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マスター:スタジオI
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:6人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2014/11/05


みんなの思い出



オープニング


 久遠ヶ原の某TV局。
 会議室で、新たなTV番組の企画会議が行われていた。
「久遠ヶ原島限定のワイドショーですか?」
 TV局員の森光が、裏返った声をあげる。
「はい、本土で行われている芸能人、有名人対象のワイドショーと同様、主に撃退士のスキャンダルを追い、取り上げる番組です」
 制作会社プロデュサーの、矢部が自信満々に答える。
「でも皆が、関心を持つほどの有名な撃退士は――いなくはないですが、数が少ないですよ?」
「在住撃退士八万人といえども久遠ヶ原は、島社会です。 知り合いは多い。 ほとんどの撃退士が任務で一度以上は顔を合せていたり、それでなくともどこかですれ違っていたりするはずです――知っている人間の噂話、これが普遍的な面白さを持つ事は、ご近所間、職場間での井戸端会議がどの時代にも存在することを鑑みれば明らかでしょう」
「しかし、ネタが集まりますかね?」
「タレコミや、ネット掲示板、呟き情報なんかで噂は簡単に集まります、すでに私の手元にいくつか、興味深い情報が集まっています。 その一つを元に、パイロット版を作ってみました」


 久遠ヶ原の某斡旋所。
 夕刻、仕事を終えた独身アラサー女子所員・四ノ宮 椿が玄関から出てきた。
 その前にカメラマンとレポーターが躍り出る。
「四ノ宮 椿さんですね?」
 キョトンとしている椿。
「土曜日の夜、何をしていたか覚えておいてですか?」
 一瞬、思い出せない椿だが、やがてサッと顔色が変わる。
「な、何もしていないのだわ! ここで残業していたのだわ!」
「高校生だけの合コンに、アラサーが一人顔を出して居座っていたという情報があるのですが?」
「知らないのだわ! そんなのウソなのだわ!」
 言いざま、全速力で逃げる椿。
 カメラマンとレポーターも、走ってそれを追う。
「椿さーん! 嘘ならなぜ逃げるんですか!」
「説明してくださーい!」

ナレ『報道を否定する四ノ宮氏だが、我々、取材班は合コンが行われていた飲食店に裏付け取材を敢行していた』

 居酒屋で撮影したVTRが流れる。
 ヘリウムガスを吸ったような甲高い声でのインタビューシーンである。
 まずは、モザイクで顔を隠した居酒屋店員。

【飲食店店員Aさん】
「いやー、本当にビックリしましたよ! 若い子たちだけで楽しく合コンしている時にですよ! 突然、おばちゃんが入ってきたんです! 驚きますよ、もうドン引きで盛り上がってきたのが、突然シーンとしちゃいましたね! ありえないですよねー、あんなの!」

 続いて、合コンに出席していた高校生
【高等部生Bさん】
「恐かったです、体が震えました! 合コンにお母さんが出席しているみたいな感じでしたよ! 楽しくなくなっちゃいましたよ! 二度とこういう悲惨な事故は、起こらないようにして欲しいものです!」

ナレ『一度は我々取材班の前から姿を眩ませた四ノ宮氏だったが、その夜、逃げ切れないと悟ったのか、斡旋所で謝罪会見を行った』

 金屏風の前で、椿がシクシク泣いている。
 どこから湧いて出たのか、多くのカメラマンがパシャパシャとフラッシュを焚いている。
「このたびは、お騒がせして申し訳ありませんでしたのだわ〜」
 深々と数秒間、頭を下げる椿。
 さらなるフラッシュの雨が舞う。
「なぜ、あんな事をしたんですか?」
 記者から飛んだ声に、ハンカチで涙を拭きながら答える。
「もうすぐクリスマス、また一人で過ごすのが嫌で焦っていたのだわ、恋人を作るため、手当り次第に合コンに申し込んで、その一つがアレだったのだわ」
「高校生しかいないって気付いたら、すぐ帰れば良かったじゃないですか!」
「まさかのワンチャンあると思ってしまったのだわ、引率のカッコいい先生が来て、それが大富豪の御子息だったりしたらと期待して」
 声を詰まらせ、ハンカチ口元を抑える椿に、記者たちが怒号を浴びせる、
「そんな都合のいいことあるわけないじゃないですか!」
「女子高生に勝てるわけがないでしょう!」

