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マスター:STANZA
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
形態:
参加人数:25人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2014/01/16


みんなの思い出



オープニング

※このシナリオは初夢シナリオです。
 オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。



 ここは様々な国が乱立する、剣と魔法と騎士の世界。
 その中のひとつ、とある王国で――事件は起きた。



「ふむ、敵は難攻不落の砦を擁しておる……」
 近衞の一翼を担う騎士団長ダルドフは、太い指先で顎髭を扱きながら独りごちた。
 視線の先にあるのは近隣諸国の地図。
 その一点を、ダルドフは射貫く様な目つきでじっと見据えていた。
 この砦を落とすのは至難の業。
 いかに豪腕無双を誇ろうとも、ダルドフ一人では到底無理な話だ。

 ……だが、彼等なら。
 意を決したダルドフは、配下の騎士達を一同に集め、厳かに言い放った。
「ぬしらの力が必要なのだ。手を貸してはくれぬか」
 ダルドフは騎士達の顔を真剣な……切羽詰まったとも言える表情で見渡す。
 何事かと見返す顔達に、ダルドフは沈痛な面持ちで答えた。
「実はな。某の旧友ゴライアスが、今まさに、人生最大の危機に陥っておるのだ」
 ダルドフとゴライアス、二人は実年齢が近く戦闘スタイルも似ているせいか、所属する騎士団は違えど互いに武人として認め合う間柄。
 その彼が助けを求めて来たとあらば、これが動かずにいられようか。
 例えそれが、己の苦手とする分野であろうとも。
「ぬしらには、その……なんだ」
 ごほん、ダルドフはひとつ咳払いをして続けた。
 微妙に目が泳いでいる気が、しないでもない。
「あー、つまり……菓子をな、食ろうて欲しいのだ」

 集まった騎士達の目が丸くなる。
「今、菓子って言った?」
「菓子って、あのお菓子だよね? チョコとかクッキーとか」
 ざわざわ、話し声が小波の様に広がった。
 それとゴライアスの危機と、どういう関係があるのだろう。

「まあ聞け」
 ダルドフは更にもうひとつ咳払いをして続けた。
「ぬしらは、もっふるという名の菓子王を知っておるか」
 ワッフルなら知ってますが。
「おお、そうであった。ワッフル、うむ」
 間違えてたのか。
「その菓子王ワッフルが、友の猫妖精フェーレース・レックス(jz0146)という者と共謀し、菓子の砦に閉じ籠もったのだ」
 菓子の砦、つまりは「お菓子の家」の砦バージョンだ。
「某は、その砦の攻略を頼まれた。勿論、友の頼みとあらば、いかな困難とて雄々しく立ち向かう所存――では、あるが……」
 ダルドフ、急に声が小さくなった。
「某、甘い菓子は苦手なのだ」
 ぽそり。

 えーと、つまりはこういう事ですか。
 お菓子の砦は全てがお菓子で出来ている。
 よって、砦の攻略イコール砦を食う事である。
 しかしダルドフは甘いお菓子が苦手。
 だから騎士達を呼んだ。
 お菓子を食って食って、食いまくって貰う為に。
 ……OK?

「まあ、そういう事だ」
 ダルドフは厳かに、重々しく頷く。
「ぬしらが食うた所から、ゴライアスが兵を率いて潜入する。ぬしらが豪快に食えば食うほど、潜入が容易になるという事だ」
 また、先に進んだ彼等からは、何か有益な情報――例えば砦の設計図などが入手出来る場合もあるだろう。
 因みにゴライアスがその砦に何を求めているのか、それはダルドフも知らされていない様だ。
 しかし、敵を欺くにはまず味方から。
 セオリー通りの行動には是も非もなく、ただ友を信ずるのみ。
 まさか真実が「あんな事」だとは知る由もない。
「某も出来る限りの努力は致す所存」
 つまり同行し、甘いもの以外は頑張って食べるという……その方面で。
 途中で妨害も入るだろうが、とにかく食うべし。
 大丈夫、信じてるから。
 若い騎士達の無敵の胃袋を!!



 その頃、もっふる組は――

「むふー! 我輩、これほど美しい女性の象は見たことが無いであるぞ!」
 とある城の一角で、猫妖精レックスは髭をピンッと張っていた。
「どこから来た像であるかな? 美しいであるな! しかしなぜ金であるか……我輩、やわらかい本物のレディのほうが好きであるぞー……」
「レックスは変わっているっふ。そんな硬い金よりも美味しいもののほうがいいっふ」
 もこもこの巨大な黒猫の後ろ、もこもこの白い巨大な兎は不思議そうに首を傾げた。
「ワッフルのお宝(お菓子)も素晴らしいであるが、綺麗でかわいくてやわらかいレディも素晴らしいであるぞ! ……これは金なのが残念であるー」
 レックスにとって、金銭的価値よりもやわらかいレディの方が価値があるのだ。
「もっとも、この美しさは並大抵では無いである。これは北の伝説的美女の似姿であるな! なぜ半裸なのかは知らぬであるが……」
 魅力的なおっぱいぽろりな像に、レックスは首を傾げた。
「せっかくである。あとで飾っておくであるー。それよりも、ワッフル、お土産は持ったであるか?」
「もったっふ。レックスのくにのお菓子はわふのこうぶつっふ!」
「我輩もワッフルのところのお菓子が大好きであるー! むふー!」
「ふっふー!」
 もふもふと嬉しげにハグしあい、ふたりのもふもふは離れた。
「では、かえるっふ! またくるっふ!」
「待ってるであるー! 気をつけてであるぞー!」
 ふたりがそれぞれ住む城はお隣同士。
 離れている間は、直線距離で約2センチだ。

 ところが、ワッフルが砦に帰り着いた途端。
「たいへんジャー! にんげんがせめてきたのジャー!」
 ジンジャークッキーの兵士達が、慌てふためいて注進に来た。
「おうさまのだいじなとりでを、がつがつむしゃむしゃたべてるのジャー!」
「そ、それは一大事っふ! 兵士達よ、侵入者を止めるっふ!」
 王様は兵士達に命令を下す。
「……いや、待つっふ。ここは、わふが先頭に立って敵をくいとめるっふ!」
 王様は秘密の通路を通って最前線へ。
 あの騎士達とは友達だが、お菓子を盗み食いすると言うなら……
「この菓子王わっふるが、ゆるさないっふ!」

