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マスター:わん太郎
シナリオ形態:ショート
難易度:易しい
参加人数:5人
サポート:3人
リプレイ完成日時:2015/12/20


みんなの思い出



オープニング

●とある公園

 現代の生活は、恵まれ過ぎている。

 お金さえあれば、何かを殺す事なく食事にありつけるし、それ所か食事を作る事さえも必要ない。
 温度が合わなければエアコンを使えば良いし、水道を捻れば、いつでも水を飲む事だって出来るだけでなく、ペットとして生き物を買えば、他者の生死だって握れるのだ。
 それが生きる事に置いて『過剰』で無ければなんだと言うのだろう?

 やはり生きる事は、戦いでなければ。否! 生きる事は常にサヴァイバルだ!

 そんな思いを胸にあたし、猿渡みい子は、学園からあてがわれた住居を捨てて「ままー、変な人がいるー」「見ちゃいけません!」等と言う、世間の冷たい目に曝されながらも、今日も今日とて公園で一人、勝手にサヴァイバル生活を営んでいた……のだが――

「なーんか、違う気がするんですよねぇ……」

 貯めて置いた雨水を煮沸消毒しながら、首を傾げる。
 そう、何かがずれている。何かが不足している。
 けれど、一体何が足りないんでしょう? 

「おう嬢ちゃん、今日もさみぃな。良かったらこれ食いな」
「わ、わ、インスタントラーメンじゃないですか!良いんですかゲンさん?」
「良いって事よ、嬢ちゃんにはこの前酒を貰ったしな。お礼ってやつよ」
「あっざーすぅ!」

 やった! ラーメンなんて久し振り! しかもお味噌だ! ゲンさん分かってるぅ!
 隣に住むゲンさんから受け取ったラーメンを、湯を沸かしていた鍋にぶち込み、鼻歌交じりに作り上げてはふはふ麺を啜り、はた、と気が付く。

 気が付けば、ホームがレスな皆さんとのご近所付き合いがあるって、サヴァイバーとしてどうなんです?

 そこで、今までの自身の行動を思い出す。

 1、あてがわれた居住を捨てて段ボールやビニルハウスでシェルターを作り公園に住み付く。
 2、公園や川縁に生えている雑草なんかをモッシャモッシャしてお腹を下し光纏。
 3、塩分補給の為に這い蹲って石を舐め、ご近所さんに通報される。
 4、トイレは公衆トイレ。

 ……よくよく考えてみれば、これって只の、サヴァイバル知識が(中途半端に)あるホームがレスな人と変わらないんじゃ……?
「んぬぁー! 今まであたしがやってきた事って何だったんですかぁ! これじゃ、一流のサヴァイバー失格ですよぅ!」

 気付いてしまったあたしの悲鳴に、再び「ままー」のやり取りが行われるが、そんな事は然したる問題では……あ、まってお母さん通報は止めて下さい、警察沙汰はもうこりごりなんですいやホント、怪しい者ではないんで勘弁してくださいなんでもしますから! ホント! ね!?

 そんな華麗な交渉術に、奇異と怯えの視線を向けながらも携帯をしまってくれたお母さんに、あたしは深々と頭を下げ、気を取り直して続ける。

「そう、そうです! 今の生活に足りないのは命の危機! サヴァイバルなライブ感! つまりはサヴァライブ!」

 そうだ、なんでこんな事にも気付かなかったのだろう!
 今まで見てきた、漂流物の漫画やドラマに、たった一人でサヴァイバルする作品があっただろうか? いや無い! 少なくともあたしは知らないから無いのと同意儀! QED!

