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マスター:スタジオI
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:7人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/08/22


みんなの思い出



オープニング


 夏休みのとある日。
 ニョロ子(jz302)は、島外の駅で切符を買い、電車に乗り込んだ。
 いわゆるローカル線、急がないのんびりした旅だ。
 シートに腰かけて車窓の景色を眺めていると、不思議な感覚を覚える。
 文字を読み終えたとたん視界から去っていく電柱看板、古びた商店。
 おそらくは一生、行く事はないであろう片田舎の線路沿い。
 ニョロ子にとっては、看板の店や、商店の中がどうなっていようとどうでもいいことなのだ。
 けれど、それは演劇用のハリボテではない。
 人が息づき、汗を流して働き、それを糧に人生を得ている。
 ニョロ子ではない“誰か”にとっては、全てといっても良い大切な場所なのだ。
 それが幼い心には、とても不思議で、同時に暖かい事のように思えた。

 ニョロ子は栃木県の宇都宮駅で降りた。
 ここで乗り換えをしないと、お目当ての駅に行けないのだ。

 改札を出て、駅の売店でお弁当を買う。
 この旅の目的の一つである“はじまり弁当”だ。
 この駅は、明治十八年に初めて駅弁を売り出した発祥の地。
 それにちなんだ駅弁が、今でも売っている。
 グルメ幼女としては抑えておかねばならないと思い、これを選んだのだ。
 電車を乗り換え、シート席に座ってから箱を開ける。
「あ……まあ、初めてならこんなものにょろ」
 ニョロ子は一瞬がっかりし、それから納得した。
 お弁当の中身は大きなおにぎり二つと、少々のおかずだけだった。
 紙箱に書かれた説明書きを読むと、日本最初の駅弁は竹の皮におにぎり二つとたくわんだけを包んだものだったのだという。
「ここから全てが始まって、今ある物凄い種類の駅弁になったと思えば、ありがたみがあるにょろ」
 おにぎりを食べると素朴な味がした。
 ほんの百年か少し前、日本人の御先祖様たちも汽車に揺られながらこれを食べて旅をしたのだろう。
 今、ニョロ子を包んでいる国を発展させてくれた、名もなき偉大な人たちと一緒にお弁当を食べている気分になれてニョロ子は誇りを感じた。

 車内アナウンスが流れる。
「次はおもちゃのまち〜、おもちゃのまち〜」
 ニョロ子の心臓が高鳴った。
 旅の目的地だ。
 どこへ行こうか、路線図を見て悩んでいた時にこの名前を見て、大興奮で即決したのだ。
(きっと、おもちゃの兵隊さんとかが歩いているにょろ、お家はトイブロックで出来ていて、自動車はミニカーで、それからそれから……)
 鼻血が出そうなほど期待しつつ、おもちゃのまち駅のホームに降りたつニョロ子。
 だが、降りて見ると普通の田舎駅だった。
 改札の駅員さんは、フランス人形じゃないし、ブリキの鼓笛隊も出迎えてはくれない。
 駅外に出ると、おもちゃ工場がいっぱいあった。
 それだけである。
 ただの工業地帯だった。
 子供が夢を膨らませ、そして現実を知る町、それが“おもちゃのまち”
 ニョロ子がガッカリしていると、町の人が“おもちゃ博物館”の存在を教えてくれた。
 おもちゃに触れて遊べる博物館。
 ニョロ子は、おもちゃのまちで夢を堪能して夏の一日を過ごすのだった。

 “関東ローカル線 駅弁の旅”は、こんな感じの番組である。
  夏の小さな旅を、TVの前の人たちにお届けして欲しい。


リプレイ本文


「こうやってゆっくりのんびりの旅行もいいもんだな」
 水田風景の流れる車窓を眺めながら、ほのかに微笑む眼鏡の少年・黄昏ひりょ(jb3452)。
 撃退士である彼にとって、この旅は心の休日である。

