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マスター:雪月桜
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:5人
リプレイ完成日時:2014/08/22


みんなの思い出



オープニング

●生い立ち
 ある天使が居ました。
 天使は天使らしく、サーバントを創り出しました。
 幾つも幾つも創る内に、ふと思いました。ちょっとくらい機能性を無視しても、可愛らしいのを創ろう、と。勿論、可愛らしい化物が暴れる事によって人間に与える精神的ダメージ等を考えた結果でもありましたが、ほんの少し、自分も愛玩動物みたいなものが欲しかった、という理由もあったのです。
「あの子達は猫みたいだから、みゅう。花みたいに可憐だからフルール」
 そして沢山のサーバントを創りました。殆どが天使の思惑通り、愛らしい外見で暴れ回り、人々に恐怖心を与えたり、攻撃を躊躇わせたりしました。
「次の子は黒色にしよう。名前はノア──ノアールなんて、綺麗な響き」
 しかし……色々な仕事の合間に適当に創っちゃったのがまずかったみたいです。残念な事に『のあ』は愛玩出来そうもない外見に出来てしまいました。
 
 ぬるりと、どろどろとしている身体。
 適当に絵具を混ぜて出来た、不純な黒。
 三つ、滅茶苦茶な位置に付いている小さな眼球。
 大きく開き、汚い歯が不揃いに並ぶ口。
 
 それらがまるで猫か何かのように、天使にじゃれてきます。これはない、と天使は溜息を吐いてしまいました。
 という訳で、捨てる事にしました。

●初めてのお仕事
 それでは、ノアの『はじめてのお仕事』、開始です!
 御主人様が指定した場所は一階建てのスーパーでした。
 まずは侵入。これは御主人様の御蔭で簡単でした。入口出口、その他人が出入り出来るあらゆる所──このスーパーでは計四ヶ所──から、気持ちの悪い化物、ノアが侵入していきます。
 ノアは言語化するのも困難な、気持ちの悪い鳴き声を上げます。そして入口付近に必ず一匹は居る状態で、大袈裟に暴れ出しました。果たしてそんなにスナック菓子を吹っ飛ばす必要性があるのでしょうか、とちょっと首を傾げたくなる暴れっぷりです。
 御主人様はノア達にこんな命令を出したのです。
「この建物の中に居る人間を怖がらせなさい。そして、外に出しちゃいけないよ」
 勿論、天使の思惑が別にあるのは既に述べた通りですが、そんな事はノア達には分かりません。
 
 それではノアの仕事ぶりの一部を見てみましょう。
 まずは鮮魚コーナーからです。
 一匹のノアが、ハマチの刺身をヘディングしたりわさびをひっくり返したりしながら、一番自分に近い人間を追いかけてます。全力疾走しないのは恐怖感を煽る為、というよりハマチの刺身を落とさないようにでしょう。ちょっと不真面目な気もしますが、滑稽さが更に恐怖を助長させるか、完全に無視されているかのどちらかの反応しか返ってこないので問題ないでしょう。
「ひッ」
 ノアの近くにいた女性が上げた短い悲鳴に反応して、そちらへ駆け寄る少数派の人間と、そちらから遠ざかる多数派の人間が生まれました。
 優しい男の人が女性を引っ張って、近づいているノアから一緒に逃げようとします。それでも、ノアの方が速いので──。
「うわあああああ!?」 
 男の人の肩から、大量の赤い血が吹き出しました。とっても痛くなった男の人は、女性を放り出してしゃがみ込んでしまいました。女性を放り出すなんで、日本男子の風上にも置けない、と言われても言い返せませんね!
 ノアは楽しそうにおぞましい鳴き声を上げました。かなり柔かく表現すると「ギュギャォオオ!」といった声です。そして大きく口を開けて、ぐちゃぐちゃになった(とは言っても勿論ノアより美しいですが)女性の顔にかぶりつきました。とっても綺麗に食べられましたね。全て食べずに、余った死体を放り投げる所もポイント高いです。因みに、ハマチの刺身は血溜まりの上に落ちました。

『……あの御方、サーバント創るの巧いんだなぁ……』
 わたしが下手なのかもしれないけれど、その件については考えないようにしよう。どうせなら貰っていこうかなぁ。とか考えつつ、ノアのはじめてのお仕事にまた意識を向ける。

