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マスター:スタジオI
シナリオ形態:ショート
難易度:非常に難しい
参加人数:7人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/08/27


みんなの思い出



オープニング


 松井という男がいる。
 久遠ヶ原島の内外に様々なレストランを展開している外食チェーンオーナーだ。
 外見上は口髭の平凡な五十手前の紳士だが、ポマードで固めた頭の中身は若干変わっている。
 普通の人より、ほんの少し斜め上に脳みそが置かれている感じだ。

 ある夏の日、その松井の元に一本の電話が入った。
 久遠ヶ原学園の美人美術実技専任教師マリカ (jz0034)先生だ。
 彼女は、南極カフェなる飲食イベントを学園の講堂で開きたいらしい。
「プロである松井さんのお知恵とー、ついでに松井さんのお店で使っている食器や機材とー、あとついでに消費期限切れ寸前の食品なんかをちょこっと拝借出来ないでしょうかー?」
 食品については客の胃袋ではなく、他の特定一名の胃袋に収まることを松井は確信したが、美味しく食べてもらったほうがいいことは間違いないので応じる事にした。
 その時、松井に天啓!
「マリカ先生が開くのはカフェかね? 料理がメインのレストランではなく?」
 今年の夏はクソ暑く、しかも長い!
 十月くらいまで続くとかいうトチ狂った予報まで出ている。
 だったら、“南極レストラン”というものにも需要あるんじゃないか?
 松井はマリカ先生に久遠ヶ原内の適当な用地を確保してもらい、“南極レストラン”を期間限定開店することにした。
 
 南極と言えばペンギンである。
 まず、懇意にしている野島動物園からペンギンを借りた。
 白熊も人気だが、料理と客とどちらを食べためのレストランかわからなくなるので、とりあえず保留。
 どうせペンギンなら、でかい方がいいだろうと最大種であるコウテイペンギン(身長100-130センチ程度)を動物園から四羽ほどレンタル、飼育員込みで借りる。
 続いて、巨大な冷凍コンテナを用意。
 これは前に、別の用途で手に入れたものである。
 ペンギンのいるレストランなら、気温を低くしなくてはペンギンが病気になってしまう。
 中はすでに店舗用に改造してあり、南極昭和基地の夏を参考に-3度に設定することにする。 
 これでペンギンは、元気にペンペン出来る。
 が、寒い!
 人間が寒い!
 これでは、客や従業員が病気になってしまう!
 どうせ、期間限定の季節モノだし、エスキモー気分を味わってもらうためにも、客や授業員には防寒着を着て貰う事を考える。
 これで最初の課題、ペンギン導入はとりあえずクリアー。
 しかし、考えねばならない事は、まだたくさんある。
 内装、メニュー、店員によるパフォーマンス、メインであるペンギンをどう魅せるか?
 などなど考えねばならない事はたくさんある。
 友人の娘であるニョロ子(jz0302)に聞くと、
「撃退士のお兄ちゃんお姉ちゃんにお任せしたらどうにょろ? 久遠ヶ原は、なぜかペンギン人気だから喜んでやってくれる人もいる気がするにょろ。 ところで蛇さんも人気にならないにょろかね?」
 とか言っていた。
 これは丸投げした方がむしろ面白そうである。
 そんなわけで、冷凍コンテナ、ペンギン、飼育員だけの状態で文字通り丸投げされてやってきた“南極レストラン“
 キミ達の知恵とペンギン愛で、客に南極気分を味あわせてあげる場に仕上げて欲しい。