 そんなわけで。
 決戦と言うか大食い競争と言うか……そんなよーなものの火蓋が、切って落とされたのだった。



リプレイ本文

●騎士団の精鋭達


 空気が、濃厚な甘い香りに満ちていた。
 彼等が布陣する小高い丘からは、お菓子の砦は目と鼻の先。
「如何なさいました、ダルドフ様?」
 顔色の優れない指揮官を案じ、誇り高き騎士シェリア・ロウ・ド・ロンド(jb3671)がその前に跪く。
「お加減が優れないご様子、ここはご無理をなさらず我等にお任せを…!」
「いや、大事ない…案ずるな」
 シェリアを立たせ、ダルドフは白い歯を見せた。
 甘味の苦手な者にとっては、この匂いだけでも立派な武器となる。
 まるで毒の様に気力を蝕み、意欲を削ぎ、全身の筋肉を萎えさせるのだ。
 しかし、それを承知の上で、ダルドフはこの砦攻略を引き受けた。
 全ては友の為に。
(何という侠気! それでこそ我等が主!)
 シェリアは感動に打ち震える。
(ならば我等はダルドフ閣下の為に!)
 胸の前に抜き身のフランスパンを捧げたシェリアは、仲間達に号令をかける。
「全てはダルドフ閣下の為に!」
「「全てはダルドフ閣下の為に!」」
 唱和する声が丘に響いた。
「…何と素晴らしい任務だろうか」
 感動に打ち震える者が、ここにも。
「ありがとうございますダルドフ団長」
 グリムロック・ハーヴェイ(jb5532)は、松葉杖に縋る様にしてダルドフの前に立つ。
「このグリムロック。粉骨砕身の覚悟で頑張ります。頑張るのは骨では無く胃袋ですが」
「むう、しかし…ぬしは怪我をしておるではないか」
 覚悟どころか、既に骨が砕けている。かなりの重症だ。
「…怪我? こんなもの、甘い物を食べていれば治りますよ」
 笑顔のサムズアップと共に、グリムロックは松葉杖を投げ捨てる。
 痩せ我慢は男の勲章、カッコイイぞグリムロック!
「すまぬな、事が成った暁には好きなだけの褒美を取らせようぞ」
「いいえ、此度の任務こそが私にとって最高の褒美です」
 本気だった。
 これはシェリアも負けてはいられない。
「ダルドフ様…どうかご照覧ください。このシェリア、必ずやお菓子の砦を食べ尽くして道を切り開いてみせますわ」
「うむ、任せた。しかし無理はせぬ様にな」
「御意」
 しかし無理をせずしてこの苦境を乗り越える事が出来ようか。
「閣下、ご命令を」
 言われて、ダルドフは吠えた。

「いざ参る。全軍、突撃せよ!!」





●難攻不落の菓子砦


 号令一下、騎士達は地響きを立てて丘を駆け下りる。
 彼等を駆り立てるものは忠誠心か、或いは単なる食欲か。
「うーん、『菓子の砦』に、『菓子が大好きな王様』がたてこもる…ねェ?」
 サラサラの長髪をなびかせた白銀の鎧も眩しい騎士、阿手 嵐澄(jb8176)の場合、特に食べ放題に惹かれた訳ではない様だ。
「実はそんなに甘いものが大量に喰えるワケじゃないからァ」
 と、ここで閃いた。
 自分で食えないなら、食わせてしまえば良いのだ。
 俺って頭良いと悦に入るランス。
 しかし、好事魔多しと人は言う――


「ダルドフ様のご命令通りー! 突撃ー!」
「突撃突撃ですのーっ!」
 フェイン・ティアラ(jb3994)とヤンファ・ティアラ(jb5831)の兄妹は転がる様に走った。
「お菓子お菓子ー(ほくほく」
「はう、お菓子を食べるのが命令だなんて幸せな…いえいえ、これはとてもじゅーよーでしんけんな任務なのですよ(じゅるり」
 前日からご飯は少しだけで我慢してきたのは、この時の為。
 絶食ではない所がミソだが、井戸に呼び水が必要な様に、お腹にも多少のストックは必要なのだ。
「ヤンファにあるのは、お菓子を食べる余裕だけなのですよ!」
 と、その後ろから一陣の風が二人を追い越して行った。
「殿! 我ら騎士団に任せるでござる!」
 土煙を上げて駆け抜けたのは、全く忍ばない忍者、立花 螢(ja0706)だ。
「皆の者、砦を食し妖精の森までの道を確保するのでござるうぅぅぅ!」
 忍ばない分、足は速い。
 いや、普通忍者は忍んでいても速いものだが。
「おにいちゃん、遅いのですよ、一番槍を逃してしまうのですっ」
「そ、そんなこと言われてもー」
 肩に斜めがけした大きな魔法瓶の水筒が、たぷんたぷんと揺れて走りにくい。
 しかし美味しいお菓子には美味しい飲み物、どれほど邪魔になろうとも、これだけは譲れないのだ。
「もう、ヤンファは先に行くのです!」
 スピードを上げたヤンファは、螢と競い合う様に砦を目指す。
 どちらが一番槍ならぬ最初の一口にありつくか――
「むう、負けないのでござる!」
「ヤンファも負けないのですっ」
 追いつ追われつ抜きつ抜かれつ。
 だがしかし、お陰で前方不注意だ!
 ぼっふーーーん!
 二人は突如現れた白くてもっふもふの壁に、思いっきり跳ね飛ばされた!
「ここは通さないっふ!」
 それは敵の総大将、お菓子王ワッフル・クロワッサン。
「何…立て籠もっていない、だと!?」
 衝撃の事実に驚愕するランス、その弾みで何かがズレた!
 何がって…それはまあ、あれだ。
 それはともかく、計画の大筋に変更はない。
 交戦場所が砦の奥から前線に変わっただけだ。
 しかも、会いに行く手間も省けて良い事ずくめではないか。
「大将自ら最前線で盾になるとは、敵ながら天晴れだな!」


 而して、その頃こちらの大将は――
 まだ丘の上にいた。
 だって部下達が離してくれないんですもの。
「ダルドフ様ー好きですむしろ愛してます!」
 王国屈指の魔法騎士、亀山 淳紅(ja2261)は頼れる右腕だ。
 しかし、その表現は単なる比喩、物理的に右腕と同化しているという意味ではない。
 意味ではないが…同化していた。
 そのぶっとい腕にしがみついてハグハグする様子は、まるで木登りコアラの様だ。
 え、せめて腕に取りつけたアーマーと言って欲しい?
 しかも超高性能自動照準付き魔導キャノン搭載?
 わかりました。
 しかしそうなると、左腕にも何かをくっつけておかないとバランスが悪い…と思ったら。
 既にくっついてました、木登りハムスター東城 夜刀彦(ja6047)が。
「なんていう上腕二頭筋」
 うっとり、すりすり。
「ダルドフ隊長、お父さんみたい」
 ほわんほわん。
「む、そうか」
 隊長、なんか頬がユルんでます。
 ついでに目尻も下がってるんですけど。
「そうかそうか、はっはっはー!」
 お父さんモード、スイッチオン。
「ほーれ、しっかり掴まっておれよ!」
 ぶんぶんぶん、二人をくっつけたまま両腕を水平に伸ばして大回転、ぐるぐる回る、目も回る。
「わー!」
「きゃー!」
 キャッキャとはしゃぐ子供達。 ※部下です
「どうだ、楽しいか! わっはっはー!」
 お父さんも楽しそうだ。 ※仕事中です
「…何をしておる」
 ほら、足元からツッコミが入った。
 見ればそこには何やら偉そうなお子様、ハッド(jb3000)がふんぞり返っている。
「ふむ〜、我輩がおっさんの手下だとぉ!?」
 おや、何かご不満の様子。
「我輩はバアル・ハッドゥ・イル・バルカ3世。王である!」
 因みにこの世界、王と名乗れば誰でも王様。
 お菓子の王様ワッフルも、やっぱり勝手に名乗っちゃったクチだ。
 そんなわけだから、王様が何人いても構わないし驚かない。
 その代わり、権威も箔もあったものじゃないけれど。
「まったくよ〜わからん。何故、王である我輩がこのよーなアホそ〜なおっさんの手下にならねばならんのだ!」
「おお、これはすまぬ」
 素直に謝るダルドフだったが。
「ぬしも混ざりたいか、そうかそうか」
 違う、違うよ。謝るトコそこじゃないよ。
「人の話を聞いておらぬのか! 我輩は…っ」
 じたばた暴れるも、ひょいと摘まれ肩の上へ。
 乗ってみれば、なかなか悪くないではないか。
「ふむ、これはこれで…なかなか見晴らしが良いのう」
 このまま、このアホそ〜なおっさんに助言を与えてサポートしてやるか、えっへん。
「よ〜わからんが、勝負は勝たねばならぬの〜。では参るぞ!」
 え、どこに…ああ、そうそう。仕事中でした!


