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マスター:スタジオI
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:6人
サポート:4人
リプレイ完成日時:2014/07/14


みんなの思い出



オープニング


 コンビニエンスストア『コンビニコング 久遠ヶ原島店』
 元中学教師だった山木夫妻が、退職金を元手にフランチャイズオーナーとして開店した店である。
 ある平日の深夜一時五十分。
「最近、お客さん少ないねー」
 山木妻は、レジで眠そうだった。
 山木夫はすでに半分、瞼が閉じかかっている。
「やっぱり、コンビニコングだなんてマイナー店じゃなく、CMを流しているようなメジャーなとこのフランチャイズになるべきだったんじゃないかね?」
 幾度も繰り返されている妻の愚痴に、うとうとしながらいつもの返事を返す夫。
「う〜ん、でも、ニョロ子ちゃんが、コンビニグルメの味はここが一番だって、おススメしてくれたとこだしな」
 ニョロ子 (jz0302)というのは山本夫妻の知人である、はぐれ天魔の幼い娘である。
 まだ素で六歳なのだが、味覚に定評があり、レストランチェーンのオーナーが困った時にアドバイスを求めるほどだ。 
 今年、久遠ヶ原学園に入学してからは、ちょくちょくお弁当を買いに来てくれる。
「確かにここの弁当やコンビニグルメは他より美味しいよ、でも本当に味を求めている客はレストランや、惣菜専門店に行くんだよね」
「そうなんだよな」
 溜息をつく山木夫妻。
「他にもメジャーコンビニにはない特徴が何かないと、太刀打ちできないんじゃないかね?」
「特徴なあ、いつも考えているんだが、これといったのは思い付かんのよ」
「バイクも買わされたけど、週に一回くらいしか動かない状態だしねえ」
 本社の方針で五千円以上の買い物なら、ネットや電話注文でのバイク宅配も受け付けている。
 ただ、コンビニで五千円以上も買い物する客は、それほどいなかったりするのだ。


 一向に進展しない経営会議をぐだぐだやっていると、ようやく客が来た。
 しかも六人。
 歳格好からいって久遠ヶ原学園の生徒のようだ。
 彼らは、お菓子やらドリンクやら、おつまみやらを値札を見て吟味し、カゴに入れ一人一人、レジに持ってきた。
 毎日一組は、このような集団客が来る。
 遅い時間、なぜこんなに買い物するのか山木夫妻も不思議だった。
 とはいえ、一時的に混雑するのであまり悠長に会話もしていられない。
 相手も非常に疲れた顔をしている場合が多く、話しかけにくいのもある。
 気ぜわしく五人目までの会計をすませる。
 全員が一様に、千円前後の会計だった。
 六人目――最後の少年に山木妻が、思い切って尋ねる。
「こんな遅い時間に、みんなで何かするの?」
 
「はあ、僕ら撃退士で、今、任務から帰ってきたところなんです。 それで打ち上げにホームパーティやるんです」
「任務、それは御苦労さま」
「ホームパーティとは、楽しそうだね」
「でも僕ら学生でお金ないんで、一人、千円くらいの予算で提案しないと、みんな乗って来ないんですよ。 その中で工夫して盛り上がるものを買うのはなかなか大変なんですけど」
 はにかんだ顔で笑う少年。
「ふむ――」
 撃退士たちが去った後、またヒマになったレジで山木夫妻は考え込み始めた。
 この土地柄、そして比較的縛りの少ないマイナーコンビニならではの、サービスを生み出せないだろうか?
「任務は大抵六人から八人で行うらしいな、それで一人頭千円使うならバイク宅配も出来る」
「一人頭、千円のパーティセットみたいのを作れば、利用する子たちは意外といるんじゃないかしら? 任務帰りで疲れている時に買い物に来るより、セットを注文宅配出来た方がお手軽でしょ?」
「いいかもしれないな、千円パーティセットか」
 ただ問題は、何をそのセットに入れれば、楽しいパーティ、盛り上がるパーティになるのか、よくわからないのである。
 この時間の買い物客は、一人ずつが思い思いに、皆でシェア出来る飲食物を買っているように見える。
 フライドチキンなどシェアにしくい食べ物の場合、人数分買っているようだ。
 中にはトランプや、パーティゲームなどを買ってゆく人もいる。
 皆、パーティが盛り上がるよう、少ない予算の中で工夫をしているのだ。
「世代が違う素人が見当違いのセットを組むより、ターゲットである撃退士に依頼して、パーティが盛り上がる商品を真面目に検討してもらった方がいいかもな」
 翌日、山木夫妻は依頼を斡旋所に持ち込んだ。


