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「――あたしを好きにしたくない? 出来ちゃうかも☆」
とても際どい格好をしたお姉さんが街頭に立ってパンフレットを配っていた。
ミニスカのスリットが大きく割れて、太股はともかくその奥まで見えそうになっている……。
顔を赤く染めた藍 星露(
ja5127)が耳元で囁いた。通りすがりのサラリーマンの肩に手を置いてまるで誘うように顔を近付ける。
その瞬間、サラリーマンは「うおおおおおっ!!」とズボンを押さえて何処かへと急に走り出して行ってしまった。一体彼は何処へ向かったのだろうか……。
「はぁ〜いみんなぁ〜♪ 頭は常春カラダは常夏、アムルだよぉ♪ 気持ちいぃコトは何でも大好きっ☆ よろしくねぇ♪」
ピンクのマイクロビキニのお尻を突き出しながら過激な発言をしたのはアムル・アムリタ・アールマティ(
jb2503)である。もうすでにその格好自体が危険際まりなかった。
こぼれ落ちそうな程弾けまくった爆乳が人々を釘づけにしてしまう。握手会が始まるや否や客たちに積極的に近づいて手を握り締めた。
「決まりを守ってくれるコには後でサービスしてあげるっ♪」
手を握られたはずなのになぜか胸が当っていた。キスマーク付のメッセージカードをプレゼント。「後日やるかもしれない撮影会の参加チケットだよっ」と、投げキッス。
もっともホントにやるかどうかは分からない、らしいが。
「コラ、アムル。品がなくてよ?
わたくし、瑞穂と申しますわ。宜しくお願いしますわね♪」
胸を張ってアムルを押しのけたのは桜井・L・瑞穂(
ja0027)。豊満な肉体をこれでもかと見せつけながら仁王立ちする。上は胸元にハート型の穴があいたタンクトップビキニ。
下はローライズ気味で、後ろは大胆なGストリング。パレオ装備。
もうその過激な格好を見ただけで客達が今にも卒倒しそうになった。その瞬間に、列が乱れて怒涛のように客が前へ押してくる。
「数は十分に用意してありますわ。野獣になるのは場所を弁えませんと♪」
どさくさに紛れてお障りしてくる客を撥ねのけながら、余裕たっぷりに瑞穂は暴れる大きいお兄さん達の怒張をいなしていく。
危険すぎる輩は次々と客にアプローチして、その度に客を悶絶させていた。
「要は人を集めればいいんでしょ? そんなのあたいにとってはらくしょーよ!」
その脇では元気いっぱいの雪室 チルル(
ja0220)がパンフレットを配っていた。この寒い中でなぜか蒼いパレオの水着を着せられている。
油ギッシュな大きいお兄さん達が遠巻きにシャッターを押しまくっていた。
なぜか汗だくの手で握手を求められ笑顔で応じていたが、当の本人は全く今回の趣旨が分かっていなかった。もっとも楽しければそれでいいのかもしれないが……。
本屋の前には人だかりが出来ていた。新刊を手にアピールするのは正統派美少女の川澄文歌(
jb7507)となぜか巫女服を着ている雪篠 愛良耶(
jb7498)である。
二人とも街頭に立っている人達と比べて正統派である。
「あの撮影で,こんな写真集になったんですか……。
予想外でちょっと、恥ずかしいです……」
だが、出来上がった写真集を見て文歌はもじもじしていた。
お雛様衣装で1ページ毎に1枚ずつ十二単の衣装を脱いで最後に水着姿になるパターンがあまりに恥ずかしかったのである。
一方で、黒神 未来(
jb9907)も笑顔で接客していた。
彼女らを見ているだけでなぜか安心感があった。もっとも冒頭の輩があまりに危険すぎるだけなのかもしれないが……。
「おっ、買ってくれてありがとね、弟くん! いい子いい子♪」
お客の頭を撫でながら笑顔で一川 七海(
jb9532)を見送る。彼の手には『一川七海 お姉ちゃんを球場に連れてって♪』というグラビア写真集。
白ビキニで、野球の練習で鍛え上げられムッチリとした尻周りを強調した表紙だ。
内容は下着姿で寝る七海や着替え中の七海など生活観のある写真が多めであり、総じて尻周りを強調している危ない写真集である……。
妄想を逞しくした悪い「弟くん」がお尻に迫ってきたが、その瞬間、七海のとび蹴りが尻に飛んできてあえなく伸びてしまった。
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瑞穂はカメラマンの前で大胆なセクスィーポーズを取っていた。丸いソファーの前に両足を広げて思いっ切り前かがみに胸を寄せている。
そこへアムルがまさかの乱入。
「きゃああああああああああああああ!」
身長差からアムルを膝上に乗せ、座った状態で抱き合うポーズなどを取る。二人の爆乳と爆乳が擦れ合って水着がズレそうになっている。
撮影の瞬間に、アムルがバランス崩して瑞穂を開脚状態で押し倒す。
