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マスター:黒兎そよ
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:6人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/06/02


みんなの思い出



オープニング

●注意 これはコメディです

「くそ、一体なんだって言うんだ!」
 悪態をつきながら、撃退士の青年は街道を走る。
 青年は今、人っ子一人いないその街で何かに追われていた。

「全員、やられちまったのか……あのSheepに!」
 背後を振り替えた青年の目に、黒い羊のディアボロが映される。

 ブラックシープ。

 個体としてはそれほど協力ではないディアボロに、青年は何故ここまで怯えているのか。

「誰か、応答しろ!」
 青年はインカム越しに仲間への通信を試みる。
 しかし、返って来たのは……。

「むにゃ〜、リーダー、もう食べられませんってば〜」
「くそっ、駄目か!」

 という、寝言だった。

「Sheepめ!」
 青年はインカムを地面に叩きつけると、手にした銃口をブラックシープへと向ける。
「羊が一匹……」
 ブラックシープの後ろから、さらにあらたなシープ。
「羊が二匹……」
 その後ろにさらに、さらに、さらに!

「畜生、Sheepは『s』が付か無くても複数形か!」

 どうでも良い豆知識と共に、青年はトリガーを引いた。

 そして、その街道にまた一人、横たわる者が増えた。
 それは幸せそうに寝息を立てながら……。


● 眉間に皺をよせたオペレータ

 ブラックシープたちが街の人々を眠らせて、一箇所に集めているという報告を受け、一週間。
 三日前に現地へと向かった撃退士チームに連絡をとった久遠ヶ原学生オペレータ・志方 優沙(jz0125)の耳に聞こえてきたのは、「眠い」「あと、5分」「おはようございません」と次々に通信を切る撃退士たちの声だった。

「と、いう事で皆さんには第二次撃退部隊として街へと向かってもらいます」
 眼鏡をくいっと指で押し上げ、志方は難しい顔で言う。
「敵の狙いはおそらく、眠らせた人々を無効化する事でしょう。ブラックシープはヴァニタスや悪魔たちに使役される個体ですが、この街の羊たちは特に眠らせる事に特化しているようです」

 志方がスクリーンを操作し、街の様子を映し出す。
 そこには無数の黒い羊の群れ。膨大の数のブラックシープたちが居た。

「一度眠ると、どうやら自身の願望が叶う夢を見るようで、寝言でそのことを楽しそうに喋るようです」
 通信を試みた前部隊の撃退士たちの寝言を思い出し、さらに眉間に皺を寄せる志方。
 中には、赤面しそうな熱いラブを語る生徒も居り、居た堪れなかったようだ。

「シープは5つの群れで行動し、鳴き声攻撃で睡眠状態に誘います。また、群れには先導するリーダー格が居り、リーダーを倒すと群れの羊はバラバラに逃げ出し、別の群れへと吸収されるようです」

 スクリーンに赤い首輪タグの第1群。青いタグの第2群。黄色の第3群。緑の第4、紫の第5が並ぶ。
 タグには1〜26の数字が振られ、1つの群れが26匹で構成されていることが分かる。
 その図で説明しながら志方は続ける。

「そして全てのリーダーを倒せば、羊たちは無力化されるようです。ただし、全ての個体が似通っており、首のタグのナンバー以外に判別は出来ず、どれがリーダーかもわかりません」

 志方は全ての説明を終え、スクリーンは消す。そして……。
「ヴァニタスや悪魔の存在は観測されていませんが、くれぐれも注意して行ってください。皆さんのご武運をお祈りします!」


リプレイ本文



●さぁ、羊の数を数えましょ

「Zzz……」

 街が眠っている――。

 そんな風に錯覚する程、誰も出歩いていない街中。
 静まり返ったその空間は現実から遠く感じるのだが、無数の寝息と時折発せられる誰かの“寝言”が、この街に人が居る事を思い出させてくれる。

「ふぅ、これで6人目ぇ……」
 大間戸まりか(jc1445)は道端で眠らされていた一般人を発見し、ため息を付く。
 身体能力の高い撃退士とは言え、人間を何回も運ぶのは骨が折れる。
「よし、安全な場所までご案内なのです!」
 しかし、これも皆に愛されるスターになるためと、大間戸は気合を入れなおし、一般人を背負って避難所へと向かう。