リプレイ本文


「実は私、同年代の方とだけ集まってパーティというのもした事がありません」
 山寺真人(jb8868)の自己紹介に、コンビニレジで山木妻が、目を瞬かせた。
「あら、若いのに珍しいねえ」
 時刻は深夜一時三十分。
 コンビニ二階にある山木家の空き部屋を借りるために、参加者一同がレジで挨拶をした時の事である。
「実家は田舎でしたので、周囲にコンビニはありませんでしたし、此処へ来てからも、そう利用する機会は多くはないのです」
 外見通り、朴訥とした話し方の真人。
「ふむふむ、コンビニ初心者やな! 安心せい、一晩で達人にしたるわ!」
 葛葉アキラ(jb7705)が、外見通り華やかに宣言した。
「早くも目的が変わっている気が……」
 田村 ケイ(ja0582)も、外見通りさりげないツッコミをする。
「初心者としては、何を買えばいいのでしょうか……?」
「まあ、とりあえず美味そうなもの買うたらええんや! 自分で喰いたいもの喰わんと楽しいパーティに出来へんからな!」
「はあ、わかりました。 では、まずチキンを――チキンだけでも、こんなにあるんですね、これは予算に収まりそうにない」
 レジ内にある、ホットスナックのケースを覗き込む真人。
 

 その間、他のメンバーは店内を回り、思い思いの品をカゴに入れている。
 仏蘭西人少女、リシオ・J・イヴォール(jb7327)が躊躇いもなく、トランプをカゴに放り込んだ。
 個人予算千円の八割を削る、大型商品である。
「いきなりトランプ?」
「パーティーなラ、やっぱリゲームなのでス!」
「それはわかるけど、肝心の食べ物を買えなくならない?」
 ケイに尋ねられたリシオは、自信満々に胸を張った。
「ですネー! でモ、秘策があるでス!」


 リシオが日用品コーナーに移動すると、すでに向坂 玲治(ja6214)が、紙コップセットと紙皿セットを手に取っていた。
「玲治君、それ買うですカ?」
「おう、悪いか?」
 ぶっきらぼうに答える玲治。
 リシオの目が輝いた。
「皆のためニ黙って気を遣ウ! これゾ、ブシドーですネ!」
「全然、違うぞ」


 怜治がレジに並ぶと、パウリーネ(jb8709)が、山木夫妻に心配そうな顔をされていた。
「お嬢ちゃん、これしか食べないのかい?」
 パウリーネのカゴに入っているものは、唐揚げとサラダのみ。
 現在、彼女は本来の姿だという魔女モードではない。
 小さな魔女っ娘モードになっているので、老夫妻にたしなめられている。
「食べなきゃ、大きくなれないよ」
「案ずるな! 吾輩、条件さえ整えば大きくなれるわ!」
「大きくなる条件は、まず食べる事だよ!」
 パウリーネの特殊な体質は、山木夫妻自身に理解してもらえなかった。


 買い物を終え、全員、二階にある空き室に移動した。
 絨毯の敷かれた洋間にテーブルと、エアコンが設置されただけの部屋だ。
「こんな風に部屋に集まった事がないので、どうしていいかわかりませんね……お手伝い出来る事があればぜひ」
 真人の申し出に玲治は、コンビニ袋から紙コップと紙皿、レジでもらった割り箸を取り出した。
「とりあえず、みんなでこれを並べてくれ」
「おハシを貰うのハ、気付かなかったでス! ブシドーは奥が深イ」
「だから、違うっての」
「プラスプーンと、フォークも買っておいたわ、何でも食べられるで!」
 テーブルの上に、即席の食器が人数分並んだ。
 怜治が炭酸飲料、真人が麦茶の大ペットボトルを購入してあったので、皆でそれを紙コップに注ぐ。
「乾杯の音頭は誰がとるのであるか?」
「踊るですカ? 日本ハお盆が近いと音頭ですカ? 要チェックでス!」
「その音頭とちゃうわ!」
 集まったメンバーの個性が濃厚過ぎて、開始前からカオス化している。
「もう面倒くさいから俺がやるわ。 なんかよくわからんが――乾杯!」
 皆が口ぐちに乾杯斉唱して、パーティが始まった。