「つまり、今のあたしに足りないのは共にサヴァイブする仲間と、身の危険! ……でも、一緒にサヴァイブする友達もいないし、それ以前に普通の危険じゃ危険にならないですよねぇ……」

 友達は兎も角、危険については、一般的に考えられる危険なんて、暴漢位だろうが……一応、撃退士としての能力を持ってる時点で、もはや危険とは言い難い。
 となると、わざと毒物を摂取する……?
 でもそれじゃあ、サヴァイブの精神から離れて行ってしまう。

「……! そうだ、良い事思いつきました! 冴えてる!あたしってば猛烈に冴えちゃってます! 解決策ばっちしです! となったら善は急げ、思い立ったが吉日! 行動あるのみ、です!」

 なら、折角だし、今住んでいる狭苦しい公園などではなく、どこか広々とした土地を舞台にした方がきっと、サヴァイバーっぽい。山や海が近いとベスト、と言った所か。
 後は……大抵の事は自給自足で頑張ってもらうとして、小型ナイフ位は必要? 欲を言えば、全裸で参加して貰うのもアリ……いや、男子が居たら流石に恥ずかしいし却下。
「まぁ、シンプルイズベストって奴ですかね? んぬぁー! 燃えてきました!」

 冴えに冴えたあたしの解決策。

 友達も居なければ、食費も無い、家賃も無い、光熱費もない! イコール有り余るお金! そこから導き出されるのはそう! 金と勢いに任せてサヴァイバーを募る!
 これなら友達がいなくったって複数人でサヴァイブ出来るし、何よりも、変わり者も多い久遠ヶ原学園だ。放っておいても危険の一つや二つ、余裕で押し寄せるに違いない。
「そうなれば、あたしの悩み全て解決じゃないですか! やったねみい子!」

 こうしてあたしは、ラーメンで一杯になったお腹に満足しつつ学園に足を向ける。


リプレイ本文


「……煩い、静かにしろ」
「だって、凄いですよぅ!本格的なサヴァイバルって感じです!」

(……まさか、ここまで食いつくとは)

 薄氷 帝(jc1947)は自分で声をかけたとはいえ、予想以上の反応に戸惑いを覚えていた。


「自然物で何ができるか興味はないか」

 皆にナイフを配り終えた猿渡に声をかけたのは、端的に言えば労働力が欲しかったからだ。
 勿論、火おこし等の基本的な事は自分でやるつもりだったが、それ以外の、例えば火の守番や食料の見張りなど、自分が離れなければいけない際の所謂保険として、人が欲しかったのだ。

 そこで、船の中でも「サヴァイバル!」と騒いでいた猿渡が食いつきそうな言葉を選んだのだが――

「なんでそんなに綺麗に割れるんですか!?あたしがやると粉々ですよぅ」
「それはお前が力を入れ過ぎなだけだ。……それより、もう良いだろう」
「もう一回!もう一回見せて下さい!それで駄目なら諦めますからぁ!」

 粘られていた。
 正確には、最初に失敗した段階で大人しく諦めたと思ったが、水源を探し、インディアン井戸を作った所で「水が使える様になるまでの間」と、拝み倒され、もう一度、ナイフの作り方を教えていた。

 どうやら力の加減が出来ず、完成に近づくと粉々にしてしまうらしい。

「……これで最後だ。もし駄目なら」
「絶対です!えへへ、有難う御座います!」
 屈託ない笑顔を向けられ「……良いから早くやれ」思わず顔を逸らす。
「はい!三度めの正直で……あ」
 一打目、粉砕。
「……あの」
「行くぞ」
 縋る様な目を向けられる前に、帝は言葉を切り、立ち上がる。


「丁度良いかもォ……♪」

 指先で土壁を撫でながら、黒百合(ja0422)はそう独り言ちた。

 人一人が悠に横になれる程度の広さをした洞穴だ。

 入口は広く防風にはならないものの、洞穴自体は壁もしっかりしており、地面に何か敷いてしまえば土の湿気も気にならないだろう。

「となれば何を敷くかだけれどォ……」
 黒百合は辺りをざっと見回し、真っ直ぐに近い木へ徐に近付くと、ゆっくりと腕を回しそして
「それェ♪」
 鼻歌交じりに、それこそ『根こそぎ』、力に任せて引っこ抜く。
 そしてそれを、洞穴近くまで運ぶと、枝を、葉を、根っこを手折り、丸太にする。
 そして余る部分は叩き折り、洞穴に差し込み、床として置いて行く。
「うん、これなら温かくなりそうねェ……♪」

