 だが、社会人である以上仕事はせねばならない。どんなバカバカしい仕事だろうと、それが軍畜の鉄則。
 そう、現代の教育者に比べたらこんな子どもの喧嘩のようなことに乗るのなんて造作もないことなのだ。もんすたーぺあれんつとやらに比べれば造作もないことなのだ。多分。


 ――天下を獲るのはこのワシと決まっておる。

 一方、掲げたるは気高き大和魂。右手に携えるのは参謀タダムネ。格好を決めて南条 政康(jc0482)は構えをとった。
「久遠ヶ原守政康、推参!」
 まず、彼は某秋葉原に伝説の書物『BL本』を入手しにいった。つか、某になってないのはつっこんじゃいけないお約束だ。多分。
「いざ、参るぞ!」


●戦
「忍鳥ホウオウ空を飛べ、ストレイシオンは川を行け、フェンリル召喚、地を駆けろ!」
 背中にニッポンイチなどと書かれたのぼりをしっかりと装備していらっしゃるさんぽの指示に従い、戦場をサラマンダーより早く駆け抜けていきます。
「え、って……あれ? 思ったより敵が少ないような?」
 そんなさんぽの疑問はすぐに解決されるのでした。
「……参る」
 さて、その原因(?)は染井 桜花(ja4386)でした。
 お馬に跨がり、鎖鉄球を振り回して何処かの無双ゲームよろしく大暴れしています。
 ひたすら無双を続ける彼女に一矢報いようと襲い掛かってきた騎馬兵。しかし、傍らから飛んできた何かに。
「……これは」
 桜花はそれを拾い上げてみた。裸の男性が絡み合っているように見える本。何かの化学兵器だろうか?
「助太刀するわ」
「……私は、戦いたいように戦う」
「私もよ」
 琴音と桜花は共闘関係を結んだ。連携などという言葉は微塵もないがパワーゲームで次々と敵を薙ぎ倒していった。
 一騎当千などという言葉はこのふたりにこそ似合う。
 何処からどうしているのか次々と武器や戦術を駆使し戦う桜花と、薙刀を振り回す戦姫の琴音。
 そのうち、ヒートアップしたのだろうか。
「私は檀様の為に戦うの。ぶっちゃけシマイとか姫とかおまけなの!」
 琴音がぶっちゃけた。
「少しでも檀様の御側で仕えたいのに戦争起こしてるんじゃない!」
 恋するおなごは強い。憎悪のままに振るわれた琴音の一撃は白馬にクリーンヒット。落馬した武士がばたんきゅー。
 白馬に乗っていた武士が持っていた武器を掻っ払う。敵から装備剥ぎ取るのってある意味お約束ですよねえ。
「……使わせてもらう」

▼おうかは エクスカリパー(どんき)を てにいれた

「おおお……伝説の聖剣を手に入れた子がいるわぁ♪」
 なんか、また新しいのが出てきた。

▼あ! きたぐんの なんかキショいおっさんが しょうぶをしかけてきた!

 きしょいおっさんはすね毛の生えた白鳥バレリーナ。SAN値直葬モノですが、桜花は顔色ひとつ変えないあたり流石です。
「……吹っ飛べ」
 桜花はエクスカリパー(鈍器)をフルスイング! なんかキショいおっさんはお空のお星様になった。女子こわい。マジこわい。

 ぼーっとしていたラウール。
「親方! 空から女の子が!」
「親方誰d」
 どさり。
 ラウールのツッコミを遮るかのように、本当に何か落ちてきた。
 立派なすね毛の生えた白鳥バレリーナの男性(48)。言葉にしてしまうならキショいの一言に尽きた。
「お前の目は大丈夫か!」
 これを女の子カウントしたらいけないだろうとラウールは思った。


 第一騎馬隊に立ちはだかったのはファラ。
「ふ、語り尽くそうじゃぁないか同志よ!」
 ファラは秘蔵のシチュ萌え満載美形揃いの衆道巻物と腐ったえほんを辺りにばらまいてみた。
 馬が飛び付く。偶然通り掛かったジャスミンドールも足を止める。
「ジャスミンたんも一緒に語らないかにゃー? 監視名目でもいいよー?」
「う、うちは別にそんなの興味ないわ」
 ちらっ。視線は正直です。
『ふぉも』
「ほら、これとかちょっと檀たん似じゃね? 持ってく?」
「べ、別に嬉しくないわ」
 とか言いながら、ジャスミンはほくほく。
「己の欲望のまま、解き放つといいよ!」
 暴走する白馬に落とされた兵士達は呆気に取られた様子で彼女達を見つめていたという。

 先へ進もうとする政康を阻んだのは第二騎馬隊だ。
『いまです殿! このBL本をばら撒くのです!』
「よしっ! さぁ、天高く舞え! BL本よっ!」
 参謀に言葉に従い宙を舞う薄い本達。白馬達は直ぐに反応し上に乗っていた主人を振り落として与えられた極上の餌を堪能しだした。
 しかし、それは罠。そこのけそこのけ政康が通る。白馬や敵達を吹っ飛ばしながら、政康はずんずんと先へ進んだ。

 それが、幸か不幸か解らない。

▼あ! やせいの アレが あらわれた!


