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マスター:ユウガタノクマ
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2014/02/05


みんなの思い出



オープニング



「えー、君達には九州のスキー場に行ってもらう」
 教室に集まった面々に斡旋所の巌のような表情の職員は言い放つ。
 “スキー場”という言葉に教室は色めき立った。スキーと言えばウインタースポーツの代表格だ。
 中にはそれ目的でここに来ているものもいるのだろう。
 しかし職員は「だが!」と厳しめに言い放つ。
「目的はゲレンデに現れたサーバントの殲滅だ。遊びに行くわけじゃないぞー」
 教室の雰囲気は一転してブルーなものとなった。
「まあ、そうしょげることもない。敵はサーバントが8体。姿は……」
 職員はチョークで黒板になにやら絵を描き始めた。その絵はやけにファンシーで乙女チックである。
 出来上がったのは、
「こんな形状をしているらしい」
 いわゆる「雪ウサギ」であった。赤い目がくりくり、としてとても可愛らしい。
 口元には「うさー」なんて吹き出しまである。ウサギはそんな風に鳴かない。
「大きさとしては約30cm程度。特徴としては耳にあたる部分が葉っぱのようなものでできていて……」
 彼は鼻歌を歌いながら次々と雪ウサギを描き続けた。この男、実はこういう絵を描くのが好きなのかもしれない。
「それぞれ緑色のタイプ、赤色のタイプ、黄色のタイプの3種類がある。違いは手渡した資料に乗っているから確認してくれ」
 言って職員は振り向いた。その表情は実に壮観で、実に男らしい。
 しかし、黒板に描かれた可愛い雪ウサギの絵が、非常にミスマッチであった。
「スキーシーズンという真っ只中なのにゲレンデでサーバントが現れた。これはかなり厄介な事案と言える」
 職員は語る。
「サーバントが居座ったせいで一般客はスキーを楽しむことはできない。
ああいう所は、自治体全体がスキー場によって経済が成り立っていたりするからな。旅館や土産物屋、商店街……。
スキー場がしばらく使えないというだけでも、彼らにとっては大打撃だ。
依頼主はスキー場のオーナーだが、実際は多くの人々がこの依頼の解決を望んでいると思っていいだろう。心して掛かってくれ」
 そして、と彼は言葉を続けた。
「実はここ最近の寒波で、向こうは連日吹雪に見舞われているらしい。戦闘中に吹雪く恐れは充分にある。
雪の寒さは撃退士でも辛い。防寒対策は忘れずにちゃんとやっておいてくれ。以上だ……さて」
 そう言った後、職員は不意に後ろを向いた。そこには先ほど描いた雪ウサギの絵が。
「もう少し、描き足りない部分があるんだ。俺はしばらくうさちゃんを描いてるから、帰りたい者は帰っていいぞー」
 呆れて苦笑いを浮かべる生徒達を尻目に、職員は鼻歌を鳴らして黒板に絵を描き続けるのであった。