 そして三十分程した頃だ。
 洞穴周辺の真っ直ぐな木は無くなり、少し離れた所で黒百合は木の引っこ抜きを行っていた。

「よい……しょォ♪」

 先程までと同じように、引っ張る。と。

 木を引き抜いた先で、染井 桜花(ja4386)が黒百合を――正確には『突然引っこ抜けた木』を、籠を編む手も止めてじっと見つめていた。


 果実を集め終え拠点に戻る途中、山里赤薔薇(jb4090)は視界の端で動くモノを見つけ、目を凝らす。
 ニホンリスだ。
 短い両手で懸命に穴を掘ると、頭を突っ込み、即座に両手で土をかき集め、埋め直し、手で踏み固めると、また別の場所に穴を掘りと言う事を繰り返している。
 どうやら、越冬の為に食料を埋めて回っているらしい。

「そっか、もう雪が降っても可笑しくないもんね……」
 目を細め、その場にしゃがみこむ。
 そして赤薔薇はリュックから小ぶりなサルナシを一つ取り出して「おいで」と差し出した。

 リスは一瞬、警戒心からか身体を震わせる。
 が、その手に持たれている物を見ると、何度も赤薔薇の顔とサルナシを見比べ鼻をひくつかせ、次第にゆっくりと、一歩づつ近寄ってくる。
 そしてあと一歩という所まで近付き、赤薔薇の目を覗き込むと、手からひったくるようにしてサルナシを奪い、先程までの警戒心はどこえやら、一心不乱に齧り始めた。
「みんな、一生懸命生きてるんだね……人も動物も変わらない」
 赤薔薇は撫でる指はそのままに、空いた手でもう一粒サルナシを取り出そうとした、その時だ。

「あっ」

 近くの茂みが大きく揺れ、リスはハッとして齧っていたサルナシをその場に落とし、そのまま森の奥に向かって走り去ってしまう。
 そして葉を鳴らした主は、悪気はなかったのだろう、申し訳なさそうに「あらァ……ごめんなさいねェ?気付かなくってェ……」と眉を下げていた。

「いえ、大丈夫です――黒百合さんは、どうしてここに?」
「えェ、この辺りに仕掛けた罠を確認しにねェ……不発だったけれどォ……」
 言って、肩を竦めた。
 その手には、他の罠にかかっていたであろう兎の死骸が、ロープに手足を縛られて吊られ、揺れていた。

「それじゃあ私は他の罠も確認してくるからもう行くわねェ……赤薔薇ちゃん、お互いに頑張りましょうねェ♪」
「あ、すみません黒百合さん。少しお願いがあるのですけれど……」

 咄嗟に、立ち去ろうとした黒百合を引き留める。と、黒百合は立ち止まり、不思議そうに「何かしらァ」と赤薔薇を見る。

「あの、後で徒手空拳の訓練をして頂けませんか?」


 やはり、狙っていたのだろうか。
 桜花はそんな事を考えるが、真相はわからない。


「……成功」
 一抱えほどある石を投げられた衝撃で腹を見せて浮かぶ魚を、桜花は素手で掴むとそのまま、籠に入れて行く。

 正面の茂みから、桜花の倍以上の大きさをしたヒグマがのっそりと姿を現し、魚の入った籠を凝視していた。

「……熊」
 距離にして、三メートルもない。
 だがしかし、だからこそ、この熊の大きさと厄介さを、ありありとみる事が出来た。

 冬眠前だからか、熊の脂肪は分厚く蓄えられているのが解る。
 この状態で急所以外を攻撃しても、きっと、狩る前に逃げられるか攻撃を受けてしまいそうだった。

 なら狙うは――眉間。脳を直接、破壊する事。

 桜花は地面を蹴り上げ足元にあった小石を、熊に向かって蹴り飛ばし、脇にある茂みから音を出す。

 すると、反射的にだろう。

 熊は飛んで来た物を確認しようと首を動かし、一瞬、桜花から視線が外される。
 瞬間、地面を蹴り上げ、一気に距離を詰め飛び上がると、熊の眉間目掛けて槍を、突き立て、掻き回し、棒高跳びの要領で熊を、追い越した。