(それにしても良く眠ってるわね)
 寝息を立てているのは自分よりやや幼い少年だった。ディアボロに襲われ、命をとられなかったのは不幸中の幸いと言うべきだろうか……。

「あ、大間戸さん。……一般の子?」
 声をかけてきたのは澤口 凪(ja3398)だった。
「はい。これから避難所に連れて行くつもりなのです」
 笑顔を返し、大間戸は答える。
「そちらはどうでした?」
 大間戸の質問に、澤口は首を横にふる。
「たぶん、眠らなかった一般の人たちが放送を聞いて、避難を手伝ってくれたんだと思う」
 放送というのは、ミハイル・エッカート(jb0544)の提案でされた、避難指示と外出制限の防災放送である。
 お陰で被害は減ったのだが、羊の群れも獲物を探して身を潜めたようだった。
「それにしても良く眠ってるね、その子」
 澤口が少年の顔を覗き込む。

「むにゃ〜、おねぇちゃん可愛いね〜、一緒にむにゃむにゃ〜」

 ……寝言だった。

「えっ?」
 思わず赤くなる澤口。それと対照的に笑顔のままに見える大間戸だが、表情はややこわばっていた。
(マセてんなぁ……)

 堪らず澤口が話題を変える。
「私たちも眠らないようにしないとね」
「大丈夫なのです。まりか、絶対に眠くならないように、出発前に頑張ってコーヒーをブラックで飲んでおいたのです」
「あ、それ良いな。私も飲んでくれば良かったかも〜」
 他愛ない話に花を咲かせ、避難所へと向かう二人。
 しかし、その背後には黒い影が近づいていた。

 澤口が振り返ると、『だるまさんが転んだ』よろしく、黒い影達は動きを止めた。
 だが、モフもふした尻が丸見えだ。
 もしくは角。

「……さ、澤口様。これちょっと多すぎ……なのでは?」
 大間戸がゴクリッと唾を飲む。弱そうだから無双できるのではと思っていたのだが、流石に数が数だけあって、大間戸はしり込みしてしまった。
「はうあ……モフモフ……」
 逆に、目を輝かせ、今にも群れに飛び込みそうなのが澤口だった。
「澤口さまぁ〜!」
 堪らず、大間戸は澤口の手を引く。
「はっ、いけない。これもお仕事!」
 我に返った澤口だったが、羊の群れに迫られている状況は変わらない。
 やがて、一匹の羊が「メー」と短く鳴くと、全ての羊達が「メー!」と呼応し、二人に向かって突進してきたではないか!

「羊の群れ発見……」
 水芭(jc1424)は、一般人を背負った大間戸と澤口の背後に羊を発見した。
 むしろ、二人が羊に追われているのを発見したと言うべきなのだが、それは置いておこう。

「ふおおおSheepいっぱいなんだの!」
 橘 樹(jb3833)は楽しそうに「羊が1匹、羊が2匹,羊が3匹……」と数え出す。まるで羊の数え歌だ。
 ブラックシープたちも「メーメー」歌い出す。
「羊が……Zzz」
「寝るのかい!」
 寝入った橘の頭をすかさず、鴉乃宮 歌音(ja0427)がハリセンで叩く。
「やだ……わし、いつの間にかきのこになってる?」
 寝ぼけまなこの橘はどこか嬉し恥ずかしな表情だ。あの一瞬でどんな夢を見たのやら。

 起きた橘に、鴉乃宮が諭すように語り始める。
「いいか、羊数え歌というのは、SHEEPとSLEEPが似た言葉で出来てるからで英語にしないと意味がないのだ。だから正しくはこうだ。ONE SHEEP、TWO SHEEP……Zzz」
「ふぉぉお!? おぬしも眠るのかい!」
 今度は橘のハリセンが鴉乃宮に炸裂した。
「っと、すまん、焼きマトンが……」
 口元をぬぐいながら鴉乃宮は目を覚ます。美味しそうな夢だったようだ。

