.


マスター:スタジオI
シナリオ形態:ショート
難易度:非常に難しい
形態:
参加人数:6人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2016/12/19


みんなの思い出



オープニング


 久遠ヶ原ケーブルTV会議室。
 本日、新番組の会議が行われていた。
「次の新番組はクイズ番組である! 番組名およびコンセプトは“ニセカコ”」
 体格のいい壮年男性ワルベルト局長が、王様っぽいあごひげを震わせつつ声を轟かせる。
「ニセカコ?」
「偽過去ということなんだな?」
 局長の姪であり、バイト女子アナの四ノ宮 椿(jz0294)と、ワルベルトの後輩で学園教師のクレヨーが尋ねた。
「そう偽りの過去、ニセカコだ。 VTRや実物を若い回答者に見せて、それが過去に実在したものなのか、現代の技術で捏造されたものなのかを当ててもらうという内容である!」
「若い回答者というと私も入るのだわ?」
「今の説明で、食いつく箇所はそこなんだな!?」
 前のめりの椿に、戸惑うクレヨー。
「回答者は小学生である、低学年くらいの」
「絶対に入らないのだわ」
 31歳が若いかどうかという議論は永遠に置いておく。
「内容だが。 初回は大人にも子供にもとっつきがよいということで“特撮変身ヒーロー”にしようと思う」
「つまり、偽の“なつかしのヒーロー番組”を作って、それを小学生に本物か偽物か悩んでもらうということなのだわね」
「さよう、昭和的特撮変身ヒーロー番組だ」
「今は小学生も普通にネットを使えるから知っているかもしれないんだな。 放送中のヒーロー番組に昭和の先輩ヒーローがゲスト出演することもあるんだな。 詳しい子にはバレてしまうんだな」
「ふむ、ロングランシリーズものだと最近のものをきっかけに過去作品を辿られてしまう可能性があるな。 全くのオリジナル。 シリーズとしても1~2年で終了したマイナーヒーローをチョイスしたという体裁にするのである」
「それなら知られていない可能性もあるんだな、悩んでもらえるんだな」
 局長たちは話し合った末、マイナーな特撮番組の中の一話を抜き出してダイジェスト編集したもの、という設定のVTRを学園生たちに監督兼出演してもらい制作してもらうことにした。
 撮影機材は昭和当時のものを中心に再使用する。 解像度や音質、画面サイズでばれる心配もない。
 CGは使わず、昔の特撮と撃退士のアウルスキルで演出を賄う。
 なお小学生は島外の子供を三人、回答者として採用する。
 出演者と顔見知りである心配はない。
 要は内容勝負。 制作側の学園生と、小学生の対決番組である。

 登場キャラ及び、ストーリーの大筋を下に記載する。
 なお、番組タイトルは主人公のヒーローネームと同一。 他の各種ネーミング、設定、台詞、ファッション、戦闘スタイル、具体的な内容などは本人たちで考えて欲しい。
 各キャラとも変身能力の有無や特殊能力、乗り物やアイテムなどは自由に設定すること。

●登場キャラ(同じポジションのキャラは基本的に1名ずつ)
 メインヒーロー……変身必須。 主人公。 トドメ役。
 サブヒーロー……変身可。 半敵対状態のダークヒーローでも主人公と親密でもよい。
 ヒロイン……変身可。 番組の華。
 ターゲット……変身不可。 事件の被害者。
 悪の首領……変身可。ラスボス。
 悪の幹部……変身可。中ボス。
 悪の怪人……変身可。
 そのほか……上記以外で登場させたいキャラはサポート枠として募集。

●あらすじ
☆シーン1-悪の組織アジト
 悪の首領が大いなる野望を口にし、それをなす過程として悪の幹部とともになんらかの作戦を立てる。
 悪の幹部がその実行を怪人に命ずる。
 
☆シーン2-ヒーローの日常
 メインヒーロー、ヒロイン、場合によってはサブヒーローが平和な時間を過ごしている。
 
☆シーン3-事件
 悪の幹部と怪人がターゲットに悪さを働き、シーン1で計画を立てた事件を起こす。

☆シーン4-戦闘
 シーン3の事件を察知したサブヒーローやヒロインが悪の幹部や怪人と遭遇。 
変身し、戦闘する。
 最初はヒーロー側が圧しているが、何かをきっかけに窮地に陥る。
 ヒロインがメインヒーローに救援連絡をする。

☆シーン5-決着
 メインヒーローがかけつける。
 変身し、戦闘に加わる。
 必殺技で怪人を倒す。

☆シーン6-エピローグ
 今回の事件に関するシメのシーン。
 ターゲットとはここでお別れ。

☆シーン7-次なる野望
 悪の首領と幹部が悔しがる。
 次の怪人を呼び出し、次期作戦の予告。


 プロットを読み終える椿とクレヨー
「まあ、テンプレ的な流れね」
 今のところ、目立ったツッコミどころもケレン味もない。 ここにどう肉付けするかは出演者が決めるのである。
「ヒーロー、ヒロインで分けられているけど、参加者が全員男性や全員女性だった場合はどうするんだな?」
「その辺りは臨機応変だな、昭和にも戦闘ヒロインものはあったし、ヒロインポジなら男性でもいい」
 ざっくりとだが、こんな条件でのヒーロー番組作りである。
 新クイズ番組の成功のため、協力してくれ!