リプレイ本文


 南極レストラン開店前。
 依頼を受けた撃退士たちは、現場である冷凍コンテナ内での顔合わせをした。
「ペンギンさんに癒される空間! こんなお店を待っていたんです!」
 真っ先に入ってきたのは川澄文歌(jb7507)、ペンギンの着ぐるみを着て宣伝担当。
「お店の名前は南極基地に決定したんですね、素敵なお店にして楽しんで貰いたいですね♪」
 文歌の友人、木嶋香里(jb7748)が料理長を担当する。
「なんともまぁ、ニッチな商売だこって」
 向坂 玲治(ja6214)は、普段通りに面倒臭げ。 今回は恋人の葛城 巴(jc1251)を伴っている。
「店の挨拶はお寒うございますにしましょうか……ギャグが滑った時の台詞みたいですねぇ」
 すでにコンテナ内の気温は-3度に設定してある。
 夏服では、寒かった。
「こいつが南極観測隊の制服だ、店員は揃いでオレンジにしてあるぜ」
 ミハイルが、届いたジャケットと黒ズボンを皆に配った。
 そこで銀髪の少女、シェリー・アルマス(jc1667)と目が合い長身をのけぞらせる。
「げっ、お前は!」
「ああ、ミハイルさん! この間顔面パンチしてごめんなさい!」
この二人、先日の臨海学校で因縁がある。
 気を失ったシェリーに、ミハイルが人工呼吸をしようとした瞬間、目が覚めて顔パンされたのだ
「これ娘さんとどうぞ!」
 紙袋をミハイルに渡すシェリー。
 中には、烏龍茶とカレーパンが二個ずつ入っていた。
「おう……なぜカレーパンなのかはわからんが、ありがたく受け取っておくぜ、あと言っておくが、俺はヤクザじゃないからな!」
「グラサンがヤクザっぽいのは事実だっよねー」
 イリス・レイバルド(jb0442)が金髪ツインテを上下させながら、うんうんと頷く。
「ミハイルさん、髭を伸ばせば、南極観測員風に見えるんじゃありませんか?」
 巴に言われ、複雑な顔で顎の辺りを抑えるミハイル。
「髭か面白そうだが、似合うと思うか?」
 この七人が、レストラン南極基地のオープンに向け、力を合せて動き出した。

 ミハイルがタペストリーのような大きな布をコンテナ内に持ち込んできた。
「なんですかこれ?」
 怪訝な顔をする巴。
「破砕船と南極基地の壁紙だ、雰囲気が出ると思って、オーナーの松井に注文しておいたんだ」
「なるほど、じゃあ、これを壁に貼りましょう」
 長身のミハイルと巴で壁紙を貼り始める。

 その傍らでシェリーは綿密にレストランの内装を考えている。
「席は四人掛けを中心に五十人分くらい確保しておこうか」
「カウンター席はいらないの?」
 イリスが尋ねると、
「お客さん全員が、あのケースの中を見られるようにしたいからね」
 ガラス張りの空ケースを指差した。
 店の隅に設置されたそこが、ペンギンの居住エリアとなる予定だ。

 巴は天井に設置してもらった蛍光灯の上に、白い布をかけ始めた。
「なにやってんだ?」
 向坂に尋ねる。
「白夜を作っているんですよ」
「白夜? 一日中、昼間みたいになるアレか?」
「向坂さんは、このワイヤーを仕掛けるのを手伝って下さい」
「なんかわからんが、ずっと昼間ってのは不安だな、不眠不休でこき使われそうな気がするぜ」

 従業員用の建物にある厨房では、香里が食材を注文していた。
「あとは、玉ねぎ・人参・馬鈴薯……以上でお願いします」
「これで何を作るの?」
 シェリーが食材メモを見て尋ねる。
「メインに考えているのは海軍カレー、肉じゃが、ポトフなんかですね」
「なるほど、同じ材料で出来るものを中心にして食材の単価を抑える作戦だね!」
「私が一通り作ってみますから、後で、試食して下さい」
「注文量はどうする?」
「少し多目にしておきましょう、文歌ちゃんが宣伝してくれているし、捌けるでしょう」

 文歌は街頭でビラ配りを文歌はしていた。
「あ、暑い……これは無茶だったの」
 残暑厳しい炎天下。 ペンギンの着ぐるみの中はひたすら暑い。
「近日オープンの南極レストランなの、宜しくお願いするの」
 ヒレに持ったビラを、道行く人たちに渡す。
 向坂に書いてもらったペンギンのイラスト入りだ。
 それを文歌演じる“幸せペンギンのペンペン”というキャラが配っているのだが、ペンペン自身が暑過ぎて幸せじゃない気がしてきた。
「仕方がないの、脱ぐの」
 建物の陰に隠れ、着ぐるみを脱ぎかける。
 だが、
「あわわ、こんな格好じゃ歩けないの!」
 着ぐるみの下は大き目のTシャツ一枚。
 しかも、汗で透けている。
 人前に出ては、アイドルとしてあるまじき姿を晒す事になる。
「やむ得ないの、昭和基地に戻るの」 
 着ぐるみを着直して、熱さにヨタヨタよろけながら歩く。
 数分後、ペペンと力尽きた。
 ビラを持って倒れた幸せペンギンの周りには人だかりが出来ていた。


