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マスター:スタジオI
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:6人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2014/11/21


みんなの思い出



オープニング


「番組第一回目の今日は、インド料理専門店・カレークックさんを紹介しちゃうにょろ!」
 髪の毛がヘビさんで出来ている、はぐれ天魔幼女・ニョロ子はカメラの前で元気よく叫んだ。
 ここは久遠ヶ原フードパーク。
 最近、島に出来た五十以上の飲食店を要する巨大フードセンターである。
 ニョロ子は“久遠ヶ原美食レポート”という島内放送局番組のお子様レポーターを任された。
 今日は、その第一回収録日。
 ニョロ子は、普通のグルメレポ番組だと思い込んでいる。
 自分のブログや、ネット番組なんかでグルメレポはやってきたので、そうそう緊張はしていなかった。
 食べて、店を褒めればいいだけ。
 簡単なお仕事だと思っていたのである。
 この番組に隠された悪辣さを知らされるまでは――。
 
 カレークックに入店する。
「いらっしゃい」
 頭にカレーライスのオプジェを乗せたインド人ぽい親父が出迎えてくれる。
 本当にインド人かどうかは、不明だ。
「カレーを頼むにょろ」
「ハイナ!」
 やがて親父が、カレーを持ってきた。
 なぜか、二皿。
「あれ? 一皿しか注文していないニョロよ?」
 ニョロ子が怪訝な顔をしていると、カメラマンを兼ねたディレクター・天田が口を開いた。
「これが当番組のコンセプトです、ニョロ子ちゃん」
「ニョロ?」
 首を傾げるニョロ子。
「一皿はこの店のカレー、もう一皿はスーパーで八十八円のレトルトカレーです――両方食べて、それぞれレポートして下さい」
「にょ!?」
「どちらが美味しいかも判断して、はっきり発言して下さい。 レトルトの方を美味しいと言っても僕は怒りません、僕はね」
 ちらりと、視線を送る天田。
 その先には、緊張で顔を引きつらせたインド人ぽい店主がいる。
 まだ開店したばかり。
 競争の激しいこのフードパーク、しかも島内放送局とはいえTV番組。
 ニョロ子のレポート次第で、この店の興亡は少なからず左右される。
 インド人も、必死である。
「ワタシノ故郷デハ、味ノワカラナイ子、舌ニ穴ヲアケラレマス」
 アイスピックでザクザク氷を砕いている店主。
 間違えたら、ニョロ子の舌がこうなると言っているようだ。
「な、なんてタチの悪い番組にょろ」
 目を白目だけの“恐ろしい子ッ“にするニョロ子。
 間違えた場合に被弾するのは、店ばかりではない。
 “グルメ幼女”として、ちょっといい気になり始めているニョロ子の鼻っ柱もはへし折られる。
「まさか間違えないよねえ、専門店の味と、レトルトだもんねぇ」
 この天田という男、タチの悪い番組ばかり作っているディレクターだ。
 ニョロ子がレトルトカレーの方を褒め、この店とニョロ子両方が赤っ恥を掻く事で笑いを取る事が目的なのである。
 もう目の前ではカレーが湯気をたてている。
 逃げる事は出来ない。
 ニョロ子は緊張しながら、右の皿のカレーをスプーンに乗せ、口に運んだ。
(か、辛いにょろ)
 それが第一の感想だった。
 大抵の子供は辛いものが苦手である。
 ニョロ子は、多少舌が肥えているつもりではあるが、舌が幼く、繊細なだけにこの辛さは味の判断の妨げになる。
 続いて左の皿――これも辛い。
 普段は、美味しいものを食べると頭のヘビさんが、~>゜)〜〜〜にょろーと動いて反応してくれるのだが、プレッシャーからか、その機能も動かなかった。
「――右はレトルトではない気がするにょろ、ヨーグルトの風味が辛さを引き立てているにょろ。 香ばしさを増すため隠し味にナッツも入っているにょろ。 低価格帯のレトルトには、このタイプはなかったはずにょろ」
 直観を封じらたら、知識と理性で勝負!
 これが、グルメ幼女だ! といったコメントをするニョロ子。
「左の皿は、辛い割に食べやすいにょろ――誰にでも好まれる味にしているにょろ。 踏み込んだ時の深みよりも、踏みこんだ時の安心感を重視した作り――両方美味しいけど、右はプロの手作り、左は大手メーカーのレトルトらしい味にょろ!」
 言い切り、ドヤ顔をするニョロ子。
 天田はにっこりと笑い。
 そして――。
「不正解」
「にょろ〜!?」
 バカなと思い、店主の顔を見る。
 アイスピックを持って、こちらへ迫ってきている。
「ワタシ、日本人向けノ味作ロウ思イ頑張リマシタ――苦労シテ出来タノ、レトルト味ダッタノネ」
「ごめんなさい、ごめんなさいニョロー!」
 泣きながら店から飛び出すニョロ子。
 その背中をカメラで追い、ほくそ笑む天田。
 CMに入ると、ADが囁く。
「天田さん、さすがに第一回で子供に出したのが、超上級者向きの問題なのは、酷かったんじゃ……」
 実は今使ったレトルトカレーはADがヨーグルトやナッツを加えるなどして、風味を変えていたのだ。
 普段のニョロ子ならわかったのかもしれないが、激辛+超プレッシャー+小細工で舌を狂わされてしまったのである。
「いいんだよ、ウケれば」
「むしろ、お茶の間ドン引きだった気が」
 ADに言われ、眉を潜める。
「わかったよ、来週からは少し簡単目の問題にしてやるよ」
「またニョロ子ちゃんに、やらせるんですか?」
「これ以上、蛇っ娘イジメするのもあれだ。 今度は島の学生どもにやらせよう。 とりあえず、飯食って面白いリアクションが出来る奴なら誰でも構わないんだからな」
 というわけで、美食レポーターの学生公募が始まった。
 性悪グルメレポート番組が、キミの登場を待っている。


