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マスター:スタジオI
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
形態:
参加人数:25人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/08/12


みんなの思い出



オープニング


 臨海学校の思い出はあるだろうか?
 小学校では六年生で数泊の修学旅行を迎える前準備として、五年生の時に一泊旅行として行う場合が多い。
 学校によっては、林間学校と称して山で行う場合もある。
 修学旅行は華々しく行う久遠ヶ原学園ではあるが、臨海学校は目立った記録が残されていない。
 修学旅行より臨海学校の方が思い出深いクレヨー先生。
 学園側に将来的な大行事として提案するために、実験的に一部限定の臨海学校を行う事にした。
 スケジュールを練るため、中学生までは一般人の学校に行っていた、独身アラサー女子所員・四ノ宮椿(jz0294)に相談する。

「覚えているのだわ、バスに乗せられて“青年の家”みたいなボロい施設に行ったのだわ」
「そうそう、僕の時も修学旅行みたいな立派な旅館じゃなかったんだな」
 さっそく意気投合する熟年男女。
「講堂みたいなところで“入所式“みたいなどうでもいい行事で長々と挨拶を聞かされて……」
「僕の時もたかが一泊なのに“入所式“と”退所式“をわざわざやったんだな、どう考えても大げさなんだな」
 これはいらないと思われるので、“入所式“と”退所式“は今回、省略する。
 むしろ行きのバスでの盛り上がりや、ワクワク感が記憶に残っている人が多かったのではないだろうか?
「それが終ってから、近くの水族館に連れて行かれたのだわ」
「水族館、綺麗で楽しいんだな。 アシカやイルカショーなんかもあるんだな」
 スケジュール表に“水族館見学“と書きこむ。
「その後は夕食造り、外に出て薪と飯盒で炊飯させられたのだわ。 たかが一食食べるのに三時間もかけるとかアホなのだわ! しかも米がベチョベチョで美味しくなかったのだわ! レトルトカレーを炊飯ジャーで焚いたご飯にかけて食べた方がよほど美味しいのだわ!」
「椿ちゃんが失敗したのが悪いだな、効率よりそいう体験自体が宝なんだな」
「それが終ったら――う――」
 頬を赤らめて、何やら言いにくそうな椿。
「どうしたんだな?」
「お風呂だったのだわ、小5にして、人生で初めて覗きに遭ったのだわ……」
 記憶がそうさせているのか、Gカップ巨乳を腕で隠す。
「あ〜、調子に乗った男子が覗き隊とか言って天井の隙間から覗こうとするんだな。 何を隠そう、覗き隊に僕も参加したんだな」
 とたん、椿はクレヨー先生の鼻づらに正拳突きをかました。
 鼻血を吹き出し、のた打ち回るクレヨー先生。
「なにをするんだな!?」
「あの時、殴りそびれたから代わりに殴っておくのだわ!」
「僕は、椿ちゃんのクラスメイトじゃないんだな!」
「殴られて当然なのだわ! あの時“もうお嫁に行けない”って叫んだのが言霊になって、今の私を苦しめているのだわ!」
「僕が殴られる理由になっていないんだな!?」
 鼻血をティシュでケアするクレヨー先生。
 椿の理不尽な行動は学生時代からなので、あまり気にしても仕方がない。
「それから夜は自由時間。 二段ベッドが二つある四人部屋で遊んだのだわ! 就寝時間になっても寝たふりだけ、巡回に来る先生の目を盗みながら起きていて皆でこっそり遊んでいた記憶があるのだわ」
「“素直に寝たら負け“”先生に見つかったら負け“的なノリになるのはわかるんだな」
「夜中の二時ごろ私の発案で肝試しをしたのだわ。 先生が寝ている部屋に行って、額にマジックで何かを書いた人の勝ち。 翌朝の朝ごはんに先生の額に“肉”って書いてあったのを見て、私、ガッツポーズだったのだわ!」
「そういうロクでもない事を企画するのは、子供の頃からなんだな」
 今回はクレヨー先生と椿が引率役、自分が同じ目に遭う可能性があるはこの時点では想像していない。
「あとはスイカ割りして、海辺で水難救助の講習を受けたのだわ」
「溺れた人を助ける訓練なんだな?」
「そうそう、“溺れ太くん“とかいう等身大子供人形を使って人工呼吸の訓練をしたのだわ 、私が人工呼吸した後、男子たちが“溺れ太くん“に間接キスをしようと争いあったり、嫉妬して“溺れ太くん“を袋叩きにしたりしたのを覚えているのだわ〜」
「椿ちゃん、もてた記憶を捏造するのはよくないんだな、哀しい嘘はやめるんだな」
「うぅ――まあ、そんで帰りのバスなのだわ。 行きはカラオケとかゲームをして盛り上がったのに、帰りはみんなグッタリ――いい思い出なのだわ」
 そんな感じで行われる事になった臨海学校。
 皆も参加して、思い出を作って欲しい。


リプレイ本文


 夏のある暑い日、学園生たちはバスに乗り込み、海へと旅立った。
 いつもの依頼とは違うワクワク気分。
 学園生たちは隣席の者と話しに花咲かせ、あるいはお菓子を分け合って食べている。
 そんな中、アンニュイな表情で車窓を流れる景色を見つめている少女が一人。
(どうせなら林間学校にして山に行けばいいのに)
 ラファル A ユーティライネン(jb4620)である。
 彼女は天魔に襲撃され、全身の何割かを機械化しているため海が苦手なのだ。
 遊泳に適応した義肢もあるのだが、先日の海の依頼でそれがトラブルを起こしている。
 どうにも海に入る気にはなれなかった。
「どうしたんですか、ラファルさん」
 隣席の木嶋香里(jb7748)に話しかけられたラファル、急に二カッと笑みを浮かべる。
 それはそれ、海以外で騒げばいいのだ!
 辛気臭い顔で、皆の気分を壊すのはラファルのキャラじゃない。
「いくぜ! 海まで四時間! のど自慢大会だ!」
 カラオケセットを勝手にセッティングし、前に出て唄い出すラファル。
 曲目は浪曲! 忠臣蔵を唄った名曲だ! 渋い!
「次! アイドルいけよ!」
 マイクを川澄文歌(jb7507)に投げ渡す。
「新曲唄っちゃうよ♪ カイもデュエットする?」
 隣席に座る恋人、水無瀬 快晴(jb0745)がはにかんだような顔を横に振る。
「文歌のをここで聴いてるよ」
 踊るようなステップで前に出て、歌声を奏でる文歌。
 楽しい臨海学校の、これが幕開けだった。


 最初の見学場所は水族館。
「綺麗ですねー、この辺りの海にこの子たちいるんですかねー」
 水槽に泳ぐ、生ける宝石たちを香里がパシャパシャデジカメで撮っていると、目の前を小麦色のチビッ娘が駆け抜けていった。
「おいしそうなのだー! これ、どこで調理してもらえるのだ?」
「楓、ここは活造り料理屋ではありませんわ」 
「うふふ、走ったら危ないよぉ」
 無邪気に駆け回る焔・楓(ja7214)を桜井・L・瑞穂(ja0027)とアムル・アムリタ・アールマティ(jb2503)が姉代わりにたしなめている。
 そんな光景を微笑ましく眺めていると、館内にアナウンスが流れた。
『ただいまより、ショープールにてイルカ・アシカショーを開始いたします』