 その夜。
「ペンギンってやっぱり暑さに弱いんだっね〜、気を付けないと」
「うぅ、面目ないよ」
 内装の整ったコンテナ内でスポーツドリンクを飲む文歌。
「私も昔、倒れましたね〜、夏の着ぐるみは危険が一杯です」
 シェリーが溜息を吐く。
「なあに、目立ったんだろ? 却っていい宣伝になったさ――ところで本物のペンギンの方は、まだ到着しないのか?」
「もう、そろそろだと思うけど」
 野島動物園から、ここで一緒に働く四羽のペンギンが今日中に届くはずなのだ。

「寒い中で食べるカレーは、格別だな」
 皆が、香里の試作料理を試食しながら待っていると、コンテナの前に一台のトラックが停まった。
「うわ〜、すげえ! もふもふだぁ!」
 コンテナ内に四羽の皇帝ペンギンがペタペタと入ってきた。
 大人が二羽、子供が二羽。
 特に子供の方は、灰色のもこもこした羽毛がぬいぐるみのように可愛らしい。
「もふもふは癒しだよ。 もふもふ〜」
 ヒナをもふるシェリー。
 こうして、必要なメンバーがすべて揃った。
 あとは準備をしながら、オープンの時を待つばかりだ。


 オープン当日。
「うわ〜、並んでいるにょろ」
 ニョロ子(jz0302)は椿と一緒に、昭和基地の前に来ていた。
 文歌の体を張った宣伝効果もあったのか、店の前には行列が出来ている。
「来たのかお前ら、ほれ整理券だ」
 基地隊員姿のミハイルが、整理券を二人に渡してくれた。
「携帯番号を教えてくれれば、開いた時に呼ぶからな」
 整理券の裏には、店内での諸注意が書いてあった。
 “手をよく消毒するようにとか”“ペンギンに人間用食物を与えないように”とか、文歌の字でいろいろ書かれている。
「なになに“ペンギンアレルギーのお客様は十分注意してご来店下さい“ ペンギンアレルギーって聞いた事ないのだわ?」
「南極の方の人にはいるにょろかね〜?」
 そんな事を話す事一時間、椿たちは昭和基地に入店する事が出来た。

「“昭和基地”へようこそ〜♪」
 文歌がアイドルの微笑みで出迎えてくれる。
「わっ、涼しい」
「本当に南極みたいにょろ」
 白い息を吐きながら辺りを見回す客二人。
「では、こちらを御着用ください」
 店員たちが着ているのと同じデザインで、色がブルーになったジャケット。
「本当に南極観測員ぽいのだわ」
「子供用もちゃんとあるにょろ」
 青いジャケットを上半身に着る。
「ただ皆さん、出来るだけ自前の防寒着をご用意ください。 久遠ヶ原には体型が独特な方もいるもので……」
 などと会話しながら席に着く。
「うう、腰から下が寒いのだわ」
 椿、今日はミニスカである。
 外は暑いので仕方ないのだが、氷点下の空間に来ると鳥肌ものである。
「お客様、毛布をお使い下さい」
  席に着いた椿に、向坂がすまし顔で毛布をかけてくれた。
「あら、向坂くん、いいのかしら? お姉さんの悩ましい生脚が見られなくなっても」
「馬鹿な事言ってんじゃねえよ、とっとと注文決めろ」
 ぶっきらぼうにメニュー表を渡して去ってゆく向坂。
「お、ガレットあるにょろね」
「ニョロ子ちゃん、ガレットって何なのだわ?」
「フランスの郷土料理にょろ、円くて薄いにょろ」
「面白そうだから、私もそれにするのだわ」
 
