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マスター:タカシ
シナリオ形態:ショート
難易度:難しい
形態:
参加人数:10人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2013/01/20


みんなの思い出



オープニング

 山形県――。
 北日本最大の天使支配地域がある場所である。その大きさは半径40キロにも及ぶ。
 天使の女は支配地域から飛び立った。目標は人間界。彼女が目的とするのはただ一つ、感情の吸収による力の強化である。
「ふふ……感情を得るのも久しぶりね……あの充足感……いつ味わってもたまらない。天使に生まれて良かった……ふふ……」
 天使はビルの間を飛び交いながら、地上の都市に向かって降下していく。
 ビルから天使を目撃した人々がすぐさま久遠ヶ原学園に通報していた。
 ――ばさばさっ、と、天使は道路の真ん中に降り立った。自動車が突っ込んで来るが透過する。
「さあみんな……感情を抜きとられるお食事タイムよ。もう、逃げられないんだから」
 天使は言って、ゲートを展開した。瞬く間に光り輝く白い結界が大地から上空へ広がっていく。
 感情の吸収はすぐに始まる。
「ああ……」
 天使はうっとりしたような声を出した。じわじわと、感情がしみ込んで来る。そして、みなぎって来る力、ほとばしる熱いエネルギーが彼女を満たしていく。
「凄い……やっぱり……これはたまらないわね。力が……溢れだす――!」
 天使は手に入れた力で「奇跡」を呼び起こし、四体のグロテスクな人型サーバントを生み出した。光の中から生まれたサーバントたちは、獣のような顔を持っていて、白い鎧を着ていたり白いローブを身につけたりしていた。そして翼を生やしていた。
 フシュウウウウウウウウ……。サーバントは吐息して、主に頭を垂れた。
「良いかいお前たち。私は他にやることがあるからここにはいられない。私の代わりにゲートを守るのよ。もし撃退士の邪魔が入ったら、殺すのよ」
「ウゴオオオオオオ……!」
 四体のサーバントは、飛翔した。
 天使はそれを見届けると、満足げに飛び去った。まだ、この子たちが倒されるはずが無い――。

 久遠ヶ原学園依頼斡旋所――。
 オペレーターの咲森光(jz0159)は、PCの前にいて天使が作り出した結界のライブ映像を見ていた。今、中の様子を偵察部隊として向かった八人の撃退士たちが捜索していた。結界の中は電波が届かないので彼らが戻って来るのを待つしかない。
 待つこと小一時間、偵察部隊が結界から戻って来た。
「こ……こちら偵察部隊! が、学園どうぞ!」
「こちら学園です。大丈夫ですか?」
 光の問いに、彼らは答えた。
「な……中にいるのは……四体のサーバントだ……! う、ぐは……!」
 ごぼっと、血を吹き出す音が聞こえる。光はすぐさまヘリを要請して彼らの回収を撃退庁に要請した。
「みんなしっかり。何があったの」
「とんでもなく強いサーバントだ……! 四体の連携は凄まじく脅威だ……! 物理、魔法のバランスがとれていて……全く歯が立たなかった……くっ」
「いわゆる、勇者と戦士と魔法使いと僧侶だ。しかも飛べる」
「通報されていた天使はいないの?」
「多分いないんじゃないか……? 全く影も見えなかった。俺たちは……ゲート近くまで接近出来たが……天使はいなかったし……いずれにしてもそこまでしか行けなかった……」
 光はそれからサーバントの情報を聞き出すと、撃退士たちにヘリが迎えに行くことを伝えた。
「回収地点は南へ三百メートルの公道よ。誘導するから移動して」
 光は偵察部隊の誘導を終えてヘリの回収を見届けると、依頼書の作成に取り掛かった。
 出来上がった依頼書を掲示板に張り出す。
 集まって来た学生たちが「おい……」「これ……」と顔を見合わせる。
 その中に藤谷 観月(jz0161)もいた。藤谷は依頼を確認すると光のもとへ向かった。
「藤谷さん――行ってくれるの?」
「強敵が相手でも……行くしかないと思います……死んでも退けないと……ゲートの中のみんなが死んでしまう……」
「そう……でも、みんな死ぬつもりは無いみたいよ?」
 光の言葉に、藤谷は振り返った。そこには、依頼を受けに来たあなた達がいた。