 数時間後、黄昏は大きな駅で降りた。
 真新しい駅舎を歩き、立ち止まったのは、駅弁売場。
「この水戸駅では、誰もが“なるほど”と思うお弁当が売っているんですよ。 ほら、これ!」
 黄昏が嬉しそうに指差したのは“葵の紋所弁当”
 突きつけられたら“ハハァー”と畏まりたくなるような印籠型の容器に入った駅弁である。
「限定版と、通常版があるんだ、あれ? 限定の方が百久遠高いのに二段重ね? 通常版は三段重ねなの? それだけ限定版は中身がいいって事か? うっ、迷うなあ」
 悩んだあげく黄昏は、片方を選んだ。
「限定品には俺も弱い、今回は限定品の方を買っていこう!」

 電車のシートが食事の場となる。
 駅弁は、開けるこの瞬間がわくわくである。
「おお、上の段は唐揚や照り焼き、それにしょぼろ納豆漬けか。 下の段は? これは嬉しい、きのこ炊き込みご飯!」
 外の景色を眺めながら、風格のある弁当に舌つづみを打つ黄昏。
 諸国漫遊気分である。

 旅の目的地、大洗駅で下車。
「水族館も有名なんだけど……あはは」
 シャチに襲われ体質だという黄昏。
 流石に死出の旅路にはしたくないようだ。
「今日は大洗のマリンタワーに行ってみよう」
 タワーの近くにはアウトレットモールもあり、バザーが開かれる事もあるらしい。
 どんな場所であるか、想像を膨らませながら向かう。
 このワクワク感は、駅弁を開ける時と似ていた。
 
 いざ登ったタワーは、六十メートルほどあるビルのような建物だった。
「都心の建造物に比べれば高くはないけど、三百六十度周囲を見渡せるのは凄いな」
 海を滑るフェリーから、大洗港の風景、港中央公園の風景、そして水戸の街並みを楽しむ。
「今日晴れていて良かった、こんな素敵な景色のある街とかを俺達は守っているんだな」
 黄昏は、何となく誇らしい気分で眼下の光景を眺め続けた。


「ふふ……楽しみ♪」
 つばの小さい麦わら帽子とサマードレス姿。
 冷房避けのレースのストールを肩にかけて早朝の快速電車に乗り込んだのは、北條 茉祐子(jb9584)。
 育ちのよさげな御嬢さん風の少女である。
「一度行ってみたかったところなんです、電車に乗って東京湾を眺めながら行けたら良いなぁと思います」
 千葉県千葉駅で一時下車する。
「この駅弁です」
 “潮干狩り御膳“
 房総の海をイメージしたお弁当である。
 再び電車に乗り込み、動き出した頃に蓋を開ける。
 車窓には白い浜辺、その向こうに広がるは青い海。
 お弁当箱の中には、浜辺をイメージしたのか、あさりとはまぐりをちりばめた御飯が入っていた。
 その向こうに広がるのは、海の恵みのおかずたち。
 まずは御飯を一口、
「あさりは生姜が効いていて、はまぐりは甘く煮付けられているので飽きずに楽しめますね」
 嬉しそうに食べる茉祐子。
「お弁当のアサリやハマグリもこの海で採れたんでしょうか?」
 きっとそうだろう、だってそう思えば嬉しい。
 視覚と味覚、両方に房総の海を取り込んだ贅沢な時間だった。

 最終目的地、館山南部――を、前にちょっとしたアクシデント。
 南房総市に天使の支配領域があったのだ。
 仕方なくフェリーで迂回して目的地にたどり着く。
 ハワイをイメージした植物園。
 緑の芝の家に、ヤシの木が並ぶトロピカルな空間である。
「ヤシの木って、TVや画像ではよく見ますが、本当に生えているのを見るのは初めてですね」
 園内には小さな動物園もあり、カピパラや、山羊、カラフルなインコと会う事が出来た。
「カワウソさんに餌付けが出来るんですね、やってみましょう」
 百久遠払うと、飼育員さんがペットフードをくれた。
「わあ、可愛い! ちゃんと手を使って食べるんですね! お行儀いい!」
 片掌で器用に餌を掴み、スナック菓子でも食べるかのように口に放り込んでいくカワウ ソ。
 その可愛らしさに頬が緩み、拍手が自然に出る。
「あれ? でもカワウソさんって、貝をお腹に乗せて石で割るんじゃかったでしたっけ?」
 それはラッコである。
 
