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マスター:スタジオI
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
形態:
参加人数:23人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2016/03/30


みんなの思い出



オープニング


 今を遡る事数十日、久遠ヶ原にある斡旋所。
 ここでは、雪山にある過疎の村、雪凡村(せぼんむら)の村おこし企画会議が行われていた。
 四ノ宮 椿(jz0209)、そしてクレヨー先生が企画を出した直後、会議のラスト辺りの様子をお送りする。

「最後は我輩の出す企画であるが、名物がないなら作ればいいと思うのである」
  椿の叔父である恰幅のいい黒髭男、TV局長・ワルベルトは自信満々に宣言した。
「さっき考えたのが、これなのである」
フリップボードに貼りつけた何枚かの写真を取り出して見せる。
 兎、オコジョ、山羊、狐、アザラシ、狼、ユキヒョウ、熊……などが雪の中で暮らしている写真だ。
 他にも、オットセイ、セイウチ、ペンギンなど寒い地方の動物が写真には映っていた。
「動物もの?」
「さよう、題して雪のサファリパーク! 雪凡村の周りを囲む雪凡山に、こいつらを放し飼いするのであーる!」
「ええ!?」
 局長のトンデモ発想に声をあげる椿と、クレヨー先生。
「あの山をサファリパークに改造するんだな!?」
「お金も時間もかかりそうなのだわ、動物も集めなきゃならないし」
 局長を慕っている二人であるが、さすがに怪訝な顔をする。
「うむむ、よく考えるとそうであるな」
「どうやら、よく考えないで提案したんだな」
「叔父様発想が大胆だから」
 うなだれる局長を、笑顔を引きつらせてクレヨー先生と椿が見守る。
 だが、局長はすぐに顔をあげた。
「出来るかどうか動物に詳しい知り合いに相談してくるのであーる」
 携帯電話を手に部屋から出て行った。

部屋に残された二人は、顔を見合わせている。
「知り合いって、獣医さんにでも相談しているんだな?」
「珍しい動物を調達しなきゃいけないし、まず無理だと思うのだわ」
 などと話していると、十五分ほどで局長が戻ってきた。
「ガハハハハッ、出来ることになったぞ」
「へ?」
「雪のサファリパークだ! 野島動物園の園長に話をつけたのである!」
「野島動物園! その手があったんだな!」
「さすが叔父様、素晴らしい行動力なのだわ!」
 野島動物園というのは、動物とのふれあいと称して、撃退士に命を賭けさせるトンデモ企画が大好きな園長が経営している動物園である。
 企画に付き合った撃退士は、猛獣をモフろうとしたあげく何人も重体にされている。
「園長が野島動物園にサファリパークに興味があるらしくてな。 夏には暑い地方の、冬には寒い地方の動物を解き放って飼える場所を探していたらしい、これは一騒動起こせそうだとノリノリだったぞ!」
「一騒動起こす気満々なのだわ」
「いやいや、しゃれにならないんだな。 雪凡山は車道がほとんど通っていないんだな。 車に乗らないと、一般人は危険動物の被害に遭いかねないんだな」
「そうね、そのために車道を通したらそれこそ、時間もお金も莫大にかかるのだわ、自然破壊にもなるし」
 だが局長は破顔し、自信ありげに言い放った。
「そこで撃退士だ、撃退士がガイドとして同行すればいいではないか」
 局長のアイディアはこうである。
 撃退士を飼育員兼ガイドとし、イベント開催中に雪凡村で働いてもらう。
 撃退士が同行していれば、万が一、白熊などに襲われてもスキルを使って一般人観光客を安全に逃がす事が可能だ。
 また、スキルを使えば山中で雪の白さに紛れこんでいる白い動物を探しだし、観光客に見せる事も出来るだろう。
「この企画が為れば学園生の卒業後の進路に”サファリパークガイド”という選択肢が一つ増える。 学園生の中には、能力はあれど戦いを好まないものもいる。 学園で身につけた能力を活かせるガイドとして、働くのも良いのではないか? また、雪凡村も過疎だという事は若者人口が少ないはず、若い撃退士が働き手として永住すればその問題解決の一助にはなる」
「一石三鳥というわけなんだな」
「さすがは叔父様! 天才なのだわ!」
 クレヨー先生は納得顔。 椿に至ってはトロ顔になっている。
 
 今回は、その実験として撃退士に雪のサファリパークを散策してもらう。
 深雪の中、放し飼いにした動物を見付けられるか、楽しめるかという実験である。
また、よりサファリパークを楽しむためのアトラクションのアイディアも募集する。
「話題性は高そうだけど、また怪我をしそうな子も出そうなんだな」
「まあしょうがないのだわね、叔父様とあの動物園の企画だし、この島にはモフラーも多いから命がけで行ってしまう子も出てきそうなのだわ」
アホな大人三人は合理的だと喜んでいるが冷静に考えれば、無謀なこの企画。
 果たして、雪を血で染めずに終わるのか?
 なお、以下に舞台となる山のデータを開示しておく。

●雪凡山のデータ(PC情報)

標高1500m余。
比較的なだらかな山容。

エリア別解説

1・雪凡村(動物ふれあい村)
一合目、二合目。普通の村。民家や買い物が出来るお店やかまくらで出来た屋台あり(屋台を利用したい人は”【雪祭】雪像屋台を作ろう!”という依頼を参照)車の往来は少ない。
民家にシベリアンハスキーや、樺太犬が飼われており、道にペンギンやホッキョクウサギが放し飼いにされている。
積雪3cm平均。

【動物】ホッキョクウサギ、ペンギン、シベリアンハスキー、樺太犬、ほか

2・山林地帯(水辺の動物エリア)
三合目、四合目。 林の中にはいくつかのため池がある。 ため池は一部を海水にしている。なお、どの池にどの動物がいるのかは非公開。
積雪3cm平均。

【動物】レッサーパンダ、オットセイ、ビーバー、ラッコ、イッカク、イルカ、シャチ、ほか。

3・千年雪の谷(肉食獣エリア)
五合目、六合目”。 年を通して雪の消えることのない渓谷。何十mも雪が積もっている。 岩が多く、身を隠しやすい。 雪は上の方は固まっていて普通に歩けるが突然、ズボっといっちゃう可能性もありので気を付けること。 むろん肉食獣の襲撃にも注意!
積雪3m〜100m?
【動物】ユキヒョウ、ホッキョクオオカミ、アムールトラ、ほか
 
4・雪男の住処(謎の洞窟エリア)
七合目、八合目。 北側は階段状の崖になっている。 熊のものとも、石器時代の住居とも言われる謎の洞窟があり南から北へ抜けることが出来る。
どこかの洞窟にサスカッチマンと呼ばれる雪男がいるという噂あり。 
積雪40cm平均。

【動物】ホッキョクグマ、ヒグマ、北極狐、サスカッチマンほか。

5・山頂温泉
 岩場になっている。 天然の露天風呂があり、日本猿が入浴している。
村の名物にしようとしたが危険すぎて放置されている”ハイジブランコ”と呼ばれる巨大ブランコがある。
積雪30cm平均。