リプレイ本文

 山々が白く輝いている。雪に覆われた大地に撃退士達は舞い降りた。
「雪だ、白だ、ひゃっほー!!」
 卯左見 栢(jb2408)は両手に抱えた雪を喜びと共に放りあげた。
「スキーなー……、したことないな」
 制服の重ね着でもこもこと膨らんだ様子の何 静花(jb4794)。彼女は雪山を眺めつつ、実ははしゃぐ栢を見守っていた。
「雪ウサギ……うさぎ、みみ」
 飛び跳ねるたびに揺れる栢の横髪。それはウサギの耳のようで。
 ――すごく、掴んでみたいです。
「……通信機の様子でも確認しておくか」
 逸る気持ちを抑え、彼女は制服に仕込んだトランシーバーのスイッチを入れた。
 事前に学園に対して光信機の使用を申請していた静花。だが冬山とはいえここは一般のスキー場、しかもゲレンデのコース内である。
 代替の通信手段は他にもある。申請は却下された。
「スキー場に来るのは久しぶりだなー」
 スキーウェアに身を包み、橘 優希(jb0497)は体をほぐす。流れるような黒髪を帽子で覆い、ボードを担いだ姿からはどう見ても滑りにきたスキー客としか思えない。
 だが、決して遊びに来たわけではない。スキー場に現れたサーバントを倒しにきたのだ。
 敵はゲレンデの中腹で戯れるように飛び跳ねている。
 草を模した耳。つぶらで、赤くくりくりとした瞳。雪ウサギの群れである。
 実に可愛らしい。
「うさー」
 そんな雪ウサギのサーバントに視線を向けUnknown(jb7615)が呟いた。
 スキーウェア一式に身を包み、スノーボードを小脇に抱え防寒対策はばっちりである。
「兔美味しい冬の山。雪うさぎ大福、さぞ美味いであろう」
 食い気もばっちりである。サーバントは食べられないのでそこは我慢だ。
「氷タイプは炎タイプに弱いって聞いた事あるけど火無かったわ」
 残念。
 と、雪の斜面を登り1台のスノーモービルが姿を現す。操縦しているのはゼロ=シュバイツァー(jb7501)。
「おーい、これ借りてきたで。山登りの足に使うてくれとさ」
 彼らの傍に止める。同時に後部座席に座る「あるもの」に一同の目は釘付けとなった。
 猫がいた。体長2m近くにも及ぶ、大きな虎猫である。
「ハッハッハ!敵がウサギならこちらは猫よ!」
 猫の口元の部分から虎綱・ガーフィールド(ja3547)が顔を出した。
「ね、猫!?」
 猫が特別好きなエルレーン・バルハザード(ja0889)が即座に虎猫(綱)に反応する。
 が、自制。たとえ大きな猫さんがいても、今は雪うさぎを倒すのが先決である。
 スノーモービルの上でがっつぽーずを決めている虎綱を尻目に彼女は山の中腹を眺めた。
「う……うさぎちゃんはかぁいいけどっ」
 コートの下から武器を勢いよく取り出す。戦意は充分。
「悪い天魔は、ころすころすころすッ!」
 ここに来る前とは別人のような様子で彼女はゲレンデを駆け抜けた。
「みんなに言っておくことがある」
 戦場へ向かう直前、ルーカス・クラネルト(jb6689)は一同に向けて声を掛けた。
「先ほどオーナーから連絡があった。どうやら吹雪が来るらしい」
 その言葉に全員の表情が引き締まる。それは時間が経てば経つほど彼らにとって不利であるということ。
「時間を掛けすぎるとマズイ。俺はこれから索敵に向かうが、みんな充分に気を付けてくれ」
 そう言って彼はゲレンデを山スキーの要領で登って行った。
「偵察に出れるのは俺一人、奮起せねばな」


