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マスター:STANZA
シナリオ形態:イベント
難易度:易しい
形態:
参加人数:25人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2013/10/25


みんなの思い出



オープニング

※このシナリオはIF世界を舞台としたマジカルハロウィンナイトシナリオです。
 WTRPGの世界観には一切関係ありませんのでご注意ください。




 夢よ再び。
 あのつるつるぴかぴかを、もう一度。



 科学室の奥に、準備室に通じる扉がある。
 そこは普段、開かずの扉となっている……と言うかガラクタだらけで足の踏み場もない故に、敢えて誰にも開けられる事がないと言った方が正しいかもしれない。
 しかし年に数回、その扉は異界に通じるゲートとなるのだ。

 そして今日も、その扉は開いていた。

「……これは……どうなってるんだ……?」
 科学室の主、門木章治(jz0029)にも、その現象は謎である様だ。
 門木がその扉を開けて、中を覗いてみると――


「……ここは……」
 そこは学校の教室ほどもある、大きな円形の部屋だった。
 ほんのりと淡い薄緑色と白を組み合わせた寄せ木細工の床に、同じ色調の壁。
 丸みを帯びたドアや窓枠は白く塗られている。
 壁際に並んだ小さな椅子には、沢山のぬいぐるみが座っていた。
「……俺の、部屋……?」
 一見して子供部屋とわかるそこは、ずっと昔に門木が使っていたものだ。
 そして今、そこはキンキラのモールや色とりどりの風船、薄紙の花などで飾り付けられていた。
 その真ん中に置かれた白い丸テーブルには、10本の蝋燭が立てられた大きなケーキが鎮座している。
 それを取り囲む椅子のひとつに、緑色の髪をした少年が腰掛けていた。
 半パンにだぶだぶチュニックを着て、素足に編み上げのサンダルという出で立ちだ。

 退屈そうに足をぶらぶらさせていた少年は、訪問者に気付いて顔を輝かせた。
「いらっしゃいませ、なのです!」
 少年は身軽に椅子から飛び降りると、足取りも軽く駆け寄って来る。
 息を弾ませながら門木の前に立つと、ぺこりと頭を下げた。
 それは昔、この部屋を使っていた――まだナーシュと呼ばれていた頃の門木自身。
 しかし、少年は目の前の相手が未来の自分である事には気付いていなかった。
 ……まあ、この変わり様では無理もないけれど。
「今日はナーシュの誕生日なのです!」
 そう言えば、今日は10月10日か。
 養母リュールが、捨てられていた赤ん坊を拾った日。
「ナーシュは今日で10歳なのです! だから、パーティーするのです!」
 なるほど、この飾りはその為か。
「いつもは母上と二人だけでお祝いするのです。でも今年は、お客様がいっぱいなのです。ナーシュは嬉しいのです」
 少年は、それはそれは嬉しそうにニッコリと笑った。
「……いっぱい……?」
 門木は周囲を見渡す。
 どこを見ても、門木と少年の他には誰も――

「……!?」
 いた。
 門木の背後に、ぬぼーっと突っ立っている青年。
 それもやはり、門木だ。
 外見年齢は二十歳くらい。美形ではあるが、無口無感動無愛想無表情の四拍子揃った引き籠もり。
 しかしコレは……と自分で言うのも何だが、そこらに飾っておくには丁度良いかもしれないが、お客様としてどうなんだろう。
 それに、少年の言う「お客様」はこれで全部らしい。
 普通、たった二人で「いっぱい」とは言わないものだが――
(……確かに、いっぱいだな)
 昔を思い出して、門木は苦い笑みを漏らした。
 誕生日を祝ってくれる者など、養母の他には誰もいないのが普通だった。
 他に二人もいれば、充分に「いっぱい」だ。

「それに今日は、ハロウィンのパーティーもあるのです!」
 隣室に続くドアを開けると、そこは黒とオレンジに彩られたハロウィン仕様に飾り付けられていた。
「トリックぉぁトリートなのです! お菓子をくれないと、イタズラなのです!」
 いつの間にか、少年の服装もハロウィン仕様……黒いローブに三角帽子の魔女っ子になっている。さすが夢。
「でも、ナーシュは良い子なのです。 イタズラなんて、した事がないのです」
 かくーり、少年は首を傾げた。
「ナーシュにイタズラを教えて頂けますか? そして、一緒にイタズラ大王になるのです」
「……イタズラ、か……すまん、俺もよくわからない」
 門木も昔は良い子だったのだ。
 イタズラなどした事はないし、今も意地悪と悪戯の区別がよくわからない。
 子供がする様な可愛い悪戯とは、どんなものを指すのだろう?
 だが、がっくりと肩を落とした昔の自分をこのままにするのも忍びない。
「……ちょっと、待ってろ」
 門木の言葉に、少年は顔を上げた。
「……お客さん……いっぱい、呼ぶんだろ?」
「はい、今日はいっぱいです」
「……もっと、いっぱい……呼んで来てやる」
「え?」
「……この部屋に、入りきれないくらい……本当の、いっぱいだ」
「でも……いるのですか? ナーシュのところに来てくれる人……そんなに、いるのですか?」
「……いるよ」
 ぽふん、門木は今にも泣き出しそうな目をした少年の鮮やかな緑の髪に手を置いた。
「……待ってろ。な?」
「はい! ナーシュは良い子にして待ってるのです!」

 今の門木には、子供の頃には想像も出来なかったほど大勢の友人がいる。
 彼等を友人と呼んで良いものかどうか……そこは今ひとつ自信がないほど、未だに人付き合いにはビビリまくりだったりするけれど。
 それでも、声をかければ何人かは来てくれるだろう。

 ただ飲み食いをして、雰囲気を楽しんでくれるだけでも構わないから――



 しかし、門木は知らなかった。
「パーティーだと? 気に入らんな」
 部屋の外では、ダーク門木が楽しいパーティーを台無しにしてやろうと、虎視眈々と機会を伺っている事を。
「そんなもの、この俺が全てくず鉄にしてやる」
 ダーク門木は実に極悪な笑みを湛えながら、部屋の中をじっと見据える。
 しかし彼には致命的な弱点があった。
 自分だけの力では、「楽しいバリア」で守られた部屋の中には入れないのだ!
 勝負を望む相手がいれば、その思いがバリアに隙間を作る。
 しかし誰も望まなければ、いつまでたっても見てるだけ!

 さあ、どうなる!?
 ダーク門木とのバトルはあるのか!?
 依頼のタイトル「かがくしつのだいまおう」は看板だけに終わってしまうのか!?

 それは全て、参加者次第!



