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マスター:STANZA
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:3人
リプレイ完成日時:2013/11/13


みんなの思い出



オープニング




 お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ!

 それはハロウィンの決まり文句。
 しかし大抵の悪戯小僧は、お菓子を貰っても「ありがとう!」と言いつつスカートを捲って走り去ったりするものだ。
 まあ、その程度なら子供のやる事だからと大目に見てくれる寛大な大人は多い事だろう。
 それに、一般社会ではイタズラの程度もたかが知れており、まさに「子供の悪戯」で済むレベルである事が多い。

 だが――
 ここ、久遠ヶ原学園では少々事情が違っていた。


「トリック・オア・ベーゼ!」
 何やらほんのりとピンク色に染まった野太い声と共に、男子学生に向けて逞しい両腕が突き出される。
 ついでに「ん〜〜〜っ」と、真っ赤に塗られたゴツいクチビルも。
 突き出しているのは、筋骨逞しい青年だ。
 ただし、リボンいっぱいの白いヒラヒラブラウスに、これまたフリルたっぷりのピンクのオーガンジーミニスカート、ハートの模様が散らばる白いストッキングにミュールという出で立ちだが。
 それらのアイテムは、可愛い女の子が着れば恐らく真っ当に可愛く見えるだろう。
 しかし、分厚い胸板と逞しい上腕二頭筋その他諸々の男臭いパーツを包み込むんだ様子は、もう服が可哀想なんてもんじゃないレベルに達していた。
 瞬きの度にバサバサと音がしそうな付け睫毛と、ヒビ割れそうな厚塗りメイク。
 しかしそれでも、割れた顎のひげ剃り跡は隠しきれていなかった。

 それが何と、三人も。
 一人でも勘弁して欲しいのに、三人も。
 しかも三人とも同じ顔だ。

 実は彼等……いや、実はなんて言わなくても見ればわかる。
 三つ子だ、クローン技術でも使わない限り、三つ子に決まってる。
 他人のそら似が三人集まって、しかもその全員が同じ趣味をしていたなんて怖ろしすぎる。
 いや、三つ子が揃いも揃って同じ趣味というのも、それはそれで怖ろしいけれど。

 とにかく、彼等三人は「そっち系の人」なのだ。
 そっち系ではあるが、細かいところで好みなどには違いがある様だ。
 服装は同じでも、それぞれにカツラとリボンの色が違う。
 そして特技もジョブも、それぞれに違う。
 好きな男性のタイプも違っていた。

 長男・リカ(仮名)は金髪のツインテールに赤いリボン、柔道三段の阿修羅。好みのタイプは青年〜中年まで幅広い。
 次男・マリ(仮名)はピンクのポニーテールに水色のリボン、アメフトはプロ級の鬼道忍軍。好みのタイプは年下の男の子。可愛いは正義なので、とりあえず男の娘でも男装女子でも構わない。
 三男・ミキ(仮名)は薄紫の振り分け三つ編みに白いリボン、ウェイトリフティングが趣味のルインズブレイド。好みのタイプはオールラウンド、老若男女問わずビビッと来たら誰とでも。

 そんな三人のハロウィンは……まあ、こんな感じだった。
 彼等はこの日、一日で墜とした相手の数を互いに競い合っているらしい。
 因みに今のところ、いずれも成功率0%の様だが。
「お菓子をくれなきゃ、あっつぅ〜いキスをお見舞いしちゃう(はぁと」
 うっふん、シナを作るリカ。
「あっ、いいのいいの。お菓子なんて、なくてもいいのよ? アタシが欲しいのは、ア・ナ・タ・だ・け♪」
 逞しい腕を広げて抱擁を迫るマリ。
「お菓子にする? イタズラ? それとも、ワ・タ・シ?」
 ウィンクと共に投げキスを送るミキ。

 被害者(主に精神的な)続出。
 人呼んで、オカ魔のハロウィン。
 誰か、この迷惑な人達を何とかしてくれませんか?