リプレイ本文

「正規の訓練を受けてる最中ではありますが、学生では所詮烏合の衆。チームワークという都合の良い言い訳は使えないですね」
 言ったのは悪魔のN(jb2986)。
「ま、天魔から見れば良くて幼稚園の軍隊ですね。ルシフェルもメタトロンも、学園生など一顧だにしないでしょう。確かに、一部ヴァニタスや使徒を撃破したようですが、並行世界に展開する天界魔界の軍勢幾百億から見れば、人間の世界など吹けば飛ぶような存在。まあ要するに、天界魔界相手に本気で勝てるとは思わないことですね」
 良く喋る悪魔である。
「ですから、戦力の差は歴然、ヘタに意見を擦りあわせるよりは個人プレーの結果の連携、のほうが動きやすいでしょう?」
 パン! と風船ガムが破裂した。くちゃくちゃとガムを噛んでいるのは影野 恭弥(ja0018)である。
「あーめんどくせーなー。今回も仕事終わって早く眠りたいよ」
 ぷうううう……パン! とまたガムを膨らませる。
「今回は強敵エネミー戦勃発なのだ! さーって……ボクの命一つで、どこまで守れるか……試してみるのだ!」
 フラッペ・ブルーハワイ(ja0022)も明るい口調だが、命を掛けている。
「このサーバント、RPG宜しくパーティーバトル……ゲームだとでも言うつもりかしら。……舐めた真似をするわ。プレイ料金は命で払わせてやるわ」
 冷やかに言ったのは卜部 紫亞(ja0256)。
「ああ……藤谷殿、封砲を活性化させておいてもらえるかな。情報にあった魔術師のシールド対策でね」
 神凪 宗(ja0435)が言うと、藤谷は「分かったの……」と頷く。
「よろしく頼むよ」
「はい……先輩……」
「呵呵、サーバントが、走狗如きがこの身を屠れるかねえ?」
 鷺谷 明(ja0776)はどこか楽しそうだった。なぜか笑っている。どうやら最近怪物じみた享楽者、戦闘狂になりつつあるともっぱらの噂である。
「あっちが勇者パーティなら我らは魔王軍かねえ?」
「ほんとだ! 相手は勇者なら私達は魔王ね。フフフ、なら魔王らしく解体してあげないとね! ん〜、お姫様も解体したいんだけど留守なのかな?」
 雨野 挫斬(ja0919)は言って、「ウフフフ……」とゾクゾクわくわく。
「ウフフフ……解体解体……解体し放題だよ……」
 ああ……と情欲に似た解体衝動がこみ上げて来る。それからくるっと表情を変えて、ブルーハワイに光信機を渡しておく。
「はい。何かあったら連絡してね。それと無理しないでね!」
「おおう。ありがとう。サギリ!」
「ほんとに、何か勇者が敵って聞くと魔王側についた気分だな」
 天使の紫音・C・三途川(jb2606)は言ってうなった。
「と言っても、敵は強力、ちょっとばかし笑えそうにないな……」
 三途川は肩をすくめた。
「俺は護りは任せろ、ディバイン程じゃなくても多少は壁になるだろ」
「……期待してる三途川、さて、今回もやるか。魔王軍も悪くないけどね」
 アスハ・ロットハール(ja8432)はそれから藤谷の頭を優しく叩いて、肩の力を抜かせる。
「フジタニ、今回も、頼りにさせてもらう、ぞ?」
 ぽむ、と頭を叩かれて、藤谷は首をすくめた。
「はい……アスハ先輩……」
「河豚蛙の次は勇者御一行か……また面倒そうな相手だな」
 咲村 氷雅(jb0731)は言って、藤谷に声を掛ける。
「藤谷、こんな時に何だが、修学旅行は気を付けろよ?」
「はい……?」
「いや……お前、誰にでもついて行きそうだから、迷子になるんじゃないぞ」
「……大丈夫です咲村先輩。迷子になったら警察に案内してもらいますから……」
「そうか……間違っても悪魔にさらわれたりするなよ」
「サキムラ、上級生だからってあんまりフジタニを怖がらせるなよ」
 アスハが言うと、咲村は肩をすくめた。
「ま、場所によってはあり得るからな」
 ぷううううう……パン! とまた風船ガムが破裂した。
「ところで、そろそろゲートの方へ向かいつつあるわけだけど、敵さんが近いんじゃないかな……」
 影野は言って、銀色に輝く天使の結界を見上げた。
 尤もすでに撃退士たちは戦闘隊形を取っていた。いつサーバントが出現してもおかしくは無かった。
「このまま無事に済むとは思えないのだ」
 フラッペが言うと、紫亞は、
「どうやらそのようね。来たわよ」
 と上空を見つめる――。