 苦痛に満ちた、咆哮。
 身体がぐらつき、傾きが大きくなった。そのままバランスが崩れ、熊は前のめりになるとそのまま、地響きを伴って地面に倒れ込み、二、三度痙攣して動かなくなる。

「……大物」
 桜花は無表情に、しかし何処か満足げに、桜花はゆったりとした動きで槍を引き抜き、熊の上半身を担ぐと、引き摺りながら巴達との食事場所へと運んでゆく。



「んー……気持ち良い……」

 岩に腰かけ細く息を吐きながら、巴は凝り固まった背中を伸ばし、手に持ったカモメの肉を岩の上に置き、それと同時に、つい先ほどまでスキルで満足に動けないでいた他のカモメ達が一斉に飛び立ち、姿を消して行くのが見え、「……うん、上手く行きましたね」と目を細めた。

『コメット』で鳥を動けなくし、必要数だけとらえる。正直自分でも、サヴァイバルというには手抜きだとは思うが、しかしそれでも、こうして余裕を持てるならいいのでは、とも思う。
「……でも、これの欠点は体温が上がる事かなぁ……あつい……」

 本来なら、凍えるのだろう。
 しかしカモメを捕獲する際、スキルを使った影響でか、解体するのに十分程かかったと言うのに、未だに体が熱く、今の巴には寒々しい潮風でさえ、心地良く、眠気が漂う。

「……少し位なら、大丈夫だよね?」
 誰に言うでもなく呟くと、巴は平らな岩場に寝転がり、寝息を立て始める。



 巴は恋人と遊園地に来ていた。あの某有名な鼠が生息する、あのドリームランドだ。
 二人は長い行列に並びながらも隙間なくべっっっっっっったりと身体をくっつけ合い、ご機嫌にお揃いの耳付きカチューシャを装備して周りの目も憚らず「ちゅうちゅう」と、鼠になり切っていた。

「ちゅう、寒いでちゅう。あっためて欲しいでちゅう」
「任せるでちゅう」

 身体を抱きすくめられ、暖かさに「ちゅふぅ」とろけるような声と息が、漏れた。

「あったかいでちゅう?」
「うん……でも、もっとあっためて欲しいでちゅう」
「……任せるでちゅう」
 それだけいうと、会話が途切れ、お互いにじっと顔を見つめ合い、段々と、二人の顔が近付いて行きそして『ハハッ!こっから先は有料さ!』


「――ってどういうキャラなの!?」

 べちゃ。

 跳び起きると同時に、何かが顔から滑り落ちる。っていうか磯臭い。っていうか――昆布。
 見るからに立派で分厚い昆布が、巴の傍らに落ちていた。
「どういう事……」

 カモメの解体を終えて、多少時間に余裕があったので昼寝をしたのは、覚えている。
 しかし寝る前、当然こんな物は無かったし乗せた記憶もない。
 謎の混乱に陥っていると「あらァ?起きちゃったのォ……」という、実に残念そうな声が聞こえてきた。
 悪戯っぽい笑みをした黒百合が、こちらに向かってゆっくりと近付いてきていたのだ――両手一杯の、わかめを持って。

「それ……どうするつもりでした……?」
「ナイショよォ……♪でも、そうねェ……随分気持ちよさそうに寝てたから、つい、ねェ?」
「そんな理由で人をわかめ塗れにしようとしたんですか!?」
「出来心でェ……♪」

 やはり、巴の顔面にわかめを乗せたのは黒百合だったようだ。

(あ……危なかった……!)