 場面が、ワイドショースタジオに移る。
 椿の謝罪会見の様子はスクリーンに映し出されている。
「いやー、何とも呆れたとしか言いようのない事件だったわけですが」
 アナウンサーの言葉に、ゲストのクレヨー先生が頷く。
「人間焦ると、何をするかわからないんだな。 学園生の皆は、こういう大人にならないよう青春を謳歌して欲しいんだな」
 話は若者の晩婚化、少子化に及び、番組は終わった。


「割と酷い」
 パイロット版を見終えた森光は、座り切った目で感想を言った。
「でも、面白いでしょ?」
 矢部の質問に、迷わず頷く森光。
 森光も撃退士時代に椿と、顔を合せた覚えはあるので、ますます面白い。
「まあ、いろいろ問題はありそうだが、試しに一週間だけ流しましょう。 いろいろやらかした撃退士は多そうだし、ネタには困らないでしょう」
 取材対象になった撃退士には、報酬も払う事になった。
 任務という事にして面倒を避けるためである。
 やらかした覚えのある者、叩けば埃の出る者、熱愛中のもの、破局の噂があるもの。
 心当たりのある人は、いつ取材がくるかわからないから、注意して生活して欲しい。


リプレイ本文


 大型掲示板をキャプ画像を背景に、ナレーションが流れる。
『週末、ネット上で久遠ヶ原島民を震撼させる情報が流れた、それは――』

<雪室 チルル中古疑惑>

 幼げな顔の雪室 チルル(ja0220)がお城を象ったラブホテルから、複数の男性と共に出てくる写真が映し出される。

『騒動の源は、ラブホテル前で撮影されたこの写真。 公開されるやいなや、ネット上には悲鳴にも似た書き込みが殺到した』


339名無しさん
チルルちゃんが中古だったなんて――失望しました、ファンやめます

650名無しさん
お前ら馬鹿か? 無邪気でおバカな天使だって信じてたのか?
あんなの最初から、作られたキャラなんだよ!

ところで、壁って硬いんだな――拳が血塗れだぜ

760名無しさん
知ってた速報

999名無しさん
1000なら画像は捏造!

1000名無しさん
1000ならエッチルル


『取材班は真相を確認すべく、チルル本人の家に向かった』

 インターホンを押すと、部屋の玄関から、チルルが無警戒に出てくる。
「なに? あ! これ、TVカメラでしょ! あたいったら、さすがゆーめー人ね!」
 田舎の子供のようにカメラの前でv(><) (><)vするチルル
レポーターが件の写真を見せると、悪びれもせずに事実を認めた。
「うん、これあたいよ! このホテル、面白かったわー、夜になるとネオンが灯って遊園地みたいになるの!」
 ホテルに入ったのかを、尋ねるレポーター。
 周りから見学していて、たまたま写真に撮られただけとか、ありそうなオチである。
 だが――。
「中もよかったわー、バスルームがすっごく広いのよ! あと、ベッドが廻って楽しいの!」
 もはや、誤解ではありえない。
「一晩中寝ないで、みんなで遊んでいたの! とっても気持ちよかったわ! あたい、またみんなと一緒に行ってみたい!」
 この日、久遠ヶ原島で、十数か所の壁が砕け散った。


 可愛らしい少女が、自分と全く同じ顔立ち、同じ服装の少女に首輪を付け散歩させている怪写真が映し出される。

『様々な珍事件が頻発する久遠ヶ原島で、またも怪現象が目撃された』
 <もう一人の自分を、飼っている少女!?>
 この映像の謎を突き止めるべく、分析を急ぐスタッフ。
 そして、やがて少女の正体を撃退士・アリス セカンドカラー(jc0210)だと突き止めた。

 翌朝、カフェにいたアリスの元へ取材に訪れるレポーター。
「何か言う必要を感じないわね」
 マイクを向けられても、椅子にふんぞりかえったままのアリス。
 カメラ的第一印象、最悪である。
 レポーターが、番組独自の調査結果をぶつけてみる。
 実はアリスが連れていた、アリスそっくりの少女、学園の物真似研究会の部員で、セリス・アカンゾコレー。
 アリスの物真似芸をしていた“少年”なのである。
 その少年をアリスが調教し、ペットにして、お散歩させていたのではないのか?
 そんなレポーターの憶測をぶつけられても、アリスは動じなかった。
「よく調べてるわー。 恥ずかしくないんですかって? 訓練された変態であるわたしがこの程度で動じるわけがないじゃない」
 くすくす笑うアリス。
「そ・れ・よ・り・も、知ってる? 私のペットは一匹じゃないのよ?」
 突然、画面が大きくぶれ、レポーターの悲鳴だけが残る。
 取材班の二人が、周囲に潜んでいた謎の集団に捕えられたらしい。
 まだ開始二日目、番組はどうなってしまうのか?