[BL本]┌(^q^ ┌)┐


 野生のアレが夢中になっている書物。あれは確か、噂に聞くウス=イホン。抗体無き者が触れると消滅してしまうというのだ。
 本能が、触れてはならぬと警鐘を鳴らしている。しかし、アスハは手を伸ばした。伸ばしてしまった。
 出来るだけ表紙は見ないように槍の先に糸を垂らし伝説の書物を括り付け、白馬の目の前に吊してみた。そして、跨がる。すると白馬は物凄い速度で走り出した。
「フハハハハ! 行けー蹴散らせ―」
 アスハははっちゃけた。

≡└(┐卍^q^)卍

 盗んだ白馬(だと思うことにした)で走り出す25の昼。
 途中で檀も見つけたので、とりあえず乗せてみた。
 くだらない支配とかそういうのから抜け出したくて、地の果てまでも走り続けたいと思った。



●シマイ城




 ――このまま敵本陣まで突っ切れる。




 そう、思ってた時期が僕にもありました。
 此処はシマイの城。
 敵陣。
 白馬に乗ったまま踏み込んだアスハ。
「……何だ、この、白いねばねばは……」
「考えない方がよろしいかと」
 なんか、白くねばねばしたサムシングを出す敵に絡まれなんとか撃退したものの、この液のせいか体に力が入らない。心なしか、ちょっと臭う。
「何故、無事なんだ」
「特製の楓ちゃん人形が教えてくれました。あと、貴方が居ましたから。名誉の戦死ということにしておきますね♪」
「死んでない……!」
 にこっ。つまりは、肉盾にされたらしい。檀をアスハは恨めしい瞳でよく見れば首からかけていた藁人形に『楓』などと書かれている。
「それって……呪いの道具とかじゃなかったのか」
「私は人形は藁人形しか作れないのですよ」
 僕、アスハは思いました。その笑顔は人を殺せる程に素晴らしい。
 少なくても心に大きな傷を負った僕にとっては、充分トドメになり得ました。
 こうして足柄頭のアスハは(社会的)戦死を迎えたのです。ドナドナ。アスハが台車に乗せられて何処かに行くよ。尊い犠牲は忘れない。

 ――アスハの屍を越えてゆけ。

(ぁぁー……)
 いきなりですが、ラウールは遠い目をしたくなった。
 アスハの屍を越えていった政康とヘルマン、ラウール、さんぽは無事(?)楓が掴まっているというシマイの部屋へと辿り着いた。
 でも、こう……シマイさん、なんかマフラーくんくんしてた。もしかしなくても臭いフェチなのかもしれない。もう、色々とダメなおっさんでラウールは意識を三千世界の向こう側に飛ばしてしまいたくなるのを必死で堪えた。
「楓姫! 助けに参りましたぞ!」
 どたどたどたと軽く部屋に居た他の敵武士達を吹っ飛ばし突撃したのは政康だ。
「お前r……」
 ちゃきりー☆ 甲高い電子音はヘルマンが持っていた『でじたるかめら』なるものから発せられた。
「ジャスミン殿が喜びそうですので」
「おい、お前。本当にそれが理由か」
「さぁ、楓殿(マイ・ロード)、家に帰るといたしましょう。今日のおやつは楓殿の好物を用意しておりますぞ」
 ヘルマンは目と話題を逸らした。

「貴殿がシマイ=マナフか!」
 びしりとタダムネを突き立てて言い放つ政康。楓姫より反応が遅れて思い出すように言ってたのは別にシマイの存在を忘れていたからではない。
「おやおや、俺も随分と有名になったんだねぇ。嬉しいよ。CDでも売り出して握手券付けてみようかな」
「SMI48だか作るのは止めない。それよりも、あんたがどういうつもりなのかもしらねーが、とりあえず……」
 衆道好きの馬の群れと蠢く触手とパンティストッキング頭に被ってラインダンス踊ってるマッチョとすね毛すら剃って無ェオッサンバレリーナのアヒルヘッドパレードとか――。
「全部、あんたの趣味ってことで、いいんだな?」
「さて、どうだろうねぇ?」
「そのような変態に生きている価値などありません」
 ゆらり、全身凶器の兄貴の瞳から光が消えている。音も無くシマイに刀を突き立てる。
「死ぬよりも苦しい思いをさせないませんと――今更謝ったって、もう遅い。そもそも、ごめんなさいで済んだら警察も私も要らないのです。精々、地獄の底で藻掻き苦しみながら己の罪を悔いてください。貴方にはその末路がお似合いですよ」
「檀殿、少々お待ちくださいませ。此処は爺に名案があります故」
 穏やかに微笑むヘルマン。微笑みだけならば老紳士。
「ところでシマイ殿、前を切り落とされるのと後ろを突き刺されるのとどちらがお好みですかな?」
 ※何がとは言っていない。
「楓殿に手を出せばジャスミン殿の前にこの爺やが参ります故、努々お忘れなきよう」
 ※手段は明言していない。というか、なんか凄まじいオーラ出てるこわい。
 一方、当然と言えば当然だが檀は不満そうなオーラをヘルマンに向けていた。当然、刀は抜いたままだ。
「何故、その程度で済まそうとするのです」
「殺してしまったら一度きりで終わってしまいます。火傷後に芥子味噌を塗り込んだり等という拷問も出来なくなるのです――そのような苦しみを味わわせる方がよろしいでしょう」
 終身刑宣言。