【動物】日本猿、イワシロヤギ、トナカイほか

  以上の他にも参加者が望めば、冬山に生息できる動物で日本の動物園で飼育されているものなら好きな物を解放可能。

※上記は主な生息域です。 記載されてない地域にも生息している場合があります。
※エリア間の移動は可能。 動物には通れないネットで隔てられています。


リプレイ本文

●雪凡村
 雪凡山に、様々な動物が放たれた。
 過疎村を冬季限定サファリパークにしようという実験番組”撮影開始。
 学園生たちは、思い思いの場所に散っていく。

「あー、外出たくねー、こたつ暖かっけー」
 いきなりだが、ラファル A ユーティライネン(jb4620)は、やる気がなかった。
 村民の迷惑顧みず、一軒の民家に入り込み、こたつでごろごろしている。
「ラファルよ、出発せんか」
 ワルベルト局長自ら、お叱りを飛ばしてくる。
「やだよ、寒いから」
「ようやく怪我が治ったのであろう、サスカッチマンを探して一戦してみんのか? 格闘技ファンは期待しておるぞ」
 ちなみにラファル、この局で放送しているNBDという格闘技大会に二度ほど出たのだが、二度とも重体でまともな戦いを見せていない。 格闘技ファンは本来のファイトを切望しているのだ。
「期待なんか裏切ってなんぼなんだよ、それよりひよこいないのか? スタッフにひよこ注文したら、こんな饅頭持ってきやがったぞ、無能過ぎんだろ……もぐもぐ」
 こたつに寝っころがりながら、不機嫌顔で小鳥型の銘菓を食べている。
 ここまでの画にサファリパークらしさは、ない。

 しばらくすると、キュアキュアという癒しの音色が声が辺りに響いた。
 見ると、もふもふとしたグレーと白の毛を持つ鳥のヒナがラファルに人懐っこく近づいてきている。
「ひよこか? 俺が注文したひよこと違うけど、かーいーじゃねえか! お前、ペンギンのヒナか?」
 近づいてくるそのヒナは前のめりにヨタヨタ歩いているものの、その顔つきは間違いなくペンギンのヒナだった。
 生まれたてなのか、鶏のひよことサイズが変わらない。
「これだってひよこと言えなくもないわな。 よしよし、こっちへこい、お〜、やわらけー! まじもふもふだな、お前」
 ラファルがヒナをもふり始めた時、
「ペシちゃん、ダメだよ」
 聞き覚えのある少女の声がした。
 ペシと呼ばれたヒナは、声のする方にヨトトと歩いていく。
 そこには巨大なペンギンがいて、柱に半分身を隠しながら、ラファルを観察していた。
「人間さんはこうやって、じーっと隠れながら見るものなんだよ、ほら、じーっ」
 柱の陰には二羽のペンギンが隠れていた。
 小さい方はペシを、そのまま少しだけ大きくした感じ。 大きい方のペンギンからは人間の顔が覗いている。 きぐるみだ。 その顔は同じ学園生の川澄文歌(jb7507)のものだった。
「何やってんだよ、そんなところで!」
「サファリパークをエンジョイしているんだよ」
「どこがだよ」
「最も面白い動物は”人間さん”なんだよ♪」
「俺の事を見ていたのかよ!?」
 柱の陰からラファルをジーッと見つめ続ける文歌。
「ペソちゃん、あれが人間さんの一種で、ニートっていうんだよ。 餌が運ばれてくるのを何もせずにじーっと待っているんだよ」
「失せろ!」
 ラファルは目を逆三角形にすると、ナノマシンで刃を作り出し、文歌ペンギンに投げ飛ばした。
 刃は文歌の頭上すれすれをかすめて飛んでいく。
「わわ! 待って待って、ペンギンさんたちとショーをやるから、上手にできたら許してよ」
 いくら文歌でも、動きにくい着ぐるみでは戦うどころか逃げる事すら難しい。
「ショー? よし、やってみろ! つまんなかったらわかってんだろうな!?」
 刃を構えたままのラファル。
 その前で文歌は” 群舞”のスキルを使う。
「みんなでレッツダンシングペン♪」
 文歌を中心に踊り始めるジェンツーペンギンの兄妹たち。
「南極寒いよ、ペペンペン♪」
 それを見るうちラファルの心も和らぎ、いつしか眠りに落ちていた。
「かわいいなー、ひよこは……お前、でかくなってないか? おい、でかすぎるだろ!?」
 そのままこたつの中で眠り始めたラファルは、巨大なひよこにのしかかられ圧死する夢を見たのだった。

「ふー、危機一髪だったね」
 ”ヒプノララバイ”のスキルで窮地を脱した文歌、ペソ&ペシ兄妹を連れ、村の中を歩き始める。
「他の人間さんを観察しよう♪ ほら、あれはつがいだね♪」

 文歌が見たつがいは、ユーラン・ソエ(jb5567)と御剣 正宗(jc1380)のカップルだった。
 公園に設けられた兎広場のベンチに座り、うさぎと戯れている。
 ただ、相手はただの兎ではなかった。
「お、この子ら、意外と」
「おおきいな……」
 この広場に放たれた兎は、ホッキョクウサギ。
 現生する兎の仲間では最大種だ。
 でかいやつだと7kgくらいある。
「これ頭に乗せたら、首が折れそうだよ」
 普段、頭に兎を乗せているユーラン。
 だがホッキョクウサギを頭に乗せるとなると7kgの帽子をかぶるようなものである。
「頭が安定しないよ、うさうさする」
「ゆさゆさだろ……」
 
「でも、なんてかわいいんだろう…兎さんは見ているだけで心が癒される……」
 純白の雪の中に、さらに白い兎が跳ね回っている。 命ある暖かな雪のようだ。
 膝に乗せて撫でるとずしりとした重みが心地よい。
 兎は大人しいので安心感がある。
「想い出に、この子たちをスケッチしよう」
 公園で飛び跳ねる兎たちをモデルに、ユーランはスケッチブックを取り出し、筆を這わせ始める。
 御剣は、そんな恋人の姿をしばしうっとり眺めていたが、やがて自分も何かを創作しようと思い始めた。 
 だが、特に道具は持ってきていない
「作れるのは……」

「ユーラン、見てくれ……」
 御剣が作ったのは、雪兎だった。
 楕円形に固めた雪に、耳に見立てた葉っぱと、目に見立てた木の実をつけたあれである。
 ホッキョクウサギのイメージにあわせて、思い切り巨大に作ってみた。
「ん?」
 呼びかけられ、スケッチブックから顔をあげるユーラン。
 雪兎よりも先に目に入ったのは、見たこともない奇妙な生き物だった
「なんだ、あれ!?」
 この広場にはホッキョクウサギしかいない。
 そのホッキョクウサギが、次々に変形を始めたのだ。 
 変形というのは語弊があるが、本当にトランスフォームを感じた。
「あんな兎初めて見たよ」
 ホッキョクウサギは普段と、走る時と足の長さが違いすぎる。
 ポルゾイ犬のようで、兎のイメージとはかけ離れた姿だった。
 ユーランがスマホを取り出す。
「ネットで”ホッキョクウサギ”と打ち込むと、検索予測ワードに”コレジャナイ”と出てくるね」
「本当に、コレジャナイ……」
 どうやら兎たちは、自分たちよりさらに巨大な兎。 御剣の雪兎を見て、逃げ出そうとしているらしい。
 コレジャナイ形態は逃走用形態なのだろう。 二人のいるベンチから離れていってしまう。
「皆、いってしまう……」
 寂しそうな御剣。
「こうなったら」
 ユーランが”歌謡い”のスキルで歌い始めた。
 逃げた兎を歌で呼び寄せようというのだろう。
「兎って趣味が音楽だったりするか……」
「聞いたことないけど、とりあえず」
 ユーランが半信半疑で歌い続けると、現れたのは兎ではなく巨大ペンギンだった。
「呼ばれて、飛び出て、ペペペーン♪」
 文歌である。 二羽の兄妹ペンギンも、ちょこちょこついてくる。
 文歌、カップルの邪魔をしてしまった事に気づき、気まずげに謝りはじめる。
「空気読まずにごめんなさいですよ。 歌が好きなものでつい、ですよ」
「いや、いいんだ。 それよりその子たち?」
「ペンギンのヒナか、可愛いな……」
 そんなわけで文歌は、逃げた兎の代わりにペソとペシをもふらせる事となった。
 カップルの間に留まる。
「あわわ、なんか気まずいですよ」

