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マスター:スタジオI
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:6人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2014/11/07


みんなの思い出



オープニング


 ここは久遠ヶ原にある某劇場。 
 その舞台の幕が開く。

 ナレーション<ここは、クオン大陸にあるアラサー王国。 六つの大国に囲まれ、そのバランスの中で辛うじて生き延びている小さな国である――王宮でツバキ王とリズ王妃は、今日も悩んでいた>

 舞台に並んだ二つの玉座に、王様の格好をしたアラサー女子所員・四ノ宮 椿と王妃様の格好をした金髪の美女・リズが座っている。
「陛下、浮かない顔をザマスね、またどこかの国の使者が来たのザマスか?」
 うんざりした顔で、玉座に肘をつくツバキ王。
「うむ、リズ王妃よ。 今朝は北の大国南西の大国の使者だったのだわ、我が国を他国の脅威から守ってやる代わりに、我らが王女、メル王女とレイ王女を、妃に欲しいと要求してきたのだわ」
「やはりザマスか、昨日は西の大国と、南東の大国の使者だったザマス」
「どの国の王子も、メルとレイを娶りたくて必死なのだわ」
「無理もない話ザマス、ウチの王女二人は飛び切りの美少女ザマスからね」
 舞台に、ソシアルな曲調のピアノ曲が流れ始める。
 曲に合わせ、金髪碧眼ポニテの美少女・メル王女と、金髪鳶眼ツインテの美幼女・レイが左右から優雅にダンスしながら舞台に現れる。
 スカートをつまんで広げ、両親に挨拶をする二人。
「お父様、お母様、おはようございます」
「オハヨーだよ!」
 満足げに二人の美貌を見る両親。
「うむ、おはよう」
「今日も、二人とも可愛いザマス」
 顔をほころばせる王と王妃。
 だがすぐに、両親の顔に憂いが現れる。
「二人とも、どこの国の王子の元へ嫁ぐか決めてくれたザマスか?」
「いいえ、そう言われましても、顔も見た事のない方ばかりで判断できませんわ」
「トツグって、よくわかんないよ!」
 腕組みをして、首を傾げるツバキ王。
「困ったのだわ、王女は二人だけ、どこか二つの国にしか嫁がせる事は出来ない。 でもそうしてしまうと、他の四つの国の恨みを買い、大陸全土が戦争になってしまうのだわ」
「傾国の美女とはよく言ったもの、娘が美少女すぎるのも困りものザマス」
 リズ王妃が溜息をつく。
 深刻な沈黙が続くかと思われた時、ツバキ王の口元がニンマリと微笑んだ。
「いいこと思い付いたのだわ!」
「おお、王様がその表情は! ロクでもない事を思いたのザマスね!」
「宝物コンテストを開くのだわ!」
「宝物コンテスト?」
「六つの大国から、それぞれの王子にメルとレイに捧げる宝を持ってこさせるのだわ! コンテストで、より高値のついた宝を持ってきた王子二人に、メルとレイを嫁がせるのだわ!」
「なるほど全ての国が納得のいく勝負しての結果なら、戦争にはならないかもしれないザマスね。 しかし、宝物の値段の鑑定はどうするザマス?」
「大陸中の国々の人々を集めて、オークションをさせるのだわ! 宝物は全て人々に買い取ってもらうザマスね」
「それで高値がついた二国に、王女を嫁がせるザマスね」
 リズ王妃が顔を輝かせると、王女二人も微笑む。
「お父様、売れたお金は、孤児になってしまった子供たちへのチャリティに使われてはいかがでしょう?」
「それなら僕もトツグするよ!」
「よく言ってくれたのだわ! 戦災や、天魔という魔物に親を殺された孤児が世の中にはたくさん溢れているのだわ!」
 舞台の下にいる観客たちに呼びかけるツバキ王。
「その子たちを救うため、集いし民よ、どうか協力して欲しいのだわ!」
「皆さん方が宝物を競り落としたお金が、チャリティとして寄付されるのザマス、よろしくザマス!」