 ゲレンデの中腹についた一同。そして栢は真っ先に敵へ近づいて行った。
「雪うさぎちゃん〜アタシよほぉらアタシよアタシっ♪」
 自慢の横髪をぴこぴこ、と動かして仲間アピール。しかし雪ウサギ達の反応は薄い。
 ――あれ仲間?違くね、人間だし?あっちいこうぜー。
 そんな会話が聞こえてきそうな雰囲気である。
 栢、がっくし。
「ですよね〜」
 でもめげない。立ち上がる。栢、強い子。
「おまたせ!気が済んだからやっちゃっていーよ」
「まかされたぁ!」
「心得たで御座る!」
 大仰な声でエルレーンと虎綱は前に出る。そしてニンジャヒーローで雪ウサギ達の注目を集めた。
「このっ!ぷりてぃーかわいいえるれーんちゃんがあいてだあっ、こいっ!」
「さあウサギ共!この虎猫が相手になるで御座るよ!(ドヤァ」
 ゲレンデのど真ん中で見栄を切る2人。風にエルレーンのコートがはためき、虎綱(猫)のマフラーが翻る。
 それに気づいた雪ウサギ達。赤色と緑色の耳をした個体が彼ら目掛けて滑り降りてきた。
 同時に黄ウサギは戦闘態勢を取る。魔力で作った雪玉を浮かせ、発射。
 雪の散弾が襲い掛かる。
 虎綱とエルレーンは雪玉を躱しながら斜面を滑り降りた。
 追う雪ウサギの群れ。そして、それらと並行する形で先行していたルーカスは滑走する。
 彼のゴーグルに一片の雪。見上げると、灰色の空からしんしんと雪が降り始めていた。
「……降ってきたか」
 銀世界に新たな雪。それは雪ウサギにとって身を隠す蓑であり、彼らの視界を遮る邪魔者となる。
 実際、並走する雪ウサギ達の姿がすでに見え辛くなってきている。
 ルーカスは索敵でウサギ達を見失うことはないが、他の者達はどうであろう。
「雪ウサギを連れてきたで御座るよ!」
「よし」
 虎綱の言葉に後方で待機していた静花は阻霊符を展開。同時にカラーボールを袋から取り出した。
 雪で薄暗くなっているとはいえゲレンデの光量は充分にある。点けてもらった照明のおかげだ。
 今なら雪ウサギを捕捉するのは難しくない。静花の放ったボールが緑耳の雪ウサギに当たる。特殊塗料が雪ウサギに付着した。
 エルレーンも振り向き様にカラーボールを取り出す。
「三個ほどいるかな(´・ω・)?」
 ひょいひょい、と取り出しては次々と雪ウサギ達に投げつける。白い雪ウサギ達が色鮮やかに染まっていった。
「これはわかりやすい!一気にぷちぷち、いっくよー!」
 栢を中心として無数の影の刃が形成される。そして一斉に雪ウサギ達へと襲い掛かった。
 轟音と共に雪煙が舞う。
「ぷちぷちぷちっ♪」
 まとめてぷちられるウサギ達に栢のテンションはさらにアップ。
 だが、まだ雪ウサギ達は倒れない。緑色の耳を持った雪ウサギは戦列を組んで襲い掛かった。
「意外としぶといんだな」
 闘争心を引き出した静花。体当たりしてきた緑耳の雪ウサギにグリースを引っ掛ける。
 雪ウサギは雪の切片を撒き散らしながら滑り落ちていった。
「やだ可愛い、一匹持って帰って溶かしたい……」
 Unknowuも同様にワイヤーを突っ込んできた雪ウサギに巻きつける。
「中からジャムが出るという事はないのか、残念なのだ……ん?」
 その時、猛烈な勢いで滑り落ちてくる一体の雪ウサギが目に入った。
 赤い耳をした雪ウサギ。体当たりの勢いもすさまじい。
「ちょろちょろと小賢しい、一思いに喰ってやろうか!」
 大きく口を開け、威嚇するようにUnknownはワイヤーを伸ばす。だが、赤い雪ウサギはひるまない。
 そのまま強烈な勢いをつけ、ダイブ!
「ごばぁ!」
 Unknownの仕掛けたワイヤーを潜り抜け、彼の腹に強烈な一撃を加えていった。
「おいおい大丈夫か?」
 そんな彼にゼロが近づく。すれ違いざまに赤い雪ウサギをデビルブリンガーでスライス。
 防御能力の低い雪ウサギは一発で粉々になった。
「CR差があるんやから無茶したらあかんで?互いに一発が致命傷や」
「ぐおぉぉ……」
 びたんびたん。しばし蹲って腹を抑えるあたり相当痛かったらしい。
「アンノはしばらく後方に下がっとき」
「ぬぅ、仕方ない……ところで貴様は前にでないのか?」
「俺か?」
 あまり雪ウサギと交戦しようとしないゼロ。だが何もしていないわけではない。
 戦闘開始から縮地、闘気解放と自身の能力を高めていたのだ。
 そして今、
「俺はこれからや」
 闇の翼を広げ、彼は空を低空を滑るように飛翔していった。その背に、肩に雪が降り積もろうとしている。
 ――雪は強くなっていた。