 さて、その逃げた兎たちの行方は?
「おぉ……戻ってきましたぁ……」
 月乃宮 恋音(jb1221)のいる、神社近くの広場に駆け込んできた。
 兎たちの巣は、こちらに設置されているらしい。
 ちなみにこの神社は、以前の依頼で恋音がうどん屋台を開いていた場所である。
 その屋台では今、巫女服姿の恋音が” チェストベリー”なるフルーツを売っていた。
「お姉ちゃん、どうやったらそんなにおっぱい大きくなるの?」
 村の女の子に尋ねられる。
 恋音の乳は、どの地方の者が見ても巨大である。
「おぉ……チェストベリーは胸の発育に良いのですよぉ……これを食べれば大きくなりますぅ」
 商売上手な恋音、自分の胸を看板に商品を売っていく。
 一緒に、同じフルーツを食べられる広場として恋音が企画したのだ。
「乳神様、この村にずっといてくれるの?」
 村の子が不安そうな顔で尋ねてきた。 村では、すっかりそのあだ名で定着している。
「残念ですが、明日には帰るのですよぉ……兎さんも、動物園に帰ってしまうのです……」
「そっか」
 寂しそうな恋音と子供たち。
「……みなさん、思い出づくりのために、兎さんと記念撮影をしませんかぁ?」
 恋音はベンチに座り、TV局スタッフに写真を撮ってもらおうとした。
 だが、子供たちは皆、恋音の胸の上に腰掛ける。
「あのぉ……皆さん、なぜそこに座るのですかぁ……(ふるふる)」
「だってすわり心地いいし」
「そこは椅子ではないのですぅ……」
 子供たちを下すと、巫女服に開いた胸の谷間の中へ、広場の兎たちが入り込んでいく。
 やはり居心地がいいらしい。
「そこは巣でもないのですよぉ……(シクシク)」
 ずっと隠れさせておくわけにもいかないので、物陰で巫女服を脱いで女性スタッフに”捜索”してもらった。
 だが、どう探しても二羽、兎が足りなくなっていた。
「兎さんを失踪させてしまうとは、大失態なのですよぉ……どうお詫びをしてよいか……」
 恋音が責任感に押しつぶされそうなのを見たスタッフ、機転を利かせる。
 壮大なオーケストラに併せ、こんなナレーションを付けた。

【恋音の乳に住みついた二羽の兎は新たなアダムとイブになった。 豊かで巨大な乳の上で地球人類を上回る文明を持つ乳球人類、ホモ・ラビエンスへの進化が始まるのだ】

「惑星でもないのですよぉ……(シクシク)」

●山林地帯
 三から、四合目にかけて広がる山林地帯。
 ここには元々あった溜池を利用して水棲動物用の飼育施設が作られていた。
 黄昏ひりょ(jb3452)は、海水で満たされた人工池の畔に佇んでいた。
 水面を飛び跳ねるシャチの姿を、先ほど肉眼で確認した。
「やつめ、この池にいたのか」
 黄昏は、ラッコやビーバーと戯れに来た。
 だが、頭を過るのはシャチの事ばかり。
 これまで依頼で、二度もシャチに襲われているのだ。
(何故、俺ばかりが? いや、もしかして…襲われたのではなく好かれているのか? これは……確かめてみる必要があるのではないだろうか?)
 真面目な性格ゆえか、確認しなくてもいいことを、確認しようとしてしまう。
 
 黄昏は、麓に降りると飼育員からバケツ二杯分の生きたイカをもらってきた。
 シャチのメイン餌らしい。
「俺とどっちが、シャチの好みか勝負だ!」
 意味不明、誰得な勝負をイカに挑み始める黄昏。
 まずイカを、人工池に放り込む。
 イカたちは、この池にシャチがいる事など知らず、開放感たっぷりに泳ぎ始めた。
「俺もいくぞ」
 パンツ一丁になり、どぼんと池に飛び込む黄昏。
 しばらく泳いでいると、水中にそびえる巨影!
 シャチがそこにいた!
(来た! 回避プロジェクト開始!)
 黄昏は自分の体の周りに繭を形成した” 忍法「玉繭」”のスキルである。
(これでかわす! いかに奴の牙が鋭かろうと、当たらなければどういということはない!)
 だがシャチは、黄昏が放ったイカを見つけると、そちらの方へスイーと移動してしまった。

 黄昏は、畔にあがる
「生き延びた……」
 空を見上げ、目を輝かせる。
 冬の太陽が目に染みる。
「なのに、この空しさは」
 生存競争に勝った黄昏。 しかし、シャチからの好感度でイカに負けた。
 敗北感は、雪山の寒さとともに濡れた肌に染み渡るのだった。

 同じ山林エリアに、カップルの姿があった。
「今日は実に良い天気だね、蒔絵さん」
「ええ、聡一さん」
 咲魔 聡一(jb9491)と天願寺 蒔絵(jc1646)のカップルである。
 二人で一緒の依頼に入ると、決まってイチャコラしている。
「……ああ認めるともさ、依頼を口実にデートしたいのだと!」
 咲魔、カメラ目線で断言。 かつては仲間だったはずの非リア視聴者に喧嘩を売る。
「さて、デートであるからにはコースの下調べくらいしておくのが常道というもの、僕はお目当ての動物の居場所を動物園の園長に聞き、この池にいるという裏付けをとっている。 咲魔聡一に限って、ぬかりはないことを断言しておこう!」
「聡一さん、さっきから誰とお話しているの?」
 カメラ目線で話続ける聡一を、蒔絵は不思議そうに見つめた。

 人工池の畔。 
 咲魔が眼鏡を外して、潜水ゴーグルをつけ始めた。
「さて、僕はベルーガを今から捕まえにいくよ。 蒔絵さんは、ここで待っていてね」
 咲魔のいうベルーガとはシロイルカの事である。
 イルカのアルビノというわけではなく、独立した種だ。体長5m、体重は1.3t程度。かなり大きいが、ぷにぷにとして可愛らしいのが人気の動物である。
「園長はベルーガと一緒に泳げるプールをサファリパークに作りたいそうだ、僕が遊泳第一号だよ」
 池に飛び込む咲魔。
 普段着のままだが、脱ぎ忘れたわけではない。透過しているので濡れる事はないのだ。

 残された蒔絵は、山林を歩き始めた。
「聡一さんが海の動物たちを誘っている間、蒔絵さんは陸上でシレツな戦いを繰り広げるのであった……」
 さっきの咲魔の真似をして自前ナレーションを付け始める。
 しかし、カメラ目線になるほどには開き直れない。
「この林にレッサーパンダがいるはずなのよね。 でもどうやったら会えるんだろう」
 ”歌謡い”やら”匠”やら使ってみるが、まるで効果がない。
「そりゃそうか、動物って基本大きい音苦手だし、パンダに職人もなにも無いよねえ」
 この山で歌って捕まえられるのは文歌ペンギンくらいである。
 預かった餌のタケノコを飼育員に聞いたエリアに点々と置き、蒔絵自身は叢に息を殺し待機する。
 しばらくすると、茶色い生き物がタケノコに寄ってきた。
 レッサーパンダは見た目が、有名なジャイアントパンダとは似ても似つかない。
 タケノコを食べ始めたところを”ヒプノララバイ”で眠らせて捕まえる。
「もふもふだ〜、でも、狸とどこが違うんだろう? これがパンダだなんて、化かされた気分にもなるよ」