「た、橘先輩! 助けてくださ〜い!」
 わたわたと走りながら澤口が叫んだ。
「か、鴉乃宮様も遊んでないで助けてなのです〜!」
 大間戸も叫ぶ。
「第4群、緑のタグか……ちっ、嫌な色だぜ」
 ミハイルが何やら連想したようで、吐き捨てるように呟く。
 そうこうしているうちに、合唱する羊の群れは撃退士たちの目前へと迫っていた。


●注意 夢の中です

「こちら、当店自慢のピーマンステーキになります。付け合せは色とりどりのピーマンサラダ……」
 気が付くと、豪勢なレストランの一角にミハイルは座っていた。
 目の前にはピーマンのフルコース。
「そして、デザートのピーマンプリンでございます」
 高そうなガラスの器に、緑色のプリンが揺れる。
 ミハイルは緑のプリンを恐る恐る一匙救うと、震える手で口へと運ぶ。

 ゴクリッ……。

「……! やったー、俺ピーマンが平気だ! なんて美味いんだー!」
 晴れやかなミハイルの背に青々と輝くピーマンが降り注ぐ。
 まるでグルメ番組の過剰演出のようだ。
「ピーマンLOブッフッ」
 喜んでいたミハイルの後頭部に大きなピーマンがヒット。ミハイルは地面へと転がった。

「はっ……ピーマンは?」
 起き上がったミハイルの前には鴉乃宮と橘。
「寝るなミハイル」
「起きるんだの! ミハイル殿」
 二人の手にはハリセンがあった。もちろん、ミハイルの後頭部を殴打したのは夢の中のピーマンではなくコレである。
 
「くそっ夢かー! 俺がピーマン食べられるようになれば完璧なのに、なんてこったい」
 大の大人が、地面を叩いて悔しがっていた。
 しかも、一見ハードボイルドなのに……。
「現実と戦うんだの!! ピーマンはミハイル殿の敵なんだの!!」
 そして、その横でめちゃくちゃ応援している悪魔が居た。

「……」
 水芭は先ほどからお互いをハリセンで叩き合う男子勢を少し呆れた様子で眺めていた。
 ああやって寝ても起せるうちは良いが、これだけの数の羊が居る中、全員が睡眠攻撃を受けるのは得策ではない。早めに手をうたなければと、水芭は静かに考える。

(確か、リーダー格を倒せば羊の群れはバラバラに逃げるはず……それを追撃すればこちらが優位にたてるのでは?)
 水芭は無数の緑タグを視認し、ナンバーを把握する。
(橘さんの予測が正しければ……)

 緑の5番タグ――。

 水芭はすかさず手にした斧を振り下ろす。
「メ゛ェ゛〜!」
 黒い羊は両断され、綿が散るように消える。
 残った羊たちはそれを見て、慌てて駆け出した。
「当り……」
 水芭は呟く。
「羊たちが逃げてっちゃいますよ。追いかけましょう!」
 澤口が慌てて追いかけようとするが、どの羊を追うべきかと、あたふたと足踏みする。
「ばらばらに追うのは得策じゃぁないな。俺たちはチームで動くんだ!」
 ミハイルが澤口を落ち着かせようと肩に手を置く。
「そうなのです!」
 いつの間にか一般人の避難を終えた大間戸もミハイルの意見に賛同した。
 と言うことで一匹を全員で追いかけるのだった。


●謎は全て解けた! かも?


「黄色タグなのです!」
 合流した羊の群れのタグを確認し、大間戸が叫ぶ。
「任せておけっ」
 鴉乃宮の双眸がアウルの輝きを放つ。
 複数のタグを一気に見通し――。
「今日はお前たちでジンギスカンだ。飢えた狼に喰われるんだな」
 迫りくる羊の群れに向かってトリガーをひく。
 放たれた弾丸は一直線に羊を貫いて行き、そして黄色の5番タグを撃ち抜いた。
 黒い羊は綿となって散る。

「……これで確定ですね」
 水芭が地面に落ちた黄色のタグを拾いあげた。
「羊たちの頭数が26でアルファベットと同じであるからの。SHEEPをアルファベット順の数字に置き換えると19、8、5、5、16だの」
 橘は解説をはじめる。
「Eに当てはまる黄色の第3群は5番。緑の第4群は5番がリーダーだったからな。これで間違いないだろ。な?」
 ミハイルの念押しに、皆が頷く。
「残るは、赤の19番と青の8番だね」
「それと紫の16番なのです!」