リプレイ本文

「先生、分離しても大丈夫な機械作れませんか」
 獅堂 遥(ja0190)は、そんな自分の声で目を覚ました。
 …あれコレ誰だったっけか?
 でも機械って出来たのかな?
 いやそれより機械ってナニ?
「あの、お姉さん?」
 ゆさ。
 夢には終わりがやってくる――
「大丈夫、なのですか?」
 ゆさゆさ。
「…え?」
 揺さぶられてふと我にかえった遥は、心配そうに見つめている少年の髪をそっと撫でた。
「ごめんね、ぼんやりしてたわ」
 どうやら、以前の夢を引きずっていたらしい。
「パーティ、始まるのですよ?」
「そうね。じゃあ行きましょうか」
 遥は少年の手を取り、パーティ会場へ。
 と、そこに――

「ナーシュきゅんんーーーっ!!」
 もふもふ白ウサギが突っ込んで来た!
「つるつるぴかぴか素晴らしいね!!」
 びたんびたん、転げ回るウサギ。
「ナーシュきゅんにまた会えて嬉しいよおぉぉぉ!!」
「ぁ、あの…大丈夫、でs」
 悶絶したウサギに恐る恐る声をかけた、その瞬間。
 それはガバッと起き上がった。
「うわぁぁナーシュきゅんお誕生日おめでとだよー!!」
 猛烈な勢いではぎゅはぎゅもふもふすりすり。
「きゃあぁっ!?」
 普段はしないよ!! イエスショタコン・ノータッチだから!!
 でも今日は特別!! 着ぐるみだし問題ないよね!! 遊園地でよくある光景だよね!! ね!!
「藤咲さんは本日も元気で輝いておられますね…」
 部屋のすみっこでは、あまりのテンションにドン引きした黒猫魔道士が、しっぽを足の間に巻き込んで震えながら見守っていた。
 そう、壊れウサギの中の人は門木先生FC名誉会員第一号(推定)、藤咲千尋(ja8564)だ。
「さて、彼女の出オチも見事に決まった様ですので…パーティを始めましょうか」
 黒猫さん、カーディス=キャットフィールド(ja7927)は、ウサギのもふもふ攻撃から少年を救い出すと、安全地帯へ。
 取り上げられても尚、一人でびたんびたんしているウサギはとりあえず放置して――


「あなたがナーシュ君さんですね」
 初めましてと、魔法使いのローブを纏った黒猫は物腰も丁寧に紳士的なご挨拶。
 丁寧すぎて敬称が二重になっているが、細かい事は気にしない。
「はい! なのです!」
 まるで本物の様な猫の着ぐるみを前に、少年は目を輝かせている。
 そこに並んだ大中小の門木、彼等が年齢こそ違えど同一人物であるなどと、一体誰が想像し得ただろう。
「えっと…別人ですか?」
 少年から青年へと視線を移し、まじまじと見つめた後で、雫(ja1894)はくるりとお馴染みの門木に向き直った。
「…いや、全部…俺だ」
「またまた、冗談を。騙されませんよ」
 しかし門木は冗談を言っている顔には見えない。
 周囲に目を向けると、何人かの経験者が厳かに頷く姿が見えた。
「えっ…本当に?」
 こくり、やはり厳かに頷く門木。
 ピカッ、ガラガラどっしゃーん!
 それを聞いた黒猫の背後に稲光が閃き、戦慄におののく姿が逆光に照らされる。
「門木先生にも幼い頃があったのですね!!」
 そりゃ、あるでしょ。
 って言うか、驚くポイントはそこじゃないと思うんだ。
「…時の流れって残酷ですね」
 ぽつり、雫が放心した様に呟く。
 うん、そこだよね普通。

 しかしそれも慣れてしまえば気にならないし、そういうものだと思えて来る。多分。
「誕生日なんだってな」
 レガロ・アルモニア(jb1616)は動じる事なく、三人の前に立った。
 少年の前で軽く腰を折り、手土産の菓子折りとフルーツの盛り合わせを手渡す。
「大した物じゃないが、手ぶらで来るのもどうかと思ってな」
 相変わらず細かい気配りの出来る律儀なお兄さんだ。
 勿論プレゼントもそれぞれに用意してある。
「甘い物はコレしかなかったがハッピーバースデー。しっかり大きくなれよ」
 少年には可愛らしいリボンで飾られたステッキキャンディを。
「ありがとうなのです! ナーシュはしっかり大きくなって、立派な人になるのです!」
 そして、しっかり大きくなった結果の残念な人にはオイルライター。
「面識はないが折角だしな。けど変な改造はするなよ?」
 こくり、青年は無言で頷く。
 お礼くらいちゃんと言ったらどうなんだと言いたいところだが、彼はこうして人前に出て来ただけでも快挙というレベルの引き籠もり、そこは大目に見てやってほしい。
 そしてお馴染みの門木には、アイマスクが手渡された。
「あいつが誕生日ならあんたもそうだろ」
「…ああ、うん…」
「ってことで。まぁたいした物じゃないが」
 でも、何故?
 もしかして在庫整理のついでに余った物を適当に持って来たとか…
 いえいえ、この気配りお兄さんに限って、そんな事はありませんでした。
「嫌なものから、たまに目を背けたっていいんじゃないか?」
 勿論、立ち向かうのも良いだろう。
 しかし、そればかりでは疲れてしまう。
「これでもして、ゆっくり休んでみるのもどうだ」
「…そうだな…ありがとう」
 気遣いと共に、有難く頂いておこう。

「やあ、どこかで見たような光景だな…久々に、良い夢になりそうだ」
 既に免疫が出来ているディートハルト・バイラー(jb0601)が、花束を抱えて現れた。
「誕生日おめでとう…と、どのMr.カドキに渡せば良いのかな?」
 ディートハルトは三人を見比べて、真っ直ぐな目を自分に向けている少年に向き直る。
「取り敢えずは、一番小さな君に。食べ物の方が良かったかい?」
「ナーシュはお花も大好きなのです! ありがとうなのです!」
 と、そこに香水の様な良い香りが漂って来た。
「チビ門木先生…じゃなくて。ナーシュさん、お誕生日おめでとう♪」
 振り向くと、金木犀の花束を抱えた蓮城 真緋呂(jb6120)が立っている。
「今日の誕生花なんですって。良い香りよね」
「はい、とても良いのです!」
 素直に喜ぶ少年に、次々と手渡されるプレゼント。
「んん? お誕生日なんだね!」
 真野 縁(ja3294)は、元気なオレンジ色のカランコエと、可愛くラッピングされたお菓子の袋詰め差し出した。
「おめでとりっくおあとりーとー!」
 ん? なんか混ざってる?
「きっと気のせいなんだよー」
 門木には黄色い花、そして二人の間に挟まった印象の薄い青年には…
「うん、白が良いかなー」
 ぺこり、青年は黙って頭を下げる。
 明るく元気な天然少年から、残念な無愛想引き籠もりまで、約十年。
 その間に何があったのか、それは訊かない事にして…ぽむ、雫は門木の肩に手を置いた。
「これからは、魔具を鉄くずに変えられてもあまり怒らないようにしますね」
 うん、そうして貰えると嬉しいな。

 そしてここにも、全く動じない人…いや、天使が一人。
「はじめましてナーシュ。私は愛梨沙よ。お誕生日おめでとう」
 鏑木愛梨沙(jb3903)は、少年と目線を合わせて柔らかく微笑んだ。
 ハロウィンとは何か、人間界の事情に疎い愛梨沙は勿論知らなかったが、周囲からの助言によって何とかそれなりの格好になっている様だ。
 良いよね、天使の翼を持ったミニスカナース。
 って、誰の助言なのか、そこが気になる所ではありますが。
「トリックオアトリート、お菓子をくれないと注射しちゃうぞ…って言うんだっけ?」
 愛梨沙はハリボテの巨大注射器を振り上げて見せた。
「え、あの、ナーシュは元気なのです! 注射はいらないのです!」
 少年はさっき貰ったばかりのお菓子の袋を差し出してみる、が。
「冗談よ」
 凶悪ミニスカナース天使は、にっこりと微笑んだ。
「もう、可愛い♪」
 ぎゅっと抱き締めて――
「誕生日おめでとう、生まれてきてくれてありがとう」
 門木にも、そして青年にも、それぞれに…ただし、ハグは省略の方向で。
 どれも同じ門木として、愛梨沙は三人を自然に受け入れていた。
 あの『魂が惹かれる感覚』を、全員から感じる。
(そりゃそうか。どんな姿や性格でも章治センセだもんね)
 それにしても…
「可愛いっ♪」
 ついつい、事あるごとに抱き締めてみたくなる。
 出来る事なら独り占めしたいなぁ、なんて?