 ショープールの舞台には、黄昏ひりょ(jb3452)が舞台にあがっていた。
 プールにいるイルカに、手渡しで餌をやる係に選ばれたのだ。
「これイルカですよね、シャチじゃありませんよね」
 以前、動物園の水族館でシャチに喰われかけた事のある黄昏。
 トラウマが復活したのか、ガクガク震えている。
 本当はアシカと球投げをやりたくて飼育員のお姉さんの呼びかけに立候補したのだが、なぜかイルカの餌やりの方に選ばれてしまった。
「イルカさんとシャチさん、体の大きさが違うだけで、ほとんど同じ生き物なんですよー! ここでは仲良く暮らしていまーす」
 にこやかに教えてくれるお姉さん。
「やっぱりー!」
 黄昏が白目を剥いたとたん、他のお客と球投げをしていたアシカが、ボールをキャッチしようとして、黄昏の背中にぶつかってきた。
 よろめいた黄昏の目の前にあるのは、シャチの住むプール!
 黄昏は、冷たい恐怖の中へと頭から落ちて行った。

 水族館内にあるペンギンランド。
「わぁ、ペンギンさんだよ〜! 可愛いよね〜」
「そうだねぇ、可愛いねぇ」
 ペンギンではなく文歌の頭を撫で撫でする水無瀬。
 もうすっかり仲睦まじき恋人同士。
「飼いたいよ、連れて帰れないかな〜」
「一緒に暮らしたら、文歌が風邪引いちゃうかもな」
「だよねえ、ペンギンさん寒いの好きだから」
「ん? あれなら連れて帰れるかも」
 ペンギンランドの向かいに、売店があるのを水無瀬が見付けた。
 大小様々なペンギングッズが売っている。
「わぁわぁ、カイ、これほしいよ!」

 恋人同士が騒いでいる場面に、水も滴るいい男登場。
 シャチプールに落ちたひりょである。
「うう……寒い」
 外が猛暑なので、館内は冷房がガンガン効いている。
 水に濡れた黄昏の体は、それに冷やされ切っていた。
「水族館の人がお詫びに商品券くれたから、何か着るものを買わなくては」
 着替えは荷物に持ってきたのだが、学園生の荷物はバスが青年の家まで先に運んで行ってくれる約束のため、着るものが黄昏にはないのだ。
 売店で売っている衣類を物色する。
 だがこの季節なのでTシャツが中心。 冷えた体は温まりそうにない。
「……うりゃ、プレゼントだよ」
「ありがとう、カイ♪ ペンちゃん、これから宜しくね♪」
 声をした方が見れば、水無瀬が文歌にペンギンのぬいぐるみをプレゼントしているというハートウォーミングな光景が広がっていた。
「うぅ、何で俺はぼっちでずぶぬれなんだ、余計寒くなってきた」
 何か暖かいものはないかと、衣類コーナーを漁る。
「あった! 飛び切り暖かそう」

「黄昏さん、なんでそんなもの着ているんですか?」
 灼熱のアスファルトの上をフラフラと歩くペンギンに、香里が尋ねてくる。
 青年の家までペンギンの着ぐるみ姿で、黄昏は歩いて行かねばならないのだ。
「忘れていた……外は暑いんだった……」
 一羽のペンギンがポテッと倒れた。


 青年の家についた学園生たちは、飯盒炊飯の準備にとりかかる。
 さっそく動いたのは黒百合(ja0422)。
「豪華な食事にしないとねェ……取り尽くすわよォ♪」
 いきなり海にドボーン!
 着衣のままである。
 だが濡れはしない。
 海水を透過能力でスルーしてしまっているのだ。
 水の抵抗を受けないまま貝を拾ったり、銛で魚を突き刺して捕ったりする黒百合。
「あはぁ♪ 調べてきたのよぉ、あなた千久遠はするのよねぇ♪ こっちの子は五百久遠♪ あらぁ、二千久遠はしそうな子もいるわぁ♪」
 必死に逃げる高級魚たちを追いかけて、銛で串刺しにする。
「痛いかしらぁ? ごめんねぇ、でもお高いあなたたちが悪いのよぉ♪」
 地上にあがると、採った高級魚を皆に配る。
「ありがとうございます! 黒百合さんって意外と優しいんですね?」
 今まで黒百合に散々な目に遭わされてきた雫(ja1894)が、ビックリしていた。


 黒井 明斗(jb0525)は炊飯場で竈を組み、火起こしを試みていた。
「ふむふむ、まずは、新聞紙等の燃えやすいものを使って、薪を燃やすんですね」
 現場で、スマホ検索している。
 手さぐり状態なのだ。
「明斗くん、そんな面倒な事するより、火炎スキルでメラメラーってやっちゃおうよ!」
金髪ロリっ娘・イリス・レイバルド(jb0442)はトーチですべて解決しようとする。
「待って下さい、臨海学校も学校なんです。 学ぶべき事は学ばないと」
「真面目だっねー」
 半ば呆れられつつも薪を集め、それに新聞紙で作った松明から引火していく。
「消えてしまいますね、何か風避けになるものを……」
 四苦八苦しながらもどうにか全ての竈に火をつけた。
 これで調理準備完了。
 今度は、飯炊きに移る。
「んゆ? 今、お米に何混ぜたの?」
「発芽玄米です、食べ盛りの方が多いですから、少し食べ応えを増そうと思いましてね、歯ごたえと栄養価をUPしました」
「発芽玄米……」
 チビっ娘が内心コンプレックスなイリス、ちょっと興味あったりした。
 
 鴉乃宮 歌音(ja0427)は、調理場で大きな飯盒に米とシーフード野菜を入れていた。
「美味しそうですね。 炊き込みご飯ですか?」
 香里が尋ねてくる。 
 香里の方は鶏肉を包丁で捌いていた。
 鶏肉の炙り刺し身を作るそうだ。
「パエリア風炊き込みご飯だ、飯盒炊飯ならいいおこげが出来る」
「よかったら、この鶏肉も使いますか? 少し余りますから」
「それは助かる、他にも焼き魚やらムール貝のワイン蒸しやら作る予定なんだ」
「大人の料理ですね」
「ただ、それだけに食材が高い、予算がすぐに尽きてしまってな」
 などと苦笑していると、
「これも使ったら、どうかしらぁ♪」
 黒百合が、何か飴色の物体を持ってきた。
「なんだそれは?」
「フカヒレよぉ、超高級食材……♪」
「鮫、倒しちゃったんですか!?」
 先程から海産物を皆に配っていた事は知っていたが、とんでもないものまで捕っていたようである。
「ありがたくいただいておこう」
「代わりにこれをいただくわぁ……♪」
 黒百合が持ち出したのは、香里が持ち込んだビールだった。
「いいですけど、それノンアルですから」
「あらぁ、お酒入っていないのぉ……残念だわぁ」
「そもそも飲酒していい歳じゃないだろ」
「見た目で判断しちゃダメよぉ……♪ これでも飲める年齢なんだからぁ……♪」
 黒百合は身長124センチ、八歳児くらいの体格である。
「こっちはばっちり入っているわねぇ……♪ いただくわよぉ……♪」
 黒百合が飲み始めたのは、鴉乃宮のワインだった。
「それ料理用なんだけど……」
「お酒ならなんでもいいわよぉ♪ 鶏肉の炙り刺し身ともよく合うわぁ♪」
 ムール貝のワイン煮は、別の料理にアレンジが必要かもしれなかった。