 レッサーパンダと別れてしばらくしたのち、咲魔が池の畔へ戻ってきた。
 捕まえたベルーガを抱きかかえ、いい笑顔を浮かべている。
「ただいま、連れてきたよ」
「その子がベルーガ?」
「うん、触ってごらん。 寒さから身を守るために全身に脂肪を蓄えていて、とても柔らかいんだよ、プニョプニョだよ」
「噛まないかな」
 恐る恐るベルーガに蒔絵が手を伸ばす。
「プニョプニョ?……ゴツゴツだよ」
「え?」
「あとシロイルカって思ったより黒いね」
 ゴーグルを外して眼鏡をかけ直し、己が水中で捕まえたものをまじまじと見直す。
「……これ違う、ベルーガじゃない!」
 咲魔が抱いていたのは、鋸みたいな形をした黒い巨大魚だった。
「水中は視界が悪いし、大きさが近いからてっきり……池を間違えたか?」
 咲魔、スマホで巨大魚の写真を撮って麓にいる園長に送信する。
 改めてベルーガのいる池を教えてくれるようメールも添えた。
 しばらくすると返信が来た。
 青ざめる咲魔。
「バカな、これもベルーガだと?」
 園長によれば、水族館で飼われるベルーガは二種類いる。
 咲魔の想定していたシロイルカと、もう一種類はオオチョウザメだ。
 世界最大級の淡水魚で小魚を食べる大人しい魚だが、シロイルカと比べれば不細工極まりない。
「なんで可愛い方を飼わないんですか!?」
 園長に抗議の電話をかける咲魔。
 ちなみにこの園長、パニック映画監督を目指しているという変人である。
 以前”ネコカフェ”と名前の紛らわしい”ネコカカフェ”を開き、トラや獅子に店員をさせて学園生をパニックに陥れた事がある。
『だって、その子の卵はキャビアなのよ! 最高級品よ! シロイルカの卵より絶対に美味だわ!』
「比較できません! そもそもイルカに卵はありません」
 どうやら、サファリパークの資金を稼ぐためキャビアがとれる方のベルーガを養殖したいらしい。
『それと”ベルーガと一緒に泳げる”って聞いて、喜んで水に飛び込んだらオオチョウザメがいたって時の人間が、一体、どんな顔をするか水中用カメラで撮影しておきたいのよ』
「悪趣味すぎるでしょ!」
 咲魔の抗議の末、園長が折れた。
 なぜかキャビアを試食しても良いという方向で妥結してしまった。
「キャビア入りのタコノコご飯なんて最高! 超贅沢だよ!」
 レッサーパンダの餌としてもらったタケノコでご飯を炊き、キャビアを添えて食べる咲魔。
「うまい! ……だが、サファリパークに来てなぜ、こんな高級メシを食っているんだ、全く解せない」
 白い海の天使との邂逅はまだ先になりそうである。
 
●千年雪の谷
「んー、負傷中だから無茶出来ないわよねェ……はァ、雪男狩りに行きたかったなァ」
 と、言いつつも危険な肉食獣エリアに来ている黒百合(ja0422)。 危険の感覚が常識から乖離している。
 木の棒を杖代わりに、雪上に開いた穴に気を付けながら歩いていると足跡を見つけた。
「あらぁ♪ 大きい猫がいるみたいねぇ……♪」
 どう見てもやばい足跡なのであるが、黒百合はその足跡をたどっていく。
 すると、足跡に人間のものが混じり始めた。
「先客がいるのかしらァ……? もう食べられちゃっているかもしれないけどぉ……♪」

 巨大な虎が肉を貪り食っていた。
 その虎の様子を木陰から見ているのは逢見仙也(jc1616)だ。
 雪上に見つけた虎の足跡を見つけて辿ってきたのだが、その末で見つけた姿を見て身がすくんだ。
 アムールトラ。約3m、約250 kg。
 鋭い牙と爪、人間とは比較にならない力と敏捷性を兼ね備えている。
(これは正面からいったら一たまりもないぞ、肉を食っている姿は可愛いが)
 今、虎は逢見が飼育員から預かってきた肉をあぐあぐやっている。
 撫でてみたいところだが、食事の邪魔をしたら激昂する可能性は高く、下手に手は出せなかった。
(満腹になれば襲って来たりはしないだろう))
 と、いう戦略だが。
(飼育員がダイエット中だと言っていたのが気になる)
 渡された肉が多いのか少ないのか、逢見には判断しかねたのだった。
 肉を食べ終わった虎は、辺りをきょろきょろクンカクンカしている。
(ああしていると、ただの猫だな)
 気を緩めた瞬間、逢見は暖かく大きなものの下敷きになっていた。
 顔の下には冷たい雪が見える。
 頭上から生暖かい吐息を感じた。
(速い! 獣の反射神経という奴か!?)
 いくら撃退士は五輪選手並みの身体能力といえど、野生のそれには程遠い。
 逢見、絶体絶命。
(こういう時はマインドケアだ)
 虎に不安や恐怖を取り払うスキルを放つ
 すると、虎はクンカクンカぺろぺろと逢見の肉体を堪能し始めた。
(懐いたか? 違う、まさかこれは落ち着いて味見されている!?)
 虎は、逢見を餌としか見ていない。
 食物連鎖の頂点に立つ生物は、武器を持たない人型ごときに不安も恐怖も抱いてはいなかった。
「まじか、おいやめてくれ!」
 起き上がろうとする逢見だが、背中に250kgの物体が乗っている。 下が雪なので力も入らない。
 牙はそこまで迫っている。
 逢見が声にならない声を上げた時、
「あらぁ♪ 仙也ちゃん、楽しそうねェ……♪」
 少女の声がした。
 見れば黒百合がしゃがみこんで逢見の顔をにやにやと覗き込んでいる。
「黒百合さんか! こいつを何とかしてくれ!」
「ねんごろな仲を邪魔するほど、野暮じゃないのぉ……♪」
 助けてくれないらしい。
「ねんごろじゃない! 食われる!」
 逢見が必至で頼むと黒百合が、虎の背中を撫でた。
 とたん、虎は逢見の体から離れた。
 今度は黒百合の掌をぺろぺろと舐めている。
 餌の味見ではなく、友好の情だ。
「”月下香の幽香” わかりやすくいうと” 忍法「友達汁」”よぉ……♪」
「そういうのが正解だったのか」

 黒百合は、虎を抱きしめ鬣をもふもふ撫でている。
「懐けば可愛いものねぇ……♪ ボリュームがある分、猫より抱きごこちいいわぁ……♪」
 さっきまで恐怖の捕食者だった虎だが、黒百合に撫でられている姿は可愛らしい。
「俺も撫でていいか?」
「いいわよぉ……♪ 仙也ちゃんを友達と思っているのか、餌だと思っているかは知らないけどぉ……♪」
「うぅ」
 出しかけた掌を引っ込める逢見。
「あはぁ……♪ 危なかったら、透過を使えばいいじゃなぁい……?」
「すっかりわすれていた」
 虎の背中を逢見は撫でる。
「おお! お前、もふもふだな」
 逢見と黒百合は、巨大な肉食獣の貫録と撫で心地をたっぷりと堪能するのだった。

