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マスター:凸一
シナリオ形態:ショート
難易度:やや易
参加人数:6人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/05/25


みんなの思い出



オープニング


「今度の週末は何の日か知ってる?」
 身目麗しい胸の大きな美少女が級友に突然、質問した。
「え〜と、母の日だったっけ……」
「それはもう終わったわよ」
「それじゃあ、父の日はまだだし……えっと」
「乳の日よ」
「えっ、父の――」
「乳の日よ」
「えっ……まさか」
 級友の女の子の視線がその大きな胸に釘づけになった。
 そうだった、父ではなく――乳の日である。
 その日は日頃から働いているお父さんのための――ではなく、日頃から休みなくぶらぶらと揺れてお父さん達の目の保養になってくれている乳に感謝する日である。
 胸が大きいと何かと大変なことが多い。
 たとえば、肩がこる。
 胸がない人に比べてこの問題は深刻だ。
 ちょっと歩いたり走ったりしただけで異様に疲れてしまうのである。
 たとえば、異様に注目を浴びてしまう。
 ちょっと跳んだり跳ねたりしただけでこれは大変だ。
 ぼよよよよよんとまるでヨーヨーのようにはじけ飛んでしまうのである。
 体育の時間の男子の目線が非常に気になったりする。
 年頃の女の子にとってそれはとても恥ずかしいことに違いない。
 たとえば、着る服がない。
 あまりに大きすぎてサイズの合う服がなかった。
 これも胸の小さい人には分からないだろうが、オシャレが好きな年頃の女の子にとってそれはとても不便なことだ。
 胸の大きな人は胸の小さい人に比べて苦労することが多い。
 だからこそ、学校で巨乳の女の子達が集まって「巨乳クラブ」を作ったのである。そして、今回「乳の日」と称して、胸が大きい人や巨乳好きの人のためにイベントを開催して、親睦を深めることになった。
「それじゃ――今度の『乳の日』に絶対に遊びに来てね」
 巨乳クラブの部員である彼女はそう言って胸を揺らしながら去って行った。


「乳の日ということで、イベントを企画して参加してほしい」
 斡旋所のつるぺた女性職員はぶっきらぼうに口を開けて説明を始めた。
 とある女子校の「巨乳クラブ」が主催する「乳の日」と称するイベントを一緒に企画して盛り上げてほしいという依頼である。巨乳好きや巨乳の人のために、親睦会を開いて楽しんでもらったり悩み相談をしたりする機会を作ろうとしていた。
 だが、肝心のメンバーが足りない。巨乳ということで偏見を持たれてしまうから、なかなかメンバー集めに苦労していた。それに巨乳の人がその学校に少ないということもある。このままではせっかく準備を始めている会場も無駄になる。
「しかし、問題はそれだけではないわ。巨乳に妬みをもつ、何人かの貧乳の女の子達が会場の準備やメンバー集めを妨害してくるらしい。彼女らは「貧乳クラブ」を結成して、同日開催で隣の会場で「巨乳反対デモ」を行うらしいわ。貴方達は、何とかして「貧乳クラブ」に負けないようにイベントを盛り上げてきてほしい」