 しかし、そうはいかない。
「ナーシュきゅんんんっ!!」
 我に返ったウサギが猛攻を仕掛けて来た!
「プレゼントはネコ耳ニット帽ー!!」
 お腹のポケットから、なんか出た!
「さあさあかぶってー!!」
 言われるままに、少年はふわもこの猫耳帽子を被って…
「どう、ですか?」
 かくーり、絶妙な角度で首を傾げた。
 コイツわざとやってねぇか?
「ぶひーーー!!」
 噴き出す鼻血!
「天使マジ天使!!! さあイタズラしちゃうz」
 危うし少年!
 このままでは壊れウサギの魔の手にかかってしまう!
「はっ! 門木先生幼少姿に慄いている場合ではございません!」
 少年の危機を救う為、黒猫魔道士が立ち上がった!
「藤咲さんが(鼻)血の海に沈む前に(ナーシュ君さんを)助けなければ!」
 発動、黒猫魔法レベル6!
「ナーシュ君さん危ない!」
「…にゃん?」
 それは、黒猫の猫耳としっぽが生えて、語尾がにゃんになる魔法。
 ウサギの中の人と、少年…そして何故か巻き込まれた門木の頭にネコミミが!
 帽子も可愛かったけど、天然のネコミミ! シッポまで!
「わたし、もう思い残すことは…ないかも…にゃん」
 真っ白な着ぐるみを真っ赤に染めて、ウサギは沈んだ。
 自らが作った血溜まりの中に「うぇっふぇっwhっうぇww…」という断末魔の笑い声を残して。
「骨は拾って差し上げますよ」
 流れ出た血を吸い込んで重くなった着ぐるみを、黒猫はそっと抱き上げる。
 そして、いずこともなく去って行くのであった…いや、部屋の隅に退避しただけだけどね?


 かくして、パーティ会場の平和と幼気な少年の貞操は守られた。
 しかし彼等はまだ知らない。
 あの白ウサギが、やがてピンクのウサギとして復活を遂げる事を――!

 そして、もう一人。
 部屋の外で襲撃の機会を伺う影がある事を。

 だが、まだ時間はある。
 今のうちに全力でパーティを楽しむのだ!


 パーティ会場付属の、魔法のキッチン。
 ここでは腕に自信のある者達が、ご馳走作りに精を出していた。

「月乃宮さん、美味しいものを一杯作って楽しいパーティーにしましょうね」
 袋井 雅人(jb1469)は、エプロン姿の月乃宮 恋音(jb1221)に笑いかける。
「魔法の料理なんて初めてですよ。月乃宮さんは何か作りたい物はありますか?」
「そうですねぇ…」
 普段は食材が高価すぎて手を出せないアレやコレ。
 それに、ファンタジーの世界に出て来る様な、実在しない食材を使った料理も出来る。
「ドラゴンの姿焼きとか…どうでしょうかぁ…」
 いや待て、流石にそれは部屋に入りきらない。
 マンモスでも恐竜でも、出せと言われれば出せるけどね?
「では、切り身なら…」
 しかし、魔法で出す事は出来ても、味が想像出来ない。
 自分で出したのでは、全て同じ味になってしまいそうだ。
「後で、ナーシュさんにお願いして…出して貰いましょうかぁ…」
「そうですね、でも今は皆に囲まれて大変そうですし」
 まずは普通の食材を使った料理を揃えていこうか。
 時間と手間がかかる料理も、魔法の道具を使えば一瞬で出来上がる。
 例えばこの、一見普通の電子レンジ。
 タイマーを回すと、指定した時間にタイムワープが出来るのだ。
 しかも時間が進むのは料理だけ。
 三日三晩じっくり煮込んだスープやシチューも、これであっという間に完成だ。
 大皿料理にスイーツ、大人向けには酒の肴になりそうな、超高級オードブル等々。
「ちょっと味見してみますか?」
 はい、あーん?
「…美味しい、ですぅ…」
 羨ましくなんか、ないんだからねっ!

「普段は使えないような器材も思う存分使えるから、楽しまないとだよね」
 ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)は、ここぞとばかりに本格仕様の巨大ピザ窯をどーん!
 本場仕込みの華麗な技でピザ生地…いや、ここは本格的にピッツァと呼ぼう。
 ソフィアはローマの出身、ローマと言えばパリパリのクリスピーなピッツァ。
 空中でクルクルと回転させて生地を伸ばし、特製ソースに具材をたっぷり。
 焼き加減は窯が自動で調整して、しかも焼き上がったら教えてくれるという親切設計だ。
 その間にパスタやリゾットを作り、イタリア料理のフルコース完成。
「材料も魔法で出し放題なら、遠慮せずにガンガン作っていこうか」
 大丈夫、撃退士には素で魔法としか思えない脅威の胃袋を持ってる人が多いから。


「おおおおおお食べ放題なんだよー!」
 ほらいた、鋼鉄の無限胃袋。
 縁は出された料理を食べる。とにかく食べる。片っ端から食べる。
「はわぁー、幸せなんだよ!」
 うん、これだけ美味しそうに食べて貰えれば、作った甲斐もあるというものだ。

 向こうのテーブルには、一人で座るハードボイルドな狼男の姿が。
 その狼男、神凪 宗(ja0435)に給仕しているのは吸血鬼ソフィア。
 そうなると、もう一人欲しいのは…
 何処かにフランケンシュタインの仮装をした方はいらっしゃいませんかー?
 …残念、いない様だ。
 代わりに三人の魔女っ子さんが現れた。
「お菓子、沢山ありますよ。いかがですか?」
 シシー・ディディエ(jb7695)が微笑み、手に提げた籠の中から魔法のお菓子を取り出す。
 ストロベリーチョコカラーのロリ服に黒の猫耳尻尾を付けた華桜りりか(jb6883)は、テーブルの上にそっと手を置いた。
 と、そこに大きなチョコの噴水が!
 湧き出すチョコと共に、様々なチョコ菓子がポンポンと吐き出され、テーブルの上はあっという間にチョコだらけ。
「どうぞなの…です」
「これを、食べろと…?」
 チョコの山を見上げ、宗は呆然と呟いた。
 男性は苦手かもしれない。いや、苦手じゃなくてもこの量はちょっと…
「あ、それならパンプキンケーキはいかがですか?」
 黄昏ユキ(jb5973)が、美味しそうな色に焼き上がったケーキを差し出してみる。
 ただし塩味。
「甘いチョコには合うと思いますよ」
 別に失敗した訳ではない。
(今日ならお料理もできそうな気がするのよね)
 その予感は正しかった。
 これだって、こんな事もあろうかと、わざと塩を利かせた大人の味に…
 嘘です。
 砂糖と塩を間違えました。
 え? 魔法を使ったんだから間違える筈がない?
 甘いな。