 この谷には、他にも肉食獣をもふろうとする命知らずがいた。
「木葉ちゃん、今日は雪女さんなのだわね」
「そうなのですぅ! 椿ちゃんを凍らしちゃうぞーなのですぅ」
「ハハハッ、よかったな椿、コールドスリープは最高のアンチエイジングだぜ」
 深森 木葉(jb1711)と四ノ宮 椿、ミハイル・エッカート(jb0544)の三人である。
 一見、親子連れに見えるが残念ながら当然、家族関係はない。
「ミハイルさん、なんか言ったのだわ?」
「いいじゃねえか、お前、ずっと若いままでいたいんだろ」
「凍っていたら婚活出来ないのだわ!
「びゅーびゅー! ミハイルさんも凍らせてしまうのですぅ」
 木葉は白い着物を着て雪女の格好をしている。 白い袖を舞うように躍らせた。
「ミハイルさん、例のコはいそうなの?」
「おお、そろそろ”鋭敏聴覚”を使ってみるか、静かにしてくれ」
 白合羽姿のミハイルが耳を研ぎ澄ます。
「……俺の鼓膜が捕えたぜ、獰猛な野獣の唸り声を」
 ミハイルの碧眼が雪の中に妖しく光を帯びる。
「凝った言い回しをしているけど、私にも普通に聞こえたのだわ」
「あたしもなのですぅ」
 ミハイルがスキルを使ったタイミングで、狼の遠吠えが山に響いたのだ。
「ここを離れるのだわ」
「狼さんとも仲良くしたいのですぅ」
「いや、狼は群れをなしている。 もふるにはリスクが高い」

 ミハイルは場を離れ、ところどころで”鋭敏聴覚”を使った
 そして、見つけたのは、
「「ゆきひょうさんだぁ〜!!もふもふですぅ〜!」
 雪の中からこちらへ駆け寄ってきたのはユキヒョウ!
 体長1m強の中型肉食獣。 銀色の斑が美しい。
「きれいね!」
「本来は幻の動物らしいがな、飼育員の言うとおり飼いならされている」
 ミハイルは事前に飼育員の話を聞き、いつもの時間に併せて餌を持ってきていた。
「お腹減っているのよね? 襲われない?」
「ユキヒョウは人を襲わないんだぜ」
 しゃがみこんで寄ってきたユキヒョウをもっふこもっふこするミハイル。
「よーしよしよしよし……すげえな、すげえもふもふさ加減だぜ!」
「あたしも、だっこしたいのですぅ!」
「私も!」
 ユキヒョウをもふもふしていると、岩陰からチラッと顔をのぞかせているもう一頭の銀斑に気づいた。
「赤ちゃん豹なのですぅ!」
 抱きあげる木葉。
「もっともふもふですぅ〜」
 赤ちゃん豹はびっくりしたのか、肉球で木の葉の顔をぺちぺち叩いてきた。
「うぉ! 気持ちよさそうだな! 俺も叩いてくれ」
「ミハイルさんが変な趣味に!」 
 ユキヒョウと遊びながら餌をやる三人。
「一生懸命たべているのですぅ」
「お母さんの尻尾、綺麗だわねー! 襟巻にしたらおいくら万円かしら?」
 などと楽しんでいたのだが、ユキヒョウの親子がある時、突然、逃げ出した。
「どうした?」
 気づいたら、三人は周りをホッキョクオオカミに囲まれていた。
 雪のように白く美しいオオカミ。
 だが、群れをなして襲われるとなると話は別だ。
「椿、木葉、この場は俺に任せて逃げろ」
 ミハイルが、身を挺してかばおうとする。
「ええ、でもぉ!?」
「気にするな、男は黙って盾となれだ」
「木葉ちゃん、このエリアにいるはずの黒百合ちゃんと、逢見くんに助けを求めにゆくのだわ」

 ミハイルに場を任せ、逃げる木葉と椿。
 数分後、黒百合と逢見を連れて戻ってきた。
「手遅れかもな、あいつは透過も使えないだろ?」 
「ミハイルちゃんにお墓を作ってあげましょお……♪」
 悲観的な見解を示す二人、だが現場に来てみると、
「ハッハハハ、お前らも、もふもふだな〜」
 ミハイルが狼と戯れていた。 ホッキョクオオカミは元来大人しく、また人に飼われると極端に人懐っこくなる。
「ミハイルさん、ずるいのですぅ〜」
「まさか知っていて、私たちを離したのだわ?」
 五人は心行くまで白いオオカミたちと戯れるのだった。

●雪男の家
 七合目から始まる断崖地帯。
 存在が噂される雪男を探そうという酔狂な学園生たちが、ここを徘徊していた。
「しろの〜こうめがぁ♪ たんけんにいってぇ♪」
 洞窟を出たり入ったりしている幼女は白野 小梅(jb4012)
 ガチ幼女なのに、なぜそんなものを知っているのかという古い歌を謡っている。
 その小梅には随伴して、レポートをしているのは長い黒髪の少女。
「第九の洞窟に入ったとたん、巨大な人影! これが我々の探し求めている雪男なのか!」
 桜庭愛(jc1977)、美少女レスラーとして知られる彼女だが、今日は防寒着姿。
「残念、またでしたー!」
 洞窟の中においてあったのは雪だるまだった。
「つまんなぁい!」
 それを小梅が”北風の吐息”でふっとばす。
「ん〜、人の足跡が残されているところには大体、ダミーの雪だるまが置かれてますね」
「TV的なエンシュツってやつ? もうこりごりだわ」
 小梅がうんざりとため息をついた時、明らかに人のサイズをオーバーした巨大な足跡が目に入った。
 それが雪の上に点々と続き、洞窟の中へと入ってゆく。

「よく来たな小娘ども」
 尊大な声とともに、洞窟内にあったホールのような場所にそれはいた。
 白い毛でおおわれた顔、二足歩行の屈強な肉体。
 そして足跡に見合った巨大な足、伝説に聞く雪男そのものの姿だ。
「やや! 雪男! セイキの大発見なのよ!」
 喜んでぴょんぴょん飛び跳ねる小梅。
「待って! 普通に日本語話しているよ? あなた、本物の雪男じゃないよね!?」
「その通り、俺の名はアウルレスラー・サスカッチマン! 己を鍛えるため、この雪山にこもっていた」
「やっぱり! フェンリルさんたちのビデオを見て怪しいと思っていたんだ」
 防寒服を脱ぎ捨てる愛。
 その下には、愛がいつもリングで付けている青の競泳水着があった。
 その姿で名乗りをあげんとする
「私は……」
「桜庭愛だな? NBD大会でよく見る」
「なぜそれを!?」
「情報収集は怠らん、山籠もり中だって街に買い出しにはいくし、スマホの電波だって届く」
「なるほど」
「知っているさ、お前がNBDでなかなか勝てずにいる事も、その原因もな」
「なんと!?」
 愛の戦績が振るわない事まで雪男は知っていた。
「せっかくの出会いだ、原因を体に教えてやろう。 ただし、授業料はお前のレスラー生命だがな!」
「対戦という事ですね! 受けて立ちます」