 黄色と緑のタグを持つ羊たちは大慌てで逃げてゆく。

「では、追うんだの!」
 橘の声に撃退士たちは、羊を追った。
 逃げた羊はまた新しい群れへと合流する。こうして段々と、群れが巨大化していくため、リーダーを探すのはますます困難になる。
「これじゃぁ、どこにリーダーがいるかわからないよっ!」
 澤口が必死に羊のタグを確認するためきょろきょろとしている。
 黄色と緑、そして新たに加わったのは青のタグ。

「まずは、数を減らすんだの」
 橘の声にミハイルが応える。
「お前ら全員血祭りだ」
 血のように赤と禍々しい黒を帯びた隼をかたどるアウルの塊が、羊たちへ襲い掛かっていく。
「あぁ、数撃ちゃあたる!」
 鴉乃宮も周囲に攻撃をしかけた。
 二人の猛攻により羊たちが綿と消える。
「ビンゴだぜ!」
 ミハイルは今まさに消える青の8番を発見した。
 あてずっぽうで倒されるとは、哀れな羊だ。そう何時の世も青は不憫である。

「ほむ? 逃げないんだの」
 橘が不思議に思い首をかしげた。
 羊たちのリーダーを倒したはずなのに、青も黄色も緑も逃げずに群れを形成している。
「どういうこと?」
 澤口の声が元気なく萎んでいく。
「まさか、推察が間違ってたんじゃねぇだろうな……?」
 大間戸はちらりと橘の方を覗く。
「ほむ? ほむ?」

 困惑した撃退士たちを前に、整然と隊列を維持した羊たちは「メーメーメー」と大合唱をはじめた。



●良い夢見られたか?

「はっ、これはまさに憧れのきのこ風呂なんだの!」
 浴槽に沈んだ橘は、浮かぶキノコを救い上げる。キノコはお湯を吸って膨らんでいく。
 それは留まる事を知らずに……
「凄いの、きのこが水を吸ってほとんど湯がないの!」
 と叫んだ頃には、橘の体は膨らんだキノコに押しつぶされていく。
「あ、いたっ」
 衝撃を受けた橘が頭を抑えてうづくまる。
「よお、いい夢みられたか?」
「……やさぐれキノコ……だの」
 橘は目の前にいる不良中年を見上げる。
「誰がだ!」
 ミハイルは思わず突っ込んだ。


「凪……」
 優しい声と大きな手が澤口の頭を撫でる。
(こうやっていつも子ども扱いするんだもん……)
 ちょっとふて腐れながらも、触れられて嬉しいと思う自分も居ることに澤口の顔に自然と照れ笑いが浮かんだ。
 澤口は顔が赤くなっているんじゃないかと両手で覆って俯く。

(大事にされてるな……)

 彼の手が澤口の肩を揺する。

(うん、大事に……)

 その手がさらに激しく肩を揺する。

(ん、もう……)

「えへへ……だってもうとっくに私はあなたのもの……もう、どうにでもして〜!」
 と顔を上げた澤口の目の前には、黒い羊が転がっていた。
「……えっ?」
 肩に置かれた手の方を向く。
「おはようなんだの。凪殿」
「……おはよう……ございます。橘先輩……聞きました?」
 目が急速に覚めた澤口の顔が赤から青へと変わる。

「姉様………姉様の為なら、私はどんなことでも……って橘さん?」
 澤口の隣で起された水芭も現実へと戻ると、夢とのギャップに押し黙る。
 普段無口な彼女がさらに静かになるのも奇妙である。

「人の夢と書いて儚いんだの……」
 二人の少女に橘はただ優しく微笑むだけであった。


 一方、大間戸も実に楽しい夢を見ていた。
「大間戸、良くやったな」
 沢山の天魔を倒し、学園で表彰される大間戸に、惜しみない喝采が浴びせられる。
 あぁ、今まさに彼女はスターに。
「まりかちゃん、すごーい!」
 友人たちの羨望の眼差し。
「お前は俺たちの誇りだぜ」
「撃退士の星よ!」
「まりかたんかわいい〜! はぁはぁ」
 先生、先輩、そして愚民からの賞賛の嵐。

