.


マスター:WTRPGマスター
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2013/10/01


みんなの思い出



オープニング


 発端は、どこにでもあるようなショッピングセンターでの出来事だった。
 地上から最上階までが吹き抜けになっている、中央広場でのことだ。

「あれ?」

 声を上げたのは、これまたどこにでもいるような制服姿の女子学生だった。
 友達を誘って買い物に訪れていた彼女はトイレから戻ってきたのだが、待っているはずの場所に友人がいない。

 ――どこだろう。

 多くの人でごったがえす広場を見回して必死に探す。
 すると、それらしい後ろ姿を見つけることができた。
 もうっ、と不機嫌になりながらも急いで後を追う。

「ちょっとーっ! どこいくの!」

 声をかけた瞬間、彼女の友達は「えっ?」と明らかに動揺した。
 立ち止まって振り返ってくれた友達に、女子学生が駆け寄る。

「ひどいよぅ、待っててって言ったじゃ……?」

 友達に追いついた彼女は、変なところで声を切って、そのまま言葉を失った。
 同じように、立ち尽くす友人。
 その隣に、『自分』がいた。

「え……え?」
 
 自分とまったく同じ姿をしている鏡写しの『誰か』。
 顔も、髪の毛も、肌も、全てが同じ。
「あ、しまった」と言いそうな表情や口の形までそっくりだった。

 ――同じ人間が同じ場所に二人いる。
 ――自分は確かに自分なのに、目の前に自分がいる。

「き、きゃああああああああああああああああああ!」

 自分と対面した彼女が、そのおぞましさにあらんばかりの悲鳴を上げた。
 その瞬間、友達の隣にいた偽者は身をひるがえして一目散に逃げ出した。

「うわっ」
「きゃ……ちょっと! 危ないじゃない!」

 通行人を突き飛ばして強引に逃走した彼女の『偽者』。
 その変身は走りながらゆっくり解けていく。

「う、うわあああ! 化け物!」

 誰かが声を上げて、逃げ出すソイツを指差して腰を抜かした。
『化け物』と呼ばれたソイツは、透明でゲル状の、人型スライムとでも言うべき姿のまま悲鳴にまみれたショッピングモールの中を駆けていく。

●久遠ヶ原の斡旋所にて
「あ、どもども、ちょうどよかった。今……手、空いてます?」
 職員は斡旋所を訪れた撃退士に開口一番、仕事の話をぶつけた。
「都心のショッピングモールで事件発生です。
 既に何名か駆けつけているんですが、応援を要請されてます。
 敵はサーバントと思しき人型の敵が一体……複数の可能性もまだ捨て切れませんけどね。
 敵が逃げる前にショッピングモールの閉鎖に成功したのであとは狩るだけなんですが、仕留めるのに手こずってるみたいです。
 なんでもソイツ、変身するんですって。
 ……いや、だから変身です。
 違いますよ、ヒーローになるとかじゃなくて、出会った奴と同じ姿になっていくそうです。
 しかも困ったことに、姿だけじゃなくて声や運動能力にスキル、何故か装備まで一緒になるとか……。
 自分と同じ姿をした相手と戦うっていうのは、思ったより精神的にキちゃってやりにくいみたいです。
 そんなわけで現場は苦戦中。
 敵は現在もショッピングモールの中を隠れながら逃走中です。
 対峙している人間以外に化けることも可能で、戦況に応じて変身の対象を選ぶ程度の知能はあるみたいですね。
 劣勢になるとすぐ逃げ回るみたいです。
 逃がすと面倒そうな能力なのでここで仕留めたいですね。
 ……応援、いけますか?」


リプレイ本文

 ショッピングモールが閉鎖されてから数時間が経過している。
 通報を受けて先発していた撃退士たちは健闘虚しく、既に撤退している。
 だまし討ちを重ねられて疑心暗鬼に陥り、達成が困難になったためだ。