「んじゃ焼きそばでも作りますかー」
 イリスは、黒井に火を起こして貰った竈の前で気合を入れていた。
「イリスちゃん、料理なんて出来るのだわ?」
 椿が不安そうに尋ねる。
「もっちろんさー!」
「だって、イリスちゃんの料理ってこの前……」
 椿は数日前の依頼でイリスの料理を食べさせられたのだが、“おにぎりの海苔にジャムを塗った”という代物だったのだ。
「カップ焼きそばにしておいたら?」
「ノー! あんなカップにも入っていなければ、焼いてもいないし、そばでもないものをボクの料理と比べるだなんて、アンビリーバボ!」
「この子、タブー中のタブーに触れたのだわ……」
「料理は乙女の嗜みっさー、何ていってる間に出来ましたー♪」
「はやっ!」
 速度の方も、カップやきそば並だった。

「恋音! 恋音! 大変ですよ!」
 袋井 雅人(jb1469)は、恋人の月乃宮 恋音(jb1221)の元に、嬉しそうな顔で戻ってきた。
 手には、高級海産物の詰まった買い物袋を持っている。
「黒百合さんが、こんなに採ってきてくれたんです!」
「……おぉ……伊勢海老やサザエまで……凄いシーフードカレーが出来そうですぅ……」
 嬉しそうに微笑む恋音。
「……これで、共食いと言われずにすみますぅ……」
「海産物がなければ、ビーフカレーにせざるをえませんでしたからねえ」
 乳がモーモーサイズか、それ以上の恋音。 料理の腕に自信はあるが、牛肉料理を作るとどうしてもそれを言われる不安に付き纏われる。
「私も手伝いますよ!」
 二人で仲睦まじく料理をしていると魔女服姿の金髪少女が話しかけてきた。
 マグノリア=アンヴァー(jc0740)だ。
「あなたたち、カレーを作りますの?」
 申し訳なさげに言うマグノリア。
「宜しければ、カレールーを分けていただけませんこと? 実は鍋を持ってくるのに必死で、うっかりカレールーだけ忘れてしまいましたの」
「……おぉ……カレールーは多目に持ってきましたので、どうぞぉ」
「よかった! ありがとうございます」
 恋音と袋井を自分の鍋の元に案内するマグノリア。
 そこには、ぐつぐつと煮えたぎり、不気味な色の煙を立てる魔女鍋があった。
「おぉ……あれはぁ……(ふるふる)……」
「何か恐ろしい薬物を精製しているようにしか見えません!」

 夕方、出来たものを持ち寄って、楽しいお食事タイム。
「これです、炊き込みご飯はやっぱりオコゲですよねぇ」
 外国出身なのに、渋い感性を発揮するエイルズレトラ マステリオ(ja2224)
 鴉乃宮のパエリア風炊き込みご飯が気に行った様子。
「あ、ちゃんと作れているのだわ」
 椿がイリスの海鮮焼きそばを食べて、ほっとしている。
「ふふん、だから言っただろ? おっと、このイリスちゃんを嫁にもらおうなんて思うなよ」
 なぜかイケメン声のイリス。
「ご飯もカレーも沢山ありますから、どんどんおかわりしてくださいねー」
 黒井の焚いたご飯に、恋音と袋井のカレーをかけたシーフードカレーは好評。
「はむ! はむ! お言葉に甘えて、どんどんいくわよー」
 底なし胃袋お嬢の蓮城 真緋呂(jb6120)などが、どんどん皿を積み重ねている。
 そして、マグノリアは、
「殿方の胃袋をこれで鷲掴みにするのですわ!」
 魔女カレーを、とりあえずは隣りに座った逢見仙也(jc1616)に振舞う。
「おう、いただくぜ」
 制作工程を知らないので、不用意に食べてしまう逢見。
「うまい、うまい、うまい、うまい」
 夢中になって食べているが、食べるたびに肌の色が不気味に変色していく。
「これは……」
 先程から、皆の食事風景をデジカメで撮影している香里が、逢見を撮った画像を確認する。
 死神が逢見のエクトプラズム連れ去ろうとしているように見えるものが映っていた。
「鷲掴んでますね、命を」


 入浴時間開始。
 その少し前に、イリスは一人で女湯に来て髪を洗っていた。
「世界美髪コンテスト優勝のボクの髪には、何人たりとも触れさせないのさ!」
 そんなコンテスト実在するかわからないのだが、とにかくイリスは髪に拘りを持っている。
 撫で撫でしたくなる可愛さなのに、髪に触れられるとキレるというある意味鬼畜幼女だった。

 髪をシャワーで洗い流すと、自分の胸元が気になりだす。
 年齢に比してもやや薄い胸の中央に、ゼリー状の透明な器官が出来ていた。
 ハーフ天魔化した時に出来た謎器官だ。
 お湯で温めたゆえの不具合なのか、とろけかけている。
 指でつまむとマシュマロのように伸びた。
「なんだろこれ、ボクの体なのに謎だ」
 その時、イリスに視線! 何者かの視線!
「むむ、乙女の柔肌を覗く不穏な気配」
 だが、辺りを見回しても誰もいない。
「きのせいかー、そっかー」
 暑気による疲れもあり、湯船に入り、くにゃーとなるイリス。
 だが、乙女の勘は誤作動したわけではなかった。

「誰か入っていましたか?」
「まだ、ちっちゃいお子様しかいなかっぜ」
「あんなのクラスの女子と同じだもん、覗いてもしょうがないよな」
 青年の家の屋根上には袋井と、地元の悪ガキ小学生数名がたむろしていた。
 この悪ガキたちは、女湯覗きの常習犯。
 女湯の裏に入れる秘密の抜け穴を確保している。
 同じ目的で庭をうろうろしていた袋井とバッタリ会い、そのまま意気投合したというわけだ。
『誰がお子様かーーッ!』
 突然、女湯の中からイリスの怒声が響いた。
「え、あ、バレましたね? やばい!」
 奥義・闇渡りで逃げる袋井。
 だが、悪ガキたちは落ち着いていた。
 常に斥候を用意しているのだ。
「いや大丈夫、寝言だ、お子様は湯船で寝ちまっている」
「それより、他のが入って来たぜ、オトナもいる」
「ふぉぉぉ! いよいよですね!」

「お風呂だー! 広いのだー!」
 楓が体にタオルもまかずに、タイルの上をとててっと走っている。
「お風呂でも走ったらダメだよぉ」
「楓、湯船に入る前に髪と体をお洗いなさい」
 瑞穂がアムルと共に洗い場に座る。
 目を閉じ髪を洗っていると、ふと頭上で天井がギシギシ言い始めた。
(犬? いえ、もう少し大きい。 おそらく人間の子供ですわね――)
 頭を泡塗れにし、目を閉じたまま、おもむろに立ちあがる瑞穂。
 体に巻いていたバスタオルも外し、仁王立ちになる。
「おーほほほっ! 見たければ見なさい! この桜井・L・瑞穂ほど素晴らしき肉体は、そうそう見られるものではありませんわーー!」
「瑞穂ちゃん、どおしたのぉ?」