 MVPと言い切っても良さそうな働きをしているのは、一番大きな入口付近の二匹です。
「ギュギャアアァオ!」と(勿論、幾らか柔かい表現です)鳴き声を上げながら、腰を抜かしている人間にじわりじわりと近付きます。先程のハマチヘディングよりも怖い雰囲気が出ています。まずはじゃれるように脚と脚を絡ませてみます。
 「は、離せ……ッ」
 まとわりつかれた人間が頑張って下がろうとしますが、上手く行きません。誰かの血で手が滑ってしまうのです。まとわりつかれた哀れな人間は、自分が何人もの人間の血に触れている事にまで考えが及びません。
 逃げないと、とにかく逃げないと。──そんな事を思いながら、只管に下がろうともがきます。
 でも残念な事に、ノアは一匹ではないのです。
 後ろから、幾らか中央付近に居た人間を怖がらせていたノアが入口付近にまたやって来ていたのです。脚にまとわりついていたノアは他の人間の方へ向かい、背後に立ったノアはがぶり、と哀れな人間の肩に噛みつきました。
 入口から出て行こうとした沢山の人間が、その場で動けない状態になってしまいました。生きている人の方が多いみたいですね。即座に殺さない、というのは中々難しいのです。良くやりました!
 激痛や死への恐怖、そんな状態でも拭えない化物への嫌悪感で、スーパーは満たされていました。ノアの初めてのお仕事は順調に進んでいます。ノアは御主人様に誉めて貰える、と楽しみにしています。流石、失敗作のサーバント。可哀相な気もしますが、結構愉快ですね!
 しかし残念な事に、順調に進んでいた仕事に邪魔が入りそうです。
 息も絶え絶えな人が叫びました。
「げ、撃退士に! 誰か、連絡を──!」

 ……ふむ。じゃあ撃退士と暫く戦って、生き残ってるのがいたら回収しちゃおう。

●依頼
「依頼です。ディアボロかサーバントの発生が報告されました。此方が現場のスーパーの間取り図です。
 この通り、一階建てにしてはやや大きいくらいでしょうか……此方のスーパーで、八体のディアボロかサーバントが暴れ回っています。×印を付けてます、侵入口から余り離れないとの事です。
 彼等の外見は何とも醜悪、だとか。体長はおおよそ二メートル、四足歩行の獣のようで、脚は細く、主に大きな口、顔をぶつけて暴れ回っているそうです。
 スーパーに居る人の救助を最優先に、次いでディアボロ、またはサーバントを討伐して欲しい、との事です。では皆さん、御気を付けて」


リプレイ本文

●出入口制圧
 A班──鴉乃宮 歌音(ja0427)、神凪 宗(ja0435)、逆廻桔梗(jb4008)、アンリエッタ・アルタイル(jb8090)──が向かう一つの正規の出入口付近を、不純な黒色のサーバントが歩いていた。一般人は近くには見当たらない。
「スーパーマーケットでありますか、こんなところを戦場にするとは、天魔というのは全くえげつない連中であります。テロリストも天魔もやってることは非戦闘員や施設ばかり狙って、やってることは、一緒でありますね」
 アンリエッタがグッ、と拳を握りながら言った。
 醜いサーバントは口を大きく開き、不揃いに並ぶ汚い歯を晒した。
 ──天使も悪魔も 、使い捨ての使い魔に対してにも結構見た目を大事にするものだと思ってるのだが。  歌音は『失敗作』に対して、そんな感想を抱いた。
「なんというか、哀れというか造形センスを疑いたくなる敵でありますね」
 アンリエッタがそう言いながら、天翔弓で敵を狙う。ほぼ同時に、赤煙と共に、黒と赤の馬竜が現れた。
「マミちゃん、やっちゃえ!」
 逃げようとするサーバントを爆発的な力で攻撃する。サーバントは気味が悪い呻き声のようなものを上げながら、召喚獣へと噛み付こうとする。しかしそれよりも早く、後ろに回り込んだ宗が雪村を振り下ろした。鳥肌が立ちそうな鳴き声。宗は軽い眩暈に襲われ、一度下がる。サーバントは幾らか遠のいた出入口へと近付く。歌音が引き金を引いた。アサルトライフルの弾丸に為す術なく、一体のサーバントが倒れた。