 しかし、彼等の前に立ちはだかる敵の総大将。
 早くも大将同士の一騎打ちかと思いきや――
 ピンチを救ったのは、菓子王ワッフルとも親交のある三人の騎士達だった。
「おじーちゃん団長、ここはエリに任せてなの」
 くいくいと顎髭を引っ張ったのは、大きな袋を担いだ神谷 愛莉(jb5345)だ。
「…仲良しうしゃぎさんの砦壊す…あんまり気は進まないですけど」
 でも、後でもっと美味しいお城を作れば良いのだ。
「わっふるちゃん…。私達…争わなければ、いけないのですね…」
 セリェ・メイア(jb2687)も大きな袋を担いでいるが、こちらはまだカラッポの様だ。
 そして白銀の鎧も眩しいが、それ以上に頭が眩しいランスが呼びかける。
「おーい、王様ァ」
 見知った者達の登場に、ワッフルは上機嫌で跳ねながら手を振った。
「わふー! みんな久しぶりなのっふー!」
 でも、昨日の友は今日の敵。
「わふの砦は、食べちゃだめなのふ!」
「そいつは惜しいなァ」
 ランスの言葉にワッフルは首を傾げる。
「王様はうまい菓子がお好きだそうで…」
 ならば、その砦はさぞかし美味いのだろう。
「まさか舌の肥えた王様が、自分の砦はレベルの低い菓子で? そんなはずないよねェ」
「わふの砦はおいしいっふ! 世界一っふ!」
「なら、どうだい一口?」
 ちょいちょい。
 ランスの手招きに、ワッフルは素直に着いて行く。
 外壁の一部をバコンと取り外し、ワッフルの口に突っ込んだ――が。
「おいしくないっふーーー!」
 ワッフル、暴れ出した!
 どうやら、この辺りの菓子はハズレだったらしい!
 しかし、その辺りは流石に勝手がわかっている。
「ワッフルしゃん、これをどうぞです!」
 エリが投げたお菓子は、ワッフルの口にストライク。
「おいしいっふ!」
 ワッフル、途端に上機嫌…って言うかチョロい。
 そう、袋の中身はお菓子の山だ。
 和三盆の型菓子、練り切り、クッキー、チョコケーキ、ドーナツ…ワッフルを交渉のテーブル(と言う名の足止め)につかせるには、美味しいお菓子が必須なのだ。
「お煎餅やポテチもあるのですよ。しょっぱいお菓子には甘いお茶、甘いお菓子には渋いお茶をどうぞー」
 どれもご贔屓のお菓子屋さんで手に入れたものだから、美味しさはお墨付きだ。
 けれど、いくら予算は経費で落とせるとは言え、買える量には限度がある。
 ワッフルの見事な食いっぷりの前に、見る見る減っていく袋の中身。
 このままでは足止めが出来なくなってしまう!
「い、今のうちに…!」
 愛莉がワッフルの気を惹いているうちに、セリェはその脇をすり抜けて走った。
「美味しいお菓子を…取って来るの、です」
 それまで、どうか持ち堪えて!


 その隙に、他の騎士達も次々と走り抜けて行く。
「いざ参る、迸れ俺の食欲!」
 騎士甲冑を陽の光に煌めかせ、日下部 司(jb5638)は走った。
 脇目もふらず一直線に、ブレーキなにそれ美味しいの?
 壁にぶち当たった時に人型の穴を開けるのもお約束!
 そこが何だろうと構わない、扉があればそれを食べ、壁があったら綺麗に平らげ、妨害に現れたジンジャークッキーの兵士は感謝しながら完食し――
「何故食べるかって? そこにお菓子があるからさ! …あ、勿論任務の名目も忘れてないよ」
 忘れていないからこそ、食べるのだ。
 食べて食べて食べまくる、細けぇことはいいんだよ状態。
「俺は、俺達は進軍を止めない!」
 勿論、食べるのも。


「お菓子を食べるのが仕事? …はは、まるで夢のような話ですねえ?」
 エイルズレトラ マステリオ(ja2224)は、自分の頬を思いっきりつねってみた。
 大丈夫、夢なんだからどんなに強くつねっても痛い筈が…
「…痛い」
 半端なく痛い。あ、なんか涙でてきた。
「夢じゃない」
 そう、これは現実。
 例え夢の中でも、その中にいる者にとっては現実なのだ。
 しかし、そんな痛みもついでに仕事の内容も、食欲の前に三秒で吹っ飛ぶ。
 吹っ飛んでも、とにかく食べれば結果オーライ問題なし。
「お菓子の砦、本当にこんなものが…!」
 目を輝かせたエイルズレトラは、懐に忍ばせた剣――いや、チューブ入りのチョコレートを取り出した。
 立ち塞がるもっふるな壁には目もくれず、得意の幻術で華麗にかわして砦に一直線。
「いただきます!」
 外壁のプレーンクッキーをボコッと外し、魔法で温めたホットチョコをぶっかける。
 チョコ、とにかくチョコ。
 チョコにあらずんば菓子にあらず。
 しかし、ホットチョコをかければみんなチョコ。
「目に付いたお菓子、すべてを食べ尽くしますよ!」
 魔法の水筒に入れたコーラ、サイダー、ホットチョコレート、その時の気分で変わる、けれど全部甘い飲み物で喉を潤しながら。


 しかし、普通はやっぱり甘い物には渋いお茶。
 しかも出来れば高級品が良い。
 だから雫(ja1894)は濃い玉露を用意して来た。
「夢の様な仕事ですが、事が終わったらきっと地獄ですね」
 でも今は、今だけは全てを忘れるのだ。
「今日は無心で食べる!」
 後の事は後で考えれば良い、体重なんか気にしな――
「…今、何か言いましたか?」
 いいえ、何も!


「わあ、まさに夢の国だね…!」
 桜 椛(jb7999)は女の子の必殺「甘い物は別腹」発動!
「ふふ、これで怖いものはないよね」
 体重以外は。
 いや、夢の国だから体重だって夢の様に都合良くなってくれるって信じてる。
「さーて、美味しそうなのはどこかなー」
 香り豊かなダージリンティーを片手に、美味しいものセンサーをフル回転。
「って言っても、地道に少しずつ味見していくだけなんだけどね!」
 微妙な所に当たっても、紅茶のお陰で美味しく感じられる…って、あれ?
 結局、全部美味しいって事?
「なーんだ!」
 じゃあ、がっつり食べよう。


「この砦って食べられるのね?」
 貪り食う仲間達の様子を見て、杷野 ゆかり(ja3378)も砦の一部をむしり取ってみた。
 これは巨大なウェハースだろうか。
「うん、美味しい!」
 一番の目当てはケーキだが、この近くにはない様だ。
 でもきっと、攻略していけばケーキの部屋に当たるって信じてる。
「それじゃあ張り切って食べちゃおうかな!」
 いただきまーす!
「甘いの大好きだから、なかなか攻略のしがいがあるじゃない?」
 紅茶を片手に、ひたすら食べる。
 クッキー、タルト、ショートブレッドにミルフィーユ…
「あっ、チョコの匂い!」
 ぴこーん、アンテナ立った。
 進路変更、いざチョコの部屋へ!