「ほら、ね?」
 くすくす、向こうのテーブルで真緋呂が笑っている。
「悪戯って、こんな感じにすれば良いのよ」
 笑いながら、少年に言った。
「後はソースと醤油をすりかえたり…私もこれくらいしか思いつかないけど」
 つまり、ユキの魔法が失敗したのは…魔法を使う瞬間、真緋呂がユキの頭の中にある塩と砂糖をすり替えたから?
「うそ、そんなのアリなんですか!?」
 向こうでユキが叫ぶ。
「アリよ、だってここは魔法の空間だもの」
 笑いながら、真緋呂は食事に戻った。
 ああ、ここにもいたよ無限胃袋の食欲魔人。
「今日は美味しいもの、いっぱい食べましょうね!」
 ところで…
「ナーシュさんは好きな食べ物ってある?」
「なんでも好きなのにゃん」
 未だに黒猫魔法が解けない少年が答える。
「でも、一番は卵ボーロなのにゃん」
「たまごぼーろ…って、離乳食とかで赤ちゃんが食べる、あれかしら」
 こくこく。
「じゃ、出してあげるわね…はい」
 真緋呂がパチンと指を鳴らすと、大きな皿に山盛りの卵ボーロが現れた。
「作りだしたのが私だから、美味しいかは自信ないんだけど」
「そんなことないのにゃん!」
 苦笑混じりに言う真緋呂に、少年はぶんぶんと首を振った。
「美味しいのにゃん! ふわっととろけて幸せなのにゃん!」
 本当に幸せそうな顔をして食べている。

 という事は…もしかして、あの門木も同じなのだろうか。
 それを聞いていた遥が、お手製のケーキを切り分けていた手を止めてちらりと視線を投げた。
「そう言えば、最近ちゃんと話してないな」
 顔を合わせた記憶もない気がする。
 ケーキ持参で話しに行ってみようか。
「そうそう、ヨル君にもお裾分けしないと…カフェオレプリンのレシピも一緒に」
 と、そこにタイミング良く現れたご本人。

「誕生日、おめでと」
 メイド服を着た七ツ狩 ヨル(jb2630)は、パンプキンケーキを少年の目の前に置いた。
 何故その姿、という疑問はあるが…似合う。余りにも似合う。
「これは家事をする時の作業着、だけど」
 メイドヨルはカップにカフェオレを注ぎながら、至極真面目な顔つきで言った。
「これを誕生日祝いに着るのが、人界流の祝い方なんだ」
 そんなトンデモ知識を、何処で覚えて来たのだろう。
 しかし本人はそれを事実と信じて疑わない。
「ナーシュやリュールは、きっと似合う」
 そう言って、ヨルは少年の育ての親である大天使リュールを召喚。
 次いで魔法のステッキならぬ魔法のモップを一振りすると――
 忽ち二人はお揃いのメイド姿に!
 しかも少年の方はカチューシャから黒猫の耳が突き出た、天然ネコミミカチューシャ状態に!
 ぷぷーっ!
 何処かで盛大に鼻血が噴き上がるが…それはきっと黒猫さんが介抱してくれるだろうから、ほっといて(酷
 うん、やっぱり似合う。
 少年は勿論のこと、大天使様も…なんかこう、煌びやかでゴージャスな、女王様の様なメイドさん?
「カドキも、着てみる?」
 いえ、それは激しく遠慮させて頂きますっ!

 部屋の隅で皆の様子を遠巻きに眺めているカノン(jb2648)は、少年の一挙手一投足にひっそりと相好を崩していた。
 本当は自分も色々構いのだが、どうも遠慮が勝ってしまう様だ。
 それに気付いた少年が、手を振りながら駆けて来る…メイドコスのまま。
「この間はありがとうなのにゃん! また会えて嬉しいのにゃん!」
 どーん!
 少年は走って来た勢いのまま、カノンに抱き付いた。
 それを微動だにせず受け止めたところは流石ディバインナイト…じゃなくて。
「こら、お前…っ、何してるにゃん!」
 少年の大胆すぎる行動に、門木@やっぱり黒猫魔法継続中が慌てて飛んで来る。
 首根っこを掴んで引っぺがした。
「…すまん、その…チビが、迷惑を…にゃん」
 少年をぶら下げたまま謝る門木に、カノンは大丈夫だと首を振る。
「誕生会、ですか…こうして賑やかにやるのは私も初めての経験ですが、良いものですね」
 二人に向かって微笑んだ――日頃のクールなイメージが崩壊しない程度に、小さく。
「改めて、おめでとうございます」
「…ありがとう、にゃん」
「ありがとうなのですにゃん!」
「ただその…」
 カノンは言いよどみ、門木に対して何やら非難めいた眼差しを向ける。
「…俺、また何か…やった…にゃん?」
「いいえ、そういう訳では」
 ただ…
「別にびしっと着飾ったり、きびきびしろとかそういう方向にしっかりしろとは言いませんが、人間関係には誠実であるべきです、えぇ」
「…人間、関係…にゃん?」
 こくり、真剣な目でカノンは頷いた。
「先生、最近女性にだらしないのではありませんか」
「…ぇ?」
 思わず少年の襟首を掴んでいた手が緩む。
 解放された少年は何やら不穏な空気を察し、その場からそーっと逃げ出した。
 残された門木は爆弾発言の衝撃で黒猫魔法が解除された様だ。
「…ちょっと待て、何の事だ…?」
 確かにこのところムフフな出来事が多い気はするけれど。
 でもそれは完全に受け身であって――
 と、そこに現れたロリ服の少女りりか。
 見た目はせいぜい中学生といった印象の彼女に、こんな子供まで誑かすつもりかと、カノンは氷の様な視線を門木に投げた。
 いや、違うから。誑かしてないし、そのつもりもないし。
「あの…門木先生」
「…ん、どうした」
 カノンの視線を後頭部に痛いほど感じつつ、門木はりりかを見る。
「えっと…、お誕生日おめでとうございます、です」
「…わざわざ、言いに来てくれたのか…ありがとう、な」
 ほら大丈夫、ただのお祝いだ。
 安心した門木は、りりかの頭をそっと撫でてやった。
 と、その瞬間。
 りりかの中で、何かのスイッチが入った。
「あの…、えっと…、…先生に、告白したいの、です」
 ――はい?
 ちょっと待って、告白って何!?
 なんか後頭部から煙が出始めた気がするんだけど!?
 しかし、りりかは構わず続けた。
「あの…その…章治兄さまと呼ばせて欲しいの、です」
「…え?」
 兄さま? 何その萌えシチュ!
「前から兄さまになって欲しかったの…頭を撫でたり、妹扱いをしてほしいの…です」
 門木の妹がこんなに可愛いわけがない。
 けれど、まあ…本人が望むなら。
 でも良いのか、こんな兄貴で?
「ありがとう…章治兄さま」
 りりかは、それはそれは嬉しそうな、はにかんだ笑顔を見せると…ぺこり、一礼して仲間の元へ戻って行った。
 残された門木は…
「先生」
 はい、お説教ですね。
「そもそも男女関係というものは…(くどくどくどくど」
 これは当分、終わりそうもない。