リプレイ本文

●決戦前
 久遠ヶ原ケーブルTV島外特設スタジオ。
 ここでは“ニセカコ”の第一回放送分の収録が開始されていた。
「今のVTRを見てどうだったかな、キッズたち」
 今はAのVTR、つまり本物の70年代特撮ヒーローVTRを見せたところである。
 自ら司会を務めるワルベルト局長に問われた小学生回答者は、自分の親さえ生まれていない時代のヒーローに率直な意見を述べた。
「眉毛が濃い」
「メットがでかすぎ」
「怪人の下半身がジャージだった」

●緊迫する楽屋
 その様子を、数m先の楽屋から久遠ヶ原学園生たちが生で眺めていた。
 これから流されるBのVTR。 即ちニセの昭和変身ヒーローを作ったメンバーである。
「くっ、ちびっこどもめよく見ていやがる」
 ターゲット役の、ミハイル・エッカート(jb0544)の顔に焦りが浮かぶ。
「意味不明にでかいメットと、低予算ゆえのチープなスーツこそ昭和特撮の味ばい!」
怪人役、阿岳 恭司(ja6451)は燃えている。 昭和でも平成でも特撮大好き男である。
「うぅ、やっぱり雪ノ下先輩にヒーローやってもらうべきだったっす」
 眼鏡の中学生男子、高野信実(jc2271)が涙目で見上げるのは、隣に立つ雪ノ下・正太郎(ja0343)の顔だ。
 変身ヒーロー撃退士として長年活躍し続けている雪ノ下が、なぜか今回は悪の幹部役に回ってしまった。 主役ヒーロー、パトライバーを演じたのは高野だ。
「自信を持て高野くん、キミはなすべきことを立派になしとげた」
 こういう言い方からしてヒーローが根についているのが雪ノ下である。
 高野の中で、キャスティングミスへの不安は高まる。
「それを言うなら私もだ」
 遠石 一千風(jb3845)はヒロインを演じた美少女なのだが、
「昭和の女優にしては背が高すぎるんだよな、やはりヒロインは水無瀬さんのほうが」
 自分のモデル体型が不安材料になっている。
 主役の高野より20cm以上高いのだ。
「あわわ、あんまり撮影に参加出来ずにごめんなさいだよ」
 新婚アイドルの水無瀬 文歌(jb7507)。 彼女は撮影には参加したのだが、諸所の都合で、メイン級の役は出来なかった。
「その辺りは設定でなんとかしたつもりだが」
 一千風の言葉に歯切れが悪い。
 どの顔からも不安がぬぐいきれていない。
 勝って得られる報酬差はそこまでの額ではないのだが、懸命に工夫し撮影した以上、やはり勝ちたい。
 仲間の声を腕組みして聞いていた鐘田将太郎(ja0114)は閉じていた目をカッと見開いた。
 モニターの向こうの小学生回答者たちに怒号する。
「ジャリども! 1970年代の特撮がどんなものか見せてやる!」
 気合の迸る発言。
「ま、ニセだけどな」
 小声で付け加える。
 実際は2016年の末に造った新作である。
 なお編集は局の担当者に頼んでしまったので本人たちも完成フィルムを見ていない。
 どんな出来になったのか、知るものはいないのだ。
 自信など持てるはずもなかった。
『パトライバー』
 70年代風のロゴタイトルがモニターに表示される。
 全員の喉がごくりと鳴った。