「はわわ、本物のお菓子で出来てます…!」
 お菓子の砦を前に、針尾 碧(jb8504)は夢心地。
 童話に出てくるアレ、お菓子の家の砦版という感じだろうか。
「お菓子の家を齧るのって、子供の夢ですよね〜」
 一軒家サイズでも嬉しいのに、この砦は何軒分あるのだろう。
 そう考えると…苦手な者などは気が遠くなるのだが。
 しかし碧の実家は代々続く和菓子の老舗。
 白いごはんの代わりに大福、味噌汁の代わりにお汁粉、鮎の塩焼きの代わりに求肥の入った若鮎で育った彼女に隙はなかった。 ※表現には誇張があります
「甘党の女の子の本気、見せますねv」
 お茶を用意し、丁寧に切り分けながらどんどん食べて行く。
「このクリームはクッキーに良く合いますね…あら?」
 砦の一角を突き崩した所で、その奥に和菓子のブロックを発見。
 さて、お味は如何?
「…うちのお菓子の方が、美味しいかもー?」
 改築の際には、ご用命をどうぞよろしく。


「兵士の皆さん、こんにちはなのジャー!」
 警戒に当たる兵士達の前に現れたソフィスティケ(jb8219)は、爽やかに挨拶。
 その余りに無警戒かつフレンドリーな様子に、兵士達も思わず気を許してしまったのが運の尽き。
「ねえねえ、今の職場に満足してる? 残業多くて大変なんじゃない? ちゃんと働きに見合ったお給料貰ってる?」
 その言葉に、兵士達は顔を見合わせた。
「お給料って、なんジャー?」
 兵士は基本的に無給。
 と言うか無償で奉仕する為に作られた存在だ。
 彼等に見返りを求めるという思想はない…いや、なかった。
 今、この瞬間までは。
 しかし、彼等は目覚めてしまった。
 労働者の権利に。
「こっちはお給料も良いし、食べ物も美味しいのジャー。それに、兵士を捨て駒なんかにはしないのジャー」
 ソフィスティケは天使の微笑をめいっぱい駆使し、良い職場アピールに励む。
 兵士達の心が揺らぎ始めた。
 今だ、トドメの一撃!
「こっちは君達を食べたりしないのジャー!」
 落ちた。
 居並ぶ兵士達は、こぞってソフィスティケの配下に。
「それじゃ、まず最初のお仕事は…」
 お菓子の武器防具を作って貰おう。
 材料なら、ほらそこに。
 砦を壊して再利用すれば良いんだよね。
 食べる手間も省けるし、一石二鳥。
「よし、出来た! みんな、あたしに続くのジャー!」
 美味しいお菓子を求めて突撃、目指すは抹茶味の何か!


「お菓子を食うだけなら楽な任務だねぇ…」
 そう言いつつも食べるのは後回しにして、日比谷日陰(jb5071)は姪っ子の姿を探していた。
「さて、ひぃのやつはどこにいるかねぇ。お菓子喰いすぎて、腹壊しちゃァ面倒だしなぁ…」
 と、向こうから聞き覚えのある声が聞こえて来る。
「お菓子を食べる! なんて心躍る素敵な任務ですの…!」
 日陰の探し人、日比谷ひだまり(jb5892)は白い丸テーブルに山ほどのお菓子を乗せて、ひたすら口を動かしていた。
「ひだまり、頑張るのですわーっ」
 その様子を遠目に見て、日陰はぼさぼさの黒髪を掻き混ぜた。
「あー、やっぱり食ってるよなぁ…」
 それが任務なのだから、食べていて当然ではあるのだが。
 そんな日陰の心配を余所に、ひだまりはせっせと任務に励んでいた。
「マカロンもワッフルも、このチョコレートも美味しいのですわ!」
 しかし。
「喉に詰まって食べにくいのですわっ」
 けほ、けほん。
 茶器のセットはあるし、お湯も沸かしてあるのだが、肝心の茶葉がない。
 誰か用意していないだろうかと、ひだまりは周囲を見回し――
「あ、叔父様ー!」
 日陰、発見。
「叔父様も任務ですわね」
「おう、だがあんまり食い過ぎんじゃねぇぞ?」
「そんなに食べられませんわ、だって…」
「お茶がねえ、か?」
 ニヤリと笑った日陰が、懐から茶筒を取り出した。
「流石ですわ、叔父様!」
「口休みに飲むといいさ。なに、そう急いで食う事もねぇだろ」
 貰った茶葉で美味しいお茶を煎れ、改めて任務に励む
「さて、俺ものんびり食べるとするかねぇ…」
「さながらお茶会の風情ですわね、叔父様」
 洋菓子に緑茶という、いささか変わった組み合わせではあるけれど。