 一方その頃、隣のハロウィン仕様の部屋では――
「メリーハロウィーン!!」
 鈴木悠司(ja0226)が、カボチャ色のクラッカーを打ち鳴らす。
 今日は仲間4人のハロウィンパーティ、隣でも何かやってるみたいだけど気にしない!
「思い切ってお菓子沢山出すよ! 大サービス! 何が良い? 何が良い?」
 うきうきとシッポを振りそうな勢いで、悠司はケイ・リヒャルト(ja0004)とセレス・ダリエ(ja0189)にマイク代わりのクラッカー(使用済)を突き付ける。
 だが、自分で訊いておきながら返事も待たずに、悠司はマイクをヤナギ・エリューナク(ja0006)に。
「ヤナギさん嫌いなお菓子とかある? 出すよ! 勿論!」
「わかった、わかったから落ち着け犬コロ」
 超笑顔で迫る悪友に「お座り」を命じ、ヤナギは脇のテーブルを顎で示した。
「菓子ならそこに売るほどあるだろう」
 こくり、セレスが頷く。
 そこにどーんと聳え立つのはケイ特製、背丈のあるクロカンブッシュのハロウィンバージョン!
 売るほどあると言うか、実際に売り出したら行列の出来る人気店になると、セレスは確信していた。
 ケイのお菓子は世界一、魔法なんて足元にも及ばないのだ。
 それを好きなだけ食べられるとは、何たる幸運…と、顔にも口にも出さないけれど。
「あはは、わかってるよー」
 セレスの言葉に「冗談だよ」と手を振り、悠司は隣のテーブルを見た。
「魔法なんかで出すよりも、ケイさんの手作りの方が美味しいに決まってるよね! もう俺、いくらでも食べるよ!」
 それを聞いて、ケイの目がキラリと凶悪な光を放つ。
「言ったわね?」
「うん、言った! 男に二言はないよ!」
「じゃ、頑張ってね」
 ひらり、ケイが手を振ると――彼等の周囲を取り囲む様に、お菓子山盛りのテーブルが次々と姿を現した。
 お菓子作りに魔法は一切使っていないが、皆を脅かす為の仕掛けは別だ。
「さぁ、皆。全部食べてくれるわよね? 当然!」
 沢山のテーブルに山と積まれたお菓子を前に、ケイが実にどえす的なイイ笑顔を浮かべる。
 大きな南瓜を器にしたプリンに、同じく丸ごと南瓜を器に使ったカスタード、チーズクリームがたっぷり入ったトライフルケーキ。
 まるで富士山の様な形に積まれた南瓜クリームのシューには、ジャックオランタンの顔が。
 他にもクッキー、タルト、パイ、マフィン、マドレーヌ、マカロン、ドーナツ…ハロウィンに因んで、全て南瓜尽くしだ。
「そうそう、テーブルをどかして外に出たかったら、まずは上にあるお菓子を全部食べきってね」
 お菓子がひとつでも残っていたら、そのテーブルは押しても引いても動かない。
 飛び越える事も下をくぐり抜ける事も出来ない、そういう仕様だ。
「これがあたし流のハロウィンの悪戯よ」
 ケイさん、実に楽しそうに微笑んでいらっしゃる。
 しかし、他の三人も負けてはいない。
「手作りお菓子…こんなに沢山…食べます。ええ。全て」
 無表情にお菓子の山×360度を見渡したセレスは、無表情のままに言い切った。
 心なしか、表情がきりりと引き締まって見えない事もない、様な。
「ケイさんの手作り品に関しては、底なしで行けます」
「だよねー!」
 早速テーブルの一角を攻略し始める、セレスと悠司。
「こんな美人さんの手作りお菓子食べれるって、幸せだよね」
 微笑みながら、ぱくぱくもぐもぐ。
「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない? お礼に特大バケツプリンでも追加してあげようかしら」
 にっこり笑うその笑顔が怖…いえ、眩しいです女王様。
「…ぅっ、げほっ!」
 思わずむせた悠司に、ヤナギが何かを企んでいそうな視線を向けた。
「…折角のケイ嬢のお菓子に合わせて紅茶でも淹れるか」
「うおぉ、出た! ヤナギさんの紅茶!」
「何だよ、見掛けに因らず、得意だったりするんだゼ?」
「うん、知ってる!」
 知ってるからこそ…
「ぷくくくっ」
 笑える。
 ゴスパン衣装に赤ウルフカットで紅茶!
 しかも花柄のティーセット!
「うるせぇな、これしかなかったんだよ」
「だったら魔法で出せば良いのに」
 …それもそうか。
 まあいい、とにかく紅茶だ。
「甘くて濃い南瓜には…キーマンをストレートが良いかねェ…」
 まずはカップとポットを温めて、人数分プラス一杯の茶葉に高い位置から熱湯を注ぎ――
「ヤナギさんは紅茶がよく似合っています。ええ。似合っています」
 こくり、超無表情にセレスが頷く。
「俺もうダメ! 何時見てもヤナギさんと紅茶はミスマッチ過ぎて…!」
「だからお前は何がそんなに可笑しいんだ」
「だって、だってー! あー笑い過ぎてお腹痛いー!」
 悠司、指差して笑い転げてるし。
「ったく…ほれ、これでも飲んで少しは落ち着け」
 カチャリ、良い香りを立てる紅茶が悠司の目の前に置かれる。
「あ、ありがとーいただきまっにっがー!!」
 そうだろうそうだろう。
 わざと1つだけ濃く淹れて、渋いのをロシアン的に出してやろうかと考えたのだが、方針変更。ターゲット、ロックオン。
「でも甘いお菓子にはすっごく合うよね! 流石だなーヤナギさん! ミスマッチだけど腕は確かだよね!」
 褒めてるのか貶してるのか、どっちだ。
「だから、お前は少し落ち着けっての」
 隣で黙々と食べているセレスを見習えと、ヤナギ。
「あー、うん。セレスさんは如何? 美味しい? セレスさんは大人しくて可愛いねぇ」
「はい…悠司さんは楽しそうで良いです」
 頭を撫でられて、セレスはこくりと頷く。
 しかし内心ではビールが飲みたいなどとオッサン臭い事を考えているのは秘密だ。
 流石にお菓子にビールは無い…と言うか、アリだとしてもダメだからね、高校生は。
 そうこうしているうちに、山ほどあったお菓子は綺麗に食べ尽くされ――
「…折角のハロウィン、それらしい事をやるのも面白いかもな」
 腹ごなしにも良いだろうと、ヤナギ。
「しかもあんまりしねェこと…んー…ダック・アップルとかか?」
「何それ?」
 悠司が首を傾げたのも無理はない。
 日本では滅多に見ない、水を張った器に浮かべたリンゴを口で取る英国伝統のゲームだ。
「へぇ、なんかパン食い競争みたいだね! 俺こういうの得意…あれ?」
 早速挑戦してみた悠司だが、口を近付けるとリンゴはすっと沈んでしまう。
 顔を濡らさずに取るのは至難の業…と、その背後から忍び寄る黒い影。
 悠司の後頭部に手が伸びて――
「えいやっ!」
 どぼーん!
「…ごぶっ!? ごぼがばぐはぁっ!!」
 溺れる! 水深20cmのタライで溺死とか、そんな!
「…げほっ、がはごほ…っ、し、死ぬかと思った…っ!!」
 いや、そんな大袈裟な。
「ひどいよヤナギさんっ!」
「俺? なんにもしてねぇよ?」
「ヤナギさん以外に誰がこんな悪戯するのさ!?」
「ひでぇな、俺のことそんな風に――」
 仲良くじゃれ合う男共を、女子二人は生温かく見守っていた。
「じゃ、あたし達はデザートでも食べましょうか」
 ケイの提案に、セレスがこくりと頷く。
 さっきまでお菓子三昧だった気がするけれど…
「デザートは別腹よね」
 なるほど。