●シーン1 悪の組織アジト
 薄暗い地下アジト。
 謎の成分かわからぬ謎の煙が立ち込めている。
 ここに、黒い甲冑の男が歩み入ってきた。
 雪ノ下演じる地獄侯爵フロムヘルである。
 フロムヘルは、アジト最奥の壁に向かって話しかけた。
「米印総統閣下、アメリカ国防長官のミハイルが定刻通りに日本に到着いたしました」
「地獄侯爵フロムヘルよ、ミハイルを誘拐するのだ。 日本と米国の戦争が再び起きれば、これを機に全世界が滅ぼしあうだろう」
 エコーの効いた声で語る米印総統。
 その姿は、アジト最奥の壁と一体化した巨大な顔だ。
 額に“米”の文字があり、仮面の真ん中に空いた大きな穴から鐘田の顔が出ていた。
 白塗り、目の下に黒いクマ、青紫の唇という、いかにも昭和悪役なメイクをしている。
「戦争で荒廃した世界を我らの手で支配するのだ!」
「かしこまりました! その重要な役、このものが適任でしょう……いでよ、エスエルイノシシ!」
 とたん、岩が砕けた。
 破片を見てしまうと塗料を塗った発泡スチロールだと錯覚しがちな大岩を、粉々に砕きながら猪の怪人が飛び出してきた。
「ブォォォ!」
 頭につけた煙突、胴につけたカマドから煙が吹き上がる。
 良すぎるほどの体格。
 撮影中、ギャラリーに次郎さんと呼びかけられたこともあるが中身は阿岳である。
「どうだあああ! ワシの鋼のボディと、怪人最強のパワーは!」
 頭と胴のカマドから煙を立たせながら咆哮する怪人。
 “外殻装甲”で固めた胸板をドゴドゴと叩いてみせる
「頼もしいな、エスエルノシシ。 期待しておるぞ。必ずや作戦を成功させよ!」
 総統の高笑いが、日本中の空へ不気味に響いた。

●シーン2 ヒーローの日常
 警視庁。
 老朽化が進み、近年建て替えが予定されている庁舎の一室。
 そこに制服を着こんだ若すぎる少年の姿があった。
「この人が、アメリカ国防長官ですか、ハンサムだなー」
 ブラウン管に映るミハイル長官来日のニュースを少年刑事、亀山信助は、自分の机から眺めている。
「信助くん、ぼっとしてないで。 コレ、書き直して!」
 信助の机の上に、婦警リツコが、重みある書類の束を置いた。
 信助は高野が演じ、先輩役のリツコは一千風が演じている。
「ええ、こんなにですか! 帰れませんよ! 手伝ってください」
「互いに助け合おうか」
 リツコの机には、信助のものの三倍ほど書類の束が置かれていた。
「はあ……」
 溜息をつきつつ、書類との格闘戦を始める信助とリツコ。
 そのうちに飽きて書類で折った紙飛行機を飛ばし始める。
 ふよふよと飛んだ飛行機の先が、書類と格闘し続けていたリツコの眉間に、こつんと当たる。
「信助くん!」
 しまったと怯える信助だが、実はリツコも飽きていたらしい。
「コーヒー煎れてきて」
「そうこなくっちゃ!じゃ淹れてきまーす 」
 そそくさと部屋から退散する信助。
 リツコは書類との格闘を再開する。
 それから数秒後、木製ドアの蝶番がきしむ音がした。
「もう煎れたの? はやかったわね」
 振り向いたリツコの目に映ったのは、信助ではなかった。
 神秘的な雰囲気の漂う、長い黒髪の少女だった。
 文歌演じるラジャスティス星の王女である。
「ライバー姫」
 なにかが起きたことを悟り、その名を呼ぶリツコ。
 姫はエコーを帯びた声で語りだした。
「間もなく、彼がさらわれます」
「彼?」
 姫の視線の先を辿ると、その先にはつけっぱなしにしていたTVがあった。
 空港前のロータリーから、迎えのリムジンへと乗り込むミハイル長官の姿が映っている。
「ミハイル国防長官? ……これは姫の預言の力ですか?」
 リツコの問いかけに無言で姫はうなずいた。
「では、護衛の警官に連絡を!」
 黒電話をとろうとしたリツコの手を、姫は穏やかに抑える。
「その力は人間には止められません」
「怪人の仕業ということですか」
「そうです。 世界各国の要人には密かに銀河警察が護衛をつけています。 ですが、彼らでもかなわないでしょう……ジャスティスの星の力を授けたあなたたち以外には」
 それを聞き、リツコは敬礼する。
「了解しました、パトライヤー、ただちに出動します」
 うなずくと姫は己の姿を薄らがせ、この場から消えた。
 リツコは、向かいにある給湯室のドアを開けた。
「出動だ、信助くん!」
 だが、そこでコーヒーを煎れているはずの信助の姿はなかった。
「どこへ遊びにいったのよ……まったく」
 リツコは不機嫌そうな顔をしつつ、ひとりで庁舎の廊下を駆け出した。

●考察タイム
 再びカメラは収録スタジオに戻る。
 VTRのさわりを見た小学生回答者の意見を聞く時間である。
「ここまでが序盤である、なにか質問はあるかな?」
 司会のワルベルトが問いかける。
右の席の男子小学生から、さっそく疑問が返ってきた。
「なんで小学生が警官なの?」