リプレイ本文


「“久遠ヶ原美食レポート”第二回目は、おでん屋 旗坊さんからスタートです!」
 久遠ヶ原フードパークの一角で、咲魔 聡一(jb9491)がTVカメラに向かって、にこやかに宣言した。
「スタートじゃ!」
 “のじゃロリ”ことイオ(jb2517)も、隣りで拳を突き上げる。
 全く持って、清く正しい食レポ番組に見える
「早速お邪魔して……おお、良い匂いがしますよ!」
 暖簾をくぐりながらもレポートを欠かさない咲魔。
 どこで覚えたのか知らないが、プロ的食レポである。
「いらっしゃい!」
 威勢よく出迎えてくれる店の大将。
 カウンター席に座わりながら咲魔とイオは大将さんに話しかけた。
「大将、この店の特徴はなんじゃ?」
「さあ、私は先代の味と教えを守っているだけだからねえ、特徴って言われてもよくわかんないよ」
 苦笑いする大将。
「むう、職人肌のようじゃのう」
「僕も質問よろしいでしょうか?」
「なんでしょ?」
 TV取材が嬉しいのか、上機嫌な大将。
 咲魔は眼鏡の位置を直しながら、知的な笑みで尋ねた。
「おでんというのは、何なのでしょうか?」
「はい?」
「北欧神話の主神に由来する料理なのは、その名から確実と察しております。 なので、北欧風の店構えを想像していたのですが、純和風の店構えですよね? 北欧料理をあえて和風の店で食べさせるのというが、ご主人の拘りなのでしょうか?」
 知的なのだが、知らない事は全く知らないタイプの咲魔。
 大将も呆然とする。
「……食えばわかるよ」
「串おでんを二本頼むぞ」
 イオが、注文をしてくれた。
 だが、大将が二人に配膳したのは四本のおでん。 
 首を傾げる二人に、カメラマン兼任ディレクター天田が番組趣旨を説明した。
「なに? どちらか片方だけがこの店のおでんじゃと!?」
「そんな、当てろって言われても、おでんが何なのかも知りませんよ!?」
 大将は、目を血走らせてこちらを見ている
 偽物の方が美味いなどとレポートしてしまった日には、何をされるのかわかったものではない。

 崖っぷちな食レポが始まった。
 まずAの串からはんぺんを口に運び、慎重に味わう。
「うむ。 ツユが中まで染みていて美味しいのじゃ、おでんの練り物は素材の良し悪しがダイレクトに味に出るからの」
 無難にコメントするイオ。
「……むう」
 対しておでんを知らない咲魔には、コメントのしようがない。
 続いて、Bの串のはんぺん。
 それを口にしたとたん、イオの口から幾重もの光条が放たれた。
「うーまーいーぞー!!」
 店内を宇宙的エフェクトが包む。
「このチョコレート! 口に入れてふわっと解ける! 疑うべくもない! Bがこの店のおでんじゃ!」
 咲魔が、思わずツッコミを入れる。
「今、チョコレートって言いませんでした?」
「それが老舗伝統の味なのじゃ! わざTVで放送しようというほどのものじゃぞ? 当たり前なおでんを出すはずがなかろう! この味なら毎日来ても構わんぞよ!」
 おでん汁に着けたエアインホワイトチョコを、貪り喰うイオ。
 実はイオ、無自覚なチョコレート原理主義者なのだ。
 そこに大将が肩を怒らせ、近づいてくる。
 怒りで顔に血管が浮き出し、なんだかもう、メロンの化物みたいになっている。
「出ていけー!」