「シマイ、貴殿に一言、言っておくことがある!」
「え、何々? 君も蔵倫にSDに叱られちゃうようなことを言っちゃうの?」
「ワシ程度の言動であれば叱られることはないと思っておる。それよりも――」
 ぴしっと人差し指を突き立てる政康に、さらっとメタ発言をしちゃうシマイさん。
「ジャスミンドール殿に体操着とブルマを贈るのだ! きっと似合うであろう!」
 チアコスでも可。ブルマのあのふともも、そう、ふとももが重要なのだ。
 その言葉にシマイは雷で身を打たれたような衝撃を受けた。何故、その発想がなかったのか。
 ジャスミンドールに赤ブルマ。最高ではないか!
「君、やるね。君の天才的な発想にはお手上げだよ」
「ふっ……それまで貴殿の命は預けておこう。ではさらばだっ!」
 嵐のように政康が帰り、他の面子もそれに続く。さんぽもとりあえずその辺にあったお宝っぽいものをありったけ四次元風呂敷に詰めて帰っていく。

 さて、残されたのはシマイとラウール。周りのある意味濃さにすっかり呆気に取られてしまっていた。
「あんた……変態だな……」
「やだなぁ、褒めないでよ。興奮しちゃう」
 褒めてない。何か変な敵は全てシマイ作ではないのではと思っていたラウールだったが、あながち冤罪でもない気がしてきた。
 ラウールは夕闇の中をトボトボひとりで帰ったのであった。


●祝杯
 これ以上の屈辱があるのだろうか。
 台車に白い何かの液まみれ。社会的に戦死してしまったアスハはファラとジャスミンドールを筆頭にしたスケッチブック集団に取り囲まれ辱め(という名のスケッチと自分をオカズにした萌えトーク)を受けていた。
「助けろ……」
「………………断る」
 涼しい顔で杯(白湯)を呷る桜花にアスハは助けを求めてみた。コンマ五秒で速攻拒否られた。泣きたい。

 そして、シマイのもとに向かっていた面々も次々と凱旋を果たした。
「ジャスミン様、ジャスミン様、ついでにシマイちゃんのとこからお宝奪ってきたよ!」
「ようやったなぁ。褒めてつかわすわぁ」
 さんぽは褒められて尻尾を振ってしまうくらいに大喜び。
 早速、お宝開封の儀式。しかし、取り出されたのはジャスミンが今まで頭痛と戦いながら受取拒否したコスプレ群だった。
 持っていたGペンを握りつぶし、ジャスミンはわなわなと立ち上がる。
「廊下に立っとり!」
 さんぽにとっては理不尽な命令が忍者を襲った。


 後日、「和解しようと思ってねぇ」などと言いながらシマイが体操着を持ってお伺いしてきた。
 しかし、シマイは速攻段ボール箱に詰められて北軍城へと返されたらしい。
 狭く暗い段ボール箱の中は曰く、案外癖になったらしい。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 撃退士・南条 政康(jc0482)
重体: −
面白かった!:4人

ヨーヨー美少女(♂)・
犬乃 さんぽ(ja1272)

大学部4年5組 男 鬼道忍軍
花々に勝る華やかさ・
染井 桜花(ja4386)

大学部4年6組 女 ルインズブレイド
蒼を継ぐ魔術師・
アスハ・A・R(ja8432)

卒業 男 ダアト
おまえだけは絶対許さない・
ファラ・エルフィリア(jb3154)

大学部4年284組 女 陰陽師
俺達の戦いはここからだ!・
ラウール・ペンドルミン(jb3166)

大学部5年70組 男 陰陽師
永遠を貴方に・
ヘルマン・S・ウォルター(jb5517)

大学部8年29組 男 ルインズブレイド
碧落を結ぶ・
葉月 琴音(jb8471)

高等部3年30組 女 アカシックレコーダー:タイプB
撃退士・
南条 政康(jc0482)

卒業 男 バハムートテイマー