「たぶん敵は複数いる。気をつけてな」

 先発組から情報を得た後発組の撃退士は三班に分かれて、三階建ての戦場へ挑む。

●1F
「自分と同じ姿をした相手と戦うっていうのは、思ったより精神的にキちゃってやりにくいみたいです」

 久遠ヶ原で職員の発言を聞いたとき、ヴィルヘルミナ(jb2952)は真っ先に思った。

「自分自身? さっさと死ぬべきだろよこんな老害」

 だから開始早々、通路のど真ん中で自分の偽者と出くわしても平然と他班へ連絡を行い、すんなり戦闘準備に入った。
 そんな彼女の隣で、彼女の友人でありお気に入りである雨宮 歩(ja3810)がトレードマークの気だるげで皮肉げな笑みを浮かべる。
 雨宮にとってもヴィルヘルミナは友人かつ頼れる戦友だ。
 彼は親しみを込めて、彼女をヴィヴィと呼ぶ。

「さて、それじゃ行こうかヴィヴィ。自分自身を乗り越えてやろうじゃないかぁ」

 雨宮は忍ぶ事を捨てて前に出て『黒刀』を抜き払う。
 さらに前触れなく、一足飛びで敵との距離を詰めた。
 
 殺った、と確信に足る素早さだった。

 事実、刀は敵の首に肉薄していた。
 敵がとっさに雨宮へ変身していなければ、それで終わっていただろう。
 皮一枚の絶妙な回避を見せられた雨宮は皮肉げに笑う。

「自分と戦うのも試練のひとつ、かなぁ?」

 自らに語りかけながら装備を『抜刀』に切り替える。偽者もそれに倣った。

「なら、乗り越えてみせるさぁ」

 数度、中距離で斬り合う。
 剣筋も速度も互角、機先を制すべく放った『隼突き』のタイミングも同時。
 短い時間だったが雨宮は悟る。

 これを勝ちきるのは骨が折れそうだなあ、と。

 敵も同じ思いだったらしく、後退しながら再度ヴィルヘルミナに変身して術の構えを取った。
 ――が、偽者は一秒後に膝をついた。
 敵の背後に回っていた本物のヴィルヘルミナが『氷晶霊符』で足を撃ったのだ。
 雨宮は好機を逃さず『探偵式拘束術』で敵を束縛する。

「こちらで道を塞ぐ。任せたまえよ、あまみー」

 雨宮が注意を引いて、ヴィルヘルミナが逃げ道を塞ぎ、連携を取りながら攻撃する。
 単独で二人分のことができる敵でも、独りでは不可能な戦術だ。

「だからボクらは友と一緒に前に進むのさぁ。そういうわけでこれからもよろしく頼むよぉ。怪盗さん」
「ああ」
「それにしても、探偵が探偵を捕まえる、か。これはこれで愉快だねぇ」

 束縛された偽者は接近戦に備えてか、身軽な雨宮に姿を変えていた。
 その偽雨宮を容赦なく、ヴィルヘルミナは背後から『氷晶霊符』で撃ち始めた。
 うわっ、と雨宮らしからぬ声を上げて回避した偽者に、ヴィルヘルミナは嬉々とした表情で言う。

「本人を殴るのは気が引けるからね。ドッペル君には見せしめとして徹底的にボコボコになって貰おう」

 とてつもなく、いい笑顔で言うのだった。
 命中するまで高回避の偽雨宮を撃ちまくり、命中しても撃ちまくった。

「キミはもう少し自分の身を案じたまえよ。重体になりすぎだよ? 周りの者がどれだけ心配していると思っているのかね?」

 わりとぼろぼろになりつつある偽者と、嬉しそうなヴィルヘルミナ。
 二人を見比べた本物雨宮はいつも通り、気だるげに皮肉げに笑みを浮かべるのだった。

●3F
 饗(jb2588)と神喰 茜(ja0200)は周囲を警戒しながら服売り場を巡回していた。
 その最中、狐耳を立てて饗が神喰に告げる。

「近くに何かいます」

 歩いていた二人はどちらともなく立ち止まり、集中を深める。
 神喰が光纏を発現させて刀を取り出す数瞬の間に、敵は物陰から飛び出した。
 突撃を察知した饗は間一髪、敵の放った剣撃を回避する。
 さらにすれ違いざま、香水を吹きかけることにも成功した。
 これで仮に逃げられても、敵と味方を区別するための目印になる。
 だが同行者に、敵を逃がすつもりは毛頭なかったらしい。
 饗を切りつけた勢いそのままに逃亡へ移る偽者を神喰が追いかける。饗もあとに続いた。