 すっかりカワウソファンになった茉祐子。
 帰りの電車の中、おみやげに買ったカワウソのぬいぐるみを抱いたまま、うとうとと眠りにつくのだった。


 茉祐子が旅から帰ってきた翌朝。
「ふむ、昨日はやけにクシャミが出たが、今朝になって止まったな」
 鳳 静矢(ja3856)は、東京の端にある福成駅のホームで呟いた
 この男、時と場合によってはラッコ化するのだ。
 今日はイケメンモードな鳳、到着した電車に乗り込んだ。
 動き出した電車の中、すぐに町の灰色から緑へと車窓を染める色が変わり始める。
「前に見た時と変わっていないねぇ……遠くに発展する街が見える田園風景、なかなかな景色だな」
 東京といっても広い。
 世界有数の高層ビル群から、離れ小島、そして今、車窓を流れていく“かすが野”のような長閑な土地もある。
「そろそろ昼時だな」
 実は先程の福成駅で、駅弁を買っておいた。
 鳳の駅弁は、ホッドドッグ。
 濃い褐色のパンズに、艶やかなソーセージ、その下に敷かれたベーコンスライスとレタスも食欲をそそる逸品だ
「福成ドッグだ、パンから具材まで全て福成で産みだされたもので作られているのだよな」
 どこか懐かしげに、それを齧る鳳。
「……うむ、相変わらず美味い」
 口の中に広がるのはパンの程よい歯ごたえ、口どけ柔らかなでジューシーなソーセージ、そしてベーコンの香ばしさ。
 レタスが、口の中にわずかに残る脂を消し、爽やかな後味を残してくれる。

 それを食べ終えた頃、窓の外に“町だった場所”が見えた。
 天魔の襲撃で滅びた町――日本にも数多いその中の一つだ。
 それを見る横顔にカメラに向けられた鳳は、
「元は沢山の人が住んでいた……」
 何かを言おうとして、一瞬、言い淀んだ。
「東京にもこんな場所があるのだね」
 口の中で、素早く翻した言葉の方を出す。
「この辺りは……今や自然が多くて人が住むには辛い感じだねぇ」
 声の響きに、どこか押し殺したような辛さが出てしまっていた
その事に鳳自身も気付いたのか、急に無邪気な声を出す。
「おや、あんなところに猿が、鹿も走り回っているな、此処まで来るともはや東京と思えない感じになるねぇ」
 何事もなかったかのように、旅番組らしい雰囲気を醸し出す。
 以降、先程の町に着いて鳳は何も語ろうとしなかった。
 
 終着駅は山の上だった。
 そこに着いた頃、東京は茜色に染まっていた。
「東京にもまだこんな原風景の残る場所があるのだね、たまには皆さんも自然に触れあう列車の旅をしてはどうだろうか?」
 山頂から夕日を眺めながら、爽やかな笑顔を浮かべる鳳。

 遠い夕日の下に廃虚の町は、物を言わずに佇んでいた。
 かつてそこで生まれた、一人の青年の背中を見つめて。


 百八十センチに達する巨大な乳を揺らしながら、久遠ヶ原の駅を歩いているのは月乃宮 恋音(jb1221)
「……地元の駅弁って、意外に食べないものなのですよねぇ」
 乗り込んだ列車内で広げた駅弁は、久遠ヶ原学園の校章が入っていた。
 知られざる、久遠ヶ原学園弁当である。
 蓋を開けるとまずは、大盛りのライス。
 おかずはカレーコロッケ、これは学園名物の流星カレーを使ったもの。
 他にも一口カツ、伊予柑などが入っている。
「おぉ……勝負事に演技が良い食べ物を中心に、栄養のバランスを考えているのですねぇ……(ふるふる)……」
 恋音が不安そうな顔をしているのは、味ではなく量。
 食べ盛りの学生を意識しているため、かなりのガッツリ系。
 恋音はその乳に似合わず小食なのである。
「……これを食べきるのは大変なのですよぉ……」
 給食を食べきれずに昼休みにまで食べさせられている小学生の如く、恋音は電車に乗っている間中、久遠ヶ原学園弁当を食べ続けていた。