 楽屋では、高野が立ち上がっていた。
「俺は小学生じゃない!」
 高野は童顔で小柄だが、もう中3である。
 楽屋の数m先には収録スタジオがある。
 すぐにでも向かって誤解を解きたい様子だ。
しかし今、高野が子供たちの前に姿を現したらすべてがバレてしまう。 新番組はだいなしだ。
 仕方なく、その場に座りなおして推移を見守る。
 画面の中ではワルベルトがもっともらしい顔で弁明をしていた。
『ふむ、これは1970年代、我輩が子供の頃の番組なのだよ。 その頃は、特撮番組の主役は小学生というパターンも多かった。 親しみがわくし自分も変身出来るんじゃないかという夢を子供に与えることが出来るからな。 かっこいいお兄さんをヒーローにして憧れを誘うケースと二分化されていたと言えるな』
『へえ〜』
 画面の向こうの子供たちは納得しているようだ。
 阿岳が高野の肩を叩く。
「よかよか、さすがは局長よ」
 しかし、高野は涙目である。
「弁護した箇所が! 俺、小学生だって思われたままっす!?」
 誤解が解けないまま、モニターの中で番組は進行する。
『他にひっかかった箇所はないかな?』
 今度は、中央の席の女子小学生がツッコんできた。
『悪の幹部がおかしいです』
『地獄公爵ヘルダイムのことであるかな? どこがおかしい?』
『デザインです!……なんか、かっこよすぎです!』
 今度は雪ノ下の顔が青ざめる。
「しまった」
 ヘルダイムの衣装はスーツではない。
 雪ノ下が“フロムヘル”のスキルで変身したものである。
 21世紀に生きる雪ノ下のセンスが外見に出てしまっているため、70年代の特撮番組には似つかわしくないディテールが描きこまれている。
 それに関してもワルベルトが弁護に入った。
『デザイナーにも時代を先取りする天才というものが現れるのだ。 例えば誰もが知る銀色の巨人だ。 初期のものはもう50年も前のデザインなのに、未だにいろいろなCMに出ているし、最新のヒーローと一緒に児童誌のグラビアを飾っているだろ?』
 うなずく子供たち。
 ワルベルトは、眉をクイクイ動かしながら説明を続ける。
『あのデザインを超えるシンプルで格好よいヒーローは今後も現れないと言われているほどだ。 地獄公爵ヘルダイムもそういった異才にデザインを手掛けて貰った幸運な悪役だったのではないかな?』
『うん、昔のでもかっこいいのある!』
 両サイドの男子小学生は、その説明で納得したようだ。 しかし、肝心のjsは疑いの眼差しを晴らさない
『でも一人だけかっこよすぎます。 総統とかすごいブサイクでださいのに』
 総統……鐘田が立ち上がった。
「なんだと!」
 額の米の文字、白塗り、目の下に黒いクマ、青紫の唇、今の鐘田はどれをどうとってもださい。
 最後のネタばれのために全員、役柄そのままの格好でいるのである。
 総統はアジトの壁に埋め込まれている設定のため、今の鐘田は白塗りの顔に普段の着流しを着た変なおっさんなのだ。
「俺がどんな思いでこんな格好をしていると……」
 声を震わせる鐘田。
「落ち着け、ばれたら元も子もない」
 婦警姿の一千風がそれをなだめる。
「くそお、お前らはいいよな、制服ですんで!」
 一千風、それに高野は旧式の警官制服姿だ。
 小学生でも、これが旧デザインだと知っている子はいるだろう。
 最近まで連載が続いていた超長寿警察ギャグ漫画。 その前半の巻では主人公たちが着ていたものだからである。 コミックを読んでいる子ならわかるのだ。 
「ファッションでばれる可能性が高い企画っすからね」
「警察が舞台なのは、その点でいいアイディアですよ」
 高野と雪ノ下も鐘田をなだめる。
 一千風は話を逸らした。
「ミハイルさんが着ている背広も普通の背広に見えて70年代ナイズしているんだよな?」
「おお、ダメ元でオーダーしてみたら意外に早くできてきたぜ」
 着ている背広を脱いで、その型を見せるミハイル。
 幅広ピーク襟、ハイゴージ、ハイウエストという当時のビジネスマンに流行ったタイプである。 今でも時々、注文が来るタイプだと店主が言っていた。 確かに風情を帯びたお洒落さがある。
「背広は手に入ったが、そうでない70年代ものは“創造”スキルで作ってみたんだ。 家電とかでばれると悔しいからな。 しかし、古い写真が唯一の情報源だし、どこまでリアルに再現できたのやら」
「小学生も本物はみたことがないだろうから、大丈夫……だと思いたい」
 一点のボロからすべてがばれてしまうのが“ニセカコ”の恐ろしさである。
 自信などもてないまま、パトライバーVTRの続きが始まった。