 一方、屋根の上には慌てた顔の袋井たちが戻ってきていた。
「今の気付かれましたかね?」
「変な姉ちゃんだったなあ、おっぱいでかかったけど」
「見たければ見ろっていうなら見ようぜ!」
「そうですよね、お言葉に甘えて私もぜひ一目!」
 色めきたっていると、斥候役の悪ガキが戻ってきた。
「おい、もっととんでもなくおっぱいでかいのが入って来たぞ」

 恋音は、湯船に浮かぶ自分の胸を溜息とともに見下ろしていた。
「また大きくなった気がしますぅ……(ふるふる)……」
 とうとう180センチの大台に乗ってしまった恋音。
 身長がではない、胸囲がである。
 将来を案じて、さすがに落ち込む。

「ああ、可哀そうに恋音――」
 天井裏の穴から、目を潤ませてそれを見下ろしている袋井。
「おい、兄ちゃんそろそろ変われ」
 悪ガキたちに、覗き穴使用権の交代を促される。
「ダメです! 恋音は私の数年来の恋人なんです!」
「ならいつでも見られるだろ」
「こうして覗くのは趣が違うんです!」
 袋井が小学生と喧嘩をしていると、洗い場の上の覗き穴を覗いていた他の悪ガキが騒ぎ出した。
「おい、こっちでHな事やっているぞ」

 洗い場では泡塗れの瑞穂を、アムルが後ろから素手で洗っていた。
「ア、アムルぅ、何処を洗って、あっ♪」
「何処洗ってるの、って? おっぱいやお股だよぉ♪ 綺麗にしとかないといけない場所だしぃ♪」
「あぅん……およしなさい……もう充分に」
「まだまだ! この上にいる子たちに見せつけてあげなくちゃ♪ キミたち〜、瑞穂ちゃんのおムネ、すっごい柔らかくて触りごこちいいんだよ〜、降りてきたら触らせてあげるんだけどなぁ♪」
 誘惑めいた声を天井裏に飛ばす。
「ぁあ……何を勝手な、そんなのいけませんわぁ……」
 瑞穂はあまりの洗われ心地の良さに、恍惚としかけている。
「降りてこないの〜? じゃあ隣の子のお尻を揉んでごらん、その三倍くらいの柔かさだと思えば、目安になるかなぁ〜?」

「ちょ、キミ達、私の尻を揉むのはやめてください!」
 天井裏では、袋井が悪ガキたちに尻を揉まれていた。

「むむ、覗きがいるみたいね、これは……」
 その頃、脱衣所には下着を脱ぎかけて手を止めた真緋呂がいた。
「ふふふ、これなら見えない」
 蜃気楼スキルを使い、姿を隠して洗い場に座る。
 そばには、アムルに洗われ終えた瑞穂が、口端から涎を垂らし、気だるげに寝そべっていた。
「いけませんわぁ……」
 何があったのか知らない真緋呂、
 気にせずに洗髪していると、
「うにゃ? 誰かいるのかな? かな??」
 楓が男湯と女湯を隔てる壁を指差して騒ぎ出した。
「ふふふ、少年よ! キミらの憧れ! エル・ジェフェ・ベック見参やで!」
 なんと、壁の上に腰タオル一丁姿の男、エル・ジェフェ・ベック(jc1398)が堂々と腕組みをして座っていた。

「おぉ……あからさまな変態さんが……(ふるふる)……」
 恋音が乳を震わせるたび、湯船のお湯が大きく溢れ出す。
「変態? 俺目隠ししとるから見れへんよ、ただ風を浴びに来たんや」
 エルは普段からアメコミヒーローのような赤いアイマスクをしているのだが、今はそれに穴がなく全体が紅い布で覆われている。
(ふふふ、なんちゃってメッシュやけどな! 絶景やで!)
 布越しに、浴場に広がる肌色風景がばっちり見えていた。
「そうかー見えていないのかー、だからあたしの事も少年と間違えたのだ!」
 信じ込むのは楓くらい。
 風呂にいた女の子たちは、変態に騙されず悲鳴をあげて逃げ出した。
 しかし、真緋呂は余裕綽綽でシャンプーを続けている。
(ふふっ、嘘八百だろうと変態だろうと、私の体は蜃気楼が見せないわ!)
 すると、変態の声が上から降ってきた。
「姉ちゃんさっきから見とったで〜、ええ食いっぷりやったな〜、栄養全部、胸にいっているんちゃう?」
「え……?」
 どうやら効果時間はとっくに過ぎ、蜃気楼は切れていたらしい。
 キッと、エルを見上げる。
「ああ、見えてへん。 見えてへんから!」
「見えてんじゃないのよ!」
 ケセランを召喚してエルに投げつける。
「見えてへんのに〜」
 最後まで嘘をつきとおして、エルは男湯に落ちていった。

「まだ見ぬ勇者が学園にいたとは――彼の勇気に敬礼!」
 屋根裏で、袋井と悪ガキたちはエルに敬礼した。
 ほどなくして、逃げ出していた女の子たちが変態の訃報を聞いて安心し、浴場に戻ってきた。
「うひょー、帰ってきましたよ!」

 雫は、傷がある体を見られたくないため、幼い体を湯浴み着で覆っていた。
「流石に、これ以上覗きに来る不埒者は居ないとは思いますが……」
 実は雫、天井裏に誰かがいるのは薄々気づいている。
 ただ、自分は覗き対象ではないだろうと思っていた。

「あのコ、可愛い!」
 雫に一目ぼれした悪ガキがいたらしい。
 彼の言葉に釣られて、悪ガキたちが頭上の覗き穴に殺到した。
「どの子?」
「おっぱいでかい?」
「あ、ダメです、彼女はああ見えて学園最強クラスの――」
 袋井が止めようとしたが、もう遅かった。
「小さいくて悪かったですね! 地すり残月!」
 近くにあったモップを武器代わりに、雫は衝撃波を発射!
 天井が切り裂かれ、袋井や悪ガキたちが落ちていく。
「……こうなる気がしたのですぅ……」
 恋音は湯船に落ちた袋井を見て、諦観の溜息をついた。

 一時間後。
 男湯では逢見が湯船で、独り酒をたしなんでいた。
「どうだ、お前ら極楽浄土は見えたか?」
 男湯の天井から、縄で逆さづりにされている、エルと袋井に尋ねる。
「んー、どちらかというと冥土やな」
「ハッハハ、天国でしたよ! 逢見さんも今度是非一緒に!」
 全然懲りていない二人。
「遠慮しとくぜ、お前らは一晩ゆっくりそこで過ごせよ」
 逢見は浴場から出ると、逆さ吊りの二人を放置したまま浴場の電灯を消した。


