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マスター:栖原 依夢
シナリオ形態:ショート
難易度:やや易
参加人数:6人
サポート:4人
リプレイ完成日時:2014/07/18


みんなの思い出



オープニング

「これだ!」

 テレビ画面に見入っていた篠木雅史は、思わずそう叫んでリビングのソファーから立ち上がった。
 彼が見ていた番組は、【つり橋効果理論】という学説が本当に正しいかどうかを、スタッフが独自に調査するというもの。
 【つり橋効果理論】とは、つり橋にいる時のような緊張状態の時に一緒にいた異性とは、恋愛関係に発展しやすいといった説のことである。

 その番組では、「危険による胸の鼓動を、恋愛によるものだと勘違いするから」だとか、「人は恐怖を感じた時、本能的に誰かにしがみつきたくなる」のだとか、もっともらしい解説が行われていた。
 さらにはスタッフが行ったアンケート調査などの具体的なデータを提示することで、【つり橋効果理論】により真実味を持たせている。

 そんな番組を見て彼の脳裏に浮かぶのは、黒髪のポニーテールに釣り上がり気味の目尻が特徴的な、凛々しい少女の姿。
 数ヶ月前、勇気を振り絞って告白したことで正式に付き合うことになった、日下部雪枝のことだ。
 同年齢の恋人が出来たことで、せっかく彼女いない歴十六年に終止符を打ったというのに……雪枝と雅史の仲は、未だ手も繋いでいないほど進展していなかった。

 それは雅史が若干ヘタレのせいでもあるのだが……それ以上に、雪枝の身持ちが堅すぎるせいでもある。
 雅史と付き合うようになってからというもの、婚前交渉が禁止なのはもちろんのこと、唇どころか指が触れることすら、彼女は許してくれないのだ。
 むしろ恋人関係になる前の方が、まだ恋人らしい距離感をしていたように思える。

 でも雅史としては、せめて手ぐらいは繋ぎたかった。
 だからこそ、【つり橋効果理論】である。

 だが命の危険に慣れた撃退士ともなると、つり橋を渡るぐらいでは少しも緊張することはないだろう。
 そこで雅史は、最近噂になっている廃病院を使って、雪枝を肝試しに誘ってみることにした。
 念を入れて、彼女を脅かすお化け役も依頼で募集してみることにする。

 そして後日、雅史は思いきって雪枝に声を掛けた。

「噂で聞いたんだけどさ……○×市の廃病院、出るんだって」
「出るって何がだ?」
「何って、幽霊だよ」
「……ほう」
「僕もちょっと興味があってさ。よかったなんだけど、今度一緒に行ってみない?」
「うむ、承知した」

 雪枝が頷くと、雅史は内心でガッツポーズをした。
 しかし、彼女と件の廃病院に行くことになった当日――

「……え、何で武装してるの?」
「戦うのだから、当然だろう」

 待ち合わせ場所に刀を持参してきた彼女に、雅史は困惑した声を上げた。

「え、戦うの? 幽霊と?」
「違う。幽霊なんて、この世には存在しない。だが、もし幽霊に見える何かが廃病院に潜んでいるとしたらなら、それは天魔である可能性が高い。目撃情報が本当なら、早急に調査する必要があるだろう……だからお前は、私を誘ったのではないのか?」
「う、うん……」
「なら問題ないだろう。さっさと行くぞ!」

 急ぎ足で現場へと赴く雪枝を追いながら、雅史は彼女に気づかれないよう、慌ててお化け役達に警告の連絡をする。

 この時彼は、雪枝の刀の柄に置かれた手が僅かに震えていることに、全く気が付いていなかった。



リプレイ本文

 篠木雅史は、焦っていた。
 小走りどころか、全力疾走で現場へと向かう日下部雪枝の背中を必死に追い掛けながら、大いに焦っていた。

「そんなに、急がなくても、いいんじゃ、ない?」

 息を切らしながら声を掛けると、雪枝は怒った顔で雅史を振り返った。

「馬鹿者! 完全に日が沈んで辺りが暗くなっては、天魔探しが難しくなるだろう! だから暗くなる前に、捜索を終えるのだ!」

 言っていることは理にかなっている。
 なんだか声が必死なように聞こえるが、気のせいだろう。

 彼女がこんなにもやる気を出すとは、雅史にとって予想外だった。

 このままでは、予定していた時間より早く現場に着いてしまう。
 かなり暗くなってきてはいるが、真っ暗でなければ廃病院の怖さも半減だろう。
 依頼を受けて仕込みに協力してくれた人達も、発見されやすくなってしまう。