リプレイ本文

 人は何処から来て何処へ行くのか。
 何故、今ここに居るのか。
 それは人類にとって、永遠の哲学的命題。
 だが今のミハイル・エッカート(jb0544)には、その答えは明確だった。
 何故? それが会社からの指令だから。
 拒否権? ある筈がない。
「俺にどうしろと言うんだ!」
 それを考えるのが君の仕事じゃないか、はっはっは。

 そんな訳で、考えついたプランは海辺でBBQ。


「これはのうこうな…ぼーいずらぶの香りをかんじるぅ!^p^」
 勧誘係のエルレーン・バルハザード(ja0889)は、いそいそと男子の制服に袖を通す。
 変化の術なんか使わなくても男に見えるよ。だって、ぺったn
「…とか言ったら、ころすころすころすっ(´;ω;`)!」
 は、はい、失礼しました!
 気弱そうな青年に変装したエルレーンは、標的の三男ミキに近付いた。
「こ、こんばんは…今、学園に来たばかりの生徒の交流会をしてるんです…人数が少ないから、先生がもうちょっと集めて来いって」
 もじもじと腰をクネらせながら、上目遣いで見る。
「よかったら、センパイ…いろいろ、教えてもらえませんか?」
「アラ、何を教わりたいのかしら、お嬢さん☆」
「えっ」
 ばれてーら!?
「ウフフ、アタシ達の嗅覚を甘く見ない方が良いわネ」
 ばっちん、音が出る程の勢いでウィンクを送るミキ。
「でもアタシ、アナタみたいな子も嫌いじゃないわよ? ええ、嫌いじゃないわ」
 釣れた。

 同様に、長男リカはミハイルに、次男マリはロシールロンドニス(jb3172)に釣り上げられて――
 


「なんだか不思議なことになってしまった、な」
 花見月 レギ(ja9841)は、ごく普通に、撃退士らしく報酬と時期と危険性を鑑みて引き受けた――筈だった。
 しかし、現れたのは想像だにしなかった未知の存在。
「人の趣向に否やをつけるのは好まないのだけれど…学園倫理的に問題のある行動は控えないと、かな」
 学園生活は、明るく楽しく健全に。
「青春を謳歌すべき純粋な青少年の教育上も、まあ余り放置は出来ない、し」
 だが、そんなに危ない相手だろうか。
 ミハイルがいみじくも「視覚的暴力」と表現した、そのビジュアル以外は――
 と、その肩にずしりと重みが加わる。
「これを見ても、まだ危険はないと言えるのか?」
 ミハイルが深い溜息と共に見せたのは、彼等の被害者から聴取した罪状リスト。
「…ごめん、俺の認識が甘かったみたいだ」
 レギの顔に乾いた笑みが浮かんだ。

「この世に新たな悲劇が生まれる前に…何とかしないと…」
 ニコニコと無害を装いつつ料理の腕を振るう星杜 焔(ja5378)は、せっせと手を動かしながら害獣達の様子に目を光らせる。
 しかし彼は予想だにしていなかった。他ならぬ自分に、新たな悲劇が訪れようとは!
「ピーマン美味しく焼けたよ」
 何も知らない焔は、ミハイルにピーマン検定中級挑戦を持ちかけてみる。
 しかし今、彼に食欲など1ミリもなかった。
 と言うかリカを釣り上げた時点でもう生命力が半減しているのは何故だ。
 まだ何もされてないのに!
「イケメンは苦労するねえ」
 他人事の様に呟く焔に、自分もその一人である自覚はない。
 その視線の先では――


「アタシ招待状貰っちゃった!」
 マリが嬉しそうに見せびらかせているのは、可愛らしい文字で書かれたカードだった。
「あの子よ。『あの…これ! 読んでください…僕…待ってますからっ』って!」
 指差したのは、ぶっといフランクフルトにかぶりついているロシールだ。
「アタシと目が合ったら、真っ赤になって逃げちゃうのよ! もー可愛いったら!」
 いや、それは留まったらヤられると思ったからで。
「じゃ、行って来るわね!」
 前屈みになりながら、ロシールの元に吸い寄せられて行くマリ。
 その目の前で、ロシールはフランクの先っぽをちぴちぴ舐める。
「僕…こうやって表面を舐めながら食べるのが好きなんです…」
 はむっ、ちゅっ、ぺろぺろ…小さな舌がちろちろと蠢く様子を食い入る様に見つめるマリ。
「あ、マヨネーズかけるのを忘れてまし…ひゃあっ」
 ぶしゅっ!
 勢いよく飛び散る白…じゃない、黄色いドロドロが顔や髪にべったりと。
「あぅ…べとべと…勿体無い…舐めちゃえ…」
 指で掬って、ぺろり…ちゅくん。
「もうダメ! アタシ我慢できない!」
 突進して来たマリはロシールの身体を小脇に抱え、そのまま海岸脇の茂みに!
 挑発するまでもなくズボンは剥ぎ取られ、ギリギリ残った白ブリーフも何故か食い込んで、ぷりけつ半分丸見えだ!
「アッー!」
 誰か、早く何とかして!