 別の場所では、賑やかな四人組がお茶会を開いていた。
「あら、只管食べちゃっていいだなんて」
 なんて素敵なのかしらと、イナンナ・イツゥ(jb3639)は紅茶を片手に優雅に微笑む。
「私、食べることに『貪欲』なのよ」
 たまにはこういう騒がしいティータイムというのも悪くない。
「ひたすらこのお菓子を食べればいいのね」
 お菓子作りが得意な陽向 木綿子(jb7926)は食べるのも好きだが、物量作戦はちょっと苦手。
「でも頑張らなきゃ…!」
 頑張る為には飲み物や口直しなど、それなりの準備が必要だ。
「まずは紅茶だね」
 アールグレイやダージリンを各種取り揃え、コーヒーは胃への負担を考えてアメリカン。
 和風が好きな人には緑茶やこぶ茶を用意。
 勿論、お茶請けの塩昆布や梅干もばっちりだ。
「はい、どうぞ」
「ありがとうなのですぅ」
 紅茶を煎れて貰った御堂島流紗(jb3866)は、満面の笑みと共にひたすら食べまくる。
「お菓子いっぱい食べていいとかとっても素敵なんですぅ」
 更に、そこに紅茶という強い味方が現れたからには…
「ここはもう、正面からの攻略あるのみですぅ」
 因みにこのテーブルと椅子のお茶会セット、キャスター付きの台座に乗っている。
 ついでに、その前面には砦の部材(つまりは菓子)を切り分ける為の巨大なナイフやフォーク、トングなどが付いたロボットアームを装備していた。
 砦を攻略しながら移動も出来る、乗っている者達はただひたすら食べるだけで良いというスグレモノだ。
 行く手を阻む兵士達は、切り込み隊長のクアトロシリカ・グラム(jb8124)が徹底排除。
「お菓子と兵隊は片っ端から食べちゃえばいいのね!」
 まっかせなさーい!
「泣ぐ子はいねがぁ!」
 あ、違った。えーと。
「邪魔する兵士はいねがぁ! 美味そうな兵士はいねがぁ!」
 その鬼気迫る形相に、ジンジャークッキーの兵士達は真っ青になって震え上がる。
「お、鬼ジャー! 鬼が来たのジャー!」
 鬼ちゃうわ、ナマハゲや。
 どっちでもいい、とにかくここは逃げるが勝ちだ。
 しかしナマハゲは速かった、恐怖に青ざめ如何にもマズそうな色になったクッキー兵士を粉砕し、口の中に放り込む!
 ばりばり、ぼりぼり。
「うーん、ぼそぼそで美味しくないなあ」
 恐怖の余り、ただでさえ少ない水分まで干上がってしまったらしい。
「でも、こんな事もあろうかと!」
 ホイップクリームで出来た屋根の飾りに兵士を突っ込み、クリームと共に食す。
 それを紅茶で流し込めば、ほら完璧。
「それにしても皆元気ね」
 優雅に、かつ淑やかに食事を楽しむイナンナは、皆の若さがちょっと羨ましい。
 いや、自分も充分若いけれど、あの底なしとも思える食欲には勝てる気がしなかった。
 しかし流石にお菓子ばかりというのもキツいものがある様だ。
「んー、甘い物ばっかりで、ちょっと飽きちゃったなあ」
「それなら、はいこれ!」
 切り込み隊長のボヤキに、木綿子がすかさす塩昆布を差し出してみる。
 きゅぴーん!
 目を輝かせるクアトロシリカ、しかしその目は塩昆布を見てはいなかった。
「ユーコ! ほっぺにお菓子ついてるのよー♪」
 塩昆布を飛び越えて木綿子にダイブ、はぐはぐ&ぺろp…
「ちょ、まっ」
 セクハラ禁止って言うか!
「私には心に決めた人があああああ!!」
 更には過剰防衛で自爆!
「向こうは全然、全く何とも思ってないし私が勝手に決めてるだけだけどとにかくダメ!!」
 言ってて悲しくなって来たけど、でも貞操は死守。
 たかがほっぺを舐められるくらいどーってことないじゃん、なんて言うのはスレた大人なのです。
 それさえ許さない潔癖さ、それこそが乙女の純情なのです。
「ぬぬ、惚れた男の為に貫く心意気…応援せざるを得ない! 寂しくなったらいつでもおいでっ☆」
 クアトロシリカは標的を変更、今度は流紗に突撃!
「ルシャちゃーん♪」
 ぺろぺろぺろ。
「ありがとなのですぅ」
 セクハラ? 良くわからないです。美味しいのでしょうか。
「クゥさんがほっぺにも、ついてるのです」
 ぺろん。
「きゃーv ルシャったら積極的ーv」
 きゃっきゃと盛り上がる二人、しかしその背にイナンナの視線が刺さる。
「皆元気なのはいいことだと思うけど」
 お姉さんも混ざりたい、なんて思ってない。
「はしゃぎすぎちゃ駄目よ? 一応今は戦闘中なんだから。そうは見えなくてもね」
 そんなキャラじゃないし、お菓子も美味しいし、普通に食べるだけで良い。
 でも――
「あまり悪戯が過ぎるとあなたたちから食べちゃうわよ? なんてね」
 ふふり。
「…はぅ、なんかイナンナさんが怖いですぅ」
「…はっ! そ、そう、砦攻略中だったよね!」
 流紗とクアトロシリカは、手を取りあってガクブル。
「さて…まだ食べられたい子はいるかしら?」
 いません!
「攻略の途中です、頑張りますの」
「よーし、頑張って制圧だーっ」
 とにかくこのまま真っ直ぐ行けば、いつかはどこかに出る筈だ。
 どこかって何処、なんて訊いてはいけない。
 だって地図を探そうとか、なければ作ろうとか、誰も考えてないし!
 ただひたすら、食って食って食いまくる。
 更地にしてしまえば地図など不要!





●隊長の苦難?


 部下達が順調に砦の攻略を進める中、ダルドフは思わぬ苦戦を強いられていた。
「むう、某も酒ならいくらでも入るのだがのう」
 腹は減らして来た。今も減っている。
 食えと言われればいくらでも食えるのだ…甘い物以外なら。
 今回ばかりはどうにも分が悪いと、ダルドフは肩を落とし小さく溜息を吐いた。
「たいちょー、たいちょー」
 ぽみぽみ、その肩を夜刀ハムが叩く。
「苦手な物を無理に食べるのは良くないの」
 食べさせるのもイケマセン。
 甘いものは部下達に任せておけば良い、みんなその為に集まったのだから。
「しかし、隊長たる某が戦に貢献出来ぬというのも…」
 己の不甲斐なさに、ますます肩を落とすダルドフ。
 しかし夜刀ハムは笑顔を絶やさなかった。
「クラッカーとかお煎餅とか、甘くないお菓子もきっとあるはずなの」
 それが出て来るまでは、自分達を信じて任せて欲しい。
 大丈夫、夜刀ハムの胃袋は四次元空間に繋がっているのだ。
 いざとなれば無敵の頬袋だってあるし! ※夜刀ハムは人間です、たぶん
「うむ、かたじけない…っ」
 良い部下を持ったと、ダルドフは男泣き。
 そこに差し出されたのは――
「甘い菓子が苦手ならこちらはどうですか?」
 椛のお手製ミートパイ。
「おお、これは美味そう…いや、美味い!」
 一口食べて、膝を打つ。
 有難く味わって食べようと思うのだが、手が止まらない。
 あっという間に全てを平らげてしまった。
 その食べっぷりをニコニコと見守っていた椛の頭を、大きな手がわしゃっと掻き回す。
「ぬしは料理が上手いのう」
 褒められた椛は、お返しにもふもふの翼でもっふる。
(この感じ、ちょっとお父さんみたい)
 その記憶はないけれど、きっとこんな感じなのだろう。
 こんな感じだったら、いいな。
 それを見ていた、隊長にベタ惚れの淳コアラ。
 ここは右腕として、自分も何かお役に立たねばと立ち上がった。
「甘いもん苦手言うても、これなら食べやすいでしょ?」
 なるべく甘さ控えめのクッキーを選び、それに合わせたのはブルーチーズとワイン。
「試しに一口、騙された思うて食べてみてください」
「うむ、ぬしがそう言うなら…」
「はい、アーン♪」
 言われて、ダルドフは素直にぱかっと口を開く。
 ぽいっと放り込まれた一口サイズのクッキーを、真剣な表情で厳かに噛み砕いた。
「どないです?」
「うむ、意外にいけるのう」
 満足げに頷く様子を見て、淳コアラは心の中で万歳三唱。
「飲み物はワインがええです? それともコーヒー?」
「では、ワインで頼む」
「はいっ!」
 良いお返事をして、ヴィンテージ物の栓を抜く。
「ちょっとずつでええから食べてくださいな」
「世話をかけるな、淳の字」
 ぼっすんぼっすん、男の子の頭は少々手荒く叩くのが友情と信頼の証だ。
(じゅんちゃん、楽しそうだなあ)
 その様子を微笑ましく見守る夜刀ハム、別に自分もやって貰いたいなんて…
「おぉ、夜の字。ぬしを仲間はずれにしてはいかんな」
 手招きされて転がってった夜刀ハムの頭も、ばっすんばっすん。
 他人のふりをして遠巻きに見ていたハッドも、問答無用で巻き込まれた。
「これ、おっさん! 我輩は王である! ぶ、無礼であるぞ!」
 何を言われても何処吹く風。
 文句を言われたくらいで、おっさんの子供スキーは止まらないのだ。