ナレーション<こうして六つの大国の王子たちは、宝物を手に入れるべく、それぞれ旅に出る事となった。 美しい王女と大陸の平和を得るため、六王子の物語が始まる>



リプレイ本文


 再び開いた幕の向こうに立っていたのは、タキシード姿の小柄な王子様だった。
 エイルズレトラ マステリオ(ja2224)演じる魔法の国の王子である。

『エイルズ王子はカードの魔法が得意、いつも皆を驚かせて楽しんでいます。 けれど、エイルズ王子にはもっと驚くべき秘密があったのです』

 舞台下の観客に向け奇術を披露し始める。
「これはダイヤKのカード。 この王様、実は道化師の変装だったんです」
 右手に持っていたダイヤのJが、いつのまにかジョーカーに変わっている。
 奇術に拍手を贈る観客たち。
 そこへ舞台袖から、従者が出てくる。

「王子! 家庭教師の先生がカンカンですぞ、城にお戻りください!」
 話しかけても、エイルズ王子は舞台下に向けてボーッと立ち尽くしている。
「王子!」
 従者が肩を掴んだとたんだった。
 エイルズの体が、トランプになってバラバラに崩れてしまった!

『そう、エイルズ王子の体はトランプで出来ているのです! お付きの人は、さあ大変! 四六時中いつも王子につきっきり。 トランプに戻ってバラバラになったら、急いで集めて元に戻さなければいけません!』

 舞台に散ったトランプを大きな袋に集めるお付きの人。
 全てのトランプを袋に入れる、
 それををひっくり返すと、袋から元通りのエイルズが中から出てきた。
「王子、突風が吹いたらどうする気ですか!」
「その時はその時、明日は明日の風が吹くです」
 何食わぬ顔で、舞台中央へ歩いてゆくエイルズ。
 
 舞台が明るくなった。
 ドラマ部分が終り、オークション部分が始まる。
「このトランプ、一見ただのトランプですが、実は僕の体の一部です。 お買い上げの方には、特別に魔法のかけ方もいくつか教えましょう」
 ウインクするエイルズ。
 観客が舞台上に向け、金額を叫び始める。
「三千久遠!」
「四千!」
「五千!」
 元々は普及品の紙製トランプ。
 それに演出でプレミアを付けてゆく。
 人間がトランプになってバラバラに散り、また人間に戻る。
 空蝉のスキルに、奇術のトリックを交えた演出。
 ドラマチックオークションの醍醐味を、まさに体現した名演出だった


 軍事大国FUJIIの王室
 藤井 雪彦(jb4731)演じる軍服姿の末皇子は、父王に国家伝来の宝剣を渡された。
「その宝剣なら宝物コンテストの勝利は疑いない、アラサー王国に赴き、そのまま祝宴をあげてくるのじゃ」
「つまり、政略結婚って事かよ」
「下賤の女の腹から生まれたお前に、我が国に報いる手が他にあるのか?」
 父に蔑みの目で見られる雪彦。
 王室に集う家臣たちも、含み笑いをあげている。
 彼らは王族と貴族の血以外は一滴も入っていない“やんごとなき身分”なのだ。
 市井の者を母に持つ雪彦とは、違う。
「ものはついでだ、バルド王国のアイリス王子もこのコンテストに参加すべく、天空竜の巣を目指しているという。 助力するふりをして近づき、油断した隙に攫って来い! 良い人質になる」
「クソ親父め!」
「下賤の血が混じっている口は、どこまでいっても下賤だな」
 せめて一太刀とひねり出した悪態も、高貴なる血の楯にあっさりと受け流されてしまった。
 元々は父王が酒宴の戯れで、召使女に手を出したのが原因だと言うのに。

 天空竜が住むと言われる山に一人赴く雪彦。 すると、登山道の入り口に黄金の髪を持つ、黒き衣の王子を見つけた。 
「その黒衣は、もしやバルド王国のアイリス王子?」
「ふむ、胸に咲く薔薇の紋章は、FUJIIの雪彦皇子か」
 雪彦の軍服を見て、表情を変えずに返すアイリス・レイバルド(jb1510)。
 元々は、女好きで放蕩者の雪彦。
 だがこの時、事もあろう、男であるアイリス王子の美貌に、一目惚れしてしまった。
「きれ〜な顔だね〜、まぢで? 男なん?」
 こくりと、うなずくアイリス。
「うーん……まいっか☆彡 君の為なら死ぬる!!」
 山道を登るアイリスの背中についていく雪彦。
『雪彦はアイリスを誘拐するという王命を帯びている、果たして天空竜の巣で何を仕掛けるのか?』