●シーン3 事件
 ミハイル長官を乗せたリムジンが道路を走っている。
 車窓にはめこみ合成で流れていくのは、70年代の東京の風景。
 ある層の人には、感涙を禁じ得ないノスタルジックドリームシティ。
 その中に、ありえないものが映りこんできた。
 道路上に噴煙をあげ追ってくる機関車だ。
「ブフォォォ!」
 機関車に化けた怪人エスエルイノシシだ!
 気付いたミハイル長官が、声をあげる。
「化け物ダー! オイ、もっとスピードをアゲロ!!」
 当時の外国人キャラのテンプレ通りにカタコトである
 スピードをあげたが、機関車から逃げられるものではない。
 瞬く間に追い越されてしまった。
 機関車は怪人の姿に戻ると、その強力で走行するリムジンを真正面から止めてしまった。
リムジンのドアを開け、逃げようとするミハイル。
 そこに、鋭拳の突きが走る!
「ぐお!」
 地獄公爵フロムヘルだ。
 定番の腹パンでミハイルを気絶させた。
「ブフォォォ! やりましたな、フロムヘル様!」
「アジトで待っているぞ」
 フロムヘルは怪人に気を失ったミハイルを担がせると煙の中に姿を消した。

●シーン4 戦闘
 パトカーが、人気のない町はずれの道を進む。
 その行き止まりに建つ怪しげな建物。
 停車したリツコは、車載無線のマイクをとる。
「怪しい建物発見、急行せよ」

 建物は悪の組織のアジトのひとつであった。
 怪人が、ミハイルを連れたままそこへ帰還する。
 その背後に呼びかける女の声。
「まて!」
 入口に長身のシルエット。
 リツコが単身、乗り込んできたのだ。
「貴様、なぜここがわかった?」
「銀河警察の護衛が、ミハイル長官に発信機をつけておいたのよ」
「飛んで火に入る夏の虫よ!」
 定番の台詞とともに、妙なファイティングポーズをとる怪人。
 ノリノリである。 着ぐるみの中で阿岳は、感慨に浸っているに違いない。 格闘リングではチャンコマンというヒーローレスラーを演じるほどの特撮ファンなのだ。。
 リツコが、変身プロセスに入った。
「パトライヤー、オンッ!」
腕を振り上げるとリツコの周りに、三色のルーレットの謎エフェクトが発生。
頭にパトライトをつけたゴーグル姿の白い超人に姿を変える。
ピンクのロングブーツや腰回りのスカートが女性らしさを表していた。
「でたな、パトライヤー!」
 頭の煙突から煙をあげ、猪突猛進してくる怪人。
 パトライヤーはそれを“縮地”で素早くかわす。
「おのれ!」
 再び突進してくる怪人。
 だが、またも闘牛のごとくかわす。
「くそ! 腹ペコでなければ……」
「逮捕させてもらう!」
 パトライヤーは、“鬼神一閃”をこめ、武器であるフェンシング剣を薙ぐ!
「ライヤーソード!」
 よろめいて倒れる怪人。
「トドメだ!」
 二撃目のライヤーソードで斬りつけようとした時だった。
 パトライヤーの右肩を黒い手が掴み、鋭く引き寄せた。
「ここはお前のくるところではない、リツコ」
 振り向くと、黒い甲冑の男フロムヘルが立っている。
「リュウセイ」
 本名を呼んだパトライヤーにフロムヘルは組みつくと、羽交い絞めにした。
「くっ、離せ」
 黒い兜の間から吸血鬼の牙が覗く。
「まだ俺が恋しいのか、ならばお前も吸血鬼になるがいい」
 首筋に迫る吸血鬼の牙。
 パトライヤー危うし、絶体絶命!
 その時、パトライヤーが胸に付けたペンダントが、曲を奏で始めた。
 オルゴール仕掛けのペンダントがもみ合うはずみで作動したのだ。
 フロムヘルが耳を抑えて苦しみ始める。
「くっ、この曲は……止めろ、止めろ!」
 もがき続けるフロムヘル。
 フロムヘルを振りほどくパトライヤー。
「リュウセイ……いや、フロムヘル! 今度こそ、逮捕だ!」
 ライヤーソードを放とうとしたその時、
「ブォォォオオオ!」
 怪人がいままでにない白煙と気勢をあげ、突進してきた。
 かわしきれず、大きく跳ね飛ばされるパトライヤー。
「きゃあ!」
「ガハハハッ! ここには石炭が山ほどあるからのう」
 両手で胸のカマドに石炭をポイポイと放り込むと、頭から出る噴煙がますます激しくなる。

 跳ね飛ばされたパトライヤーは、採石場で倒れている。
 なぜ町はずれのアジトで跳ね飛ばされたのに山奥の採石場で倒れるのか。 そんな疑問など抱いている場合ではない! 満腹になった怪人が噴煙を上げ、猛然と迫ってきているのだ!
「今度こそ処刑だ! パトライヤー」
 マスクも外れ、素顔となった彼女は気を失っている。