 不祥事を起こした企業が謝罪会見をしている映像が、連続で流れる。
「誠に申し訳ありません」
「誠に遺憾であります」
ナレ『相次ぐ企業不祥事、管理責任が取りざたされる中、今度は“姉”の“妹”に対する管理責任問題が浮上した』
 斡旋所ロビーに設けられた記者会見場で、貧乳系軍人少女・雨宮アカリ(ja4010)が銀髪の頭を深々と下げて謝罪している。
 アカリの双子の妹であるリリィ・マーティン(ja5014)が、ある任務で狙撃を行っていたのだが、ミスをして重体を負ってしまったのである。
「えー、近年の細分化する狙撃手の役割を考慮した上で、今回の彼女の行動を全く以って見当はずれであると断言するのはいかがなものかと考える次第であります」
一人のレポーターがくすくす笑いながらマイクを突き付ける。
「妹の失態じゃなく、あなたのコーチング不足じゃないのー?」
 実はこのレポーターは昨日、騒動を起こしたアリスである。
 番組スタッフをペット化し、番組ジャックをしてしまったのだ。
「結果として彼女が重体となったのは誠に遺憾であり、姉といたしましては再発の防止に努めることを前向きに検討させていただく次第でございます」
「責任はどう取るの?」
「その件も踏まえて、前向きに検討させていただきます」
「つまり、今のとこ何の考えもないってことよねー」
 傷口をつつかれたアカリは顔を背け、小声で呟いた。
「チッ……うるわいわねぇ」
「今、何か言わなかった?」
「反省してまーす」
「なにあんた、スノボやってんの!?」
「うるさいわねぇ! というか、私関係ないじゃないのよぉ! むしろ狙撃に関しては私の指導者よぉ! 私はリリィを信頼してるし、リリィの判断で行動した結果、重症になったんだから本人も名誉の負傷とか思っているでしょう!」

『泥沼化する記者会見。 そこで別のレポーターが、入院しているリリィの病室に赴いた』
 ベッドに上体を起こしながら、カメラに笑顔を浮かべるリリィ。
「あー、リリィだ 随分と心配をかけてしまったようだ。 大事になっていると聞いて病室からではあるが釈明をしておく。 重体になったのは私の判断であり、そして私は判断ミスだとは思っていない。 誰かがやらねばならなかった。それが私だっただけだ。 アカリ、私はお前の妹ではあるが部下ではない。 私を部下にしたければもっと訓練する事だな! HAHAHA! ……だから責任を感じる事は無いのだぞ?」

 そのビデオレターを見て、目に涙を浮かべるアカリ。
 カメラから、涙を隠すかのように、会見場から走り去る。
 妹の心の温かさに姉も、いたたまれなくなったようだ。
「あっ、待ちなさいよ! もっといじめてから調教しようと思ったのに!」
 獲物を逃がしたアリス。
 その目が狙う、次の獲物は誰か?


 黒髪の女性が、濡れた布団の前で幼女のお尻を叩いている映像が流れる。
『未だ消えやらぬ児童虐待問題は、久遠ヶ原島でも起こっていた。 白昼堂々、幼い女の子を叩く若い女性――ネット上に公開された盗撮映像の真相を究明すべく、女性の自宅を直撃した』

 渦中の人、雁久良 霧依(jb0827)の邸宅を訪れる取材班。
 そこには霧依と共同生活を営む、たくさんの幼児たちがいた。
 件の映像を見せると、霧依は笑顔で答えた。
「おねしょのお仕置きしてるところね♪ うちの子達は全員納得した上で罰を受けてるわ、お仕置きの後はたっぷり甘えさせてるし、虐待じゃないわよ♪」
「はい、霧依お姉さまの言う通りです」
 お尻を叩かれていた少女・ルミニア・ピサレット(jb3170)が、子供たちを代表して返事をした。
 だが、虐待者が子供に虐待を隠蔽するよう強いるのは常である。
 