「時間が掛かりすぎているな……」
 ルーカスは遠くに見える、黄色い耳の雪ウサギにマーキングしながら空を見上げた。
 雪に加え風まで強くなってきている。
 ――じきに吹雪が来る。
 マーキングを施しておけば、少なくとも敵を見失うことはない。だが1体1体にマーキングを施すとどうしても時間がかかる。
 しかも仲間達はスキルで自身の能力を高めることに時間を使っていた。どうしても動きに遅れが生じてしまう。
 吹雪はもう目の前まで迫っているのだ。急がなくては。
「確かその辺に居たはずじゃ」
「わかったよ!」
 虎綱の指示に合わせ優樹のグランオールが光る。
 だが、それよりも赤耳の雪ウサギが動く方が早い。攻撃を潜り抜けて注目している虎綱に体当たりを繰り出す。
 そのまま雪ウサギは勢いをつけUターン。そして雪に紛れて姿を消した。
「ウサギ……可愛いんだけどなぁ……」
 優樹の声が虚しく響く。目の前で激しく雪煙をあげ突進してくる様は猛獣のようなものである。
 再び体当たり。その隙を狙って優樹は繰り出す。当たらない。
 時と共に強まる雪はウサギ達に味方していた。
「確かに早い、しかもこの雪ではどうしても後手になりがちで御座るな。だが……」
 虎綱は雪の上を走る。それは赤い雪ウサギと並走できるスピード。
「我らに及ぶほどでも無し!」
 十字手裏剣を投げる。雪に身を隠していた雪ウサギが姿を見せた。
「今だ!」
 同時に優樹は剣を振るう。赤い雪ウサギの体を付き刺し、ようやくとどめを刺す。
「さあっ!ここからだよ!」
 エルレーンがその言葉と共にコートを脱ぎ捨てた。その下は白い服。雪の保護色である。
「……くしゅん!」
 だが、その代償は予想以上。彼女の防寒具はコートとブーツ、そして靴下の二重履きのみ。コートを脱いだら防寒具はないも同然である。
 強い雪風が彼女の体温を奪う。
「さ、さむい……でも!」
 震える体に活(ボーイズラブ愛)を入れ、彼女は今雪ウサギ達に立ち向かうのだ。
「とんでけ!私のかぁいい┌(┌ ^o^)┐ちゃんたちーッ!」
 無数の┌(┌ ^o^)┐が緑耳の雪ウサギ達に襲い掛かる。
 寒さで普段の威力がでないものの、纏めて倒すには充分。激しく雪が飛び散り緑耳のウサギ達を葬り去った。
 その時、複数の雪玉が飛んでくる。よく見れば、黄色い耳をした雪ウサギ達が攻撃してきていた。
「とおくから撃ってくるなあ!うさちゃんたちがこっち来いっ、なのっ!」
 だが長い攻撃射程を持った黄ウサギ達は近寄ってこない。半ば長距離砲台のようにエルレーンへ雪玉を飛ばしていた。
「そおれっ┌(┌ ^o^)ノ□」
 畳替しで雪玉を防御。そして黄ウサギへ近づこうとするが、
「あれ、うさぎちゃんどこいったあ、なのっ!?」
 雪に紛れて黄ウサギ達は姿を消していた。姿が見えないまま一方的に攻撃を受けるエルレーン。
『エルレーン、1時の方向約20m前方に黄色のウサギがいる』
 その時、服に仕込んだトランシーバーからルーカスの声がした。
『雪ウサギのマーキングが済んだ。俺が指示を出す、みんなはそれに従ってくれ』
「りょーかい、なのっ!」
 彼女は駆けだした。
 すでに吹雪となった雪が邪魔をするが、装備したナイトビジョンとルーカスの指示が道を示してくれる。
『ゼロ、そのまま直進だ』
「あいよ!」
 雪玉が正面から飛来。
「甘いで?この距離は射程範囲や!」
 低空を飛行しつつ敵の攻撃を躱すゼロ。ルーカスの指示に従い彼は黄ウサギに接近。
 そしてデビルブリンガーを一閃。黄色の雪ウサギは真っ二つに割れた。
「はっは!纏めて潰せばうぉっ!?」
 だが、攻撃の隙を突いて別の雪ウサギが彼に雪玉を当てる。しかしそれも束の間、ルーカスによる遠距離射撃に貫かれた。
「とどめ、萌えはせいぎぃぃ!!」
 最後の雪ウサギも強烈な萌を高ぶらせたエルレーンの一撃に打ち砕かれる。
 ようやく戦いが終わった。