 天空竜の巣には、翼の生えた巨大なドラゴンが待ち受けていた。
 劇団員四人がかりで動かす、巨大な着ぐるみに立ち向かう二人。
 だが、竜の鱗は鋼の衣。
 王子たちの剣は通じず、次第に追い詰められていく。
「……ここまでか、私を誘拐するという目的を果たせなくて残念だったな、雪彦皇子」
「知っていたのか」
「キミは逃げろ、故郷には帰れなくとも、その宝剣さえあれば、アラサー王国に居場所は確保出来る」
 その時、アイリスを竜の巨大な爪が襲った!
「くっ!」
 凶爪を受け止めたのは、雪彦の宝剣だった!
「君こそ逃げろ、アイリス王子」
「何をしている?」
「約束しただろう、君のためなら死ねると!」
 宝刀を振い、竜に立ち向かう。
「我が国伝わる宝刀……受けてみよっ!!」
 だが、宝刀の威厳は見た目だけ。
 剣身は脆くも折れてしまった。
「……うおいっ! クソ親父めっ! 偽物を渡しやがったな!」
 凶爪は立てつづけに雪彦を襲い、その身を切り裂いた。
「ヘモロゲッ!!」
 血糊袋を破いて血塗れになり、倒れる雪彦。
 己の剣を抜き放つアイリス。
「馬鹿者! 何故私など庇った!」
 怒りに力を増したアイリスの剣が一閃!
 竜の手首を切り落とした!
 そこには、アイリスの探し求めていた秘宝が乗っていた。 

「竜は撒いた。気をしっかり持て、大丈夫だ、助かるぞ」
 話しかけても雪彦は血を流し続け、目を開ける事はない。
「クソ、何故この血は止まらない!」
 その時、アイリスは竜から奪った宝に気付いた。
 神秘的な装飾のされた七色のペン。
「魔法のペン……黄色に宿る力は生命を癒す力」
 黄色いペンで、雪彦の傷口を囲うアイリス。
 すると――。
「何だ、随分遅い目覚めだな」
 目を開けた雪彦は、いきなりアイリスの首に抱きつく。
「まだ歩けないなぁ、このままお姫様だっこして、アラサー国まで連れて行ってよ☆」

 幕が閉じ、舞台下の観客たちに雪彦が呼びかける
「放蕩者の宝刀は折れ……私の手にある宝は私自身のみとなりました。 たくさんの悪意の中、此処まで育つことができたのは母のおかげ……その母からの遺産はボクの体自身なんだ……なので、体で払うよ♪ つまり、お買い上げの方達とデートします、むろん女性限定☆」
 客席の女性たちから、次々に入札価格を告げる声があがる。
 そして、落札を果たしたのは――。
「あたしよぉん☆」
 筋肉オカマだった。
「嬉しいわぁ、雪彦ちゃんも男の子がイケる口なのねぇ」
「いや、今のは芝居で……アイリスちゃんは女の子で……女性限定で……」
 白目を剥いて立ち尽くす雪彦。
 ささやかな抵抗をするが、
「心は女性よぉん☆」
 オカマ最強の呪文を唱えられ、あえなく連れ去られる。
「アイリスちゃん、助けてー!」
 だが、アイリスはもう自分のオークションに入ってしまっている。
「魔法のペン七色セットだ、七色全てに別の魔法の力が宿っているぞ。 欲しい者はいるかー」
 救いを求める雪彦の悲鳴は、観客のあげる入札価格の声にかき消された。


「中々に楽しそうな状況ではあるな。 演技をこなせるかどうかは分からぬが折角の機会だ。存分に楽しみながら機会堪能して行きたいと思う」
 王子服を着たリーガン エマーソン(jb5029)は、そう言いながら舞台にあがった。
 アラサー王国の王や王妃と近い年齢の、金髪髭面青年である。
 だが、現実の王室では三十路や四十路の王子様は当たり前。
 そういう意味では、一番リアリティのある出演者だった。