 B班──小松  菜花(jb0728)、Sadik Adnan(jb4005)、牙撃鉄鳴(jb5667)、黒神 未来(jb9907)──はもう一つの出入口に向かう。
「中には人がまだいんだろ? なら、スピード勝負ってやつだ。ときはかねなり、だろ?」
  サディクは思う。一秒の遅れで人が死ぬ。それなら、一秒早めてそいつを助ける。──それが撃退士ってのの仕事の一つだろ。
 敵戦力はSAN値直葬な感じなの。菜花は眉を寄せた。天使の創造物であるにもかかわらずというべきか、だからこそというべきか、サーバントの姿は冒涜的だった。
 未来は、サーバントの姿を見て思わず顔を顰めた。
「……これはホンマに気持ち悪い敵やな……」
 闇へ紛れ、潜行状態でサーバントに近付く。その結果、強力な存在──撃退士から逃れるように動く筈のサーバントが、通常通りに出入口付近で周囲を見渡しているだけで終わっている。
「でも、そやから言うてサボるわけにもいかへんな。キッチリやらせてもらうで」
 未来の左目が赤く輝く。瞬間、アグリームレガースを付けた足が、サーバントを襲った。
 自らが襲われている事に気付いたサーバントが、たまらず未来から距離をとる。
「スレイプニル召喚……騎乗戦闘開始なの」
「ヒヒン、容赦しなくていい。やれ」
 召喚したスレイプニルに乗った菜花と、サディクが召喚したスレイプニル──ヒヒンが、同時に攻撃する。サーバントが叫びながら放った数発の魔弾は、ヒヒンの脇を掠めただけだった。
 牙撃鉄鳴(jb5667)は店の外に居た。レールガンの射程ギリギリに位置取り、スコープを覗く。拡大されたサーバントの醜い顔。
 ──『その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやる』とは何かの漫画のセリフだったか? まぁ金もらっても綺麗とは言いたくない顔だがな。
 そう思いつつ、引き金を引く。入口から余り動かないのなら静止目標も同然だ。外す道理がない。黒い霧に纏われた弾丸が、サーバントの顔を飛ばした。

●救助、撃破
 A班担当の出入口のサーバントを倒した後、その周辺に居た一般人を避難させる。
「焦らずにお進みください! 転ばないように!」
 桔梗は避難者へそう声を掛けながら、此方に来るかもしれない天使の事を考え、阻霊符を使った。
「親は子供を抱きかかえて走れ。女、年寄りは手を引いていけ。ここが男を魅せる時だぞ」
 歌音はそう言いながら、避難する一般人の怪我具合を確認する。
「あ、あっちに、血だらけの人が!」
「分かった」
 悲鳴のような声に淡々と返事をし、震える指先の方へと駆ける。そこには、苦しそうに呼吸している女が倒れていた。 
 出血は多いが、手遅れという程ではない。戦場の衛生兵を想像する。女の腹部を乳白色のアウルが覆う──少しして、女の呼吸が正常に近づいた。
「そこの人。この女性を頼む」
 小走りで近付く男に声を掛ける。幸いにも男は強く頷き、女に肩を貸した。

「いいかい? 敵を攻撃するんだよ?」
 出入口周辺に居た一般人の避難を完了させた後。桔梗は自らの召喚獣に、仲間についていくように指示をする。そして、背中に深紅の翼が顕現する。
「スーパーといえ、高さはそんなにないだろうから飛ぶ際には気をつけるんだな……まあ、落ちた時は帰りにでも拾ってやる」
 宗が桔梗に声を掛ける。ありがと、と桔梗は微笑し仲間と召喚獣を見送り、出入口で待機する。

 歌音、宗、アンリエッタ、召喚獣マミはサーバントと一般人を探し進む。
『聞こえる? 皆が居るとこのちょっと先を右に曲がった辺りに、一般人が何人かで固まってるよ』
 桔梗からA班全員に、ハンズフリー携帯で連絡が届く。事前に念の為、と桔梗が借りて皆に配った物だ。
『分かった。自分が行こう』
 宗が答え、言われた通りの場所へ向かう。
「サーバントは任せて欲しいのであります!」
 アンリエッタが元気に声を掛ける。宗は軽く手を挙げた。