 壇上でまばゆいライトに照らされ、大間戸まりかはマイク片手に歌いだす。
 周囲には羊たちが踊り。
 可愛らしいアイドルステージのようだ。

「うへへぇ、やったぜ、大人気じゃん私〜むにゃむにゃ」

 そんな大間戸の寝顔を楽しげに眺めているのは、鴉乃宮だった。
 だんだんと、二人の顔の距離が近づき……鴉乃宮は大間戸の耳元にフッと息をかけた。
 大間戸の体がビクンッと跳ね起き、「なななな、何しやがるんだっ!」と叫びながらあとずさる。
「キスでもするのかと思ったぜ」
「いやいや、流石にキスで起こすほど私は王子ではないよ。ミハイルやってみる?」
「はっ、簡便しろよ」
 ミハイルが鼻で笑うと、鴉乃宮も小さく噴出した。
 楽しげな二人を余所に、大間戸は混乱しながら二人に視線を向けた。
「あ、あの……鴉乃宮様、まりか、何か変なこと言ってました?」
 なんとか体裁を取り繕いながら、大間戸は恐る恐る探りを入れてみる。
「ん、その喋り方も良いけど、まりかは素のほうでもいいと思うぞ」
 と、何事もないかのように鴉乃宮が応えた。

「ば……ばれてんのかよぉ〜」
 少し恥ずかしいのか、それとも悔しいのか。大間戸は頭を抱えた。


●目が覚めたら

「ほむ、キノコ風呂……」
「どうやら、まだ夢の中のようだな」
 ため息を付いた橘の背後に立ち、拳銃のグリップを振り上げるミハイル。
「仕方がない、起してやるかな」
 ハリセンを楽しげに構える鴉乃宮。
「す、ストップです! それより、どうして羊たちが逃げなかったんでしょう?」
 慌てて止めに入る澤口が、疑問を口にした。

 確かに、リーダーを倒せばバラバラに羊は逃げるはずなのだ。
 そして青のリーダーは8番に間違いは無い。

「いや、それならもう解けてる。あれを見るんだ」
 アウルの光を湛えた目で鴉乃宮が指差した先には、紫色のタグと赤いタグの羊が隠れていた。
「……そうか」
 水芭が何かに気が付いた。
「そう。確かに青のリーダーを倒したから、羊たちは一度逃げているんだの。僅か数秒、数歩だけだがの」
「そっか、ちょっと逃げれば次のリーダーが居たから、私たちから見たら逃げてないように見えたんですね」
 橘の説明を聞き、澤口はなるほどなるほどと頷いた。

「そうと分かれば、あとは残ったリーダーを倒すだけだ!」
 ミハイルが銃を構える。
「あぁ、マトンは美味しく調理してやろう」
「モフモフ可愛いけど、これも仕事!」
 気合を入れなおす澤口。
「……」
 無言のまま斧を構える水芭。
「絶対ぇにゆるさねぇかんなぁ。変な夢見せやがって」
 本性を垣間見せる大間戸。

 それぞれが羊を掃討に飛びかかった。
 それはまさに「俺たちの戦いはこれからだ!」的な絵面であったと言う。

 もちろん赤の18番。紫の16番は倒され、黒い羊は消え去った。
「いい夢をありがとうなんだの……!」
 名残惜しそうに橘は消え行く羊達に敬礼した。


 そして……。


 後日、眠っていた人々は無事目覚めたのであった。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: きのこ憑き・橘 樹(jb3833)
 羊を数えて・大間戸まりか(jc1445)
重体: −
面白かった!:6人

ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
君のために・
桐生 凪(ja3398)

卒業 女 インフィルトレイター
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
きのこ憑き・
橘 樹(jb3833)

卒業 男 陰陽師
撃退士・
水芭(jc1424)

中等部2年12組 女 ルインズブレイド
羊を数えて・
大間戸まりか(jc1445)

高等部1年18組 女 ダアト