「マンガ肉、焼き上がりましたぁ…」
「マンモスの輪切りステーキ、お待たせしました」
 恋音と雅人がせっせと料理を運んで来る。
 他、マンドラゴラのサラダや世界樹の実が入ったパン、スライム各色のカラフルなゼリー、不老不死の妙薬エリクサーのジュース…等々。
 効能の保証は出来ないが、味の方は自信がある。
「後は何を作りましょうかぁ…」
 テーブルを回って注文を取る恋音は、実に活き活きと楽しそうだ。
(料理の用意が終わったら、私も月乃宮さんと一緒にパーティーを目一杯楽しもうと思っていましたが…)
 これはこれで良いかと、雅人は口元を綻ばせる。
「ツチノコの姿焼きと、魔女のイィーヒッヒ鍋入りましたぁ…」
 さて、どんな味がするのだろう。

「やあ、お若いMr、隣良いかな…君も飲むかい?」
 ディートハルトは食べ物と命の水を用意して、一人でぽつねんと佇んでいる青年の元へ。
 声をかけられた青年は満面の笑みを浮かべながら顔を上げ――
 違った。
「これは…誰かに悪戯されたのかい?」
 そう、犯人はメイドさんです。
 仏頂面も笑顔に見える様なシワが書き込まれ、頬には赤いペンでぐるぐるの渦巻きが。
 ついでに髪はカラフルなリボンで飾られていた。
「とりあえず、顔を洗って来ると良い…いや、君がそのままで良いと言うなら構わないが」
 言われて、青年はのそりと立ち上がった。
 綺麗に顔を洗って、ふらりと戻って来る。
「相変わらず君達は俺を楽しませてくれる、ありがとう」
 乾杯、ディートハルトはグラスを差し出す。
 青年も同じ様にグラスを差し出してみた。
 カチン、グラスが合わさる軽い音。
「皆と一緒に騒ぐ体力はもうないが、こうやって見ているだけでも飽きないね。そう思わないか?」
 こくん、頷いた所を見ると、青年もそれなりに楽しんではいる様だ。
 無口無表情なので、さっぱりわからないけれど。

「普段全然料理やらないんだけど…なんだかできそうな予感」
 今度は悪戯の妨害もなさそうだしと、ユキは再度パンプキンケーキに挑戦!
「出来ました!」
 うん、大丈夫。
「この出来なら兄さんも見返せるかしら?」
 と、自分では思うけれど…念の為。
「あの、味見して頂いても良いですか?」
 同席の二人にお願いして待つこと五秒、1ターンで判定が出た。
「とても美味しいです♪」
「はい、美味しいの…です」
 シシーとりりかにお墨付きを貰い、ユキは心の中でガッツポーズ。
「良かった、もしかして私、味覚音痴だったりしたらどうしようって、密かにドキドキしてました」
「大丈夫、自信を持って良いですよ」
 シシーがにっこりと微笑んだ。
 ただし、本物の料理に関しては限りなく未知数だけれども。
「ところで、黄昏さんは、お菓子では何がお好きでしょうか…?」
「え、私ですか?」
 暫く迷って…
「頂けるものなら何でも好きです」
 はい、素直でよろしい。
「では、一通り出しておきましょうか。華桜さんは、チョコがお好きでしたよね」
 魔法で出したお菓子やチョコを、シシーはそれぞれにプレゼント。
「わぁ、ありがとうございます!」
「ありがとうなの、です。チョコ、幸せ…です」
 自分で出せると言っても、やはり人からのプレゼントは嬉しいものだ。
 後は美味しい紅茶を煎れて…
「楽しいパーティにしましょうね♪」
 優しい笑顔で、精一杯のもてなしを。
 皆で笑顔になれたら、それが最高の幸せだ。
 ところで…
「あの方は、誰でしょう?」
 視線の先には背中を丸めた門木の姿が。
 どうやらまだまだ、お小言の最中らしいが…って、今更それを訊く!?
「ああ、シシーさんは科学室を利用されてないのですね」
 ユキが軽く人物紹介をしたところに、りりかが衝撃の一言。
「門木先生は、あたしの兄さまなの…です」
 紅茶を噴き出しそうになったユキが慌てて口を押さえる。
 門木の妹がこんなにか(ry


 そして和気藹々とパーティも終盤に近付く頃。
 どこかで『俺の出番はまだかー!』という心の叫びが聞こえたのは、きっと気のせい…じゃない。
 はい、お待たせしました!
「待っていたぞ、この時を…」
 バトルを望む心の声、それに応えてアイツがやって来た!
 空間が歪み、バトルフィールドが現れる。
 その中心に立つのは言わずと知れたダーク門木だ。
 気配を察したソフィアはしかし、慌てず騒がず。
「終わったらお腹空かせてるかもだから、たっぷり用意しておかないとね」
 バトル終了後のパーティー再開に備えて料理を続行。
 鉄の胃袋、どんと来い。

「漸く出やがったか!」
 ミハイル・エッカート(jb0544)が喜び勇んで立ち上がる。
 このまま出番がなかったらどうしようと、内心ドキドキだった事は秘密だ。
「あの時は世話になったなぁー! 今度こそ決着つけようぜ」
 アサルトライフルを構えるニヒルなイケメン。
 だが、彼の弱点などダーク門木にはお見通しだ!
 途端に降って来るピーマンの雨、しかしミハイルは動じなかった。
「そんなもの、口に入らなければどうってことないぜ!」
 落ちたピーマンを踏みつけ、青臭い匂いを撒き散らしながら、ミハイルはダークに突っ込んで行く。
 手にした武器は次々にくず鉄と化し、一歩進むごとに服が一枚ずつ消えていくが、ミハイルは歩みを止めなかった。
「この拳が、奴にはこの拳さえあれば良いんだ!」
 あと、ぱんつ。
 しかしここでミハイル自身のリクエストにより、意気揚々と触手登場!
 触手は嬉々として最後の砦を落としにかかる!
 しかし、その前に敢然と立ちはだかった勇者がいた!
「漸くわしの出番が来たんだの!」
 守護者・橘 樹(jb3833)、何の守護者かはお察し下さい。
「ミハイル殿のパンツはわしが守ってみせるのおお!」
 あ、言っちゃった。
 そう、彼はおぱんつの守護者。
「ガイアがわしに囁いた時、きのこのテーゼが閃くんだの!」
 意味不明? 呪文なんて大抵そんなもんさ!
 忽ち樹の周囲には巨大きのこがニョキニョキと生えて来る。
 食べてよし、ぶつけてよし、煮ても焼いても美味い。
 しかし攻撃1、防御1、受防1、命中ー100、これでどうやってミハイルのぱんつと貞操を守ると言うのか!
「こうなったら、わし自身が盾になるしか!」
 樹はくず鉄ビームと触手が飛び交う中に突っ込んで行く。
 服なんて飾りだ! 褌が消えてもきのこで隠せばほら大丈夫!(いいえ
「あ゛ーー、パンツの中に入ってくるんじゃねぇぇーー!」
 危うしミハイル!
 しかし守護者は全身にモザイクがかかって身動きが出来ない!
 どうやら蔵倫という名のバグが発生した様だ!