 そこに飛び込んで来た焔は、タウントでマリの目を惹き付けようとする、が!
「ゴメンなさい、アタシの守備範囲じゃないわ」
 効果がなかった!
「どうせ、どうせ俺はもう穢れてるんだーっ」
 焔、泣きダッシュ。
 いや、そういう意味じゃないんだけど。

 続いて現れた啾啾(jb6406)は、どうだろう。
(ご、ご年配の方に、き、キスされるのと、ど、どっちが、つ、辛いかな…)
「に、逃げたら、だ、駄目ですよね?」
 帰りたいと思いつつも、仲間を助ける為に覚悟を決める。
「そ、そこの御方…よ、宜しければ、ぼ、僕とあ、遊びませんか…?」
 マリは品定めをする様に、啾啾を上から下まで眺め回した。
「いらっしゃい、一緒に可愛がってあ・げ・る☆」
 どうやら、好みどストライクだったらしい。
「ぼ、僕、マリさんのこと、し、死ぬほど好きです!! だ、大好きです!! だから、そんな子より、ぼ、僕だけを、あ、愛して下さい!!」
 嘘だよ?
 ロシールを助ける為の嘘だからね?
 だから、本気にしないで!
 本気にしないでってば!!
「ぼ、僕に、そ、そっちの、し、趣味は、な、ないです!!」
「あらやだ、自分から誘ったくせに♪」
 マリの厚化粧が目前に迫る。
 危険! 危険!
「ざけんな! こんちくしょう!! 精神的にお陀仏にさせる気か!!!」
 身の危険を感じて態度を豹変させた啾啾は、マリの腕から抜け出して全力逃走!
 しかしマリはアメフト選手、逃げる獲物は逃がさない。
 後ろからタックルをかまし、砂浜に押し倒した!
 このまま俯せで顔を隠していれば、唇は死守できるだろうか。
 唇だけは。
 しかし、顔を隠して尻を突き上げたその姿勢は余りにも危険すぎた。
「あン、可愛い」
 んっちゅー!
 ぺろんと捲られた尻に咲く、真っ赤なキスマーク。
 早く何とかしないと手遅れに――!


「何よ、アタシだってイケメンに誘われて…あっ、あの人よ!」
 一方、リカはミハイルの元へ腰をクネらせ内股で走って行く。
「あら、ホント良い男!」
 ミキがそれに続き、ミハイルは二人の間に挟まれる形になった。
(…いや、俺をそんな目で見ないでくれ)
 唇が触れんばかりに近付いた視覚的暴力は、生命力をダブルでごっそり削っていく。
「あら、案外可愛い目をしてるのネ」
 サングラスを持ち上げ、マリが瞳を覗き込む。
「この男らしい唇、たまんないわァ」
 つつーっ、唇を太い指先で撫でるミキ。
「吸い付いちゃっても、良いかしら?」
 良くない!
 やめろ!
 心の中で叫ぶミハイル、だが視覚的暴力は彼の抵抗力までも根こそぎ奪っていた。
 しかし、絶体絶命のその時!

「おう、俺が相手してやるよ。来な」
 救世主、ジェイド・ベルデマール(ja7488)が現れた!
 ジェイドはリカの肩に手を掛けると「こっちに来い」と顎を引く。
「一度ジュードーってのと手合わせしてみたかったんだ、俺に勝てたら…テメェの好きにしていいぜ」
「あらホント?」
「ああ、海の男に二言はねぇ」
 特に策はないが、反射神経と脳筋っぷりなら負ける気がしない。
(男のくせに女みてぇになよなよしやがって、俺が性根叩き直してやらァ)
 真正面から組み合うと、その鍛え方が半端ではない事が掌から伝わって来た。
(折角イイ体してんだ、勿体ねぇじゃねぇか…なぁ?)
 投げられたら投げ返し、足払いには蹴りで反抗、寝技をかけられれば素早く体を入れ替える。
「海の男舐めんじゃねぇぞ」
「ふふ、良いわね! 燃えて来たわ!」
 上になったり下になったり、組んず解れつ濃厚に。
 愛とは筋肉で語るもの、脳筋バンザイ!