 洞窟から表に出る二人。 
 さっそく始めようとすると、小梅が間に割って入った。
「ちょっと待ってねぇ、リングを作るから」
 小梅は、木と木の間に持ってきたロープを渡し、即席リングを作り始めた。
「こ、小梅ちゃんまだ? 寒いんだけど」
 なにせ、雪山である
 小梅が工事をしている間、愛は寒さをまぎらわすため水着姿で必死に走り回った。
 
 やがて出来上がったのは、白いリング。
 そこに愛と雪男があがった。
 小梅がレフリー代わりに選手紹介をする。
「青コーナー、美少女プロレス部部長、桜庭愛ー!」
 観客は雪だるましかないが、とりあえず手を振って愛想を振りまく愛。
「赤コーナー、元六闘神・サスカッチマンー!」
 その雪だるまを、蹴り砕くパフォーマンスをするサスカッチマン
「試合は0.03秒一本勝負となりまーす!」
「短か!」
「せめて三十分にしてください!」
 小梅レフリーは、ルールとか全くわかっていない。
 遊びたいだけなのだ。

「でぃんでぃん」
 おそらくゴングと思わしき擬音が小梅の口から出て試合開始。
「今日はルチャでいくよ!」
 愛、いきなりロープに飛ぶ。
 その反動を利用しての空中前転ドロップキック
 だが、雪男はそれを腕組みしたままかわす。
 着地した愛、すかざず雪男の首めがけて飛ぶ!
「隙あり!」
 愛の新必殺技は変形フランケンシュタイナー”スターライトシュタイナー”!
 雪男。 それを蠅叩きのように掌底を振り下ろして叩き落とした!
「っ!」
 激痛! この蠅叩きには”痛打”がかけられていたようだ。
 痛みに麻痺して動けない愛に、雪男の巨体が忍び寄る。
「貴様の弱点、一つ目は”魅せる”事に注力しすぎている事」
「な?」
「魅せる技を放ちたいのなら、まずは地味な技で相手の動きを止めてからせねば決まらない。 思い通りの技をかけさせてくれる敵はそうそういないのだよ」
 雪男は呻く愛の右足を鷲掴み、剛力で担ぎ上げて頭を右肩に乗せた。
 そのまま雪男の両掌が、愛の両膝をハの字型に開いて掴む。
 女子にとってはとてつもなく恥ずかしい姿勢。
 だが、威力は必殺!
「氷結! クリスタルバスター!」
 凄まじい脚力で飛び上がる雪男。
 愛はもがくが、掴まれた膝が凍り付いていて動かない!
「二つ目の弱点は、対抗技を用意していない事だ!」
「くっ」
 落下し始める二人の体。 このまま着地すれば凍結した愛の膝が砕け散る!
「終わりだ!」
 着地直前だった。 銀色の矢が雪男の体を貫いた。
「ぐはっ」
 雪男が空中で体勢を崩し、極めていた愛の体を離してリングに着地した。
 愛の体はロープを越え、リング外に投げ出される。
「誰だ!」
「久しぶりだな、サスカッチマン」
 現れたのは、狼マスクをかぶった長身の少女だった。
「可愛い動物達の写真を撮りたかったのだけど、ロクでもな場面に出くわしたのでな」
「貴様はフェンリル!」
 アウルレスラー・フェンリル。 マスクの下にあるのは遠石 一千風(jb3845)の顔。
「もう一度相手になってやる、今度こそ一人でクリスタルバスターを破る!」
「出来るものか。 お前は何も変わっていない」
「なに?」
 愛を知っているという事は、フェンリルのNBDでの活躍も知っているという事だ。
 雪男とフェンリルの因縁は二年前のリングに遡る。 アウルレスリングで対決し、雪男がクリスタルバスターを放った。
 それをフェンリルが重心を傾ける事で上下を逆さまにする。 ”6を9へ返すバスター破り”で攻略しようとした。
 だが、体重が足りず失敗。
 最終的にはフェンリルの仲間である巨漢に力を借り、どうにか雪男を破ったのだ
「全く太ってないじゃないか、あと百キロは肥えなければ6を9へは返せんぞ」
「その方法じゃない!」
 フェンリルと雪男は同時に叫んだ。
「今度こそ、お前を倒す!」

「でぃんでぃん」
 フェンリルと雪男のリベンジ戦。
 フェンリルに掴みかかりにくる雪男。
 こいつは以前から、掌で二秒以上掴んだ部分を凍結させる技の使い手だ。
「今は、一秒だ!」
「だったら、触らせるわけにいかないな」
 フェンリルの”疾風突き”が雪男の胸を穿つ。
 ロープに突き飛ばした。
 跳ね返ってきたところにドロップキックを見舞う!
「ぐっ」
 雪男ダウン!
「さらに増した狼の力だ」
 咆哮する狼。
 だが、倒れた雪男は起き上がりざまに雪を掬うように叩いた。
 飛沫となってあがった雪、それを浴びたフェンリルの意識がかすむ。
 マジックスクリューのスキルを帯びていた。
「しまっ……」
 朦朧としたフェンリルの両膝を絶対冷却の両掌が掴む!
「あの技は!」
 さきほどの愛と同じく、逆さまにされての大股開きを強いられるフェンリル!
 クリスタルバスターだ!
 雪男が飛び上がる!
「破ってみせろ! 先程のは狼の遠吠えか!?」
「遠吠えじゃない」
 フェンリルは雪男の背を右の人差し指で突き刺した。
「狼の牙だ!」
 クリスタルバスターは相手の両腕をロックしていない。
 まともな打撃が打てない体勢だから本来は問題がないのだが、力なく見えたフェンリルの突きには”徹し”が込められていた。
「くっ」
 背中を貫く痛みに雪男は空中で体勢を崩し、地面に落下した。
「破れたり、クリスタルバスター!」
 着地したフェンリルは、がら空きになった雪男の背中を見つけしがみついた。
「くらえ、鬼神一閃」
 ”鬼神一閃”を込めたジャーマンスプレックス! その決め技を放たんと雪男の巨体を持ちあげる!
「いけー!」
 次の瞬間、純白の雪を鮮血が染めた。
 血を流しているのはフェンリル!
 雪男がマスクの上から強力な肘打ちを鼻づらに喰らわせたのだ。
「くくくっ、一か八かだったがクリティカルだったようだな」
 ぽたぽたと鼻血を流してよろめくフェンリルに、雪男が肩を揺らす。
「ジャーマンは放つ直前に隙が出来る賭けの技、貴様はそれに負けたのだよ」
「うぅ」
「わ〜、これはドクタースランプかな?」
 フェンリルの鼻血の量にどんびきしている小梅、ちなみにドクターストップと言いたいらしい。
「雪男のかちー」
 雪男の手を掲げようとする。
「ま、待て」
 ”不撓不屈”で立ち上がろうとするフェンリル。
 だが、凍らされた膝が言う事を聞かない。
 掴まれてからの”徹し”で得られた生は一瞬だったようだ。
 小梅は雪男の手をそのまま、勝利の空へと掲げた。