リプレイ本文


「駄目ね――もう間に合わない、開会までもう少しなのに」
 豊満なバストを誇る高貴な乳伯爵位を持つ巨乳クラブ部長が嘆いた。
すでに乳の日の当日になってしまったが、肝心の人数が不足していた。
このままではイベントを開催できない。
 すでに会場の準備は整っていた。巨乳が見られるということで大勢の主に大きなお兄さん達が駆け付けてきていて盛大に賑わっている。
 だが、肝心の人がいない――
「部長! 貧乳クラブの奴らがもうすぐデモを行うようです。我々も早く」
 クラブ内の巨乳男爵位をもつ幹部が会場脇の着替え室&対策本部室に慌てて入ってきた。敵対する勢力の貧乳クラブは数だけを頼りに勢力を増しているようだ。
 流石貧乳王国である日本――貧乳はやはり数が多くて集めやすい。
『巨乳クラブへ告ぐ――無条件降伏を呑まなければ、貴様らの未来はない』
 遠くからスピーカで巨乳クラブの降参を呼び掛けるアナウンスが流れてきた。早く退散しないとこのまま会場に流れ込んでぶち壊すと脅してくる。
「もはやこれまでか――」
 部長が悔しさに拳をテーブルに叩きつけたその時だった。
「あの、応援の皆さまが駆け付けてきて」
「なんですって?」
 部長は慌ててテントを飛び出した。そこで信じられない光景を目にした。
「おーっほっほっほ♪
わたくし達が、大きな胸も小さな胸も、見事栄えさせてさしあげてよ!」
 ステージの向こう側からスピーカの音が割れんばかりの笑い声が聞こえてきた。
 その瞬間、ステージの横から出てきたのは桜井・L・瑞穂(ja0027)だった。大きなド派手なクジャクのような羽を広げたブラジルサンバ衣装を着ている。
「わたくし達に相応しい舞台にしませんとね!
貧乳だから心が狭い。貴女達は、そう思われても宜しいのですかしら?」
 胸元が大きく開いて爆発したように二つの巨大なスイカがぶるんぶるん震えていた。ステージの向こうにいる敵に向かって爆乳を揺らしながら挑発する。
「乳の日なんて、ボクらのためにあるみたいなイベントだよねぇ♪」
 周りを見回しながら唇に指を当てて舐めるのはアムル・アムリタ・アールマティ(jb2503)。瑞穂とは反対側のステージから現れて観客の前に立つ。
 彼女の胸はすでにはじけ飛んでしまっていた。
 ブラウスのボタンが意味をなしていない。
 収まりきらずに大きな乳が飛び出してしまっている。
 アムルは上目づかいに観客を見渡すと――その場でブラウスを脱ぎ捨てて、マイクロビキニ姿に変身した。フリルが付いていて動くたびに双瓜がたぷんたぷんと揺れる。
「えへへぇ、みんなもっと見て楽しんでねぇ♪」
 バックダンサーの巨乳クラブの部員を巻きこんで汗と肉体の競演を見せつける。
「あれを見て下さい――部長」
 男爵位の幹部が叫んでステージの反対方向を指さした。
 そこに立っていのはボンテージ姿の月乃宮 恋音(jb1221)。
 網タイツにガータベルト、そして顔を覆い隠さんばかりにふくれあがった巨大な二つのバスケットボール。艶めかしい表情で仁王立ちしてステージの前に反り立つ。
 目映い白い光のスポットライトを浴びながら自信ありげに歩いてくる。
 中央のセンターポジションに立つと腰に手を当てて辺りを見回した。
「信じられない――あれが、伝説の乳神」
 まるでUFOから降りたった火星人を目撃したように部長が呟いた。
 信じられなかった。人類の奇跡――いや、有史以来のスペクタクル。
 噂に聞いたことがあった。この世の何処かに「乳の神」が存在していると。
 彼女は常識を遥かに凌駕していた。
 後ろから付き添うように飛び跳ねながら現れたのは――チチガデカスギル満月 美華(jb6831)。金髪美女の艶めかしい爆乳娘の登場に会場はさらにヒートアップする。
 ぼよよよよよん〜ぼよよよんと飛び跳ねながらそのスーパーダイナマイト爆乳スペシャルを揺らしまくって踊っている。もはや彼女の顔は乳に隠れて見えない。
「激しくいくわよ〜」
 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
 観客の男たちが咆哮した。
 乳の日に――「乳の神」が降臨したのだから会場は興奮に包まれる。