「ちょ、アムル。動き過ぎで、あぁぁぁっ!?」
際どい所にアムルの手が――。
瑞穂のパレオの水着がさらにローライズに。
さらにそこへアムルの足が瑞穂の奥をさらに付き上げて――。
「アムル、アムル、そこは、そこはいけませんワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああ――」
嬉々として叫びながら二人は奈落の底へ墜ちて行った……。
横でヒートアップしていく二人を見ていて愛良耶は首を傾げていた。
「愛良耶ちゃん、もっと足を広げて」
「こ、こう……ですか……?」
恥じらいながら両足を大胆に――って、まったく本人はわかっていなかった。
本来は由緒正しい巫女の筈だった。
お嬢様でそういうことは一切知らない縁のないことなはず。
だが、なぜか雰囲気がおかしかった。
カメラマンに次々に要求されて、その通りに健気に応える。なにか違うような気もしたが、逆らうこともできずに遂に――彼女は紅白の巫女服ビキニを纏った。
「――そうそうもっと寄せて上げて。うん、いいね! それが清純派だよ!!」
「これが……清純、派です……か……?」
爆乳が弾けとび、眩しいフラッシュが焚かれた。
寄せて上げる巫女はもう、まったく清純派ではなかった……。
「あたしも盛り上がったら……延長、しよ?」
星露はもうすでに雌豹のようなポーズを取っていた。デート相手に選ばれた真面目な風のサラリーマンはもう戸惑ってそちらの方をみれない。
無理もなかった。白いV字形をしたスリングショットビキニ。
面積などもうないに等しい。
通りすがりの人の誰もが唖然としていた。
爆乳がサラリーマンの腕に当るどころか埋もれていた……。
妖艶な笑みでずっと男性の片腕をガッチリととホールドしている。男性は抵抗できないままそのまま怪しい地下のカラオケルームへと入っていた。
「あたしより良い点が取れたら……一枚脱いであげる☆」
や、一枚って――一枚しか着てないでしょ!!
激しいサラリーマンの心の叫びを無視して。
いきなり星露の細い指がサラリーマンの太股の方へと伸びてくる。見ると、すでに星露は大胆に足を広げてソレをサラリーマンにアピールする。
サラリーマンが理性でなんとか唄い終わった時だった。
「離れたくないっ」と相手の首に腕を回して――
耳元で「大好き……♪」と囁いた。
指を咥えて、「ねえ、ワタシのカラダで悦んでえ!!」
もう駄目だった、もう頭がいやズボンの下がおかしくなりそうだった。
その瞬間に、サラリーマンは股間を押さえて、いきなり立ち上がり、もう我慢できぬというようにどこかへと猛ダッシュしていった。
ぎゃあああああああああああああああああああああ!!
トイレの向こうから激しく野獣の雄叫びと何かを激しく打ち付ける音が聞こえてきたが、当の星露はマイクを咥えて「ああああああああああああ!!」と腰を激しく揺らしながら一人でダンスをしていたということである……。
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プールの上には大きなマットが浮かんでいた。
セクスィーな水着を着用した美少女達が集まって来ていた。なぜか水着相撲を改め、水上プロレスデスマッチなるものに垂れ幕がすり替わっていたが気にしてはいけない。
盛り上がれば何でもいいのである。
美少女があられな姿で争えばもしや――のこともあるかもしれぬのである!
「ここであったが百年目! うちと恐怖の水上スプラッシュデスマッチで勝負や」
未来が自慢のビキニDカップを見せつけて殴り込みをかける。すでにビート坂の上に乗っていた可愛らしいアイドル達が次々と彼女のバックドロップの犠牲になった。
バシャアアアアアアアアアアアン!
バシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
バシャアアアアアアン!!
抵抗できずにまた一人、また一人、水の底へと沈んで行く。
未来の一人勝ちかと思われたその時だった。
不意に反対側のプールサイドに現れた一人の可憐な美少女。
「プロレスはアイドルと同じです。ファンの人に喜んでもらうために魅せる試合をしないと……。あっさり負けるなんて,アイドルとしても失格ですっ」
文歌は着ていたお雛様の十二単を軽やかに脱ぎ捨て、華麗に衣装は青基調でフリルつきアイドル系水着に変身した。何処から見ても絶対的アイドルである。
ビート坂の上の帝王に向かって文歌がジャンプし――いきなりブルーフェニックスキックをかました。未来は交しきれずにそのまま顔面にドロップキックを浴びた。
ドバシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンン!!!!