●シーン5 決着
 その時、白き彗星が怪人を跳ね飛ばした!
「ぐぉぉ!?」
 急ブレーキをかけて停まったのは70年式の白バイ。
 彗星の正体はそれに騎乗する、信助である。
「おのれエスエルノシシ! 許さないぞ!」
 信助は警官ジャケットを空高く脱ぎ捨て、叫ぶ。
「パトライバー、オン! 」
 信助の周りで煌めく、謎ルーレットアニメーション。
 勇壮なジングルとともに現れる青のスーツに、黄のマフラーを靡かせたヒーロー。
「パトライバー参上!」
 ガッとキメポーズするパトライバー。
 背後で花火がうちあがる。「おのれパトライパー!」
「やれ、エスエルイノシシ!」
「ぶぉぉぉ!」
 フロムヘルに命じられ、怪人がパトライバーに襲いかかる。
 両者の間に打撃戦を繰り広げられる。
「くっ! なんて力だ!」
「俺こそが最強の怪人よ!」
 戦いは互角。
 だが、その隙を狙いフロムヘルが蠢く!
「いいぞ、その調子だ!」
 掌に電撃を溜めている。
 パトライパーは、それに気づいていない。
「エスエルイノシシ、パトライバーをあの世へ道連れにせよ!」
 電撃を放とうとしたその時、フロムヘルの背中に揺れるマントを、なにものかの手が引いた。
 パトライヤーだ。
 意識を取り戻したのだ。
 至近距離でにらみ合う両者。
「邪魔をするな、リツコ」
「今度こそ確保して、貴方を取り戻すわ」
 こちらでも格闘戦が始まる。
 だが、フロムヘルの格闘技は圧倒的だ。 パトライヤーは劣勢に追い込まれていく。
「くらえ!」
 電撃を帯びた掌底を受ける。
「きゃあ!」
 倒れたパトライヤーに迫るフロムヘル。
「危ない!」
 パトライバーがとっさに飛び込んで、パトレイヤーをフロムヘルの前から突き放した。
 だがすかさず、噴煙をあげる怪人がパトライバーめがけて突進してくる。
「ぶぉぉぉ!」
 パトライヤーが、起き上がりつつ声を飛ばした。
「気を付けてパトライバー、あいつの正面からの攻撃を受けたら」
「ああ、だが」
 猛スピードで突進してくる怪人を、パトライバーとパトライヤーが左右に分かれてかわす!
「この怪人、横の攻撃には弱い!」
 パトライバーとパト左右からの同時とび蹴り!
「ぐぉぉぉ!」
 強烈なツープラントンに今度は怪人が倒れた!
 痙攣しながら手を伸ばす怪人。
「フロムヘル様、どうかお力を」
「エスエルイノシシ、お前の全力突進を当てればパトライバーといえどひとたまりもあるまい」
「し、しかし」
「この採掘場では、お前の好物である最高の石炭がとれる、それを食べて力をつけるのだ」
 見ると採掘場の片隅に穴が開いており、おあつらえむきに石炭が溜まっていた。
「あ、あれか! うまそうだ!」
 石炭の穴に駆けていく怪人。
「そうはいかない!」
 パトライバーは追わんとするが、その前にフロムヘルが立ちふさがる。
「邪魔はさせんぞ、パトライバー」
 打撃戦を繰り広げる両者。
 その横を、パトライヤーがすり抜けようとする。
「私に任せて」、
「行かせるか!」
フロムヘルが再び放った電撃の爆発で、泳ぐように宙を舞うパトライヤー。
「きゃあ!」
 その間に怪人は穴に辿りつき、そこに溜まった石炭を手に取っていた。
「おお、こいつはつやつやしてうまそうだ」
 石炭を胴にあるカマドに次々と投げいれていく。
「うまい! なんとうまい! こんなうまい石炭は食った事がない!」
 際限なく石炭を食べる。
 フロムヘルがパトライバーと戦いつつ、怪人に呼びかける。
「もう十分だ! 食べすぎるな!」
「うまい、いくらでも食える!」
 フロムヘルの忠告を無視し、調子に乗って食べ続ける怪人。
 だが……。
「うっ!」
 煙突から黒煙が噴き出し、苦しみ始めた。
「どうしたエスエルイノシシ!?」
「く、食いすぎた、石炭がカマドに詰まった……」
「ちっ、使えぬやつ、今日はここまでだ!」
 フロムヘルは見切りをつけたのか煙幕弾を足元に投げつけると、パトライバーたちを文字通りに煙に巻いて姿を消した。
「リュウセイ、待って!」
「フロムヘル……次は必ず逮捕してやるからなァ!」
 一方の怪人は、カマドに詰まった石炭を取り出そうともがいている。
「うぅ……」
「今よ、パトライバー!」
 うなずくとパトライバーは拳銃を構えた。
 銃の周りに“トーチ”の炎が灯り輪を描く。
 銃口の狙いは、怪人の胴で煙を噴くカマドに向けられていた。
「正義の炎で改心しろ!必殺、ジャスティスショットォォォ! 」
 迸る光線がカマドに炸裂する!
「う、うぉぉぉ!」
 致命の一撃を受けた怪人の断末魔!
「次産まれ変わる時は……リニアモーターカーがいいなああああ」
 怪人、大爆発!
 平成の世では許されない危険域の大爆発!
 これぞ昭和大爆発!
 その威力に、内心びびりながらキメポーズをとるパトライバー。
 ひとつの悪がこの世から消えた。