 そして彼等は進む。
 行く手に立ち塞がる全てのものを食い尽くしながら。
 途中でとっ捕まえた(そして食った)兵士から情報を聞き出し、大人向けの酒入りお菓子ルートに入る。
「おお、これなら某も…っ」
 無理でした。
 酒入りチョコもウィスキーボンボンも、甘いものは甘いのだ。
「ぬしらも、これは食うてはいかんぞ」
 何しろ従者達はみんな未成年ですから。
 しかし引き返す前に、淳コアラはお腹の無限ポケットにこっそり拝借。 ※淳コアラも人間、だと思います
 次に向かったルートでは、歯に悪そうなチョコとスナック菓子のコンボが待っていた。
「チョコは任せて!」
 戦力外となってしまった淳コアラの代わりに、夜刀ハムが食べまくる。
「某もスナック菓子ならば!」
「ならば、こんがり焼いて味にアクセントを付けてみるかの〜」
 頑張るダルドフに、ハッドが助け船を出した。
 魔法でパリパリの焼きたてになったスナック菓子の山に、必殺おっさんトレインが走る!
 解説しよう、おっさんトレインとは相棒を背中合わせに担いで走る、友情のフィニッシュ・ホールドの事だ!
「バリバリ菓子を馳走してくれよ〜ぞ(>ω<)b」
 この場合、担いで走るのはハッドの方だ。
 体格的に無理がある気はするが、友情があれば体格の差なんて!
 友情…あるよね、多分。


 そこも何とか切り抜けて、次に現れたのはケーキと砂糖菓子で出来た迷路。
 聳え立つ高い壁は全てがクリームたっぷりのスポンジだ。
 しかし、彼等は負けない。
 しかも今度は強力な助っ人が登場だ!
「ダルドフ様、ここはわたくしが!」
 剣より硬いフランスパンで兵士をぶっ叩き、ぶっ壊し、その欠片を掃除機の様に吸い込みながら前進してきたシェリアだ。
「ダイエット中だけど知るもんですか! これも全てダルドフ様のためよ…見ててくださいダルドフさまーー!」
 温かい紅茶をお供に、いざ突撃!
 シェリアは食べた。それはもう豪快な食べっぷりで周囲のケーキを駆逐していった。
 しかし、最後の壁の向こうから…超大型のショートケーキ戦車、出現!
 こいつは今までのケーキとは違う。弱点が見付からない!
「いやあああケーキが! ケーキが!」
 シェリア、転進!
 しかしケーキは執拗に追いかけて来る。その行く手にはダルドフの姿が!
「危なあぁぁいっ!」
 その手を取ってシェリアは共に走る、逃げる。
「何故、某まで逃げねばならんのだ!?」
 標的にされているのはシェリア一人だと思うのだが、そこは勢いと言うか何と言うか。
「まったく、しょーがないの〜」
 ハッドが魔法の刃で切り刻み、ショートケーキは一口サイズに!
「これならば食べやすかろ〜?」
「おぉ、でかしたぞハの字!」
 あ、褒めても良いけどハグはやめて!
 骨が、骨が砕ける――!!





●無敵の騎士団


 難攻不落とは何だったのか。
 それを誇った筈の砦は今や、蟻の大群に食い尽くされたが如くに崩れ、穴が開き、スカスカになっていた。
 しかし、それでもまだ敵の侵入を完全に許した訳ではない。
 砦の中枢に至る通路にはジンジャークッキー兵士の中でも選りすぐりの精鋭達が配されていた。
 彼等は菓子王ワッフルの忠実な僕、例え王が乱心しても心を乱す事はない。
 勿論、買収にも応じない。
 最初に与えられた命令を忠実に守る、それが彼等の使命だった。
 よーするに頭が硬いのだ。
 しかし頭は硬いが身体はサクサク軽い歯応えで、口に入れればホロリと溶ける。
 そう、彼等は所詮お菓子の兵士。
 優秀な菓子とはつまり、美味であるという事だ。
 選りすぐりの精鋭ともなれば、それは原料の生産段階から徹底管理された究極の美味――


 そんな彼等の背後から、音もなく忍び寄る影ひとつ。
 その気配に気付いた兵士が振り返った時にはもう遅い。
 がぶり!
 首筋に突き立てられる鋭い牙、滴る甘い蜜。
「ああ、美味しい…」
 恐怖の襲撃者、雫は恍惚の表情で兵士を貪り食う。
 肉を引き裂き、骨を噛み砕き…いや、全部クッキーだけど。
 極上の玉露と共に流し込めば、それは喉の奥で至福のハーモニーを奏でる。
 そして、じわりと増える体じゅ…いえ、何でもありません!


 兵士達は仲間の危機に一丸となって立ち向かう。
 しかし、その団結が仇になるとは誰が予想し得ただろう。
 固まった彼等を、グリムロックの斧が無情にも纏めて撃ち砕く。
 砕いたものは勿論食べる、ひたすら食べる、破片一つ残さず胃袋へ。
「この身は黙々と菓子を食べる永久機関、この砦を落とすまで俺は梃子でも動かん!」
 まさに不動の構え。
 と言うか実際に不動の魔法をかけ、押しても引いても動かない。
 動くのはただ手と口のみ。


「それ以上近付いたら命の保証はないけど、良い?」
 近付く兵士の気配を背中に感じた司は、振り向きもせずに言った。
 そのまま立ち去るなら見逃してやっても良い、しかし邪魔をするなら――
「…俺は忠告したよ? じゃあ頂くね」
 今更逃げても無駄だ。
 相手を威圧するオーラを放ち、怯んだ所で…捕食完了。
「ごちそうさまでした」


 そして中枢に近いこの場所では、美味しいのは兵士ばかりではなかった。
 砦に使われているお菓子もグレードアップ、どこを食べても高級店の味だ。
「お、美味しそうな、もの…こ、れかな…? あとこれ…」
 せっせと味見をしながら、セリェはワッフルに食べさせる為のお菓子を探す。
 けれど、この辺りならどれを選んでも間違いはなさそうだ。
 色々な種類を袋にめいっぱい詰め込んで、セリェは走り出す。
「早く、届けてあげないと…っ」
 けれど、あんまり慌てたものだから――
「きゃっ!」
 転んだ。
 そして突っ込んだ。
 頭から、甘い甘いケーキの中に。


「あ、ヤンファ! 遅かったねー!」
 ワッフルのハランポリンに吹っ飛ばされたヤンファは何処まで飛んだのか、戻って来たのは砦の攻略も随分と進んだ頃。
 その間に、フェインはのんびりマイペース、しかしがっつりしっかり大量に、お菓子を堪能していた。
「ヤンファ、ここのお菓子もすごくおいしいよー!」
 ひらひらと手を振って、フェインは妹を招き寄せる。
「ううっ、遅れをとったのですっ」
 ウサギとカメは、やっぱりカメが勝つのだろうか。
 いや、まだまだこれからだ。
「今から挽回なのですっ」
 ヤンファは砦の内壁に猛然とかぶりついた。
 選り好みはしない、手当たり次第に何でも食べる。
「色んなお菓子が沢山なのです」
 しかも最高に美味しい。
 出遅れはしたけれど、高級品ばかり食べ放題というこの状況は…もしかしてラッキーだったかも?
「はい、お茶もどうぞだよー」
「ありがとなのですっ」
 甘いお菓子にストレートの紅茶は相性抜群。
「ね、持って来て良かったでしょ?」
 にこっと笑う兄に、ヤンファの首は超高速で上下運動を繰り返した。
「さすがおにいちゃんなのですっ!」
 それにしても美味しい。
「こんな幸せな砦に居たのだったら、出てきたくなるのもなっとくなのですよ」
 これ、お土産に持って帰っても良いかな?