「残念、そっちは行き止まりだよ」

 神喰は逃走する『自分』に向けて呟いた。
 ほどなくして売り場の端が見える。逃げられないと悟ったか、偽者が振り向く。

 偽者が振り向いた先には『剣鬼変生』を使用して人鬼に変じた神喰がいた。
 光纏と同じ赤色の髪は金色になり、紅色の光纏も濃紅に変色している。
 
 だが本物を模すのが此度の敵だ。
 まばたき一つの間に、偽者も人鬼と化す。
 目と目が合った瞬間、神喰は、――へぇ、と感嘆した。

「戦ってるときこんな顔してるんだ、私」

 神喰は期待に胸を躍らせながら武器をワイヤーに持ち替える。
 刹那、相手も武器を変える。

 距離が詰まり、交錯した。

 金色に変わった髪が、光纏の紅色の残像を尾引いて激しく振り回される。
 遠目には一見、双子が舞踏しているようにも見える。
 その実、極細の肉割く糸が死線を機織る武闘であった。
 打ち合う時間が長くなるにつれて神喰の笑みはより深くなっていく。

「神喰さん、大丈夫ですか?」

 遅れて戦場に駆けつけた饗が――二人に聞こえたかは微妙だが、靴先で地面を軽く蹴りながら――斬り合う二人に一声かけた。
 片方は間髪入れず「助けて!」と叫び、片方は「問題ないよ」と余裕を持って答えた。

「わかりました」

 饗は助けを願った方に、『偽者に正しく』照準を合わせて援護射撃を開始した。
 銃撃の回避も課せられた偽者の顔は焦燥に満ちていく。

(……ああ、なんだ)

 その程度の複製なのか、と本物は密かに失望する。
 少し圧された程度で愉しめなくなるなんて――ひどい、駄作。

 神喰が興をそがれるのと同時に、偽者の周囲を暗闇が覆った。
 援護をしながら機を窺っていた饗の『ナイトアンセム』だ。
 闇が晴れた瞬間、視覚と聴覚を失った偽者の懐に神喰が踏み込んで『薙ぎ払い』を決める。
 次いで、

「うーん、外見だけの駄作とはいえ、自分を斬るのってなんか変な感じ」

 意識を刈り取られた偽者の頭上に、神喰の『椿落とし』が落ちた。

●3F 中央吹き抜け
 ショッピングモールの中央広場は、1F〜3Fまで吹き抜けになっている。
 敵が飛行して逃げないよう、エイネ アクライア(jb6014)は空中を浮遊しながら単独で警戒に当たっていた。
 とはいえ、3Fの巡回が一通り済めば饗が合流する予定だ。
 先ほど「一体仕留めた」と私物の携帯電話(らく○くほん)に連絡があったので、まもなく帰ってくるはずだ。

「エイネさん、お待たせしました」
「おお、饗殿! 大丈夫でござるか?」
「問題ないですよ」

 現れた饗は言いながら、3Fの手すり付近に陣取る。

「……。それは何より! 拙者もそちらにいくでござるよ!」

 空中にいたエイネは饗の手前、数メートルの位置に降り立つ。
 ――その寸前、いくつかの音が連続して破裂した。
 最初にしたのは衣擦れの音。(饗の利き腕の肩が動いた)
 次いで起こったのは風を切る金属の音。(エイネが抜刀した)
 さらには銃声と悲鳴と、そして炎が燃える音。

 火に焼かれた饗の腕は形を崩し、沸騰したゲル状の液体になって床に四散した。

『炎閃』を命中させたエイネは攻撃の手を緩めず、着地と同時に肉薄する。
 繰り出した『雷閃』は刃が届く寸前、変化した偽者の刀で受け止められた。

「おおっ!」

 本物のエイネが、片手ながら鮮やかに防いだ自身の姿に感嘆する。
 偽エイネは『闇の翼』を広げ、空中に逃げた。
 しかし肩口で炎がくすぶるせいか本来の移動力には遠く及ばず、エイネの追撃にあっけなく追いつかれる。
 数秒の剣戟の後、偽エイネの刀は弾き飛ばされていた。