 残されたミキは、ミハイルを独り占め――の筈だったのに。
「少し痛いですが我慢して下さい」
 闇の翼で上空に待機していたユウ(jb5639)が急降下、二人の間に割って入った。
 地上に降り立つと同時に、槍の柄でミキの足元を薙ぎ払う。
「趣向は人それぞれですし、どのような形であれ人を愛することは素晴らしいと思いますが…」
 相手の迷惑も考えずそれを人に押し付ける行為は、流石に見過ごせない。
 だが、ミキは痛むスネを抱えて飛び跳ねながらも、行動不能は愛の力で撥ね除けた!
「すみません、ミハイルさん。力を貸して下さ…ぇ?」
 取り押さえる為に協力を仰いだが、ミハイルの魂は行方不明になっていた。
 武士の情けだ、何があったのかは訊かずにおこう。
 とにかく、魂が戻るまでは暫しの時間が必要だろう。

 その時、泣きはらした目で走って来る焔の姿が見えた。
「あらあらまあ! こっちにも良い男がいるじゃない!」
 ミキは標的を変更、今度は焔に迫る!
「トリック・オア…」
「あーん?」
 ちょっぴり自信を取り戻した焔は、持っていたドリアンパイを「あーん」で食べさせてやった。
「ふふふ、乙女ならその口臭でちゅーはできまい!」
 しかし、乙女は口臭対策も万全だった!
 懐からスプレーを取り出してシュッと一吹き、ほらもう匂わない!
 両腕を広げて迫るミキ、それをシールドで受け…受けちゃって大丈夫、じゃなかった!
 パリィをもってしても避けられない、それが愛の力。
 押し倒された焔に、肉体的暴力を伴った視覚的暴力が迫る。
 途端、その脳裏に過去の悪夢が甦った。
(そう、あれは15歳の夏。一般人だった俺は、俺、は…っ)
 いや、あれは事故だ。
 鯖の味噌煮で餌付けしていたバイト仲間のガチムチ髭おっさんを落下物から助けたら、偶然にも唇が重なって――
「あれをもう一度とか嫌だあああああ!!」
 焔のSAN値、急降下。
「俺に害なす変態は! 善良な一般市民に害なす変態は! 滅ぶべし! 滅ぶべし! 虹色魔弾!!」
 それでも牽制で済ませる理性だけは、辛うじて残っていた様だが。

 ほうほうの体で逃げ出したミキを救ったのは、無自覚フェミニストのレギだった。
「大丈夫かい?」
 ミキを女性扱いし、手を差し伸べる。
「アナタ…皆とは反応が違うのネ」
「ん。いいんじゃないかな。けれど、もう少しナチュラルな方が素敵だと思う、な」
 ぽっ、素直に褒められてミキの頬が赤く染まる。
「それにこの髪。薄紫は好き、だよ。日に透かすと綺麗だもの、な」
 どっきん、今度は心臓が跳ね上がった。
「ね、メイクセット持ってる? ちょっと、貸して…」
 暴力的な化粧を落とし、ナチュラルメイクを施してみた。
「好きも大切だけれど、似合うモノを探すのも大事だよ」
 そう言われて鏡を見たミキは…
「まあ、これがアタシ!?」
 自分で言うのも何だが、本気で可愛い、かも?
「アタシ、本気になっても良いかしら。良いわよね!」
 のしっ!
 レギを押し倒し、迫る!
「もう数を競うなんて、はしたない事はしない! アナタだけよ!」
 ぶっちゅうぅ!

 こんな時、ペアを組んだエルレーンとしては助けに入るべきなのだろう。
 だがしかし。
 こんなぼーいずらぶ的においしいシーンを見逃す手はなかった。
「し、資料写真をっ!」
 いつの間にか┌(┌ ^o^)┐に姿を変え、スマホで写真を撮りまくる。
「ぼ、暴漢にむりやり…とか、ふきんしんだけどもえる、萌えるしちゅなのぉ!」
 撮り終わったら助けてあげるから!
 あ、そこはもっと大胆なポーズでお願いします!