●シーン6 エピローグ
 戦いは終わり、東京のビル街に舞台は移る。
 護衛されてきたミハイル長官がリツコのパトカーから降りる。
「ありがとうございまス。 日本人強いデスネ。 我が国との友好関係をさらに促進させることを約束シマス」
 おじぎをして、会談が行われるビルの中に入っていくミハイル。
 それを信助とリツコが見送る。
「戦争が起こらない平和な社会がくるといいですね」
「本当にね。 でも、これから信助くんは書類の山と戦争よ」
 信助が苦笑する。
「やっぱリツコさんはおっかないや 」

 ビルの中、ひとりになったミハイルは“創造”スキルで仮面を造りだした。
 顔に装着したそれは、額に米マークのある不気味なもの。
「くくく、そろそろ俺の出番か。 さて、米印総統に挨拶しに行こう」
 仮面とともに口調まで別人となった、ミハイルは闇へと消えていった。

●シーン7 次なる野望
 悪の組織のアジト。
「おのれ、パトライバーども!」
 総統が壁の中で悔しがる。
 そのうっぷんは、そばに控えるフロムヘルに向かった。
「貴様がしっかりしていれば、せめてパトライヤーだけでも仕留められたものを!」
「申し訳がございません、なぜあのオルゴールに体が反応したのか自分でもわからないのです」
「ちっ、洗脳が完全ではないのか……貴様の命は我の意のままなのだぞ。 わかっておろうな?」
「はっ! 次の怪人こそ真の最強怪人にございます! エスエルイノシシなどとは比べものになりません!」
「うむ! 次こそは、野望を成功させるのだ!」
 満足げにうなずく総統。
 シメのナレーションが入る。
『総帥はミハイル長官を手下の怪人とすりかえていた! 危うし日本、危うしパトライバー! この恐るべきたくらみを阻止できるのか!?』

●回答目前
 VTR終了に雪ノ下がほっとした声をあげる。
「このナレーションは」
「うん、編集マンが折り合いを付けてくれたな」
 したり顔でうなずく鐘田。
 実は時間がなく撮影場所もばらばらだったゆえに、出演者各自が独自修正した台本にかなりの矛盾が出来ていたのだ。
 だが、局の編集マンにその辺りの調整を頼んでおいた。 さりげないことだが、鐘田の超ファインプレイである。
「最後の爆発すごかったっす、今見てもチビりそうっす」
「ハハハッ“ 自在花火”で演出したんだがな、ジョブ適正があわないんで派手に暴発しちまった」
「笑い事じゃないぞ」
「来週は、ミハイル先輩が爆死する回ばい」
「続ける気かよ、これ!?」
 そうこうしているうちに、楽屋のドアが開いた。
 ADが出演者たちを呼びに来たのだ。
「みなさん、そろそろ回答タイムです。 スタジオにどうぞ」
 
●回答タイム
 司会のワルベルトが回答席の小学生たちに呼びかける。
「さあ回答の時間だ、最初に見たVTRが過去に実在したヒーロー番組だと思うならAの札をあげよ、二番目に見たVTRこそ実在したものだと思うならBの札をあげるのだ!」
 ジングルが鳴り、スタジオが暗くなる。
 パトライバー出演者たちは舞台そでにあがり、息を殺して様子を見ていた。
「Bだ、B! Bをあげろ!」
 小声で促すミハイル。
 回答席では小学生たちが札をあげ始めた。
 右の回答席の男子、彼はBをあげた。
「村松はパトライバーを選んだか、なぜだ?」
「なんか、景色とか小物が古い感じがした」
 ミハイルの工夫は功を奏していたようである。
 続いて真ん中の女子、こちらはAをあげる。
「亜希子はそちらか、なぜだ?」
「局長さんの弁護が必死だったからです」
 男の心を見通すような少女の目に、大物な局長が珍しくたじろぐ。
「おお、亜希子は恐ろしい子だな」
 そして最後、左の席の男子。
 なかなか札をあげようとしない。
「むう? 井出は迷っておるのか」
 AとBの札をあげかけては、そのたびに止める井出。
 舞台そでの出演者たちは、彼に向かって必死に祈っている。
「Bをあげるっす! B!」
 念力を送るようなポーズの高野。
「bbbbbbbbbbbbbbb!」
 進化キャンセルしそうな勢いで、Bボタンをエア連打する阿岳。
 迷ったすえ、井出があげた札は…?
「どうしてそう思ったのだ?」
「エスエルイノシシが昔っぽかった」
 阿岳の自信作エスエルイノシシ、昭和さながらの合成獣パターン。 わかりやすくコミカルなキャラクターがBの札をあげさせたようである。