「彼等には任せておけない様だな」
 軽い溜息と共に立ち上がった狼男、宗。
「くず鉄にされた者達の恨み、晴らさせて貰おうか」
 宗は超スキル「問答無用」で、そこらの変質者諸共にダークを縛り付けた。
 それは影縛の強化版。自らの影で縛り上げられた者は、それこそ問答無用で動きを止められるのだ。抵抗? 無駄無駄!
「ちょっと待て、何故俺まで…っ」
 まだパンツは死守しているぞとミハイルが抗議の声を上げる。
 だが宗は構わず次の攻撃に移った。
「ハロウィン・ザ・パーティー、この恨みの一撃を受けてみろ!」
 恨み言と共に、無数の残像を生みながらダーク門木に特攻を仕掛ける!
 チェイン発生、攻撃力にボーナス!
 しかしダーク門木は踏ん張った。
「この程度で俺を倒せると思うのか!!」
 呪縛をぶっちぎり、くず鉄ビームで反撃!
 これで宗も変質者の仲間入りだ! おめでとう!

 次なる犠牲者候補はレガロだ。
「折角の機会だ、日頃の鬱憤も込めてこいつを投げさせて貰うか」
 元は大切な何かであった筈のくず鉄を握り締めて立ち上がる。
 ゴーストアローで狙いを定め、その攻撃に乗せてくず鉄を投げた!
 しかし!
「甘いわ!!」
 投げたくず鉄は100倍になって返って来た!
 これが現実なら少しは嬉しいかもしれないが、ここではただ、その山に埋もれるのみ。

「…敵の掃除もメイドの仕事」
 続いて戦うメイドさん、ヨルが箒でぶん殴りに行く。
 え、手に持ってるのはどう見てもニヒツハルバードだって?
 いいえ、気のせいです。
「ハルバードは箒。ハルバードは箒」
 大事な事なので二回言う。ほら、これで誰の目にもハルバ…くず鉄?
 でも大丈夫、箒のストックなら沢山ある。
 ラピス箒にレーゲン箒、キメリエス箒…しかし最後のドラグーン箒までくず鉄になってしまった!
 それでもヨルは止まらない、メイド服もカチューシャも、眼帯やトランクスまでくず鉄と化しても、メイドさんは戦い続けるのだ。
 だがやはり蔵倫に引っかかったのか、ここで急に映像が乱れた! 残念!
 因みにリュールはダークの姿を見ても特に何の感慨もなかった様で…まあ、そりゃ最初の変貌に比べれば…ねぇ。
 って言うか、男子は全滅ですか?

「仕方がありません、ここは私が…」
 雫が静かに立ち上がる。
 だが、静かなのは最初だけだった!
「トランスファーグローブの敵!」
 雫は大剣と呼ぶには余りにも大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把な鉄の塊を振りかざす。
 闘気解放から縮地で接近、薙ぎ払い後に乱れ雪月花の凶悪コンボで全力八つ当たり!
「ぐぉっ!?」
 これは効いた。
 しかしダーク門木にはまだ余力がある、しかもたっぷりと!
 そして調子に乗ったダークの攻撃は、何故か不可侵の筈のパーティ会場にまで及ぶ。
「えいっ」
 何かの催し物と勘違いした縁が、迷わずクリームパイを顔面に…投げようとした時は既にくず鉄だった!
 ところが、ここに思わぬ伏兵が潜んでいた。
 ゆらーり、立ち上がる真緋呂。
 そう、くず鉄ビームの流れ弾が、ユキに貰ったデザートをくず鉄に変えてしまったのだ。
「ユキさんが折角作ってくれたものを…これは少々、キツいお仕置きが必要ね」
 ずごごご…と不気味な音を立てて練り上げられる強大な魔力。
「食事の邪魔は許さないんだから!!」
 どーん!!
 怒りの巨大光弾が、ダークの頭上に炸裂した!
 げに怖ろしきは食べ物の恨み。
 って言うかやっぱり強いよ久遠ヶ原女子。
 その中でただ一人、異色の戦法で奮闘する男子がいた。
「ダーク門木先生、ありがとうございます!!」
 いきなり礼を言いながら、しかし桜花霊符で攻撃する雅人。
「くず鉄は怒りや悲しみだけじゃなく物を大切にする心を教えてくれました。だから…」
 戦うのは、くず鉄への強い愛と感謝の心から。
 決して恨みや怒りや憎しみの念からではないのだ。
 実はダーク、こういった心理攻撃にめっさ弱い。
 しかし、そんな弱点を弱点を悟られまいと反撃は逆に苛烈を極めた。
 くず鉄ビームが雅人を襲う、しかし恋音がそれを庇い――後はお察し下さい。

 そして全ての戦士がくず鉄ビームの前に敗れ去ったかに見えた、その時。
 ここに、満を持して真打ち登場!
「殴ります(キリッ」
 女神の杖ヘカテーを握り締め、沙 月子(ja1773)が立ち上がる。
 メタな話だが、月子はあと僅かの経験点でレベルが上がる予定だった。
 つまり「ダーク門木倒してレベルアップするぞ!」という事で、彼女にはもうダークが獲物にしか見えない。
 うん、別に個人的な恨みがあるとか、そういう事ではないのだ。
「恨んでなんかいませんよええたかが暁の指輪くらいたかだかSランクの品くらい。ええ」
 ほらね、本人もそう言ってるし…それはもう真っ黒な笑みを浮かべながら。
 じゃ、行ってみようか。
 咎釘で束縛し、セルフエンチャントで魔力を上げて、禁呪『炸裂掌』でその全てを叩き込む、別名死なばもろとも自爆直行便!
 こんな無茶なスキル構成、リアルでやったら自爆で死亡判定はガチだが、これは夢だ。
 いざ、諸共にお花畑の向こうへ――!
 そこに復活を遂げたピンクウサギが緑火眼+精密殺撃でコンボを狙う!
「ナーシュきゅんとの逢瀬を邪魔する奴は誰だろうと…こうだーーーっ!!」
 拙い。これは拙い。
「俺はまだ、奴に一撃も入れてないぞ!」
 ぱんついっちょのニヒルなイケメン、ミハイルは慌てて立ち上がり、ダークの元へ走る。
 触手の波をかき分け、引きちぎり、寸前のところで食い止めながら走る。
 そしてダークの顔面に一発、拳がヒットしたその直後。
「もう止めて!」
 叫んだ愛梨沙の声も間に合わず――