「もう一度です」
「私もだ」
 手当を終えた愛とフェンリルが再びリングに挑もうとした時、
「いました!」
 突然、銀色の髪の幼女がリングにあがってきた。
 雫(ja1894)である。
 身長は120cm。 愛やフェンリルと比して小柄だ。 雪男の腰までしかない。
「おあつらえむきにロープがありますね、簡単には逃げられませんよ?」
 どや顔で、指をパキパキ鳴らす雫。
「なんだ、この子供は?」
 とてもレスラーには見えない雫に、首を傾げる雪男。
「あなたのご主人様です!」
 雫はきりっとした顔で断言する。
「犬や猫はだめ、白虎でもだめ……なら幻想種に賭けるしかありません!」
 雫は動物好きだが、動物に怯えられる不憫な体質。
 そこで、幻の生物たる雪男なら自分に懐くのではないかという望みを抱いてこの山に来たのだ。
「寝ぼけた事を言っていないで、出ていけ」
 雪男は、リングから雫を摘み出そうとする。
 瞬間、雪男の視界から雫が消えた。
「なに!?」
 雫は”神威”を用いて身体能力をあげている。
 雪男の視覚から脇腹をめがけて”徹し”を込めたパンチを放つ!
「うごぉ」
 鍛え上げた腹の筋肉を通して、内臓にダメージが貫通した。
 さらに動き回って死角に入り込む雫。
 今度は”薙ぎ払い”フックを背骨に打ち込む。
「ぐぅ」
 雪男の苦戦は、雫の体格に理由があった。
 基本、体格の良いものしかいない世界のレスラーである。
 低すぎる相手と対峙した経験はない。
 さらに雫がベテラン撃退士だと知らないがゆえの”舐め”もあった。
 雫は動きの止まった雪男の右腕に小さな体で飛びついた。
 その体全てを使って、折る!
「つっ!」
 悶絶し、リングに横たわる雪男を雫は見下ろす。
「獣医に連れて行ってあげますから大人しくしていてください……ん?」
 雪男のマスクが、はがれている。
 雫がそれをとると、人間の男の顔が出てきた。
 それを見て肩を落とす。
「紛らわしい真似をして……こんな事なら僅かな可能性を信じて犬達と戯れに行った方が良かったです」
 プンスカとリングを出ていく雫。
「雫ちゃんの勝ちー!」
 小梅が宣言する中、愛とフェンリルが囁き合っている。
「雫さん、普通に殴っていましたけどあれ反則ですよね」
「プロレスだって知らないんだから、仕方ないだろ」
 雪男討伐は、雫がなしたが、このコーナーは好評につき全員にMVPを贈られた。
 なお、悪役なので憎まれ口は効いたが、愛とフェンリルに対する攻撃は彼なりのアドバイス。
 NBDでさらに活躍して欲しいがためだそうである。

 同じエリアでは、別の行動をとっているものがいた。
「がおー……雪男とかどうでもいいのです、ここは動物園なのです」
 白熊のキグルミを着てうろうろしているRehni Nam(ja5283)である。
 やる事は、ひたすらに熊のふりである。 
 時々、召喚獣のトウを呼び出す。
 トウはユキヒョウに似ている。
 プロレスに夢中になってサファリの本質を見失っている連中に、動物を見せてやろうという配慮。
「まあ、両方偽物なんですがね、遠目に見れば見た気になるでしょう」
 よくわからない親切をしながら雪上をれふれふ歩いていると、前方に見覚えのある影を見つけた。
「キュウキュウ」
 ラッコである。 二本足で歩いている。 突然変異でもない限り、鳳 静矢(ja3856)だろう。 レフニーと同じく着ぐるみを着ているのだ。
 きょろきょろとして、何かを探している様子だ。
 ふと、向こうがレフニーに気づいた。 慌てて白熊のふりをしたが、ばれているらしくスケッチブックにカンペを書いて会話を求めてきた。
「きゅー(白熊さん、伝説の大ヒグマさんを知りませんか?)」
 レフニーは生命探知が使える。
 探しているならサポートしてやろうかと考える。
 ところが、ラッコはとんでもない事を言い出した。
「キュキュ!(私より強い奴に会いに行く! 主の座は私がもらう!)」
「がお!?」
 面食らう白クマー。
『きゅきゅきゅ!(最強の寒冷地生物を目指すのだ)』
 ラッコは、大ヒグマと殴り合いをするつもりらしい。
 白クマー、焦り出す。
(動物を傷つけてしまうのはいけないのです! 依頼も失敗になるです!)
 レフニー、決意。
 動物と仲間を守るため、気持ちだけイケメンモードになる。
「がおー、がう、がおーー!」
 全然通じていないが、本人は”ラッコよ、この山の番長気取りかい? ヒグマさんに挑戦したいのなら、まずこの白クマー番長を倒すんだな”と言っているつもりなのである。
 通じないからには、いきなり殴る!
「がおっ!(白クマーパンチ!)」
「きゅう!(痛え、なにしやがる)」
 ラッコ番長もわけのわからないまま、とにかく殴り返す。
「がおっがおっ!」
「キュコキューウ!(ラッコパーンチ!)」
 白い山の中、白クマーとラッコの殴り合いは果てしなく続いた。

●山頂温泉
「燈戴さん、湯加減どう?」
 天然温泉を囲む木々の外、藍那湊(jc0170)は竹筒を持ってしゃがんでいた。
 彼の眼前には、風呂に入った祖父・赭々 燈戴(jc0703)がいる。
「おう、もっと熱くしてくれ」
 赭々は動物と一緒の入浴は、問題があると考えていた。
 そこで実行しかけたのが、人間用の温泉を掘るという暴挙。
 どう考えてもやりすぎ+山の自然を破壊するので藍那が止めたのだ。
 その後、スタッフがドラム缶風呂という代案を出した。
 今、薪に火をつけた藍那が火勢を強めるため藍那は竹筒をフーフーしている。
「僕は、犬と遊びたかったのに」
 藍那、若干不機嫌。
「孫よ、いい湯加減になってきたぞ。 一緒に入らないか?」
 赭々は日本酒をおちょこでぐいっとやる。
「お前用に甘酒も用意してあるぞ」
「そんな狭い場所に、燈戴さんと一緒に入りたくない」
「うぅ、孫が冷たい」
 赭々は、ふてくされてヤケ酒モード。
 少年のような姿をしているが年齢は80過ぎている。
 赭々が勢いよく風呂からあがった。
 孫にいいとこ見せたいのである。
「よーし! おじいちゃん、あれに乗っちゃうぞー!」
 赭々が向かったのは、危険すぎて放棄されている巨大ブランコ。 別名・ハ○ジブランコ。
「ええ、あれは古いんだよ、危ないよ!」
「魔改造する」
 赭々は天然温泉近くの木まで行き、持ってきたロープを幹ににくくりつけた
 続いてそのロープの先を持ったまま、巨大ブランコの鉄柱を陽光の翼で登り始める。
「何をする気?」
「ターザンごっこだ、俺はハイジよりそっち世代だからな」