 ある海辺の駅で降りる。
 海岸には、大小さまざまな“海の家”が立ち並んでいた。
 夏しか機能しない海の家を、他の季節でも機能するよう多彩に改造した観光シティなのだ。
「懐かしいのですよぉ……」
 観光客のひしめくシティを満足げに眺めていると、一人の男が声をかけてきた
「月乃宮さん!」
「おぉ……東条さん、お元気そうでなによりですぅ」
 約一年前、恋音は、この海の家シティの開発に携わり、他の海の家に人材を派遣する『海の家スタッフサービス』という会社を起ち上げた。
 東条は恋音から、その会社を引き継いだ現所長である。
「ご覧の通り、このシティもにぎわっています、月乃宮さんのお蔭です!」
 東条はお礼という事で、恋音をシティ内の海鮮料亭に連れていった。

「この夏のヒット商品 “渚の振動バスト御膳”です! 」
 ふるふる震えるほどの大盛り御飯を中心に、色鮮やかな海鮮料理が配置された漆塗りのプレートが恋音の前に運ばれてきた。
「月乃宮さんをイメージして売り出したものです!」
「これが私ですかぁ?……(ふるふる)……」
「失礼しました! 月乃宮さん、さらに大きくなられましたね!? もっと盛らないと!」
 去年はまだWカップだった恋音。
 この一年で、すでにZカップを遥かに突破している。
 今の乳サイズに合せ、さらに御飯の盛りが高くなる。
「女性にも食べて頂けるよう胸に良い栄養が入っています! ご本人がこれを食べているところを、是非、撮影させてください! ますます評判になると思います!」
「キリがないのですぅ……」
 栄養が全部乳にいってしまう恋音。 しくしく泣きながら“渚の振動バスト御膳”を食べさせられるのだった。


 雑多な木々が生い茂る雑木林。
 その中を走る一両編成の電車にラファル A ユーティライネン(jb4620)は揺られていた。
 表情に、楽しそうな輝きはない。
 なのに毎年、何本ものローカル線を乗り継いでここへきている。

「ここは何という駅ですか?」
 ラファルが降りた駅で撮影スタッフが尋ねてくる。
「さあな、あの看板の通りだ」
 ラファルが示した駅の看板はかすれて読めなかった。
「俺は不読(よめず)の駅って呼んでいる。 本当の名前? 駅員にでも聞いたらどうだ」
 意地悪そうな笑みを浮かべるラファル。
 この駅はいわゆる無人駅である。
「駅弁を買うぜ」
 無人駅に、駅弁売場などあるのかといぶかしむスタッフ。
 なぜかここには無人直売所があった。
 冷蔵カウンターの中に、少数ではあるが折詰弁当が置かれている。
「“はいきょめし”っていうんだ、この近くにある廃虚の見物客用に置いてあるのさ、ただの幕の内だけどな。 食ったら行くぜ、その廃虚へ」

 渓流に張り出す形で一件のホテルが建っている。
 看板には“雲国際ホテル“とあるが、人の気配はない。
 かつては、観光客で賑わったのだろうが、今はただの廃虚である。
「もちろん何もないぜ、一応撮影しておいたらどうだ? 廃虚マニアってのがいるから、そいつらは観るんじゃねえの?」
 てきとーな事を言って、ラファルは廃虚の奥へと進んでいった。
 悪魔の襲撃により、観光ホテルは廃虚と化した。
 悪しき転生と同時にラファルも一度目の命を落した。
 二度とふたたび帰る事の出来ない追憶を求めて、この廃虚を訪れたのだ。
 もしあの時、このホテルにいなければ――。
 ここへ帰ってきたからと言って、サイボーグ化した義肢が柔らかな少女の手足に戻るわけではない
 それでも、ラファルは毎年ここを訪れる。
 この忌まわしき地は、今のラファルを生み出した、母なる地でもあるのだから。