 ビルの合間から飛行している四体のサーバントが姿を見せる。
「ググググ……ガアアアアアアアア!」
 サーバントは撃退士たちをすぐさま敵と認識したようである。加速してくる。
「それじゃあおっぱじめるか」
 影野はするすると散開して、アサルトライフルを僧侶サーバントの翼を狙って撃ち込む。煌焔眼を使用――アウルを両目に集中、動体視力が飛躍的に向上。攻撃精度と回避精度が高まり、眼が金色に発光、左目からはまるで炎のような金色のオーラが放出される。覚醒「禁忌ノ闇」――内に秘めし闇を開放する禁忌の技。影野の体が漆黒に染まり、弾丸は黒き炎を纏う。長時間使用すると内なる狂気に精神が蝕まれる為禁忌とされた技。影野の髪、魔具、魔装が黒く染まる。
 ――ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! と僧侶サーバントの翼が引き裂かれる。サーバントは墜落して地面に着陸。
「行くぞ――」
 神凪は壁走りで付近のビルを登りながら、十字手裏剣をサーバント手段に投擲、雷遁・雷死蹴を放つ。
 ――バリバリバリバリ! と雷撃がサーバントの群れを射抜く。
「魔王軍の勢いそのままに、雷帝霊符――」
 鷺谷は雷帝霊符に念を込める。直線移動する雷の刃が勇者サーバントを貫く。
「あはは、勇者たち! 魔王軍の行進だよ!」
 雨野はオートマチックP37で勇者サーバントを撃ち貫いた。バン! バン! バン! と銃撃が炸裂し、血飛沫が舞う。
「こちらはまずは魔法使いから行かせてもらう。行くぞアスハ――消えろ魔術師!」
 咲村は《魔剣豪雨》を叩き込んだ。魔術師サーバントの頭上に青い光を帯びた無数の刀剣が出現、無数の刀剣が光を掻き消す雨の如く降り注ぎ、範囲内を無差別に攻撃する。刀剣は空気に溶け込むように消えていく。
 魔法使いサーバントは叩き落とされた。
 そこへ藤谷が封砲を撃ち込み、アスハが側面から突進。
「貫く……!」
 撃ち込む魔断幻槍――展開させた魔法陣にアウルの一撃を通過させることで、『物理的に』貫くことに特化した螺旋状の槍へ再錬成し射出。サーバントへ零距離で叩き込み、アウルを纏った腕と魔具自体を魔法陣に通過させ、槍に一時的に錬成し、撃ち込んだ。
 ――ドゴオオオオオオ! と槍がサーバントのシールドを貫く。
「さて、まずは勇者――滅びの一撃となれ、L’Eclair noir――」
 紫亞はフェアリーテイルに手をかざし、ラ・エクレール・ノワールを勇者サーバントの剣を持っている腕を狙って放つ。黒い稲妻が人差し指に集中、煌き、光線状になった無数の電撃が勇者サーバントの腕を貫く。その色は紫亞の内面を表すかのように漆黒――。
 勇者サーバントは電撃を受け止めたが、激しく腕を焼き尽くされる。
「では参りましょうか。失敗しても命を失うだけですがね」
 Nは戦士サーバントを狙った。
「さてさて……そのタフさ、見せて下さいよ」
 スクロールを開いて攻撃――。直線移動する光の玉が発射、戦士サーバントを貫通する。
「みんな! ボクたちから離れるのだ!」
 ブルーハワイは言いつつ、スナイパーライフルでサーバントを銃撃する。ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! と弾丸が勇者サーバントを貫く。
「ゲートまでは近いのだ……」
 ブルーハワイは戦場を見渡す。
 サーバントたちは次々に舞い降りて来る。
 僧侶サーバントが手をかざすと、白い光がサーバントたちを包み込む。
 ――オオオオオオオ! 咆哮したサーバントたちが反撃に出る。勇者サーバント、戦士サーバントが凄絶な衝撃波と光の波動を連射し、魔法使いサーバントが白い閃光を解き放つ。
 ――イイイイイイン……ズキュウウウウウウウン! バオオオオオオオオ! と、撃退士たちは遠近構わず吹き飛ばされた。