「なんだあいつは! あんなのありか! 絶対に偽物に決まってる。
早く乱入して奴らをステージから引きずりおろせ」
 すでに殺気を漲らせた貧乳クラブのデモ隊が次々に声を荒げた。
 会場の雰囲気がすでに巨乳クラブの方へと流れていた。
 恋音たちの登場で一気に勝敗の行方が大きく変わって形勢が逆転しようとしていたのである。
「ふん、いくらデカくてもこっちには数がいるのよ。
よし、西の部隊と北の部隊と東の部隊を一気に集めて総攻撃をしかけるよ」
 部長は奥の手を使おうとトランシーバーで仲間を呼び掛けようとした。不測の事態に備えて大勢の大部隊を各場所に予め配置しておいたのである。
 最後の手段にととっておくつもりだったが、今はなりふりかまっていられなかった。部長は近くにいるぺったん娘に命令してトランシーバーをもってこさせる。
 そして激しい口調で出撃命令を下した。
 だが、まったく応答がでない。何度呼び掛けても出てこない。
「無駄だ、奴らは今頃日時を間違えて家でぐっすり眠っているぜ」
「なによ? ――ってあんたは誰?」
 不敵な笑みを浮かべて帽子を取ったのはラファル A ユーティライネン(jb4620)。
 貧乳クラブに予め潜入していた秘密スパイだった。油断していた部長は歯ぎしりした。絶望的なまでにぺったん娘にかえって疑いを持たなかったのが敗因だった。
「まさか――スパイだったなんて、私としたことが」
「各部隊には集合時刻を全て偽って伝えたから今日はこれないと思うぜ、部長さん。さてどうする? 降参するなら話を聞いてやるよ」
「馬鹿が――こうなったらここにいる部隊だけでやってやる!」
 ラファルの忠告も聞かずに部長は残った数人の部隊で会場へと突入した。血相を変えながらバンザイ攻撃で敵の本陣に突っ込んで行く。
「やれやれ、どうなってもしらないぜ」
 ラフアァルが見送ったその先には何故か巨大なリングが設置されていた。
 会場の入り口で待ち構えていたのは黒神 未来(jb9907)である。ステージ上の彼女らに比べて小さかったが――紛れもなくDカップの巨乳ボディ。
 世間一般では羨ましがられる――とくにリアルな大きさだけに、貧乳クラブからの嫉妬心は凄まじいものがあった。
「そんなことゴチャゴチャ言わんとどっちが強いか決めたらええねん!」
 未来はリングコスチュームに着替えていた。てっとり早く――これで決めようというように指を鳴らして貧乳クラブを挑発する。
 貧乳クラブの部長も一瞬躊躇したが、相手は一人なので挑発に乗ることにした。
 数なら絶対に負けない。
 奴がどれだけ強いかわからないが絶対に最後はへばるだろう。
 そうなったら最後に皆でよってたかって積年の恨みをこの手で晴らしてくれる!
 貧乳クラブの面々は次々にリングに昇って未来に襲いかかった。
 飛び込んできた貧乳の女の子に手加減なしのバックドロップを炸裂させる。続いてリングを利用して跳びあがると上からドロップキックをかまして次々にノックアウトさせた。
 未来に敵う敵は皆無に等しかった。
 貧乳クラブのメンツはこうして壊滅状態に陥ったのである。



 貧乳クラブが乱入してもステージの上はさらに興奮が高まって行った。
「瑞穂ちゃんったらそんなやらしぃ水着着てぇ〜。好きなんだから、もぉ♪」
 アムルは瑞穂の元へ行って一緒に体を揺らしまくる。お互いに見せつけ合うように体を揺らしながらアップテンポの音楽に乗ってヒートアップしていった。
「うふふ。アムルったら、またそんな水着を。派手ですわね♪」
 一緒に手を繋ぎながらまるで迫るように腰を揺らす。
 クジャクの羽を大きく揺らしながらまるでアムルを覆い被さるように近づいていく。揺れるスイカボディの競演に見ている観客達が次々に歓声を上げ始めた。
「ほら、御覧なさいな。皆、貴女達に見惚れてますわ。さぁ、もっと、こうですわ♪」
 瑞穂とアムルが激しい絡みを見せた後で、恋音は負けじと局の合間に――衣装をチェンジして今度はバニーガールの姿で登場する。
 ニンジンを持ちながら観客に向かってこれでもかと振りまくる。
 長いウサミミに網タイツの足がとてもよく似合っている。後ろを振り向くと、これまた凄いお尻が見えて――観客の何人かが卒倒して泡を吹いた。
 揺れ動くふるふるとした乳に釘づけにされた観客も卒倒者が出始める。
 まるで視ていると振り子のように見えた。
 催眠術に掛けられたように乳に魅せられてしまったのである。
 そうとうも知らずに恋音はチャイナドレスやピタTシャツなど、胸とスタイルを強調する衣装を次々に着用して観客を虜にした。
 入信者――ないし乳信者が大量に出る始末である。事態を収拾するために一度、ステージから降りて介抱に向かう。その場で見ていた巨乳の女の子達が撃退士達に「巨乳で悩んでいるです……実は肩がこって痛くって」と悩みを打ち明けてきた。
「……そうですか……肩こりが……でしたらきちんとした下着をつけたら……大丈夫ですよ……」
 恋音が巨乳の女の子の悩みを聞いて相談に乗る。次々に恋音達の周りに巨乳の女の子たちが現れて即席のお悩み相談会が開かれた。
 義姉の美華も忙しそうにする妹の恋音が心配で手分けしてサポートする。女の子たちの悩みを一緒に聞いてあげながら二人で相談して問題を解決したりした。
 傍で見ていた貧乳の子たちが妬ましそうにみていた。自分たちには関係ないと遠巻きに見ていて巨乳の人達と一発触発を起そうしている。
 慌てて間に入ってきたのはぺったん娘の秘密スパイのラファルである。巨乳を体験できる義乳ギブスと称したものを持ってきて手渡した。
 貧乳たちは巨乳を体験できるとあって次々にそれを取り合う。
 だが、身に付けた貧乳娘たちは一様に苦しんだ。
「なに、これ重すぎる……」
「下が見えない――歩きにくいわ」
「私、やっぱり巨乳はいいわ、いまのぺったんのままで十分よ」
 次々に不平不満を漏らした。
 予想以上に巨乳であることは大変であると知ったのである。
 もうすでに彼女たちは巨乳クラブへの対抗心を捨ててしまっていた。妨害することを忘れてみんな会場を後に去っていく。残ったのはもはや数人の幹部のみ。