「お覚悟!」

 斬られた敵が、落ちていく。

「一対一で戦う願望は叶ったものの……双方万全の状態でもう一度やりたいでござるなぁ」

 うずうずしつつ、連絡を済ませてエイネは警戒を続ける。

●2F
 他の場所で行われたのは一対一、あるいは敵一体に対して複数で行った戦闘だった。
 では複数と複数が戦った場合、どうだったのか。
 その観点で見ると青空・アルベール(ja0732)と彪姫 千代(jb0742)の戦闘は興味深い。

 彼らに百瀬 莉凛(jb6004)を加えた三人は、2Fで合計三体の敵を発見した。
 一体は取り逃がしたが、莉凛が単独で追っている。
 残る二体はアルベールと千代が地図を見つつ、角の大型家具売り場まで追い詰めた。
 そこでサーバントは二体ともアルベールに変身。
 結果、両陣営ともに物陰に潜み、射撃で牽制をしながらのこう着状態にある。

「相手が『私』だったら単独で仕留めることを心掛けていたけど、二体同時とはなー」
「おー! でもアルが何人いても俺はアルを間違えたりしないんだぞー!」
「私も、チヨを間違えたりはしないつもりだよ」

 話している最中もたまに銃声が響く。
 止んだのを見計らって、アルベールが少し顔を出した。
 敵へのマーキングは二体とも『紅雨』で済ませてある。

「チヨ、今ちょうど、あの通路を挟んで敵が左右に離れてるから、」
「ふぉろーは任せたんだぞー! 俺突っ込むんだぞー!」

 アルベールが言い終える前に千代は『破』の文字を出現させて両手に光纏を燃やす。
 さらに『蒼燕』を発動させて回避を上げた。

「おうっ! 背中は任せて! 簡単に当てさせはしねーのだっ!」

 準備を整えて、アルベールの射撃を号砲に千代が飛び出した。
 その突撃に気付いた偽アルベールが同時に顔を出す。
 照準が千代に合うまでのわずかの間、アルベールも別方向から飛び出して銃弾を放つ。
 偽者たちは驚き、頭と銃を引っ込ませた。
 その隙に距離が埋まる。
 千代が向かって右の偽者へ走り――今、術の射程圏内に到達した。

「チヨ! 本棚の裏だ!」
「おー! 『影鯱』なんだぞー!」

 本棚から飛び出そうとした敵の足を、影から伸びた手が絡め取る。
 しかし偽者は転倒しながらも千代の姿を盗み取っていた。

「おー! 俺のそっくりさんなんだぞー! ウシシシー! ガオーなんだぞー!」
 
 千代はためらいなく突っ込む。
 もしも千代が単独で戦っているならば悪手になり得た選択だった。
 実際、偽千代は術の発動に至っていた。

 だが忘れてはいけない。
 千代は友を信頼して任せたし、アルベールは友に信頼されて任されたのだ。

 青い風を思わせる帯状の光が、螺旋の軌道を描きながら偽千代の眼前へ飛んでいく。
 弾丸を模した光纏を射出して衝撃波を放ち、狙いを逸らせる回避射撃――アルベールの『卯の花腐し』であった。

「『1人』では避けられなくても、これなら……!」

 千代は発動地点がずれた『影鯱』に捕まることなく一気に駆け抜ける。
 勢いそのままに千代が偽者に『氷虎』を命中させて、決着がついた。

「おー! アルと一緒に倒したんだぞー!!」

 千代の勝ちどきが響く中、アルベールは他方に潜んでいたもう一体に顔を向ける。
 ちょうど物陰から一羽のインコが飛び立ったところだった。
 アルベールは鳥に銃を向けて『イカロスバレット』で撃ち落とす。
 ゲッ、と呻いたインコは空中で人型スライムに戻り、地面に落ちたところでアルベールを再度盗んだ。
 傷が深いようで、銃を持つ偽者の腕は震えるばかりで持ち上がらない。

「なってねーであるな」

 恐怖で顔をひきつらせている偽者に向かって、アルベールは言う。

「ヒーローなら仲間を見捨てず、あと、こう笑えッ!」

 ズドン! ――と。
 とどめの銃声と断末魔が、また一つ。

●2F 通路
 百瀬 莉凛(jb6004)が単独で敵を追う判断を下したのにはいくつか理由がある。
 第一に、サーバントは既に弱っていた。(先発隊との戦闘で負傷したと思われる)
 第二に、敵が莉凛の姿――光纏発動前――を盗んだ。
 第三に、弱っているせいか真っ先に逃げ出した。
 そういった理由で莉凛は現在、『磁場形成』で移動力を上げて敵を追走している。