未来は盛大に弾き飛ばされてプールの底に沈んだ。文歌が鮮やかな勝ちを収めたかに見えたが、案の定そんなことで未来が黙っているわけはなかった。
いきなり這い上がってきた未来の手が文歌の足首を掴む。一気にそのまま引き倒して二人はビート坂の上でもみ合いになった。
二人の胸と胸が擦れ合い――、互いの水着を引っ張ったりズラしてものすごい事になってしまった。「うおおおお、これはすごいことになりましたああああ、もうこれは二人水着の行方――いや、勝負の行方から目が離せません!!」
思わず解説も間違えてしまう程の熱狂ぶりだった。そこへなぜか、「わたしもまぜて、わたしさいくきょおおおおおおおおおお」とチルルが乱入してきた。
水着が盛大に引っ張られ、自慢のDが大変になっている時に、チルルが入ってきたのだからさすがの未来も堪らない。
「お子ちゃまはお呼びや無いねん、あっち行っとき」と、追い払うが、顔に纏わりついてきて、もうどうしようもなくなった。
しかたなく敵であるはずの文歌と即席タッグを組んで二人でチルルを担ぎあげて、そのままプールの外へとほおって決着を付けた。
しかし、文歌はそのまま未来をも落とそうとしてきたため、プールの外へ押し出されそうになってしまった。そうはさせまいと渾身のバックドロップをしかける!
うまくカウンターで背中が入ったように見えた。
文歌の体が宙にまってプールに付き落とされたかに見えたが、そこはビーチ版の外であったため、自分も誤ってそのままプールに落ちてしまう。
溺れぬように必死にもがいている内に、二人はなぜか互いの水着を思いっ切り、引っ張ってそのまま――
「きゃああああああああああああああああああああ」
文歌が絶叫した。未来も胸を押さえた。
ついに、ついにその瞬間が――。
カメラがその瞬間を捉えようと迫ったが、目の前にそれがあまりに迫り過ぎていた。
「あああああ、すごいいい絶景があああああああああああ!!」
撮影していた水中カメラマンの絶叫が聞こえてきた。
二人にもみくちゃにされながら、肝心のものがレンズに近づきすぎてまったくぼやけて映っていなかった。ポロリは、映っていなかった、残念!
だが、肝心の水着は遠くの岸に打ちあがっていた。
赤くなってプールに体を隠す二人……。
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晴れた空の昼下がりだった。
七海は腕を組みながら隣にいる彼に上目づかいをする。爆乳がこれでもかと当って彼は目のやり場に困っていた。すでに体が硬直して動きづらくなっている。
「じゃーん。これ、なーんだ?」
贔屓の野球チームのペアチケットを見せる。
今日は絶好のデート日和。
二人は商店街のレストランで食事をした後、ウィンドウショッピングをして、夜から近くのナイターゲームに行くことになった。
今日の七海の服装はもちろん――白ビキニである。
健康的なお尻がこれでもかと言う程大胆に露出している。
通りすがりの人々の視線を一身に浴びていた。ナイターゲームでは贔屓のチームが初回から大量失点してしまった。すでに試合の半ばにして帰る人もいた。
それでも七海は諦めなかった。
これでもかと、お尻を振って贔屓チームを応援する。
揺れる尻と胸。
もう、試合どころじゃなかった。
七海の応援もあって終盤に贔屓チームは怒涛の追い上げを見せる。
ついに最終回になった。一点差でツーアウト満塁。
一発出れば逆転サヨナラである。誰もが固唾を飲む場でそれは起きた。
最高の盛り上がりの場面で七海は突然彼の手を取って走りだした。二人は誰もいない球場の裏に着いていた。先ほどから七海の様子がおかしい。
どうしたのだろうかと思ったその時――。
「アタシね、実は野球よりも好きなものがあるんだ……。それは、ね……その…。あなたの事、です……。あなたの事が大好きです!
大きな胸が彼に迫ってきたかと思うと、目の前が見えなくなった。
突然その時だった。目の前に静かに白球が転がってきた。
大きな歓声が遅れて聞こえてきた。
次の瞬間、贔屓チームの勝利を祝う大きな花火が上がった。
「ありがとう、これがプレゼントだよ」
「嘘、本当に……!? 嬉しい……! 嬉し過ぎるー! うわーん!」
拾い上げたホームランボールを渡すと七海が抱きついてきて、とびっきりの嬉し涙を見せた。