 その後、絵にも描けない文章にも出来ないアレやコレの紆余曲折を経て、三人の身柄は確保された。
 リカとマリは縄で縛られ、心を入れ替えたミキはレギにぴったりと寄り添って。
「必要だったとはいえ、襲うようなことをしてしまい本当に申し訳ありませんでした。傷の方は大丈夫でしょうか?」
「ええ、大丈夫よ。それにアタシも悪かったんだし」
 頭を下げるユウに笑顔を返し、ミキはレギの腕を取る。
 二人はお似合い…とか言ったら怒られるだろうか。

 さて、残る二人はどうしよう。
「その気のない相手にせまるなど言語道断…ハロウィンの度を超えた痴漢行為だ」
 怒り心頭の焔は二人に命じて、砂浜に自らの墓穴を掘らせる。
 そこに首まで埋めて、ミハイルはリカの頭にヒトデをトッピング。
 周囲にはカニやヤドカリを敷き詰めて…
「くくく、似合うじゃないか、ここで24時間反省しろ」
 次に罪状リストを読み上げ――無理、こんな酷い有様を声に出して読むなんて無理。
 代わりに啾啾が、二人の口に手作りの餅を詰め込んだ。
「愛の、ち、力で、た、食べやがって、くださいです」
 勿論、親切心ではない。何しろそれは悶絶するほど辛いのだ。
 しかし、荒くれ男の間で育ったジェイドの目には、それでもまだ甘く見えた。
「俺? 俺なら、そうだなァ…船のマストに一昼夜、縛り付けるかね」
 泣いても喚いても、嵐が来ても縛られたまま。
 それに比べれば生き埋めなんて。
「俺も餓鬼の頃はよくされたぜ…懐かしいねぇ」

 やがて満潮が迫り、二人の頭も二回に一回は波を被る様になった頃。
「どうです? 反省されましたか?」
 ユウが二人の顔を覗き込む。
「反省されたなら、そこから出して温かい飲み物を差し上げますが」
 鼻水を垂らしながら頷く二人の目には、ユウの姿は慈悲深い女神の様に映った事だろう。
 それに対して。
「それじゃ、最後の仕上げなの!」
 エルレーンが取り出したのは、夏に使い残した花火の束。
 それを二人の尻にセットして、ド━(゜Д゜)━ン!!
 天国から地獄とは、この事か。



「今度からは無理やりにではなく、相手の事も考えて行動して下さいね」
 ユウに諭され、二人は意気消沈の様子でお茶をすする。
 と、そこにロシールが紙の束を差し出した。
 それは同好の士が集まる場所の情報を纏めたレポート。
「そういう趣味のない人にに迷惑かけてはいけません」
 ここなら相手も見付けやすいだろう。それに…
「皆さん格好いいですし、女装しない方が上手くいくと思います。頑張ってくださいっ」
 例えお尻が痛くても、良い子のロシールはお兄さん達を励ますのだ。
「きっちり改心したなら…安かぁねぇが、褒美だ」
 ジェイドはリカの身体をぐいっと引き寄せ、それはそれは堂々と男らしく、がっつりと唇を重ねた。
「これが欲しかったんだろ。これからは、ちゃんと男らしく生きろよ。ま、俺の唇じゃ満足できねぇかもしれねぇがよ」
 豪快に笑い、リカの肩を叩く。
 しかし。
 目の中にお星様をキラめかせたリカと、リカばっかり狡いと頬を膨らませるマリ。
 男らしく、なれるのだろうか?


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:6人

┌(┌ ^o^)┐<背徳王・
エルレーン・バルハザード(ja0889)

大学部5年242組 女 鬼道忍軍
思い繋ぎし翠光の焔・
星杜 焔(ja5378)

卒業 男 ディバインナイト
大海原に覇を唱えし者・
ジェイド・ベルデマール(ja7488)

大学部6年68組 男 ルインズブレイド
偽りの祈りを暴いて・
花見月 レギ(ja9841)

大学部8年103組 男 ルインズブレイド
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
いつも尻を狙われる・
ロシールロンドニス(jb3172)

中等部1年3組 男 ディバインナイト
優しき強さを抱く・
ユウ(jb5639)

大学部5年7組 女 阿修羅
唇守って尻守らず・
啾啾(jb6406)

大学部3年182組 男 鬼道忍軍