 自由時間。
「もふもふ、もふもふ」
 シェリー・アルマス(jc1667)は、羊の着ぐるみを着て廊下を歩いていた。
(皆にもふられたいな)
 モフラーの多い久遠ヶ原学園だが、シェリーはモラレターだった
 そこに登場、イリスちゃん。
「おお、すげえ! もふもふだぁー!」
 シェリーを、もふもふするイリス。
「もふもふっ〜 もふもふ〜」
 そこに ミハイル・エッカート(jb0544)や、雫も登場。
「おお、お前もふもふじゃないか」
「もふらせなさい……」
 羊着ぐるみのシェリーをもふり始めた。
「あー、嬉しいこんなにもふってもらえるなんて」
 シェリーが恍惚としていると、
「やめろ! それ以上、もふってはいけない!」
 黄昏が切実な表情で、割って入ってきた。
「いくら夜でも、こんな暑い時期で着ぐるみを着てもふられるなんて――」
 ペンギンの着ぐるみを着て猛暑の中を歩いたため、脱水症状になった黄昏の助言。
 だが時すでに遅し、きぐるみに併せ複数の人間の体温に包まれたシェリーにも同じ事が起きた。
「涼しくなってから、またもふってね」
 シェリーは汗だくになって、その場に意識を飛ばした。

「まくら投げやろうぜ、枕なげ!」
 四人部屋の寝室。
 ラファルは二段ベッドの上から同室のメンバーに、それを提案した。
「ん、やめておく(コクリ」
「今から、トランプをするんだ、お前もどうだ?」
「ボクたち強いよぉ(クスクス」
 ヒビキ・ユーヤ(jb9420)、麻生 遊夜(ja1838)、来崎 麻夜(jb0905)は床の上に座り、大富豪の準備をしている。
「チッ、いいや、他の部屋でやってくる。 お前らの枕は借りるぜ」
 枕を抱えて部屋を出ていくラファル。
「ん、じゃあ三人で開始する」
 ヒビキがカードを配り始めた時だった。
「そう見せかけて、どーん!」
 部屋を出たふりをしたラファルが、枕を連投し三人の顔に投げつけた!
「やりやがったな」
「このまま、黙っていられない(クスクス」
「復讐するは我にあり(コクリ」
 枕が乱れ飛ぶ部屋。
 合宿の華、枕合戦が繰り広げられる。

「こら、キミ達、うるさいのだわ!」
 騒ぎを聞きつけた見回りの椿が飛び込んできた時、すでに四人はベッドの中で大人しく寝ていた。
「この部屋じゃなかったのだわ」
 首を傾げながら出ていく椿。
 見回りがいなくなったとたん、また枕投げが再開される。
 合宿の様式美だった。

 魔女っ娘マグナリアは、夜道を歩いていた。
「こんなに空気が清んだ場所なら、さぞかし星もはっきりと見えるでしょう」
 一人で青年の家を抜け出して、天体観測をしに丘へ向かう。
「……け、決してボッチって訳ではありませんのよ! ただワタクシの思考に付いていける、殿方が居ないだけですわよ!」
 誰に聞かれたわけでもないのに、ツンデレトーク。
 知らない土地で、夜中の一人行動はやはり心細い。
「このままでは、ボッチ村の次期村長になってしまいそうですわ」
 だが草のそよぐ丘の上に登り、星を見上げるとそんな寂しさは吹き飛んだ。
「夜空のキャンパスとはよく言ったものです」
 久遠ヶ原でも星は見えるが、空の透明度に伴い、星の数も違う。
「あれはカシオペア、あれが白鳥座かしら。 あっちは――う〜ん、思い出せませんわ」
 独り言を言っていると、突然、背後から答えが返ってきた。
「ヘルクレス座ですね、全天で五番目に大きい星座です。 ただ明るい星がないので久遠ヶ原からでは、よく見えなかったんですよね」
 驚いて振り向くと、飯盒炊飯でご飯を炊いてくれた黒井がいた。
「すみません、驚かしてしまいましたか?」
「いえ、随分、お詳しいですわね」
「聞きかじりです、これを持ってきましたから」
 黒井は星座板をマグナリアに渡して見せた。
「準備がよろしくってらっしゃいますのね」
 黒井に渡された星座板を眺める。
(案外いますのね、ワタクシの思考に付いてきていただける、殿方)
 黒井が幼いのが、少しだけ残念だったが――。
「まだ明るい星でないだけで、目を凝らせば、沢山いらっしゃるのかもしれませんわ」
「何がですか?」
「何でもありませんわ」
 マグナリアと黒井は、夜空に溢れる星々をいつまでも見つめ続けた。 


 午前一時。
 エイルズとミハイルは、二段ベッドの上下でひそひそ話をしていた。
「そろそろ行くか?」
「まだ黒百合さんと逢見さんが帰ってきていませんよ」
「遅いな、捕まったか?」
「しかしミハイルさんも三十歳になって、いい御趣味ですねぇ」
 この二人、椿が幼い頃行ったという引率教師対象の“肝試し”の話を聞き、今度は椿にそれを仕掛けようとしていた。
 隣室の黒百合と逢見もそれに乗ってきたので、順番に仕掛ける事にした。
 現在、黒百合が椿の、逢見がもう一人の引率であるクレヨー先生の部屋に向かっている。

「もう寝ちゃったかしらぁ……♪」
 黒百合は椿の部屋のドアをノックした。
「……ん、誰?」
 椿の寝ぼけ声がドアの向こうから近づいてくる。
 この間に、黒百合は変化の術を使った。
 椿に姿を変えるためである。
 そして幻影・影分身。
「お腹でも痛くなったのだわ?」
 ドアを開けた椿が見るのは、不気味な微笑みを浮かべたもう一人の椿!
 椿がひるんだ隙に、分身に刃物で首を掻っ切らせる。
 自分が自分の目の前で自殺するという、トラウマものの芸!
 ――の、はずだった。
「黒百合ちゃんダメ!」
 椿は全くひるまず、分身が持った刃物を正拳突きで叩き落としてきた。
 ひるんだのは黒百合の方。
 椿は黒百合の分身を抱きしめ、母性豊かな胸に頭を埋めさせた。
「ダメなのだわ――悩みがあるなら相談して、お姉さんじゃ頼りにならないかもしれないけど」
 涙を流す椿。
「あ、あらぁ……?」
 予想外の展開に戸惑う黒百合。
 すぐ原因に気付く。
 実は黒百合、変化の術の段階で失敗していたのだ。
 黒百合は21キロ、椿は53キロ。
 体格に50%以上の差があると変化の術は成功しない。
「ご飯もっと食べなきゃダメねぇ……♪」
 
 一方、逢見はクレヨー先生の部屋に向かっていた。
 遁甲と忍び歩きのスキルで気付かれないよう部屋のドアを開けた。
 とたん、ギャラギャラと派手な音が辺りに鳴り響いた。
「おっ、なんだ!?」
 鳴子である。
 部屋の前に罠が仕掛けられていたのだ。
 逃げようとしたが、起きてきたクレヨー先生に背中から裾を捕まえた。
「逢見くん、何をしているんだな?」
「い、いえ」
 捕まれた背中から、そこに隠しておいた“薄い本”がポロッとこぼれてしまう。
「これはなんなんだな?」
「親切な人が、訓練に役立つからとくれたんだ」
 いざという時は、これを見せてどう訓練に活かすか相談するふりをして誤魔化そうと考えていたのだ。
 それをぱらぱらと捲ったクレヨー先生溜息をつく。
「こういう悪戯に興味があるんだな」 
 実は逢見が持っていた薄い本、┌(┌^o^)┐な内容だった。
「若いうちは仕方がないんだな、先生も相撲部屋に入った頃、そういう趣味の兄弟子に迫られて――」
 逢見は廊下に正座させられ、説教に交えた相撲部屋┌(┌^o^)┐話を切々と聞かされた。