 帰局後、取材班がさらに調査を進めると、ネット上に驚愕の動画を発見した。
 
 深夜、ルミニアの部屋に、濡れ布団を持って、こそこそと入る霧依。
 十数秒後、部屋から出てきた時には、濡れてない布団を手にしている。

 即ち、すり替え。
 おねしょをしたのは霧依であり、濡れ布団という名の濡れ衣をルミニアに押し付けていたことになる。
 取材班は再び、雁久良を訪れた。
「実は前日ちょっと飲み過ぎちゃって、お布団に地図を……小さな子に擦り付けたのは悪いと思ってるわ……」
 謝罪する霧依。
 だが、公開された二つの動画が、共に霧依のアカウントでアップされたものである事は、すでに解析されていた。
 つまりは、霧依による自演である可能性がある。
 追及された霧依は、神妙な面持ちで語った。
「そうよ……私の仕業よ、私は幼女を愛でるのが大好きよ、でも…それ以上に自分自身が幼女として愛されたい、甘えてみたい、お仕置きされたいって願望があるの。 私は幼女になりたいのよ!……無理なのは分かってる! だからせめて幼女のように…って思ったのよ、お騒がせしたわね……」
 淋しげに笑みを浮かべる霧依。
 大人の憂いを垣間見せているが、実際、ただの変態である。
 そこに、ルミニアが聖母の微笑みを浮かべて現れた。
「そうだったのです……気付かなくてごめんなさいなのです……」
 水色スモックに、黄色い帽子、ピンクのスカートを取り出すルミニア。
「……これに着替えてきてほしいです♪」
 超エロボディを持つ、児ポ法推進園児の誕生である。
「幼女として扱ってくれるのね……嬉しいわ」
 涙ぐむ霧依。
「……これから週に一日はお姉様を私達の小さな妹として扱うです♪ ……お仕置きなのです! 覚悟しなさいです!」
「うん、いっぱい叱ってね、ルミニアお姉ちゃん♪」
 手を繋いでカメラ前から去る二人。
 放送後、こんなの放送していいのかという苦情で、局の電話がパンクした。


「どーも、我龍転成リュウセイガーです。」
 画面に向かい、雪ノ下・正太郎(ja0343)が現れ、生真面目に挨拶した。
 今日の放送は、今までのようなスキャンダルではない。
 頑張っている青少年を紹介するという健全な内容である。
 中央のワイドショーでも時々ある“爽やか企画”だ。
 普段、人を貶める事で成り立っている番組なりの禊のようなものだ。
「我・龍・転・成っ!! リュウセイガー!!」
 変身するリュウセイガー。
 プールの飛び込み台の上から必殺キック、ドラゴンストライクの練習をしてみせる。
 プールからあがると、今度はバイクの事に付いて尋ねられる。
 ヒーローの乗るマシンのデザイン画がネット上に流出しているのだが、雪ノ下のものではないかという推測が流れているのである。
「はい、僕のです」
 あっさり認める雪ノ下。
「ヒーローには専用マシンがお約束だと思って、まずはデザインだけ頼みました。 作ってくれる方やスポンサー様、出演依頼などリュウセイガーは随時受け付けております」
 カメラに向かって、白い歯を輝かせる雪ノ下。
「なにそれ、ステマ?」
 突然、脚本にはない事をレポーターに言われ、戸惑う雪ノ下。
「いや、そういうわけでは――」
 雪ノ下の前で、レポーターがベリっと顔の皮を剥いだ。
 変装マスクに隠れていたアリスの顔が露わになる。
「くすくす、まあ今回はいいわ、でも覚えておきなさい。 事故やら暴行やら、スキャンダルに塗れて汚れた特撮ヒーローの先輩はいくらだっているのよ。 貴方はそうならないよう気を付けることね。 でもなったらなったで、その時は、私が奴隷にして、あ・げ・る」
 それだけ言うと、ピュウと逃げ出すアリス。
「なんなんだ、あの子供は――」
 ヒーローは、子供のために戦うもの。
 久遠ヶ原には変な子供もたくさんいる。
 頑張れリュウセイガー!
 変な子供の期待にも応えられるよう、身辺を綺麗にしながら戦うのだ!