「では正解発表である! パトライバー出演者一同、ここへ!」
 スタジオに嬉しそうに駆け込む出演者たち。
 入ってきた出演者たちが若いままであることで小学生たちも全てをさとり、アチャーという顔をしている。
「というわけでパトライバーは、このスタッフが極めて短期間低予算で作ってくれた“ニセカコ”だったのである!」
「パトライバー! 参上!」
 打ち合わせたキメポーズを全員でとる出演者たち。
 鐘田は撮影に使った壁を切り抜いて持ってきて、それにハマるという苦労ぶりである。
「これからも新しい過去を作っていくぞ、視聴率がよければな!」
 ワルベルトの高笑いとともに、第一回目の収録は終わった。

●ヒーロー
 片づけも終わり、出演者たちはTV局の玄関を出た。
 夕空の寒さを身に沁み始めた時、背後から足音。
 そこに、回答者の小学生三人が駆け寄ってきた。
「待ってくださーい」
「ああ、おつかれさま」
「挨拶をすると彼らが高野に手を伸ばしてきた。
「握手してください」
「え? でも僕はニセモノだよ」
「パトライバー、かっこよかったです」
 小学生たちの興奮した息が夕刻の寒さに白く染まる。
 惑っている高野を雪ノ下が促した。
「してやりなよ、高野くん」
 雪ノ下にも経験のあるシーンである。
「はい、光栄っす」
 照れながらも小学生たちひとりひとりと握手をする高野。
 最後に順番が回ってきた井出が、強い意志を感じる目で高野に告げた。
「僕、変身ヒーローになる役者を目指して子役になったんです、高野さんみたいに」
 小学生たちは、嬉しそうに手を振って夕焼けの向こうへ去って行った。

「作ってみてわかった、やっぱりすげえよな」
 帰り道を歩きながら鐘田が唸る。
「正直、どんだけ金や時間があってもあんなのを作る自信はないぜ」
 ミハイルが鐘田の言葉に同意した。
「CGもアウルスキルなしに、あんな凝ったものを毎週……想像もつかない努力だよ」
「チープさが目についてしまう場面ももちろんあるけど、他が完成されていて迫力があるからアラが目立つだけなんだよな」
 男子ほどには特撮と縁がなかった文歌と一千風だが、今回の依頼でその凄さを実感したようである。
「今、50年前の特撮を見直してもCGにはない迫力を感じます。 あれを半世紀前に造ってしまうなんて信じられない」 
 雪ノ下の言葉に同じ特撮ヒーローファンの阿岳が頷いた。
「あれは情熱が生み出した技術ばい、制作時の思い出話とか調べると本当にすごかよ、鳥肌が立つばい。 あれを造りだした方々こそ、本当のヒーローよ」
 変身ヒーロー、それは日本に生まれた男の子ならば誰もが人生で最初に目指すもの。
 夢を与え、最も基本的な正義を教えてくれる。
 そして少し成長した子供には、挫折も教えてくれる。
 ここは現実の世界であり、変身ヒーローにはなれないのだと。
 だが、そこは夢の終わりではない。 それぞれに合わせ形を変えた始まりなのだ
 警察官、スポーツ選手などの現実的なヒーローになる道を選ぶもの。 ヒーロー俳優や制作スタッフをめざし、自分が見た夢を次代の子供たちに伝えようとするもの。
 日夜、地道に仕事をし、家族や愛するものを守るための“人知られぬヒーロー”となるもの。
「高野くんも永遠のヒーローになるばい、俺たちが憧れたあの人たちみたいに」
 学園生たちが今、夕日の向こうに見ている変身ヒーローの姿は、世代や生い立ちでそれぞれに違っているのだろう。
 だがどのヒーローも、あきらめずに苦難を戦い抜いたとき、人は変わることが出来るということを示してくれた偉大な存在なのである。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: チャンコマン・阿岳 恭司(ja6451)
 Eternal Wing・ミハイル・エッカート(jb0544)
重体: −
面白かった!:7人

いつか道標に・
鐘田将太郎(ja0114)

大学部6年4組 男 阿修羅
蒼き覇者リュウセイガー・
雪ノ下・正太郎(ja0343)

大学部2年1組 男 阿修羅
チャンコマン・
阿岳 恭司(ja6451)

卒業 男 阿修羅
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
絶望を踏み越えしもの・
遠石 一千風(jb3845)

大学部2年2組 女 阿修羅
かわいい後輩・
高野信実(jc2271)

高等部1年1組 男 ディバインナイト