●人工のジャングルにて
先に派遣された撃退士、雷音寺・閃、および氷川・零子からの増援依頼を受け、問題の熱帯植物園にやって来た八名の撃退士達。
「植物園でウツボカズラ型かぁ……サイズを考えても擬態のつもりとも思えないけれど」
そう言ったのはアニエス・ブランネージュ(
ja8264)。アイスブルーのロングヘアに同じくアイスブルーの瞳。左目には片眼鏡をかけている。
容姿端麗で女性らしい身体つき。一見クールな印象を受けるが、どこかほんわりともしているように思える。
(しかし、なんというかこう、ボクはどうしてこういうのに縁があるんだろう……。服溶かすスライムとか服溶かす蛙とか……)
彼女は随分とアレな依頼に参加してきたようである。
『あんたは装備の力に頼り過ぎだから、魔装を抑えて戦いなさい』
恵夢・S・インファネス(
ja8446)は、悪魔の義姉に騙さ――教えを受けて今回の依頼に参加。申し訳程度の着衣である。
ゆえに彼女の豊満なボディラインは露わ。素晴らしくセクシー。
「なんかたぶん必要になりそうだから」
彼女はバスタオルを人数分用意。といっても参加者の殆どはバスタオルを持参していたが。数があって困る事はないだろう。
「なんか液体まみれにされるらしいじゃん?」
黒のロングヘアに、輝く黄金の瞳の美女、アティーヤ・ミランダ(
ja8923) が言った。
そう、今回の敵――ディアボロはぬるぬるの粘液を持っているらしい。
先発組の閃が命がけ(?)で持ち帰った情報だ。
「あのウツボとか言うの食べられちゃうと肌を溶かすんだってー怖い!!」
などと声を上げたのは黒翼の天使、レイティア(
jb2693)。明るい色の赤毛をお下げにした活発そうな少女。
……情報には一部誤りがあるようである。敵の巨大ウツボカズラの粘液には撃退士にダメージを与える効果があるが、極めて微弱。
魔装を溶かし、撃退士の肌を蝕むほどではない。問題は……粘液の別の効果にある……。
「うつぼかずら? とか、びやく? とか分かんないけど倒せばいいんだよね?」
黒髪ツインテールの少女、鴉女 絢(
jb2708) はかくりと首をかしげた。
彼女は今回レイティアと適当に植物園を探索するつもりだ。
「皆タオルーとか言ってたから一応持ってきたけど……汗ふく用でいいのかな?」
(不謹慎なのは分かっているのに植物園と聞いただけでワクワクが止められませんごめんなさい……)
植物オタクのイザベラ(
jb6573)は内心にて誰にともなく謝罪しつつも、ワクワクを隠し切れずにいた。
ただ、彼女は俗に言う『生娘』。『えくすたしぃ』とは何ぞや? と、未知の領域に踏み込むことに対し、若干怖気づいていた。
「植物型のディアブロってことらしいけど、液体で服が汚れるのはちょっと……」
(できるだけ後ろの方にいようかな……)
銀髪にゴスロリ服の少女、夏野 夢希 (
jb6694) は短剣を見つめながらそのように考えた。
「熱帯植物園なんて始めてきたからな! 楽しそうだぜ!!」
女性陣に混じって一際元気なのは参加者唯一の男性……というか男の子、鵜飼 博(
jb6772)。
どうやら遠足気分のようで、イザベラとは違った意味でワクワクした様子。こちらは隠す気は微塵も無いが。
彼が「はやくしよーぜ!」と急かし、一行はいよいよディアボロが巣食う温室の中へ突入した……。
●VS巨大ウツボカズラ 前半
温室内に入った撃退士達は四手に分かれて行動を開始。
アニエス・夢希・博の三人――。
「夏野君、鵜飼君の二人に同行を誘ってもらったし、一緒にいこうか。この中だとボクが一番年上だし、しっかりしないとね」