 驚いたのは逢見と同室の鴉乃宮。
「思ったより酷い事になってる?」
 実は鳴子の仕掛け人は、彼だった。
 最初は椿に教えたのだが、念のためクレヨー先生も同じものを仕掛けたのだ。
 経緯はともあれしてやったりで二度寝を決め込んだのだが、どうにも様子がおかしいので気になって物陰から偵察にきたのだ。
 数時間に渡って┌(┌^o^)┐を聞かされる逢見に、鴉乃宮も良心の呵責を感じた。

 満を持して、エイルズとミハイルが立ちあがる。
「黒百合さんがこの手の悪戯で失敗するとは、珍しいですねぇ」
「ふっ、逢見も遊び気分だからそうなるのさ、夜這いじゃねえ、これは戦いだぜ」
 エイルズはカボチャマスク、ミハイルは夜戦用装備。
 気合を入れて出撃する。

 二人は椿の部屋のドアの前に来ていた。
「まずは鍵を外しますね」
 針金を取り出すエイルズ。
「ピッキング出来るのか?」
「僕は奇術士ですよ? 針金一本あれば鍵なんかないも同然です」
 そう言いながら、腕を透過させドアの内側から鍵を開ける。
「針金、関係なくないか?」
「細かい事はいいんです、行きますよ」
 鳴子は解除済。
 音を立てないよう、エイルズは飛行スキルで、ミハイルはハイドアンドシークで侵入。
 引率用の和室に、布団を敷いて寝ている椿の元に辿り着く。
「思っていたより、色っぽいな」
「黙っていれば、綺麗な方ですからねぇ」
 大きめのTシャツ一枚で眠る椿の色気に一瞬、気圧される二人。
「それはそれ、レディに失礼のないように早く用を済ませましょう」
 まずはエイルズが椿の額に“肉”と書く。
「名も知れぬ先生の敵です。インガオーホー」
 続いて、ミハイル。
「失礼もなにも、レディにする事じゃないがな」
 蛍光ペンで椿の顔に猫の似顔絵を描いた。

 翌朝、共用の洗面所から悲鳴。
「きゃー! なんなのだわ、これ!?」
 鏡を見て自体に気付いたのだ。
「おはようございます、屁の突っ張りはいらんですね」
 エイルズが笑いながら挨拶する。
「言葉の意味はよくわからんが、エイルズくんの仕業なのだわね!」
「なぜ分かったんです!? ……さては、体は三十路、頭脳は幼女の名探偵!?」
「キー! 覚えていなさいよ!」
 石鹸でごしごし洗って、ラクガキを消そうとする椿。
「おっと、頬の猫は消さない方がいいぜ」
「ミハイルさん!? いい年してこんな下らない悪戯したのだわ!?」
「まあ落ち着け、おまじないなんだ、その猫は一週間消えなければ素敵な彼氏が出来るんだ」
「マジで! じゃあ消さないのだわ!」
 椿が、顔を輝かせる。
 結局、ミハイルに騙されたまま一週間その顔で過ごした。
「本当に頭脳は幼女じゃないですかねぇ?」


 海水浴の時間。
「おーっほっほっほっ♪ 最高ですわぁ♪ 殿方の視線は釘づけですのよ!」
 思わず降ろしたくなるフロントジッパのボトムス。
 後ろに廻ればOバックから見えるお尻の谷間。
 衆目を集める事に酔いしれながら、ビーチを練り歩いているのは瑞穂だった。
「昨日のノゾキさんたち、また見てるよぉ、ボクたちのHな姿が忘れられないんだねぇ♪」
 アムルも、むしろ全裸のよりもエロスを漂わすマイクロビキニを身に着け、瑞穂のお尻を目で楽しみながらその後ろを歩いている。
 だがある時、海水浴客の視線が別の場所に集まっている事に気付いた。
「あれ、なにかなぁ? 瑞穂ちゃん? 昨日の変態マスクさんだよね?」
「まあ、許せませんわ! わたくしたちより目立つだなんて!」

 “昨日の変態マスク“ことエルは、浜辺で面妖なショーを繰り広げていた。
「覚悟しろ、スイカ頭! 脳漿ぶちまけてやるぜ!」
 ブルーシートの上に立たせた、頭にスイカを乗せたビニル人形に悪態をついたかと思うと、いきなりラリアット!
 シートの上に倒れたスイカ人形に、今度は三角締め!
「ギブか? ギブか? これでギブしないとは、とんだマゾのイカレ野郎だぜ!」
 聞いた人の心が荒むような英単語を連呼しながら、無抵抗な人形にプロレス技をバンバンかけていく。

「暑さのせいですわ」
「可哀そうだねぇ」
 壊れてしまったエルを哀れみの目で見つめる瑞穂とアムル。

 すると、そこに青のビキニを着た少女が目隠しをして歩いてきた。
 底なし胃袋少女の真緋呂である。
「スイカ、スイカ――どこだろう」
 どうやらスイカ割をしているらしいが、完全に方角を見失っているらしい。
「ピキーン、こっちね☆」
 第六感が閃いたような効果音を口に出すと、真緋呂は“一人アメリカンプロレス”を演じているエルの方に向かっていった。

 エルは、いよいよフィニッシュブローに入ろうとしている。
「これで、てめぇの頭は粉々だぜぇ!」
 人形の腰を後ろから抱きしめ、バックドロップ!
 腰を逸らし、人形の頭になっているスイカを地面に打ち付けようとした瞬間だった。
 エル自身の頭に、アイビーウィップの蔓の鞭が飛んできた!
「ぎゃあ!」
 ダブルKOされるエルとスイカ頭。
 真緋呂は、目隠しを外すと地面に打ち付けられたスイカを見て、目を輝かせた。
「ようやく割れたわ☆」
 割れたスイカ頭を、もりもり食い始める。
「甘ーい! 何玉でも食べられそう! あなたも……」
 倒れているエルには気付いた真緋呂、昨日の変態マスクだとわかるとスルー。
「変態には、わけてあーげない」
 ダイヤモンドダストで涼をとりながら、海辺の景色とスイカの甘さを堪能して過ごすのだった。