 A班が担当する出入口にて。サーバントの唸り声が聞こえる。桔梗は顔を顰めながら、手早く耳栓をつけた。
「……ないよりはマシかも」
 天井と自らの射程距離の限界まで飛び上がり、サーバントを睨みながら思う。──ひ弱なボクにできること、それをやるんだ。
 マミを再召喚し、上空から攻撃を浴びせる。
『神凪だ。今そちらに向かっている。敵は居るか?』
『たった今来たよ!』
 宋からの連絡にやや大きな声で返す。魔弾が掠めた。
『了解した』
 短くそう答え、手近な棚に飛び乗る。ざっと辺りを見渡す限り、此処は安全だ。
 味方全員に避難者の位置を告げ、避難者に動かないように指示し、桔梗が戦う出入口へと駆ける。
 サーバントの鳴き声と魔弾が、桔梗とその召喚獣、マミを襲う。
「これは、不味いかも……マミちゃん力を貸して!」
 赤煙を纏った馬竜がその声に答えるように、エネルギー体を放つ。
 宋が駆け付けた時、サーバントは魔弾を乱発しながら走り回っていた。マミと桔梗の攻撃は当たりはするが直撃とはいかない。まだ雪村では届かない距離だ。宋は素早く武器をアハト・アハトに変え、引き金を引く。まともに喰らったサーバントはよろめいた。事切れる一瞬前に放った魔弾は、床を抉った。

 宋が一般人を保護、避難誘導へと向かった後程無くして、サーバントは見つかった。出入口へと向かっているのか、撃退士の方に駆けてくる。
 歌音が即座に天翔弓で攻撃を仕掛ける。前足にヒットし、サーバントは一瞬動きを止める。その間に歌音は近くの倒れていた商品棚へ身を潜め、アンリエッタはサーバントにより近い商品棚に体を寄せる。魔弾が放たれるも、そんな状態では誰にも当たらない。
 マミがサーバントに、雷を思わせるエネルギー体を撃つ。気味の悪い身体が俊敏に動いた結果、直撃は免れた。──その間にサーバントの背後をとったアンリエッタが、貫手を首に打ち込んだ。逃げ場のなくたサーバントは、アンリエッタへと牙を向ける。
「顎を開ければ一番打撃にもろくなるのであります!」
 そのチャンスをアンリエッタが逃す訳がなかった。顎に掌底のフックを喰らわせ、サーバントが反応するよりも早くアッパーを放つ。
 これ以上、一般人の怪我人は出したくない。その思いが、彼女を戦わせる。
「早速だけど、次だ」
「了解であります!」
 近くにいたらしいサーバントが、撃退士に反応して逃げ出す。二人は天翔弓で脚を狙い、サーバントは数歩で逃走が終わる。
 歌音が天翔弓で脚と頭を撃ち、アンリエッタが遮蔽物を利用しながら接近する。
 灰色の光が矢を包み、打撃音が響く。アンリエッタに当たりかけていた魔弾が逸れた。
「淑女の嗜みであります!」
 接近を果たしたアンリエッタが、ブロンクンナックルの拳を叩き込む。
「下がって」
 歌音の言葉に瞬時に下がり、棚へとしゃがむ。サーバントが何か行動するよりも先に、歌音が矢を放った。

 出入口に居たサーバントを倒した後、鉄鳴は避難者を誘導していた。サーバントが身近に居ない事からか、大分落ち着いている。
 出入口まで後少し、その時に。サーバントの鳴き声が、響く。
「……近いな」
 避難者から上がる悲鳴。
「ほら! さっさと行けよ! 巻き込まれてもしらねぇぞ!」
 サディクが避難者へ発破を掛け、サーバントへ向かう。
「ゴア、注意を引け!」
 ゴアが威嚇し、サーバントはゴアを見る。その間に、鉄鳴が避難者を店外へ誘導する。
「近代の騎兵はその速度と突破力で心理的にも物理的にも脅威と見られたの。故に機関銃と塹壕が生まれるまで花形兵種だったの」
 菜花が出入口へと迫るサーバントを見遣りながら、スレイプニルに騎乗する。
「さあ、どうするの?」
 ヒットアンドウェイ。菜花の攻撃は確実に効いていた。
 そして。
「ゴア、遠慮はいらねぇ、叩きつけろ!」
 ゴアがサーバントを薙ぎ払った。