 アラサー王室を訪れたリーガンは、白いスカーフを取り出した。
「私が用意するのは、真っ赤なスカーフ」
「白いのだわ」
 極、全うなツッコミをするツバキ王。
「これを紡ぐ糸は純粋にて新鮮な天より降り注ぐ陽の光をよりあわせて作った妙なる糸。 生命の象徴たる白き糸を染め上げるのは」
 窓の向こうの、夕日を見つめるリーガン。
「いと高き夕日よりくみ上げた赤。 それを以てして真白き糸を真っ赤に染めあげていこうか」
 スカーフを窓に翳すと――。
「すごぉい」
「スカーフが赤く染まりました!」
 幼げな目で驚くメル王女と、レイ王女。
「これを手に入れたのは猛き気高き冒険の旅ににて得たもの。 その機会を得る事が出来るきっかけを作ってくださった姫様たちには、十分な感謝の気持ちを歌と踊りで伝えて行こうか」
 渋い声で、歌い始めるリーガン。
 彼の国の言葉なので、王や王女たちに意味はわからない。
 だが勇壮なその歌声は、その冒険の困難さと打ち克ったリーガンの勇気を充分に伝えてくれた。
 そしてリーガンは王女たちに、こう言い残した。
「多くの人たちが貴女たちの元に貴品珍品持ち寄るでしょう。 でも貴女たちが見るべきは、自分たちと自分が好いた相手の幸せでそれ以上の物ではないのだ。 どうか、その事を忘れないでいただきたい」

 閉じた幕の前、リーガンは赤いスカーフを観客に向けて靡かせた。
「さあ、このスカーフ、手に取る者はおられるか?」


「僕、王子に見えてますか? 育ちの悪さが滲み出てたりしてないですか?」
 王子服を身に着けた咲魔 聡一(jb9491)は、楽屋で何度も仲間に確認した。
「大丈夫、似合ってるよ」
 最後の王子である・砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)などは、そう言ってくれる、
 だが、差別されし一族の生まれであるはぐれ冥魔には、どうにも不安が拭えない。
 そこへ、舞台からリーガンが帰ってきた。
「聡一君、卑しさや高貴さというものは、魂から出て体に帯びるものだ。 君は充分に、貴き魂を持っているよ。 役名である“アステラレス”の花言葉のようにね」
 リーガンに勇気を貰った聡一、否、アステラレス王子は舞台へと向かった。

 冬山。
 舞台ばかりか、観客席にまでキラキラとした雪の結晶が降り注いでいる。
「従者Aーっ!」
 舞台袖に向かって手を伸ばすアステラレル。
「お、おのれ魔性ヶ峰、私の従者を三人も……」
 寒さではなく、怒りに震える。
「酷い霜焼けにしてくれおって! だが私は負けん! 何としても……何としても手に入れるのだ、高嶺の花を!」
 寒さに震える従者A・B・C役の舞台役者たち。
 実は聡一、雪山演出のため、ダイヤモンドダストを発動させている。
 このスキル、本人以外はガチ寒なのである。

 アラサー王室。
「知を愛する都フィロソフィア王国が王子、アステラレス。 此度の報せを聞いて、急ぎ馳せ参じました。 従者A、例の物を」
 うさんくさい壺を渡してくる従者A。
「これこそが我が国の秘宝たる幸福の壺! この壺をお買い求めになれば賭博必勝、大願成就――ってこの阿呆が!」
 従者Aに、ハリセン一閃!
 コメディ脚本なので細かい笑いは忘れない。
「失敬……本当に出品したいのはこちら。 透き通る青き結晶で作られた“氷の魔笛”でございます」
 デコレーションした青透明のオカリナを取り出す、
「我が国一の高峰、魔性ヶ峰には、これにまつわる伝説がございます。 氷の城塞に眠るその笛は、勇気ある男のみが手にする事を許され、清き心の娘が奏でて初めて音を得る……この中で最も清き心の者といえば、姫君に相違ありますまい。どうかこの笛に命を吹き込んで下さいませんか」
 オカリナを吹く、幼いレイ王女。
 余りに拙い音色に、苦笑している観客に向かって呼びかける。
「二度と手に入らぬ氷の魔笛! お買い上げになる方はおられるでしょうか?」
「十万久遠!」
 いきなりの超高値!
 美幼女が口をつけた事で笛の値段が跳ね上がるという、予想だにしない結果だった。