と、年長者であるアニエスは先頭を歩く。
(服が汚れるのは嫌だな……。うーん……ここはアニエスさんと鵜飼君に前方に行ってもらって、私は後ろから攻撃しよう)
夢希はそんな風に考えていた。ちゃっかりしている性格のようだ。
博は落ち着きなく動き回り、アニエスに窘められる事も。意外と素直に言う事を聞いていた。
暫くして、情報にあった巨大ウツボカズラが出現。
既にこちらを捕捉しており、触手をうねらせ、狙っている。
「二人は下がって。悲しいけど、慣れてるからね、こういうの……。そういう人間が捕まる方がマシな気がする」
アニエスはどこか諦めたような表情をして、前へ出た。一応武器を構えるが大した抵抗はせず。
あっさりとウツボが伸ばした触手に捕まり、ぱっくんと飲み込まれた。
ウツボ内部。そこは聞いていた通り、ぬるぬるぬとぬとの液体で満たされていた。
「くぅっ……、思考が蕩ける前に、思いっきり身体をつねったりで痛みで抵抗…………無理かなぁ」
液体に浸かっていると、身体が火照ってくる。そして身体の一部……敏感な部分がむずむずしてくる。
「あぁ……はぁ……くふぅ……これはやばいかも……あはぁぁ〜」
アニエスは恍惚の表情を浮かべる。口端からは甘い蜜が垂れていた。
そんな所で。
「仲間をかえせー! コノヤロー!」
博と夢希がウツボへ直接攻撃を加えた。ウツボはアニエスを吐き出す。
「はぁ……はぁ……、ありがと……」
救出されたアニエスだったが息は荒く顔も赤い。様子がおかしい。
博はそんな彼女の額を【氷結晶】で冷やしてみる。
「熱い時は冷やせば良いって、ばっちゃがいってた」
しかし特に意味は無かった。
「ふふ、良い子だね……じゃあ、先生がご褒美に特別授業、しようか」
アニエスが博をぎゅ〜と抱き締めた。大きめの胸に博の顔を埋める。
「何をするやめろォ! ふごふご!」
博はジタバタして抜け出そうと抵抗。でも無駄であった。アニエスは決して離そうとしない。
「どう……かな? 先生のお胸、気持ち良い?」
アニエスは博(の顔)を双丘で挟み、上下運動。粘液により服の上からでも滑りが良くなっている。
「〜っ!?」
博は声にならない声を上げる。
「……」
夢希は二人の様子に呆れつつ、迫る触手を迎撃。だが、彼女は前にばかり気を取られていた。
ゆえに後ろは無防備。後ろから回り込んだ触手に足を掴まれ、
「うわっ!?」
引きずられ、
「わあああ! 助けてよぉ!」
声を上げるも、アニエスは博とお楽しみ中。夢希はウツボに飲み込まれてしまった。
***
恵夢は閃と零子と共に行動し、二人の近くで護衛を行う。
「こういう敵なら覚えはあるからね!」
率先して前へ。ほどなくウツボと遭遇。
恵夢は触手に捕まる前に触手を逆に捕まえてしまえばいける! と接近戦を挑む。
例え飲み込まれても触手も巻き込めばそれを伝って抜け出せる! という考えの元での行動だったが。
内部でも触手に捕えられたままでは身動きが取れなくなるのは明白である。
……そして彼女はやはり触手に捕まり、現在はウツボ内部。
「ぅー、口に入ったかも……すぐに出……ぅんんっ!?」
媚薬効果のある液体を飲んでしまったらしい。
「ま、待……って! ちょっとまってっ!」
触手が彼女のぷりっとしたお尻を撫でたらしい。
「ぃ今は、だめ……!!」
彼女の魅惑的な肉体を触手が這い回っているらしい。
閃と零子が助けようとするが――
「自分で抜く……じゃない、抜け出すからぁっ、だ、だいじょぶ……!」
恵夢は二人の助けを拒んだ。自力での脱出を試みる。
しかし……恵夢はその内に快楽を覚え、それに酔いしれ、段々と快感に身を委ねてしまう――。