 料理を待つ間、店内を見回すと、ペンギンや犬のぬいぐるみがあった。
「あ、可愛いにょろ」
「そいつらは、もふもふ自由だぜ」
 ウェイターのミハイルが、ぬいぐるみを持ってきてくれた。
「どうだ椿、俺は知っているんだぜ」
「何を?」
「一定年齢以上の日本人は、この犬を見ると“タロ! ジロ!”と叫ばずにいられないことだ」
「呼ばないのだわ! 私が生まれる前の映画なのだわ!」
「無理しなくていいぞ、呼んでいいんだ」
「本当に生まれてないのだわ!」
 言い争うアラサー二人。
 その傍らで、ぬいぐるみに頬ずりをしていた。
「ペンギンさんもワンコちゃんももふもふにょろ〜」

 やがて頭上で光が動き始めた。
 この店は、巴の案で蛍光灯に白い布をかけ、常時白夜状態にしている。
 その白い空の中で、光源たる太陽が動いているようだ。
「凄い演出なのだわね」
「人力だけどな。 ほれ、あそこだ」
 見れば、店の隅で巴がワイヤーを引いて蛍光灯を動かしていた。
「太陽が頂上に来た時、ペンギンショーが始まるぜ、楽しみにしておきな」

 椿たちの席に注文した料理が届いた。
「これがガレット? 四角いピザみたいなのだわ」
「具が白熊さんの顔をしているにょろ、可愛いにょろ」
 ガレットをナイフで切って、フォークで一口食べるニョロ子。
 とたん、叫んだ。
「シェフを呼ぶにょろ!」
「どうされましたか?」
 数分後、香里がシェフ姿でやってくる。
 ニョロ子は自分の頭を指差した。
「見るがいいにょろ」
 頭の蛇のてっぺんあたりが、アンテナのように逆立っていた。
「ニョロ子の蛇さんが五本立ったにょろ!」
「怒髪天?……何か粗相があったでしょうか?」
「これは五つ星ということにょろ! こんな美味しいガレットを日本で食べられるとは思わなかったにょろ! ありがとうにょろ!」
 感動したかのように香里の手を握りぶんぶんと握手をする、ニョロ子。
 なんだかよくわからない表現だが、喜んで貰えて香里も何よりだった。

 二人がガレットを食べ終わった頃、ミハイルが言い残した通り、太陽が頂点に移動した。
『只今より、ペンギンショーを開始します、ペンギンに人間の食べ物は与えないようにお願いいたします』
 向坂が、店内アナウンスをした数秒後。
「天呼ぶ地呼ぶ人が呼ぶ!ペンギンを呼ぶ声がする! そう、皇帝一家参上!」
 イリスがホイッスルを吹きながら登場。
 行進しながら、笛を吹いている。
 その後ろからペンギンがよちよちと着いてくる。
「ペンギン! 可愛いのだわ」
「ええ! あんなに大きいにょろか!? ニョロ子より大きいにょろ!?」
 ペンギンの行進が行われている間近の柵に、駆け寄るニョロ子。
 この柵はペンギンが飲食エリアに入らないように、120センチ程度の高さにスチロールを積み上げている。
 大人ペンギンの身長は130センチ。 頭は、柵よりも上に出ていた。
 ニョロ子が背伸びをして向こうを見ると、子ペンギンがよちよちと歩いていた。
「ふわ〜……赤ちゃんペンギンにょろ! ふわもこにょろ!」
 目を輝かせて興奮するニョロ子。
 それを横目に、イリスはドヤ顔である。
(ふふん、満足してくれたかいニョロ子ちゃん? フリーダムなペンギンどもをこうして行進させるのは苦労したんだぜ?)
 イリスも最初は調教を試みたのだが、全く効果がなかった。
 ペンギンは気紛れ、芸を覚える動物ではない。
 仕方なくタウントを使用して、興味を惹かせる事で後ろをついてこさせる搦め手を編み出したのだ。
 間違ってぶつからないように透過も仕込んである。
(どうだい、ボクはペンギンたちの女神さ! 惹かれるけど触れる事は出来ない存在ってねー!)
 振り向くイリス。
 だが、誰も付いて来ていなかった。
「あれ?」
 母ペンギンは、床にひいてある氷の上に腹這いになり、ヒレをオールにスイスイ滑っている。
「あれトボガンっていう移動法なんだよ、可愛い〜♪」
 その可愛らしさに文歌が頬を緩める。
 子ペンギン二羽は、腹這いになってそのまま寝ちゃっている
「あっちも可愛い〜」
「ホワイ? 何でついてこないの!? 何回も練習したじゃん!」
 焦るイリス。
 ペンギンは好奇心旺盛で新しいもの好きである。
 今日はオープン日。 見慣れたスキルよりも、初めて見る新しい人間の方に興味を惹かれたらしい。
 特に父ペンギンは、柵向こうに見える、うにょうにょうねる蛇の集団に夢中だった。 
 短い脚でペン! ペン!と蛇に向かってジャンプしているが、まるで届かない。
「あはは、可愛いにょろ」
「ニョロ子さんと遊びたいのですね」
 巴が、ほっこりとそれを眺める。
 次の瞬間、父ペンギンは飛んだ!
 ドボガンで腹這いになり、ヒレで地面を叩いて飛びあがったのだ。
 ペンギンには、高い氷山の上へジャンプ出来る程の能力があった!
 120センチの柵など造作もない。
「にょろ!?」
 ニョロ子の蛇が、パニックになって乳ペンギンに襲い掛かる。
 攻撃を受けたと判断した父ペンギンは、ヒレで迎え撃った。
「あぶない!」
 イリスは、ディバインナイトの使命感で動いた。
 透過を解除し、ニョロ子の前に飛び出る!
 その顔を父ペンギンのヒレがペペッーンと叩いた。
「ふごっ!」
 イリスは吹っ飛ばされ、昭和基地の壁紙に叩きつけられた!
 皇帝ペンギンは強い!
 ヒレの一撃は、成人男子の大腿骨を一撃で折るほどだという。
 撃退士とはいえ、小さな体のイリスが受ければこうもなる。
「イリスお姉ちゃん! 大丈夫にょろか!?」
 店内一瞬の静寂。
「凄いのだわ! このレストランはペンギン対撃退士の格闘ショーを見せてくれるのだわ」
 次瞬間、客から沸き起こる拍手喝采。
 当初の予定とは違ったが、これはこれでOKだった。