 だから、何とか彼女を引き留めようと、雅史は頭を悩ませていたのだが……考え事をしていたせいで、急に立ち止まった彼女に対処できず、背中に顔をぶつけてしまった。

 接触を避けるよう厳命されている雅史は、痛む顔を手で押さえながら慌てて飛び退く。

「あ、ごめん! これは、わざとじゃなくて……って、雪枝?」

 目を限界まで見開いて固まっている彼女に気が付き、怪訝に思った雅史はその視線を追う。
 雪枝の目は、遠くに見える廃病院へと向けられていた。
 病室の窓の一つが開きっぱなしになっており、カーテンらしきものがパタパタと風で揺らめいている。
 特に不自然なものは見当たらず、雅史は不思議そうに訊ねた。

「どうしたの?」
「………………いや、よく考えたら急ぐ必要はないと思ってな。そもそも、天魔らしきものの目撃情報は夜なのだし、遅い時間でなくては意味がないな!」

 そう言って、今度は亀のような速度で歩き出す雪枝に、雅史は首を傾げたのだった。


◆囁く声


「侵入を確認、各自奮戦せよ」

 予定よりも若干遅い時間にやってきた二人の姿を確認し、出入り口の天井に張り付いていた麻生遊夜(ja1838)は、廃病院に潜むお化け役達に連絡を飛ばした。

 窓から差し込む月明かりに照らされる中、雪枝は澄まし顔を浮かべつつも、子鹿のように足を震わせている。
 それで彼女の心境を察した遊夜は、しかし容赦なく任務を遂行しに掛かった。
 忍法【霞声】を使って、幼い子供のような声を、耳元で囁く様に喋り掛ける。

「……いらっしゃい、歓迎するよ?」

 その声が雪枝の左耳に届いた瞬間、彼女は即座に抜刀して左手の空間を斬りつけた。
 手放された懐中電灯が地に落ち、カラカラと音を立てる。

「何者だ! 隠れてないで姿を現せ!」
「……日下部さん、何で目を閉じてるの?」
「し、心眼だ! こっちの方が気配を感じ取れるのだ!」

 雪枝が目を瞑ったまま、出鱈目に刀を振り回している。
 遊夜は彼女から離れた場所の天井にいるので、その刃が届くことはない。
 だが、もしも接近して直接耳元で囁いていたらと考えると、遊夜は少しだけ背筋が寒くなった。

「やれやれ、こっちもスリルが味わえそうだな」

 さりげなく血祭りに上げられつつある雅史を眺めて、遊夜が苦笑する。
 自業自得と放置することも出来るが、このまま失敗でリタイアは流石に可哀想だろう。

「ハグまでいけりゃいいが……、せめて手を繋ぐ位はさせてやりたいんだよなぁ」

 そう小さく呟いてから、遊夜は雅史が完全に倒れてしまう前にさらに声を飛ばした。

「……ねぇ、ここはどこ?……寒いよ」
「――っ、ひぃやああああああああああああああああああ!!」

 追撃に耐えられずに悲鳴を上げた雪枝が、刀を振り回すのを止めて脱兎の如く駆け出す。
 そんな彼女を追跡しながら、夜遊はさらに追い打ちを掛けた。

「……みぃつけたぁ」
「……嫌だ、死にたくない……死にたくないよぉ」
「……さぁおいで、一緒に逝こう?」
「□●×△!!」

 何を言っているのか分からない声が、廃病院の廊下に木霊する。
 傷だらけでぐったりした雅史を抱えて運びながら、遊夜は雪枝の逃げる先で待ち構えている者へと声を飛ばした。