「もうこうなったら部長自らバンザイ突撃してやるわ」
 構成員を壊滅させられた貧乳クラブの部長が自らリングに向かって投入した。未来に向かって攻撃しようと突っ込んだがそこには彼女の姿がいない。
 未来は疲れたと言って――ハイタッチして代わりに瑞穂が壇上にあがった。
「えっ……私くしですの……いや、その……」
 突然交代して上げられた瑞穂はもじもじしながら恥ずかしそうにする。
 ステージの上は得意でもリングの上はどう振る舞っていいか分からなかった。だが、そんなことはおかまいしなしに敵の部長がドロップキックをかましてくる。
「きゃああああああああっ!」
 二人はリングの上でもつれあった。
 際どい二人の姿にリングの脇で大歓声が起きる。
 瑞穂は足を大きく広げられて固められようとした。
 あらぬ格好をさせられて火が出そうになった瑞穂恥ずかしいひめいを上げる。なんとか敵の足をとってころばすと、脇にいた恋音にタッチして交代を告げた。ふるふるする困惑した恋音。
 戦いは全く苦手だった。どうやって戦うのかわからない。
 突然リングに挙げられたバニーガールは震えるだけで動かない。
「いい度胸だ、この恨み晴らしてやるわ!」
 チョップをかましてきた敵に思わず目をつぶった。
 絶体絶命のピンチに誰もが唾を呑みこんだその時だった――
 恋音はその莫大な胸を突き出した。
 チョップがその胸の谷間に見事に挟まる。
 そして挟まったまま取れなくなった。
 恋音は――そのまま物凄い勢いで後ろに振り返った。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ」
 部長は手を挟まれたままで体を連れて行かれた。
 そのまま振り向く勢いで場外に弾き飛ばされて地面に激突して気絶した。
「勝者――恋音!」
 未来に手を上げられて乳神は勝ち誇ったように強い視線で辺りを睨みつけた。
 残っていた残党が一人残らず恐れをなして逃げて行った。
 全ての敵を跳ねのけてイベントを大成功させた撃退士達は巨乳クラブの人達から感謝の言葉を受けた。
 ぜひ巨乳クラブに入ってほしい――とアムルの手を握る。だが、アムルは「瑞穂ちゃんの傍からはなれないの〜」と断りを入れた。
「こら、もうアムルったらん、ここでは駄目よ」
 瑞穂とアムルが人目をはばからずにイチャイチャをしはじめたので、これ以上はみてられないと「あとは好きにしろ、先に帰る」とラファルは一人で会場を後にした。
 仕方なく標的を恋音に向かって――部長は申し入れる。
「それでは――ぜひ貴女をわがクラブの終身名誉会長に――乳侯爵の栄誉を授けます」
 戸惑う恋音に巨乳クラブの最高位の証であるメダルを授与する。
「よかったわね、恋音」
「ええ、美華先輩……あ、ありがとう……ごさいます」
 断るのは失礼だと思って丁重に受け取った。
 美華に褒められてなんだか照れくさいながらも恋音は満面の笑みを浮かべた。


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