 一方、同じく吹っ飛ばされた螢は、兵士の襲撃に備えて気を配りながら、分厚い壁を掘り返していた。
 壁の材料は何重にも重ねられた手焼き煎餅は、醤油に塩、味噌味、磯辺にざらめ。
「これは確かに美味いでござる」
 高級品の味がする。
 烏龍茶をお供にそこを完食し、次は――
「バリケードでござるか!」
 積み重なったそれは土嚢の様にも見えるが、その正体は巨大な大福。
 ぷよんぷよんと柔らかく美味しそうではあるが、何しろデカい。
 おまけに赤白緑までは良いが、黄色に青、紫など妙にカラフルだ。
 しかも何故か、タテにもヨコにも同じ色が一定数以上続かない様に、巧妙に組み合わせてある。
 こうなると、ちょっと狙ってみたくなるのが人情というものだ。
 何をって…まあ、とにかくやってみようじゃないか。
「この、一番下を抜いてみるでござる!」
 すぽんっ!
 ひとつ抜ければ、上の大福は重力に従って落ちて来る。
 落ちた先で同じ色の大福が繋がれば、大連鎖の始まりだ。
 たちまち消え去る大福バリケード。
 全消しが決まったその先には――
「これは、秘密の隠し扉でござるか!?」
 それを伝える為、螢はダルドフの元へ走った。


 報せを受けたダルドフが到着した時、扉の前には大勢の部下達が集まっていた。
「うむ。まさしくこれが、妖精の森に通ずる最後の扉」
 螢の功績を労うと、ダルドフは最後の突撃を命じる。
「ここが最後の難関ぞ、心してかかれ!」
「はっ、食べ尽くすであります! 団長!」
 びしっと敬礼し、ゆかりは分厚い扉に取り付いた。
 何層にも折り重なったお菓子で出来た扉の最も外側、そこは濃厚でしっとり滑らかなガトーショコラで出来ていた。
 ケーキもチョコも大好きなゆかりにとっては、最高の組み合わせだ。
 そしてもう一人、ダルドフ隊には究極のチョコ好きが。
「チョコレートなら、この僕にお任せを!」
 エイルズレトラは、ガトーショコラにさえホットチョコをぶっかける。
 既にチョコの食べ過ぎで血管の中までチョコが流れていそうな勢いだが、まだまだ序の口。
 ところが、その最中に――


「そこ食べちゃだめっふー!」
 菓子王ワッフルが現れた!
 しかしダメと言われても退く訳にはいかない。
「あらあら可愛いうさぎさんじゃねーですの!」
 目をキラキラと輝かせ、ひだまりは日陰と共にその行く手に立ち塞がった。
「おめぇさんもこれくうかい?」
「このお菓子も、金平糖も、いっぱい食べてくださいましねっ」
 がぼっ!
 二人して、ワッフルの口にお菓子を詰め込んでいく。
「あ、あとこのガトーショコラも美味しいのですわ」
 たった今、扉からむしり取ったばかりの出来たてほやほやだ。
「ああ、あとこっちのお茶と合わせて食べると甘みが引き立ってうまいぞ?」
 喋る隙を与えまいと、立て続けの給餌。
 餌をやるのも面倒だが、それ以上に。
(絡まれたら面倒だしなぁ…)
 それが尽きても給餌は続く。
 螢は忍者らしく、ワッフルの口を狙って手製の団子をシュシュッと投げ――ない。
 ずかずかと歩み寄り、強引にねじ込んだ!
 椛は自家製ふわふわプリンを。
「瓶入りだから、一気には食べられないよね」
 これで少しは時間稼ぎに――ならなかった!
 ばりん、ぼりん、ワッフルはそれを瓶ごと噛み砕く。
「まずいっふー! おいしいけど、まずいっふー!」
 そりゃ瓶は不味いでしょ、中身がいくら美味しくても。
 暴れ出したワッフルの口に、今度は淳コアラがポケットの酒入りお菓子をぽいぽーい!
「運転前とかにいっぱい食べるんは危険やから、良い子の皆は真似したらあかんで!」
 そこはカメラ目線で、びしっと。
 夜刀ハムは頬袋から出したお菓子をぽいぽーい!
「ワッフルたんも一緒に食べるといいんだよ! 全部食べ尽くしたら新しいお菓子のお城を建てれるよ!」
 でも今はダメ。
 死迷宮の攻略部隊がその任務を果たすまでは、いくら建て直そうとしても片っ端から食い尽くすからね!
「ほら、自慢の菓子はまだまだあるぜ? 美味いか?」
 ランスもそこらへんからお菓子を取っては、間髪を入れずに突っ込んで行く。
「間に入れたくても、入れる髪がないのさ(ふっ」
 などと自虐ネタを挟みつつ。
「そうか、美味いか。よかったねェ。もっと食べなよ、ホラァ」
 次から次へとお菓子を突っ込まれれば、嫌とは言えない食いしんぼワッフル。
 お陰で、最後の扉はどんどん薄くなっていく。
「ワッフルさん、ほら。これも美味しそうですよ〜、一緒に食べましょ〜?」
 碧が実家の和菓子にも引けを取らないと認定した、きんつばや大判焼き、饅頭に羊羹を差し出してみる。
「そうだな。こんなに美味しいのなら、皆で食べた方がきっと美味しいだろう…そうは思わないかもっふる殿」
 グリムロックが言った。
 もっふるちゃうけどね。
「…と、すまない。土産も渡さず失礼した。此方は俺が作ったガトーショコラとスフレチーズケーキ、さつまいものマフィンになる。ご賞味頂ければ幸いだ」
 丁寧な挨拶に、ワッフルの返答も自然と丁寧になる。
「ありがとっふ。でも、ここは通せないっふ」
 その、まん丸く大きな瞳に宿る決意の色。
「ここを通したら、レックスが…!」
「え、何? レックスがどうしたのー?」
 フェインが訊ねた、その時。

「最後の扉、開きました!」

 誰かの声が響いた。
「だめっふ! 入っちゃだめっふー!」
 しかし、ここまで来てワッフルに邪魔される訳にはいかない。
 そこに現れたのは、大きな袋を担いだセリェだった。
「や、やっと、見つけた、の…!」
 ワッフル探して三千里、漸く見つけたその口に切り札を突っ込む。
「わ、わっふるちゃん…! 口、くちを開けて!」
 条件反射で大口を開けたワッフルはしかし。
「お菓子連続あたっ――きゅ!?」
 ばっくん!
 お菓子を突っ込もうとした大事な友達に、頭からかぶりついた!
「ひゃわっ!? わ、私はちが、違うのです!」
 だが、そのクリームにまみれた全身からは、甘い匂いがプンプンしている。
 お菓子と間違われても無理はない、うん。
 と、そこに更なる甘味、熱々のホットチョコがぶっかけられた!
「あついっふ!?」
 弾みでセリェを吐き出したワッフルだが、今度は自分が食べられる番に!
「チョコでないことを許されるのは、この世でたった一人、僕だけです!」
 がぶうっ!!
 エイルズレトラ、遂にご乱心。
 この白いもっふもふが、マシュマロにでも見えているのだろうか。