◆手術室の亡霊


「ハァイ♪ こっちは準備完了だよ」

 遊夜からの連絡を受けて、来崎麻夜(jb0905)は足を組んで座っていた手術台から飛び降りた。
 標的が懐中電灯を落としたとのことなので、フラッシュライトに青い布を被せて、手術室をうっすらと青白く照らしておく。
 彼女の口元にはベッタリと血糊が塗られており、手術台の上には人間の死体のように見せかけた人形が横たわっていた。
 いかにも「人間をして解体して食べていた」と見せかけるための演出である。

「――ぁぁぁぁああああああ」

 だんだんと聞こえてくる悲鳴が大きくなってきて、やがて手術室の扉が派手な音を立てて開かれた。
 標的の視線を背中に感じ取ると、麻夜は【デイウォーカー】を使用してゆっくりと振り返る。
 スキルの効果によって紅く光った瞳と、牙のようになった犬歯に、雪枝は目を見開いて息を呑んだ。

 悲鳴すら忘れて硬直している隙をつき、忍法「髪芝居」よって、おどろおどろしい感じの髪の毛で彼女を拘束する。
 我に返った雪枝が涙目で抵抗し始めたのを確認してから、麻夜はわざとゆっくりと彼女に歩み寄った。

「ボクさ、お腹空いてるんだ。なのに……ここから出られないの、ひどいよ」

 ついでに、【サイレントウォーク】で足音を消して、より幽霊っぽく見えるようにしておく。

「だから……貴女を食べても、良いよねぇ?」

 犬歯を強調しながら嬉しそうにそう言うと、ジタバタしていた雪枝がピタリと動きを止めて震え上がった。
 口をパクパクとさせて消え入りそうな声を上げているが、もはや何を言っているのか分からない。

(出来れば、ここで篠木さんが助けに入って、彼女を抱えて脱出! ってなるのが理想なんだけど……)

 雪枝の背後で、遊夜が依頼人である雅史を連れてきたのが見えた。
 どういうわけか、彼は既に満身創痍の状態である。

 体を傷だらけにしながらも、遊夜から応急処置を受けて立とうとする雅史に、麻夜は心の中で声援を送った。

(ここで格好良く助けたら、好感度上がるかもだし、ハグもできるよ!よ!)

 その声援が聞こえたのか、雅史は歯を食いしばって、勢いよく手術室へと飛び込み――

「日下部さん! 助けに――ぐえっ」

 髪に自分から足を縺れさせて、盛大に転んだ。

「雅史っ! くそ、こんなものぉ!」

 血だらけの彼の姿を見て、奮起した雪枝が力で強引に拘束を破る。
 続けて麻夜に掴み掛かったが、彼女は大きく飛び退いてそれを避けた。

「おっと、危ない。ボクに触れて良いのは、先輩だけだよ」

 思わず先輩という単語が口から出てしまったが、雪枝はそれに気が付かないまま、転んで気を失った雅史を抱えて逃げ去っていく。
 一応、ハグまでは達成したのだが……あの様子では、雅史の記憶には残っていないだろう。

「……先輩〜、斬りかかられちゃったよ〜」

 後に残された麻夜は、ひとまず合流した遊夜に甘えることにした。


◆病室の貞子さん


 雪枝が雅史を寝かせるベッドを探して病室へ向かっているという連絡を受けると、天草園果(jb9766)は胸の前で小さく手を握り締めて、気合いを入れ直した。

(今度は、失敗しないようにしなきゃ……)

 園果は、まだ明るい時間帯に雪枝に見つかり掛けてしまったことを思い出す。
 事前準備として、廃病院の構造の把握と潜伏する病室選びをしていたら、窓の傍に立った時に予定よりも早く来ていた雪枝と目が合ってしまったのだ。

 慌てて身を隠したお陰か、特に作戦に支障はなかった……どころか、実はファインプレーだったのだが、園果はそのことを知らない。

 これ以上の失敗はしないよう気を付けながら、彼女は【サイレントウォーク】と【ハイドアンドシーク】を併用して、病室の影から少しだけ姿を晒した。
 気を失った雅史をお姫様抱っこで運んでいた雪枝が、ビクリと体を震わせて動きを止めたのを確認すると、素早く病室の中へ引っ込む。
 スキルの潜行状態を維持したまま、園果はベッドの下へと潜り込んだ。