 光纏時の体温から出る汗とはまた違う、べたべたとした冷たい――所謂脂汗が流れて行く。
 何せ、後少し起きるのが遅かったら海藻塗れの磯地獄に陥っていたのだろうから。
「仕方ないわねェ……それじゃあ、私はそろそろ次の仕掛けでも見に行こうかしらァ」
 わかめを海に戻し立ち去る黒百合の姿を見送りながら、巴は「水着、持って来ててよかった」「寧ろ何故海藻だったのか」という二つを心の中で反響させながら、肉を持ち、とりあえず川に向かう事にした。


 辺りはしんと静まり返り、自分の心音ですら煩く感じる。
 そんな中、帝は一切の音も立てぬ足運びで暗い獣道を進み、全身の感覚を研ぎ澄ませて巴の気配を探る。
 冷え冷えとした海風が顔を撫で、息をするたびに痛さを覚えた。 
 風が動く。大きさからして、鼠だろう。それが地を這いまわり、フクロウが捕らえるのを肌で感じた。

 しかし巴の位置を感知する事は出来ず、また何も仕掛けてこない所を見ると巴も、帝の位置を感知は出来ていないらしかった。
 時間ばかりが過ぎて行き、このまま膠着が続くとも思えたが――勝負が決まったのは、一瞬だった。

 足が何か――ワイヤーだ――に引っ掛かり、帝がバランスを崩し、僅かに身体をぐらつかせる。
 それと同時に、帝の左前にある茂みから巴が飛び出し、駆けて来る。
 ――このままでは、後ろを取られる――
 咄嗟に、帝は身体を捻る。巴の駆ける方向とは逆に、だ。
 が、巴はそれを読んでいたかの様に突然角度を変えて帝の横に回り込むと、腕を掴み、己の方向に引き寄せると
「一回目は私の勝ち、みたいですね」
 ――帝の背後から、巴の声が聞こえた。


「……どうしてあそこで向きを変えられたんだ」
「あの状態なら多分、先程の薄氷さんのように背中を取られないよう身体を動かすかと思いまして。
 ですが、背中をどちらに向けるかは分かりませんでしたから、あの方向に動いたのは一種の賭けでした。
 もしあの時反対に動いていたら、若しくは動かれていたら、背中を取られたのは私でした」
「……そうか」
 今回は『運』に負けた、と言う事らしい。
「なら、次は攻守交替だ。今度は勝利も、俺が貰おう」
「負けるつもりはありませんが……一晩中お付き合いしますよ」

 次こそは運も味方にしてみせる。
 心の内で呟き、帝は再び夜に溶け込む。


 あれからどれだけ拳を繰り出してはいなされ、蹴り上げては受け止められただろう。
 普通ならば、諦めたかも知れない。
 だが赤薔薇はそれでも、時折かけられる「もっと体重かけてェ」等の、黒百合のアドバイスに対しても真摯に拳を振るい続ける。

 僅かに息が上がっているのか、苦しさを覚える。
 しかしそれが、あの黒百合との訓練の副産物だと思うと苦にはならなかった。
 頭の中で、軸足を地面に突き刺す。
 腰の位置を意識し、体重がかかるよう骨を、筋肉を、動かす。
 そして拳にかけた威力が抜けてしまわぬよう、肘を固定し、打ち出す。



「今回は楽しかったよ。また一緒にサヴァイバルしようね」

 船を待ちながら、疲労からか、それとも退屈なのか、各々思い思いに会話を楽しむ中、猿渡に話しかけた赤薔薇は言う。

「え……?い、一緒に……?」
 一瞬の、間。
 しかし言葉の意味に気付いた瞬間、猿渡は耳まで赤くし、今まで騒いでいたのが嘘の様に、今にも消え入りそうな声で「あ、あの」とどもっていた。
 しかし意を決したかの様に顔を上げると
「よ、よろしくおねがいしまふ!」
 頭を勢いよく下げた。

「……船……来た」
 海平線を眺めていた桜花が告げ、その先を見る。
 行きと同じ船影が、汽笛を鳴らし、迎えに来る。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:1人

赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
花々に勝る華やかさ・
染井 桜花(ja4386)

大学部4年6組 女 ルインズブレイド
絶望を踏み越えしもの・
山里赤薔薇(jb4090)

高等部3年1組 女 ダアト
永遠の一瞬・
向坂 巴(jc1251)

卒業 女 アストラルヴァンガード
復讐鬼・
薄氷 帝(jc1947)

高等部3年17組 男 アカシックレコーダー:タイプB