 怜治がスナック菓子を背面から開けた。
「スナック菓子のパーティ開けは基本ね」
「誰でも、手を出しやすくなるからな」
 ケイも、自分で買ったカップゼリー詰め合わせを背面開けする。
「私のもどうぞ」
「わーイ、じゃあ、さっそくもらうでス」
 リシオはスナック菓子と、カップゼリーを手に取った。
 だが、すぐに食べるのではない。
 トランプの残金で買った食パンを取り出している。
「何する気だ?」
「こレでサンドイッチ作るデス! 具を買うお金なかっタでスかラ、具はミンナの余り物デ」
「それが秘策?」
「スナック菓子と、カップゼリーのサンドイッチ!?」
「もう少し、マシな具があるでしょ」
 テーブルの上には、真人が買ったチキンに魚のフライ、パウリーネが買ったサラダ、唐揚げ等、具に向いていそうなものが見える。
「でモ、ああいうの貰うのわるいでス……」
 確かに一つずつしかないものは貰いにくい。
「なら、これはどう?」
 ケイは自分のコンビニ袋から何やら缶詰を取り出し、開けた。
 中身を食パンに挟み、プラフォークで六つに切ってミニサンドを作る。
「はい、食べてみて」
リシオの唇に寄せる。
「ほら」
「あーン」
 金髪美少女と、黒髪のボーイッシュお姉さん。
 百合好きな人間がいたら、顔がほころんでしまいそうな光景だ。
「お、美味しいでス! むしロ、美味しすぎなほどでス!」
 ケイが開けたのは、タイツナカレー緑という小さな缶詰だった
 皆が、ミニサンドを一つずつ食べる。
「これは美味い!」
「今、ネットやTVで話題の商品やね、二百円程度で本格的タイカレーの味が楽しめるちゅうて」
「このカレーサンドは主食になるであろう」
「一口食ったら、ガッツリ食いたくなる味だな、残金でこれを買い足すか?」


 皆が買い物をしたレシートを、照らし合わせてみた。


☆ケイ
ウェットティッシュ 100円
ティッシュ 200円
ティーパック 100円
タイツナカレー緑缶 200円
一口ゼリー詰め合わせ 200円

計800円

 後片付けの事まで考えたのは、彼女一人。
 チキンやスナック菓子で手が汚れる事も見越してある。
 仲間と家主への、さりげない気配り


☆玲治
紙コップセット 150円
紙皿セット 200円
大ペットボトル炭酸飲料 300円
スナック菓子2袋 200円

計850円

皆で食べる事を、意識した構成。
基本中の基本を抑えてある。


☆リシオ
トランプ 800円
食パン 200円

計1000円

一点豪華遊戯主義。
かつ、残金でシェア出来る主食を確保している



☆パウリーネ
サラダ 250円
唐揚げ 150円

計400円

サラダ、唐揚げともに一人用だが、資金を残し、後から出たニーズに対応出来るようにしてある
戦争に例えるなら、遊軍ポジか?


☆真人
大ペットボトル麦茶 300円
フライドチキン2個 300円
フィッシュフライ  200円
アップルパイ    200円

計1000円

油物多しだが、胸がもたれぬよう麦茶を用意。
外見によらず、スイーツも好きなのか?


☆アキラ
プラスプーンセット 100円
プラフォークセット 100円
ホットケーキミックス 300円
チョコチップクッキー小袋  150円
プレーンヨーグルト 350円
計1000円

スプーンとフォークは必需品だが、残りの構成が謎。
その理由は、今から明かされる。

 総計すると、まだ資金が950円程余っていたので、缶詰を買い足し、グリーンカレーサンドをテーブル上で作って食べた。
 そのまま新商品にして、発売しても良いくらいの美味だ。
「そのまま摘まんでもよし、パンにはさんでもよし、最近のコンビニってすごいわねえ」