 ヘリウムガス声でのインタビューが始まる。
【医療関係者Aさん】

「いやー、もう驚いちゃいましたよ! 大の男でも涙を流す人のいる、あの胃カメラをですよ! 女子高生が飲みたいっていうんです。 無論、健康な人には必要ないって断りましたよ! そしたら、暴飲暴食して、わざと胃を壊してから、病院に来たんです! もう驚いちゃいました! 医者って何の為の仕事なのか、わけがわかんなくなってきちゃいましたよ!」

『その女子高生とは緋流 美咲(jb8394)。 ドMではないかと一部に囁かれる少女である。 帰宅中の彼女に我々がマイクを向けると――』

 自分からマイクに頬をグイグイ当ててくる美咲。
 新ジャンル・アグレッシブMである。
「ぁぅぅ……こ、答えますから…許して下さい……」
 言いつつも、中々、答えずにマイクに頬を食いこませ続ける。
 この状況に興奮しているらしい。
「たまたま受けた胃カメラ検査が、私的にドストライクだったんです……口を閉じることが出来ないように器具をはめられて、無理矢理カメラを入れられ、涙目であの苦痛の時間を耐える…されるがままの、まるで虐げられたような感覚がたまらなくて……はぁぅ……」
 “お医者さんに、迷惑かけて平気なんですか?”
 レポーターに冷たく言葉責めされ、嬉しそうに頬を赤らめる美咲。
「やだぁ……それ以上言わないで下さいぃ……はぅぅ……」
 続いて、レポーターが尋ねたのは、美咲が抱えているコンビニ袋の事である。
 中身を見るとブラックコーヒー、コーラ、サキイカ、超辛カレーなど、胃に厳しそうな食べ物がたくさん詰まっている。
 また暴食して、胃カメラを飲むつもりなのだ。
「……あの苦痛を受ける為なら……ごふっ!」
 ハバネロ肉まんを食べようとして、胃に拒否られ、吐血する美咲。
 こうなるとゴシップ記者は基本、ドSである。
 次々に、質問をぶつけ始める。
 “そんな変態で、お父さんやお母さんに申し訳ないと思わないんですか?”
 “何万という目が、美咲さんを蔑んだ目で見ていますよ。“
 “どうしてまだ外を歩けるんですか? 恥ずかしくないんですか?”
「ぁぅぅ……もっと、もっと言って下さい! 全国放送の面白地方TV特番とかにも、この部分使って下さい!」
 レポーターたちに尋ねられ、カメラの前でハァハァ身悶えする美咲。
 決して全国放送出来ない、久遠ヶ原の病みだった。


 ワイドショースタジオ。
「と、いう一週間、振り返っていかがでしょうか、クレヨー先生?」
 司会者が尋ねると、コメンテーターのクレヨー先生は眉間に皺を寄せて答えた。
「M率高すぎなんだな、美咲ちゃんは完成されすぎ、霧依ちゃんも全方位変態平常運航だけど、アカリちゃんだってあんな会見開くなんて自主的に叩かれに来たように見えるんだな、雪ノ下くんもステマが叩かれる時代に明確なステマするとか、潜在的Mに違いないんだな。 ドSのアリスちゃんが付け込むのも当然なんだな」
「厳しいご指摘です」
「それよりキミたち、捏造報道を取り消すんだな! チルルちゃんは“お風呂がとっても気持ちよかったわ!”って言ったのに“お風呂が”の部分だけカットして流すとか、編集に悪意あり過ぎなんだな!」
 チルルは、依頼先で宿を見つけられずに、やむなく一部屋だけ開いていたラブホテルに泊まっただけだったのだ。
 ラブホの観念すら理解出来ず、遊園ちっくなホテルだと思い込んでしまった結果がアレだったらしい。
 ネットでは、もう知れ渡っている事であるが、番組はそれを報じなかった。
「その通りでございます。 我々は誤報をいたしました、罵って下さい、お叱りの電話をたくさん下さい、むしろこんな番組もう見ないで下さい」
 嬉しそうに土下座する司会者。
「この番組自体が、真性のドMだったんだな……」


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 伝説の撃退士・雪室 チルル(ja0220)
 誠心誠意・緋流 美咲(jb8394)
重体: −
面白かった!:5人

伝説の撃退士・
雪室 チルル(ja0220)

大学部1年4組 女 ルインズブレイド
蒼き覇者リュウセイガー・
雪ノ下・正太郎(ja0343)

大学部2年1組 男 阿修羅
魂繋ぎし獅子公の娘・
雨宮アカリ(ja4010)

大学部1年263組 女 インフィルトレイター
群馬の旗を蒼天に掲げ・
雁久良 霧依(jb0827)

卒業 女 アストラルヴァンガード
誠心誠意・
緋流 美咲(jb8394)

大学部2年68組 女 ルインズブレイド
腐敗の魔少女・
アリス セカンドカラー(jc0210)

高等部2年8組 女 陰陽師