***
アティーヤとイザベラのペア――。
「ふたりいれば片方引きずり込まれても助けられるでしょ」
と、二人は一緒に密林を散策。
「でっかい草花とかいっぱいなのかなー。動物園だったら木の間から面白い動物が顔出しそうなもんだけど」
そんな事を言っていたらウツボが出現。
「ちょっとは距離取ったほうがいいかなぁ」
アティーヤは一歩後退するが、
「で……でかい! ウツボカズラでかい! 目の前にしてみると思ったよりでかい!!」
巨大な植物型ディアボロを目の前にしてイザベラは興奮。鼻息を荒くして近づく。
――当然ながら触手に捕まった。
「食べられてる!? 私もしかして食べられてる所ですっ!?」
カッターで抵抗するも、あまり意味をなさず、食べられてしまった。
ウツボ内部。
液体に浸かったイザベラはパニクって【星の輝き】を使用。
だが戦闘経験の浅い彼女ではただ明るく輝くのみ。
ウツボの蓋から漏れ出た光が、何やらパレードでも始まりそうな雰囲気を醸し出した。
とても……シュールです……。と、色々危ない所でアティーヤがウツボをボコり、イザベラを救出。
「うわぁん! 怖かったですぅ! ありがとうございますぅ!」
イザベラが勢い良く縋り付いてきた。アティーヤはイザベラを受け止め、地面にお尻を突く。
「お、おお……?」
(これはイナイ歴=年齢を終わらせるチャンスか? いやいや、ダメじゃん。心の中の天使と悪魔が戦ってるよ)
以下、アティーヤの心の葛藤をお送りします。
悪魔『おいおい、可愛い子に迫られるなんてもうないかもよ?』
天使『とっとと押し倒されて既成事実作っとけよ!!』
「……あれ? 天使のほうが過激じゃん?」
というわけでそのまま押し倒された。イザベラの紅潮したキス顔が迫る――。
***
レイティアと絢のペア――。
(絢ちゃん恋人いるから頑張って守らないと)
「えーと、絢ちゃんのていしゅくは私が守る! ……何か違う?」
「ええと、それはたぶん貞操の事じゃないかな……」
小首を傾げるレイティアと赤面する絢。
しばし歩くと、ウツボと出くわした。
「近づくと危なそうかな?」
レイティアは【漆黒の翼】を羽ばたかせ飛翔。突撃銃で射撃。
「なんとなくだけど近づかなければ大丈夫な気がするの!」
絢も銃撃を行う。だがアウルの銃弾は無数の触手に阻まれ、本体には届かない。
遠距離からの銃撃は効き難いと判断した絢は、魔具をレガースに切り替えて近接戦を挑む。
先程の「近付かなければ〜」という言葉は既に頭から消えていた。
……当然ながら絢は触手に捕まってしまう。
「きゃあああ!?」
「絢ちゃん!?」
絢の危機に、レイティアは刀に持ち替え降下、ウツボへ近接攻撃。絢を捕えている触手は切断したものの、
「あれ!?」
今度はレイティアの方が捕まった。
「いやぁー!? 食べられる食べられるー!?」
抵抗するも無駄。ぱっくんと飲み込まれる。
ウツボ内部。ぬるぬるの液体に浸かったレイティアは身を震わせていた。
彼女は身体の奥底から湧き上がる快感に戸惑いを隠せない。
何せ、そういった事に関しては知識も経験も無かったのだ。
次第に動悸が激しくなる。身じろく度に敏感になった胸の先端が服に擦れてびくんびくんと背を反らせる。
そんな所で。絢がレイティアを助けるべく、ウツボへ蹴りを見舞った。
「レイティアちゃんに何してるのよー! ばかー!」
……救出されたレイティアは絢にしがみ付き、必死に身の火照りを落ち着かせようとする。が――
「絢ちゃん……! 私の身体……何か変……!」
一度味わった快感を抑え付ける事は出来なかった。
「レイティアちゃん……!?」
押し倒された絢は少し抵抗する素振りを見せるが、すぐに大人しくなった。