 一方、浅瀬では、
「うーみー♪ 思いっきり泳いで遊ぶのだー♪」
 白ビキニ姿の楓がしゃぎまくっていた。
 今度は転んでも大丈夫な浜辺とあって、全力全開!
 すると、柔かい岩に頭がぶつかった
「あやや、ぶつかってごめんなさいなのだ」
 心配して様子を見に来た瑞穂の胸にぶつかったのだ。
「あたしはまだ泳ぐのだ♪」
「お待ちなさい、走ると危ないと――きゃあ!」
 瑞穂の爆乳から、それを覆っていたはずのブラが消えていた。
 今の波にさらわれたのだ。
「水着! アムル、わたくしの水着は?」
 腕ブラで胸を隠しながら、必死に辺り探す。
「瑞穂ちゃん、あったよぉ♪」
 アムルが見付けてくれた水着を、慌てて胸に付ける瑞穂。
「ありがとう、よかったですわって――これは違いますわ」
 アムルが見付けてくれたのは女児用の白ビキニ――楓のものだった。
「あたしは面倒くさいからこのまま泳ぐのだ、それ、瑞穂が使っていいのだ」
「ありがとう、よかったですわ――って、サイズが違いすぎますわ」
「大丈夫、これを思い切り伸ばして、こうして縄で縛る感じにすれば」
 ただの紐と化した水着を、瑞穂の胸に無理やり巻きつけるアムル。
「ほぉら、すんごいえっちぃ感じになったぁ♪」
 隠すべき場所は辛うじて隠れているものの、その代償として張りのある爆乳がいやらしい形にひしゃげている。
「これは恥ずかしすぎますわ〜」
 悲鳴をあげつつも、どこか嬉しそうな顔の瑞穂。
 望み通りビーチの視線を、存分に集められたのだった。


 水難訓練の時間。
 指定時間少し前に、緊急事態が起こった。
「大変です、シェリーさんが溺れました!」
 新人撃退士のシェリーが、飛行スキルの制御に失敗して沖合で溺れたのだ。
 水難訓練に関しては椿が教官だが、まだ浜辺に着いていない。
 時間前に、集合場所に集まった学園生など、ごくわずかである。
「仕方ありませんね、私が助けに行きましょう」
 言いざま海に飛び込んだのは、雫だった。

 流石は最強級撃退士の雫、泳ぎは早く、瞬く間にシェリーの元に辿り着いた。
「もう大丈夫です、安心して」
「助けて、足がつったの!」
「動かないで下さい、動くと運べません」
 シェリーはパニックになっており、雫が来ても暴れ、もがき続けている。
「仕方ないですね……闘気解放からの〜、安心ぱーんち」
 雫、背後から全力でパンチしてシェリーを“安心”させる。
 失神させようが、恐怖で雁字搦めにしようが、雫的には“心安らかに”してしまえばいいのである。

 雫が、気を失っているシェリーを引っ張ってくると、浜にはすでに事態を聞きつけた教官の椿や、学園生たちが集まっていた。
「大変! 気を失っているのだわ! きっと水を飲んだのだわ!」
「え?」
 勘違いした椿が、事態を急加速させ始めた。
「誰か人口呼吸してあげて」
「そう言われても、何も教わっていませんからねぇ」
「教官にお任せで」
 エイルズと鴉乃宮は、椿に一任したが、 
「私は出来ないのだわ、だってファーストキスがまだなのだわ!」
「そんな下らない理由ですか!?」
 皆が揉めていると、金髪グラサン三十路男、ミハイルが前に出てきた。
「仕方がねえ、俺がしてやるよ」
「ミハイルさん、大丈夫なのだわ?」
「社会人歴長いんだ、そのくらいは心得ているさ」
「そうじゃなくて」
 椿、何やらメモ帳を取り出す。
 昨日、飯盒炊飯中に“誰となら人工呼吸OKか”ヒアリングしていたのだ。
「シェリーちゃんの場合“紳士ならOK”だそうなのだわ」
「ふっ、久遠ヶ原で紳士といえば俺、俺と言えば紳士だぜ」
「そんな話、聞いた事ないのだわ」
 シェリーに、顔を近づけるミハイル。
 二十歳以下は皆、子供だと思っているのでキス如きに躊躇はない。

 その瞬間、シェリーが目を開けた。
 目の前にあるのは、金髪グラサン男の顔。 
「キャー!」
 ヤクザっぽい人の鼻面をパンチで迎え撃つシェリー。
「おうふっ」
 鼻血を出して倒れるミハイル。
「あら、溺れたわけじゃなかったのだわ」
「ファーストキスがヤクザはいやー!」
 シェリーは、またパニックになっている
「だ、誰がヤクザだ……」
 今度はミハイルが“心やすらかに”鼻血の海に溺れるのだった。

 ここから予定通りの水難訓練開始。
 誰かが溺れ役をし、他の人間がそれを救助して浜まで連れてきて、人工呼吸という流れになる。
「迎えに行ってやるからマジで溺れんなよー?」
 麻生がそう告げた相手は、義娘の麻夜とヒビキ。
 なんと一度に二人救助し、大黒柱の強さを見せつける事に挑戦する。
「はーい、大丈夫だよー♪」
「ん、問題ない(こくり」
 二人が明るく言うのを聞いて、嫌な予感しかしない麻生。
 数分後、それは的中する。
「馬鹿! 抱きつくな!」
「えー、溺れた人がパニックで暴れてしがみ付くのは当然だよー」
「なんでそこで脱ごうとする!?」
「パニックで、衣服が肌蹴るのは当然(こくり」
 必死で浜に向かって泳ぐ麻生に寄りかかり、肌を押し当てて気を引こうとする二人。
 麻生の方は二人抱えて泳ぐだけでも大変なのに、それどころではない。
「だから、暴れんな! マジで沈むっつってんだろ!?

 どうにか浜に到着。
「ぜぇぜぇ、大黒柱の底力なめんなぁ」
「おー、流石おとーさんだねぇ」
「ん、やっぱり、頼りになる(にっこり」
 あとは人工呼吸さえすれば麻生の訓練終了。
 相手は人形で充分とばかりに、浜で寝ている溺れ太君の元に向かう。
 すると、周囲に見覚えのある黒羽根が降り注ぎ始めた。
「こ……れは……」
 麻夜の催眠スキルNight Temptationだ。
 疲れ切っていた麻生の視界は、もはや抵抗すら出来ずブラックアウトした。

「んちゅー、ぺろっ」
 気が付くと、麻夜に濃厚なキスをされていた。
「なにしてんだ!?」
「ん、人工呼吸の練習」
 ぺろぺろと麻生の唇を舐める麻夜。
「こんなの人工呼吸じゃないだろ」
「人工呼吸だよー(クスクス」
「違う、ただの……」
 慌てて麻生が体を起こし、飛びのいた時だった
 後頭部を、巨大な鉄球が打ち付けた。
「マヤの後は、私の番(コクリ」
 今度はヒビキが催眠スキル(物理)を敢行してきたのだ。
「お前らぁ……」
 麻生の視界はまたブラックアウトした。

「ん、ちゅ〜〜〜」
 麻生が再び目を覚ますと、肺の中の空気を全て抜かんが勢いでヒビキにキスされていた。
「ふはっ! お前ら、いい加減にしろ!」
 ヒビキを振り払う麻生。
 慌てて二人から離れる。
「何で目を覚ますたびに“事後”なんだ!?」
 すると、教官の椿がパチンと手を叩いた。
「はい、次が本番ね」
「え?」
 麻夜とヒビキは麻生に唇を突きだしている。
 麻生は、この訓練において救助側の人間なのだ。
 人工呼吸をされるのではなく、しなければ終わらない。
「役得♪ 役得♪」
「おとーさん、こんどは私が先」
 麻生は、二人の愛に溺死しそうだった。