 世界は崩壊した。

 ぱんつ男を巻き込み、ピンクウサギを巻き込み、自分自身さえ巻き込んで、月子はお星様になりました。
 本当の大魔王はここにいた!
 しかし真・大魔王は降臨直後に昇天、残ったのは――

「きゃあぁぁぁっ!!」
 女子の悲鳴と、ほぼすっぽんぽんの状態で放り出された戦士達の姿。
「な、何か着て下さいっ」
 その余りにはしたない格好に、ユキは思わずアイスウィップを発動しそうになる。
「え、わし変質者じゃry」
 ※その後はお察し下さい
 ※そしてこうなりました
「なんぢゃこりゃぁぁぁーー!」
 ミハイルの叫びが、すっかり元通りになったパーティ会場に響き渡る。
 彼と樹の為にりりかが魔法で整えてくれたのは、猫耳猫尻尾のロリ服だった!
「おそろいなの、です♪」
「やだ…わし…意外と似合ってる?//」
 樹は割とノリノリの様子で、くるりと回ってみたりして。
 俺の服を返せとダークの肩を揺さぶっている、ロリ服ミハイルを写メってみたりして。
「待て、それは誰得だ」
「わし得に決まってるの」
 えっへん。
 因みに他の皆さんは自力で服を復活させた様です、はい。

 ところで、魔法の呪文を唱えた訳でもないのにダーク門木がパーティ会場にいるって、どういう事?
 真・大魔王の自らも犠牲にした超絶魔法が全てを吹っ飛ばしたのだろうか。
「みんな一緒が良いよ。ダークも一緒に遊ぼう?」
 呪文は唱え損なったが、愛梨沙は改めてそう語りかけてみる。
 続いて、遥が取り置きしておいたケーキを差し出してみたが――
「トリックオアトリート!」
 縁に要求され、ダークは反射的にそれを渡してしまった。
 しかし一瞬でぺろりと平らげた縁は、何食わぬ顔で「ないんだね!」とにっこり。
 じゃあ悪戯しちゃうぞ!
 という事で…ほっぺちゅー☆
「…っ!?」
「お誕生日おめでとなんだよー!」
 ピンクの花を渡して、一緒に遊ぼうと輪の中に引きずり込む。
「カランコエの花言葉はねー、幸福を告げるとか、沢山の小さな思い出とか、色々なんだよー」
 その一言に、ダークは思わず涙ぐんだりして。
 うん、本当は楽しく遊んでる皆が羨ましかっただけなんだよ、なんて事は口が裂けても言えないが、皆さんとっくにお見通しですね。
 そこにダメ押しのプレゼントが差し出された。
「ウォッカでも、どうだ?」
 贈り主はレガロだ。
「腹が立つことも多々あるが、一応あんたにも世話になってるしな」
 なら、仲間外れにするのもどうかと思って。
「丁度良い、それで一杯どうだい?」
 酒の匂いを目ざとく嗅ぎ付けたディートハルトが声をかけてくる。
「男という生き物は乾杯をすれば分かり合える、俺はそう信じているんだよ」
 残念ながらレガロはまだ飲める歳ではない様だが、ジュースで良ければ一緒に。
「たとえ君がどんな君でも、俺にとって魅力的な、大切な友人な事は変わらない」
 ディートハルトはグラスを掲げ、微笑む。
「これからも俺を楽しませてくれ、期待しているよ」
 こくり、ダークは素直に頷いた。
 こうなるともう、本物と見分けが付かないかも?

 しかし、本物の門木はまだ…絞られていた。
 ダーク出現にも気付かずに夢中で話し続けたカノンは、少し喉を潤そうと傍らのグラスに手を伸ばす。
 だが、それは少年がこっそりすり替えたアルコール飲料で…
 ふにゃん。
「…ぇ?」
 なんか、ふにゃふにゃしてる。もしかして、お酒に弱いとか?
「…だ、大丈夫か…?」
「うん、だいじょうぶよ」
 にっこり、ほわほわと…笑った。
 うそ、何このキャラ崩壊。って言うかヤバい、可愛い。
 これが彼女の素なのだろうか。
 だとしたら、普段はかなり無理をしているのだろう。
 いや、無理をさせているのか。
(…ごめんな、俺も…頑張るから)
 ちょっと反省。

 ところで――
「先生、いったい何度目の誕生日だ?」
 ふとした拍子にミハイルが切り出した素朴な疑問。
「天使は長寿だろう? これを機に実年齢を教えて欲しい…無理にとは言わんが」
 そう言えば、教えた事はなかったか。
「…46、いや…47に、なった」
 ――え?
「…堕ちて来たのが、六年前で…その時の恩人に、歳を言ったら…それなら立派なオッサンだと…この姿に、させられた」
 ちょっと待て、それってものすっごく若くないか!?

 その話が真実か否か、それは定かではない。
 だってここは、夢の中だから。


 そして楽しい時間は続く。
 皆が終わりを望まない限り、いつまでも、いつまでも――


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:15人

胡蝶の夢・
ケイ・リヒャルト(ja0004)

大学部4年5組 女 インフィルトレイター
Eternal Flame・
ヤナギ・エリューナク(ja0006)

大学部7年2組 男 鬼道忍軍
撃退士・
セレス・ダリエ(ja0189)

大学部4年120組 女 ダアト
双月に捧ぐ誓い・
獅堂 遥(ja0190)

大学部4年93組 女 阿修羅
撃退士・
鈴木悠司(ja0226)

大学部9年3組 男 阿修羅
凍気を砕きし嚮後の先駆者・
神凪 宗(ja0435)

大学部8年49組 男 鬼道忍軍
太陽の魔女・
ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)

大学部4年230組 女 ダアト
エノコロマイスター・
沙 月子(ja1773)

大学部4年4組 女 ダアト
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
あなたの縁に歓びを・
真野 縁(ja3294)

卒業 女 アストラルヴァンガード
二月といえば海・
カーディス=キャットフィールド(ja7927)

卒業 男 鬼道忍軍
輝く未来の訪れ願う・
櫟 千尋(ja8564)

大学部4年228組 女 インフィルトレイター
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
夢幻に酔う・
ディートハルト・バイラー(jb0601)

大学部9年164組 男 ディバインナイト
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ラブコメ仮面・
袋井 雅人(jb1469)

大学部4年2組 男 ナイトウォーカー
大海原に覇を唱えし者・
レガロ・アルモニア(jb1616)

大学部6年178組 男 ナイトウォーカー
夜明けのその先へ・
七ツ狩 ヨル(jb2630)

大学部1年4組 男 ナイトウォーカー
天蛇の片翼・
カノン・エルナシア(jb2648)

大学部6年5組 女 ディバインナイト
きのこ憑き・
橘 樹(jb3833)

卒業 男 陰陽師
208号室の渡り鳥・
鏑木愛梨沙(jb3903)

大学部7年162組 女 アストラルヴァンガード
【流星】星を掴むもの・
黄昏シロ(jb5973)

卒業 女 インフィルトレイター
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
Cherry Blossom・
華桜りりか(jb6883)

卒業 女 陰陽師
撃退士・
シシー・ディディエ(jb7695)

大学部6年298組 女 ディバインナイト