 店から閉めだされた。
「おかわりを! おかわりをくれー!」
 閉ざされた玄関をガンガン叩くイオ。
「本物はこっち、Aです!」 
 一方、咲魔はカカオ中毒な相方を放置し、レポータースマイルを作っている。
「まずこのはんぺん、想像してみてください。 舌に乗せた途端震える柔らかさ。噛み締めるとほんのりと甘さを伴って喉の奥へ落ちていくお出汁の旨味! この蒟蒻もほら、こんなにプルプルして、見るだけで柔らかいのがお分かりになりますか! なりますよね!? さらにこの卵! 歯切れの良い白身と濃厚な黄身に染み込んだ醤油、かなり良いものを使ってる感じがします! 初めて食べるのがこんな良いおでんだなんて贅沢ですね!」
 どこかで、食レポ資格でも取っていそうな見事な表現力!
 だが、イオはカカオに脳をやられており、納得しない。
「Bじゃー! 蒟蒻だってBの方が口裏の粘膜にくっついて官能的だったでないか!」
「んなわけないがや! 素朴な甘さともっちり食感が自慢の名古屋名物ういろうを、乱暴に串でブッ刺したもんが正解な訳ねーがや!」
 変貌する咲魔。
 愛知県に行った事がないくせに、愛知県中毒者なのだ。
「卵だって、Bの方が甘くて冷たくて美味い!」
「あれは、玉子型のアイスがや!」
 言い争うチョコ狂と、愛知狂。
 いつまでも終わりそうにないので、カメラは次の現場に向かった。


 続いて、ラーメン屋。夢想の前。
「今日は美味しい物……食べれるって聞いいたので、来ました。 楽しみ」
「グルメで知られたうちをグルメ番組に呼ぶとはええ考えしてるやん!」
 ダウナー繊細系少女、セレス・ダリエ(ja0189)と、血気盛んな大阪っ娘、黒神 未来(jb9907)。
 こちらも好対照なコンビである。
「おっちゃん、ラーメン二人前な!」
 そして、四つ出てくるラーメン。
 怪訝な顔をするレポーター。
 説明する天田。
 この辺りはもう、お約束の流れである。
 
 Aの丼を手に取り、スープを二口飲んで味を確認するセレス。
「ふむ。美味しいです。 出汁の味が効いてる」 
 続いて麺。
「麺は細麺寄り、かな……好きな味……ですが……具材は‥まあ、食べてみないと、ですね」
 最後に具材。
「ガッカリするほどのしんなり感のメンマ……メンマ? そして苦すぎるネギ……ネギ? 
 私、メンマ好きなのに……味覚が変わったのかな……取り合えず、お替り」
 まだBの丼も残っているのにお替りするセレス。
 食が太そうには見えないのだが、大丈夫なのだろうか?

 対して未来は、Bの丼から手に取った。
「むむっ、う〜ん……これは美味しいな、確かにようできたラーメンや……インスタントやけど」
 いきなり、核心を突いてしまう未来。
 そこで本物と間違ってこその番組なのに。
 大阪人にあるまじき、ボケ殺しである。
「メンマとネギは別に用意したものに入れ替えたんとちゃう? しょうもない小細工やで
でもうちにはわかるで、舌の先に感じるわずかなピリピリした感覚、これがインスタントの証拠や!」
 具の入れ替えまで暴露してしまう。
 まだ尺が半分残っているのに、どうオチに持っていくつもりなのか?