 続いて、僧侶サーバントが呪文を詠唱すると、勇者サーバント、戦士サーバント、魔法使いサーバントらが白い魔法陣に包まれる。
「続いて来るぞ」
 神凪は仲間たちに呼び掛けた。
 サーバントたちは白い閃光の向こうから、爆発的な衝撃波と光輪波動、魔弾砲を叩き込んで来る。
 ――イイイイイイイン……ドドドドドオオオオオオオオ……! ズキュウウウウウウウン――! キイイイイイイイインンンンンアアアアア――!
 閃光が撃退士たちを飲み込む。サーバントたちはざらついた笑声を上げた。撃退士を倒した、と確信しているかのようであった。
 だが――。
「――!?」
 光の前に立ちはだかっていたのは、盾を構えた三途川だった。
「例えどんなにお前等が強くても、仲間は護りきってみせる! 惑い驚き地に堕ちろ!」
 ぶすぶすぶす……と、三途川の魔装から焼け焦げた跡の煙が上がる。
「むう――」
 ヘラルドリースクトゥムを取りだす。
 そして、晴れた光を突き破って、まずは神凪が加速してくる。
「それが限界かサーバント。空蝉は切れたが――」
 エネルギーブレードを握りしめると、魔法使いサーバントの側面から切り掛かった。――ザッシュウウウウウウウ! と、逆袈裟にサーバントの肉体を切り裂く。
「こっちはこれからだ。ただ今作戦勃発中だ」
 影野はサーバントが狼狽するところで、覚醒「禁忌ノ闇」でアサルトライフルAL54を連射。勇者サーバント、戦士サーバントの翼を狙撃する。ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! と翼を撃ち抜く。スライドを引くたびに空薬莢が次々と転がる。
「私の空蝉を全て使い切るとはねえ」
 鷺谷は加速して、勇者サーバントに突撃した。「万力」でサーバントに腕を叩き込む。超強力アイアンクローだ。肉体改造によって得た異常筋力は鉄塊をも容易く握り潰す剛力。腕が獣のそれへと変貌。勇者サーバントの肉体を剛腕が掴みこみ、ぐわっしゃっ! と握り潰した。血飛沫が破裂する。
 雨野は崩れる勇者サーバントに突進――。闘気解放で漆黒の大鎌を薙ぎ払いで撃ち込む。
「ふふ、本気出すよ!」
 凄絶な一撃が、ザン! と勇者サーバントの首を刎ね飛ばす。鮮血がひらひらと舞う。勇者サーバントは、がくんと膝を突き、倒れ伏した。
「おぉ! 勇者よ! 死んでしまうとはなさけない。なんてね! アハハ!」
「サキムラ、フジタニ、合わせるぞ」
 アスハは魔術師サーバントの側面から加速する。バンカーを構えて、低い姿勢で駆け抜ける。
「アスハ先輩……」
 藤谷は封砲で援護射撃。
「アスハ……生きて帰ってくるか。そのシールド、貫かせてもらう!」
 咲村は魔剣黒竜を叩き込んだ。黒い剣を作り、黒剣を振る事で黒い波動を生み出す。波動は竜の形となり直線上に存在するもの全てを喰らい破壊する。――ギシャアアアアアア! と黒竜が咆哮して魔術師を飲み込む。バクリ! と食らいつき、炸裂する。黒剣は波動を生み出した後、ガラスのように砕け空気に溶け込み消える。
 魔術師サーバントは、ずたずたに引き裂かれた。全身から血を噴き出して、ぐらりと揺れる。
「行くぞ……! 貫く……!」
 アスハのバンカーが咆哮する。ドゴオオオオオオオオ! と、バンカーがサーバントの胴体を貫通した。魔術師サーバントは、ごふっと血を吐き出して崩れ落ちた。
「個人プレーの結果……ですか……尤も、サーバント相手に全力では、学園生の未来も明るくは無いですね」
 Nは言って、スクロールを持ち上げた。残る戦士サーバントに光の玉をぶつける。光の玉は高速で飛びだし、戦士サーバントを貫通した。
「これが天使なら、今頃本気を出した相手に殺されている。学園生は恐ろしさを知らないですねえ」
 Nは笑っていた。だが、目は笑っていなかった。
「あら、もう半分になってしまったわね。少し動きが遅すぎたかしら。クライマックスには出遅れたかしらね。……いえ、みんな早いわね。さて、でもまだ僧侶がいるのよね……お前は、滅ぼす」