 未来は出入口からかなり離れた所で、避難者達を発見した。避難者にヒヒンについていくよう指示する。
「ひッ」
 避難者の誰かが短い悲鳴を上げた。その声の理由は明白だ。数メートル先にサーバントが居る。此方に気付いていないのか、豚肉を咥えてのんびりと歩いている。
「そういや、うちらからよう逃げよったな」
 未来はぽん、と手を叩いて、ハイドアンドシークを解除した。サーバントは豚肉をぽとりと落として逃げ出した。避難者の困惑が混ざった安堵の息が聞こえる。
 ヒヒンについていく避難者を確認し、逃げ出したサーバントの後を追った。

「アンタ産まれたばかりなんか? ほな、うちの子守唄聞いて眠っとき!」
 未来の周囲が凍てつく。サーバントはよろよろと未來から離れたが、ぱたり、と眠りに落ちた。間髪入れず、レイアーバンドを巻き付けた拳を喰らわせる。サーバントにとっては幸いな事に、すぐに目を覚ましたサーバントが魔弾を放つ。
「おっと。これは中々……」
 既に避難が済んだ事に安堵しながら、サーバントへまた攻撃を放とうとする。そこで、もう一匹のサーバントを見つけた。

『誰か増援頼めへん? 二匹も近くにおるわ』
 未来からの連絡。鉄鳴は翼を背中に顕現し、上空から未来の場所を確認する。
『見つけた。最短距離で向かう』
『おおきに』
 有言実行、最短距離で文字通り飛んできた鉄鳴がレールガンを構える。未来の周囲が凍てつくが、二体とも眠りはしなかった。
 サーバントが絶叫しながら魔弾を乱発する。
 鉄鳴は眩暈を覚え、狙いをサーバントの顔からサーバントの体全体に変える。眩暈が引き起こす命中率低下よりも、鉄鳴の射撃の腕が上回っていた。胴体に増射を喰らったサーバントはよろめきながらも魔弾を放っていたが、潜行して背後に立った未来の蹴りに、呆気なく倒れた。鉄鳴は素早く弾丸を再装填し、もう一体のサーバントへとレールガンを向ける。既に眩暈はなくなっている。弾丸は容赦なくサーバントの顔を抉り、絶叫が響く。
 魔弾を無駄に乱発しながら、二人から逃げようとするサーバントに衝撃波が襲った。
「これがアンタらへのレクイエムや! 」
 未来がギター、PompeuX R7を掻き鳴らす。エフェクターもアンプも必要ない、音の攻撃。
 最後のサーバントが、息絶えた。

●仕事の終わり
『……ううん、結構早々と倒されちゃったなぁ』
 ノアの『働きぶり』を見に来た天使は呟く。上司にとっては大成功にしても、自分にとっては何の得もない行動をしてしまった。大して惜しむ事なく、くるりと身を翻す。結局、天使が人間の前に現れる事はなかった。

 今回巻き込まれた怪我人は病院に運ばれていった。幸い、重体以上の者は居なかった。……撃退士が駆け付けた頃には手遅れだった人も居たが、被害は最小限だったと言ってよい。

 サーバントは実直に働き、死に絶えた。
 撃退士達は任務を全うし、明日を迎える。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: ドクタークロウ・鴉乃宮 歌音(ja0427)
 とくと御覧よDカップ・黒神 未来(jb9907)
重体: −
面白かった!:5人

ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
凍気を砕きし嚮後の先駆者・
神凪 宗(ja0435)

大学部8年49組 男 鬼道忍軍
V兵器探究者・
小松  菜花(jb0728)

中等部2年1組 女 バハムートテイマー
開拓者・
Sadik Adnan(jb4005)

高等部2年6組 女 バハムートテイマー
黎明の鐘・
逆廻桔梗(jb4008)

中等部3年9組 男 バハムートテイマー
総てを焼き尽くす、黒・
牙撃鉄鳴(jb5667)

卒業 男 インフィルトレイター
撃退士・
アンリエッタ・アルタイル(jb8090)

中等部1年2組 女 ナイトウォーカー
とくと御覧よDカップ・
黒神 未来(jb9907)

大学部4年234組 女 ナイトウォーカー