 一方、セレスはAの丼二杯目をあっさり平らげると、躊躇もせずにBの丼に移った。
「こ、これは、美味しいです。 Aの丼の非じゃない、具材の美味しさ。 あ、メンマ追加で――ただ、出汁の味はAには負けてる気がしますね……麺のコシが違う……かな……あ、取り合えず、お替り下さい」
 四杯目のラーメンを注文するセレス。
 繊細な見た目を裏切るガッツリ系女子。
「本物は……悩みますね……麺、出汁はA。 具材はと出汁の相性……と言うか、美味しさは、B」
 カウンターの中で、店主が顔を引きつらせたが、気にせず断言してしまうセレス。
「……私は……Bが正解かと、メンマが美味しかったから。 以上」

 一方、未来は、
「ちゅーわけで安心してAの丼食べるで」
 この時点では、Aが本物と確信していた。
 Aを一通り食べると、どっかの新聞記者の親父が如く、怒鳴る。
「誰やこのラーメン作ったん、責任者を呼べー!」
 天田ディレクターが、カメラを構えたままニヤニヤしながら出てくる。
「何やねんこのラーメン! このスープはさすがによく出来てるで、ベースは鶏ガラ、そこに野菜の旨みも出てるね。 麺も今のトレンドとはちゃうけど、昔ながらの安心して食べられる麺や!」
 ここまでは褒めている未来、だが。
「問題はこの具や! ネギの代わりのこれ、何かはわからんけど、苦味があるこの野菜はまあまだええ メンマがフライドポテトになってるやないか!」
 タンポポの茎は、許容する未来。
 器はでかい。
「うちは小細工としてフライドポテトを入れたことに怒ってるんとちゃうんやで! 店の人が一生懸命作ってくれたラーメンに、小細工としてフライドポテトを入れることで油が溶け出してスープの本来の美味しさが誤魔化されてるやないか! 店の人に失礼やと思わへんか?」
 血気盛んな未来。
「これが食べ物を冒涜する人間への天罰や!」
 天田を逆さまに持ち上げ、跳躍し、脳天をテーブルに打ち付ける!
 炸裂! 脳天杭打ち! パイルドライバー!
 KOされる天田ディレクター!
 これが体育会系大阪っ娘ならでは、オチの付け方だ!
「え? Aが正解……そうですか……残念なメンマが正解……」
 落胆しているセレス。
 だが、すぐに気を取り直す。
「でも、私にとってはメンマが一番。 メンマ最高。 メンマ勝ちです。 ええ」
 結局、メンマ以外、全スルーのセレス。
 昔ながらの味を守り通している店主の脳に、パイルドライバー並の衝撃を加えた。


 アリス セカンドカラー(jc0210)と藍那湊(jc0170)は、フードパーク内で立ち話しつつ、天田を待っていた。
「アリスはねぇ、ゲテモノグルメブログやってるのよ、それでこの番組に声かけられたの」
「そうなんですかぁ、僕は”愛救えアイドル”なので呼ばれたんですよ。 甘くて冷たいものは大好きだから楽しみです〜」
「あら、アイドルなの? そういえば可愛い僕っ娘ね……ぐ・ふ・ふ☆」
「男なんですけどね……」
「あ、来たわ!」
 天田が、何故か首にギプス巻いてやってきた。
 彼に連れられ、アイスクリームパーラ・レジーナに入る。
「いらっしゃいませ〜」
 美少女店員たちが出迎えてくれる。
「うわ〜、制服可愛いですね〜」
 頬を赤らめる藍那。
「ふむ、顔も胸も高レベル揃いね、いいセンスしてるわ☆」
 この店では、フルーツパフェがちゃんと一人に一つずつ出てくる。
 背の高いグラスに満たされた真っ白な生クリーム、大きくカットされたフルーツと、高貴さすら漂わすアイスクリームが見た目にも食欲を誘う。
「これ美味しいですねえ! アイスを口に入れるとミルクの香りが広がって!」
「フルーツも、定番の苺、メロン、オレンジなんかの他に、金柑やプルーンなんかの変り種が入っているのね、飽きがこないわ☆」
 まだ番組コンセプトを知らされていないので、ちゃんと食レポする二人。
 パフェを食べ終えた頃、仕掛けが発動した。
「きゃ!」
 別客のパフェを運んでいた店員が、二人のそばで転んでしまったのだ。
 アリスと藍那はパフェまみれになる。
「すみません、お客様、すぐにお拭きします!」
 近くにいた別の店員も駆けつけた。
「私もお手伝いいたします!」
 ハンカチを取り出し、拭き拭きしてくれる美少女店員たち。
「そんなに汚れていないから大丈夫ですよ〜」
 ウェイトレスにかかったクリームを、自分のハンカチでそっと拭い、アイドルスマイルする藍那。
 紳士的男の娘である。
「な……なん……だと!? どじっこふきふきサービス付!? かの名著“サブカルチャーから見た萌の定理とその経済効果についての考察”をここの店主は熟読してるというの! きょぬーでウェイトレスというだけでも男性客を取り込めるというのに、さらにどじっことふきふきのコンボで大きいお友達も取り込もうとするなんて、あざとい経営戦略なのかしら?」
 自らの解釈に、自ら戦慄しているアリス。
 間違いなく変態淑女。
 