「次は、デザートやで!」
 アキラは、チョコチップクッキーを粒がわかる程度の大きさに砕いた。
「何をしているのでしょうか?」
「簡単なオリジナルスイーツや! チョコチップクッキーを砕いて、ヨーグルトに投入! ヨーグルトとチョコの相性は意外とイケるんやで?」
「それも美味しそうです」
「今のヨーグルトを冷蔵庫を寝かせている間に、もう一品!」
 冷蔵庫がこの部屋にないので、山木夫妻に頼んで、自宅の冷蔵庫、ついでに電子レンジを貸してもらった。
「今度はチョココーティングのビスケットを砕いて、ホットケーキミックスと合わせて練り練りするんや!  それを余った紙コップに三分の二位入れて、レンジでチンや。  これで簡易チョコレートパウンドケーキの出来上がりや! ヨーグルトを出してきて、ちょっとしたスウィーツの出来上がりやね」
「完成品ではなく、テーブル上で手を加えて美味しくするっていうのは、ホームパーティらしくていいかもしれないわね」
「冷蔵庫と電子レンジがある状況、限定だけどな。 一人暮らしの撃退士でも部屋にある奴は多いだろうし、何種類かパーティセット商品を組むなら選択肢としては、アリじゃねえの?」
 


「そろそロ、トランプしませんカ?」
 テーブル上の食べ物がほぼ片付いた頃、リシオがトランプを取り出した。
「いいわね」
「やったるか!」
「異論なしである」
 皆が乗り気な中、真一だけは腰が引けている。
「お恥ずかしい話ですがトランプゲーム等もほとんどした事がなくて……教えて頂けますか?」
 すると、玲治が折りたたんだ紙を真一に渡した。
「六人で出来る簡単なゲームを調べて、印刷しておいた」
「おオ! 怜治は気配りキングですネー!」
「なんだそりゃ」
 ルールブックに書かれていたのは、ババ抜き、七並べ、大富豪の三種類。
 まだ、時間もあるし、一通りのゲームを何回かずつやって、順位点を付け、最終的にビリだった者が罰ゲームを受ける事になった。


 一回戦、ババ抜き。
 ケイがカードを切り、全員に配った。
「この段階で、同じ数のペアを捨てて構わないんですよね?」
「そうね」
 この時、不敵な笑いを浮かべる者が一人。
「フッ、そういうルールなんで、こういう事も起こるわけや!」
 アキラが、持ちカードを全て捨て山に置いた。
 全てのカードが最初からペアになっていたのだ!
「天和や! ドヤァ! ウチの引きの強さは!」
「お、すげえな」
 しばらくドヤ顔だったアキラだが――。

「貴様、引かれたくないカードをガッチリ持つでない! トランプが破れるであろう!」
「フフッ、ケイさン、ポーカーフェイス崩壊でス、顔にでますヨー!」
「あら、心理戦とは面白いわね」
 真剣勝負している五人をアキラは、輪の外から眺めている。
「……みんな、楽しそうやね」
「ぎゃワーー! それ取っちゃダメでス!!!」
「真人さん、慌ててシャッフルするのやめた方がいいよ、ババ引いたのバレバレだから」
「言われてみれば……」
「くっ! 今度は強く持っていた方がババとは! 貴様、はかりおったなっ!」
 盛り上がる仲間たちの輪の外でアキラは蚊帳の外だった。
「もしかして、ババ抜きって最初にあがった人が、一番楽しくないんちゃう?」


 二回戦、七並ベ
「七並ベは得意でスー!」
「これは、即あがりとかないから安心やな」
 ケイが、玲治のルールブックを眺めて、ある部分に目を止めた
「このゴーストルールって何?」
「パスを四回した奴は、脱落になるだろ? まだ脱落してないプレイヤーは、脱落したプレイヤーと会話をしちゃいけないってルールだ。 会話をしてしまうと、そいつも脱落になる」
「地方によって、ルールって違うものね」
「よくわかりませんが、壮絶に嫌な予感がします」
 真人の予感は的中した。
 最速で四回パスした人間がいたのだ。
「ねえねエ、真人さン」
「はい?」
「ウフフッ、ボクと会話しましたネ! これで真人さんもゴーストでス!」
「やられましたか……」
 まだ半分以上残っていた持ち札を、場に並べる真人。
「ケイさン、ケイさン、休みの日何してますカ?」
「……」
「アキラさン、晩御飯何食べましタ?」
「あつは、なついねー」
「玲治さン、何でハートの6持ちっパですカ?」
「うぜぇ」
「フフフッ、玲治さん答えましたね、ゴーストの仲間入りでス!」
「別のゲームになっている気がするのである」
「お前、絶対、わざと脱落しただろ」
 七並べは、いかにリシオをスルーするかというゲームになった。