 その隙に、残る仲間達は扉の奥へ。

 そこには小さな泉があった。
 泉と言えば妖精が出て来るのはお約束。
 そして妖精と言えば――
『あなたが落としたのは、金のおっぱいですか?』
 …はい?
『銀のおっぱいですか?』
 いや、ちょっと待て。
『それとも、やわらかおっぱいでしょうか?』
 何だこれは。
 一体何が起こっている。
「答えねば、ならぬのか…?」
 ダルドフは悩んだ。
 そんなものを落とした覚えはない。ある筈がない。
 いや、しかし。
 ゴライアスは詳しく語らなかったが、何か大切な探し物があの猫妖精の手元にあると、それだけは聞いた。
 彼等はそれを取り返しに行くのだと。
「まさか、それが…」
 おっぱいか。
 おっぱいなのか。
「ゴライアスよ、ぬしも苦労しておるのだな…」
 漸くわかった。
 友が詳細に関して言葉を濁した、その理由が。
 しかし、だとしたら正解はどれだ。
 迷うダルドフ、しかし。
「お待ち下さい」
 進み出たのは蒼波セツナ(ja1159)、王国の黒魔術部隊に所属する魔女だ。
「ここは菓子王の砦、ならば正解は」

 お い し い お っ ぱ い !

 ピンポーン!
 正解のチャイムと同時に頭上から降り注いだのは、大量のほかほか高級豚まん!
 そして泉は幻の如く消え去り、後には妖精の森へと続く一本の道が――





●王国は今日も平和


 流紗が分けてくれた紅茶を手に、ワッフルは残った砦を食べ続けていた。
「じゃあ、お友達がいじめられると思って邪魔してたのです?」
 食べながら、ワッフルは愛莉の問いにこくりと頷く。
「なんだ、そうだったんだー」
 勘違いを素直に謝るワッフルに、フェインは取り分けておいたお菓子を差し出した。
「これ、レックスの分」
 向こうが片付いたら、一緒に食べよう。
「皆で一緒に食べるのが、一番楽しいもんねー!」
「それなら、待ってる間に何か作ってきましょうか」
 碧が腰を浮かせる。
「で、では…私も何か、甘い物を…沢山、作ります」
 わっふるをもっふるしながらセリェが言った。
 魔法で、だけど。
 その反対側では、ひだまりがもっふる。
 後ろでは椛が、こっそりもっふる。
 ほっこりと幸せなひとときだ。
 そんな和気藹々とした様子を見ながら、ソフィスティケが笑いかけた。
「ダルドフさん、梅昆布茶で乾杯しよ!」
 ビジネスライクな勧誘から始まった関係だが、兵士達ともすっかり仲良くなった。
「こんな風に敵も味方も共に笑って、みんなで楽しめたら良いよね」
 どんな相手でも、どんな世界でも。
「うむ、そうさの」
 梅昆布茶を片手に煎餅をかじりながら、ダルドフもしみじみと頷いた。
 その耳に、椛が奏でるサックスの軽やかな音色が届く。
 陽射しはぽかぽかと温かいし、お腹は一杯だし――
「ああ、腹いっぱい食ったら眠くなってきちまったなぁ…」
 草の上にごろりと寝転ぶ日陰。
「だいたい喰い終わったみたいだし、のんびりしますかねぇ…?」
「あ、もー叔父様! こんなとこで寝ちゃだめじゃねーですか!」
 気付いたひだまりが起こそうとするが。
「構わぬ、好きにさせてやるが良い」
 今日は皆、よく働いてくれた。
「どれ、某も一眠り…」
 と、思ったら。
「ダルドフ隊長、模擬戦をお願いしたいのですが」
 雫が勝負を挑んで来た。
「特に深い理由はありませんよ…決してカロリーを消費したい何てことはありません」
「ほう」
「なんですか、その顔は。信じてませんね?」
「いやいや。しかし、おなごとは難儀なものよのう」
「難儀、とは?」
 ぴくり、雫のこめかみが震える。
「それくらい、こう…な。ふっくらとしておる方が――」
 可愛いと、言おうとしたのに。
 瞬間、増えた体重よりも遥かに重い本気の一撃がダルドフの頭上に!
「…それ以上はタブーです。死にたくなければ口を閉じてなさい」
 口を閉じて、楽しく模擬戦。
「良いですね?」
 はい、と言うしかないだろう、この場合。


 かくして、戦いは終わった。
 ほどなくして再建された菓子砦には連日の様に王国の騎士達が集い、菓子王や妖精王、道化王と共に楽しい時を過ごしているとか――


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:9人

遥かな高みを目指す者・
立花 螢(ja0706)

大学部5年179組 女 阿修羅
憐憫穿ちし真理の魔女・
蒼波セツナ(ja1159)

大学部4年327組 女 ダアト
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
奇術士・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

卒業 男 鬼道忍軍
歌謡い・
亀山 淳紅(ja2261)

卒業 男 ダアト
聖夜の守り人・
杷野 ゆかり(ja3378)

大学部4年216組 女 ダアト
災禍祓いし常闇の明星・
東城 夜刀彦(ja6047)

大学部4年73組 男 鬼道忍軍
恋愛道場入門・
セリェ・メイア(jb2687)

大学部6年198組 女 ダアト
我が輩は王である・
ハッド(jb3000)

大学部3年23組 男 ナイトウォーカー
撃退士・
イナンナ・イツゥ(jb3639)

大学部6年155組 女 陰陽師
絆は距離を超えて・
シェリア・ロウ・ド・ロンド(jb3671)

大学部2年6組 女 ダアト
ドォルと共にハロウィンを・
御堂島流紗(jb3866)

大学部2年31組 女 陰陽師
桜花の護り・
フェイン・ティアラ(jb3994)

卒業 男 バハムートテイマー
撃退士・
日比谷日陰(jb5071)

大学部8年1組 男 鬼道忍軍
リコのトモダチ・
神谷 愛莉(jb5345)

小等部6年1組 女 バハムートテイマー
心重ねて奇蹟を祈る・
グリムロック・ハーヴェイ(jb5532)

大学部7年171組 男 ディバインナイト
この命、仲間達のために・
日下部 司(jb5638)

大学部3年259組 男 ルインズブレイド
撃退士・
ヤンファ・ティアラ(jb5831)

中等部3年10組 女 陰陽師
日蔭のぬくもりが嬉しくて・
日比谷ひだまり(jb5892)

大学部2年119組 女 バハムートテイマー
陽だまりの君・
陽向 木綿子(jb7926)

大学部1年6組 女 アストラルヴァンガード
この音色、天まで響け・
桜 椛(jb7999)

大学部3年187組 女 ルインズブレイド
撃退士・
クアトロシリカ・グラム(jb8124)

大学部1年256組 女 ルインズブレイド
ズレちゃった☆・
阿手 嵐澄(jb8176)

大学部5年307組 男 インフィルトレイター
燃えるROCK魂・
ソフィスティケ(jb8219)

大学部2年212組 女 アストラルヴァンガード
撃退士・
針尾 碧(jb8504)

大学部2年257組 女 陰陽師