 店を出てすぐ、パーク内の少し離れた区画に連れて来られる二人。
 その店の名も“アイスクリームパーラ・レジーナ”
 店構え、店員の制服、女の子のレベル、出されたフルーツパフェ、全てが先程の店と同じである。
 ここでようやく、どちらの店が本物か偽物か見分けよという趣旨を伝えられる。
「ふーん、OK受けてたつわ☆」
 二杯目のパフェを食べ始める。
「アイスクリームの口どけや見栄え、苺のコンポートの層の厚みと粒の贅沢な大きさ、
スプーンを引き抜くときにグラスの中で生まれる対流……混ざるときも美しい色合い……どちらも甲乙つけがたいほど素晴らしい……というか正直同じに感じるかな?」
「私生活でゲテモノに舌が慣れすぎたせいかしら? さっきの店と味が変わらない気がするんだけど?」
 当然である。
 全く同一のパフェなのだ。
 暗示にかけられて、いい加減な事を言わないだけ、舌が優秀と言えるだろう。
 そしてまた、食べ終えた時、
「きゃっ」
 ウェイトレスが、また転んで、またパフェを零した。
「またこの展開ですか!?」
 だが、こちらの店のウェイトレスたち、さらにドジっ子。
「申し訳ございません、ハンカチを忘れてしまいました」
「舌で綺麗にさせていただきます!」
 藍那とアリスをペロペロ舐めはじめる。
「わう、そんな駄目だよ、女の子が……!」
 首筋を舐められ、くすぐったさに身悶える藍那。
「ここがパライソか……!」
 スペイン語まで持ち出し、戦慄するアリス。
 だが、なめなめしてくれる女の子たちの胸の膨らみが、肩やお腹に移動し始める。
 明らかに、付け胸、乳パッドだ。
「くすくす☆ 最初からわかってたわよ、あんたち男の娘ね!」
 アリスに言われ、藍那も気付く。
「おとこの……こ? ああ、君たちも大変なんだね……したくもない女装を求められる日々……わかるよ……」
 謎の同調をする藍那。
 ところが、店員の方からは怯えたような目で見られた。
「何、その反応!? もしかして好きでやっているの!? え? 僕の感性ヤバイの! 怪人を見るような目で見ないでよ!」

 店を出ると、天田がどちらのレジーナが本物か尋ねてくる。
「うぅ……あえて僕はBを選ぼうと思います。 パフェの質より……ウェイトレスくんたちの男としての奮起を願う一票です。 みんな、ウェイターのほうが似合ってるよ〜」
 可愛いのに女装をしたがらないのは男の娘としての感性が、何かに改造し尽くされていると店員たちに言われ、傷心している。
「A店が本物に決まっているでしょ。 ペロペロサービスとか風営法にひっかかるでしょう?」
 妙な着眼点で分析する、アリス。
 むろん、正解。
 さていきなりだが、このアリス、いわゆるロリっ娘である。 ひんぬーなのである。
「と こ ろ で、パットずれで正体バレとかって演出考えたのって誰かしら? ふふふ、まるで胸の無い子は女と認めないって言ってるように聞こえるわねぇ? ねぇ、ディレクターさん、アリスとOHANASHIしましょうか?」
 ギプスを付けた天田を、くすくす笑いながら、どこかに引っ張っていこうとするアリス。
 そこに、ギプスの原因である未来が現れる。
「おった! 咲魔くんとイオくんから聞いたで! あちこちでふざけた真似しとるようやないか! うちの必殺ペトリファイロックをかけてやらんと、わからんようやな!」
 その後の天田の様子もカメラに収められているのだが――とても、放送ではお見せ出来ない。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: のじゃロリ・イオ(jb2517)
 とくと御覧よDカップ・黒神 未来(jb9907)
重体: −
面白かった!:4人

撃退士・
セレス・ダリエ(ja0189)

大学部4年120組 女 ダアト
のじゃロリ・
イオ(jb2517)

高等部3年1組 女 陰陽師
そして時は動き出す・
咲魔 聡一(jb9491)

大学部2年4組 男 アカシックレコーダー:タイプB
とくと御覧よDカップ・
黒神 未来(jb9907)

大学部4年234組 女 ナイトウォーカー
蒼色の情熱・
大空 湊(jc0170)

大学部2年5組 男 アカシックレコーダー:タイプA
腐敗の魔少女・
アリス セカンドカラー(jc0210)

高等部2年8組 女 陰陽師