(……天使も中々面白い物を作りますねぇ♪)

 そんなことを思いながら莉凛は姿を盗まれた場面と、直後の惨事を回想する。
 逃走に適したスキルがあって喜んだらしい敵の微笑みと、光纏を発動させたときの驚嘆した顔を、だ。
 百瀬 莉凛は淫魔型の悪魔であり、光纏を発現させると普段の地味な姿(Bカップ)から、扇情的で豊満な肉体(Iカップ程度)に変貌する。
 
 ……要するに、敵が何に驚いたかというと、

(服の前ボタン外しておかないと、ああなっちゃうんですよねぇ……)

 現在、前を走る偽莉凛の服はボタンが飛び(描写的な意味で)悲惨なことになっている。
 走って身体が揺れるたびに服がはだけるが、大事な部分は見えそうで見えない。
 不思議な力が邪念を必死に遮っているので、見えそうで見えない。
 莉凛の位置からは視認できないが、そんな状況だ。

(変身されるまでは、自分と愉しむのも良さそうと思ったんですけど……)

 実際に姿を盗まれてみると思ったよりも不愉快だった。

(さっさと片付けちゃいますか……)

 最後の『分かれ道』が近い。
 莉凛はぺろりと唇を舌で湿らせて『白夜珠』の遠距離攻撃を放つ。
 敵本体のわずか左を狙った攻撃は、分かれ道に差し掛かっていた偽者を右折させた。
 狙い通りだ。その先には中央広場がある。
 駆けながら、莉凛は追走開始時から通話状態の携帯電話に告げる。

「まもなく到着します。服が破けている方が偽者です。合図も交えますね」

 そんな通信が行われているとは露知らず、偽莉凛は『闇の翼』を広げて2Fから中央広場へ跳躍する。
 追走する莉凛も空中に躍り出る。偽者と違ったのは離陸と同時に、袖の下に巻いていたスカーフをほどいて放り投げたこと。

 その合図が本物と偽者の生死を分けた。

 3Fから『炎閃』と『ゴーストバレット』。1Fからは『属性攻撃』。
 エイネ、饗、ヴィルヘルミナの三名による待ち伏せ攻撃が炸裂した。
 撃ち落とされる形で1Fへ墜落した偽莉凛は、それでも素早く顔を起こす。

「逃げられると思ったの?」
 
 しかしそこには『サンダーブレード』を構えて妖艶に笑う、莉凛がいる。
 数秒後、麻痺で足を封じられた偽者は集中砲火を受けてあっけなく散った。


 全階層の探索を終えて、撃退士たちが続々と合流してくる。
 討伐は既に完了しているはずだが、彼らはある合図を欠かさなかった。

「大丈夫?」

 言った方が靴先で床を軽く叩く。

「問題ないよ」

 言われた方は武器で軽く肩を叩く。
 さらに全員が集まったところで、腕に巻いてあったスカーフをほどいてみせた。
 そこまで暗号を重ねてようやく、全員が本物だと認め合う。
 その用心深さのおかげか重傷者もなく、無事に依頼達成と相成った。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: dear HERO・青空・アルベール(ja0732)
重体: −
面白かった!:13人

血花繚乱・
神喰 茜(ja0200)

大学部2年45組 女 阿修羅
dear HERO・
青空・アルベール(ja0732)

大学部4年3組 男 インフィルトレイター
撃退士・
雨宮 歩(ja3810)

卒業 男 鬼道忍軍
撃退士・
彪姫 千代(jb0742)

高等部3年26組 男 ナイトウォーカー
悪魔囃しを夜店に響かせ・
饗(jb2588)

大学部3年220組 男 ナイトウォーカー
“慧知冷然”・
ヴィルヘルミナ(jb2952)

大学部6年54組 女 陰陽師
V兵器探究者・
百瀬 莉凛(jb6004)

大学部3年88組 女 アカシックレコーダー:タイプB
撃退士・
エイネ アクライア (jb6014)

大学部8年5組 女 アカシックレコーダー:タイプB