 青を基調とした王子服を纏いし、サハラー王国第一王子・ジェンティアンが舞台にあがる。
「次なる玉座を治めるためには、アラサー王国の姫君を娶り、王子としての権勢を増す以外にない! 例え愛しい弟を不幸にしても、私は第一王子……引くことは出来ない」
 現在、王宮は第一王子派と第二王子派に別れ、戦もやむなしな状況に陥っている。
 国を治める力を手に入れるため、氷の女神の住まう城へと単身向かうジェンティアン。

“六花(むつのはな)舞狂う現の世
ひゅうるりと天駆ける疾風
鋭き刃薙ぎながら
瞳が追うは己の影
騒々たる戦慄きに
賭けるは誇か魂か
楽を奏し揺らめく鏡の舞台“

 蔦状に編み込んだ黄金の髪を靡かせるその姿は、ファンタジーの中の王子様そのもの、
 彼は踊り、歌を紡ぎながら、氷の女神の城を目指し歩んだ。

“疾く駆けよ狂おしく
心の刃振るい氷面断ち
舞い踊れ艶やかに
遥かに見ゆる彼の地目指し“

 そこに魔物が襲ってくる。
 魔法の大剣を振い、魔物と激しい戦いを繰り広げるジェンティアン。
 戦いの決着は、大剣と魔物の牙とが、同時に互いを切り裂くという結果に終わった。

 倒れたジェンティアンの前に、雪の結晶を纏う女神が現れ、彼を助け起こす。
 演じるのは、ジェンティアンのはとこ、樒 和紗(jb6970)。
 光纏すると雪の結晶のようなオーラを纏う彼女は、まさに適役だった。
 二人は見つめ合いながら合唱する。

“倒れるも嘆きなし立ちて進め
頬打つ冷たき花の乱舞も
いつしか光と過ぎ去り
彩なる季節(とき)が訪れる“

 最後の一節を唄い終えると、女神は白い薄布に覆われた豊かな胸の間から、懐中時計を取り出した
「よくぞ試練に打ち克った。 そなたに宝を授けよう」

「おお、これぞまさしく“永遠の刻を示す白銀”……それを抱きし胸! ちなみにE!」
「何を言ってるんですか!?」
 もう舞台の幕は下り、観客とのオークションシーンに移っている。
 「“永遠の刻を示す白銀” ほら、針止まってて、永遠に同じ時刻さしてるでしょ」
 元々は壊れた懐中時計なのだが、物語、そして巨乳美少女の胸の間から出てきた事で、付加価値を付けたのだ。
 

 全てのオークションが終り、どの王子が姫を娶るのかが決まるラストシーンが始まった。
 目を閉じて結果を待っている五人の王子たち。
その元に、二人の王女が歩み寄り、背伸びをして頬に軽い口づけをする。

『メル姫はジェンティアン王子に、レイ姫はアイリス王子に嫁ぎ、大陸には祝福と、しばしの平和な時が満ちました』

 幕が閉じ、物語は大団円を迎えた

 芝居を終えた舞台裏。
「皆、お疲れ様だったね」
 リーガンが、王子服の襟ボタンを外す、
「しかし、この結果は? 落札価格は雪彦さんが一番だと聞きましたが」
 首を傾げるエイルズ。
「そうなんだよね」
 勝利したジェンティアンも、イマイチ解せない顔をしている。
「座長が“いわゆるデート業の相場が三千久遠以内はない”と言っていた、よって審査対象外にされたそうだ」
 アイリスの報告に、憐れそうな目をする聡一。
「胸につけていた薔薇の紋章が、フラグだったのかもしれませんね」
 筋肉オカマに落札されたまま、劇場に戻ってこられない薔薇の皇子・雪彦。
 彼の運命も、物語と同じく大団円を迎えられる事を祈ろう。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 深淵を開くもの・アイリス・レイバルド(jb1510)
 ついに本気出した・砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)
重体: −
面白かった!:5人

奇術士・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

卒業 男 鬼道忍軍
深淵を開くもの・
アイリス・レイバルド(jb1510)

大学部4年147組 女 アストラルヴァンガード
君との消えない思い出を・
藤井 雪彦(jb4731)

卒業 男 陰陽師
徒花の記憶・
リーガン エマーソン(jb5029)

大学部8年150組 男 インフィルトレイター
ついに本気出した・
砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)

卒業 男 アストラルヴァンガード
そして時は動き出す・
咲魔 聡一(jb9491)

大学部2年4組 男 アカシックレコーダー:タイプB