 こうして二週間が過ぎる。
 特にコストがかさむ事もなく、お客に大きなトラブルもなく、盛況のうちに閉店の夜を迎える事が出来た。
 収益も予定分はあがったようだ。
「けど氷点下の店内はきつかったな……巴は大丈夫か」
 ホール組の玲治が大きなくしゃみをする。
「私たちは大丈夫です、厨房組は普通に空調が効いていましたから。 はい、生姜湯です」
 互いを気遣う向坂と巴。
 一方、ペンギンたちとの別れを惜しむ者もいる。
「さよなら、ペンさん……」
 ペンギンたちの住むケースに、かすれ声で手を振るシェリー。
 イリスも文歌も泣いていた。
「何だその挨拶は、自爆するわけじゃないんだぞ、動物園に行けばまた会えるだろ」
 ミハイルに慰められ、顔をあげる
「そうだね! 必ず会いに行くからね♪」
「子供たちも、大きくなったらボクと勝負だ!」
 文歌とイリスが、ペンギン一家と約束をした時、厨房から香里が料理を運んできた。
「さあ打ち上げですよ! 腕によりをかけました!」
 ペンギンたちが食べる生魚も一緒だ。
 南極レストランは、人々の記憶に爽やかな風を残して、夏の暑さと共に消えていった。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: Eternal Wing・ミハイル・エッカート(jb0544)
 外交官ママドル・水無瀬 文歌(jb7507)
 永遠の一瞬・向坂 巴(jc1251)
重体: −
面白かった!:8人

崩れずの光翼・
向坂 玲治(ja6214)

卒業 男 ディバインナイト
ハイテンション小動物・
イリス・レイバルド(jb0442)

大学部2年104組 女 ディバインナイト
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
外交官ママドル・
水無瀬 文歌(jb7507)

卒業 女 陰陽師
和風サロン『椿』女将・
木嶋香里(jb7748)

大学部2年5組 女 ルインズブレイド
永遠の一瞬・
向坂 巴(jc1251)

卒業 女 アストラルヴァンガード
もふもふコレクター・
シェリー・アルマス(jc1667)

大学部1年197組 女 アストラルヴァンガード