「だ、誰かいるのか? いるなら大人しく出てこないでくれ」

 声を震わせながらも、雪枝が病室へと入ってくる。
 おそらくは、雅史をベッドに寝かせて治療するために、怖いのを我慢しているのだろう。

「頼む、早く起きてくれ雅史」

 頻りにキョロキョロと視線を彷徨わせながら、雅史を介抱する雪枝。
 その健気な姿に少しだけ罪悪感が湧いたが……彼女には悪いが、これも任務である。

 園果は顔が見えないように前髪を下ろすと、ベッドの下から雪枝の足を掴んだ。
 目を剥いて顔を下に向けた彼女を見上げ、【夜の番人】で瞳を妖しく光らせる。

「――――っ!?」
「……あなた、私が見えているの……?」

 なるべく幽霊っぽい揺れた声でそう言うと、雪枝はベッドに寝かせていた雅史の足を掴み、園果の手を振り切って病室を飛び出した。
 ゴンッ、ゴンッ、と何かが廊下の壁にぶつかる音をさせながら、雪枝が走り去っていく。

「篠木さん、大丈夫でしょうか……」

 任務が終わった時、依頼人が無事に生きているか心配になってきた園果であった。


◆廃病院ムジナーズ?


「助かりました〜。私も噂を聞いて、調査に来ていたんですよ。でも、いざ来てみたら怖くて動けなくなってしまって……」
「うむ、私たちが来たからにはもう大丈夫だ」

 顔を腫れ上がらせた雅史を背負いながら、雪枝は澄まし顔で頷いた。
 廃病院の噂を聞いて、たまたま居合わせた撃退士……のように装って彼女と話しているのは、澤口凪(ja3398)である。
 彼女は雪枝の逃走ルートに先回りし、不自然さを感じさせることなく合流することに成功していた。
 後は仲間と予め決めていた作戦通り、有名な怪談「ムジナ」をなぞって、のっぺらぼうに化けるだけである。

(私が一番手、ですね。何事も最初が肝心だし、しっかり成功させないと!)

 凪がそんなことを考えているとは知らず、雪枝はさり気なく彼女との距離を縮めた。

「いいか? 絶対に離れるんじゃないぞ。はぐれたら大変だからな。絶対だぞ?」
「お化けに会ったら大変ですもんね」

 そわそわと辺りに視線をやりながら廃病院の廊下を歩む雪枝に、凪は適当に話を合わせながら、こっそりと変装用のマスクを準備する。

「うむ、その通りだ…………いや、お化けなんていないし、私は怖くないがな!」
「そうですか〜……でも、お化けってきっと……こんな感じの顔なんですかね?」
「――ぴぎ」

 極度の緊張状態の中、心の拠り所となりかけていた凪からの不意打ちに、雪枝はとうとう泣き出してしまった。
 背中から落としかけた雅史を、正面から抱きつくようにして持ち直すと、ぽろぽろと涙を廊下に落としながら逃走する。

 そんな雪枝の背中を、凪は適度な距離を保ちながら追い掛けた。


◆廃病院ムジナーズ?


 バタバタと近付いてくる足音と悲鳴に、ヒビキ・ユーヤ(jb9420)は自分の出番がきたことを察した。

「ん、ムジナごっこ……開始」

 ボロボロの着物に口元や首筋に血糊をべったりと塗った姿で、のっぺらぼうに見えるよう工夫したマスクを被る。
 そうして二人がやってくる方向に背を向けて、ケンダマをつきつつ待機した。

 やがて標的が近付いてきたことを気配で察知して、ヒビキはタイミングを見計らってゆっくりと振り返る。

「そんなに急いで、どうしたの?」
「――――――――――っ!?」

 息を呑んで慌てて立ち止まった雪枝に、ヒビキはケンダマを取り落として【咆哮】を上げた。
 それによって腰を抜かしそうになっている彼女に【縮地】で一気に詰め寄ると、血糊まみれの手を伸ばす。