 天然温泉に三人の少女が入ってきていた。
「\ 温 泉だ ー /\ 動 物 だ ー /」
 温泉に先に入っている日本猿を見て、はしゃぎまくっている脳筋系突撃幼女、雪室 チルル(ja0220)。
「天然温泉にボク参上!」
 目立ちたがり金髪幼女、イリス・レイバルド(jb0442)。
「風呂場を走るな、イリス」
 イリスの姉、ダウナー系金髪少女のアイリス・レイバルド(jb1510)。
 三人が、若々しい肢体にタオル一枚巻いて入浴するシーンがお茶の間に映し出される。
「あんた顔が赤いわよ? のぼせてるのね! はやくあがるのよー!」
 チルルが温泉にトボンと突撃し、先に入っていた猿を追いかけまわす。
「チルルちゃん、重体なのにテンションたけーっ、よし、ここはボクも一丁」
 チルルに続いて、猿を追いかけようとするイリス。
 だが、その肩をアイリスが掴む。
「待てイリス、ダメだと言った」
「えー! ボクもお猿をもふりたいよー」
「前にそれで怪我をした」
 イリスは、野島動物園主催のイベントでライオン一家の保存食にされかけた事がある。
 それでもなお、ライオンをもふり続けようとしたモフラーなのだ。
 イリスは、姉と温泉につかるも、その目は猿と戯れるチルルを羨ましげに見ている。
「だめだ、裸で猿をもふるとひっかかれる」
「う〜……そうだけど」
 温泉に口を沈めたイリス、ぶくぶくと不満を泡にして吐き出す。
 この時までは我慢できたのだが、やがて温泉に北極狐の親子が入ってくると状況が一変した。
 白くてふわふわした狐である。 これはもふらずにはいられない。
「もう我慢できねえ、ボクはいくぜ!」
「だめだ」
 狐に近づこうとしたイリスに、アイリスが黒い粒子を放った。
 アイリスのアウルが変性したものである。
 これがイリスの裸体を包むと、快感と不快感が交互に襲ってくる。
「アひ……やめて〜、これ、はがして〜」
「狐は、エキノコックスとか危ない」
 元々、動物園の動物なのでその辺りは予防されている。
 アイリスはひたすらに過保護だった。

 一方、猿と一緒に温泉を泳ぎ回っていたチルルは樹に引っかかっている妙なロープを見つけていた。
「何かしら、これ?」
 そのロープを、ウンシャカ(毛皮帽)をかぶった猿が伝っていく。
 チルルの着替えから奪ったらしい。
「あたいのウンシャカ! 返しなさい!」

 そのロープの先、巨大ブランコのポール頂に赭々がパンツ一丁でポール上に立っている。
「よーし、ターザンごっこで温泉にとびこんじゃうぞー」
 祖父を心配そうに見上げる藍那。
「燈戴さん、危ないよ!」
「孫よ目に焼き付けるがいい! これが昭和の野生児だ!」
 温泉まで渡らせたロープに、針の孔状に結んだ細いロープをひっかけ滑り降りていく赭々。
「アーアーアー!」
 ターザンシャウトが響く。
 その時、太いロープを伝って猿が、そしてそれを追ってきたチルルが登ってきた。
「ウンシャカ返せー!」
 猿は危機を感じて飛び降りる。
 滑り落ちてゆく赭々と、登ってくるチルルが正面衝突した!

 追いかけてきた藍那が見たのは、雪の上でタオル一枚のチルル。
 そして、その上に覆いかぶさっている海パン一枚の祖父の姿だった。
「いたた、何すんのよ、あんた!」
「あ〜、赭々さんが犯罪者に!」
 どんびきする藍那。
「孫よ、誤解を招く発言はよせ」
「僕は、自分の血が忌まわしい」
 藍那はがたがた震えている。
 そこに、傷だらけのラッコと、傷だらけの白クマーが肩を組んでやってきた。
「キュウキュウ(やるじゃねえか、白クマー番長)」
「がうー(おめえもな、ラッコ番長)」
 殴り合いの末、友情が生まれたというべたな展開らしい。
 その二匹が、半裸でチルルを押し倒している赭々を見つける。
「キュウ!(いたいけな幼女になんてマネしやがる!)
「がおー!(ひんぬーの敵め!)」
 動物番長ズは義侠心から、赭々に殴りかかった。
 慌てる赭々。
「待て、待て! 畜生ども!」
 動物たちが言い分など聞くはずもなく、雪の中で赭々はボコボコに殴られるのだった。

 悪を成敗した番長ズは、キグルミのままのんびり温泉につかっている。
 ラッコが用意した黒毛和牛の牛串を食べながら。
「キュー!(昨日の強敵(テキ)は)」
「がう!(今日の強敵(トモ))」
 その輪にアイリスと、チルルが加わっている。
「寒かったのよー! 温まり直すのよー! 牛肉うめー!」
「お裾分けすまんな」
 その後ろではイリスが、姉の黒粒子に体をわさわさされ続け悲鳴をあげていた。
「はひー! お姉ちゃん、これ外してーッ! ボクの事忘れてやしませんかー!?」
 一方、温泉の外ではチルルがウンシャカを取り戻していた。
「わ〜い、あたいのウンシャカ、かえってきたのよー!」
 猿がウンシャカより藍那のアホ毛を気にして、そちらを掴んだためである。 
「う〜、すみません、燈戴さんの孫ですみません」
 藍那、かなりブルーになっている。
 “ヒプノ・ララバイ”で猿を眠らせたが、猿は眠ってもアホ毛を離してくれず、しばらく猿をぶらさげて歩くはめになってしまった。


 こうして終了した、雪のサファリパーク試験運用。
 幸いにも、被害者が出なかった上、動物たちも馴染むものが多かったので、雪凡山サファリパーク計画はこのまま進められることとなった。
「……ラッコと白熊にボコられたんだが」
 幼女を押し倒すような人間は、被害者とは認めない。 
 被害者は一人もいなかったのだ!


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 歴戦の戦姫・不破 雫(ja1894)
 前を向いて、未来へ・Rehni Nam(ja5283)
 大祭神乳神様・月乃宮 恋音(jb1221)
 来し方抱き、行く末見つめ・黄昏ひりょ(jb3452)
 絶望を踏み越えしもの・遠石 一千風(jb3845)
 Standingにゃんこますたー・白野 小梅(jb4012)
 外交官ママドル・水無瀬 文歌(jb7507)
 天真爛漫!美少女レスラー・桜庭愛(jc1977)
重体: −
面白かった!:14人

伝説の撃退士・
雪室 チルル(ja0220)

大学部1年4組 女 ルインズブレイド
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
撃退士・
鳳 静矢(ja3856)

卒業 男 ルインズブレイド
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
ハイテンション小動物・
イリス・レイバルド(jb0442)

大学部2年104組 女 ディバインナイト
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
深淵を開くもの・
アイリス・レイバルド(jb1510)

大学部4年147組 女 アストラルヴァンガード
ねこのは・
深森 木葉(jb1711)

小等部1年1組 女 陰陽師
来し方抱き、行く末見つめ・
黄昏ひりょ(jb3452)

卒業 男 陰陽師
絶望を踏み越えしもの・
遠石 一千風(jb3845)

大学部2年2組 女 阿修羅
Standingにゃんこますたー・
白野 小梅(jb4012)

小等部6年1組 女 ダアト
ペンギン帽子の・
ラファル A ユーティライネン(jb4620)

卒業 女 鬼道忍軍
頭がうさうさ・
御剣 ソエ(jb5567)

大学部1年3組 女 アーティスト
外交官ママドル・
水無瀬 文歌(jb7507)

卒業 女 陰陽師
そして時は動き出す・
咲魔 聡一(jb9491)

大学部2年4組 男 アカシックレコーダー:タイプB
蒼色の情熱・
大空 湊(jc0170)

大学部2年5組 男 アカシックレコーダー:タイプA
おじい……えっ?・
赭々 燈戴(jc0703)

大学部2年3組 男 インフィルトレイター
『AT序章』MVP・
御剣 正宗(jc1380)

卒業 男 ルインズブレイド
童の一種・
逢見仙也(jc1616)

卒業 男 ディバインナイト
食べ物は大切に!・
天願寺 蒔絵(jc1646)

大学部2年142組 女 アーティスト
天真爛漫!美少女レスラー・
桜庭愛(jc1977)

卒業 女 阿修羅