ぬちゃぬちゃと粘液の擦れる音が響く……。
●VS巨大ウツボカズラ 後半
「はぁぁん! ふぁぁん! 誰かぁ……誰かぁ……!」
夢希はウツボ内部に囚われ粘液に浸かっていた。
快楽に思考は蕩けて、掠れた声で助けを呼ぶのみ……。
すると――
「ひゃあん!?」
なんと、ウツボ内部からも細長い触手が多数伸び、夢希の身体を弄り回した。
あまりの快楽に夢希の視界に星が飛ぶ。
そんな所で。ウツボの蓋が空き、アニエスと博が飛び込んできた。……否、飲み込まれた。
どうやら助けようとしてこの有り様らしい。
「くそ、出せよ!」
博は脱出を試みるが不可能。
暫く粘液に浸かっていると……段々ぬるぬるが気持ちよくなってきた。
じっとしていられない性格の彼は暴れ出す。
なんだか分からないけれど、超気持ち良い。彼の年齢ではそんなものだ。
「すっげー! なんだこれ! おもしれー!」
「暴れちゃダメ。先生とさっきの続きをしましょ」
博はアニエスにまた捕まってぎゅ〜された。
***
自力で脱出すると言ったものの、恵夢は中々出て来ない。
危険と判断した閃と零子はウツボを攻撃し、恵夢を救出。
全身ぬるぬるぬとぬとのまま倒れ、ぴくぴくしている恵夢……。
「ちょっと、大丈夫?」
閃が手を差し伸べると――既に媚薬がかなり回っていた恵夢は目を光らせ、彼女に襲いかかった。
「きゃあ! どこ触ってるのよ! って中に手を入れちゃダメ! 脱がすな! こらぁ!」
「ずるいですわ! 閃お姉さまはわたくしのものです!」
零子も混じって何だか大変な事に。
***
一方こちら。イザベラはやっと正気を取り戻し、戦闘を再開したものの、今度はアティーヤが飲み込まれた。
「うわぁーん! アティーヤさんを返してくださぁーい!」
イザベラは半べそをかきながら、アウルを纏った拳で必死にウツボを殴る。
だがウツボにはあまり効果が無く、またイザベラも一緒に捕まってしまう。
またウツボ内部。……アティーヤは既に媚薬効果にやられていた。
「んふふ〜、いい匂いじゃん? あたしを助けに来たってことはアレでしょ〜、あたしとイイ事しに来たんでしょ〜?」
アティーヤとイザベラはぬるぬるの粘液の中で身体を絡ませ合う。
***
レイティアが正気に戻り、絢はウツボへの攻撃を再開したが、一瞬の隙を突かれて捕まり、飲み込まれてしまう。
「えっ……! ちょっと何このぬるぬるー! 気持ち悪いー!」
粘液の中でじたばた暴れる彼女。
「あ……れ? 気分が、何か変……」
他の者と同じ様に段々と息が荒くなり顔も赤く……なった所でレイティアに救出された。
が、例によって絢も媚薬が効いており、レイティアに抱き付いてむちゅ〜と口付け。押し倒す。
●ウツボ退治完了……?
撃退士達は粘液の魔力に打ち勝ち、なんとか温室に潜むウツボを駆逐した。
「て、手強い、敵だった、ねぇ……」
恵夢は震える声で言いながら、何かを隠す様にキャットスーツをきつく着込む。
アティーヤはあちゃ〜といった感じに頭を押さえる。
(なんかまたあたしの婚期が遠ざかった気が……)
絢は……顔を真っ赤にしている。
(女の子とのちゅうは大丈夫かな……)
恋人にどう話したものかと思考がぐるぐる。
「そういえばアニエスさん達は? 見当たりませんけど」
「さあ。言われてみれば姿がないね。どうしたのかな」
イザベラが言い、レイティアが顎に手を当てる。
***
アニエス、夢希、博は――最後に残ったウツボの中だった。
「うふふ〜放課後の特別授業〜」
「せ、先生〜もうらめれすぅ」
「ひぁぁぁ〜触手いやぁぁぁ」
三人が発見・救出されたのは日が暮れてからだったそうな。