 蓮城 真緋呂(jb6120)は、電車のシートに山積みのおやつを並べていた。
 大麦を使ったダコワーズ、酢昆布、そしてなんと何と言っても栃木名物。
「ん〜、このいかにも合成って感じのレモン風味が堪らない……」
 色と香りだけがレモンな牛乳をストローで啜る。
「和紗さん、食べないの?」
 シートの真向かいから、真緋呂にジト目を送ってくる少女に問いかける。
「いえ、俺はそんなに入りませんから」
 この旅行に同行した友人の樒 和紗(jb6970)だ。
「相変わらず少食だなぁ」 
 真緋呂は電車内で、おやつをもりもり食べ続けた。

 真緋呂と和紗は東武日光駅に降り立った。
「ここは東照宮が有名ですよね」
 観光ガイドをチェックする和紗だが、真緋呂がチェックしている場所は違う。
「帰りの電車で食べる為の駅弁をチェックしましょう」
 当然の如く駅弁売場だ。
「とりあえずは日光の鱒寿司、ささおむすび、ゆば御膳、鶏わっぱ飯……くらいかしら?  和紗さんは何にする?」
「いや、まだいいです、見ているだけでお腹一杯になりました」
「何それ、不思議?」
 真顔で首を捻りつつ、弁当の取り置きを頼む真緋呂。
 一つでも売り切れてしまったら、海より深く後悔するであろう自分を見越してのことらしい。
 
 東照宮を目指して歩く。
 緑の木々を横目に、朱の神橋を堪能する。
 神秘的な伝承に彩られた橋を渡ると、神話の世界に近づいていくような錯覚さえ覚えた。
「もうすぐ東照宮って雰囲気ね、その前に……腹ごなししない?」
 錯覚を覚えたのは和紗だけだったようだ。
 真緋呂は明治時代の洋館を利用したレストランに飛び込むと、オムライスをもりもり食べ始めた。
「ここって、日光石を使った洋風建築で国の有形文化財にもなっているんですって」
「それはいいんですが、あれだけ食べて更に駅弁が待っているのに……」
 どれほど食べても太らない真緋呂の方に、和紗は神秘を感じたのだった。

 細密な彫刻、金箔貼り。
 美術系好きな和紗は感心に目を細めて、東照宮を眺めていた。
「この眠り猫、後ろに雀がいるのに襲わない平和な世を願っているそうです」
「あ、本当……ごくん……裏に雀がいるわね……もしゃもしゃ」
 真緋呂は歩きながらも、羊羹をもりもり食べている。
 眠り猫が真緋呂だったら、平和な世の中でも雀を襲って食べるに違いない。
 和紗は、そう確信した。

「ようやく今日のメインね」
 真緋呂が、今日一番の微笑みを浮かべたのは帰りの電車の中。
 取り置きしてもらった駅弁を両手に、顔を輝かせている。
「日光見物とはなんだったのか」
 呟く和紗をよそに真緋呂は、一つ目の弁当を開けた
「おお、綺麗な淡いピンク色。 湯葉も入ってるのね」
 鱒寿司をぺろり。
「ささおむすび、可愛い♪」
 ささおむすび、ングング。
「……見ていて胸やけが」
 動くレストランと化した東武線の車内。
 真緋呂は日光の味覚を余す事なく、堪能したのだった。


 撃退士たちの小旅行は、番組として放送された。
 翌日、幾多の島民たちは旅支度もせずに駅に向かい、近距離の切符を買った
 遠くへ旅立たずとも旅情と味覚に溢れた異郷は、すぐそこにあると気付いたから。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 撃退士・鳳 静矢(ja3856)
 来し方抱き、行く末見つめ・黄昏ひりょ(jb3452)
 あなたへの絆・蓮城 真緋呂(jb6120)
重体: −
面白かった!:4人

奇術士・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

卒業 男 鬼道忍軍
撃退士・
鳳 静矢(ja3856)

卒業 男 ルインズブレイド
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
来し方抱き、行く末見つめ・
黄昏ひりょ(jb3452)

卒業 男 陰陽師
ペンギン帽子の・
ラファル A ユーティライネン(jb4620)

卒業 女 鬼道忍軍
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
守り刀・
北條 茉祐子(jb9584)

高等部3年22組 女 アカシックレコーダー:タイプB