 フェアリーテイルに手をかざすと、紫亞はL’Eclair noirを連射した。ビシビシイイイイイ! バリバリバリイイイイイ! と、僧侶サーバントの頭部を黒い稲妻で撃ち貫く。
「お前にはこれ以上何もさせないわ」
 そこで、ブルーハワイが仲間たちに声を掛ける。
「それじゃあ、ボクはゲートの破壊に向かうのだ! みんな宜しくなのだー!」
 Stride『BlueHawaii』を解き放つ。蒼い風がブルーハワイの脚に纏わりスノーボードの形状を形成する。ブルーハワイはアウルを爆発させながら滑る様に加速。蒼い光が尾を引く。
 シュウウウウウウウウウ――! と、蒼い風のスノーボードに乗り、ブルーハワイはゲートへ向かって加速する。
「見えた! なのだー!」
 ブルーハワイは、魔法陣の姿をしたゲートに、そのまま飛び込んだ。
 中は人口の通路が伸びていた。幾何的な文字が描かれた廊下を、ブルーハワイは加速すると、すぐに最奥に辿りついた。
 白い四角錐浮かんでいる。
「コア……なのだ……!」
 ブルーハワイはライフルを構えると、至近距離から連続攻撃を加えて、コアを破壊した。
 ――パリイイイイイイン! とコアが砕け散ると、ゲートが収縮していく。ブルーハワイは加速して脱出した。
「あと二人なってしまったな」
 神凪はズバアアアア! と僧侶サーバントの腕を切り飛ばした。
「そろそろ天軍も終わりだな」
 頭上からアズラエルアクスで三途川が撃ち掛かる。
「一気に攻め立てるか――」
 影野は煌焔眼でアシッドショットを戦士サーバントに撃ち込んでおく。戦士の防具が腐敗していく。
 鷺谷は万力で僧侶サーバントの肉体を引き裂き、雨野が続いて残る腕も切り飛ばす。
 ――ギガアアアアア! サーバントは咆哮する。
 Nがさらにスクロールで僧侶を撃ち貫き、加速した咲村のヴァッサーシュヴェルト、アスハのバンカーが僧侶サーバントを穿ち貫く。
 ……アアアアア……。と、僧侶サーバントが流血とともに崩れる。
「これで……終わりよ」
 紫亞が異界の呼び手を戦士サーバントに撃ち込むと、無数の腕が敵を束縛する。
 最後のサーバントは咆哮した。憎悪の雄たけび。
 容赦ない撃退士たちの集中攻撃。
 影野の妖刀「紅血」、紫亞とNの魔術、神凪の斬撃、鷺谷の炎息が包み込み、雨野、咲村、三途川が切り裂き、止めにアスハの切り札が炸裂。戦士サーバントは粉々に吹き飛んだ。
 ブルーハワイが戻った時には、戦いは終わっていた。
「キャハハ! 残念! あなたの冒険はここで終わってしまった!」
 雨野は笑っていた。
「あ? 結界が晴れて行くね。終わったんだ」
「ふぅっ……こんな緊張するRunは久しぶりだったのだ……」
 天界の「勇者」強兵を退けた撃退士たち「魔王軍」は、後を公的機関に引き継いで、帰還の途に着くのだった。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:3人

God of Snipe・
影野 恭弥(ja0018)

卒業 男 インフィルトレイター
蒼き疾風の銃士・
フラッペ・ブルーハワイ(ja0022)

大学部4年37組 女 阿修羅
原罪の魔女・
卜部 紫亞(ja0256)

卒業 女 ダアト
凍気を砕きし嚮後の先駆者・
神凪 宗(ja0435)

大学部8年49組 男 鬼道忍軍
紫水晶に魅入り魅入られし・
鷺谷 明(ja0776)

大学部5年116組 男 鬼道忍軍
高松紘輝の監視者(終身)・
雨野 挫斬(ja0919)

卒業 女 阿修羅
蒼を継ぐ魔術師・
アスハ・A・R(ja8432)

卒業 男 ダアト
新たなるエリュシオンへ・
咲村 氷雅(jb0731)

卒業 男 ナイトウォーカー
撃退士・
紫音・C・三途川(jb2606)

大学部5年264組 男 アストラルヴァンガード
撃退士・
N(jb2986)

大学部3年321組 男 ダアト