「これでも喰らうがよい!」
「残念やったな!予想通りや!」
 Unknownとゼロが雪玉を投げ合う。雪合戦である。
 普段であれば微笑ましい光景だが、そうも言ってはいられない。

 ――びゅおぉぉ……

 天候は吹雪。もちろん雪遊びをするには最悪の天気である。
 もちろんUnknownもゼロも戦闘でダメージを負っている。危なっかしいことこのうえなかった。
「2人とも本当に怪我人なのかなぁ?」
 栢はかまくらに押し込められた状態で呟いた。
 Unknownが作ったかまくらに入った瞬間、栢は頭だけ出されて雪ウサギ状態にされたのである。
 周囲には同じく雪ウサギが並んでいる。ちなみにこれらすべて彼の力作。
 Unknown大はしゃぎで作った。かなり出血もしたが。
「ジャイアントホモォ」
 そんな栢の前に静花が立つ。そして栢のウサミミもとい横髪を弄んだ。
「目立て(棒読み」
「うええええ、え、なん……ちょっ……!??」
「ジャイアント、ホモォ」
「やーめーてー!」
 もう完全に遊び道具である。
「ホモォ┌(┌ ^o^)┐!?」
 エルレーンが目聡く反応した。ルーカスがそんな彼女を抑えつける。
「怪我してるんだから大人しくしてろ」
 しょんぼり。
「うう、それにしても……」
 優樹はぶるぶる、と体を震わせた。すでに数mも先が見えないほど吹雪いている。防寒対策にカイロを装備しているのの、それでも寒いと思えるほどであった。
「寒いっ……早く温まりたいっ」
「こんなこともあろうかと!」
 虎綱(猫)は着ぐるみのなかから数冊の本を取り出した。それは観光ガイドブック。
 スキー場近くの温泉街など情報がたくさん載った優れものである。
「折角なので温泉にでも寄って行かんかね。こんなこともあろうかと調べてあったので御座るよ
「わー、それはいいね!」
 帰りにでも温泉に寄っていこうと思っていた優樹である。食いつきが良い。
「お、温泉行くんか?」
 ゼロがそんな2人の会話に気付く。
「天気もあれやからそろそろ引き上げよか〜」
 そう言って彼はスノーモービルのエンジンを掛けた。
「ひゃっほー♪」
 それに先駆けて優樹はスノーボードで山を降る。用意していただけあって行動が素早い。
「久しぶりに滑ったなぁ……うん、やっぱり楽しいっ♪」
 めざせ温泉街。
「あ、ちょ、ちょーー!」
 雪ウサギ状態で置いてかれそうになる栢。こんな吹雪で置いてかれたら死ぬ。マジで死ぬ。
 彼女は慌てて声を張り上げた。
「こ、これ!あたし動けないんだけど!?」
「……まぁ死にゃせんだろうしの。後で発掘しに行くか」
「後じゃなくて今助けて!」
「あー……」
 雪ウサギにした張本人のUnknownが栢に気付く。
 どうやらちょっと忘れてたようだ。そしてしばし考えたふりをする。
「大丈夫」
 そして笑顔でサムズアップ。
「我輩迎えに行くから大丈夫カヤ強いコ、我輩知ってる」
「なんでやぁぁぁぁー!!!」
 栢の声が、平和となった山々に木霊しましたとさ。

 ※このあとちゃんと助けられました。


依頼結果