「カイ、宜しくね」
 恋人の水無瀬とそう約束し、一人海で溺れた演技を始めるアイドル撃退士、文歌。
 海は広い。
 一人でその只中にいると、その巨大さが意識そのものを吸いこんでくる。
 その恐怖に、気が遠のきかけた時、
「文歌!」
 水無瀬が近づいてきた。
「カイ……」
 安心した文歌は立ち泳ぎを忘れ、そのまま海に沈んでしまった。

 気が付くと文歌は浜辺に寝そべっていた。
 青い空の下には、水無瀬の泣き出しそうな瞳がある。
 霞んだ視界の中をぼーっと漂っていると、その金色の双眸が近づいてきた。
 唇に感じる柔らかな感触。
 胸を押さえつける力強い掌。
 肺に吹きこまれる、強く優しい息。
 命の息吹が、霞んでいた文歌の世界に輪郭を帯びさせた。
「カイ……」
「文歌、気付いたのか、よかった」
 ほっと緩む、水無瀬の顔。
 とたん、文歌は今起きた事の意味に気付いて、目を逸らしてしまう。
 水無瀬もそれに気づいたようだ。
「ごめん、こんなところで」
「ううん、ありがとうだよ……カイ」
 足裏に感じる浜辺の砂よりも、顔に灼熱を感じる。
 数瞬後、
「え、え〜と、訓練終了ってことでいいのだわ?」
 椿の困ったような声に、二人は我に返った。
 次なる順番の訓練が始まっている。
 それを眺めながら、二人はどちらからともなく手を繋ぎ合った。

 訓練は滞りなく進み、最後は黄昏。
「相手は、僕なんだな」
 クレヨー先生に手をあげられ、ぎょっとする黄昏。
「え、何でですか!?」
「だって残りはキミ一人なんだな」
 言われてみればその通りで、他の学園生は全員訓練を終えている。
 どの美少女と組む事になるのかと、ずっとドキドキしていた黄昏。
 あまりのオチに愕然である。

「海の依頼でこういう事態もありうる、頑張らないと」
 溺れている二百キロのおっさんを救助する事態が、今後あるのかは怪しかったが、将来困っている人を助けるためと言い聞かせ、溺れた振りをしているクレヨー先生の元へと救助に行く。
「どっこいしょ、おぶって泳いで欲しいんだな」
 海の真ん中で伸し掛かってくる、二百キロの肉の塊。
(こういう怪談ってあったような……)
 泳げるわけもなく、黄昏は海に沈んだ。

 結局、先生に担がれて浜に戻った。
「最後は、人工呼吸の訓練なんだな、僕か溺れ太くんかどちらかを選ぶんだな」
「溺れ太君で!」
 黄昏は即答した。
 さすがに超肥満四十男との濃厚なキスは、初心な少年として避けたい。
 溺れ太君の寝ているところに向かうと先客がいた。
 先程、人工呼吸の訓練が出来なかった雫が、溺れ太君に心臓マッサージを施している。
「ここを押せばいいんでしょうか?」
 溺れ太君の鳩尾を吐く雫。
 最強級撃退士の全力!
 溺れ太君は粉々になった!
「うん? 間違ったでしょうか?」
 どこかの偽拳法家のように首を傾げる雫。
 それを眺めていた黄昏に、背後からの悪夢のような囁き。
「仕方ないんだな、黄昏君は僕で訓練するんだな」
 黄昏はこの臨海学校が自分にとって、悪夢の想い出になる事を確信した。


 帰りのバス。
 車内に行きのバスのような喧騒はない。
 皆、疲れ切って眠り、あるいは物を言うでもなく車窓を流れていく夕暮れの景色を眺めている。
 そんな中、まだ元気な者が二人いた。
「今日は楽しかったねぇ(クスクス」
「おとーさん、お水、飲む?」
 麻夜とヒビキが、グッタリしている麻生に話しかけている。
「ああ、もうどーでもいい……早く家で寝たい」
 乗り物酔い体質な麻生。
 最大の対策は外界を遮断することなのだが、今、麻生の腕は麻夜の胸元に押し当てられ、股の間にはヒビキに座っている。
 外界からの刺激だらけである。
 振り払おうとしても、掌は麻夜の太ももで固定されていた。
「マジで離れてくれ、辛すぎる……」
「「すやぁ」」
「寝たふりをするな!」
 乗り物酔いに一方的に蹂躙されながら、島までの四時間を過ごす麻生。
「シャチ怖い、着ぐるみ怖い、メタボおじさん怖い……」
 トラウマを大量生産してしまった黄昏の寝言が、車内に響く。
 胸に生まれた海に、それぞれの想い出をたゆたわせつつ、学園生たちの臨海学校は終わりを告げた。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: ラッキースケベの現人神・桜井・L・瑞穂(ja0027)
 赫華Noir・黒百合(ja0422)
 夜闇の眷属・麻生 遊夜(ja1838)
 鉄壁の守護者達・黒井 明斗(jb0525)
 Eternal Wing・ミハイル・エッカート(jb0544)
 紡ぎゆく奏の絆 ・水無瀬 快晴(jb0745)
 ペンギン帽子の・ラファル A ユーティライネン(jb4620)
 夜闇の眷属・ヒビキ・ユーヤ(jb9420)
 もふもふ詐欺・エル・ジェフ・ベック(jc1398)
重体: −
面白かった!:16人

ラッキースケベの現人神・
桜井・L・瑞穂(ja0027)

卒業 女 アストラルヴァンガード
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
夜闇の眷属・
麻生 遊夜(ja1838)

大学部6年5組 男 インフィルトレイター
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
奇術士・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

卒業 男 鬼道忍軍
パンツ売りの少女・
焔・楓(ja7214)

中等部1年2組 女 ルインズブレイド
ハイテンション小動物・
イリス・レイバルド(jb0442)

大学部2年104組 女 ディバインナイト
鉄壁の守護者達・
黒井 明斗(jb0525)

高等部3年1組 男 アストラルヴァンガード
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
紡ぎゆく奏の絆 ・
水無瀬 快晴(jb0745)

卒業 男 ナイトウォーカー
夜闇の眷属・
来崎 麻夜(jb0905)

大学部2年42組 女 ナイトウォーカー
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ラブコメ仮面・
袋井 雅人(jb1469)

大学部4年2組 男 ナイトウォーカー
好色天使・
アムル・アムリタ・アールマティ(jb2503)

大学部2年6組 女 陰陽師
来し方抱き、行く末見つめ・
黄昏ひりょ(jb3452)

卒業 男 陰陽師
ペンギン帽子の・
ラファル A ユーティライネン(jb4620)

卒業 女 鬼道忍軍
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
外交官ママドル・
水無瀬 文歌(jb7507)

卒業 女 陰陽師
和風サロン『椿』女将・
木嶋香里(jb7748)

大学部2年5組 女 ルインズブレイド
夜闇の眷属・
ヒビキ・ユーヤ(jb9420)

高等部1年30組 女 阿修羅
オンリーワン魔女・
マグノリア=アンヴァー(jc0740)

大学部4年322組 女 ダアト
もふもふ詐欺・
エル・ジェフ・ベック(jc1398)

大学部2年233組 男 阿修羅
童の一種・
逢見仙也(jc1616)

卒業 男 ディバインナイト
もふもふコレクター・
シェリー・アルマス(jc1667)

大学部1年197組 女 アストラルヴァンガード