 ラストゲームとなる、大富豪。
「どや! 通らば勝利や!」
 アキラが自信満々に出したジョーカー。
 その上にパウリーネが3を三枚置いた。
「受けよ! 吾輩の大魔術・砂嵐!」
「なんやねん、それ!?」
「3を三枚出せば、どんなカードにも対抗出来る高位魔術ぞ! 知らぬとは言わせぬ!」
「知らんわ、そんな役!」
「ありえぬ! 砂嵐なくば、毎度3を押し付けられる大貧民に勝ち目はなくなるではないか!」
「工夫すれば、這い上がれるやろ、8切りに4止めで対抗とか!」
「それこそ何を言っているのだか、わからぬわ!」
 言い争う二人の脇で、真人がルールブックを再確認している。
「どれも玲治さんのルールブックには書かれていませんね」
「大富豪は、地方ルール多すぎるから、話し合いで決めてくれって書いちまったからな」
 この後、皆が、自分の地方のルールを出し合い、どれを採用するかで、白熱したバトルが展開された。


「罰ゲームは、リシオだな」
 怜治が得点票の集計を終えた。
「得意な七並べで、わざと負けまくっておったから自業自得であるな」
「うう、デコピンだけはイヤでス」
「デコピンは罰ゲームの基本ぞ」
 いくつか罰ゲーム案が出たため、最後はくじ引きで何をするか決定していたのだ。
「じゃア、これデ!」
 リシオはクジを引いた。
「俺が考えた奴だな『シメの挨拶で面白い事を言う』だ」
「いわゆる無茶ぶりって奴やね、人間そう言われると、必ずスベるもんや」
 だが、リシオは自信満々にニコニコしている。
「大丈夫でス! とっておキの超面白話をするでス! 大爆笑間違いないですヨー」
「なぜ、自らハードルを上げる……」


「お疲れ様、そろそろ終わりの時間よ――あら」
 山木妻が、ねぎらいにお茶を持ってきた時、部屋中は凍り付いていた。
「寒い……寒いのお……」
「体の震えが止まりません、こんな氷結系スキルがあったとは、勉強不足でした」
 部屋の隅で、震えているパウリーネと、真人。
「きっとエアコンの効き過ぎね、私は何も聞かなかった、そう聞かなかったから」
 ティーパックから煎れたホットティーを、ひたすらがぶ飲みするケイ。
「あ、あラ? 今の話、面白くなかったでス?」
 皆の顔色を見て、おろおろしているリシオ。
「いくら何でも、あれはな」
 溜息をつく玲治。
 リシオが『とっておキの超面白話』をした結果が、これである、
 その様子に、事情がわからない山木妻は、肩を落とした。
「やっぱりコンビニの商品じゃ、盛り上がるパーティなんか出来ないのかねえ」
 そんな事はない。
 撃退士が購入した物で、十二分に盛り上がった。
 セット商品開発の基盤としては、充分だっただろう。
 グリーンカレーサンドと、ヨーグルトチョコパウンドのレシピも添え、オリジナル商品としての価値も増している。
 ただ、シメの挨拶のせいで、全部台無しになっただけである。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: cordierite・田村 ケイ(ja0582)
 崩れずの光翼・向坂 玲治(ja6214)
重体: −
面白かった!:6人

cordierite・
田村 ケイ(ja0582)

大学部6年320組 女 インフィルトレイター
崩れずの光翼・
向坂 玲治(ja6214)

卒業 男 ディバインナイト
大切な家族へ・
リシオ・J・イヴォール(jb7327)

高等部3年13組 女 ルインズブレイド
鬼!妖怪!料理人!・
葛葉アキラ(jb7705)

高等部3年14組 女 陰陽師
大切な思い出を紡ぐ・
パウリーネ(jb8709)

卒業 女 ナイトウォーカー
撃退士・
山寺真人(jb8868)

大学部5年26組 男 バハムートテイマー