「いひゃあああああああああああああああああああああ」

 奇声のような悲鳴を上げながら、踵を返して逃げ出す雪枝。
 そんな彼女を追い掛けながら、ヒビキは楽しげな声を上げた。

「……ミツケタ、ミツケタ、ミツケタ、ミツケタァ!」
「見つけるな! 人違いだ! 追い掛けてくるなぁあああ」

 雪枝が、支離滅裂なことを喚きながら逃げていく。

「【つり橋効果理論】……なるほど」

 背中からミシミシと嫌な音が聞こえてくるぐらいに、雅史を強く抱き締めている彼女の姿に、ヒビキは何かを納得したように頷いた。

(今度、ユーヤに使ってみよう)

 そんなことを企みつつ、適度に追い掛けた所で姿を隠すと、次のラファルに連絡を入れる。
 後は最後の仕上げのために、こっそり雪枝を追跡している遊夜、麻夜、園果、凪の四人と合流したのだった。


◆廃病院ムジナーズ?


「サムライ少女を脅かす依頼か―、俺はこういう依頼大好きだぜー、げっへっへー」

 と下品な笑いをもらすのは、「歩く四谷怪談」を自負する、ラファル・A・ユーティライネン(jb4620)だ。
 元々、相手に恐怖を与えることを生業とするナイトゥォーカーである事も相まって、その手の悪巧みは大得意なのだ。
 今回の任務で、凪やヒビキを巻き込んで四谷怪談で有名な「ムジナ」で雪枝を驚かそうと計画したのも、彼女である。

 ラファルは雪枝の上げる悲鳴にワクワクしつつ、逃げてくる彼女を認めると、驚いたような表情を顔に張り付けた。

「そんなに慌てて、どうしたんだい?」
「助けてくれ! 後ろから、つるつる顔が追い掛けてくるんだ!」
「ほう……御嬢さん、お前さんが見たのはこーんな顔だったかねー?」

 そう言って、ラファルはスキル【ガブフェイス】を発動させた。
 彼女の端正だった顔立ちが崩れて口が耳まで裂けると、目が真っ赤に染まって頭部から角が生えてくる。
 雪枝が本日何度目かになる悲鳴を上げると、今度は彼女の背後に待機していた四人も姿を現した。

 マスクを被ってのっぺらぼうに扮装した凪とヒビキに加え、前髪で顔を隠した園果、カルテとかんしを持った麻夜、変化の術と分身の術の併用でゾンビ集団に化けた遊夜らが、雪枝の逃げ道を塞ぐようにして迫る。

 恐慌状態に陥った雪枝に、ラファルがトドメとばかりに【阿鼻叫喚】を発動させると――

「ひきゅう……」

 とうとう彼女は、白目を剥いて倒れてしまったのだった。
 雅史と二人で寄り添うように、仲良く廊下に転がっている様を、ラファルが持参してきたカメラで撮る。

 こうして、【つり橋効果理論】が上手くいったかどうかは別に、依頼の「怖がらせる」ことに関してはこれ以上ないほどの成功を収めたのだった。





「お前のせいで一人で寝られなくなった。責任を取れ」

 後日、送られてきた写真によって依頼のことがバレた雅史は、雪枝にそう要求された。
 思わぬ幸運に、一時は喜んだ雅史だったが……同じ布団に入っておきながら、相変わらず婚前交渉は絶対禁止という、年頃の男にとってはキツイ生殺しの状態に陥ってしまう。
 日々、艶々としていく雪枝とは裏腹に、雅史はしばらく寝不足に悩まされることになったという。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: ペンギン帽子の・ラファル A ユーティライネン(jb4620)
 思い出重ねて・天草 園果(jb9766)
重体: −
面白かった!:5人

夜闇の眷属・
麻生 遊夜(ja1838)

大学部6年5組 男 インフィルトレイター
君のために・
桐生 凪(ja3398)

卒業 女 インフィルトレイター
夜闇の眷属・
来崎 麻夜(jb0905)

大学部2年42組 女 ナイトウォーカー
ペンギン帽子の・
ラファル A ユーティライネン(jb4620)

卒業 女 鬼道忍軍
夜闇の眷属・
ヒビキ・ユーヤ(jb9420)

高等部1年30組 女 阿修羅
思い出重ねて・
天草 園果(jb9766)

大学部2年118組 女 ナイトウォーカー